まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。今回は花畑の村フルールの依頼。
初期にある二つの依頼をさくっといくのですvええ、さくっとねv
まあ、基本ネオアンジェはひたすらに依頼をこなして、さらには探索でタナトスやっつけて。
そうしてたら数時間あればクリアできるゲームですしね(実話
まあ、ともあれ、ゆくのですv

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銀花の園   ~二人の依頼者~

「う~ん。やっぱりいつきてもここは安心できるわ」
つい先日もやってきたばかり。
それでも、寄宿舎を度々でることは許されなかったので連続して訪れることは今までなかった。
花が咲き乱れている様子に思わず心も和む。
「とりあえず、先にこっちの依頼をかたづけて、それから宅配の依頼、だな」
ニクスからもらった依頼内容の紙を見ながらも段取りをしているレイン。
村の少し中ほどにある中心部分にちょっとした花時計がおかれており、人々の心を和ませている。
「そういえば、レイン。このお花もニクスさんが寄贈してくれたのよね?」
「だな。ここにそうかかれてるしな。あいつは花が好きなくせに自分の手元にはおきたがらないからな。
  何でもすぐにからしてしまうから、っていって」
実際に、簡単な植物などもニクスはなぜか枯らしてしまう。
ゆえに陽だまり邸にある様々な植物や花々に関してはニクスはほとんど手をつけていない。
全ては通いの手伝いのものにまかせている現状。
それでも、一箇所のみ彼がどうにか四苦八苦している花壇があるのをレインは知っている。
アンジェリークの問いかけに律儀に答えつつ、
「とりあえず、養蜂家のロンドって人をまずさがさないとな」
「え?ロンド?もしかしてロンドおじさんのこと?」
アンジェリークが小さいころよく自家製のハチミツを分けてくれていたがゆえによく覚えている。
「たぶん、そのロンドって人からだとおもうぜ?何でも風舞の峰にいったときにタナトスをみた、とからしいな。
  とにかく詳しくききにいくぞ」
「はい!」
あまり長居をしていれば先日のこともあり騒ぎになりかねない。
だからなるべく迅速に行動したいレイン。
そんなレインの思いにまったくきづくことなく、とりあえずレインについて小走りで走ってついてゆくアンジェリーク。
そんな二人の姿が、しばしここ花畑の村フルールにおいて見受けられてゆく。

「しかし、あの小さかったアンジェちゃんがこんな美人さんになるとはねぇ」
「もう!ロンドおじさんっ!」
以前に出会ったときよりはだいぶ歳をとっているのは仕方がない。
よく出会っていたのは幼い日々のみ。
ときどきこの村にやってきていたときは都合がわるくてなかなか出会えなかった。
かてのやさしそうであった男性は、今ではそのあごに白い髭を生やしている。
年月を感じざるを得ない。
「それで?あんたがタナトスをみた、というのはどのあたりなんだ?」
アンジェリークが共にいることにより相手にあまり警戒されない、というのは助かるが。
しかし、何となく面白くない。
そもそも、アンジェリークの小さいころの話を持ち出しては目の前のロンド、という依頼者はからかっている様子。
いや、それはアンジリェークが小さいときから知っているからこその行動なのだろうが。
それでも何となくそわそわし、おちつかないレイン。
だからこそ、おもいっきり不機嫌そうにと問いかける。
事実、内心不機嫌になっているレインなのだが。
彼自身もどうしてここまで不機嫌になっているのかよく理解していない。
「え?あ、ああ。すまん、すまん。ついこの子が大きくなっているのがうれしくてなぁ。
  タナトスをみたのは風舞の峰の中間地点にとある蜂蜜の養蜂場じゃ。
  あまりのことにびっくりしてあれからいってないんじゃよ。だがいかなくては仕事にならないし」
確かに、ロンドの出荷するハチミツがなければ困る人々はたくさんいる。
ロンドの作るハチミツはけっこう特殊なハチミツであり、かなり高級品の一つとされている。
八角の巣を作る蜂が作り出す蜜はとても何とも深い味わいをもっている。
「たしかに。ロンド印のハチミツが市場から消えれば厄介だな。
  とりあえず、俺とアンジリェークがついていくから、あんたはハチミツを回収したらいい。
  タナトスがでたらその場で対応もできるし、それにあんた自身も安心できるだろ?」
一人で出かけていってタナトスと遭遇しても逃げ切れる、とは限らない。
この間はたまたま運がよかった、といってもいいだろう。
ロンド印のハチミツを使ったアップルパイはとてもおいしい。
だからこそレインも市場にハチミツが出回らなくなったら多少なりとて困る。
「そうですね。じゃぁ、おじさん、ご一緒に風舞の峰にいきましょう」
「そうだね。昔みたいに気付いたらついてきてて迷子になるような小さな子じゃないしね」
「もう!おじさん!私もう小さな子どもじゃありませんっ!」
ぷうっ。
たしかに、ハチミツ欲しさに小さいころハチミツをとりにいく、といって峰のほうにいった彼を一人でおいかけて、
ちょっとした村全体を大騒動に巻き込んだことがあったのも事実。
だが、それは三歳のときのこと。
そんな小さいときのことを持ち出されからかわれてもどうしようもない。
だからこそおもわずむくれつつも文句をいうアンジェリーク。
「じゃ、とにかく、用意ができたらいくとするか」
「ええ」
そんな会話をかわしながらも、とりあえずロンドの用意が済み次第、ロンドを伴い風舞の峰にと足をむけることに。

風舞の峰。
風にのって常に万年雪がつもっている山のほうから雪が周囲に舞ってゆく。
その様をセレスティア教団の内では、聖なる銀の大樹の花に例えて風花、そう呼び称している。
その呼び方はほぼ一般人にも受け入れられ、今゛てはほとんどの人々がそう呼んでいる。
「うわ~。綺麗」
風にのってふわふわと舞ってくる雪と、そして咲き乱れている色とりどりの花。
かつてはこの峰も、そして少し先にと位置している天使の花畑も観光名所といっても過言ではなかった。
かつては今ほどタナトスの脅威が頻繁ではなかったがゆえに人々は安らぎをもとめてよくきていたものである。
だが、今ではそういう人々はあまりいない。
「しかし。いつも行きなれているはずの道なのに。
  タナトスがいつでてくるかわからない。そうおもうと何やらとても怖くなりますよ」
一般の人々にとってはタナトスは恐るべき存在。
それはそうであろう。
ひたすらにとにかく逃げるしか手がないのだから。
それでも日々の仕事はしなければ生活してゆくのに困る。
それが品物を出荷し、他の人たちにも影響を与える仕事ならばなおさらに。
「それは……」
ロンドの言葉に思わず声を詰まらせるレイン。
浄化能力の研究の過程でたどり着いた結論。
タナトスに襲われた人々が発した負の心。
それらを糧にタナトスは幾重にも増大、増幅している。
さらにはタナトスに襲われて死亡した人の魂すらをも利用しているフシがある。
魂そのものを見ることはできないので、それはあくまでも仮定でしかないが。
だが、浄化能力を得た以後、弱いタナトスで多少の実験をしてみたところ。
タナトスの中に人の意思らしきものが多少なりとも混じっていたのは確か。
あまりの事実にそのことを公表すれば人々がパニックになるのは目にみえているので公表はしていないが。
「で、でもロンドおじさん。ほら、こんなにいい景色なんですし。そうだわ。
  何かこう明るくなるようなこととか考えてすすむとか、あと歌を歌いながらすすめば気はまぎれるわ。きっと」
ロンドを間にはさみつつ、周囲を警戒してすすんでいるレインとは対照的に、
そういった気配を捉えることのできないアンジェリークは相手の恐怖を紛らわすためにそんなことをいってくる。
恐怖という負の心は下手をすればその心に取り込まれ真実すらをも見えなくしてしまう。
そしてまた、正常な判断すらも鈍らせてしまう。
医者にとってもっとも大切なことの一つに、患者がその病による恐怖に飲み込まれないようにすること。
不安は、不安をよび、あらたな不安を呼び寄せてしまう。
そしてその不安から新たな病気などをも併発してしまう。
だからこそ、どんなときでも負の心に取り込まれずに前をむいておくこと。
それがもっとも重要視されている。
「歌、か。俺はあまり知らないな。そうだ、アンジェリーク。お前うたってみせてくれよ?」
「…え、えええ!?」
アンジェリークの言葉にさも名案とばかりににこやかにいってくるレイン。
レインとてアンジリェークのいいたいことはわかる。
下手に怖がるあまりに足手まといにしかならない行動を依頼者にされてはたまらない。
「あ。それはいいですね。ぜひアンジェちゃん、たのむよ」
「お、おじさんまで!?」
レインにつづき、ロンドにまでいわれて戸惑うしかないアンジェリーク。
「もしかしたら歌でも歌えばタナトスもにげるかもしれないぜ?」
「…レイン、それ根拠があっていってる?」
「さあ?」
レインのそんな言葉にぷうっと顔を膨らますものの、だがしかし。
歌で確かに恐怖などがまぎれるのは事実。
「もうっ。でも…可能性があるのかもしれないんだったらやってみるわ」
あるいみ前向き。
悪く言えば人を疑うことを知らない。
それゆえに、ゆっくりと意を決して歌い始めるアンジリェーク。
アンジリェークが歌うのはメルローズ女学院の校歌。
献身と慈愛、そしてまた人としての心得。
そして大自然の恵みへの感謝。
それらの言葉がメルローズ女学院の校歌にはちりばめられている。
一説にはどこぞの有名な芸術家が作詞作曲したものと伝えられているが真意のほどは定かではない。
青空と澄み切った高原と山道にアンジェリークの澄み切った歌声が響き渡ってゆく。

「いやぁ。さすが。アンジェちゃんの歌は母親譲りで上手だね」
「そんな……」
「へえ、おまえ、歌もかなり上手だったんだな。びっくりしたぜ。人は見かけによらない、というけど」
「レイン!どういう意味よっ!」
アンジェリークの母親もまたフルール一の歌声の持ち主、としても評判だった。
その母親に似て、アンジリェークの声はどことなく安らぎを感じさせるものがある。
ロンドにいわれて照れているところにレインからつっこまれ思わず言い返す。
「ああ。あそこです。あそこに巣箱が……」
そんな二人をほほえましくみつつも、ふと気付けば巣箱がある場所にたどり着いているのに気付く。
「二人が一緒にきてくれてたすかったよ。ありがとう」
いいつつ、巣箱のほうに駆け寄ろうとするが。
「…まて。…どうやらおいでなさったようだぜ?」
「…あれは……」
蜂の巣箱がある手前の空間が紫色にと染まっている。
そしてまた、その空間が染まっている真下の草花がものすごい速さで枯れてゆく。
「ひっ。た…タナトス!?」
それをみて思わず悲鳴をあげているロンド。
「こいつなら楽勝だな」
紫色の霧の塊のような球体のタナトス。
弱点やそしてその強さなどによりその名称は異なる。
ダークナイト、と呼ばれている種のほうは能力を多少なりともダウンさせてくる能力をつかってくるので厄介だが。
「アンジェリーク。そいつを頼む。こいつなら援護なしで大丈夫そうだ!」
感覚でわかる。
その対峙しているタナトスが強いかどうか、ということは何となくだが。
目の前に出現したタナトスからはそれほど強い力を感じない。
となればおそらく、炎属性が弱点といわれている、ジェード、という種類のタナトスのはず。
ならば、レインの属性も炎の力。
それゆえに相手に通常以上のダメージを与えることが可能。
そしてまた、相手が弱ればアンジェリークが完全に浄化することも可能なのだから。
「わかったわ。…護りの力よ、お願い……」
浄化ではなくて護りの加護を心から祈る。
それと同時にアンジリェークとロンド、そしてレインの体が淡い光にとつつまれる。
薄い光の盾のようなものが体の外側にできてタナトスが発する負の気をまったくもって受け付けなくする。
「よっしゃ!いくぜ!」
バッン!
バンバンッ!!
風舞の峰の一角において、レインの拳銃の音がしばしこだましてゆく――

「いいの?おじさん?」
「遠慮はなしだよ。アンジェちゃん。アンジェちゃんとそこのレイン君のおかげなんだからね」
タナトスはレインの攻撃でいともあっさりと弱り、そこをすかさずアンジリェークが浄化した。
そして、その後、ロンドは蜜蜂の巣箱を回収し、ハチミツを取り出した。
もっとも、その作業もまたアンジェリークたちも多少は手伝ったが。
純正なハチミツをこびんにつめてアンジェリークにと手渡しているロンド。
普通に買えばこれだけでもかなりの根がつく品。
手を加えない純正なもの、そしてまた手を加えて市販に出すもの、同じハチミツ、といっても様々。
「また何かあったら頼むよ」
「ああ。何かあったら陽だまり邸にまた依頼をおくってくれ。
  さ、アンジェリーク。次の依頼にいくぞ。えっと、次は……ライザって人の依頼だな」
その前にお昼ご飯を食べる時間はとうに過ぎてはいるが、だがしかし。
先に依頼内容を聞いてから食べてもさほど問題はない。
「ええ。そうね。それじゃ、ロンドおじさん、また!お元気で!」
「ああ。アンジェちゃんも頑張るんだよ。そしてレイン君。アンジェちゃんをよろしくたのむよ?」
「ああ。わかってるさ」
いわれなくてもそのつもり。
何だかどうしてもアンジェリークのことをレインはほうっておけないのだから。
そんな会話を交わしながらも、ロンドの家を後にし次なる依頼者であるライザの家にと向かってゆく。

「まあ。アンジェちゃんじゃないの」
「お久しぶりです。ライザおば様」
伊達に生まれ故郷、というわけではない。
昔からこのフルールに住んでいる人たちにとってはアンジェリークは自身の子どものようなもの。
「先日は何かずいぶんと大変だったようだねぇ。しかしアンジェちゃんがニクス様のところに…ねぇ」
何やらいきなり一人心地に話し始めてくる一人の女性。
歳のころはおそらく五十台かそこらであろう。
「あ~。こほん。ところで?依頼内容は?」
こういうタイプの話はぜったいに長くなる。
おしゃべりが大好きな人、というのはどこにでも一人や二人は存在する。
そしてまた、このライザもその部類と判断し、軽く咳払いをして問いかけているレイン。
事実、このライザが話し始めたらどうでもいい話を延々とし始める。
それゆえにレインのその判断は間違ってはいない。
「え?ああ。そうそう。実はね。この花の苗をモンタントまで運んでほしいんだよ。
  モンタントで花屋を営んでいる人からの依頼なんだけど。
  最近はタナトスのこともあってねぇ。それに噂でモンタントの近くでタナトスをみた、
  そう旅人がいってたこともあって、自分だけだとタナトスに襲われたら花も自分自身も護れないからねぇ」
レインの指摘をうけ、ふと思い出したように、奥のほうから花の苗がいくつもはいった箱をもってくる。
そこには小さな芽をつけている様々な種類の花の苗が小さな鉢の中にと植えられている。
鉢、といってもちょっとした強度をもっている紙でつくられている鉢なので重さはさほどない。
「わかりました。じゃぁ、これを届けてそしているかもしれないタナトスの退治、ですね」
つい先日のモンタントやここ、フルールの近くでタナトスを浄化したばかり。
それゆえにまだいる、とは一概にいえないが、だがしかし、タナトスは同じところに何種類かよく出る。
とも人の噂で昔聞いたことがあるアンジリェーク。
アンジェリーク自身はほとんど寄宿舎からでたことがないのでその真偽のほどは定かではないが。
だが、女の子、というものはどうしても噂話とかを好むもの。
それゆえそういった話は聞きたくなくてもいやでも耳に入ってきていたのが実情。
レインの台詞に、
「あ。なら私がお花の苗をもつわ。レイン。万が一のときにレイン、手がふさがってたら困るでしょう?
  私は手がふさがっていても問題ないし」
アンジェリークのタナトスの浄化の仕方は、ただ祈るのみ。
その点、レインは拳銃でタナトスを攻撃する。
いざ、というときにすぐに対処できるように行動しておいたほうが遥かに能率はいい。
重さ的にもさほどなく、両手で多少抱える程度。
それゆえに別に持ち運ぶのに問題はない。
「そうか?でも何か悪いな」
「ううん。能率性を考えたらそのほうがいいし」
アンジェリークの言い分はもっとも。
レインからすればアンジェリークに荷物を持たせ、自分が何ももたない。
というのは多少納得がいかないところがあるが、だがしかし万が一、ということもある。
依頼をうけた納品するはずの苗をタナトスによって枯らすわけにはいかない。
「わるいね~。よろしくおねがいするよ。あ、届けた後の報告はいいからね。
  いつもあの店主からは品物がとどいたら連絡がはいるから」
フルールとモンタントの往復。
けっこう歩きでは時間をとる。
まあ、二人は馬車でここフルールにやってきているので徒歩と比べればかなり時間は省略できるが。
「ううん。どちらにしても馬車を降りてからの少ない時間だし」
馬車でどちらにしてもモンタントの村には移動することになるのは確実。
そもそも、この村にも歩きで大丈夫、というアンジリェークの意見は却下され、
二台あるうちの一台の馬車をあてがわれている、という現状がある。
「じゃ、いくか」
「ええ。それじゃ、おば様、また」
「ええ。気をつけるんだよ。アンジェちゃん。アンジェちゃん達に天のご加護があらんことを」
そんな会話をしつつも、ひとまず依頼の花の苗を受け取り、フルールの村を後にしてゆくアンジェリークとレイン。
「とりあえず、リースで昼食をたべて、それからいくか」
「ええ。わかったわ」
すでに時刻は昼を回っている。
だからといってここフルールの村でゆっくりしていればいつ何どき先日のこともあり、村人に囲まれるかわからない。
それゆえのレインの判断。
アンジェリークはそんな可能性はまったくもって考えてもいない。

ともあれ、二人はリースに立ち寄り、それからモンタントの村にむけて出発してゆく。
おそらく馬車を操ればモンタントの村には夕刻までにはたどり着く。
どうやら今日の依頼は一日がかりになりそうである。


                                -第29話へー

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あとがきもどき:
薫:何か依頼をさくっととばしすぎ?…ま、いっか(よくないです)
  とりあえず、レインとの同行の依頼をうけて、それからヒュウガ、かな?
  その前にやっぱり野火の依頼にいくかなぁ?
  依頼内容は順番決まってないので楽、といえば楽v
  ちなみに、まだ財団も教団も表立って動いてないので多少物足りなさがあるのは自覚済み(笑
  ともあれ、それでは次回にて♪
  ではでは~♪

2008年5月17日(土)某日

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