まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。今回はほとんど騎士団員とのやり取り~v
しょっぱなから強いタナトスがでまくっているのはまあ気にしないようにv(笑
時期女王の命をねらってタナトスも昔から躍起になってる。
そう解釈してくださいなv
何はともあれ、いっきますv
#####################################銀花の園 ~銀樹騎士団~
「おや、隊長、隅におけませんね。ナンパですか?」
「失礼なことをいうなっ!さきほどいっていたヒュウガ殿のお連れ殿だ」
しばらく歩いてゆくとぽっかりと森が開けた空間にでて、近くには小川が流れている。
たしかに陣営を引くにはいい場所なのであろう。
火と水が同時に確保できる場所。
「え?あの聖騎士ヒュゥガ殿の!?」
「それは失礼いたしました。えっと、あなたは……」
どうやらアンジェリークと一緒にここまできた人物は、彼らの上司らしい。
「あ、私はアンジェリークといいます。今晩お世話になります」
そういえば、きちんと挨拶していなかったことを思い出し、隊長、と呼ばれた男性を含め、
その場にいる人たちに丁寧に頭を下げる。
「…アンジェリーク?」
「いや、その名は……」
「?何か?」
アンジェリークが名乗ると二人の騎士団員らしき人物が何やら驚きの声をあげているのが気にかかるが。
アンジェリークにはその理由がわからない。
「そういえば、あなたは先ほどオーブハンターをしている。といいましたけど。
あなたのようなお嬢さんがどうして?」
本来オーブハンターをしている一般の人々には浄化能力を持ち合わせていない集団がほとんど。
中にはきちんとした浄化能力者のみで活動している特殊ともいえる慈善活動を行っている人もいることは知ってはいる。
しかし、アンジェリークはまだどうみても十六か十五にしかみえない、しかもいいところのお嬢さんっぽい少女。
「私も参加したのはつい最近なんです。ニクスさんという人に誘われて。
今はヒュウガさんが加わってくれたので今日から五人で活動することになりましたけど」
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
説明しているアンジェリークにと暖かな飲み物が手渡される。
「う~ん、暖かい……」
さすがにずっと森の中を探し続けていたせいか確かに体は冷え切っている。
ゆえに、自然と両手でコップをもちつつ、目をつむりそのぬくもりを堪能する。
「…っ!?た、隊長、にていませんか?」
「…あ……」
「??あの?何か?」
そなんなアンジェリークの姿を見て何かいっている彼らたち。
「そういえば。えっと、たしかあなた方は銀樹騎士団…の方なんですよね?
私初めてみましたけど。どうしてこのような場所に?」
アンジェリークのそんな素朴な疑問はもっとも。
普通、一般の人々が彼らに出会う確率はあまりない。
あるとすれば、何かしらの被害があったときくらいなのだから。
まあ、出会ったことがない、というのはあるいみ幸せである、ともいえるのだが。
裏を返せばそのような被害にあったことがないか、もしくは彼らの救いが間に合わなかったか。
そのどちらか。
「なるほど。あなたは銀樹騎士団のことをどこまでごぞんじですか?」
「いえ、それがほとんど知らなくて…私、六歳のころから学園からでたことなくて……」
初等部、ともいわれている六歳からの幼等部。
「学園?ですか?」
「ええ、メルローズ女学園にこの間まで滞在していたんです。
ニクスさんにオーブハンターに誘われて今は休学扱いになっていますけど」
一瞬、その学園の名前を耳にして目を丸くする隊長、と呼ばれた男性。
つい先日滞在していた村でその学園の生徒が起こした奇跡の話をきいたばかり。
タナトスに襲われて、もはや死をまつしかなかった人々がその生徒が手を握ると同時に目を覚ました。
と。
その生徒が通っている学園の名前がたしかメルローズ女学院のはずである。
人々が嘘をいっているようにはみえなかった。
しかも、彼らは本気でその生徒という女の子に感謝していた。
だからこそ、村にたちよった銀樹騎士の彼らにもその話をしたのだから。
「ニクス殿。ですか。彼のご高名はうかがっておりますよ。なるほど。彼と共に活動。ですか。
しかし、あなたのようなか弱い女性が……」
いいかけて、はっとする。
月明かりに照らされた彼女の顔が一瞬肖像画と重なる。
先ほど部下にも指摘されたが、まさかここまで似ていようとは。
「そういえば、あなたは教団のことに興味がおありですか?我々が信仰している女王様のこととか」
確認をこめて話題をふる。
「女王様?いいえ、すいません。私お恥ずかしいですがあまりしらなくて……
どんな信仰なんですか?」
「我々セレスティア教団はいずれこの地に誕生するであろうといわれている女王の誕生を待ちつつ日々をおくっています。
かつて誕生したばかりのこの地に遠い場所からやってきた女王が降り立ちこの世界を育みました。
そしてアルカディアと呼ばれる理想郷を築きあげたのです。
そしてアルカディアに祝福を与えそして元の世界にもどっていったのです。
世界は女王の祝福をうけて長らく平和でしたが、やがて世界に影を落とす存在、タナトスが出現しはじめました。
女王の加護のない困難な世界がやってきたのです。
ですが、伝承の予言にはこうあるのです。いずれこのアルカディアに女王の素質をもつ存在が誕生する。と。
その女王の素質をもつ女王の卵が孵ったとき、悪しき存在は消え去り、世界は再び新しい始まりのときを迎える。
と。我々はそのいつか誕生するであろう女王をまちつつ人々を守っているのです」
そんな彼の説明に。
「すごいんですね。その女王様って、平和な世界…理想郷、ですか。私の祈りも女王様にとどくかしら?」
きちんとした説明を聞いたのはこれがはじめてであるがゆえに心底感心しつつつぶやくアンジェリーク。
「あなたはどのような祈りをささげるのですか?」
「もちろん。いきとしいけるもの全てが幸せでありますように。世界が平和でありますように。ですね」
そう、この大地に生きているのは人だけではない。
植物や動物なども存在している。
その動物たちも日々、タナトスの脅威に襲われている。
だからこそ切実に願う。
全ての命という命が幸せでありますように。
誰もが悲しい思いをしなくていい世界でありますように。
と。
悲しい思いをするのはかつての自分だけでもうたくさんだから。
「そうですか。それでは一緒に祈りをささげませんか?」
「ええ」
誘われて自然空に向かって祈りをささげる。
彼ら騎士団員にとってはいつもの行為。
そしてまた、信心深い人たちにとっても当たり前な行為。
だが、いつしか人々は自然の恵みを忘れて思い上がっている存在もいるのもまた事実。
――アンジェリーク。心を済ませて、声をよく聞いて……
「…え?」
ふと、頭の中に誰かの声がしたような気がした。
アンジェリークが祈りをささげたその刹那、彼女の体が淡く金色に光ったのをその場にいた団員たちは目撃する。
その光景に一瞬驚くものの、だがしかし。
「…た、隊長!」
「…でたかっ!」
ふと独特な気配に気付き、見張りをしていた一人の団員が声を張り上げる。
夜はタナトスの出現がかなり頻発する。
ゆえに必ず見張りを一人ほどたてておく。
そのための三人体制の組み分け。
「え?あ、あの?」
「タナトスです。あなたはここにいてください」
いいつつ、もう一人の団員とともに立ち上がる。
「私も戦います!」
「いや、危険です!」
「あなたに何かあれば我々はヒュウガ殿に顔向けできません」
否、もしかしたらそれだけではすまない。
さきほどの光がもし見間違いでなければ、ある可能性もあるのだから。
聖なる名前に聖なる肖像画とも瓜二つ。
こんな偶然が一体全体あるだろうか?
そんな思いが彼らの中に芽生えているなど当然アンジェリークは知る由もない。
「いいえ。私も戦います。…私は私にできることをしよう。そう決めたんです。
人々を少しでも守りたいから」
決意を込めたその強い瞳の輝き。
「ふう。わかりました。ですけど、我々の後ろにいてくださいね。何かあればあなたにおねがいいたしますから」
何かあれば、というのは怪我などをしたときのこと。
ニクス殿が誘った、というのであれば医療の知識がこの少女には蓄えられているのかもしれない。
万が一の可能性として奇跡の少女、と呼ばれていた少女であったにしても。
よもやタナトスを完全浄化できる能力をこのアンジェリークが持っている、などと誰も想像できるはずもない。
「きますっ!」
「ぬかるなよっ!」
「はいっ!」
空間の歪みとともに出現するのは何か頭が三つあるような赤い異形の存在。
「ちっ。ケルベロスかフェンリルか!?」
どちらにしても手ごわい相手。
タナトスの見分け方はなかなか難しい。
その強さによって名前が分けられているものの、ぱっとみためわからない存在もかなりいる。
たぶん、このタナトスはこの騎士団の人たちにとっては手ごわいわ。
自然、何となくだが勘でそう思う。
ふと、出かけ際に手わさたれたレインの小瓶のことを思い出す。
それゆえに小さな手提げ袋の中にいれておいたそれをすばやく取り出すアンジェリーク。
ぱっと思い浮かんだのはこの敵はおそらく火の属性をもっている。
ならば水の属性をもつオーブの力を引き出せて攻撃できれば…
自分に本当にオープの力を引き出せるのか、なんてわからない。
だけども、先日のファリアンの一件もある。
やってみずにあきらめるより、やってみて結果をみたほうがいい。
ノーブレス・オブリージュ。
何かをなしえる力をもっているものはそれをなしとげる責任がある。
ニクスがアンジェリークに教えた言葉。
その言葉がアンジェリークの頭の中を反復する。
そう、最初からあきめていてはどんなことも先がみえなくなるのは必然。
ならば、できることをするしかない。
それがたとえどんな困難なことだ、とわかっていても。
「オーブに宿りし水の力よ、お願い、力を貸して……っ!」
ぎゅっと水のオーブを取り出し祈りをささげる。
刹那、アンジェリークを中心とし水色の淡い光が広がってゆく。
「こ…これは!?」
「まさか…そんな…彼女が…オーブの力を!?」
オーブにサクリアの力が秘められている。
そのことは教団員ならば誰もが習うこと。
だが、その力を自在に引き出せる存在など今だかつて一人たりとていないはず。
だが、この光から感じる力はあきらかに水のサクリアそのもの。
「…!今だ!いくぞ!」
ふとみれば、光につつまれてくるしみもがくタナトスの姿が見て取れる。
その好奇を逃すわけにはいかない。
何が起こったのかはわからないまでも、チャンスはチャンス。
そのまま、いっきにタナトスめがけて攻撃を繰り出す教団員たち。
今だわ。
アンジェリークの引き出したオーブにより力をそがれ、さらに三人の騎士により攻撃を加えられ、
動きが弱まってきている様子が手にとるように理解できる。
今ならば、きっと浄化ができるはず。
「浄化の力よ……」
できることを。
それは、タナトスを完全に浄化して消し去ること。
二度とこのタナトスによって脅威が生まれないために。
祈りをささげるアンジェリークの体から淡い金色の光が立ち込める。
その光は彼女がいる上空にもひろがってゆき、さんさんと夜だというのに降り注ぐ。
「こ…これは…!?」
「た…隊長、た…タナトスが…っ!?」
「……まさか……」
目の前において繰り広げられる光景。
光に包まれた少女の背にはっきりと確認できるのは白き翼。
光に包まれ、タナトスもまた光の粒子と化してゆく。
祈りをささげるアンジェリークの姿は、まさに…伝承そのもの。
それゆえに言葉をうしなうしかない彼らたち。
「アンジェリーク様!!」
やがて光が収まると同時、アンジェリークを呼ぶ強い声。
「あ、ヒュウガさん」
その声にはっと我にと戻り、そちらを振り向くアンジェリーク。
みれば、何やら息せききってはしってきているヒュウガの姿が。
つい敬称をつけてしまったのは彼の本音といえば本音。
「って、どうしたんですか?そんなにあわてて」
何か今違和感を感じたけど、気のせいかな?
そんなことをおもいつつも、走りよっきたヒュウガにと問いかけるアンジェリーク。
「今、光が……タナトスがでたのですか?」
「え?ええ。でも彼らのおかげで浄化できましたよ?…ヒュウガさん?」
何かヒュウガの態度がおかしい。
それゆえに首をかしげるアンジェリーク。
「でも、ほんとうにどうしたんですか?そんなにあわてて?」
「いえ、光がみえたもので…もしや、とおもいまして……」
ここにきてようやく違和感に気付く。
「って、ヒュウガさん?どうして何か敬語つかってらっしゃるんですか?
私がヒュウガさんに敬語をつかうのならわかりますけど?普通に話してください。何か違和感ありまくりですし」
最後のは本音。
そもそも、アンジェリークはそんな敬語を使われるような立場にいたことは一度もない。
自身が目上の人に使うのは当たり前にしても、自分が使われるとは夢にもおもっていない。
いくらまだ初対面に近いとはいえ年下の自分が敬語を使われるなど違和感ありまくり、である。
「え?あ…失礼しました。以後気をつけます」
「…?ヒュウガさんのもしかして癖ですか?」
どうももしかしたらこういう話し方の口調は癖なのかもしれない。
まあ、時間がたてば普通に話してもらえるかしら?
そう思うアンジェリークだが。
「そういえば、ニクスさんたちは何かおっしゃっていましたか?」
たしかニクスたちも村に後からくるようなことをいっていたはずである。
「それでしたら、ヒュウガなら心配ないですね。といって一度屋敷のほうへ戻られるそうです」
「そうなんですか」
その、ヒュウガさんなら、という意味がよくわからないですけど。
別にヒュウガさんでなくても心配いらないとおもうんですけど?
などとアンジェリークが思っていたりするのは、その意味を違う意味に捉えているがゆえ。
ニクスが心配、といっているのは男と女だから、という心配。
アンジェリークがいう心配、というのは仲間の力、という心配。
双方、根本から異なっている。
「あ…あの、ヒュウガ…殿?」
はっと我にと戻り、ヒュウガにと話しかけている教団員。
「とにかく、一度キャンプに戻りましょう。風邪をひかれても何ですし」
「くしゅっ」
ものすごいタイミングでくしゃみがでるアンジェリーク。
言われてみればたしかに肌寒い。
先ほど暖かな飲み物をもらっているので多少は体がぬくもっているが。
「悪いが、彼女を連れてキャンプに連れて行ってもらえるか?」
「あ、は、はいっ!」
ヒュウガに言われ、はっと残りの二人も我にと戻り、
とりあえずアンジェリークを自分たちの陣営地へと連れてもどる彼らたち。
今目の前でみた光景が信じられない。
女性の浄化能力者。
しかも、完全にタナトスを浄化する能力など……
さらにいえば、オーブの力の解放に…そしてあの光の翼。
全てがことごとく伝承のとおりではないか?
彼らがそう思うのは必然。
「ヒュウガ殿、あの、彼女…あのかたは…もしや……」
「まだ確定はできぬ。だがその可能性は高い。影響の大きさを考えれば軽がるしくいえるものでもない」
「…なるほど。わかりました。それで納得いたしました。
どうしてヒュウガ殿のようなかたがオーブハンターの一員になられたのか、ということが。
あのかたを見守るため、ですね」
聖騎士として選ばれるはずであったヒュウガの名前を知らぬものは教団員の中にはまずいない。
そもそも、ヒュウガは他の騎士団員たちとっては憧れの存在であったのだから。
カーライル、ヒュウガ、そしてディオン。
この三人は騎士団員にとっては憧れとも目標ともいえる存在であった。
そう、あの事件があるまでは……
「悪いが、彼女のことはまだいわないでいてほしい。…確証はまだない。証もまだ起こっていない」
否。
実際には一時リースの庭にその確証たる証は起こった後だが。
しかし、彼女自身にまだその自覚も自分の力についての自覚すらもあまりないようにみえる。
「判りました。ヒュウガ殿がそういわれるのでしたら…しかし、いずれ証は天空に輝く。
私はそうおもいます」
「そうだな。おそらく貴殿のいうとおりなのであろう。だが…彼女は先日自分の能力に気付いたばかりだという。
あまりまだ彼女の存在をおおっびろにしたくない」
下手をすると未熟な力を使いすぎて命の危険すらもありえるかもしれない。
それほどまでに大きな力なのだから。
「そういえば、聖騎士、って何ですか?」
ふと聞きそびれていたので、テントに案内してくれた別の団員にと問いかける。
何かものすごく団員の人が先ほどより固くなっているのが気にかからなくもないが。
「それは、教団長に直属に使え、女王様に使えるにふさわしい、そう認められた騎士のことです。
ヒュウガ殿は以前その聖騎士に選ばれたことがあるのですが、事情がありまして……」
「そうなんですか。なら深くはききません」
事情、というのもは他人が深く追求するものではない。
人にはあまり触れられたくないこともある。
だからこそ、その当人から話をしてくるまでまつ。
それがやさしさであり思いやり。
「でも、ヒュウガさんってやっぱりすごい人だったんですね」
「それは、ヒュウガ殿は教団を出られても我々の憧れですから」
きっぱり断言するその言葉に、ヒュウガがよほど教団の人々に信頼され頼られていたことがわかる。
私もこれから頑張らないと。
ヒュウガさんに負けないくらい。
そうアンジェリークがおもったことを何やら畏まっている騎士団員は知る由もない。
-第17話へー
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あとがきもどき:
薫:さてさて。小説版ではここではディオン(笑
だけどゲームでは普通の団員vなのでこちらも普通の団員にしてみたりv
名前がでてこないのは、まあ気にしないようにv(自覚あり
さて、次回でようやくカール保護、ですv
それからレインの解読イベント~でベルナール兄さんの登場ですv
何はともあれ、ではまた次回にて~♪
2008年5月10日(土)某日
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