まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて、今日の回はロシュとアンジェリークある意味オンリーv
アニメ&小説とはまた異なる展開になっているのは、彼らに対する設定からv
というわけで(何が?)いっきますv

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銀花の園   ~研究と出奔~

「へえ。じゃぁ、あんたが史上最年少で一次試験突破したとかいう女の子か。
  その情報は手にいれてたけど誰か、までは特定できてなかったんだよなぁ」
アンジェリークにヴォードンの街を案内しがてら彼女のことを聞く。
「学園長が私の頑張りをみてくださっていて便利をはかってくださったんですよ」
「ま、あの二人の子ども、というのもあったんだろうけどな。
  あんたの両親、ものすごく他でも評判よかったから、さ」
「みたいですね。ですから私も両親みたいな立派なお医者さんになりたいんです」
両親のことをほめられるととてもうれしい。
アンジェリークにとって亡き両親ははてしない目標なのだから。
「しかし。あんた。この俺がいうのも何だけど、もう少し人を疑う、とかしたほうがいいぜ?
  もしこの俺が悪いやつだったらあんた、どんな目にあうとおもう?」
「大丈夫ですよ。ロシュさんは悪い人ではありませんし。
  それにどんな人でもきっと話せば絶対にわかってもらえるはずですから」
「……あんた、ほんっとぉぉにお人よしだよな」
絶対に、と言い切るところが何とも言いがたい。
「でもまあ、そんなあんただから忠告しておくけど。財団にはきをつけたほうがいいぜ?」
「え?」
いきなりそんなことをいわれて、思わずきょとん、とした声をだす。
「財団…って、アーティファクト財団のこと?」
それくらいしか思い浮かばない。
そもそも、アンジェリークは他の財団のことをまったく知らない。
「それしかないだろうが。あいつらにはきをつけたほうがいい。
  あんたが女性の浄化能力者だ、と知ったら何をしでかすかわかったもんじゃないからな」
自分を心配していってくれていることはわかる。
判るが、
「でも、そこまでいうなんて、どうして?」
きょとん、としながらアイスを片手に問いかけるアンジェリークの質問に逆に驚くロシュ。
「って、レイン博士から何もきいてないのか?」
「え?レインから?ううん。何も」
どうやら彼女は何も知らないらしい。
自分がいっていいものかどうかも悩むが、彼と同じ活動をしているのならば知っていたほうがいい。
「…レイン博士はアーティファクト財団の長であるヨルゴ氏の実弟なんだが。
  ここだけの話し、レイン博士が財団を出奔したのは、財団のとある研究に反発したから、という話が濃厚なんだ」
「え?レインって財団に属していたの?」
それもまた初耳である。
「ああ。その研究、というのが厄介な代物で。まだ確証はとれていないけど。どうやら噂ではなく真実らしいしな。
  真実を突き止めようとするとどうしても財団の圧力がかかってなかなかすすまないけど。
  財団は、浄化能力のない人間にも浄化能力を備えさせる研究を以前、いや、今もしているんだ。
  だが、その浄化能力の研究は、欠点がある。どうもタナトスをその実験体に憑依させてしまう恐れがあるらしい」
「…え?!」
あまりといえばあまりのことに思わず固まってしまうアンジェリーク。
「そ、それって……」
「俺もまだ確証はないけどな。だが、おそらく事実だとおもう。
  実際に、財団に実験体にされた、とおもわしき人物が幾人かタナトスと化しているんだ。
  当然、財団はそのことをもみ消してるけどな。その財力にものをいわせて。
  俺は、そういうやつらの悪意を徹底的に暴いてやろう、とおもって調査してるんだけど、
  これがなかなか尻尾をつかませなくて。
  ちなみにレイン博士はその研究成果を全て破棄して財団から出奔したらしいぜ?
  だけど、財団長のヨルゴは抜け目がないヤツだからな。おそらくパックアップをとっていて、
  それで研究を重ねているんだとおもう。やつらは目的のためならおそらく手段を選ばない。
  だから、お人よしのあんたに忠告がてらに教えておいてやる。財団にはきをつけろ、とね」
「そんな……それって、事実なの?」
「まだ完全な確証はないけどな。…ああ、そんな悲しい顔をするなよ。
  あんたには悲しい顔は似合わないぜ?」
ロシュの説明をきき、悲しい顔になってしまうのは仕方ないであろう。
タナトスに人が憑依される。
滅多とない、と聞いていたが、でももしそれが事実だとすればとても由々しき事態でありとても悲しいこと。
確かに、誰にでもタナトスと対峙できる力があれば悲しい結果にはならないであろう。
だけど、それで逆に悲劇をうむ結果は間違っている。
「ま、物騒な話はここまでだ。それはそうと、あんたホットドックってたべたことあるかい?」
会話の中で、彼女が六歳のころからずっと学園にいた、というのは把握した。
そしてまた、滅多というかほとんど外にでたこともない、というのも。
だからこそ、どこかしらあぶなっかしい。
そもそも、一度であったことがある、とはいえほいほいと人を信用しきっているのが危なっかしい。
どこかしら、このアンジェリーク、という少女は見ていたら護らなければ、という思いに駆られてしまう。
それが何なのかはわからないが。
「ううん。ないわ」
「よっし。物騒な話のお詫びだ、おごってやるよ。この街のホットドックはうまいんだぜ?」
にっこり笑い、アンジェリークに微笑みかける。
その笑顔に心の中に発生した悲しみが多少やわらぐ。
それでも、先ほどの話が真実ならば、財団がやっている、というやり方は間違っている。
いや、人々に浄化能力を、というのは間違っていないのかもしれないが。
でもどうして、浄化能力をひきだしたらタナトスが?
それ自体がアンジェリークには判らない。
力は力に引き寄せられるもの。
ましてやその資質をもたぬモノがその力を手にすれば、力に飲み込まれる。
まだ、タナトスだからましなほう…といえるのかもしれない。
その力は世界すらをも消滅させてしまうほどの強大なものなのだから。
ロシュにつれられ小さな小道を小走りにと走る。
人が多いのでエルヴィンは常に抱いているまま。
やがて小さな広場にたどりつくとそこはどうやら食の専門広場らしく様々な食べ物やが並んでいる。
「ほら、これがホットドックさ」
とりあえずあいている広場にとあるテーブルの席にとついて差し出されたそれを受け取る。
コッペバンにはさんであるソーセージにはケチャップとカラシらしきものが波のようにたっぷりとつけられている。
「にゅ?」
「エルヴィンはダメよ?」
「にゅっ」
カラシがついているのならば猫にはあまりよくないだろうし。
そう思い、エルヴィンに先に釘をさす。
「うん。おいしいわっ!…これ、作り方は……」
おもわずまじまじと原材料をみてしまうのはあるいみ癖。
材料さえわかれば応用で似たようなものを作ることもできる。
「そんなことより、がぶっといけよ、がぶっと。これは」
いいつつ、ロシュもまたせきにとすわりがぶり、とホットドックにかぶりつく。
「…がぶり、とね」
かぷっ。
そういわれても、どうしても遠慮してしまうのは仕方ないであろう。
そのまま、あむあむと上品そうに、だがしかしとてもおいしそうにホットドックを口にする。
と。
「あ!いた!ロシュお兄ちゃんっ!!」
ふと、子どもの声が聞こえてきて、振り向けば数名の子ども達がアンジェリークたちのほうにむかってかけてくる。
「うん?どうしたんだ?おまえら?」
どうやらロシュの知り合いらしい。
ロシュさんっていいお兄さん、って感じよね。
思わずそんなことを思ってしまうアンジェリークだが、子ども達の表情がどこかくらい。
とにかく心配事があるような、それでいて切羽詰っているような顔。
「…どうかしたの?何かあったの?」
「?この人、ロシュお兄ちゃんの彼女?」
「でもこの前の女の人と違うよ?」
心配そうに問いかけるアンジェリークとロシュを見比べてそんなことをいっている子ども達。
「なっ!あ、あのなぁっ!…というか、どうしたんだ?そんなにあわてて?」
どうやらただ事ではないらしい。
「そ、それが。ユーイがお母さんにどうしても幸せの花をあげるっていって!」
「とめたのに!僕たちとめたのにっ!でも一人ででもいくって、気がついたらいなくてっ!」
「なっ!?」
ガタっ。
そんな子ども達の言葉にがたっと席を立ち上がるロシュ。
「幸せの花?」
「うん。ユーイのお父さんが亡くなったお母さんが好きだった花のことをそうよんでるの。
  でも、ユーイのお父さん、タナトスに襲われて目覚めなくて……その花、町の外にしか生えてなくて…」
アンジェリークの問いかけに、ほとんど涙声で答える子ども。
「とにかく、急いで探しにいかないと!」
子どもが一人でうろうろしていては確かに危ない。
「わるい。アンジェリーク、あんたも手伝ってくれるか?一人より二人のほうが能率がいい」
「ええ。エルヴィン、悪いけどこの子たちといい子でお留守番しててね」
「にゅ~~!」
何だか抗議のような鳴き声をあげるエルヴィンを子ども達に手渡し、
ロシュとアンジェリークはユーイという子どもが向かった、と思われる町外れの方向に向かって走り出す。
町外れの、しかも人があまりこないような場所に広がる草原地帯。
その場所に生えている白き花。
それこそがユーイの父親が幸せの花、と呼んでいるもの。

「いたわっ!」
「こら!ユーイ!一人で勝手に!!」
姿を見つけてほっとする。
周囲には他に人影はない。
小さな子どもの足と、そしてまた十六と十七歳の足の早さは異なる。
それでもすでに町外れにまできており、周囲には家の形すら見当たらない。
それでも無事に見つけられたことにほっとする。
「ご、ごめんなさい。でも僕、どうしても…きっと幸せの花があればお父さん、目を覚ますから、だから……」
子どもからすれば、父親が花をとってさえくれば目を覚ます。
そう思っての行動。
母親がなくなり、そしてまた父親までこのまま死んでしまえばそれこそ一人になってしまう。
その不安からの行動なのだが。
「ねえ。ユーイ君。君の家に案内してくれる?もしかしたらどうにかできるかも……」
アンジリェークがそういいかけると。
「まずいっ!…タナトスだっ!」
ふと、急激に周囲の草木が一気に枯れ始める。
そして、ゆらりと出現するピンク色の花のような物体のタナトスの姿。
「…ちっ…!」
とにかく、子どもだけでも逃がさないと。
「あんたは、そいつをつれて逃げろっ!」
「え?で、でも!ロシュさんは…」
「俺はこいつをひきつける!いけっ!」
そういわれても、確かに子どもを護ることも先決。
だけども。
「私は…私は誰も見捨てたくないっ!!」
「にゃんっ」
カッ。
その叫びと同時にアンジェリークの体から光が発生し、その光はロシュの中に吸い込まれるように消えてゆく。
「…な…!?」
何か不思議な力を感じる。
今までにない力。
だけども、判る。
その力の使い方が。
「風のかなたに消えろ!たなとす!!」
ぐっと手にもっていたかばんに力をこめて出現しているタナトスにむかって投げつける。
ロシュの声に伴い、かばんからまるで空気の塊のような球体が発生し、
その球体はそのままタナトスを直撃する。
その攻撃をうけて苦痛のうめきをもらすタナトス。
「…今だわ!」
何が起こったのかなんてアンジェリークにはわからない。
だけど、確実にいえるのは、今ならばタナトスを浄化できる、ということ。
どうしてダメージが与えられたのかすらもわからない。
今、アンジェリークが持っているオーブはといえば護り石のみ。
それゆえに普通の攻撃はできはしない。
「浄化の光よ……」
判らないままに、だけどもチャンスを逃すわけにはいかない。
この場には小さな子どももいるのだから。
そのままタナトスが浄化されるようにと祈りをささげるアンジェリーク。
アンジェリークの祈りに伴い、周囲に淡い金色の光が満ち溢れてゆく。

「……今のは……」
一瞬のことかとおもったが、たがそうではないらしい。
自分の中に芽生えた新たな力。
それゆえに驚愕せざるを得ないロシュ。
「お姉ちゃん、まるで天使様みたい……」
アンジェリークの浄化の祈りをみてそんなことをつぶやいているユーイ、と呼ばれた子ども。
「…これで大丈夫。でも驚きました。ロシュさん、浄化能力者だったんですね。
  というか、エルヴィン!?あなたまた、いつのまについてきてたの!?」
タナトスを浄化、または攻撃できるのは浄化能力者のみ。
どう考えてもロシュの攻撃がタナトスに通用したとしか思えない。
それとおいてきていたはずのエルヴィンがいつのまにか足元にいて驚きを隠せないアンジェリーク。
「え?いや、俺は……」
今までこんな力はなかった。
可能性として考えられるのは、先ほどアンジェリークの叫びとともに体の中に飛び込んできた光が原因。
そうとしか思えない。
だからこそ言葉に詰まってしまう。
タナトスを完全に浄化する能力といい、そしてまた他人に力を分け与える力といい。
それこそまさに伝説の奇跡を起こす女王そのものではないか。
そう思ってしまうのも仕方がない。
「とにかく。えっと、ユーイ君。だったわね?そのお花をつんでお家に案内してくれる?
  お姉ちゃん、お父さんのために祈ってみるから」
「ほんと!?天使様がいのってくれるの!?」
戸惑いを隠しきれないロシュの目の前ではそんな会話をしているアンジェリークとユーイの姿。
ひょいっとエルヴィンを抱き上げて、それからロシュのほうに向き直る。
「?ロシュさん?」
「え?あ、いや。何でもない」
下手に話せるものではない。
自分にはそんな能力などなかった、というのは。
おそらく、これは勘でしかないが目の前の少女も何がおこったのか理解していないであろう。
そう確信がもてるからこそ、余計なことはいうまい、そう心にきめ、
「とにかく。ユーイ!今度から一人で勝手に町外れにくるなよ!?とりあえず、花を摘むのは手伝ってやるから」
自身の動揺を何とか抑えながらもその反動でユーイを注意するロシュ。
「…ご、ごめんなさい。ロシュお兄ちゃん……」
一人で行動したのは確かに悪い、とはおもう。
だけども、だんだんと冷たくなってゆく父親に何かしてあげたい。
とおもうのは子どもではなくても誰もが思うこと。
体の中に感じるのはやさしい力。
漠然と感じるのは風の力。
その力が一時的なものなのか、はたまた身についたものなのか、当然ロシュにはわからない。


「アンジェリーク!どこにいってたんだ!?」
思わず叫んでしまうのは仕方のないこと。
説明会が終わり外にとでたが、アンジリェークの姿はどこにもない。
近くを探しても姿は見えず、うろうろとしていたら小広場にてようやく見つけた。
しかも、どうやら情報屋のロシュと一緒のようである。
「レイン!」
「レイン博士じゃないか」
その姿をみて、交互にレインを呼ぶアンジェリークとロシュ。
「ご、ごめんなさい。ちょっとこの子を探しにいってたの。あ、レイン。
  今からこの子の家にいくところなんだけど一緒にいかない?」
よくよくみれば歳のころならば六歳かそこらくらいであろう、小さな男の子と一緒にいる。
「?何かあったのか?」
「ええ。この子のお父さんがタナトスに襲われていて目ざめないらしいの。
  もしかしたら私の力でどうにかならないか、そうおもって」
助けられるかもしれない人を助けないわけにはいかない。
一人でも多くの人を助けたい。
それがアンジェリークの願い。
「まあ、詳しい話は後できくとして。わかった。それじゃ、先にその子の家にいこうぜ」
「ええ」
どうして二人が一緒にいるとかかなり気になるところはあるが。
探しにいっていた、というところから一人でどこかにいった子供を一緒に探していた、その部類であろう。
そう解釈し、ひとまずアンジェリークとロシュとともに、子どもの家にと向かうことに決めるレイン。
レインとて助けられるかもしれない人をほうっておくことなどはしたくない。
それがもしかしたら自分自身の研究がもたらした悲劇なのかもしれないのだから。
浄化能力を持つ装置などに関してもなぜかタナトスを引き寄せる。
その可能性が判っているからなおさらに。
子どもの家はヴォードン市内にあるアパートの一室。
それでもあまり部屋の中が荒れていないのは親切な近所の人が常に掃除にきてくれるがゆえ。
ベットに横たわり、びくりとも動かないユーイの父親の姿が目に入る。
脈はあるのに目覚めない。
そしてどんどんとその手がつめたくなっていき、最後には死に至る。
それがタナトスに生気を吸われ意識不明となった人の末路。
「お姉ちゃん……」
ぎゅっとアンジェリークの手を握り締める。
「こいつには、もうこの父親しかのこっていないんだ。母親も以前タナトスに襲われて……」
ユーイを護るために盾となりタナトスに殺された母親。
「…そっか。…アンジェリーク。たのむ」
ロシュがその裏ではタナトスに襲われて孤児となった子ども達の面倒をみていることはレインとて知っている。
だからこそ、彼の情報屋としての能力、というか仕事ぶりはともかくとして彼のことはある意味認めている。
裏の情報、表の情報。
そのどちらも手にいれ、必要とおもわれる人に高くうる。
その収入で子ども達を養っている、その実情があるがゆえに強くはいえない。
それがたとえ法を犯すギリギリのことをしていたとしても…である。
「ええ。…お願い。浄化の力よ。力を貸して。ユーイの父親を目覚めさせて……」
そっとその父親のそばにいき、手を握り祈りをささげるアンジェリーク。
アンジリェークの祈りに伴い、部屋全体が淡い金色の光にとつつまれてゆく。


                                -第23話へー

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あとがきもどき:
薫:さてさて、ロシュの口からレインの出奔の真相をばv(まてこら
  ついでにロシュのサクリア開放v(こらまて
  つまりはロシュもまた浄化能力者に~(笑
  さてさて、次回は学びの園、カルディナ、です。
  しかし、ガイドをみなくてもある程度名前が打ち込みできるってあまりやりこみしてないようでやってるのかな?
  うみゅ。
  何しろネオアンジェはスキルが少なすぎるからねぇ~……
  しかも、さくさくっとすすんじゃうし…あははは(笑
  何はともあれ、ではまた次回にて~♪

2008年5月13日(火)某日

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