まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

今回は、ほとんどゲームにでてきた幸福度メーター。
あれのお話、意味はないです(笑
そういえば、アニメにもあれってでてくるんですかねぇ?謎……
ちなみに、これを打ち込みはじめたのもあり、再びネオアンジェのゲームを進行中。
といっても、あれってその気になれば数時間でクリア可能ですけどね…(実話
何はともあれ、いくのですv

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銀花の園   ~手鏡のコンパクト~

「おや?」
「?何だ?」
陽だまり邸の屋敷の前。
そこに何やらぽつん、とおいてある小さな小包。
高原の村モンタントから戻ったのはほとんど夕方近く。
すでに夕焼けが周囲をおおいつくし、陽だまり邸と、そしてその庭先を夕焼け色にと染め上げている。
「あの、何か?」
馬車を降りたアンジェリークも二人の様子に気付いて問いかける。
リースにて馬車の運転手をしていた人はすでに家にともどしている。
馬車を操っていたのはニクス。
馬車をきちんと収納庫にと納めて屋敷にもどったところ目についた小さな小箱。
「…って、どうやらアンジェリーク宛のようだぜ?」
箱の上にメッセージカードのようなものがあり、そこには、アンジェリーク宛、とかいてある。
「…って、送り主も…?」
送り主のところにも、アンジェ、とかいてあるのが目につき一瞬首をかしげるレイン。
彼女が何か品物を頼んでいたものがここに送られてきた、という可能性もなくはないが。
それだとこんなに丁寧に贈り物のように梱包されている、とは到底おもえない。
「って、ええ!?アンジェちゃんから!?」
ぱっ。
その言葉にアンジェリークの顔が満面の輝きとともに笑みにかわる。
今日もまたいろいろなことがあった。
いろいろなことがありすぎて、いつもの手紙をだすことすらできていない。
ここに届いている、ということはおそらく校長先生が気を利かせてこちらにまわしてくれたのだろう。
そう自分の中で解釈するアンジェリーク。
事実は、当人たちがここにきておいていったのだが、そんなことを彼女は知るはずもない。
「…おや?」
ふと、陽だまり邸の聖なる気がいつもより高まっているのを感じてふとつぶやくニクス。
確かにいつもより強く聖なる力が屋敷よりみなぎっている。
それが何を意味するのかはニクスには判らないが。
「って、知り合いか?って同じ名前なのか?」
「ええ。幼友達なんです。セレスティザムのほうに住んでいる子なんです。私と同じ名前の持ち主なんですよ?」
もう、ずいぶんとあっていない。
最後にあったのは彼女が学園に入学したとき。
それでも忘れずにときおり、こうしてプレゼントや手紙がとどくのがとてもうれしい。
「へえ。どんな子なんだ?おまえと同じ名前って珍しいな」
アンジェリーク、その名まえはそう多いものではない。
聖なる聖都に近ければなおさらに。
聖なる御名にあやかりその名まえをつけるのことすらも畏れ多い。
そうおもっている人々がかつては多くいた。
ゆえに口頭でそのことは伝えられてはいるが、性格なところは伝わっていないのも事実。
「ものすごくかわいい子なんですよ。そばにいるだけでとても何かこう、気分が安らぐ、というか。
  金色の髪に緑の瞳をしている女の子なんです。あいたいな~」
きっととてもかわいく成長を遂げているのであろう。
一瞬、そのアンジェリークの言葉に目を丸くするニクス。
脳裏に浮んだのは、かつて出会った少女の姿。
金色の髪に緑の瞳。
彼に自身の運命と、そしてその身に秘めている力のことを教えた少女の姿。
神鳥の宇宙の女王陛下――
この地、アルカディアを見守った二人の女王のうちの一人。
タナトスの主となる存在、【残留思念】それが目覚めたのは他ならない、素質をもつ子が生まれるがゆえ。
だが、いつの時代も素質を持つこは率先して先手を打たれて死亡していた。
聖なる力が満ちれば、それに伴う負の力でもあるソレが気付かないわけがない。
だからこそ、この十六年、その存在を消すためにソレらが躍起になっているのだから。
「まあ、とにかく。屋敷の中にはいりましょぅか?」
「だな」
きゅっと小箱を抱えて懐かしそうにつぶやくアンジェリークをみつつも、屋敷の中にと促すニクス。
それに続き、レインもまた扉をあけて屋敷の中にと入ってゆく。

「何かしら?」
わくわく。
「あ、かわいい♡…でも何で知ってるのかな?
  私が子猫を飼いはじめたの?エルヴィンの毛並みによく似合いそう♡」
箱の中にはいっていたのは、
金の編みこまれた鎖に花柄にカットされている小さな石がちらばめられているかわいらしい猫用の首輪。
サイズはどうやら調整自由らしく、のこった鎖部分はたらしてアクセントにできそうである。
そしてもう一つは、コンパクトのような品物。
「すごい。細かい細工…こんなもの、いいのかしら?」
重みはあまり感じられない、というかものすごく軽く感じる。
だがしかし、基本、金としたコンパクトでその表面には銀色の浮き彫りが施されている。
銀と金の調和がとても綺麗であり、とても細かな細工もの。
「猫に…それから、これは…木、かしら?」
銀色の浮き彫りは、猫の後ろに彫られてある銀色の大樹と、そして猫の姿が浮き彫りになっており、
そしてその周辺は金の細かな羽のような模様が刻み込まれている。
大きさ的にコンパクトのようにも見て取れる。
そのまま、ぱかっと手の平サイズのそれを手にとり中をあけてみる。
「うわ~、かわいい!」
どうやら鏡のコンパクトらしく、正面には色とりどりの石をあしらった金の細工に、
石に取り囲まれるようにして存在している小さな鏡と。
そしてまた、鏡とは反対側、つまりは下側にはその左横に小さなはさみと折りたたみ式の櫛がはいっている。
つまりどうやらこれは身だしなみ用のコンパクト、と見て取れるが。
それ以外の場所には花の紋様が浮き彫りに色とりどりになされており、
下のほうには銀色のプレートのようなものが刻まれている。
何か文字らしきものが見て取れなくもないが、それはアンジェリークには読むことができない。
くるっと後ろをみてみれば、やはり後ろにも羽のような模様が刻み込まれており、
そして下のほうにも何か文字が二列ほど刻まれているのが見て取れる。
大きさからしてちょぅどポケットにいれて持ち運べるサイズ。
『アンジェリークへ。お元気ですか?これからいろいろと大変でしょうが、少しでもこれを役立てて頂戴ね♡
  きっとあなたの力になりえるものだから』
「え?アンジェちゃん…今回の手紙はこれだけ?」
少し寂しいような気がしなくもないが、だけどもその心遣いがうれしい。
でも、どうしてこれから大変、というのを知っているのかしら?
私はまだ手紙で知らせていないのに。
「エルヴィン。お前の首輪をもらったわよ?」
「にゅ~!」
アンジェリークが金の鎖を手にしてエルヴィンに見せるとまるで喜んでいるように高く鳴く。
というか、尻尾もぱたぱたしているのはよほどうれしいのか。
白と銀の毛並みに金の鎖の首輪はよく似合う。
正面部分にあまった鎖部分をたらしてみれば、ちょっとした貴族猫のよう。
「でも、これ、何てかいてあるのかしら?そうだ。ニクスさんたちならよめるかしら?」
コンパクトに刻まれている文字がはっきりいって読めない。
どうやら後ろに書かれている文字と、中に書かれている文字は異なるらしい、それくらいしかわからない。
たしか、レインは博士とかいってたから、レインのほうが詳しいかな?
そうおもい、
「エルヴィン。ちょっとでてくるわね」
ばたばたと、コンパクトを手に持ち部屋からでてゆくアンジェリーク。
「にゃぅ」
そんなアンジェリークの声にこたえるかのようにちょこん、とお座りをしていななくエルヴィン。
確か、レインは……
部屋にいっても誰もいなかった。
今日の食事当番はレインのようなことをいっていたからきっと台所ね。
アンジェリークの当番は明日。
人に食べてもらえるようなきちんとした夕食を彼女はつくったことがないが。
よくてお菓子やデザートは許可をもらいつくっていた程度。
それでも調理実習において一応は基本的なものはつくれるようになっている。
そうおもいながらも、ばたばたと台所のほうにむかって広い屋敷の中をかけてゆく。

「レイン。今、ちょっといい?」
「お、どうかしたのか?」
案の定というべきなのか、それとも予測どおり、というべきか。
手際がいい、とはこういうことをいうのであろう。
どうやら今日のメニューはシーザーサラダのようである。
それとモンタントにて購入した新鮮な小麦粉を使った品。
野菜の下ごしらえをして、次の料理に取り掛かろうとしていたレインを台所の出入り口から呼び止める。
「ええ。後からでいいんだけど、ちょっと教えてもらいたいことがあるの。いい?」
今すぐに知りたいのは山々なれど、レインの邪魔をしても悪い。
自分も手伝う、といったのだがそれはがんとして聞き入られなかったのだから仕方がない。
もっとも、アンジェリークと二人っきりになるとレインは落ち着かないので断ったのだが。
とうのアンジェリークはそんなことを知る由もない。
「ああ。かまわないぜ?」
「ほんと!?よかった。送られてきた品物の文字がよめなくて困ってたの。レインならわかるかな?とおもって」
ほっと胸をなでおろし、そういうアンジェリークの台詞に、ぴたっと手をとめ。
「?読めない文字?どんなものだ?」
学園で基本的な文字は習うはずである。
それなのにそれが読めない、となるとよほどの字がきたないのか、もしくは珍しい文字なのか。
「え?これなんだけど……」
いって、手の平にもっていたコンパクトを差し出すアンジェリーク。
その細かな細工がとても印象深い。
「これは…っ!?」
こんな細かな細工モノは今だかつてあまりみたことがない。
というか、ここまで細かな浮き彫りなど聞いたことすらない。
しかも手渡された小さなコンパクトらしい品の素材は見たところ金。
金と銀で施された見事な細工。
くるっと後ろを見てみれば、たしかにしたのほうに二列ほど何かの文字が刻まれている。
「それ、手鏡のコンパクトみたいなの。中にも何か文字がかかれているんだけど、よめなくて」
アンジェリークに言われて、ぱかっとコンパクトをあけてみる。
その中の細工の見事さにもおもわず絶句してしまう。
こんな高価以上、ともいえる品をぽんっと送ってきたアンジェリークの幼友達、というのがとても気になる。
否、それ以上に、まったくこのコンパクトの重みを感じないのはいったい全体どういうわけか。
レインはその研究上、そういったものを幾度かみたことがある。
それは古代の神話の時代の品、とよばれているアーティファクト、と呼ばれる品々。
今現在の人の手では到底模造することも難しいもの。
コンパクトの後ろに刻まれている文字は、いまだに解読以前の伝説の精霊たちがつかっていた。
ともいわれている聖なる文字であるのは明白。
そして、中にプレートのようなものが浮き彫りにされており、そこに刻まれている文字は…
「これは…古代アルカディア文字?」
この大陸が成り立った当時というか安定したときに使われていた、という文字に酷似している。
しかも、気になるのは鏡の周囲にちりばめられている九つの色をしている石。
それはまるで、まるでそう。
今現在確認されているオーブのそれと同じ色。
「…幸福度……メーター?」
かろうじて読めるのはそれくらい。
もっと詳しく調べればいろいろと判るのであろうが。
「幸福度?そうかかれているの?何のことかしら?」
「さあな。あ、これ後から借りてもいいか?もっと詳しくしらべてみたい」
「ええ。おねがいするわ」
せっかくもらったものなのだから、きちんと何がかかれているのか知りたい、とおもうのは人の常。
だが、その書かれている新の意味をアンジェリークが知るとき、それはこの世界の未来を指し示す。
その事実をアンジェリークは知らない。
とりあえず、一度アンジェリークにそれを返す。
かなり興味がある品であることには変わりがないが、今それに関わったら間違いなく、
自分はかかりっきりになるであろうことは必然。
そうすると、今日の夕食の準備が滞ってしまう。
ニクスのかなり精神にくる説教じみた話を聞きたくはない。
とりあえず、レインからコンパクトをうけとりつつ、
「あ、やっぱりレイン、私もお手伝いするわ」
「え、あ、お、おいっ!」
きゅっと髪の毛を後ろでしばり、手に巻いていた布で一つにまとめる。
そのまま、レインが止めるまもなく食事の手伝いをしてゆくアンジェリークの姿が、しばし見受けられてゆく。


「ふわぁぁぁ~~」
何とも盛大なあくび。
「大丈夫?レイン?」
思わず心配して声をかける。
どうやら昨夜、レインはあまり寝ていないらしい。
「そんなに急がなくても……時間のあるときでいいんだから」
それがアンジェークが解読を頼んだ文字のため、
というのは何となくだが理解しているがゆえに申し訳なさそうに話すアンジェリーク。
どんなに緊張しているときでも、寝不足からくるあくびはどうにもならない。
ましてや、馬車に揺られている最中ならなおさらに。
「いや。大丈夫だ。それにあれはかなり解読する価値はありそうだしな」
裏面に書かれていた文字のうち、いまだかつて解読されている唯一の文字。
女王。
その文字があきらかに刻み込まれている。
港町ファリアンにタナトスが現れた。
そう連絡があったのはつい先ほど。
ファリアンはレインの故郷でもあることからアンジェリークとレインとで急いで向かっている今現在。
それほど緊張していないのは、おそらく街の中、というか街はずれで見かけた。
という情報だからであろう。
それでもほうっておくわけにはいかない。
「そうなの?アンジェちゃん、何をおくってきたのかしら?普通のコンパクトタイプの手鏡じゃないの?」
「いや、それだけじゃないような気がする」
見ただけでもかなり高度な何かが組み込まれているような感覚。
分解してみたいが、そういうわけにもいかないであろう。
試しとばかりにアンジェリークに中のプレートらしき場所に触ってもらうと案の定。
鏡の部分に何らかの文字が浮かび上がってきた。
それが何を意味するのかすらも今もってわからない。
アンジェリークの昨夜の夢で、この地の幸福度を測るもの云々、という夢をみてはいるが。
それをレインにいえば何となく笑われるような気がしていえないでいたりするアンジェリーク。
まあ、夢の中でコンパクトの説明らしきものをうけた、といっても普通は信じられないのは当たり前。
だからこそ誰にもいっていないアンジェリーク。
何が書かれているのか、どういった用途があるものなのか。
それは判らないにしろ、普通に手鏡として使えるのには変わりがない。
ちょっとした形態式の身だしなみグッズ、ともいえるのだから。
それゆえに、ポケットの中に朝方レインから受け取り、コンパクトは常に持ち歩いているアンジェリーク。
「そういえば、ファリアンはレインの故郷なんですって?」
ファリアンにタナトスが現れた、そう聞いたときレインの顔色が一瞬険しくなったのは、
それはおそらく自身の故郷だからだろう。
そう判断しているアンジェリーク。
だが、レインの危惧しているのはそこではない。
いくら全ての研究成果や資料を破棄したとはいえ、似たような研究をあの財団のことである。
していない、とは限らないのだから。
「え?あ、ああ。まあな。いろんな人や品物があっておもしろいぜ?」
「タナトスを浄化したらあとからいろいろと案内してもらえる?私、海ってみたことないの」
「…おま、ほんと~に箱入りなんだなぁ」
「だって。仕方ないじゃない。時間があればとにかく勉強してたんだもの」
ハンナとサリーにつれられて外にでた、といっても所詮はリース付近、もしくはフルールの村まで。
あとは彼女たちの実家に案内された、というくらいである。
彼女たちの家があるのは首都ヴォードン。
ゆえに、アンジェリークは海、というのを話でしか聞いたことがない。
「まあいいさ。これから依頼をこなしていく最中、このアルカディア中をいろいろ移動することになるだろうしな」
「ふふ。楽しみだわ。でも、楽しんでばかりもいられない、のよね。
  それだけ苦しんでいる人がいる、ということなんでしょうから」
レインの言葉に一瞬ぱっと笑みを浮かべるものの、すぐさまに沈んだ顔になる。
様々な場所にいくのはたしかに楽しみではある。
彼女はこのアルカディアのことをほとんど知らない。
だがしかし、それは裏を返せばどこででもタナトスの脅威に苦しんでいる人々がいる、ということ。
「まあ、大体タナトスが出現するような場所はある程度決まってるところは決まってるしな。
  今度、案内してやるよ。探索をかねて」
焔の砦や湖など、よく出現ポイントとして知られている。
だからこそ二人で手分けしてはタナトスを浄化してまわっていたニクスとレイン。
今はアンジェリークがいることから、一度倒したタナトスが復活する可能性がない。
それだけでも彼らにとってはかなり効果のあること。
何しろ、倒した日付、そしてタナトスの種類をきちんと把握しておかないと、すぐさまにまた復活していた。
だが、今はその心配がない。
「そういや、お前のその送られてきたコンパクトなんだが」
「え?これが何か?」
ふと思い出したようにレインにいわれ、ポケットからコンパクトを取り出して眺めるアンジェリーク。
「ああ。そこの表に浮き彫りで刻まれている銀色の木、なんだがな。
  もしかしたら聖都セレスティザムの中にあるといわれてる聖なる大樹かもしれないぞ?」
「聖なる…?」
「俺も話でしか聞いたことはないが。何でも珍しい銀色の大樹らしいぜ?
  ほら、それも丁寧に銀色の浮き彫りで細工がされてるだろう?」
言われてみればたしかに、丁寧に銀色の浮き彫り細工で木はコンパクトに刻まれている。
それもとても細かな細工で。
「ええ。あとは猫も銀色で細工されてるけど」
「もしかしたら、お前にそれをおくってきたという子は、お前のお守り代わりおくってきたのかもな」
聖なる大樹。
噂ではきくが、誰一人とて見たことがないという聖なる木。
もっとも、幾度かかつて忍び込んで実際にみたことがあるレインだからこそ、
そこに刻まれている大樹が銀の大樹であろう、ということは容易に想像がつく。
そういえば、あのとき追いかけていた猫…この子猫に似てるけど。
まさか、な。
以前、どうにかして銀の大樹をみたい、そうおもってうろうろとしていたレインだが。
ふと、真っ白い毛並みの猫に大切なものを奪われ、それを追いかけていったところ銀の大樹の元にたどり着いた。
そんな経験をもっていたりする。
それゆえに、そこにたどり着くまでの隠れ通路を発見した、といっても過言ではない。
ふと思えば、あのときの猫はこの子猫エルヴィンに似ているような気がするのは気のせいか。
あのときは大樹のことに気をとられ、気付けば猫の姿はいなかったのだが。
「銀色って…本当に銀色なの?」
銀色の木などありえない色である。
それゆえにレインに問いかけているアンジェリーク。
「ああ、そういう話らしいぜ。だから銀樹騎士団っていうんだしな」
いわれてみれば、どうして銀樹騎士、というのか気にしたこともなかった。
だがしかし、レインのいうことを元にすれば、騎士団の名まえの由来も何となくわかる。
名まえだけはきいたことがある、セレスィア教団と、そして銀樹騎士団。
教団直属の騎士であり、人々をタナトスの脅威から守っている騎士団。
「そんな神秘的な木なんて、一度でもいいからみてみたいわ」
「だな。お、そろそろつくぜ」
「…うわ~」
ガラガラと馬車がすすむにつれ、きらきらとかがやく青く広い湖面らしきものが見えてくる。
思わず馬車の窓から身を乗り出すようにしてそれを眺めるアンジェリーク。
近づくにつれ、魚特有のにおいに近いような何かが匂ってくる。
いぜん、お土産といってハンナがくれた貝殻のにおいによく似ている。
「アンジェリーク。感動はいいが、気をひきしめろよ?」
「え、あ、はい。ごめんなさい」
くすっ。
そんなアンジェリークの素直な態度に、
「ま、あとからファリアンを案内してやるよ。まずは、タナトス、だがな」
「そうね」
そんな会話をしながらも、二人を乗せた馬車はファリアンの街へと入ってゆく。


                                -第13話へー

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あとがきもどき:
薫:コンパクトと首輪のイメージはあるのですが、絵が下手なので(涙
  おおまかなイラストみたいなのはとりあえず描いてはいますけどね・・・
  だけどサイトにきちんと乗せられるような代物ではなし……
  まあ、鏡の部分はよくあるティアラのようなそんな形のようなもの、そう捉えてもらって間違いないです。
  ちなみに、両方、ぱっとみためかなり高価そうなのはいうまでもありません(笑
  ゲームでは朝起きたらエルヴィンこと宇宙意思がコンパクトは用意してましたけど(笑
  この小説ではリモージュから送られた、という形をとっておりますv
  ようやく次回でファリアンの街編~
  ではでは、次回でようやくジェイド登場v
  んでは、また次回にてv

2008年5月9日(金)某日

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