まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
う~ん。
やっぱりヒュウガとジェイド、そしてディオンの設定入れ替えるかなぁ?
うむむむむ……??しばし悩み中……
というわけで(何が?)考えた末に設定変更v
いや、ゲームをサイドやったら、ヒュゥガ…鋼の力、といってたもので…恩恵…(汗
#####################################銀花の園 ~護り石~
「カール!!」
「無事でよかった!はやくナタリーのもとへ!」
「ありがとうございます!騎士様!!」
村に入ると、カールの姿をみてとり、わっと騒ぎ出す村人達。
どうやら村人のほとんどがカールのことを心配していた様子が見て取れる。
「ごろくうさま。アンジェリーク。ヒュウガ」
村人達に囲まれお礼をいわれている最中、何やら聞き覚えのある声が。
「って、ジェイドさん!?どうしてここに!?」
そもそも、彼は陽だまり邸でまっていたはずである。
それなのにどうしてここ、モンタントの村にいるのかがわからない。
アンジェリークの驚きの声ににっこりと笑い、
「君たちが昨夜、もどってこない。そうきいてね。せっかくだからつくった料理をもってきたんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わざわざ、ですか?」
きょとん、として問いかけるアンジェリークの台詞ににっこりと、
「だって、一人で食べるより全員で食べたほうがおいしいじゃないか?」
まあ、ジェイドの言いたいことはわかる。
わかるが……少しばかり、もったいないからもってくる。
その考えがよくわからない。
確かに、一晩以上おいておいたら料理が痛むのは確実であろうが。
「大丈夫。料理に問題はないよ?」
「いや、そういう問題ではないとおもうが……」
どうやらヒュウガも同じ思いを抱いたらしく、思わず彼もまた突っ込みをいれている。
彼をよく知るものがいればそれはかなり珍しい光景である、というのを断言できるであろう。
「おい!アンジェリーク!何も問題なかったか!?」
「あ、レイン。レインもきてたの?」
ふとそんなジェイドの後ろから駆け寄ってくるレインの姿をみとめて首をかしげて問いかけるアンジェリーク。
「それはですね。レイン君はヒュウガとあなたが二人っきりで夜を過ごす。
そうきいて自分もいく、といってきかなかったのですよ」
「なっ!てめえ!ニクス!それは…っ!」
どうやらレインだけでなくこの場にはニクスも来ているらしい。
ということは、つまりは今、陽だまり邸は無人、ということになる。
いいのかしら?
そうアンジェリークは思うが、でもまあ、ちょうどいい、という思いもある。
「レインもカールさんのことが心配だったのね」
がくっ。
ぷっ。
そんなレインの心配をカールが心配だったから、そう確実に勘違いして話すアンジェリークの台詞に、
おもいっきりがくっと力を抜かしているレインに、思わずぷっと噴出しているニクス。
「昨夜は銀樹騎士団と共によるをすごしたから問題はない。
彼女の眠るテントは我々が交互にしっかりと猫の子一匹はいらないように見張っていたからな」
「?そうなんですか?でもそれじゃあ、みなさんが寝不足なんじゃぁ…?」
レインの心配している内容に思い当たり、淡々とその心配を取り除くために説明しているヒュウガ。
だがしかし、アンジェークからすればそれはおどろくべきこと。
そんなにわざわざ交互で見張ってくれていた、とはおもっていなかった。
というのが彼女らしい、といえば彼女らしいのだが。
「心配ない。あなたに何かあったほうが遥かに問題だからな」
「?でもそれは私だけでなくヒュウガさんや銀樹騎士団の方々にもいえることだとおもいます」
その問題、という意味すらかなり履き違えてそういうアンジェリークの言葉に、
ふるふると思わず笑いをこらえられずになり震えだすニクス。
まさか、ここまで鈍い娘さんだったとは。
そんな思いも脳裏によぎる。
「お…おまえなぁ……」
完全にどうやら理解していないらしいアンジェリークのその言葉に脱力せざるを得ないレイン。
「あ。そうだ。そういえば、皆さんにお聞きしたいことがあったんです。
これ、先ほどタナトスを浄化したときにタナトスが落としたとおもわれる品なんですけど。
いつもと形が違うんです。それと今朝、こんなものが手元に……」
あえて、おきたらもっていた、という言葉を省いて説明する。
というか、そこまで気がまわっていない、というほうが真実なのだが。
アンジェリークがそういい、彼らに見せた品はあきらかに今までのモノとは異なるもの。
「これは…!?」
それをみて、おもわず驚きの表情でヒュウガをみているレイン。
彼でも知っているのである。
元銀樹騎士団にいた、というヒュウガが知らないはずもない。
「私もまさか、とはおもっている。だが先に彼を村に送り届けるのが優先だ、そう判断した」
たしかにヒュウガの言うとおり。
そもそも、これがもしそうならあまり口外することはできない。
「?あ、あの?みなさん?いったい何の話をしているんですか?」
一人アンジェリークだけ理解できずにただただ首をかしげているものの。
「とりあえず、みんな座ってはなさないかい?」
いってとある一点を指差すジェイド。
そこにはなぜか敷物がひかれており、しっかりと食事の用意が整えられていたりする。
「では、村人のことは私たちにお任せください」
それが何なのか何となく理解しているがゆえに、村人達の誘導を率先してかっているライたち。
オーブハンターと、そして銀樹騎士団が森で行方不明になっていたカールを無事に助け出した。
その報告はすでに村中にとひろまり、わいわいと村は賑わいを見せている。
その一報が入ると同時に安心したナタリーが産気づき、逆の意味で賑わいをみせているのもあるが。
あらかじめ、産み月が予測できる妊婦のもとには必ず近くに銀樹騎士団が滞在しておく。
それは、今までのタナトスの出現予測から暗黙の了解で続いている決まりのようなもの。
人が喜びにあふれているその場にタナトスが出現する確率は他の確率よりも遥かに高いがゆえの処置。
「しかし、これがもしそうだとして。初めてみたな。というか本当に存在していたのが驚きだ」
ただの伝説の中だけの存在、そうおもっていたのに。
「それは私も同感だ。教団の教えの中にある品とこれがもし同じならば」
「確かに。確かめてみる必要がありますね。…ちょうどここにオーブもありますし」
地面の上に敷かれているシートの上にと並べられている二つの宝石。
一つは銀色の光を放ち、一つは紫色の光を放つもの。
といっても、それは光の反射で光っているようにみえるだけで、石そものもが光を放っているわけではない。
まさかとはおもい付近を探索した甲斐はやはりあった。
周辺に確かにタナトスが異様に発生しかけていたのは事実。
完全な浄化、とまではいかないものの、だがしかし。
ニクスが浄化したタナトスは二度と同じ箇所には現れない、という不思議なこだわりをもっている。
それは当然、といえば当然なことなのだが。
その事実をしるのはニクスのみ。
「あ、あの?みなさん、いったい何のお話を??」
レイン、ヒュウガ、ニクスの会話の意味はまったくもってアンジェリークには理解不能。
ニクスがその横にいくつかのオーブを置くと同時。
オーブと、そしてその宝石がまるで相互反応をするかのように光り輝き、
オープは光の粒子となり宝石の中にそれぞれ吸い込まれてゆく。
それとともに、宝石の輝きが多少なりとも変化する。
とはいえ多少輝きが増した程度。
……あら?これって……
ふと、自分の手にしているブレスレットの輝きとよく似通っていることに気付く。
ふと気付けば昨日よりもまた遥かにブレスレットにはめ込まれている石の輝きが増している。
おもわず、その宝石と、自身のブレスレットを見比べて思わず手首をぎゅっとつかむアンジェリーク。
「ビンゴ!だな」
「ですね」
「まさか実際にこの目でみることになろうとは」
何やら三人だけでわかるような会話をしているそんな彼らに向かい、
「あ、あの?私にもわかるように説明してもらえませんか?」
恐る恐る問いかけるアンジェリーク。
「ああ。すまん。こいつは護り石、だ」
「?護り石?」
レインにそういわれても、まったくもって意味がわからない。
「護り石とは、古の時代、この地を見守った存在達からの未来への贈り物、そう聞いている」
「あ。それは僕も知ってるよ。たしか九つの万物に宿りし力。光、闇、水、火、風、緑、地、鋼、夢の力と。
そして天使の護りを宿した護りの石。のことだよね?」
その記憶だけはしっかりと記憶を失ってももっていた。
それが意味することは、育ててくれた人たちによって完全に理解することができたのだが。
ヒュウガに続き、ぽんっと手をうちながらにこやかに答えているジェイド。
「古の?…見守った存在達からの贈り物?」
そういわれても何が何だかわからない。
「護り石はみてのとおり、オーブの力を吸収することができる。
一説によればその力のため具合で様々な力が発揮できる、ともいわれている。
まあ、実際この俺も目の当たりにするまでただの伝説、そうおもっていたけどな」
いいつつ、思わず苦笑するレイン。
かつて幾度もさがしまくったかの品がこうもあっさりと目の前に出現するとは夢にもおもっていないこと。
「九つの力と天使の力……」
この世界はその九つの力において成り立っている。
それくらいはいくらアンジェリークでも学校の授業の中で習っている。
それこそが万物に宿りし力の源である、と。
だが、それらの力を秘めている宝石がある、ということなどは一度も聞いたことがない。
「アンジェリーク殿。それを手にもって何か感じることはないか?」
「ヒュウガさん。ですからその口調は改めてください。私のほうが遥かに年下なんですから。
…まあ、確かに。感じること、といえばこっちからはやさしい少女の思いを感じますし。
こっちからはまるで夜の闇に包まれているかのような安らぎを感じますけど」
「……――護り石は印の象徴……」
「え?今ジェイドさん、何かいいました?」
ふと、我知らずつぶやくジェイド。
そんなジェイドの台詞にきょとん、として問いかけているアンジェリーク。
「え?あ。俺、今…何を?」
何かいったつもりはない。
何かぽっと無意識のうちに出た言葉。
おそらく失われた記憶の中の一つなのかもしれない。
そんな言葉がふっと無意識にでたのは。
ジェイドの中には基本的なことの記憶は全て蓄積されている。
ただ、当人はそれを使いこなすことはできず、また覚えていないことも多々とある。
それも仕方がない。
今の状況では彼にはプロテクトがかかっているままなのだから。
「なるほど。なら銀色のこっちはおそらく天使の護り石で、こっちは闇の護り石、だな」
伝説といわれていたうちの二つが今ここにある。
ならば、他の護り石も実在しているのであろう。
「――護り石は選ばれたものにしか扱えぬ。それはあなたがもっているべきだろう」
「え?でもそんな高価な品、私がもっていてもいいんですか?」
ヒュウガの言葉に素朴な疑問を浮ばせる。
そもそも、アンジェリークは自分にものすごい力がある、と自覚していない。
女王が君臨し、護り石の力が満ち溢れたとき、世界は新たな歴史をつむぎだす。
教団の上層部にのみ語られている神話ともいうべき伝承。
護り石の姿かたちのみは教団に残る古き文献に記載されていた。
そしてまた、古代から残る石版においても。
その姿形がひろまり、一般的に宝石類などはこの形を模した形にカットされはじめた。
おそらくその真実を知るものはまずいないであろうほどに昔のこと。
「おそらく。どっちにしてもそれの力はお前にしかひきだせないとおもうぜ?」
レインの言葉は真実。
他の存在ではその力を引き出すことは不可能であろう。
レインは炎属性のオーブならばその力を多少なりとて引き出すことはできるが。
ニクスは闇。
そしてヒュウガは鋼。
そしてジェイドは緑の力を。
「だからそれはあなたの手の元にあったほうがよい」
「…でも、いいのかしら?」
ヒュウガがどうしてそこまで進めるのかがよくわからない。
「まあ、品物、というのは持ち主を選びますからね。その石はあなたがもつべきものだとおもいますよ?」
「さあ、そんなことより、せっかくもってきた料理、みんなゆっくりたべてね?」
軽く両手を挙げて首を横にふりながら言ってくるニクスとは対象的に、
でんっとなぜかてきぱきとバスケットの中にいれていたらしいパン類を並べながらもいってくるジェイド。
「って、おま、ここでたぺろってか?」
そんなジェイドに思わず突っ込みをいれるレインであるが。
「みんなで青空の下たべるのって笑顔にならないかい?」
「まあ、確かに。一理ありますね。レイン君、せっかくジェイドが用意してくれたのですから、
遠慮なくいただきましょう。あまり朝はたべていませんでしたしね」
レインにいたっては確か何もたべていないはずである。
騒ぐレインをどうにかとどめおいたニクスもまた然り。
アンジェリークは騎士団員から携帯食糧を分けてもらい簡単に朝ごはんは食べてはいるが。
それでも所詮は携帯食糧。
まともに食べていたわけではない。
しかも、何だかんたとしている最中に太陽はいつのまにか上空付近に差し掛かっている。
「ま、たしかに腹はへってるしな」
せっかく用意しているのにソレを断る、というのも何。
それゆえに、素直に従うレイン。
「では、食事の前に……」
手早く腰につけている水筒にて手をあらい、祈りをささげるヒュウガ。
「日々の恵に自然に感謝いたします。それじゃ、いただきま~す」
メルローズ女学院の根底の一つにあるのが日々の自然の恵に感謝すること。
それゆえに食事の前にはそのようにいうことが癖づいているアンジェリーク。
六歳のころからずっと学園の中で生活していたその癖はそう簡単にぬけるものではない。
どうやらジェイドが用意していたのは様々な具がのっているピザであったらしく、
多少さめていてもそのおいしさは代わりがない。
「おいしい!」
様々な具がトッピングされているピザ。
持ち運びにも便利であり、またお腹も満たされる。
「そういえば、あの護り石はどうやっててにいれたんだい?アンジェリーク?」
伝説とまでいわれていた品である。
そう簡単に手にはいるはずもない。
「それなら。お前たちにも話しておいたほうがいいだろう。
先ほど、今までになく強いタナトスに出くわした。銀樹騎士団とともに戦いどうにかなったが。
あそこまでこちらの攻撃が通じていない、とおもえるやつは私は始めてだ」
ジェイドの問いに、淡々と答えているヒュウガ。
「強く…か。この間のファリアンのやつもかなり回復力が強かったしな……
もしかするとタナトスの中でも何かがおこっているのかもしれないな」
もしくは、新たな進化をタナトスが迎えている可能性も高い。
「そのタナトスが護り石をもっていたのですか」
「そうだ。そこの子猫が拾ったようだがな」
「って、そういえば!何でこのエルヴィンがこんなところにいるんだ!?」
今さらながらのその質問。
「それがね。レイン。気がついたらまたついてきてたのよ」
「……こいつ、本当は犬じゃないのか?ご主人様をおいかけていく、なんて」
「んにゃ」
ひょいっとエルヴィンの首根っこをつかんで持ち上げながらいうレインに抗議らしき声をあげているエルヴィン。
「きっと、その子猫はアンジェリークのことが大好きなんだね。だからいつもそばにいたいんだよ」
にこやかにそんなことをいっているジェイド。
「危ないから屋敷でまっててっていってしっかりと戸締りもしてきたはずなのに……」
「こいつ、鍵あけられるんじゃないのか?そういう猫もいるぜ?」
アンジェリークのつぶやきに、いまだにエルヴィンをひょいっとつかんだままそんなことをいっているレイン。
「にゅっ!」
じたばたとそんなレインの手から逃れようともがいているエルヴィンであるが。
そのまま、起用にもレインの手に自身の手をかけてぐいっと力任せに押して隙をつくり、
そのまま、手の力が緩んだ隙にするっと手の中から逃れ、アンジェリークの膝の上にひょい、とのる。
「…そいつ、絶対に知能あるとおもうぜ?」
そのような逃れ方をされるとは思わず、しみじみとそんなことをつぶやくレイン。
「猫は神聖なもの。そういうこともありえるのだろう」
「もう。エルヴィンったら」
ごろごろごろ。
アンジェリークの心配は何のその、そのまま膝の上でまるまりごろごろとのどを鳴らしている子猫をみて、
思わずつぶやくしかないアンジェリーク。
「それより。たしかに。タナトスが力をつけてきているかも。というのはゆゆしき事態ですね。
これはもしかしたら今後タナトス退治が困難になるかもしれませんね」
光が増してきているがゆえに、相手もまた力をつけてきている。
それは理解できる。
それでも、どうにか彼女が完全にその力が満ちるまでは……
そう思いながらもその思いを顔に出すことなく冷静にいっているレイン。
「でもまあ。私たちにできることをしてゆくだけ、ですね。アンジェリーク。あなたにも期待していますよ?」
「え。は、はい!できるだけ頑張ります!」
いきなり話をふられ、あわてて返事を返す。
自分の力がどこまで人々の為になるかわからないにしろ、それでも人々の役にたてる。
そのことはいまだに自覚がないものの証明された。
回数を重ねるうちにそのコツも何となくだが理解できはじめている。
何だか話をはぐらかされたようなきもしなくもないが。
本当にこれ、私がもっていてもいいのかしら?
アンジェリークがそう思うものの、
「……まって。…どうやらタナトスみたいだよ?」
ふっと顔色を険しくしてとある方向をみつめてつぶやくジェイド。
タナトスが出現するときの特有の気配。
その気配がかなり濃厚になってきている場所がある。
草木が枯れる音をその耳が捉える。
「どうやら、ゆっくりとはできなさそうですね」
「よっし。いっちょやるか!」
そういい、立ち上がると同時。
『うわぁぁぁぁ~~!!た…タナトスがでたぞぉぉ!』
ほぼ同時といわずに村人の悲鳴が周囲にこだまする。
-第19話へー
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あとがきもどき:
薫:さてさて、しょっぱなからでてきました護り石vでもコレ以後はなかなかでてきませんよ(笑
ちなみに、ジェイドがいった印の象徴という意味は。
おそらく、エトワールをプレイしている人はわかるでしょうv
いうまでもなく、サクリアの印、の代わりだったりv(おもいっきりネタバレさんv
まあ、この戦いがサクリアの精霊との戦いの試練のようなもの、と捕らえてくださいなv
闇を先にだしましたけど、地と闇、どちらにするかなぁ?と悩んだんですけど。
ニクスのことを考えて、やっぱり闇のほうにと決定ですv
正確なサクリアの証が近くにあることでニクスの中の力が増して「エレボス」を抑えられる、
という裏設定v
何はともあれ、次回に続きますv
2008年5月11日(日)某日
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