エル様漫遊記  ~バトル・オブ・セイルーン編~


「何じゃ?そのズーマっていうのを知っておるのか?」
背後からフィルの声が。
先ほどのアメリアたちの大声に驚いてあわててやってきているのが現状だけど。
彼、結構子供想いだからねぇ。
「と…父さん!」
「お父様!」
二人の声が重なる
彼女たちが振り向いたその先にいるのは…いうまでもなくフィルとそして他数名。
やがて、フィルが近づいてくるのを受け止め。
顔を見渡し。
こくん。
とうなづき。
「噂で聞いただけなんですけど。魔道を使う暗殺者で、その実力はトップクラス。
  …最も噂が本当で、リナさんを襲ったのが本物のズーマならば…
  リナさん。あなたが始めての人ってことよ。」
「あの男に狙われて生き残ったのはね。
  …まあ、リナなら当然…ともいえるかもしれないけど……」
交互にあたしにいってくるアメリアとナーガ。
「あら、あの程度でねぇ。まだまだね。この人間世界も♡」
あたしの言葉に。
「「まだまだって……」」
何やらつぶやいているアメリアたち。
「まあ、今度アイツにはクリスタルでも差し込んでみるとして…っと♡
  どうでもいいことは気にしないの。二人とも♡」
「…リナ…クリスタルって…あの?」
何やら顔色が悪いナーガ。
そういえばナーガは幾度かあれみせてるしね。
結構、純度の高い負の力がそういった闇に生活している存在からって取れたりするのよね。
結構人間の感情だけで、とあるモノを創ってみようとおもったら、
なかなかこれが集まらないのよねぇ。
不純物が混じったのは却下だし♡
人の感情を原材料にした部下たちって何か面白そうだしね♡
「それはそうと、ともかく父さん?クリストファ叔父さんは?」
アメリアがとりあえず気を取り直してフィルにと聞いている。
「ああ。何でもアルフレッドと話したいことがあるから…とかいって、家に帰っていったぞ。
  結局アイツも何も知らなかったようだしな。なあ、ルナ殿?」
そういい、横にいるルナにと聞いているが。
「ええ、彼はね。」
そういい、ちらり、とあたしをみてくるルナ。
そして、アメリアとナーガの表情と発している感情にと気づき。
「?リナさん?もしかして、あのカンヅェルと契約を交わしたものが誰か。
  お二人にお教えされたのですか?」
あたしに聞いてきているルナ。
そんなルナの言葉に。
「な゛!?ルナ殿!?そんなことわかっていたのですか?ならばなぜに教えてくださらぬ?!」
驚いているフィル達の姿が。
「お…お父様。私でもたぶんいえませんわ。」
ナーガがそんなことを珍しくいい。
「そうですね。
  まさか、あのアルフレッドがあのカンヅェルと契約を交わしていた人間だ、なんて……」
そういいつつも表情が暗いアメリア。
そんな二人の言葉をうけ。
しばし無言となり。
そして。
「な……なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!?」
『何ですってぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
なぜか、あたし達以外の存在達の驚愕の声が響き渡る。
まったく、あの程度のことも、誰も気づいてなかったのかしら?
普通、すぐにわかるでしょうにね♡

フィルたちが驚愕の叫びを上げるとほぼ同時。

キィィン!
空気がちょっぴし軋んだ悲鳴を上げる。
あら。
カンヅェルのやつ、以外に早く復活してきたわね。
まあ、そうでないとねぇ。
お母さん、悲しいものね♡
ちなみに、わざわざ結界を張ってのご招待。
どうでもいいけど、ルナもいるんだけど♡カンヅェル♡
一瞬にして空間に捕らわれたあたし達であるけども。
「この結界、壊しましょうか?それとも破りましょうか?それとも無効化します?」
ルナがあたしにと聞いてくるけど。
「あら♡いいのよ。相手の動きを面白いから見てみましょうよ♡面白そうだし♡」
あたしの言葉に。
『面白そう…って…』
なぜかあたしとルナ以外の台詞が一致してたり。
ちなみに、ガウリイもルナ達と一緒に来ていたもので、今は一緒にいたりする。
そして……
「何だぁぁぁぁぁ!?」
一人の兵士が面白いことに叫び。
そして、あたし達周りの明るさが一瞬かげる。
「違う!上だ!」
ガウリイの言葉に一同天井を見上げてゆく。
と、頭上から、黒くちょっとした大きさの何かが落ちてくる。
蜘蛛の子を散らす。
という表現がぴったりのごとくに一同その場から離れてゆく。
と。
グゴォン!!
鈍い地響きを立てながら、それは大地にと降り立ってくる。
ギィ。
耳障りな声で一声鳴くと、触覚の形態をとっているその器官を当たりにめぐらせる。
それは、ちょっとした大きさの一匹の虫。
あたしとルナには当然それが何なのかわかってはいるけど。
大きさは、ちょっとした小柄なドラゴン程度。
真っ黒いつややかな肌。
結構ずぶとく生きている、ゴキブリと同じようなつややかさ♡
アレも結構環境に適応する能力だけは発展してるからねぇ。
あと生命力♡
まあ、それはそれとして。
左右四対。
計六本のちょっとした棘のついた足。
背中の大きなやや大きめの一対の羽。
体のあちこちにと輝くルビー色をした半球体。
それをみて、いきなりパニックに陥っている兵士達。
さすがに逃げ出すものはいなかったりするけども。
一斉に、しかし、てんでバラバラにとそれにと攻撃を仕掛けていたりする。
ただ闇雲にいくら剣を叩きつけても、
人間程度の力くらいじゃ厚い甲羅にはじかれてむなしく反動するのみ。
まったく、弱点くらい見つけ出しなさいよね。
一瞬で。
中には、関節の間に剣をもぐりこませる気のきいた兵士もいたるすけども。
それでも、それは平然としていたり。
まあ、弱点の場所ではないし…そこも……
そして。
それは、あたしのほうにと向きを変えて向かってくる。
くすっ。
「へぇ♡クラヴェール火山に生息している魔獣を連れてきたのねぇ♡」
くすくす笑うあたしに対し。
「でも、たって一匹ですよ?何考えてるんでしょうか?」
などといっているルナ。
そんなあたし達の様子をみてとり。
「リナ殿!?ルナ殿!?何をのんきに!?」
などといっているフィル。
ちなみに、アメリアとナーガをかばうにうにと立ちふさがっていたりするけど。
「それにしても、恐れ多いことにも、リナさんを狙っているようですわね。あれ……」
などといいつつ、多少顔色が悪いルナ。
「まあ、カンヅェルが命令してるんだし。そんなものよ♡」
「…それにしても何て畏れ多いことを……」
あたしの言葉にそんなことをつぶやいているルナだし。
淡々とそんな話をしているあたしとルナ。
「リナ!?」
ガウリイが何やら叫ぶ。
「光よ!」
それと共にガウリイが叫び、その手にした剣に光の刃が出現する。
「「え!!!!?」」
面白いまでに、フィルやアメリア、そしてその他数名の兵士達の驚きの声が上がってるけど。
ガウリイは烈光の剣を光の剣モードにしてたりするし。
「はぁぁあ!」
ガウリイの一声とともに、いともあっさりとそれは一刀両断されてゆく。
というか。
ガウリイが手にしているゴルンノヴァのやつからは、
あ…あのお方に攻撃をしかけようとするなんてぇぇ!?
などとなぜかかなり狼狽している感情が視て取れるけど。
ガウリイの剣により、あっさりと消滅してゆくその魔獣。
やがて、辺りに落ち着きがもどり。
「けどまさか。光の剣を持っているなんて意外だったですね。」
「いや、まったくじゃ。」
そんなことをいっているアメリアとフィル。
「それはそうとして。この空間からどうやってでるのよ?」
いいつつ。
コンコン。
と結界にと阻まれている壁を叩いているナーガ。
「斬ればいいでしょ?」
何もしなくてもできるけど。
ここは人目もあることだしね。
腰に挿しているショートソードを抜き、虚空をきる。
キッン……
何やら音がしたと思うと同時。
次の瞬間、あたし達は元の場所にともどりゆいていたりする。
「…でも、ガウリイさん、すごいですね!光の剣の継承者なんて!」
ガウリイに近寄り、目をきらきらとさせて言っているアメリア。
「…まあ、リナと一緒に旅してたときはよくあの空間に閉じ込められることはあったしねぇ……」
なぜかどこか遠くをみていっているナーガ。
元の場所にもどれたことで、しばし呆然としていたアメリアたちだけど。
やがて、落ち着きを取り戻すとともに。
それぞれが、それぞれ。
ざわざわとざわめき…そしてまた、何やら話し込んでゆく……

そんなこんなで、とりあえず、しばらくはここ、セイルーンにととどまることにしたあたし達。

そして………


数日後。
フィルと話をしているそんな中。
「どうも!」
いいつつもアメリアがあたし達のところにとやってくる。
そして。
「ちょっとだけきてもらえますか?」
そういい、あたしとガウリイに意味ありげな視線を向けてくる。
事実、意味があるんだけど。
「何かあったの?」
とりあえず、わかってはいるけど、ひとまず。
アメリアにと促されるままにと、人気のない、とある一室にと移動しているあたし達。
あたしのそんな問いかけに。
「まあ、そんなたいしたことじゃないですし。」
そういってポケットから一枚の紙切れを取り出し。
「昨日、爺…クロフェル鋼がちょっとお使いで町に出たんですけど…
  …どうも誘拐されちゃったみたいらしく。…はははははっ。」
「おおい!」
思わずそんなアメリアの言葉に叫んでいるガウリイ。
そして。
「十分大事だと思うぞ?オレ……」
何やらつぶやいていたりするし。
「まあ、見方によってはそうかもしれませんけどね。
  でもって今日、私のところにこんなものが届いたわけで。」
まあ、アメリア…あのクロフェルの実力…知ってるからねぇ。
普段はおっとりしてるけど、さすがは、アメリアやナーガ、
そしてまた、フィルのお目付け役をやってるだけのことはあるのよね♡
そういいつつ、ごそり。
腰のポケットから一枚の手紙を取り出し、ひらひらさせる。
それは、フィルに当てた、どうでもいいような内容の脅迫状。
クロフェルの命が惜しければ一人で指定の場所までこい。
というようなことが書かれていたりする。
何ともひねりのない脅迫状だこと……
「父さんの性格からしてこんな手紙を見せた日には間違いなく、素直にぶっ飛んでいきますし。
  私でもそうですから。でも今のこの状態で父さんの側を離れる、というのは。
  少しでも戦力がほしいですし。
  かといって見逃す、というわけにもいきませんし。」
まあ、先日の戦いにおいて、いまだに負傷している情けないけど兵士がいたりするからねぇ。
たかがあの程度で。
復活リザレクションで傷は治ったものの、完全ではなかったり、精神にちょっぴり問題が発生してたり。
といった兵士達がいたりするのよね。
そんな彼らの治療をこのアメリアは手がけていたりするんだけど。
ルナと一緒に。
「で?だからオレ達にクロフェルさんを救出してほしい…と?」
ガウリイの言葉に。
「あ、当たりです。
  本当ならば、私がすぐさまにでも出向いて正義の鉄槌を下すところなんでしょうけど。
  罠かもしれませんし。
  手薄になったところをまた父さんを狙って敵がやってくるかもしれません。
  とりあえず、明日の朝にはどうしても、父さんにこの手紙を渡さなければいけないでしょうから。
  それまでによろしくおねがいします。じゃあ、そういうことで。」
アメリア…ナーガから、あたしにいったらすぐさまに解決する。
と聞かされてるからねぇ。
まあ、確かにその通りではあるけど。
アメリア、一番にナーガに相談したのよね……
「まあ、確かに簡単ではあるけど。
  とりあえず、アメリア。クロフェルの荷物か何かないかしら?」
立ち去ろうとするアメリアをひきとめ。
にっこりと微笑みかけ、問いかけるあたしのそんな言葉に。
「ああ。それなら、クロフェル候の部屋にいってみてください。自由に使ってかまいません。
  姉さんが太鼓判を押してました。
  リナさんなら絶対に!大丈夫だって!なのでよろしくおねがいします!」
そういい、ぺこり。
と頭を下げ。
そのまま。
パタン。
と扉を閉めて出てゆくアメリアの姿が。
そんなアメリアの様子と、そして言葉に。
「…リナ…お前、あの姉ちゃんと一緒に旅してた…というとき……
  いったい全体何やらかしてるんだ?」
なぜかじと目であたしをみてきているガウリイだけど。
「あら、別に些細なことしかしてないわよ♡町が消滅しちゃったから再生させたり。
  あとは人が死んじゃったから、生き返らせたりとか。
  後は、行方不明の人をその場に瞬時に瞬間移動させたりとか♡」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・いや、それって些細でない……というか……
  ……いい、聞かなかったことにする……」
あたしの至極当然な意見に、なぜか黙り込んでいるガウリイだけど。
些細なことじゃない♡
「さって、それじゃあいきますか♡」
しっかし・・・あのカンヅェルもラドックも懲りないわよねぇ。
ふふふ♡


                -続くー


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あとがき:
薫:・・・・・・・・・・エル様・・・・・普通はできません(汗)
  ・・・・・・・ガウリイ、だんだんとエル様にどくさ・・・とと、なれてきてるかもしれません(汗
  さてさて。あと10Pvvvそれでは、また次回にてvv

2005年1月24日某日


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