まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。今回はアニメの5話に近い学園への来訪v
だけども設定はやはり異なってたり(笑
さてさて、主人公たるアンジェリークの鈍さがきちんと表現できるかな?(笑
何はともあれ、ゆくのですv
#####################################銀花の園 ~メルローズ女学院~
「さて。みなさん、用意はいいですか?」
「ああ。俺はばっちりだぜ」
「うん。大丈夫だよ」
「私は問題ない。アンジェリーク殿は?」
「私も平気です」
とりあえず、陽だまり邸の戸締りをして馬車の元にと全員集合。
「にゃ~」
ニクスの言葉に答えるかのようにちょこん、とアンジェリークに抱かれながらも鳴いているエルヴィン。
「しかし、そいつ連れてくのはいいが、迷子にするなよ?」
いつ戻るのかわからないのに屋敷に一人で留守番、というのは気にかかる。
何よりもゴハンなどが足りるかどうかが心配。
それゆえにエルヴィンもつれてゆくことにしているアンジリェーク。
「大丈夫だよ。エルヴィンは賢いもの」
レインの言葉ににこやかにいっているジェイドであるが。
確かに、ネコらしからぬほどにエルヴィンは賢い。
「さあ、ではいきますか」
「馬車は私が操ろう」
「それでは、順番に操るとしますかね。中でひとまずゲームでもして順番をきめますか」
そんな会話をしながらも、馬車にと乗り込んでゆく四人の姿。
ヒュウガが御車台にて馬車を操り、それ以外の存在は馬車の中へと乗り込み陽だまり邸を後にしてゆく。
ガラガラガラ。
「ああ。そういえば、メルローズ女学院によっていただけますか?校長に挨拶したいので」
馬車の中にはジェイドとアンジェリーク、そしてレインとニクスといった形でそれぞれ座っているのだが。
そんな中、小窓を開いて御車台にといるヒュウガにと語りかけているニクス。
「え?本当ですか!?」
おもわずぱっと瞳を輝かすアンジェリーク。
依頼とかとは関係なく学院に戻れる、というのは大切な学友たちにあえる、ということ。
「そういえば、アンジリェークはメルローズ女学院の出身だったね」
アンジェリークの一瞬の表情の変化に、どこか納得したような顔をしているジェイド。
「ええ。あ、ニクスさん、私も一緒に挨拶にいったほうがいいですよね?」
学園にいけるのはうれしいが、挨拶ならば自分もいったほうがいいのでは?
そう思い、ニクスに念の為にと問いかける。
「いえ。挨拶は私だけでいいですよ。あなたはお友達と久しぶりにお話でもしてください」
にこやかにいってくるニクスであるが。
いいのかしら?
とおもうものの、たしかに二人で何か話すことがあるのかもしれない。
そう思い、
「じゃ、お言葉に甘えさせていただきます」
わくわくわく。
馬車の外に見える景色は見慣れたものにとかわってゆく。
遠くに見えるのは幼いころから慣れ親しんだ学院の姿。
学院にいける、そうおもっただけでこのわくわく感は何なんだろう?
そんなことをおもいながらもやはりわくわくする感情は止められない。
「アンジェリーク!!」
「ハンナ!サリー!」
だきっ。
「きゃぁ!アンジェ。久しぶり~!!」
ニクスがとりあえず学校長室にと赴き、アンジリェークたちはひとまず中庭へ。
「もう、サリーったら。この間あったばかりよ?」
いきなり抱きついてきたサリーに苦笑しながらも、ぽんぽんと背中をたたく。
「メルローズ女学院…か」
ついこの間この近くでタナトスと戦闘し、そして今のような状況になった。
あれからまだ一ヶ月も経過していないのに何かものすごく長い日が過ぎたような気がするのは、
レインの気のせいではないだろう。
「何だか素敵な場所だね。ここでアンジェリークが生活してたんだね」
学園に満ちている気配はとても温かいもの。
それゆえにきょろきょろと周囲を見渡しながらもいっているジェイド。
「だけど、この間はあまりお話できなかったもの。ちゃんとやってる?困ったことはない?」
「それより、アンジェ。あの中で好きな人とかいるの?」
「え?好き。って、皆さん大好きよ。とても素敵な人たちで頼れる仲間ですもの」
がくっ。
サリーとハンナの言葉ににこやかに微笑みながら即答するアンジェリーク。
そんな彼女の言葉に思わず力がぬけてしまう。
こ、この子、変わらない。
そもそも、赤の他人の男性と同じ一つ屋根の下に暮らすという危険性すら考えていないようである。
「とにかく!何かあったらすぐに連絡してね。手紙の精霊さんに頼めばすぐに手紙とどくらしいし。
何があっても寮を抜け出してでもすぐにかけつけるからっ!」
「寮を抜け出して。って、サリー、相変わらずね」
ほんの数日しかたっていないので変わっていないのは当たり前だが。
だけどもこのやり取りがとても心地よい。
日々、力が上手に本当に使えるのか、と思いながらの活動の日々。
だがここではそのような気遣いは無用。
「って、アンジェ!!?やっぱりアンジェリークだわっ!」
どうやら今の時間は休み時間らしい。
窓から珍しい青い髪の色をみつけて全員が中庭に下りてきていたりする。
わっ。
いつのまにか生徒全員が中庭に下りてきており、あっという間にアンジリェークを取り囲む。
「アンジェがいなくなってさみしいよ~」
「ほんと。毎日の宿題見せてくれる人もいないんだもんっ!」
何やらそんな何やらほほえましいことをいっている生徒の姿も垣間見えるが。
「アンジェ!聞いたわよ!大活躍らしいじゃないっ!」
「アンジェリークは何か私たちとは違う、とおもってたけど。だけど久しぶり!」
「アンジェ!!」
だきっ。
ふとみれば、一人の女性とがアンジリェークにと抱きついてくる。
「って、ユーリ!?」
抱きついてきたのは見慣れた友達の姿。
「ユーリ、本当にユーリ!?」
「うん!私よ!ちゃんとお礼をいいたかったの。ありがとう」
タナトスに襲われ意識が奪われた。
気がついたときには光につつまれた自分自身。
「私は何もしてないわ。でもほんと、無事でよかった」
何もしていないどころか彼女の能力でタナトスに襲われていた生徒達は救われた。
「アンジェリークって相変わらず謙虚よね~」
「でも、そこがアンジェらしいところだけど」
「だけど、アンジェが即位したら素敵でしょうね」
「?ああ、勉強のこと?まかして!来年ぜったいに二次試験もうかるからっ!」
がくっ。
一人の生徒の言葉に、完全に勘違いしてぐっと力をこめて言い放つ。
そんなアンジェリークの言葉にその場に集まっていた全員が思わず肩の力を落としてしまう。
「そうでなくて。この間空に光のカーテンがかかったじゃない。あれやったのあなたでしょ?」
「まっさか~。でもあんな現象初めてみたわよね。綺麗だったわね」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
無自覚。
そういえぱ、この子ってば伝説とかあまり知らないのかも。
小さなころから常に勉強ばかりしていたがゆえに、そういう伝説じみたことにはアンジリェークは確かに疎い。
タナトスを浄化させ、さらには人々をもよみがえらせる能力。
そして空に一時輝いた光のカーテンというか伝説のオーロラ。
古より伝えられてきた伝承とほぼ一致する、というのに当の当人は完全に無自覚極まりない。
中庭にある天使の彫像から噴出している噴水。
そこにたたずんでいる見慣れない二人の男性。
「そ、そういえば、あそこにいる素敵な人たち、どちらかがアンジェリークのいいひと?」
「?ああ、レインとジェイドさん。同じオーブハンターの仲間よ。
たしかに、二人ともものすっごくいい人よ?それに外でまってるヒュウガさんもニクスさんも」
「いや、言いたいのはそこじゃなくて…ああもうっ!どうしてアンジェリークはそうなの!?」
「?ローズ?」
彼女たちからすれば問いかけた内容はまったく別のもの。
すなわち恋愛感情があるのかないのか、というのをききたかったのに。
アンジェリークから戻ってきたこたえは予想通りというか何ともいえない見当違いなもの。
ローズの叫びに彼女をしる生徒達は思わずうんうんとうなづいていたりする。
「まあ、アンジェだしね~」
「たしかに。まじめ一筋だったもの」
しみじみと何やらいっているハンナとサリー。
「まあ、とりあえず。そういえば今日はどうしたの?」
こほん、と小さく咳払いをして改めてアンジリェークに問いかけるハンナ。
「え?ああ。今から雷鳴の村オラージュってところにいくの。
ニクスさんが学校長先生に挨拶したい、というので立ち寄ったのよ」
にっこりと微笑むアンジリェークの台詞に思わず顔を見合わせる。
「…男の人たちばかりと?」
「ええ。皆さん仲間ですもの」
『はぁ~……』
にっこり微笑み答えを返すアンジェリークの台詞に思わず盛大にため息をつく女生徒達。
赤の他人のしかも男性。
その危険性をまったくもって考えていないのがよぉぉくわかる。
「ちょっと!そこのレイン博士!この子に変なことしたら承知しないですからねっ!」
「って、へ…変なこと!?」
いきなり話をふられ、戸惑うしかないレイン。
彼女達からすれば誰にでも優しいアンジェリークはあるいみ女学校内の憧れ的存在でもあった。
ここ最近では彼女が奇跡ともいえる行動をしていたこともありその神聖視はかなり強まっている。
「?レイン。変なことって何?」
「ああもう!ジェイド!お前はそう真顔できくなっ!…というかお前も男だろうが!察しろ!」
「?」
女生徒の一人の問いかけにおもいっきりあわてるレインにまったく理解していないとおもわれるジェイド。
「…アンジェ。どうやらあの人は大丈夫そうだけど。あのレイン博士には気をつけて!」
「?レインはとてもいい人よ?気をつけるって何を?」
「何でも!とにかく!あなたはほんっとうにとろいんだから!」
がしっと思いっきり心配しつつアンジェリークの肩を抱くサリー。
「おやおや。何やらとてもにぎやかですねぇ」
そんな会話をしているとどうやら学校長との話が終わったらしいニクスが中庭にと降りてくる。
「ああ。ニクス!助けてくれっ!」
「おやおや。レイン君。男の子らしからぬ台詞ですね~。
まあ確かに、彼女に邪なことを思うのはあなたくらいかもしれませんね~」
ふとみれば数名の女性とに取り囲まれ、
困ったような表情をしているレインに対しからかいがてらにいっているニクスであるが。
「やっぱり!そうだ。ネコちゃん。彼が彼女の傍にきたらおもいっきりひっかいてやりなさい!」
ニクスの言葉をうけて、おもいっきりレインをさらに取り囲むもの。
そしてまた、アンジェリークの傍にいた猫はいつのまにかレインたちのほうにいっており、
そんな子猫の姿をみて何やらいっている女生徒の一人。
「にゃ~」
「って!エルヴィン!お前も同意したようになくなっ!」
「?レインたち、何か楽しそうね」
「…も、いい。アンジェに何をいってもたぶん理解してもらえないとわかったから。
だけど、本当に十分に気をつけてね?」
「?ええ。気をつけていってくるわ」
「いや、だから違うってば」
気をつけて。
という言葉を気をつけていってらっしゃい。
そう捉え返事を返すアンジェリークに対し、額に手をあてて数名の女生徒がため息まじりに思わずつぶやく。
誰をも疑うことがなく純粋までの心の持ち主。
それが彼女、アンジェリークである、というのは理解している。
いるが…やはり不安は募る。
そもそも、彼女はこの世界にとってとても大切な存在なのだから。
そんな会話をしつつも、ふと近くにいるニクスにときづき、
「はじめまして。ニクス様、ですね。噂はかねがね。うちの祖父がニクス様によろしく、といっていましたわ」
そんなことをいっているハンナ。
「あなたは……」
「はい。ハンナ・ユナカイトといいます」
「ユナ……」
その名前にニクスは覚えがある。
そう、人をさけていた自分に根気よく話しかけてきた大切な親友。
「祖父、オーギュストがかつてニクス様の祖父と親しくしていたようで、よくお話はお聞きしています」
いいつつも、軽く礼をとりスカートのすそをつかんでお辞儀をしているハンナ。
「そう、ですか。お爺様はお元気なのですか?」
「最近はお医者に外出を止められていますが、ニクス様にあったことをいったらきっと祖父は喜ぶとおもいます」
ニクスは彼の祖父と瓜二つだと聞いたことがある。
「あなたのお爺様によろしくお伝えください」
そういうニクスの表情はどこか悲しげな気がするのは気のせいであろうか。
そんなことを一瞬思うものの、
「そういえば、生徒達の反応はあなた方の指示なのですか?」
ぜったいに彼女を特別扱いする生徒が多いとおもったのに。
ある意味、彼女に人々の過剰なまでの期待という思いの重さ。
それを知ってほしかったのもあり学園にわざわざよった理由の一つ。
だがしかし、生徒達にはそれがない。
「彼女は以前から生徒達に好かれてましたし。彼女はきづいてませんでしたけど、
学園内部では彼女のファンクラブなるものもできていたんですよ?」
ふふっ。
どこかいたずらっぽく微笑みながらそんなニクスにと答えているハンナ。
確かに、アンジリェークが知らないだけで下級生たちからはお姉様、と呼ばれて親しまれていたのも事実。
そんな会話をしているハンナとニクスとは対象的に、
「そういえば、オーブハンターをなさっているんですよね」
「うん。そうだよ?」
いつのまにかレインやジェイドたちの周囲にもかなりの数の女生徒達が取り囲んでいたりする。
「タナトスと戦うなんて怖くないんですか?」
「人々の笑顔を守るためだから、ね。皆、笑って。笑顔は幸せの種なんだよ?」
ジェイドらしいといえばらしいが、周りの生徒達ににこやかにいっているジェイド。
「ご趣味は何ですか!?」
「俺の趣味は主に料理を作ること、かな?人に食べてもらったときの笑顔がうれしくてね。
皆にも是非食べてもらいたいな」
「ぜひとも!」
何やらそんな会話をしているジェイド達。
そしてまた。
「ニクス様!お会いできて光栄ですっ!ニクス様の様々なご活躍、父母から聞き及んでますわっ!」
いつのまにかニクスの周囲にも人だかり。
よくよくみれば、レインもかなりの数の女生徒達にと取り囲まれていたりする。
「そういえば、皆時間大丈夫なのかしら?」
いくら休憩時間とはいえ、いい加減にもう授業も始まっているはずである。
というか、中には先生らしき姿もみえるのは気のせいかしら?
そんなことをおもい、中庭にいる生徒達の姿を見渡して思わずつぶやくアンジリェーク。
よくよくみれば、時間とともに全ての学年の生徒の姿も増えてきているような気がする。
「先生も出てきてるから大丈夫じゃない?」
そんなアンジェリークのつぶやきに、その横で答えているサリーの姿。
何やらアンジェリークに群がろうとしている生徒達をうまく裁いているように見えるのはおそらく気のせいではないだろう。
アンジリェーク自身は学友たちが自分の傍に少しでも近寄ろうとしている、ということをまったくもって気付いていない。
「きっと、皆。ニクスさんに感謝してるからなんでしょうね」
いや、それもあるかもしれないけど目的は別にあるから。
そういうアンジリェークの言葉に思わず突っ込みをいれたくなるがかろうじてこらえ、
「でも。アンジェ?本当につらいこととかあったらすぐにいってね?
あなたはあなたなんだから、あなたの身が一番よ?人々の期待を全て応えようとして無理は禁物よ?
「そうよ。サリーのいうとおり。あなたの身に何かあってからじゃ遅いんだからね」
交互にいってくるサリーとローズ。
「うん。ありがとう。二人とも」
彼女たちが自分を本気で心配しているのがわかるがゆえに微笑むアンジェリーク。
でも、何かものすごい騒ぎになってるけど本当に平気なのかしら?
中庭がいつのまにか生徒であふれかえりだしていたりする。
と。
「さあさあ。みなさん、アンジリェークやニクス殿たちはこれから大切な用事があるのですから。
授業が始まりますよ。みなさん校舎内にはいってくださいね」
いつのまにか出てきていたらしい学校長がそんな生徒達にむけて軽く手をたたきながら言い放つ。
そんな学校長の言葉をうけ、名残惜しそうにそれぞれアンジリェークに一声かけては校舎の中にと入ってゆく生徒達。
「何かあったらすぐに連絡してね」
「アンジェ。本当に気をつけてね。子猫ちゃん、彼女をしっかりとまもってね」
「にゅ~」
てとてとちょこちょこと近寄ってきたエルヴィンを抱き上げているアンジェリークの肩をしっかりとつかみ、
それでいて本気でしつこくいっているサリーに。
エルヴィンの視線にあわせ、何やら子猫に言い聞かせているハンナ。
そんなハンナの言葉に返事をするかのように一声鳴いているエルヴィン。
やがて、生徒達全てが校舎内部へともどってゆき、アンジェリークたちもまた学園を後にしてゆく。
-第38話へー
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あとがきもどき:
薫:さてさて。ハンナのフルネームはゲームにもでていないので。
とりあえずおもいっきり趣味で天然石からとりましたv
ちなみに、「ユナカイト」とは、過去のトラウマから開放され活力を持ち主に与える石、ともいわれ。
どんなときにも希望をもたらせてくれる石、とも言われている石ですv
ニクスにはそれがいい、とおもってそれにしましたv
次回から普通の旅にはいりますv
ではまた次回にてvv
2008年5月22日(木)某日
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