まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。そろそろニクスの事情がちらほらとv
ってこれ読んでる人は皆さんしってるでしょうねぇ。端末のことくらいは(笑
とりあえず、さくさくっとすすめてゆく予定v
ニクスに関してはまあアンジェリークがいるのである程度は緩和されるしねv
何はともあれ、ゆくのですv

#####################################

銀花の園   ~雷鳴の村オラージュ~

「あ…あのぉ?」
とりあえず、タナトスを浄化してさらに周辺にも他にもいるかもしれない。
というのでひとまず全員で探索開始。
村の中に戻ったころにはすでに日は完全に落ちており、つき明かりが何ともいえずに村全体を覆っていたりする。
「いったい?」
「何でも俺たちを歓迎するために村人達が総出でつくってくれたらしいよ?」
目の前にあるのはこれでもか!というほどの料理。
皆それでなくても食べ物にも困っている状況だろう、というのに。
戸惑いの声を漏らすアンジェリークの気持ちは当然といえば当然。
そしてまた、首をかしげているレインに変わり、性能のいい耳で聞きかじった理由をいっているジェイド。
「でも、こんなに。私たちはいいですから、貴重な食糧なんでしょうし。ぜひとも村の皆さんで分けてください」
「確かに。彼女のいうとおりですね。お心だけいただいておきますよ。
  それに私たちは疲れたので今日はもうお休みしたいとおもいますしね」
いいつつ、全員にむかってかるく目配せ。
おそらくニクスが村にやってきたのをうけて村人達はなしくずしの食糧を持ち合ったのであろう。
それくらいは理解できる。
できるがやはり受け取れない。
それより困っている村人達に平等に分けてもらいたい、それが彼等というか主にアンジェリークの願い。
「いや、でも、しかし……」
しばし、そんな押し問答が村長の家の中で見受けられてゆく。


ガラガラガラ。
「しかし、いいのかしら?」
「かまいせんよ。私たちが急いでいるのは事実なんですから」
とりあえず押し問答の末に少しばかりはご馳走になったものの、それ以外は村人へ。
そして一晩休んだ後、朝も早くから出発している彼等達。
「とりあえずこの調子だとオラージュにたどり着くのは昼近くくらいだろうな」
さすがといえるのかジェイドの馬さばきは普通よりも洗練されているらしい。
それゆえに普通御車台で馬を操り馬車をすすませるのよりもかなりの早さでしかもゆれも少なくすすんでいる。
朝早くに出発し、宿の主人にのみ挨拶をしてきたゆえに心配してつぶやいているアンジェリーク。
そんなアンジェリークに淡々となぜか馬車の中だというのに紅茶を飲みながらいっているニクス。
そしてまた、外をみながらそんなことをいっているレイン。
「あのままあの地にとどまればあなたの身にも多少の問題があるかもしれませんでしたし」
人々の中にはアンジリェークに対して祈りをささげているものもいた。
それはアンジェリークが行った奇跡が小さな村ということもあり瞬く間に広まった証拠。
もっとも、彼等が危惧しているようなことにはなることは絶対にないが。
その事実を彼等は知らない。
村を出るときに村が元通りになりますように。
と心の底から祈りをささげたアンジェークの意志力により、村が再生していた、ということを彼等は知らない。
「そういえば。オラージュの村って常に雷がなってる、と聞きましたけど」
「ああ。オラージュの近くには雷鳴の峠、と呼ばれている山がありますからね。
  ちなみに、オラージュの近くには他にもいろいろとありますけどね」
おそらく今ではあの岩山の真実を知るものはいないのかもしれない。
数百年前まではあの岩山も本来の姿を多少とどめおいていたが。
よもやあの中にかつての塔が一つ埋もれている、など一体だれが想像するであろう。
ついた名称が夢魂の塔。
誰がいいだしたのかはしれないが、たしかに名案ともいえる名称。
「まあ、せっかく時間があることですし。またカードゲームでもしますか?」
「しかし、アンジェリークはすぐに顔にでるぜ?」
ニクスの提案にすばやく突っ込みをいれるレイン。
「では、もう一つのほうならば問題ないのでは?あれなら誰が最後まで残るかわからないだろうしな」
そんなレインの言葉に軽くうなづき、珍しく提案してきているヒュウガ。
「ああ。いいですね。それは。ジジヌキ、ですか。ならそれでいきましょう。
  えっと、ヒュウガ。今からカードを切りますから、一枚、抜いていただけますか?」
「わかった」
シャッシャッ。
バララララッ。
さすがに慣れているというかニクスのカード裁きはあるいみブロ級といえるものがある。
カードを切っているときの手元がまったく見えない。
「さて。それではカードを配りますね」
ヒュウガが一枚ほどカードをひき、そのカードをケースにと丁寧にしまいこむ。
誰もそのカードが何なのかを確認していない。
それゆえに、どのカードがアウトなのかは皆目不明。
ババヌキとジジヌキの差はどのカードをもつものが負けなのか、というのがすぐにわかるのとそうでない。
その差がある。
ゆえにすぐに顔にでるアンジリェークでもまったく問題なくゲームに親しむことが可能。
「ふふ。ニクス。今度こそまけないからなっ!」
「おやおや。今までレイン君が私に勝てたことが一度でもありましたか?」
「だからだっ!」
ニクスと活動をしはじめてここ数年。
一度もニクスに勝てたことがないがゆえにあるいみ多少ムキになっているレイン。
アンジェリークやヒュウガはそんなことを知る由もないが。
ともあれ、ごとごととゆれる馬車の中。
四人によるジジヌキゲームが行われてゆく。

「うわ~。本当に雷がすごいですね」
たどり着いて馬車からおりた感想はまさにそのとおり。
雨が降っているわけでもないのに空からはごろごろと雷が聞こえている。
「って、ニクス殿!?皆さん一緒にこられたんですか?」
村にと入ってきた馬車をみて、思わずびっくりした声をあげているのはいうまでもなくベルナール。
確かに依頼をしたのは自分ではあるが、全員でくるとは思ってもみなかった。
というか、ここまで五人、つまりは四人の男性に女性が一人。
このメンバーでやってきたことに多少の不安を覚えなくもないが、
ニクスやヒュウガが共にいる限りその心配は皆無なのかもしれない。
雷鳴の村、オラージュ。
リースからはまず馬車で移動するにしても丸二日はかかる位置にとあるこの村。
この村にくるのはアンジェリークは初めて。
ゆえについついきょろきょろ周囲を見渡してしまう。
よくよくみれば村の中に銀樹騎士団の服をきている人物の姿もちらほらと垣間見えている。
「あら。ヒュウガ殿じゃない。お久しぶり」
そんな彼等の元に金髪のストレートの髪をした女性が一人近づいてくる。
そして、ちらりとアンジェリークたち全員に視線をむけ、
「これはニクス殿。わざわざご足労いただきまして。恐縮至極です」
「いえいえ。ライラ殿こそお元気そうで何よりです」
どうやらニクス、そしてヒュウガとその女性は知り合いらしい。
「?あ、あの?ニクスさん?ヒュウガさん?」
そんな二人に首をかしげてといかけるアンジェリーク。
そんなアンジェリークの問いかけをうけ、改めてしばらくアンジェリークを眺めるその女性であるが、
その瞳があるいみ驚愕の表情に一瞬見開かれる。
だがしかし、すぐさまに優しい表情になり、
「ようこそ。雷鳴の村、オラージュへ。村人を代表して心から歓迎いたしますわ。
  私はライラ。薬師ライラ。以後よろしくおねがいしますね」
にこやかに挨拶してくるライラ、と名乗ったその女性。
…あら?
この人の雰囲気…どこかで?
その女性の雰囲気に何となく覚えがあり、一瞬考えるアンジリェーク。
どこで似た雰囲気の人とであったのかが思い出せない。
とても何となく重要なことのような気がするというのに。
「聖母ライラ殿、お久しぶりでございます。お元気そうで何よりです」
そんな彼女に丁寧に礼をとりながら挨拶しているヒュウガの姿。
聖母?
いったいどういう意味なのかしら?
薬師、ということみたいだから、それで聖母、とよばれてるのかしら?
そう自身の中で解釈し、
「あ、はじめまして。私はアンジェリークといいます。この子はエルヴィンです」
「にゅっ」
ひょいっと胸に抱いていたエルヴィンを目線の高さにまで持ち上げて紹介しているアンジリェーク。
わざわざネコの自己紹介まではいらないような気もしなくもないが。
だがしかし、もしそこにいればどうしても猫の自己紹介もしてしまうであろう。
それが人の心情、というのも。
「あ、俺はジェイド。ライラさん。素敵な名前だね。よろしく」
「俺はレイン。聖母の噂はかねがね」
レインはとある理由から彼女がなぜ聖母と呼ばれているのか知っている。
銀の大樹の葉を握り締めて生まれた子どもの母親は代々聖母としてあがめられる。
それは一部のもののみがしっているアルカディアにおける真実。
「まあ、長旅でつかれたろ?とりあえず宿屋に案内するよ」
「ベルお兄さんは大丈夫なの?」
申し出てくるベルナールのことを心配してといかけるアンジリェークの言葉に、
「大丈夫さ。さ、こっちだよ」
できれば彼女を教団関係者の目からはなるべく触れさせたくない。
彼女があの肖像画と瓜二つということに気付かれでもしたらそれこそアンジェリークの運命は……
先送りにしているだけ、というのもわかってはいる。
いるが大切な妹と思っている人物を好き好んで波乱の運命に巻き込みたくはない。
それゆえにすでに話しをつけてあった宿のほうにとアンジリェークを案内してゆくベルナール。
「さて。私はそれでは例の花畑を調べたいので、ライラ殿、ご案内ねがえますか?」
この村にはタナトスが絶対に出現しないとある場所がある。
それが聖なる花畑ともいわれている神聖なる場所。
あまりに強いタナトスなどが襲ってきたときには村人はそこにと避難するのが今では常識。
その中にはどうしてもタナトスは入り込めない。
何か特殊な結界らしきものがあるらしいが、一般の人々にはそれがわからない。
「ええ。かまいせんよ。ニクス殿」
ニクスは確かにライラと面識はあるものの、この村にくるのは初めて、といっても過言でない。
彼は基本的にあまり陽だまり邸から遠く離れた場所にいくのを好まない。
それは離れるにつれ自身の中でおさえているモノが表にでてくる可能性がたかくなるがゆえ。
「ヒュウガ?ヒュウガ殿ではないか!!」
ふとアンジェリークを宿屋に案内していくベルナールの背後では銀樹騎士団の一員にと気付かれ、
何やら声をかけられているヒュウガの姿が垣間見える。
どうやら声をかけたのは年配の銀樹騎士団員らしいがアンジリェークには見覚えがない。
まあ、彼女がしっている団員はほんのわずかというか数名のみ。
ゆえに知っている人が偶然にこの場に居合わす、ということはまず滅多と起こらない。
必要性がない限り…は。

「足元におきをつけください。マダム」
タナトスが絶対に入り込むことができない、いわれている花畑。
それは村から少し離れた位置にとある雷鳴の丘の入り口付近にと存在している。
がけにとかかっているつり橋をゆっくりわたりながらもライラに注意を促すニクス。
「あなたのほうこそ……」
まるで今にも倒れそうな青白い顔。
だからこそライラは気になってしかたがない。
何か内面で苦しいのを無理している。
そんな感覚。
「花畑はこの先になります。本当に大丈夫ですか?ニクス様?」
すすむにつれ顔色がどんどん顔色が悪くなってきているニクス。
それゆえに心配そうにさらに問いかけるライラ。
「ええ。大丈夫ですよ」
そうはいうものの、押さえているのがやっと。
彼女が隣にいる、というので内部から彼女を殺せ、害せよ、という黒い指令が飛んでくる。
「ニクス様!?」
どさっ。
つり橋を渡りきったところで耐え切れずに思わずその場に倒れてしまう。
「だ、大丈夫です…だいじょぅ……」
それでも苦しそうな表情のしたで大丈夫、と言い張るニクス。
とにかく内面で抑えるしかない。
それを抑えられるのは当事者であるニクスしかいないのだから。
彼をつれて村に戻ろうにもどうやら動かせる状態ではなさそうである。
かといって今この場にいるのは自分と、そしてニクスのみ。
助けをもとめようにも誰もいない。
「すこしまっててください!今人をよんできますからっ!」
か弱い女性の手だけでは彼を運ぶこともできない。
かといって薬でどうにかなるようなものではなさそうである。
とにかくニクスをその場にある近くの木陰に移動させるのがやっと。
水を含んだハンカチを彼の額にとおしあて、ぱたぱたとあわてて村のほうにと戻ってゆくライラの姿。
『――まったく。抵抗してくれる』
ゆっくりとライラの姿が見えなくなるとほぼ同時、がくりとニクスの意識が遠のき、
そしてゆっくりと何ごともなかったかのように立ち上がる。
確かにニクスの声なのにどことなく違うのは気のせいではないだろう。
『さすが闇の保持者、というところか。だが……』
今でも必死で抵抗しようとしているのが判る。
『光の保持者の結界。か、こざかしい。女王の卵などは必要ない』
立ち上がり、花畑の入り口にと歩いてゆく。
そこには邪悪なものを受け付けない聖なる光の結界が張られているのが見て取れる。
彼の…ニクスのたくらみはわかっている。
彼女の能力ならば確かに自分を彼から引き剥がすこも、また消滅させることも可能だろう。
だが、今の彼女にはそこまでの能力はない。
だからこそ孵る前に殺すのがベスト。
だが、あの屋敷にいるかぎり、そうそう手がださない。
『…コスモスメイト…あくまで我の邪魔をする……』
強い思いは悪意にもなりえる。
そしてその思いは拡大する。
そう、かつてナドゥラージャと呼ばれていた本来の自分。
はじめはただ、彼女を運命から解き放ちたかっただけ。
その思いはやがて、全てを無に。
その思いに摩り替わり、永き時が過ぎている。
未来においてようやく能力がみなぎってきたというのに、過去に飛ばされ、そして再び彼女の力に屈した。
『だが……我は…私はあきらめない。全てに静寂なる無を……』
パキィッン。
つぶやきながらも手をかざす。
その手には唐草紋様のような何かのアザらしきものが浮き出している。
「…くっ…おまえの…好きに…は…」
『さすがにしぶとい。な。やはり闇の力が満ちてきているのもあるか…』
ニクスの口から発せられることなる二つの言葉。
彼の力が完全に覚醒すれば間違いなく端末にすることは不可能となるのは必然。
だがしかし、光に護られた地を悪意でおおい尽くす。
光が強ければつよいほど、それにともない発生する悪意はとてつもなく大きなもの。
「私の中の闇の力よ。まがまがしきあしき力を今一度…っ!」
『こざか…しっ…いっ!しかし、我はあきらめぬ。…我が分身よっ!』
どさり。
ザァァ……
ニクスの苦しそうな声と同時に、何やら怨嗟のような声が発せられる。
それと同時にその場につっぷすように再び倒れるニクスの姿。
そしてまた。
ニクスの体から黒き霧が立ち上り、それはやがて一つの異形の形を成してゆく。
――タナトス。
それはそこに倒れているニクスに目をくれることなく、ゆっくりと今まで守られていた花畑にと向かってゆく。

「ライラさん、どうかしたんですか?」
ぱたぱたと走ってくるライラの足音をすばやくとらえ、足音が近づいてくるほうにと駆け寄っていたジェイド。
みたところライラの表情はかなり切羽つまっているように感じられる。
しかも一緒にいったはずのニクスの姿が見えないのも気にかかる。
「あなたは、たしかニクスさまの!おねがい!助けて!ニクス様が、ニクス様がっ!」
何といっていいのかわからない。
思わず傍に駆け寄ってきたジェイドの服をつかんですがりつく。
「まさか、ニクスのやつ…発作がでたのか!?」
ジェイドの様子がただならない、そう感じてついてきていたレインがライラの言葉をうけて予測をつけ思わず叫ぶ。
発作。
それはジェイドたちはまだ知らないであろうが、彼はとぎどき原因不明の発作に襲われる。
医者に見せてもそれは不明でもっぱら発作がおきればおさまるのをまつしかない。
見ているかぎり命にかかわるのでは?
というほどの強い発作。
ニクスは心配ない、とはいうがやはり気にはなっている。
最近その発作はおさまっていたはずなのに。
「ニクス様がいきなり倒れられたの!お願い、ニクス様を助けて!」
その言葉に顔を見合わせ、
「俺がライラさんについていくよ。レインはアンジェリークを呼んできて」
もしかしたら彼女の能力が役にたつかもしれない。
「わかった!」
「ライラさん、ニクスのところに案内して」
「は、はいっ!」
とりあえず、ジェイドはライラとともに、そしてレインは村のほうにと駆け出してゆく姿がしばし見受けられてゆく。


                                -第41話へー

Home   Top   Back    Next

#####################################

あとがきもどき:
薫:さてさて。ひさかたぶりにでてきたナドゥラージャ(笑
  この地にのこる残留思念ことラ・ガ(エレボス)さんも元は彼女の残留思念v
  思念が強すぎて一つの生命体のようになりはてていたりもしますけど。
  当然、かつてのナド・ラーガに満ちていた悪意そのものですv
  ちらっとときどきリモージュの回でもだしてきてましたけど、彼女のことは(マテ
  そのうちにトロワでかなり彼女はでばってきますけどね~
  何はともあれ、次回で浄化能力さんとニクスの発作のその後。
  それから村の浄化~、ですね。
  ではでは~♪また次回にて♪

2008年5月24日(土)某日

Home   Top   Back    Next