まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
何だかアニメのほうは、さくっと終了しそうな予感がひしひし…
やっぱパットエンドでおわらせる気なのかなぁ(汗
7話目でもうジンクスってどうよ(汗
しかも、ベルナールが実は親戚のお兄さんとかいうその重要部分は!?
全部抜かしてすすむのかなぁ…何だかなぁ…
まあ、こちらはアニメの人物はお借りしても、まったく別物の話としてゆくのですv
#####################################銀花の園 ~銀樹騎士ディオン~
「……あら?」
何やら見覚えのある服装を着ている男性の姿が目にとまる。
黄金の海原に緑のベレー帽。
はっきりいってけっこう目立つ。
「銀樹騎士、だな」
その姿を遠目にみて、淡々といっているヒュウガ。
まあ、街道沿いにタナトスがでたかもしれない、というのであれば彼等が出向いてくるのは予想がつく。
「そうだわ。あの人たちにきいてみましょう。ヒュウガさん。すいませ~ん!!」
おそらく、彼等、銀樹騎士の人たちもまたこの辺りに出現したというタナトスを探しているのであろう。
ならば、彼等に情報を聞くのも一つの手。
アンジェリークたちは完全に詳しい位置まで聞いて捜索に来ているわけではない。
ただ、焔の砦からヴォードンに向かう街道筋。
そうとしか聞かされていないのだから。
「すいませ~ん!ちょっとお尋ねしたいんですけど~!!」
がさがさと海原を掻き分けてすすんでいる銀樹騎士とおもわれる人物のほうにと叫ぶアンジェリーク。
その声にどうやら気がついたのか、一人ががさがさと茂みと小麦をかきわけながら近づいてくる。
緑色のベレー帽に漆黒の髪。
瞳に宿る光はとても穏やかでやさしさをたたえている。
「何か御用ですか?…って、ヒュウガ!?ヒュウガじゃないか!?」
物腰もやおく、アンジェリークに語りかけるものの、
アンジェリークの横にいるヒュウガに気付いて驚きの声をあげてくるその男性。
「ディオン」
その姿をみて多少驚きに目を見開き小さく相手の名前を呼ぶヒュウガ。
「?ヒュウガさんのお知り合いですか?」
銀樹騎士団の制服に身をまとっている男性と、ヒュウガを見比べながらヒュウガに問いかける。
「おどろいたな。元気だったか?お前が聖都をでていってから皆さみしがってたぞ?」
「そういうお前も元気そうだな。ディオン」
「お前がいなくなってから、俺はこのとおり、さ。まったく、俺には似合わないというのに」
ふと、アンジェリークが違和感に気付く。
アンジェリークが知っている騎士団員の制服とは目の前のディオン、と呼ばれた男性のそれは少しばかり異なる。
他の団員と比べて格段に白が基調とされている。
「なるほど。騎士団長に就任したのか。にあってるじゃないか」
「聖騎士に選ばれたお前にそういわれるとはな」
「???あ、あの?ヒュウガさん?」
二人して何やら会話が弾んでいるようであるが、アンジェリークにはまったくもって意味がわからない。
「おや?こちらのかわいらしいお嬢さんは?は!?
まさかあの堅物のヒュウガにようやくお相手!?」
「まて!どうしてそうなるっ!ディオン!」
「?あ、あの。はじめまして。私はアンジェリークといいます。
ヒュウガさんとはオープハンターの仲間として今一緒に活動しています」
ヒュウガがどうして多少あわてた口調になったのかアンジェリークには理解できていない。
「…アンジェ…リーク?その名前は…、しかし、ヒュウガ。オーブハンター…とは」
彼がそのようなモノに参加するとは到底思えない。
「彼女の言ったとおりだ。彼女には特別な力がある。
本来ならばこうして私が口をきいていい立場ではないのかもしれん。彼女はいずれ聖都によばれるだろう」
ヒュウガの淡々とした物言いに、思わず驚きに目を見開くディオン、と呼ばれた男性。
このヒュウガにそこまで言わしめる目の前の少女。
しかし…
「ヒュウガ?まさか、彼女が……?」
「??あ、あの?ヒュウガさん?それにえっと、ディオンさん?何のお話を……」
聖騎士という言葉は以前、ライから聞いたことは聞いたが。
確か、彼等が崇拝している女王陛下に使えるにもっともふさわしい騎士だとか何とか。
アンジェリークは深く詳しいことまでは聞いてはいないが。
しかしながら、二人の会話はアンジェリークにとっては理解不能。
「ヒュウガ。貴様がそういうのならその可能性もあるのかもしれないが、だが、彼女はどうみても……」
ディオンがそういいいかけたその直後。
ふわっ。
一瞬、風がかわった。
いや、正確にいえば風がぴたり、と止まる。
そして感じるのは重苦しくつめたい空気。
その感じをうけるのは斜め前の空間から。
「だ…団長!!」
いまだに小麦畑を捜索していた一人の団員が叫び声を上げる。
それと同時に周囲の空間があからさまに他とは異なる雰囲気にとかわる。
視界は全て黄金色の小麦畑であったものが、一気に茶褐色色にと変化する。
そして、その茶褐色に染まったそこからゆっくりと湧き上がるように姿を現す水色の物体。
イソギンチャクのようなソレは、つい先日もアンジェリークはファリアンでみたばかりの物体と同じにみえる。
「ち。アクアドラゴン、か!?」
「しかし、なぜ!?」
普通、水属性の力をもつタナトスは水辺付近にでることが当たり前。
確かにこの辺りに水気というか、小川はあるが、だがしかし小川からこの街道はかなりかけ離れている。
その姿をみて、すかさず槍を構えて叫ぶヒュウガに、驚愕の声をあげているディオン。
ディオンとてここ最近、異様にタナトスが以前と比べ出現が増えたことと、
そして以前とくらべて何やら耐久性がついたのかすぐさまに倒せなくなってきている。
そのことくらいは把握している。
しかし、なんなんだろう?
この感覚?
このタナトス…私たちを試してる?
そう、今までそんなことを感じたことは一度もなかったのに。
目の前のタナトスから感じるのは、『試練』という二文字。
常に依頼をうけたときなどは持ち歩くように、といわれている手提げ袋の中の護り石が反応しているのがわかる。
袋の中にはいっているはずなのに、アンジェリーク自身にその力がまるで備わっているかのごとくに。
「アンジェリーク!あなたは安全な場所に移動していてください!いくぞ!ディオン!」
「いわれなくても!」
どうやらとても気があっている者同士らしい。
攻撃のタイミングも全てがぴったり息が合っている。
「安全な場所…っていわれても……お願い、護りの力よ…彼等に護りの加護を……」
みれば、他の場所にいたのであろう残り二人の銀樹騎士も攻撃に加わっている。
四対一。
だが、漠然とだが『判る』。
目の前に出現したタナトスは他のソレとは異なる。
「優しさをたたえる水よ、再生を促す鋼よ、力をかして……」
直感的にふと感じたのは、水と鋼の力を借りること。
鋼の護り石と、そして持ってきている水のオープにと祈りをささげる。
アンジェリークの祈りに伴い、その場にいる全員の体全体がほのかに光を帯びてゆく。
「…こ…これは…!?」
体内に感じる癒しの力と護りの力。
思わず驚き攻撃の合間に背後を振り向く。
そこには光につつまれた先ほどの少女の姿が目にはいる。
光につつまれ、そしてまた白き翼を広げた少女の姿が――
だがしかし、驚いている暇はない。
目の前にいるタナトスは何やらいつものタナトスとくらべてかなり強敵。
四人で攻撃してもあまり効果が発揮されていないようなきがものすごくする。
「ディオン!私がせめこむから、お前はそこを!」
「わかった!」
ヒュウガにいわれ、剣を構えなおす。
体に満ちてくるのがわかる。
体内に秘められている、といわれていた鋼の力が。
そしてその力の使い道は体に別にあふれている護りの力が指し示している。
今ならば、いつもよりも武器に力…サクリアを上乗せして攻撃することができる。
それはほぼ直感。
だからこそ、ディオンにむけて言い放つヒュウガ。
伊達に昔から剣の稽古相手として、それぞれ競っていたわけではない。
そのあたりの息はぴったりとこの二人はあっている。
ヒュウガの一撃は、ヒュウガの予測どおり、タナトスにかなりのダメージを与え、タナトスが苦しみだす。
そこをすかさずディオンがきりつける。
「――今だわ。浄化の光よ。お願い。世界を優しさで満たして……」
ヒュウガの攻撃とディオンの攻撃。
二人の攻撃でタナトスが一瞬力を削ぐ。
どうして力がそがれたのか、というのが判るのかもアンジェリークには判らない。
だけども、直感が導くままに祈りをささげる。
刹那、周囲を淡い金色の光が包み込んでゆく――
思わず言葉を失ってしまう。
いや、言葉にならない。
それが正解なのであろう。
枯れ果てたはずの小麦色の黄金の麦畑が光の中瞬く間に再生してゆき、
そしてまた、目の前のアクアドラゴン、と呼び称されているイソギンチャクにもにたタナトス。
そのタナトスの巨体が光の粒子となり周囲に溶け込んでゆくさまをみればなおさらに。
空より降り注ぐ黄金色の淡い光。
光の源は先ほどの少女。
腕を組み、祈りをささげる少女の背にはやはり見間違いではないのか真っ白い白き翼が見て取れる。
キラッ……
思わず唖然としながらも、
光とともに降ってくる白き羽をつかもうとして手をのばしているディオンの視界にきらりと光るものがうつりこむ。
キラキラキラ…
それはゆっくりと、ディオンの手の中にとまるで狙ったようにと落ちてくる。
とくっん。
それが手に触れると同時、体の中にとても暖かな力が流れ込む。
やがてゆっくりと、光とともにタナトスの姿も掻き消え、やがていつもと変わらぬ光景に周囲は戻ってゆく。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
目の前でおこった現実に戸惑いというか言葉を失う銀樹騎士団員の人々。
さもあらん。
目の前で奇跡のようなことが起これば人はまず一瞬言葉を失ってしまう。
それがまさに彼等が信仰している伝説のとおりの出来事となればなおさらに。
目の前で、小さな少女から発せられた光と同時に、タナトスが完全にと浄化された。
本来、タナトスの浄化は一方的に蹴散らすことしか今まで手段がなかったというのに。
はっと我に戻ったディオンがふと手の中をみれば、そこには見たこともないちょっとした大きさのオーブが一つ。
「……まさか……」
姿、形からして普通のオーブではない。
だがしかし、伊達に騎士団長をやっているわけではない。
それが何なのか彼は知っている。
否、実物を見るのは初めてなので、知っている、というのはおかしいかもしれないが。
だけど知識はある。
「…水色、か。……ふ。これもまた導き…なのか?」
水色の護り石。
それは水の力を宿した水の護り石。
目の前のディオンは確か水のサクリアを秘めているはずである。
そう、ヒュウガ自身が鋼のサクリアを秘めているのと同じく。
ディオンが手にしているソレをみて小さくつぶやくヒュウガ。
「ヒュウガさん!それにディオンさん!あと騎士団の人たち!大丈夫ですか!?」
ディオンの名前は知ってはいるが、他の二人の名前は知らない。
パタパタとその場にしばし立ち尽くしている彼等のもとにと駆け寄るアンジェリーク。
アンジェリークからすれば、彼等が立ち尽くしているのは怪我をしていたり、
もしくはタナトスに攻撃をうけて生気を多少奪われているのかもしれない。
という思いがあるのだから当然、といえば当然の行為。
!?
アンジェリークのその叫びにはっと我にともどるディオンたち三人。
どうやらディオンと呼ばれた銀樹騎士団長もまた三人体制で行動をしているらしい。
ディオンのほかにも団員があと二人ほど見受けられるのが何よりの証拠。
「……今のは……」
手の中にとある伝承の中にとあった石。
そしてまた、目の前でおこった奇跡ともいうべき力の発動。
さきほどのヒュウガの言葉では半信半疑ではあったが、ここまでくれば信じざるを得ない。
自分自身の目でみればそれこそなおさらに。
だが、いまだに空にかかるといわれている空をうめつくす光のカーテンは出現していない。
「今のがあのお方、アンジェリーク殿の御力だ。私はあのお方を見守るために行動を共にしている」
おそらく、今ディオンの心も思考もパニック状態になっているであろう。
だからこそ、淡々と事実だけを完結にと説明しているヒュウガ。
ヒュウガがそんな説明をディオンにしているとは知るはずもなく、
「ヒュウガさん!それにみなさんも!怪我はありませんでしたか?」
本気で心配そうにと駆け寄ってきて声をかけるアンジリェーク。
祈りをささげることすら失念し、しばし呆然となっているヒュウガ以外の残りの二人。
「大事ない。誰もどこも怪我もしていなければやられてもいない。
あなたの護りの力の加護のおかげでな」
そんな彼等に代わり淡々と答えるヒュウガであるが。
「本当ですか?でもきちんと発動してるんですか?その護りの力?私、いまだによくわからなくて…」
ただ、心に感じたまま祈るだけ。
だからこそ、きちんと相手を護れるだけの力が発動しているのかどうかアンジェリークにはわからない。
そんな二人の会話にようやくはっと我にと戻り、
「し、失礼いたしました。そういえば自己紹介がまだでしたね。初めてお目にかかります。
私はディオン。銀樹騎士団の団長を勤めております。ヒュウガとは昔なじみです。アンジェリーク様」
「あ、こ、こちらこそ。はじめまして。って、?何で様づけなんですか?
ヒュウガさんにしろ銀樹騎士団の方々って初対面の方には様をつけられるのが普通なんですね」
こけっ。
ディオンの自己紹介に対して多少首をかしげながらもにっこりと微笑みきっぱりいいきるアンジェリーク。
そのとてつもない勘違いに思わずこけそうになるディオン。
「でも普通に呼んでくださってかまいませんよ?
そもそも年上のしかも目上の方に敬称をつけられるのはおかしいですし」
否。
彼等からすればアンジェリークのほうが目上の存在に当たるのはおそらく確実。
だがしかし、そんなことはアンジェリークは判らない。
いいつつ、ふとディオンが手にしている石にと気付き、
「あら?ディオンさん、それ……」
「ああ。これですか?これは今……」
いいつつも、本来これはアンジェリークが手にすべき品。
そう思い彼女に手渡そうとするディオン。
刹那。
アンジェリークとディオンの手が石を通じて一瞬重なる。
その瞬間、アンジェリークとディオンの中に水色の光が吸い込まれてゆく。
この現象は、ニクスが、そしてヒュウガがアンジェリークと石を通じて触れたときにも起こった出来事。
おもわず驚き、自分の手をみつめるディオン。
体内に感じるのは水の力。
今までは水の力を秘めている、といわれてもあまり感じることなどはなかったというのに。
タナトスを浄化するのに力を使うにしても他の存在よりその力が強い、程度で強くは感じなかった。
だが、今ははっきりと体内に満ちるその力の存在を感じて驚きを隠しきれないディオン。
「…私のときも同じようになったから、おそらくそれも彼女の力、なのだろう」
そんなディオンの驚きの原因をすぐさまに感じ取り、小さくつぶやくようにディオンにいっているヒュウガ。
「?今のは?…これ、水の護り石、みたいですね。でもこれはディオンさんのものですよ。
だって、ディオンさんたち銀樹騎士団の人たちの協力もあってタナトスは浄化できたんですから」
にっこり微笑み、その手渡された石をディオンに返す。
「まあ、とりあえず。タナトスは浄化できたことだし。…久しぶりでもあるし。
ヴォードンで昼食をたべつつ話でもするか?ディオン?」
「そういえば、もうお昼近いですね。ぜひともご一緒しませんか?みなさん?
ゴハンは大人数で食べたほうがおいしいですし♡」
ヒュウガの言葉につづき、にこやかにいまだに固まっている二人の団員にと微笑みかけるアンジリェーク。
結局のところ、その場で立ち話も何。
というかアンジェリークをつったったままにさせておくわけにもいかない。
という思いもありひとまず首都ヴォードンに彼等は向かってゆくことに。
アンジェリークのことを様づけでよぶ団員たちにアンジェリークが首をかしげているのはいうまでもない。
-第33話へー
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あとがきもどき:
薫:今現在の護り石「天使の護り石・闇の護り石・鋼の護り石・水の護り石」となっておりますv
でも、いっとき水の護り石はすぐには手にはいらずv一度教団側へvv
さてさて、次回でようやくヴォードンv
あとオーブハンター仲間で護り石を手にいれてないのはレインのみ(笑
彼の護り石はどこで出てくるかはもう決定済みv
何はともあれ、ではまた次回にて~♪
2008年5月19日(月)某日
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