まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて、陽だまり邸に続いてエルヴィン~♪
さらについでにそのまま少し原作ゲームと設定かえてそのまま戦闘v
次回から本格的に活動開始のアンジェリークですv
ではではvひとまずどうでもいいけどいくのですv
#####################################銀花の園 ~子猫・エルヴィン~
「かわいい猫ですね」
銀色の毛並みに青い瞳。
その白き毛と銀の毛並みがとても珍しく、何かを連想させるかのごとくなその姿。
「たしかに。珍しい毛並みではあるよな。そいつ」
なぜか研究があるから、と部屋にもどったはずのレインの姿もその場に見受けられ一瞬驚くものの、
それでも、一応ニクスに許可をもらおうと子猫を飼いたい、と申し出る。
「あなたがそうしたいのでしたら、飼ってもかまいませんよ」
「ありがとうございます。よかったわね。エルヴィン」
「エル…ヴィン?」
「ええ。この子の名前です。おかしいですか?」
「素敵な名前をつけてもらってよかったですね。エルヴィン君」
「ふ~っ!!」
ニクスがアンジェリークが抱っこしている子猫を触ろうとすると威嚇してそれを妨げる子猫。
「おやおや。嫌われてしまいましたね」
「ごめんなさい。こら、ダメじゃないの」
その様子に多少なりとも驚きながらも子猫に注意を促すアンジェリーク。
ここまでなつっこいはずの子が人を威嚇するなどまず想定していなかったこと。
「というか、ニクスは動物に好かれないよな。なぜか。こいつ、俺にはすりよってくるぞ?」
ひょい、とアンジェリークが抱いている猫の頭に手を近づければ、
ニクスのときとは対象てきに、ごろごろとのどを鳴らしてすりよっている子猫・エルヴィンの姿。
一緒に活動を始めて生活の場を共にして気付いたこと。
それはなぜかニクスは動物に異様に好かれない、ということ。
それは当人の意思とは関係なく、相手がどうやら嫌っているような感じをうける。
まあ、世の中、そういう人もいるのはわかる。
わかるが、ここまであからさまにその反応の違いをみるのは初めて。
どうもエルヴィンのせいで話題がとんでもない方向にむかっていきかけているようなきがする。
「そ、そういえば。私は詳しくお仕事の内容聞いてないのですけど。何をすればいいんですか?」
とりあえず、気分と話題を変えようと今さらながらのことを問いかけているアンジェリーク。
人々の役に立ちたいから、という理由で決心してやってきたものの。
肝心なやり方はまったくもっていまだに聞いていないのである。
どこかぬけている、というのはアンジェリークの友人談。
当人はその自覚がなくて天然なこともまた最強ともいえる性格。
そんなアンジェリークの問いかけに思わず顔を見合すニクスとレイン。
そういや、こいつ学生であったことから知るはずもないよな。
レインは昔から家の事情もありそういったことにも内通していたが、
普通の一般人ではまず関わることなどありはしない。
「それはですね。まずは順番をおって説明していきましょう。
私たちの活動は善意ある人の連絡でまかりとおっています。
常に村や町などには被害がでたりしたら連絡をくれるように頼んでいる人たちがいるのですよ。
それで……」
ニクスが言葉を選び、アンジェリークに説明を始めたその刹那。
ジリリリ、ジリリリリンッ。
一階の大広間に備え付けられている【通話】するためのいわば言葉の伝言記のようなもの。
音がまるで鈴の音がすることから【ベル】と呼ばれている品。
もっとも、いまだに高価な品で一般の家庭には普及していない品であることは明らか。
もっとも、この屋敷にあるその品はもともとある品物なのでそういったことには関係がない。
遠くに離れていてもその声をあいてに届ける。
それはかなり便利な発明であり、開発したアーティファクト財団はそれで財を成していっている。
といっても過言ではない。
いきなりの音に思わずびっくりしてきょろきょろと周囲を見渡すアンジェークとは対象的に、
すっと顔色を変えているレイン。
そして、音がなっている品物にと近づいていき、何かを手にとる。
いわく、受話器、と呼ばれるそれは相手と、そして自身の声を逆に相手に伝えるためのもの。
いまだにこの仕組みはよく一般的には解明されていないのが現実。
ともかく、古の時代に活躍していた【デンワ】というものを元にしてつくられた品、だとアンジェリークは聞いている。
「リースにタナトスが現れた、との情報です」
受話器をとり、相手からの報告をうけるレイン。
内容は天使の庭リースにタナトスが現れた、とのこと。
「すぐ近くだな」
「ですね。しかし……」
レインの言葉に、がたん、とたちあがるニクス。
だがしかし、リースの庭、というのが気にかかる。
そもそも、あそこのタナトスはアンジェリークが完全に浄化したはずなのだから。
もしくは新たなタナトスが発生したのか。
はたまた見間違いか、それはわからない。
この屋敷の中にいる限り、ニクスはそれらの気配を強くつかむことができないのだから。
「同じ箇所に幾度も、というのも珍しいな。いや、最近そういうのが多すぎる」
さらに、最近では同じ場所に数日前に退治されたはずのタナトスが数体になって再び襲撃してきた。
という話もざらにきく。
どうも最近、タナトスがどんどん力をつけてきているようなきがする。
昔は、もっとあっさりと相手を倒すことができていた。
だが、今は油断すると自身に怪我を負う始末。
しかも、だんだんと弱まる気配が昔と比べて遅くなっているようなきがする。
つまり、全体的にみて、タナトスが力をつけてきている、それが共通されている認識。
天使の庭リース付近には、アンジェリークの母校でもあるメルローズ女学院もある。
そしてまた、昼間にタナトスが出現し、さらにはその少しあと、学校内部に現れた。
しかも、また今度は天使の庭に…とは。
可能性とすれば……
なぜ、そこまで同じ箇所に出現するのか、ある可能性を思いあたり、ちらり、とアンジェリークをみるニクス。
この屋敷の中にいる限り、アレに気配を悟られることはまずない。
ここは、このアルカディアの中で唯一、一番聖都よりももしかしたら聖なる力にあふれている場所なのだから。
だからこそ、聖なる気配がした周辺に出没している可能性は高い。
その力を永遠に葬るために。
「とにかく。レイン君とアンジェリークですぐにむかってください」
さも当たり前のようにといってくるニクスに対し、
「ニクス。あんたはどうするんだ?」
「おや?今日の食事当番は私ですが?誰かさんが買出しを失敗してたみたいですし。
まあ食事がなくてもいい、というのならば私もいきますが?」
言外に、昼間レインが買出しをきちんとしていなかった、というのをそれとなくほのめかしているニクス。
「いい。俺だけで。…大丈夫か?えっと…」
それ以上いうと、ねちねちと言われそう…だと判断して、それ以上追及することなくアンジェリークに話しかける。
ニクスはにこやかに、それでいて堪える言い方をしてくるのでかなり精神的によろしくない。
「アンジェリークです」
「あ、ああ。アンジェリーク。いけそうか?」
無理ならば一人ででもいって被害を食い止めるつもりではあるが。
名前はすでに覚えているものの、念の為にもう一度聞くレイン。
そんな彼女にと確認の意味をこめて問いかける。
「大丈夫です!いきます!」
今日は本当にいろんなことがありすぎる。
それでも、誰かの役に立てる、というのはとても喜ばしいこと。
「では、これがアンジェリークにとって初仕事となりますね。二人とも気をつけて」
馬車はあれども操り手は各自、いつもレイン、またはニクスが分担して普通は担当している。
もしくは、近くにちょうどいい馬車が通っていれば優先してこちらに寄ってくれるように口利きはしている。
今日はどうやら、その口であったようで。
ブルルル。
外から馬の鳴き声が聞こえてくる。
もっとも、先ほどのからあまり時間が経過していない。
というのもあり、アンジェリークたちを送ってきた馬車が近くを通っており、
タナトスの噂をきいてすぐに引き返した、との事情があるが。
タナトスの出現を知らせるには、まず一に、デンワ、という手段と、そしてまたのろし、という手段がある。
のろし、という手段はかなり効果的。
どのように離れていても大体の様子はつかめるのだから。
「私のことはいいから、早くお逃げ!」
昼間の噂は瞬く間にと周辺にと広まった。
それゆえに、真実を確かめようと、この場に少しはなれた場所からやってきているものも多々といる。
そう、昼間、この場所の上空で光る七色のカーテンのような光をみた、と話をきけばなおさらに。
うろうろとしているそんな彼ら…特にお年寄りの姿が目立つのは仕方ないであろう。
ともかく、そんな彼らの目の前に突如として現れた金色の球体のようなタナトス。
このタナトスは他の触手などを使うものとは違い、直接体に触れると同時に生気を吸い取る。
そう、自身の体内に人々を取り込んで。
ウィスプ。
金色の球体のようなソレの名称はそう名づけられている。
しかし、その点動きも多少鈍く、また一直線にしか進めない、という欠点を持っている。
もっとも、いきなり軌道修正して直角、もしくは真後ろに移動することも可能であるが。
孫をつれてこの場にやってきていた。
いくらタナトスの歩みが遅かろうと、老人の足よりは遥かに早い。
だからこそ、孫に言い聞かせるように思わず叫ぶ一人の年配の女性。
「おい、タナトスは…」
「レインさん!あそこ!!」
逃げ惑う人々を捕まえてレインが問いかけようとするが、それよりも先にアンジェリークがソレを見つけ出す。
噴水の近くから逃げ遅れた人々の姿も垣間見える。
「いくぞ!あんたは人々のほうをたのむっ!」
「あ、は、はいっ!」
そのまま、だっとタナトス・ウィスプに向かって駆け出してゆくレイン。
アンジェリークにできること。
それは人々を安全に誘導し、そしてまた被害にあった人たちを助けること。
人がたくさんいたのが幸いなのか、それとも不幸なのか。
ともあれ、タナトスに襲われ動けなくなった人々も他の人々の手により安全な場所に移動させられている。
とはいえ長い距離を移動させられるものでもない。
リースの広場の中心にとある噴水から少しはなれている広場の一角。
そこに横たえられている人々が数名。
いまだに人々はう追う佐生しており、きちんと話ができる状態ではない。
唯一、会話できるのは、被害にあった家族が動けなくなった家族に対しつきそっている人々のみ。
浄化の力。
そう、確かにそういったとおもう。
浄化能力。
その能力で世界をやさしさで満たせれば、この悲しみは終わるはず。
だからこそ。
「大丈夫。…浄化の光よ、世界をやさしさで満たして……」
家族を呼び泣き叫ぶ彼らの横に違和感なく座り込み、彼らの手をそっと握る。
アンジェリークにできることは、ただ祈りをささげることのみ。
アンジェリークの祈りに応じてアンジェリークの体からほのかな金色の光が沸き出でる。
それはやがてリースの広場全体を埋め尽くしていき、
「今だ!」
ふと、相手が弱ったのをみてとり、ばっと振り向きざまにアンジェリークにと合図を出す。
それと同時。
祈りをさらにこめ、人々が目覚めるように、と祈っていたそれをタナトスの浄化、それに当てはめる。
淡い光に包まれていたアンジェリークの背より白い翼が出現し、金色の光を周囲に満ちたしてゆく。
「「「こ…これは……」」」
人々の目の前で綺麗に光となって浄化されてゆくタナトスの姿。
そしてまた、倒れている人々もまた目を覚ましている。
昼間の噂と、そして今のこの現状。
思わず言葉につまり、その場にたたずみ、または無意識に祈りをささげている人々の姿が垣間見える。
「よくやったな。…さて、依頼は完了だ。戻るぞ」
「え?あ、は、はい」
何やら気付けばいつのまにか手をぐいっとひっぱられ、まるで急ぐかのように馬車の中にと乗せられてしまう。
まだあの場にてすることがあるのではないか?
そう思うアンジェリークにとってかなり不満ではあるが。
「あ、あの?レインさん?」
「レインでいい。俺もアンジェリーク、と呼ぶから。あそこにいつまでもいたら、おまえ、もみくちゃにされるぞ?まちがいなく」
おそらく、昼間の噂をききつけてやってきている人たちが多かったがゆえにあの人数だったのであろう。
それくらいのことは少し推測すればすぐに思い立つ。
だがしかし、アンジェリークはその昼間、自身が何をしたのかまったくもって理解していない。
理解していないからこそ、それは逆に性質が悪い。
「え?どうしてですか?」
「…あんた、昼間…いや、いい。とにかくタナトスはおまえの力で浄化された。
それにタナトスからこいつも回収したしな」
いいつつ、レインが見せるのはちょっとした小石程度の大きさの金色の球のようなもの。
「話には聞いたことがあります。それがオーブ、ですか?」
タナトスを退治したときに現れる希少価値がとても高い宝石。
間近でオープをみるのはアンジェリークは初めての経験。
何しろそういうものにまったくもって縁もない普通の勉学に励む少女だったのだから。
もっとも、アンジェリークが気付いていないだけであり、
アンジェリークがいつもしているロケットペンダントはオーブを使用している細工品。
それゆえにとてもかなり高価なもの。
当人はまったくその事実を知らないが。
「そういうことだ。俺たちはタナトスを確かに無償で退治してまわっている。
中にはタナトスを退治するのはこのオーブ目当て、と思っているやつらもいるしな。
実際、オーブをとろうとしてタナトスに挑もうとする馬鹿はいまだにいるそうだが。
もっとも、俺たちも似たようなものなのかもしれないがな。
ニクスは退治したタナトスから回収したオーブを使い、人々に対して援助を行っているしな」
「なら、私たち、まるでオーブハンター、みたいですね」
そう、オーブを狩る狩人のように。
「事実、そう呼ぶ一部の人たちもいるけどな。ともあれ初めての依頼はこれで完了だ。
とっとと戻ってニクスのつくった料理をたべようぜ。今日は何か疲れたし」
それはアンジェリークも同感。
というか、ニクスさんに料理を任せてもよかったのかしら?
そんなことをふと思うが、そもそもあんな大きな屋敷なのにメイドの一人もいない、というのもかわっている。
さらには厨房にいるべき料理人すらどうやらいないらしい。
「にゅうんっ」
「って、エルヴィン!?いつのまに!?」
たしかに屋敷においてきていたはずなのに。
いきなり足元から声がしたかとおもうとちょこん、と膝の上にのってくる子猫の姿。
「こいつ…いつの間に!?」
その姿にこちらもまた驚きを隠しきれないレイン。
馬車に乗り込んだときに、念のためにいつも馬車の中は確認するようにしている。
何があるかわからないがゆえ。
しかも、子猫の足ですぐさまに追いつける距離ではないはず。
だが、実際にいま、子猫は馬車の中のしかもアンジェリークの膝の上でまるまっている。
「もしかして…そいつ、おいていかれるのが嫌なんじゃないのか?」
「え?」
レインの言葉にいくつか思い当たるアンジェリーク。
そもそも、学園からひだまり邸まで追いかけてきたくらいなのだから。
「そう、なの?エルヴィン?」
「うにゅん」
「でも、ダメよ?危ないからね。いい子でお留守番はしないと」
「にゃにゃにゃ」
いやいやいや、とでもいうかのように、アンジェリークの説得に首をふるふる振りながら短く泣き続ける子猫。
「…そいつ、絶対に言葉、わかってるとおもうぜ?」
どうみても、子どもがいやいや、といっているようにしか見えない。
…猫だ、というのに。
いや、猫も感情豊かだ、というのはわかっている。
判ってはいるが、この猫は何か他の猫とはどこかが違う。
そんな印象をもつレイン。
「とにかく。あんたもつかれたろ?今日はゆっくりと体をやすめたらいいさ」
「え、ええ」
優秀な科学者、そう聞いていたから少しばかり気後れもしたけど、どうやら杞憂みたい。
馬車の中でそんな会話をしつつも、笑みを浮かべるアンジェリーク。
アンジェリークの夕刻の活躍は、昼間のソレとかさなり、
さらに確実にアルカディア中に噂として広まってゆくのは、そう遠い未来ではない近い現実。
-第7話へー
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あとがきもどき:
薫:次回で花畑の迷子、の回です。ついでにロシュ登場させますv(まてこら
その次はウォードンの依頼でジェイド登場v
さくさくっと四人そろえたほうが作品的にやりやすいしね(こらまてや
何はともあれ、ではまた次回にて~♪
さて、ロシュはアニメだけのオリジナルキャラだからきちんと表現でききれるかな?
ま、とにかくがんばります。
うん。
2008年5月6日(火)某日
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