まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

うわ。迷子の少女の名前を間違えて打ち込みしてた(こらこら
やはりゲームに忠実にしたいですしね。名前がわかっているものは。
まあ、名前がでてこない人はどうにもなりませんが。
完全設定資料集をかえばわかるのかなぁ?
ともあれ、いっきますv

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銀花の園   ~迷子の少女~

「にゅうっ♪」
「って、エルヴィン!?」
いるはずがない。
というか確かに屋敷においてきたのに。
いきなり目の前に現れて驚愕の声をだすアンジェリーク。
「って、こいつまたついてきたのか?」
というか、馬車の中を再度確認したときには姿がみえなかったが。
こいつ、本当に猫なのか?
まあ、猫だからゆえに、どこかの隙間に隠れてついてきた可能性は捨てきれない。
ないが、ここまでついてくるとは想定外。
「おまえ、またついてきちゃったの?危ないからおいてきたのに」
「にゅにゅ」
すりすりすり。
ひょい、とアンジェリークが抱き上げて話しかけると、すりすりと体を摺り寄せるようにしてくる子猫の姿。
「もしかして、おいていかれるのは嫌なのかもしれませんね」
「一人は寂しいのかしら?」
その思いはわかる。
一人ぼっちはとても寂しいもの。
「もう、じっとしているのよ?」
「にゅうんっ」
仕方がない、というようにため息をつき、エルヴィンを視線と同じ高さにあげて言い聞かす。
「にゅ、にゅ、にゅ~」
すると、何かいいたそうに、顔のみをとある方角にと向けて何やら訴えてくる。
「?何かいいたいみたいですね」
「何かあるの?エルヴィン?」
「にゅ、にゅ、にゅにゅ」
何かを訴えているようなその行動。
と。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
森の奥のほう、今エルヴィンが訴えていた方角のほうから聞こえてくる叫び声。
「レイン君!」
「わかってる!…あんたはアンジェリークと一緒にあとからこいっ!」
ニクスは運動があまり得意ではない。
一刻を争う場合にはレインのその体力が勝負となる。
「あ、あの?私なら大丈夫ですけど…」
てっきり自分を心配してニクスがこの場にのこったのかとおもうと心苦しい。
彼とて悲鳴の主を一刻もはやくたすけたいはず。
「いえいえ。おはずかしい話ですが、私は体力がないのですよ。体もそう丈夫ではないですしね。
  とはいえ、急がないといけないのも事実ですし。いきましょうか、マドモアゼル?」
「あ、は、はい」
体が丈夫ではないのに、それでも人々の為に無償で働いている。
私も、私もできうる限りのことをしないと。
ニクスの言葉にさらに勇気付けられ自分のすべきことをさらに見据えるアンジェリーク。
タナトスと戦う、ということは命の危険も伴うものなのだから。

バンバン!
「お、おい、あんた、大丈夫か!?」
その場にタナトスに取り囲まれて行き場のなくなっていた男性。
囲まれている、といっても見えるタナトスは三体。
「あ、ああ。たすかった。あんたは確か……」
確か、陽だまり邸のニクスと共同でオーブハンターをしているレイン博士。
どうして彼がここに?
そうは思うが、
「た、たすかった。って、後ろ!」
ふとみれば、レインの背後からタナトスが蔦を繰り出し攻撃をしかけていたりする。
「ちっ」
バンバンバン!
レインの放つ光の銃弾によりタナトスの蔦はことごとく打ち落とされる。
一人で他人を護りつつ戦う、というのは確かに面倒であることは事実。
だがしかし、放り出すわけにはいかない。
一般の人々はタナトスに対抗するすべをもたないのだから。
と。
バシュ
「レイン君、大丈夫ですか?」
ふと、光の鞭が伸びてきて、さらにタナトスが伸ばした触手をそのまま綺麗に断ち切る様子が見て取れる。
「ニクス!相手はマンドラゴラ、三体だ」
「みたいですね。アンジェリーク、あなたはあの人をお願いします。どうやら怪我をなさっているみたいです」
ちらり、とレインが護っている人物のほうをみれば、たしかに足から血を流しているのが見て取れる。
ズボンの上に血がにじんでいるのが見て取れる。
「はい。わかりました」
だっと駆け出しその男性のほうにと駆け寄るアンジェリーク。
レインとニクスの手により、タナトスはどうにか押しとどめられている。
「エルヴィン、いい子にしててね」
とりあえず、そっとその場にエルヴィンを下ろし、座り込んでいる男性のそばにと近寄るアンジェリーク。
「?あんたは?」
どうして女の子がこんなところに?
などとはおもうが、ニクスたちと行動を共にしている、ということは依頼者か何かなのかもしれない。
そう判断を下すその男性。
紫の髪に薄い茶金色の瞳。
首にまいているスカーフは一応便利性を追求してのことなのか。
朱色のジャケットにズボン。
その首からさげている大きな写真機。
こんな場所には格段に似つかわしくない人物ではある。
「少し痛むかもしれませんけど、我慢してくださいね」
すばやくズボンを巻く利上げ、傷をおっているとおもわしき場所に形態していた水を噴きかけ、ハンカチでぬぐう。
常に何があるかわからないので清潔にしているハンカチは何枚も持ち歩くようにしている。
そして、携帯式の包帯なども。
きょろきょろと周囲をみれば、ちょぅど怪我などによく効く草が目にとまる。
「少し染みますけど、我慢してくださいね」
この草の汁はけっこう万能。
消毒高価もあれば、そしてまた滅菌高価もある。
少し難点なのはその汁がなかなか体についた場合洗っても洗ってもとれにくい、という点。
小さくきっているガーゼに簡単に水筒の中の水であらった草をつつみ、傷口にと押し当てる。
「…っ!」
何ともいえない痛みが男性に襲い掛かるが、それを合えて我慢する。
「アンジェリーク!」
男性の手当てをしている最中、ふと呼ばれ振り向くアンジリェーク。
レインが何をいいたいのかは理解できる。
みればタナトスはかなり弱っており、たしかに今が好奇。
「すこし、傷口をこれで押さえていてください」
「あ、ああ」
言われるままにアンジェリークの手から草の入っているガーゼを受け取り傷にとあてる。
そのまま、すっとその場に立ち上がり、レインたちのほうにと少し近づく。
球根に双葉のような葉のようなもの、そしてその上にある二本の触手。
その姿のタナトスはマンドラゴラ、と呼ばれている。
色によりその強さというかしつこさは異なるようであるが。
だが、そんなことはどうでもいい。
すっと目を閉じて胸の前で手を祈りの形に組むアンジェリーク。
自分の中にあるとおもわしき能力にむかって祈りをささげ語りかけるために。
「浄化の光よ。世界をやさしさで満たして」
祈りをささげ、アンジェリークがつぶやくと同時。
淡い金色の暖かな光がアンジェリークの体から立ち上る。
その光はタナトスを包み込み、タナトスの体そのものを光の中へとかき消してゆく。
「…な…!?」
おもわず目の前にて繰り広げられた光景が信じられずに戸惑いの声をあげる男性。
あわてて、胸のカメラに手をかけるものの、だが被写体が近すぎる。
それに何よりも後ろ向き。
写真をとるのにいい具合ではない。
タナトスを退け弱らせる力をもっている人々がいることは知っている。
だがしかし、完全に浄化させる能力者など、しかも女性。
今だかつて一度もそのようなことは聞いたこともない。
ふとみれば、タナトスにより周囲のかれてしまった木々もまたその命の輝きを取り戻している様が見て取れる。
「アメイジング!アンジェリーク!」
「お疲れさまです。マドモアゼル。そういえば、そちらにいるのはロシュ殿とお見受けしますが?」
完全にタナトスを浄化したアンジェリークに向かい、かるく指を立ててよくやった、といっているレイン。
アメイジング、というのは彼の癖のようなもの。
「このひと、ニクスさんのお知り合いなんですか?」
痛みすら忘れて思わず立ち上がっている男性のほうを振り向き首をかしげるアンジェリークであるが。
「って、立ち上がるのはまだまってください!きちんと包帯をまいてから、でないと化膿してしまいますよ!?」
そんな彼の元にちかづき、少しつま先で立ち上がり、ぐいっとその場に座り込ませるアンジェリーク。
「あ、お、おい!アンジェリーク!?」
その様子はハタからみれば、相手に抱きついているようにも見て取れる。
そういう気がないのはよくわかるが、相手によっては誤解させてしまうのもまた必死。
アンジェリークからすれば、誤解、という意味すらも判っていない、というのが実情。
それゆえに、あわててアンジェリークの行為を止めようとして声をだしているレインに。
「おやおや」
その様子をみて思わず苦笑しているニクス。
「ほら、きちんと傷口をみせてください」
目の前にいきなり女の子が背伸びをして自分の肩を押してきた。
それゆえにバランスを崩してその場に座り込む格好になっているロシュ、と呼ばれているその人物。
ちなみに、一瞬のことではあるがアンジェリークがロシュを押し倒したような格好になっていたりするのはお約束。
だがしかし、そのまま怪我をしている足のほうにと視線をむけて、てきぱきと治療を始めているアンジェリークの姿。
どうやら目の前の少女にそういう気がないのはよぉぉく判ったが、だがしかし。
この体制だけはどうにかしてほしいと切実に願ってしまうのは男性ゆえ。
ちょうど視線の先にアンジェリークと呼ばれた少女の胸元が嫌でも目にはいってしまう。
あわてて視線をそらせば、何やらため息をついているレインの姿がロシュの目にとまる。
「はい。これで大丈夫ですよ。でもあまり無理はしないでくださいね」
何があるかわからないときのために持ち歩いていた包帯を足にまいて、にっこりと微笑みかけるアンジェリーク。
どうやら今自分がどのような格好で何をしたのか、というのは一切理解していないらしい。
「あ、ああ。って器用なもんだな」
綺麗に巻かれている包帯をみて思わずつぶやく。
「慣れてますから」
アンジェークはもともと、医者志願であった。
ゆえにこそ、こういった怪我の応急処置などはお手の物。
「それより、どうして情報屋のあなたがこんなところに?ロシュ殿?」
「たしかに。お前がこんなところにいるのは珍しいな」
どうやらニクスもレインも彼のことを知っているらしい。
「あ、あの?ニクスさん?レイン?彼のことを知っているんですか?その情報屋って?」
アンジェリークにはなじみのない言葉。
だからこそ首をかしげる。
「そういえば。あの、ロシュさん、でしたよね?私たち女の子を捜しているんですけど。
  この森の中で見かけませんでしたか?」
ふと彼ならば何か知っているかもしれない、そうふと思いついて話題をかえて問いかける。
「もしかして、あんたたち、アンヌちゃんを探しにきたのか?
  いや、俺もアンヌちゃんを探しているんだ。途中ではぐれちゃって……」
一人で森にむかっているルリをみつけて追いかけた。
説得しても聞く様子がまったくなかったので妥協して彼が一緒に天使の花畑にいったはいいものの。
途中でタナトスに出くわし、自身が囮になって彼女を逃がした。
その後、うまくまいてアンヌを探していたはいいものの、今度は三体ものタナトスに襲われた。
目の前の少女が今目の前でつかった能力にはかなり興味がある。
あるが今は何よりも子供の安全が大優先。
「それはいけませんね。とにかく、探すとしましょう」
「にゃぁ」
「って、エルヴィン!?どこにいくの!?」
しばらくその場でいい子で座っていたはずのエルヴィンがいきなりくるっと向きをかえ走り出す。
そして、少し走ってすすんではその場にとまり、まるでアンジェリークたちを呼んでいるかのように振り向きしばらく立ち止まる。
「もしかして…呼んでるのかしら?」
「確かに。闇雲に探してもラチがあきませんね。とにかくいってみましょう」
たしかにおびいているのだろう。
アンジェリークたちが自分の後についてきた、とわかればまた移動して立ち止まる。
そして彼女たちが完全についてゆく、と決断すると同時にそのままとててと森の奥のほうにむかって走り出す。

くすん、え~ん、え~ん。
子猫エルヴィンについてゆくことしばし。
やがて風にのり子どもの声が聞こえてくる。
「この声、アンヌちゃん!?」
その声をきいて声がするほうこうに駆け出してゆくロシュの姿。
「本気であの猫、俺たちを子どものところに案内してたみたいだな」
「これは驚きですね」
「猫の嗅覚ってすごいのかしら?」
「いや、というかあの猫が犬並、もしくは犬なんじゃないのか?」
猫に合わせて走っているのでそんなに足の歩みは早くない。
ゆえにこんな会話をしながら走っているアンジェリークたち。
確かに、犬ならばそういう話もざらにきく。
だが、猫、というのは聞いたことがない。
中にはまあ犬並みの猫がいてもおかしくないが。
あの子猫はその『中には』の部類におそらくはいるのであろう。
がさり。
「にゅうんっ」
茂みをぬけると同時に、その場に座り込み一声いななくエルヴィン。
みれば、自然の洞窟を前にして座り込んでないている小さな女の子の姿が見受けられる。
「アンヌちゃん!?」
「って、ロシュおに~ちゃん!うわ~ん!こわかったよ~~!!」
泣きながらもしっかりと、その手に花束と小さな花カンムリらしきものを握っているのが何ともいじらしい。
ロシュの姿をみて泣きながらロシュのほうにとかけよってくる小さな女の子。
と。
「しゃぅっ!」
何か警戒したようなエルヴィンの声。
ふとみれば、洞窟の奥から伸びてくる薄い蔦のようなもの。
「あぶないっ!」
バシュ。
即座に反応したニクスが鞭を発動させてその蔦を光で焼ききる。
ゆっくりと洞窟内部からでてくる、先ほどのタナトスとまったく同じ容姿をしているものが一体。
「な!?またマンドラゴラか!?」
影のみみて叫ぶレインに対し、
「否、違いますね。色が薄いですし」
冷静にその姿を見極めて断言しているニクス。
確かに容姿はマンドラゴラとまったく同じ。
だがしかし、異なるのはその存在の仕方。
ほとんど背後が透けてまるで透明の物体、としかいいようがないその容姿。
「たしかに。ならアウラウネ、か。楽勝だな」
マンドラゴラと異なり、この手のタナトスはかなり弱い。
攻撃が決まったパターンしかなく、おかげでこちらから反撃もしやすい。
「ロシュ。あんたはその子をたのんだぜ!」
「わかった」
「あ、お花さんが……」
ふと手にしていた花が一気にしおれてゆく。
それゆえに泣きそうな声をだしているアンヌ、と呼ばれた少女。
マリーの娘であり、そしてまたアンジェリークたちが探していた少女本人。
せっかく、ママとそしてあかちゃんのためにつんできたのに。
彼女が無理を押してでも花を摘んできたかったのは、何よりも母のため。
そしてまた、産まれてくる赤ん坊のため。
アンヌは今は六歳。
ゆえにこそ、両親、そして赤ん坊のことを大事におもう。
すくなくとも、タナトスなんかに奪われたくはない。
だからこその、花。
天使の花畑の花々は人々に幸福を届けてくれる、そういわれているから。
バンバン。
バシッ!
周囲の木々もまた一気に枯れてゆく。
ニクスとレインの攻撃により力を失ったタナトスが周囲の木々から生気を奪い取っている証。
「アンジェリーク!とどめを!」
「はいっ!」
さきほどの今である。
連続して二度の浄化。
連続しての行動など本当にできるかなんてわからない。
ただ、アンジェリークは自分の信じる道をいき、できることをするのみ。
アンジェリークの祈りとともに、淡い光が周囲を包み込んでゆく。
一度ならば偶然、で片付けられるかもしれない。
だが、二度。
しかも自身の目の前にての信じられない光景。
二度とも写真を撮りそびれたのは、一重に驚き以外の何ものでもなかったゆえ。
何しろ、ロシュの目には確かに、アンジェリーク、と呼ばれた少女の背に白き翼が視えたのだから。
「ロシュお兄ちゃん!みて!」
そしてまた、ロシュが両手で肩に手をおき護っている少女から驚きの声が発せられる。
少女もまた、目の前の青い髪のお姉ちゃんが光っているのに驚くが。
それと同時、手にしていた花々と花のカンムリがまるで命を取り戻したかのように元の姿を取り戻す。
先ほど、タナトスに生気を奪われ完全に枯れた、とおもわれたのに。

「…あら?」
気のせいじゃないような気がする……
朝と比べてたしかにブレスレットの石の輝きが増しているようなきがする。
今度は鋼色と緑の色の石が心なしか輝きを増している。
「アンジェリーク。お疲れ様」
「よく頑張りましたね。連続の浄化は大変でしたでしょう」
それも時間をおかずにの浄化。
彼らとてタナトスと戦うとかなりの体力を消耗する。
それがこんなか弱い女の子、しかもその力の素質が根本的から異なる力をつかえばどうなるのか。
その結果はニクスにもレインにもわからない。
「あんた。浄化能力をもっているのか?しかも完全な?」
ようやく我にもどったロシュ、と呼ばれた紫の髪の男性がアンジェリークにと問いかける。
年齢のほどはアンジェリークたちとあまりはなれていないだろう。
情報屋、というのがアンジェリークにはいまだによくわからないが。
「私にもよくわからないんです。ですけど私にできることがあるなら、とおもってニクスさんたちのお手伝いをしているんです」
それがアンジェリークの本音。
自分にそんな能力があるならば、人々の為に役立てたい。
その力がいつなくなってしまうかわからない。
それでも、すくなくともその間に助けられる人はいるはずなのだから。
「しかし。小さなレディが無事で何よりでした。さ、お母上が心配しましたよ?はやく村に戻りましょう」
「そういえば、あのマリーさん、産気づいていましたよね。急いでもどりましょう」
精神的な不安は、お産を難産にするだけでなく下手をすれば母子とも危険に陥る。
アンジェリークは医者を目指していたがゆえにそのことは十分に理解している。
自分たちが彼女を助ける、とはいっても母親なのだ。
心配でたまらないはず。
その不安は体力にも影響する。
ニクスの言葉にはっとなり、あわててエルヴィンを抱き上げながらもいっているアンジェリーク。
「って、そりゃ大変だ。急いでもどらないと」
ロシュもまた伊達に情報屋で生計をたてているわけではない。
アンジェリークがあわてる不安も何となくだが理解理できる。
お産は命がけの行為。
それなのにどこか集中できないことが心の片隅にでもあるならば、それは母子とともに危険な道に叩き込む。
「すいませんが、レイン君とロシュ殿でそのお子さんを連れて先にもどっていてください。
  少しばかり私は疲れているようです。あなた方二人のほうが早く村に戻れます」
確かにこころなしかニクスの顔色が悪い。
それは近くを流れている小川の音によるものなのだが。
そんなことはアンジェリークは知る由もない。
「わかった。アンジェリークはニクスを頼む。いくぞ!ロシュ!」
「ああ」
ひょい。
アンヌをそのまま軽くいつものように抱き上げて肩車。
そのまま、アンヌを肩にのせてレインとロシュは元きた道。
すなわち、フルールの村にむかって走ってゆく。
そんな二人の姿を見送りつつ、
「あ、あの?ニクスさん?大丈夫ですか?」
「え、ええ。少しばかり気分がわるくなっただけです。私たちもいきましょう」
「でも無理はしないでくださいね?」
いいつつ、残っていた水でハンカチをひたし、ニクスの額にそっと押し当てようとするものの背が足りない。
アンジェリークのその気持ちがわかったのか、ひょいっとアンジェリークの手からハンカチをうけとり、
「ありがとうございます。アンジェリーク」
お礼をいいつつも、少しばかり顔にとあてる。
ひんやりとした水の冷たさ。
それはあのときを連想させるので嫌なはずなのに、この冷たさは心地よい。
きっとこれも彼女の力、なんでしょうね。
全てを癒し、慈しみ、育む聖なる力。
それが彼女、アンジェリークに宿りし秘めた能力、なのだから。


                                -第9話へー

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あとがきもどき:
薫:さてさて。次回はお産のシーンvといっても表現はぼやきますけどね。
  お産は本当に女性にとっては命がけ~それはどの生命にとってもいえること。
  中には生物によっては男性がその役目を担う命もありますけどね。
  しかし、そんな大変なのに日本の医療的にはあまり保障がなされていないこの現状…
  まあ、そういう保障がまったくない国もあるんだから文句をいっても仕方がない。
  といえばそれまで…なんですけどねぇ。
  何だかなぁ……
  ともあれ、次回に続きますv
  一つのネタでいったい何話かかるんでしょぅか?(自覚ありv
  ではまた、次回にて♪

2008年5月7日(水)

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