まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて、副題と内容がまたまたかみあっていません。
その自覚は十分にありますです。はい(笑
今回は、タナトスが知恵をつけはじめてる?というのと。
あと舞踏会への付随として、アンジリェークの憧れのようなものをばv(まて
ではでは、意味になってないけどいくのですv

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銀花の園   ~進化?~

「アーサーさんと、ジーンさんとおっしゃるんですね」
「え、ええ」
とりあえず、ディオンと一緒にいる残りの二人。
彼等の名前をきいたところ、アーサーとジーンというらしい。
何か二人の様子がそわそわして落ち着かないようにみえるのはアンジェリークの気のせいであろう「か。
「そういえば、どうしてあなた方はあそこにいらしたのですか?」
なぜか異様に緊張しているのか固まっている二人に代わりディオンが問いかけてくる。
「?敬語なのがきになるんですけど?普通に話してください。お願いです。何か違和感感じますし……
  私たちは依頼をうけて捜索してたんです。
  メルローズ女学院の生徒が焔の砦からヴォードンに向かう街道でタナトスをみた、
  という報告がありまして。それで」
ディオンの問いに、どうして敬語をつかってくるのかしら?
とものすっごく頭の中で疑問符を浮かべながら丁寧に問いにと答えるアンジェリーク。
「なるほど。そうでしたか。しかしあなたのそばにヒュウガがいるのならば安心です。
  ヒュウガは我々銀樹騎士団からしても誇り高く信頼できる人物ですから」
証が出現していない以上、おそらく教団は動けないであろう。
否、可能性がある、といって動くこともてきなくはないが、それにしては影響が大きすぎる。
だからこそヒュウガが傍で彼女を護っている、というのは何よりも安心できること。
気になるのは男性ばかりがいるという屋敷に彼女一人、一緒に住んでいる。
というところだが。
それもまたヒュウガがいる限り、間違いなく間違いは起こらないであろうことも理解できる。
一つ屋根の下で過ごしていてもそのあたりのことを気にしない。
というのは年頃の女の子の割りにそういうことに疎いことを物語っている。
「そうですね。それにヒュウガさんだけでなく、レインやニクスさん、ジェイドさんという頼りになる仲間もいますし。
  でも、銀樹騎士の人たちもすごいと思います。旅をしつつ人々を守るなんて」
あてのない旅のようなもの。
それでも人々のために無償でつくす。
あるいみ、ニクスが行っている慈善活動に近いものがあるであろう。
まあ、彼等の財力源はセレスティア教団、という宗教組織があるのを別にすれば、だが。
「でも、いいんですか?ご馳走になってしまって?」
結局のところ、ヴォードンにと一緒に出向き、昼を食べたはいいものの。
協力してくれたお礼云々、といい含められて食事代はディオン達もちにとなってしまった。
そのことがかなり心苦しくてしかたないアンジェリーク。
「きにしないでください。むしろあなたに払わせるほうがかなり畏れ多いですし」
「?そりゃ、私の収入源は今のところないですけど……」
活動資金は全てニクス負担。
アンジェリークが今使っている資金は学生時代にこつこつと学園内部でアルバイトをしてためたもの。
両親が残してくれたお金もあるにはあるが、アンジェリークからすれば自分できちんと稼ぎたい。
まあ、滅多というかはっきりいって外にでなかったアンジェリークがお金を使うようなことはまずなかったが。
「ここは彼等の面子をたてていうことをきいてやってはくれないか?アンジェリーク?」
「そうですね。ヒュウガさんがそういうのなら。あ、でもその代わり、何かこちらにできることがあったらいってくださいね?」
アンジェリークに散々敬語はやめてくれ、だの云々いわれたので仕方なく多少口調を変えているヒュウガ。
それでも、意識していないときはどうしても敬語になってしまうのは仕方ないであろう。
騎士団は騎士団の面目、みたいなものがあるのかもしれない。
食事代をもつことで手伝ってくれた御礼をいいたいのかもしれないし。
よく言葉だけでなく、形に残るものでもお礼をしたい。
そういう人は多々といる。
アンジェリークからすれば言葉や、そして相手の笑顔だけで十分と思えるのだが。
世の中、それでは気がすまない人は大勢いるのもまた事実。
「お心だけいただいておきます。アンジリェーク殿」
しつこくいっ成果か、様から殿にと呼び方を変えているディオンではあるが、
それでもやはり自分は彼等より年少者なので何だかこそばゆい。
彼等は格式と礼儀を重んじる、というのでそれはそれで仕方がないことなのかもしれない。
「しかし、今日はとてもよき日になりました。旧友であるヒュウガとも出会えましたし。
  それにあなたのような方にもめぐりあえましたし」
「私もディオンさんたちに会えてよかったです」
もし、あのタナトス相手にヒュウガ一人でたたかったとすれば、怪我も何もない。
というわけにはいかなかったであろう。
四人が協力したからこそあそこまであっさり勝てたのだから。
「それでは、私たちはこれで。ヒュウガ。この方のことを頼んだぞ」
「無論だ」
???
何か意味深なようにいっている二人の会話にきょとん、と首をかしげるアンジェリーク。
やがて、丁寧に礼をとりディオン達三人はアンジェリークたちとは別方向。
ヴォードンの街の中の人ごみにと掻き消えてゆく。

「うわ~。すごいですね。ここ」
せっかく首都ヴォードンにきたこともあり、新聞社をたずねたがベルナールは今は取材にいって留守らしい。
首都というだけあり、ここには芸術面に関しての建物もまた充実している。
昔からある古きよき格式ある建物らしいが、今の技術においてもここまで立派なものは作れないらしい。
誰が建てたのかすら謎。
だが、それらを中心に街が発展していったのは事実。
いつきても、ここは圧倒されてしまう。
場違いのような気もしなくもないが、それでも見ているだけで何だかこう心がうきうきしてくる。
この中でいろいろな人たちが舞踏会とか繰り広げるのね。
そうおもうとアンジェリークとて女の子。
おもわずわくわくしてしまうのは仕方のないことなのであろう。
「あ。もしかして騎士様じゃありませんか!?」
思わず劇場を見上げていたアンジェリークの耳に聞きなれない声が聞こえてくる。
みれば着飾った貴婦人が数名、ヒュウガを見ながら声をかけてきているのが見て取れる。
ヒュウガさんのお知り合い?
「ほんとう。騎士様だわ。騎士様。お久しぶりです。最近舞踏会にこられないので残念におもっておりましたのよ」
「騎士様の優雅な舞を再びお目にかかりたいですわ」
何やらあっという間にヒュウガは彼女たちにと囲まれてしまう。
ヒュウガさんの舞…
たしかに、素敵でしょうね。
そんな彼女たちの会話をききつつ想像しておもわずくすっと微笑むアンジリェーク。
「悪いが。私はすでに騎士団をぬけた身。そういう場所に今後いくようなことはない」
「そうおっしゃらずに。そうですわ。せっかく会えたのですから屋敷でお茶でもいかがですか?」
淡々と語るヒュウガに何やらそんなことをいってきているどうやら貴族らしき女性の姿。
「いや。連れがいるのでな。失礼」
「あ。騎士様!」
いいつつも、視線でアンジェリークを促しその場を立ち去るヒュウガ。
「あ、ヒュウガさん!まってください!」
雰囲気的にどうやらヒュウガはその場を早く離れたいらしい。
だがしかし。
「ヒュウガさん。いいんですか?」
自分がいるせいで、ヒュウガが彼女たちに遠慮しているのならばそれはかなり申し訳ない。
「私はすでに騎士団をぬけている身。彼女たちの誘いを受けるいわれはない」
淡々と語るヒュウガの言葉にしゅん、となりながら。
「だって、せっかくの善意のお誘いなのに……私なら平気ですよ?今からでも……」
「あなたは心優しいのだな。しかし、あなたが気になさることではない。
  彼女達が必要としているのは銀樹騎士を招いた、というその結果だろうからな」
「そんなことありませんよ!ヒュウガさんがヒュウガさんだから彼女達もお誘いしたんでしょうに」
アンジェリークはそういった政治的、または外見的な体面のために相手を巻き込む。
その概念はまったくない。
だからこそ、彼女達がヒュウガを善意で誘っていた、そう解釈していたりする。
「あなたがそういうのならばそうかもしれんな。しかし我々には我々のするともあるしな」
その言葉に彼女はそういう世界の黒い部分をあまりというかほとんど知らない。
そのことに気付き、優しく微笑む。
小さなころから学園で育ったアンジェリークは世の中のそういったことに対してもかなり疎い。
それでいて純粋に育っている。
相手がたとえどんな人であろうとも、その慈愛の心をもってして全てを許せるであろう。
他人の痛みを自身のものとし、悲しみ、そしてまた自身の身をつくしてでも他人のために尽くす。
慈愛と献身。
それこそがアンジリェークが目指す目的の一つ。
「確かにそうかもしれませんけど。だけどヒュウガさん、舞踏会にいったことがあるんですね?」
いいな~。
言外にそんな淡い憧れを抱きつつもヒュウガにと語りかける。
「騎士団に所属していたときはそういう社交の場に出向くことも仕事の一つだったからな」
「そうなんですか?」
「社交の場にでるのも貴婦人をいたわるのも騎士としての義務だ。
  だからこそ教団では礼儀や作法を徹底して叩き込まれる」
まあ、資金のある人たちとのつながりは教団にとっては必要不可欠。
教団はいわば寄付金で成り立っている組織でもあるのだから。
「何だか素敵ですね。あ、だけど少し堅苦しいのはいやかしら?」
もし、自分がネチネチとしつこく礼儀作法とかをいわれたら少しばかり悲しくなってしまうだろう。
相手のことに対してではなく、自分自身が相手がなっとくするようにできない、ということに対して。
「でも、いいな~。舞踏会か~」
女の子なら誰でも一度はあこがれる。
何よりもときどきハンナが舞踏会でもらった食べ物。
といってときどき寮にもってきてくれた食べ物がとてもいとしい。
アンジェークの中では、あるいみ、珍しいものが食べられる場所。
という思いが芽生えているのもまた事実。
「ふっ。あなたもやはり女性だな」
うっとりとして空想にはいっているアンジェリークをみて微笑むヒュウガ。
だがしかし、彼女が自身の本当の力に気付いたとき。
それは彼女を手の届かない、それでいて誰もがあこがれる存在になるであろう。
そう、あの絵姿のように。
「私ではあなたを誘うことはもうできんが。興味があるならニクスにいってみてはどうだ?
  彼のもとにはそういうお誘いは日常的にはいっているはずだからな」
ニクスの負担になりそうな気もするが、それよりアンジェリークが喜ぶ顔のほうがみたい。
「そうなんですか?…こんど、頼んでみましょうか?」
ぱっとヒュウガの言葉に顔を輝かせるものの、
「あ、でもニクスさんのご迷惑になりますよね」
すぐさまにしゅん、とした表情にとなる。
アンジェリークの考えていることはすぐに表情にでるのでとてもわかりやすい。
「ニクスとて。あなたが喜ぶことならば喜んで頼みをきくとおもうがな」
ニクスが彼女、アンジェリークを大切に扱っていることはわかっている。
どこか彼女を遠くをみるような瞳でときどきみているのが気にはかかるが。
常に熱望している、そんな瞳。
だがそれは、欲得とかの視線でなくて、何かを懇願しているような瞳。
おそらく、ニクスは彼女に早く自身の力に目覚めてほしい。
そう願っているのであろう。
そうヒュウガは解釈しているが。
真実はあるいみ似たようなものであり、だがしかし根本的に異なることを彼は知らない。
「とりあえず、依頼は完了。だな」
「ですね。…あら?」
ひらっ。
ふと気付けばときどきみかける光る蝶がヒュウガの周りを舞っている。
「?どうかしたのか?」
「そこに、光る蝶が」
「蝶?そんなものはみえないが?」
確かにヒュウガの周りを舞っているのにヒュウガには見えていないらしい。
この蝶、もしかして私にしかみえてないの?
ヒュウガに初めてであったときも彼はそのようにいっていた。
こんな街中だというのにその珍しい光る蝶に気付いて騒ぐ人は誰もいない。
「あ、何か呼んでる?」
蝶は、まるでアンジェリークをおびくごとくにゆっくりと舞いながらある方向にむかってすすんでゆく。
「アンジェリーク様!?」
蝶のことがきにかかり、その蝶を追いかけて走り出すアンジェリークに思わず叫ぶヒュウガ。
蝶はゆっくりと町外れの方向にむかって飛んでゆく。

「油断するなっ!」
ふと蝶の姿が掻き消える。
それと同時に聞こえてくる叫び声のようなもの。
「一人で走っていかれては困ります。…ん?あれは……」
ヴォードン郊外の町のはずれ。
そこで何やら身構えている三人の男性の姿が目に入る。
そしてまた、周囲には紫色の砂時計のような形をしている存在と、そしてまた石の塊のような存在。
さらには金色に輝く光る球体のような存在。
「あれは…タナトス!?」
「同時に三体…か。なぜ……」
しかも、別々の固体が三体も現れる、などとは聞いたことがない。
だがしかし、現実に少し先にいる銀樹騎士たちが対峙しているのは、
それぞれにことなる種のタナトスが三体。
「いきましょう!ヒュウガさん!」
「むろん。捨ててはおけん」
もしかして、ディオンさんたちの危険を知らせたの?あの蝶は?
いくらディオン達とて三体ものタナトスを同時に…というのはおそらく疲れるはず。
それでなくても先ほど強いタナトスと戦ったばかり。
タナトスの動きをよくよくみれば、何がたとても統制がとれている。
つまりは相手の攻撃にあわせて布陣や攻撃の仕方を変えているようにと感じられる。
「……オーブよ。私の祈りに答えて力をかして…っ!」
銀樹騎士ならばおそらくこれまでにもタナトスとたたかってきていてオーブは常に携帯しているはず。
だからこそそれにかける。
離れていてもオーブの力が引き出せるのかなどということは判らない。
だけどもやらずに後悔するより、やってみてから後悔するほうがいい。
ぎゅっと手を組み祈りをささげるアンジリェーク。
アンジェリークの祈りに伴い、周囲が淡い金色の光につつまれてゆく。

「…これは……」
まさか、アンジェリーク様が!?
ふとディオン達が振り向けば一身に祈りをささげているアンジェリークの姿が目にはいる。
目の前のタナトスがいきなりそれぞれ異なる色の光につつまれてもがきだした。
そしてまた、彼等がそれぞれにもっているオーブから光が発せられている。
金色の光の球体のようなタナトスは紫色の光につつまれ身動きがとれずにもがき、
石の塊のようなタナトスは鋼色の光につつまれ身動き一つとれなくなり地面にごとりと落ちている。
そしてまた、砂時計のような格好をしているタナトスはといえば金色の光につつまれてその体を伸縮しまくっている。
闇、鋼、光のサクリア。
それぞれがそれぞれのタナトスに有効、とされている力。
その力を秘めたオーブがアンジェリークの祈りに伴い発動しているのは明白。
「いまだ!」
ヒュウガの声にはっと我にともどり、それぞれが三体のタナトスにむかって攻撃を仕掛けてゆく。

サクリアを秘めている、といわれているオーブ。
その力を自在に扱うできる、といわれるのはその素質を秘めたものと、そして全てを慈しむ女王、のみ。


                                -第34話へー

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あとがきもどき:
薫:さてさて、前回に続いて今回もちと短めです(笑
  戦闘シーンの描写は難しいのですよ。うん。
  ゲームは淡々としてますし、まあまだ被害をうける人々が周囲にいない、ということで。
  なのであえて割愛ですv
  それぞれのシーンは読み手の想像力にまかせましょうv(他人本位
  次回でようやく陽だまり邸に戻りますvそれから野火だ~v(こらまてや
  何はともあれ、ではまた次回にて~♪

2008年5月20日(火)某日

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