まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。ようやく解読競争~
ちなみに、こちらは主に小説を起用させていただいておりますv
さすがにアニメの脚本もたずさわっているだけあって無理のない小説になってるこのたびv
ラストをどうするのかまだ1巻しかでてないけど楽しみな展開だったりv
何はともあれ、今回もいっきますv

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銀花の園   ~首都ヴォードン~

ごとごとごと。
「定期便の馬車に乗るのなんて初めてだわ」
大体学園のお使いとかでも、学園が率先して馬車を用意していた。
「おまえ、本当に学園から外にでなかったんだなぁ~」
そんなアンジェリークの台詞に思わずあきれた口調で話すレイン。
タナトスの出現が頻発しはじめ、人々は徒歩よりも優先して馬車を利用している。
石畳にて整備されている街道。
この整備されている街道を主体としてこのアルカディアは発展を遂げてきた。
この石畳の街道も誰が整備したものかわかっていないのが現状だが。
今の技術ではここまで正確にきちんと石を切りそろえ並べることはまず難しい。
「まあ、今日は休暇だとおもってゆっくり景色を楽しむといいさ。
  お前はどうもまじめすぎる部分があるようだしな」
数日一緒にいるだけであるが、彼女がいようにまじめである、というのは理解はできている。
類は類を呼ぶ。
とはいうが、どちらかといえばアンジェリークはレインと同じタイプにはいるであろう。
一つのことに集中すると自分のことよりそのことを優先してしまう、その傾向。
「それはレインだって。依頼がないときはいつも時間を惜しんで研究のために部屋にこもっているんでしょぅ?」
「そういうお前だって。時間があれば部屋で黙々と勉強してるじゃないか」
確かに、いくらオーブハンターの仕事を手伝うことになったとはいえ、医者になる夢をあきらめたわけではない。
少なくとも、資格を取り、人々の為に役立てたい、とおもうのは変わっていない。
そもそも、資格をもっていれば困るような事態には絶対にならない。
「お医者様の第二次試験が来年あるの。絶対に合格したいから」
すでに第一次試験は突破している。
それでも、一年に一度づつしかうけられず、しかも年齢制限があるのだからややこしい。
第三者がこの会話をきいていれば、どちらも似たり寄ったり、と突っ込みどころは満載。
つまり、似たもの同士、と思いっきり断言できる。
「まあまあ、お嬢さんたち、せっかく乗り合い馬車にのったんだから、外の景色でもみてごらん?
  自然が綺麗だよ?自然の豊かさをみていたら日々の憂いなんて消し飛んでしまうよ」
たしかに、言われたとおり。
乗合馬車の窓から見える景色は自然に満ち溢れた光景。
日々、どこかでタナトスによる悲劇が起こっている、とは信じられないような景色。
「いつか女王様の時勢がきたら、この恵豊な光景が当たり前になるんだねぇ」
「?そんなものなんですか?」
乗合馬車のうちの一人がそういうのをうけ、きょん、と首をかしげるアンジェリーク。
「おや?お嬢ちゃんの顔…これは驚いた。そうだね。これも縁なのかもしれないね。
  女王様とは、全ての命を慈愛で包み育む聖なる存在、といわれてるんだよ。
  お嬢ちゃんは、聖都セレスティザムにいったことは?」
「実は一度もないんです。いつかいってみたい、とはおもうんですけど」
何やらアンジェリークの顔をみて驚いたような顔をして、うなづきながらも離しかけてくる初老の女性。
「そういうそちらは、これからでは聖都に?」
「ああ。聖都の近くの巡礼の村ラシーヌに息子夫婦がいてね。
  このたびその息子夫婦の子どもが教団に入ることになったからお祝いにいくんだよ」
レインの言葉にとてもうれしそうにといってくるその女性。
どうやら自分の孫が教団関係者になることをとても喜んでいるようにも受け止められる。
「ラシーヌ、ですか?あ、ならもし、そこでアンジェリークっていう子がいたら、伝言お願いできますか?
  おそらくそこに私の幼友達が住んでいるとおもうんですけど。いつも手紙のやり取りだけで。
  えっと特徴は、金色の髪に緑の瞳の女の子なんですけど。
  きっととても綺麗に成長していると思うんです」
当時ですら何か神秘的な雰囲気をあの子はもっていた。
「…アンジェリーク?おや、その名前は……」
「?何か?私の名前もアンジェリーク、というんです。同じ名前なので昔とても仲良くなって」
「そうかい、そうかい。名前…もね。こんな偶然ってあるんだねぇ~」
「そうですね」
女性のいいたい意味とアンジェリークの言いたい意味はまったく異なるのだがそれにアンジェリークが気付くことはない。
「にゅっ」
「そういえば、こいつまたいつのまにかついてきてたよな~」
アンジェリークの手の中でいい子でおとなしくしているエルヴィンが一声鳴き思わず突っ込みをいれるレイン。
屋敷においてきていたはずなのに、いざ乗り合い馬車に乗り込もうとしたところいきなり足元にいた子猫。
仕方がないので一緒につれてくるハメにとなっていたりする。
「その子をみかけたら元気にしていた、と伝言しておくよ。しかし…本当によく似てるねぇ~」
??
私が何ににてるのかしら?
もしかしてこの人のお孫さんに似てるのかしら?
そんなことを思うアンジェリークではあるが、実はそうではない、というのを彼女は知らない。
「お。ついたようだぞ」
誰かが声をあげ、ふとみれば、首都ヴォードンの象徴ともいえる双子の塔が見えてくる。
「今回はタナトスはでなかったようで安心したよ」
「まあ、いざとなったら俺が何とかしたけどな」
乗り合い馬車の一人の言葉にそういうレイン。
「何とか…って、あんたもしかして…ああ。そういえば、聞いたことがある。
  赤い髪のオーブハンター…って、もしかしてあんたのことかい?」
「ああ。あのニクス様と一緒に慈善活動をしている、という?」
ざわざわ。
レインがそういうと、にわかに何やら馬車の中が騒がしくなってくる。
「あ、あの、レイン?」
「お。ついたみたいだぜ。さ、いこうぜ!アンジリェーク!」
騒ぎが大きくなるまえに、馬車がヴォードンの入り口付近にと立ち止まる。
すでにここはヴォードン市内。
がやがやと人々の熱気にあふれた声が聞こえてくる。
そのまま、するっとそのまま馬車からおりて先にとすすむレインに対し、
「あ、まってよ!レイン!それじゃ、どうもありがとうございました!みなさんもお元気でよいたびを!」
ぺこり、とお辞儀をし、あわててレインを追いかける。
ふとみれば、どうやら騒ぎになるのを避けてか少し離れた場所でアンジェリークを立ち止まり待っているレインの姿が目にとまる。
人ごみが多い中、彼の気配は何か他と異なるがゆえに見分けやすい。
「もう!レインったら!」
次に馬車に乗り込む人たちの人ごみを掻き分けてレインのほうにと向かうアンジェリーク。
「悪い悪い。ああいった騒ぎはどうも苦手でな」
ついうっかりタナトスをどうにかする、といった手前騒ぎになってしまったことは認めるレイン。
世の中、浄化能力をもっているものは数少ない。
だからこそ能力をもつものは、尊敬される。
「そういえば、どこにむかうんだったっけ?」
「おまえなぁ。新聞社。だよヴォードン・タイムズ社。そこで今日アーティファクトの発表会があるんだ」
そのせいもあってか今日はいつもよりもここ、ヴォードン市内には人が多い。
といってもアンジェリークには普段のヴォードンを知らないのでそこまでは判らないが。
そんな会話をしつつも、やがて二人はヴォードンタイムズ社の前にとたどり着く。
ざわざわざわ。
発表会が行われる、というだけあって人ごみはかなりのもの。
「すごい人。どんなアーティファクトがみられるのかとてもたのしみだわ」
人々は何やらとても活気に満ちており、これからあるという発表会への期待の感心の高さを物語っている。
「ある意味、お前のもってるコンパクトもアーティファクトみたいなものだけどな」
「そうなの?」
そういいつつ、アンジェリークのポケットの中にいつもいれているソレを指差し説明するレイン。
「古代神聖文字がかかれている品なんて、普通ないぞ?」
「いわれても私にはよくわからないし……」
レインにそういわれても、アンジェリークにはピンとこない。
彼女にとってその品は大切な幼友達から送られた品であり、そして身だしなみのための道具に過ぎない。
「これはこれはレイン博士。
  私たちの研究を妨害したにも関わらず、よくもまあこんな場所に女性連れでこれたものですね」
朱色に近いジャケットに身をつつみ、緑色のスカーフタイをつけている何やら挑戦的な目つきをしている女性。
どこかの制服かしら?
制服、といえば制服のようにみえなくもない。
絶対に私服、というような格好でもない。
よくよくみれば似たような服の人が周囲に幾人が見うけられる。
「ガーネット、か。こんなところまでくるとはまあ研究熱心なことで。
  しかし、言葉は時と場合を選ぶものだな。いつ俺がどんな研究の妨害をした?」
「それは…っ!」
どうやらレインの知り合いのようだけど……
相手の名前を呼んだ、ということはおそらく知り合いなのであろう。
だがしかし、レインの言葉に相手の女性が言葉につまるのが傍目からでも見て判る。
「それは僕も興味があるね」
ふとそんな言い合いをしているレインとガーネット、と呼ばれている女性とは対照的。
アンジェリークのほぼ真後ろからいきなり第三者の声が投げかけられてくる。
「…あら?」
この人…どこかで…?
その顔をみて何となくどこか懐かしさを感じるアンジェリークであるがどうしても思い出せない。
「うん?なんだ。ベルナールじゃないか。久しぶりだな」
そちらをふりむき、その男性に声をかけているレイン。
ポケットに手帳や万年筆がきちんと入っているのをみればおそらく彼もまたこの発表会にきた人物なのであろう。
茶金色の髪に黄緑色の瞳。
やっぱりどこかで??
そのでも名前…どこかで聞き覚えがあるけど、おもいだせないわ。
しばらく男性の顔をまじまじみて思い出そうと必死になっているアンジリェーク。
「やあ。久しぶりだね。レイン博士。きっときてくれるとおもっていたよ。
  君の意見はとても参考になるからね」
「その博士っていうのはやめてくれ。…ああ、アンジェリーク。こいつは……」
「はじめまして。お嬢さん、僕の名前はベルナール。見てのとおりの新聞記者、さ」
レインが紹介しかけると、うやうやしくお辞儀をして逆に先に挨拶してくるベルナール。
「あ、はじめまして。私はアンジェリーク、といいます」
「…アンジェリーク?…いや、まさか、ね。
  しかしレイン博士、こんなかわいらしい娘さんをつれてこられるとは。隅におけませんねぇ」
アンジェリークの名前をきき一瞬驚きの表情をうかべるがすぐにありえない、と思いなおすベルナール。
そう、ありえない。
あの子は今でも学園にいるはずなのだから。
こんな場所にいるはずがない。
「なっ!ちがっ!こいつとはそういう…っ!」
思わず真っ赤になってムキになって言い返すレイン。
その反応があいてに余計にこの少女をどうおもっているのか、というのを予測させてしまう。
だが、当のアンジェリークはまったくそれに気付くことなく、
「新聞記者さん、ですか。今日はレインに誘われてアーティファクトの発表会をみにきたんです」
にこやかにベルナールにとお辞儀をして説明しているアンジェリーク。
「ベルナール、でいいよ。そうか、君のようなかわいい子に興味をもってもらえて幸せだよ。
  僕は今日、人々に説明役をおおせつかっていてね。これは今日はいいことがあるかな?
  こんなかわいい子とはなせたんだから」
「…か…もう、からかわないでください」
「あはは。赤くなる姿もまたかわいいね。しかし、ずいぶんとかわいらしいお嬢さんをつかまえたもんだねぇ。
  レイン博士。君は昔から研究ばかりでそういうことには興味がない、とばかりおもってたよ」
「あ、あのなあっ!だ、だからっ!」
ムキになるのが何とも歳相応にみえてもう少しからかいたくなってしまう。
そんなベルナールの思いなど知るはずもなく、
「昔から?あの?ベルナールさん?レインは昔からそんなに研究ばかりしてたんですか?」
初耳なので思わずベルナールにと問い返す。
「おや。君はしらないのかい?
  このレイン博士は幼いながらにあっという間にカルディナ大学をスキッブで卒業した天才なんだよ。
  その論文もその筋の学会にはかなり有名だしね」
事実、レインの名前はその筋ではかなり有名。
彼の発明がなければ今実用化されているオートモービル…
…自動車ですら動かなかったであろう、といわれているほど。
「レインってすごいのね」
「そういうお前も似てるとおもうが?普通十六で医者の一次試験にうかるやつなんかいないだろうが」
事実、医者の勉学は本来ならば専門学校、もしくは大学で学び資格を取得する。
だが、アンジェリークは独学で勉強し資格を得ている。
本来ならば十七から資格所得が認められるが、彼女の成績優秀さと、そして死亡している両親の実績。
それもあることから例外的に試験が認められ、みごと最年少でその資格を所得するにあたっているアンジェリーク。
だが、医者の資格、というのもはいくつにも分かれており、第一次試験のみの資格では、
人々に簡単な治療を施すのが許される程度。
もっとも、一般人はそこまで詳しいことは知らないが。
その事情をしる専門、もしくは関係者がその内情を知っている。
「君たちって似たもの同士…なんだね。なるほど。レイン博士が興味をもったわけだ。
  かわいらしいお嬢さん。ぜひこんど取材させてほしいものだね」
「え?」
いいつつ、アンジェリークの手をつかみ、かるくハナをこつん、とつける。
紳士的な挨拶の一つではあるが、
「お、おいっ!ベルナール!?」
「あ、あの?!ベルナールさん!?」
その行為をみておもいっきりあわてた様子のレインに、真っ赤になって戸惑っているアンジェリーク。
「おっと。僕はそろそろこのへんで。準備があるからね。
  では、またね。かわいらしいお嬢さん。それとレイン博士」
言いたいことだけいってそのままたったと建物の中にはいっていってしまう。
「…あいつ……」
絶対に俺とアンジェリークのことを勘違いしやがった!
そう思うものの、悪い気持ちではない。
むしろそう思われた、ということでアンジェリークが不快におもっていないかが気にかかる。
「あら?さっきの女の人…いつのまにかいないわ」
ふと気付けば先ほどレインにつっかかってきたガーネット、と呼ばれた女性の姿が見当たらない。
「ま、ほっといて俺たちもはいろうぜ」
「ええ」
ざわざわと人でごったがえす新聞社の中にと入ってゆくアンジェリークとレイン。
他にもかなりの人でにぎわっており、少し気をぬくと迷子になりそうなほど。
会場となる場所にはそれなりの人がすでにあつまっており、席も一応決まっている人たちには用意されているらしい。
「でも、私もこんなところにいいのかしら?」
どうも周りの人を見る限り場違いのような気がする。
何かいかつい表情の男性の姿が多々とみえる。
「ああ。きにするな。招待状がきたやつには連れが一人認められてるしな」
事実、レインの席の横に名前が書かれていない席がある。
それはすなわち、同行者の席、ということなのであろう。
「さて。お集まりのみなさん、本日はようこそおいでくださいました。
  では、これより、当新聞社がその取材の中で発見し、
  そして使い方などが判明したアーティファクトを発表したいとおもいます」
『おおおっ!』
進行役の人がでてきて、そういうと同時に会場となっている部屋全体がどよめきにわく。
「まず、こちらのカードのようなものをごらんください。
  様々な研究の結果、こちらの装置でこのカードには様々なデータが数百冊以上も入ることが判明いたしました」
「あ、あれは確かノートパソコン、とかいわれてるやつだな」
壇上の上で説明している男性に代わり、横にいるアンジェリークに説明しているレイン。
「そうなの?」
「ああ。しかしアレは電気がないと動かない品、というのも研究の結果判明してるはずだ」
「へぇ。すごいのね」
「次はこちらの装置です。今実用化がほとんどされている無線機とはまたことなる品で、
  デンワの簡易式なもの、とおもわれております。ですがいまだにその実用化のめどはたっておりません」
みればかなり薄い箱のようなもの。
確かに実用化されたらもっと便利になるわね。
持ち運びが可能だし。
あそこまで小さければ一人に一台、というのもありえるのかもしれない。
おもわず瞳をきらきらとさせてその説明に聞き入るアンジェリーク。
「それでは、次は質問にはいりたいとおもいます。疑問や意見がありましたら何なりとおっしゃってください」
疑問?
いわれて、ふと、
「あ、あの?」
「はい。そこのかわいらしいお嬢さん、
  あなたのようなかわいらしい方が興味をもってくださっていてうれしいですね。何か?」
「今の品物より別の質問でもいいのですか?古代の品物に関係するものでしたら?」
「お、おい?」
先に自分が質問したかったが、アンジェリークに先をこされ、なおかつ彼女が何を聞きたいのかわからない。
「それはかまいせんよ。何か聞きたいことがあるのですか?判る範囲でしたら何なりと」
「えっと。それじゃぁ、古代神聖文字の由来と、あと幸福度…って何なんでしょぅか?」
その質問に思わず目を丸くする。
「これはこれは。その質問が先にくるとはまいりましたな。
  実はその幸福度に関しては次の解読競争にかかわってくるのですが。
  おや、あなたはあのレイン博士のお連れさんですか。それで納得ですね」
彼女の席はレインの横。
つまりはレインの連れ、ということになる。
それゆえにかわいらしい娘さんではあるが質問内容の高等性に思わず納得する。
「まあ、せっかくです。お答えいたしましょう。
  古代神聖文字、とはかつてこの大地が誕生したとき、この大地を育んだ存在達が使っていた、
  といわれている文字です。いまだにその全ての解読はできておりません。
  また、幸福度…の質問ですが。これもまた謎に満ちておりまして。
  幸福度が満ちたときに開放される。この一文のみとある資料で解読できているものがあります。
  その全ての文章の解読は次の解読競争コーナーにておみせできるとおもいます。
  こんなものでよろしいですかな?お嬢さん?」
うらわかい、それでも良家のお嬢さんらしき人物が興味をもつのは彼らにとってもありがたい。
そもそも、良家の子女が興味をもつ、ということは、彼女たちの親から支援を得ることができる可能性もあるのだから。
もっとも、質問をうけている人物はアンジェリークには両親がいない、ということを知る由もないが。
「あ。ありがとうございました」
ぺこり、と頭をさげてお礼をいう。
幸福度…開放……
もしかしたら、アンジェちゃんがおくってくれた品物、このアルカディアに関係あるのかしら?
幸福度メーター、と書かれていた。
しかも、文字がかかれている場所をさわると鏡に浮かび上がる文字。
そこには、アルカディアの現在の幸福度…のような文字が浮かび上がってくる。
その意味はまったくもって理解不能だが。
「それでは、続きましても質疑応答にうつりたいとおもいます」
「お、今度こそ。お前もやるな」
いいつつ軽くアンジェリークにウィンクして、すばやく手をあげているレイン。
「これはレイン博士。それではお願いいたします」
レインが手をあげたことにより、数名の記者たちが一斉に何やら写真を構えていたりする。
レインってすごいのね。
思わず感心してしまうアンジェリーク。
しかも、何やらギガやら機能性やら、意味不明の単語が連発し周囲の人々は一部のものがうんうんとうなづいている。
機能性だの、エネルギー効率だの、調和率だの、まったくもって理解不能。
しばし、首をかしげまくり頬に手をあてて考え込んでしまうアンジェリーク。
どうやら自分の周りの人々はレインの質問が理解できているらしく、
レインにあわせてそれぞれが思うところを思いながら質問を飛ばしているらしい。
しばし、何やら専門用語らしき単語が飛び交うにぎやかな質疑が繰り広げられてゆく。

「それでは、これで質疑応答は終わらせていただきます。続きまして、皆さんにご連絡いたしました、
  当新聞社が発見いたしました、古文書解読競争の詳細に映りたいとおもいます」
あら。
あの人…やっぱりどこかであってるようなきがするわ。
どこだったかしら?
ふとみれば、先ほどのベルナール、と名乗った人物が壇上の横に現れる。
「こんにちわ。みなさん。ようこそ本日はヴォードン・タイムズ社におこしくださいました。
  先に皆さんに連絡していましたとおり、これより古文書解読競争の詳細説明をいたしたいとおもいます。
  まずは、こちらをごらんください」
ベルナールがそういい、何やら壇上のしたから箱らしきものを取り出す。
……あら?
あれは……
似たようなものをこの間、夢でみた。
たしか、あの箱から文字のようなものがうかびあがって……
アンジェリークがそう思うと同時、
ヴッン。
ベルナールが箱に何か触れたと思うと、空中に文字のようなものが浮かび上がる。
「…あれは、古代神聖もじ?」
アンジリェークがもらった手鏡のコンパクトの裏に記載されている文字と似たような文体。
「ごらんのとおり、これは立体映像の古文書になっております。
  さきほどそちらのお嬢さんが質問なされた古代神聖文字で書かれている、とおもわれます。
  調査の結果、これはアルカディアの過去の歴史が記載されたものであることが判明しております。
  さきほどの質問でありました、幸福度…というのものこの中に記載されております。
  しかし、それ以上の成果、すなわちいまだにこの古文の全体は誰も解読できておりません。
  最初に解読できた方には懸賞金を差し上げます。詳しいことは……」
よくよくみれば、全員食い入るようにその装置らしき箱を眺めている。
これは、私が聞いても意味ないような気がするわ。
おそらく、これからその解読方法や質問などが飛び交うのであろう。
「レイン。私外でまってるわね」
「あ、ああ。あまり遠くにいくなよ?」
「大丈夫よ。ここは幾度かきたことあるもの」
一応レインにことわり、そっと会場を後にする。
どうやら会場をあとにするのはアンジェリークだけらしく、他には誰も出てくる気配はない。
「ええと。新聞社の玄関は……でも、これに書かれているの、やっぱりあの文字と同じ…よね?」
手鏡のコンパクトをポケットからとりだし、裏面をしみじみと眺めるアンジェリーク。
ぱかっと手鏡をあけて、少しばかり文字がかかれている場所に触れると、
やはり鏡に浮かび上がってくる文字。
「…やっぱり。昨日と文字というか数値が変わってるわ?」
そのときそのときに応じて浮かび上がる文字が多少なりとも変わっている。
劇的な変化を遂げるのは彼女達…否、アンジェリークがタナトスを浄化したとき。
「あれ?あ、確か君は……」
ふと、何やら聞き覚えのある声にはっと顔をあげる。
おもわず鏡に見入ってしまい、うつむいていたのにようやく気付く。
「あ、す、すいません。通路の邪魔でしたね」
「やっぱり。確かアンジェリーク、だったよね?君」
「え?あ、確かえっと…ロシュさん?」
ふと顔を上げてみれば、そこには確かフルールの村で知り合った情報屋とかいうロシュの姿が。
「なんで君がこんなところに?」
「えっと。レインの付き添いなんです」
「ああ。なるほど。レイン博士についてきたわけ、だ。それで?つまらなくて抜け出してきたとか?」
うっ。
思わず図星をいわれ思いっきり表情にでてしまう。
「あはは。ほんと、君ってすぐに顔にでるよね。そうそう。そういえばベルナールって新聞記者みなかった?」
「ベルナールさん、ですか?今古文書の解読の説明されてるとおもいますよ?」
この間もおもったが、この少女はすぐに思っていることが顔にでる。
判りやすい、といえばそれまでだが。
それ以上にあのとき見せた神秘的な力をこの少女が有している、とは普段をみていたらとても思えない。
「そっか。残念。せっかくいいネタを仕入れてきたのに。そういや、君…えっとアンジェリーク、だっけ?
  これからどうする気?」
ベルナールならば彼の情報を信頼して高くかってくれる。
だから彼はよくベルナールに会いにくる。
「えっと。せっかくきたので、仲間の皆にお土産をかっていきがてらヴォードンの町を散歩しようとおもって」
「なるほど。なら俺が案内してやるよ」
「え?いいんですか?」
「ついでに、君たちのオーブハンターの仕事ぶりもききたいしね。キブ、アンドテイク。だろ?」
くすっ。
「そういうことですか。それじゃ、お言葉にあまえさせていただきますね」
どうやら悪い人ではなさそうである。
それゆえにロシュに街を案内してもらうことに決めてそのまま二人で新聞社を後にする。
「そうこなくっちゃ。じゃ、いこっか」
彼女のあの不思議な力のことを詳しく聞きたいのもあるし、ニクスの動向も気にかかる。
情報屋はとにかく新鮮な情報が命。
それも確実、正確なものが。
ギブアンドテイク、とはよくいったもの。
アンジェリークの案内をするかわりにアンジェリークからいろいろと聞き出そう、
とおもうロシュはあるいみたくましいのかもしれない。


                                -第22話へー

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あとがきもどき:
薫:え~と、この辺りはゲーム&小説から抜粋させていただいております。
  ゲームのほうではあまりこのイベント、さくっとおわっちゃったしねぇ……
  あるいみ、かなり重要性、高いのに。
  まあ、オマケでこの解読シーンはみれますけどね(こらこら
  さてさて、次回はヴォードン探索&タナトス遭遇、にいけるかな?
  ではまた次回にてv

2008年5月12日(月)某日

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