エル様漫遊記 ~バトル・オブ・セイルーン編~
「…まあ、一応こんなところです。」
とりあえず一応、事情を説明し終わるあたし達。
「その男の顔に刀傷…といったな。ではそおそらくカンヅェル、という男だろう。
クリスのやつは古い友人、などといっておったが、むろんそうではあるまい。
現にクリスがあの男を客として王宮に招いたころからこの騒ぎは始まったのであるからな。」
そんなフィルの言葉に。
「ということは、その刺客たちに直接指令を出しているのはそいつ、ということなのか?」
そんなフィルにと質問しているガウリイ。
「おそらく。しかし自らの野望のために、あのようなものを友と偽って王宮内部に招きいれ。
あまつさえ、儂だけを狙うならまだしも、
儂に信頼を寄せてくれていたものたちを暗殺させるなど!許しがたい!」
何やら憤慨してるけど。
「何だっら生き返らせましょうか♡」
「リナさん!!!」
あたしのそんな言葉になぜかルナが悲鳴を上げていたりするし。
「「…いや、生き返らせる…って……」」
なぜか、その場にいる、あたしとルナ以外。
フィルやガウリイ達が驚いた声を上げてるけど。
「と、ともかく。殿下。それはちょっと違うとおもいますわ。だって、あのカンヅェルは……」
「ル・ナ♡別にそれは今言わなくてもいいのよ♡」
「す、すいません!」
ルナの言葉にとりあえず静止をかけておく。
だって今いうより、ナーガに言わしたほうが面白いしね♡
そんなあたし達の態度に。
「どういうことだ?ルナ殿?リナ殿?はっきり言ってくださらんか?」
首をかしげつつ。
そして、ずいっとルナにその顔を近づけているフィル。
「あら♡教えてほしいのかしら♡」
あたしの言葉に。
「でも間違いなく教えたら教えたでバニックになるのは必死ですよね……」
などとつぶやいているルナ。
「あら、ナーガならその点は大丈夫よ。
以前、ちょっとしたことでジョイロックとかに関わりがあったしね♡
一応あんな雑魚でもまがりなりにも純魔族だし。かなり下っ端でも。
それに、ガウリイはガウリイでSもとい、シャブラニグドゥのやつにもあってるしね。
覚醒したばかりのやつにだけど。」
にこやかなあたしの説明に。
「…?ね、ねえ?リナ?何だってち、あのジョイロックとかの名前がでてくるのよ?
第一、あいつは魔族だったじゃない?」
ナーガが何やらいってくるけど。
そしてまた。
「あ…あの?ガウリイ様?
先ほどのリナさんの生き返らせることが簡単、という発言はともかく…
言葉のあやとしても……今のシャブラニグドゥって…
もしかして、あの
何やら声をかすれさせ、ガウリイにと聞いているシルフィール。
そんなシルフィールの質問に。
「シャブ何とかって魔王とならあったことがあるぞ?目の前で復活して、でもリナが倒したけど。」
さらり。
何でもないようにあっさりといっているガウリイ。
まあ、確かにどうでもいいようなことだし。
「「「な゛!?」」」
なぜか、グレイ・シルフィール・フィル。
それに、マリアとナーガまでもが驚愕した声を上げ、そしてそのままなぜか固まっていたりする。
「ねぇ?リナ♡今の冗談…よね?」
なぜかそんなことを聞いてきているナーガだけど。
「別に冗談でも何でもないけど。たかがS程度だし。
けど、本当に、フィル、あのカンヅェルの正体知りたいの?」
くすくす笑うあたしの言葉に、なぜかいまだに固まっているフィル。
そしてまた。
「ゼルガディスさんに魔族を倒した…というのはお聞きしてましたが…まさか……」
などとつぶやいているシルフィール。
「まあ、今のこれはそれと関係はありませんわ。」
冷や汗ながしつつ、さりげに話題をそらそうとしているルナ。
「そ…そんなことができるんですか?人間が?魔王相手に?」
何やらわめいているグレイ。
「…まあ、リナさんですし。それにそのくらい私でもできますし。」
そんなグレイにさらり、といっているルナ。
「…い、いや、ともかく。その話はおいておこう。それと今の話の流れからするともしや…」
ある考えがようやく浮んだらしく、額に汗を流して聞いてきているこのフィル。
「そ♡今ごろわかったの?あのカンヅェルあれでも一応は魔族の端くれだし。」
「かのカンヅェルは魔竜王ガーヴ配下の中級魔族ですわ。」
あたしの言葉にルナが追加説明をいれていたりするけども。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
シィン……
なぜかその場が一瞬静まり返る。
そして。
「リ…リナ?中級魔族って…どれくらい上?」
なぜかナーガが多少声を震わせて聞いてくるけど。
「かなり弱いわよ♡」
あたしの言葉に。
「…リナさんにかかったらすべてがそうですわ…」
なぜか弱弱しくいっているルナ。
「……まあ、リナだしね…。あのジョイロックとかと比べてどうなの?」
そんなナーガの質問に。
「人間のたとえでいいますと、そうですね。アリと象くらいでしょうか?」
あたしに代わり、答えているルナ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なぜかその程度で言葉に詰まっているナーガだけど。
「あら、あんな雑魚くらいどうってことないでしょうに♡」
「「…いや、雑魚って……」」
なぜかそんなことをつぶやいているシルフィールやグレイ。
「ま、まあ、ともかく。そうとわかれば。こちらもまた動くときがきた、ということだ。
魔族とて、話し合えばおのずから分かり合えるであろう。
とにかく今はこの騒ぎを鎮めることが先決じゃて。」
いいつつも、椅子から立ち上がっているフィル。
くすっ。
まあ、フィルは『人類皆兄弟。』の思想の持ち主だからねぇ。
「…では、殿下。私たちも一緒に行きますわ。」
間違いなくエル様…この一件にかかわる気…まんまんのようですし……
何やらそんなことを心で思いつつもフィルにといっているルナ。
「そうね。」
「まあ、オレはどっちでもいいけど。」
そんなあたし達の言葉に。
「そうか…すまんな。」
いって、フィルはあたし達に対して頭を下げていたりするし。
「…魔族っ…って…」
今だに何やらつぶやいているシルフィール。
「まあ、それはそうと。ナーガ、そんな格好でいきなり王宮にもどる気?
確かここにあんたの服おいてあるんでしょ?」
ふたしの言葉に。
「あら?リナには話してたかしら?
…それもそうね。このままでも問題ないけど、一応着替えましょうか。
お母様の形見が汚れてもいけないしね。」
あたしの言葉にうなづいて。
このグレイの家にと置いている自分の私服に着替えるためにと奥に入ってゆくナーガ。
彼女たちってよく城から抜け出すから、このグレイの家に私服とか置いてたりするのよね。
動きやすい服装とかを♡
「ま、それじゃ、いきますか♡」
あたしの言葉をうけ。
あたし達は、フィルをつれて、王宮にと乗りこむことに。
さって、少しばかり遊びますかね♡
「門をあけろぉ!フィリオネル=エル=ディ=セイルーンが今帰ったぞぉ!」
高々とフィルの声がこだまする。
歩哨にたった兵の一人が、あわてて通用門から中にと飛び込んでゆき。
そして。
軋んだ音をたてて、王宮にと続く門が開いてゆく。
堂々した足取りでまっすぐに進み始めるフィル。
そして、その真後ろにナーガ、その後からついていっているあたしとガウリイとルナ。
ちなみに、フィルは正装もどきの服を着てたりするけども。
これがまたにあってなかったりしているけど、それはそれ。
「?この四人は?」
あたし達をみて聞いてきている兵士その一。
「何じゃ?おぬし、グレイシアを知らんのか?あとのものは味方だ。」
「「な゛!?」」
フィルの言葉に数名の兵士が驚いていたりする。
そういえば、彼ら、ナーガを直接見たことなんてなかったのよねぇ。
この王宮に勤めているのにもかかわらず。
まあ、あの格好と今の格好では同一人物。
…というのがまず頭に浮ばないのもあるでしょうけどね♡
ナーガ城からでるときは、大概面白い場所から出てたりするし♡
そんな彼らをそのままに。
さらに奥にと進んでゆくことしばし。
「殿下だ!」
「殿下だ!殿下がお戻りになられたぞ!」
「グレイシア様もお戻りになったぞ!」
兵士達が叫びながら、次々と集まってくる。
一応、こんな容姿でも王宮内部のフィルの人望は厚いからねぇ。
「…む?」
正面の神殿から出てくる人影を認めて、フィルの歩みがぴたりと止まる。
それは一人の巫女。
「やっほ~!お帰り!グレイシア姉さん!父さん!」
一応は感激の再開シーン…となるであろうに。
まったくそぐわない元気な声と、軽いノリの声。
フィルに続いてあたし達も足をとめる。
かけてくる人物は、年のころならばちなみに13歳。
肩で切りそろえたつややかな黒髪にやや童顔で大きな瞳。
見た目、コドモのような雰囲気と愛らしさをかもし出していたりする。
そんな彼女にむかって。
「おお!アメリア!元気だったか!」
「お帰り!姉さん!!」
すかっ!
手を差し出したフィルを素通りして、後のナーガに抱きついていたりする。
「ふっ。元気そうね。アメリア。」
ナーガがそんな彼女の頭をなでつつ声をかけていたりするけど。
「そりゃあもう!」
にっこりと笑みを浮かべるそんな彼女…アメリアの言葉に。
「おいおい。アメリア。こちらの心配はなしか?
いくらグレイシアが数年ぶりにもどった・・・とはいえ…」
いいつつ、多少いじけているフィル。
「そりゃあもう!無事だと信じてたわ!父さん!正義は必ず勝利するものなのよ!」
そうきっぱりと断言し、ガッツポーズをとってたり。
そんなアメリアをみて。
「相変わらずね。アメリア。」
苦笑しているナーガ。
「グレシア姉さんこそ、よく道に迷わなかったわね。
姉さんいつも、普通すんなりとはもどってこれないのに。」
的確なことをいっているアメリア。
そんなアメリアの言葉に。
「ふっ。迷ったに決まったじゃないのよ!お~ほっほっほっほっ!」
「あ。やっぱり!さすがは姉さんです!」
そんな会話をしているこの姉妹に。
「…どこがさすがなんだ?」
などとつぶやいているガウリイ。
「あ、それで父さん?こちらの方々は?何か一人は見覚えがあるような気もするんですけど?」
いいつつ、あたし達を視線で示してフィルにと問いかけるそんなアメリアの言葉に。
「おお。そうであったな。こちらは
で、こちらがその妹のリナ殿。そしてガウリイ殿。儂の味方じゃ。」
かなり大雑把な説明をしているフィル。
そして、あたし達に視線をむけ。
アメリアの肩を軽く抱きながら。
「これが儂の二番目の娘のアメリアじゃ。グレイシアもおぬしたちは知っておるようじゃしな。
しばらく前に修行のたびに出ておったんじゃが…
まあ、知り合い、というのもこれも何かの縁であろう。」
ちなみに、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。
と、グレイシア=ウル=ナーガ=セイルーン。
それが彼女たちの名前。
そんな二人の肩を両手で抱きかかえつつ。
「親の儂がいうのも何じゃが、なかなかの美人じゃろう。二人とも。儂ににて。」
似てない、似てない。
その場にいた、兵士達まで心で同じことを思っていたり。
ちなみに、ルナもガウリイも同じことを思っていたりする。
まあ、確かに似てないわよね。
外見は♡
「どうぞよろしく!」
いいつつも、したっ!と片手を挙げてあたし達に挨拶しているアメリア。
一体この元気はどこから生えてきてるんだ?
などとガウリイが思っていたりするけども。
「こ、ちらこそ。」
「お久しぶりですね。アメリア様。」
そんなアメリアにと返事を返しているガウリイとルナ。
「そういえばルナは知り合いだったわね♡」
あたしの言葉に。
「ええ。前に公式行事に呼ばれたときに出会ってますので……」
そういってくるルナ。
そんなルナが説明しかけるのと同時。
「叔父様たちがいらしゃったようですよ。」
いいつつも、意味ありげな口調で…実際にとある意味合いを込めて彼女はいってるんだけど。
神殿の入り口のほうをみてそんなことをいっているアメリア。
みれば。
神殿の入り口から人影が三つほどこちらに向かってきていたり。
言うまでもなく、フィルの弟であるクリストファと、その息子のアルフレッド。
そして、一応魔族のカンヅェル。
「これは…兄上、無事でしたか。」
「うむ。」
苦い表情でそんなクリストファの言葉にうなづくフィル。
「一体どこにおいでになったのです?私は心より心配しておりました。」
そんな傍目にみたら白々しい口調のそんなクリストファの言葉に。
というか、フィルが自分を疑っている…というのは内々わかっているのに。
だけど、自分は手を下してないからねぇ。
今のところ彼は。
主にやってるのは息子のほうだし♡
わかっててもとめない、というのも親の責任だけどね♡
「お帰り。グレイシア。」
傍らでは、ナーガに声をかけているアルフレッド。
「しばらく見ない間に綺麗になったね。」
「ふっ。アルフレッドも元気そうね!お~ほっほっほっ!」
などといいつつ高笑いするナーガをさらり、とかわし。
「ところで?その後の方々は?」
あたし達の姿をみて、尋ねてくるクリストファ。
「この三人ですか?」
クリストファの代わりに答えているアメリア。
「父さんの古い友人だそうです。」
その言葉に面白いまでに表情にだして鼻白んでいるクリストファ。
あからさまに、みえみえの嘘。
だがしかし、同じ嘘をついているのは彼とて同じこと。
ゆえに、突っ込みするわけにもいかなかったりするのが現状。
「…そ、そぉですか……」
面白いまでに死ぬほど間抜け、という以外にはない返事を返してくるだけ。
「こちらがリナ=インバース殿。で、こちらがガウリイ=ガブリエフ殿。で……」
フィルがあたし達の紹介をし始めたとき。
「…ほほぅ。あなたがあのリナ=インバース……」
面白がるような声を上げているカンヅェル。
…どうでもいいけど気づきなさい!まったく……
しかも、この口調からして、あたしのことを知らないみたいだしねぇ。
…ま、確かにカタートのSのやつには、あたしの人としてのフルネーム、教えてないし♡
まだ♡
レゾのほうのSには口止めしてるしね♡
そんなカンヅェルに対して。
「控えろ。カンヅェル。」
「これは失礼を。」
クリストファの叱責にカンヅェルは深々と頭を下げる。
「あ、ご紹介します。
こんどはフィルにかわってアメリア。
あたし達のほうにと向かって。
「こちらはクリストファ=ウル=ブロッゾ=セイルーン。私の大好きな叔父さんです。
で、これがいとこのアルフレッド。で、こちらが叔父さんの古い友人のカンヅェルさん。
王宮にお招きしたとたんこんな騒ぎが起こって。
さぞ不愉快な思いをおかけしたと心苦しく思ってるんですよ?」
にこやかに、だからといって、悪びれもなく。
…さらり。
と面白いことをいっているアメリア。
悪意云々、というより、
このカンヅェルがかかわってるのは、すでに暗黙の了解になっていたりするしねぇ。
それゆえに。
兵士達の視線が集まる中、大きな声でそんなことをいっていたりするこの彼女。
一応、こういった外相ごとは身につけてるからねぇ。
この子。
ある意味、この程度ならば、普通の人間ならばかなり効果がある手ではあるけどね。
兵士達も事情をほとんどがしっているがゆえに。
中には露骨に苦笑している人間もいたりするげとも。
「はじめまして。」
カンヅェルのほうもあたしやルナに気づくこともなく白々しく挨拶を返してくる。
ちなみに、にこにこと笑みを浮かべながら。
根性がない、というか情けないことにクリストファなどは、まともにそわそわしてたりし始める。
これくらい軽く受け流さないと大物、というか王族なんかは務まらないわよ♡
王族でなくても地位ある立場はムリね♡
「…ま、まあ、ご無事で何よりでした。兄上。で?もう一人の方は?」
いってルナのほうに視線を向けていたりするこのクリストファ。
そんな彼の言葉に。
「何じゃ?クリストファ?ルナ殿を忘れたのか?何度か王宮に招いているではないか。」
そんなフィルの言葉に。
「はて?どこかでお会いしたような気がするのですが……」
いまだに気づいてないし。
「そういえば、父さん、私も思い出せないんですけど?」
クリストファに続いて思い出したように言っているアメリア。
そんな二人に対してにっこりと笑い。
「ゼフィーリアから参りました、ルナ=インバースと申します。
前回お会いしたときには、何かしらの公式行事でしたので正装しておりましたので。
それでわかりづらいのでは?」
にこやかにそんなことをいってたりする。
そんなルナの言葉に。
「ゼフィーリアの…って、ああ!」
ようやく思い当たり、ぽん。と軽く手を叩き。
「ゼフィーリアの
そんなことを全員に聞こえるような声でいっていたりするアメリア。
「「な゛!?」」
あ、面白い♡
アメリアの言葉に、カンヅェルとアルフレッドが固まってる♡
「ほぉ…」
「あの方があの……」
などといったどよめきが兵士達の間から上がっていたりもするけども。
「
ようやく思い出してそんなことをいっているクリストファ。
「お久しぶりでございます。」
そういい。
ペコリ。
と頭を下げるルナ。
なぜか心では、こういっておけば、関心は私に向くから…エル様には向かないはずです!
などとそんなことを思ってるし…このルナは……
そんなルナの言葉に。
面白いまでに何やら冷や汗をながし。
カンヅェルとしては狼狽しつつ。
「あ…あのスィーフィードナイトって…あの
こちらに聞いてきているアルフレッド。
面白いまでに完全に顔色が変わっていたりするが。
カンヅェルのほうは、多少姿も心なしか色が薄くなってたり♡
「ご…ご本人とは限らないのでは?アルフレッド様…」
もし、本人なら…我程度ではかなうわけは……
などとそんなことを思いつつ、アルフレッドにそんこなとをいっているこのカンヅェル。
「何をいうか、このルナ殿は当人であるぞ?」
そんな彼らにいっているフィル。
くすくすくすv
「ルゥナ♡ちょこっとばかり気を開放してごらん♡
この町に結界でも張っとけば外に気づかれないしね♡」
ルナの耳元でささやくあたしに。
「気を開放…ってそんなことをしたら…エル様?あの魔族、間違いなく人型たもてませんが?」
こちらもまた、小声であたしにいってきているルナ。
くすっ。
「多少抑えたら大丈夫でしょ。
その程度で瞬時に物質実体力をなくすようなやわだったらお仕置きだし♡
それに、今ここであれが人の形を保てなくなったらどう言い訳するかしらねぇ。彼ら♡」
くすくすくす。
言い訳のレパートリーって、結構面白いときがあるしね♡
そんなあたしの言葉に。
「…間違いなく、髪も耳も鼻も口もなくなって水死人のような色をした顔に、
普通の人間よりもふた周りくらい大きな見開かれた二つの目。
そんな姿がいきなり現れたらパニックになりますが?」
まあ、このカンヅェル、あまり力をいれなかったらそのような形態になるからねぇ。
一目みただけでそこまで見抜いているルナ。
まあ、当たり前だけど♡
「あら♡何いってるのよ、それが面白いんじゃない♡
何だったら、あたしがするけど、気の開放♡」
にっこりと微笑むあたしの言葉に。
「な!?それは困ります!」
なぜかいきなり大声を上げてくるルナ。
「?どうしたんじゃ?ルナ殿?」
そんなルナに首をかしげて問いかけているフィル。
「あ、いえ、こちらのことで……」
そういい繕うルナの言葉に続き。
「本当に
面白いまでに馬鹿にした口調でそんなことをいっているカンヅェル。
今のルナの困る、という言葉で偽者…と決め付けてたりするんだけど。
…だからぁ。
これくらいわかりなさいよね!気配とか隠してても!
まがりなりにも魔族でしょうに…こいつは……
「ほら♡ルナ、あいつもああいってることだし♡それとも、あたしがしましょうか?」
「いえ!それは!」
なぜか悲鳴に近い声をあげ、そして、ため息一つ。
「わかりました。では私の気を多少解放させていただきます。…それでよろしいですね?」
「ふ…んっ。」
いまだに当人、というか赤の竜神騎士というか赤の竜神当人と気づいてないこのカンヅェル。
ここにいたっていまだに本物、と気づいてないし……
本物のわけがあるが。
などと馬鹿にしまくっていたりする。
「…はっ!」
ルナの気合とともに、辺りに光が満ち溢れる。
暁よりもまぶしい光が。
「何だ!?この光は!?」
驚いているフィル。
「とても神々しい光ですね。」
などといっているアメリア。
「これが……」
赤の竜神騎士がもつ…といわれている、聖なる気……
などと兵士の数名がそんなことを思うが。
それと同時。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
辺りに面白いまでの絶叫ともいうべき悲鳴が響き渡る。
皆…といっても、あたしとルナ以外の全員だけど。
皆がまぶしさに目を細めつつ…そちらを振り向くと。
そこには。
うづくまり、のたうちまわっているカンヅェルの姿が。
「…?おい?カンヅェル?どうし……」
クリストファが声をかけようとして…彼は言葉を失っていたり。
そこにいたはずのカンヅェルだったものは、もはや人の原型をとどめてはいない。
…たかがこの程度で。
先ほどルナが指摘したとおりの物体がそこにうづくまっていたりする。
「「な゛!?」」
それを目の当たりにして、驚きの声を上げているフィル。
アメリアなどは面白いまでに露骨に驚いていたりする。
ナーガやフィルは、
あたし達からこいつが魔族だ、と聞かされてるから多少の覚悟はできてたようだけど。
ざわっ!!!!!
面白いまでにその場が緊張と…そして、驚きと何ともいえない感情に支配されてゆく。
-続くー
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あとがき:
薫:ナーガの名前の説は、二つあります。
一つは、上記のあの名前。もう一つはナーガが入っていないほうの名前ですv
ナーガがはいってるほうがわかりやすいですしねv
神坂先生は、某所の雑談で、ナーガのアレは通り名で、本名にはナーガは入ってない・・・
とかおっしゃっていた。と誰かがいっていたのですが…
FC対談ではあっさりと。認めてますからねぇ。神坂先生(実話)
ナーガの本名vグレイシア=ウル=ナーガ=セイルーンです。…と(笑
案外、あの名前もお母さんのお下がりだったら笑えてしまう
(しゃれになんないか?でもそーかも・・笑
次回、あの暗殺者の登場ですv
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