エル様漫遊記


「あれ?ナーガさん?どうしたんですか?」
酒場にて、雑用をしていたナーガに気づき。
声をかけている一人の少女。
そんな彼女の言葉に。
「あれ?あんた…この前の。もういいから、この姉ちゃん、つれていってくれないか?
  何か一応壊したものもあの兄ちゃんが直してくれたことでもあるし。
  何しろこの姉ちゃん、店で高笑いなんかを毎日してくれて。客足が途絶えるんだよ…」
ナーガにとりあえず、罰として雑用をしてもらっていた店の主人が、
エレナをあたしと勘違いして、そんなことをいってたりする。
「お~ほっほっほっ!『どうしたんですか?』じゃないわよ!リナ!
  よくも私をおいていってくれたわね!?」
などといいつつ、エレナの胸をつかんでいるナーガ。
「ちょっとまったぁ!ナーガさん、エレナに何するんだ!?」
などとそんなナーガに抗議の声をあげているグレイス。
「あのぉ?私、リナさんじゃないんですけど…
  ……それより、ナーガさん、リナさんと一緒ではなかったのですか?」
「ああもう!どうでもいいから、ともかく!その姉ちゃんを連れて店をでていってくれ!
  頼む!これは今日までのバイト料金だから!」
ほとんど涙目で、ナーガとエレナに懇願している店の主人。
あらあら♡
ま、ナーガがずっと、この店にいる間、高笑いを続けていたがゆえに。
客足、実は途絶えたり、少なくなったりしてたからねぇ♡
ふふ♡
そんな光景が、とある酒場にて見受けられている、そんな中。
あたしたちはあたしたちで次の目的地にとたどり着く。

レーベンベルク。
山間を切り開いてできたこの町は。
かつては、オリハルコンが取れる町。
として有名となり、活気付いた時期もあったりしたけども。
今では、オリハルコンも取れなくなり、というか実際はとれるんだけど。
ただ、人が入らない場所で取れるのみ。
というだけのこと。
まあ、そんなこんなで今はめったと人がこないこの町。
そして、この町のそばにある山いったいの呼び名が、アモルファス。
かつては、このアモルファスにエルフの里があったりもしたけども。
今ではそのエルフたちはすでにいなく。
ただただ、伝説と、そしてまた、かつてエルフが伝えた代物、エルフニット。
という特産品がこの町にと残るのみ。
「昔、アモルファスにはエルフの里があって、そこにはたくさんのエルフがいたんだけど、
  ある日を境にエルフは消えたらしいからねぇ…」
などと、聞き込みをした町の人がそんなことをいっていたりするし。
まあ、いなくなった原因は当時の国王、というか人間たちに原因があるんだけど。
禁止文書扱いや国家機密事項に指定されているがゆえに。
そのあたりの事実は国民、知らないからねぇ~…
人間って自らの非を認めずに、隠そうとする傾向があるのよねぇ。
中にはそうでない人間もいるけど。
それがとくに権力などをもっている人間達などが非を隠そうとする存在たちが多い。
ということもあったり。
まあ、これは別に人間に限ったことではないんだけど。

「それで?塔の場所はわかったのか?」
ここ、レーベンブルクに一見しかない酒場。
とりあえず、各自、町の人から話などきき。
食事がてらに情報交換をしているあたしたち。
そんなゼルの言葉に。
「何でも、塔は、アモルファスのこのあたりにあったらしいわよ。」
いいつつ、地図の一点を指し示す。
「何でも、まだオリハルコンがとれるのではないか?
  と思った人間がこの塔のあたりまでいって。
  で、野良レッサーに驚いて逃げ帰ったようですけどねぇ。はっはっはっ♡」
いいつつ、ホットミルクを口にしているゼロス。
その言葉に。
「…レッサーデーモンが?」
いいつつ顔をしかめているゼルだけど。
「あら、いても不思議じゃないじゃない♡
  とりあえず塔の位置は大体ここだし♡どうする?今からいく?」
そんなあたしの言葉に。
「…今、夜だぞ?」
目を点にしていっているゼル。
くすっ。
「あら♡夜だからいいんじゃない♡昼間だと、いやでも下級としかいいようがない、
  雑魚魔族もどきに襲われてる密猟者たちの悲鳴とかが聞こえて、先に進めないわよ♡
  ま、無視していく、というのも手だけどね♡」
くすくすくす。
「「…悲鳴?」」
あたしの説明に首をかしげているガウリイとゼル。
「そ♡どうする?今からにする?それとも、絶対に夜になるのわかってるけど明日にする?」
くすくすくすくす。
あたしの説明に。
とりあえずは、そのまま、あたしたちは塔にとむかうことで合意し。
そのまま、夜の道をアモルファスにとむかってすすんでゆくことに。

アモルファス山にと位置するひとつの塔。
ちなみに、この塔が人の目に触れる理由となったのは数年前のちょっとした地震のため。
今、このレイナード王国って地震が頻発してるのよね♡
ヘキサグラムが発動している影響で♡
「ここが三番目の塔ね♡」
塔の目の前でにっこりと微笑むあたしに。
「何かリナ、楽しんでないか?」
じと目であたしにいってきているゼル。
「楽しんでるんだろ。それより入ろうぜ。」
かるく一言で済まし。
そのまま、塔の中にと進んでゆくガウリイ。
ちなみに、すでにアミュレットの影響で塔の封印は解けてるけど♡


「……誰?」
いつも、というか、ほかの塔とまったく同じ作り。
いくら同時に瞬時に作り出した、とはいえ。
もう少し工夫、という言葉を知らないのかしら?あいつは…
いつものように塔の中を巡回しているガーディアンたちを倒しつつ。
最上階にとと進んでゆくあたしたち三人。
と。
最上階にと向かうさなかにある、ちょっとした小部屋。
その中心にとたたずむ一人の女性。
あら♡
「あなた方は何なのです!?ここは私以外入ってくれないはずなのに?!」
あたしたちの姿をみてわめいているのは、いうまでもなくアリシア。
そんな彼女をみて。
「…またアリシアか…」
ため息まじりにいっているゼル。
そんなゼルの言葉に首をかしげ。
「?どうしてあなた、私の名前を?」
きょとんとしているアリシアだし。
まあ、彼女が一応は元となってるからねぇ。
というか基本となったのが彼女だし。
そして、ふと、あたしの横にといるゼロスにと気づき。
「…あら?でもまさか…そんな…いえ、他人の空似ですよね。
  あれから250年以上たってますし…」
などといいつつ一人で勝手に納得していたりするこのアリシア。
くすっ。
「あら♡ゼロス、どうやらアリシアはあんたのことを覚えてるみたいよ♡」
くすくすくす。
そんなあたしの言葉に。
「ゼロス?…名前まで同じ?というか、覚えてる…って。
  じゃあ、あなた、あのゼロスさんなんですか?でもどうしてここに?
  というかあなたは私と違って普通の人間のはず。まったく姿などがかわってないのは??」
などとそんなことをいってるしこの彼女は。
というか、普通気づくでしょうにねぇ。
このゼロス、当時もあからさまな行動してたんだし。
そんなアリシアの言葉に。
「いやぁ。それは秘密です♡
  しっかし、アリシアさん。あなたたちも思い切ったことをなさいましたねぇ。
  お父上が死んだときのこと、考えておられなかったんですか?あっはっはっ♡」
にこやかにその場にたたずみつつも笑みを定着させたままに語りかけているゼロスの姿。
「?どういうことだ?」
そんな二人の会話を聞きつつもゼロスに問いかけているゼル。
「あら♡簡単なことよ♡こいつあの当時。面白いからって、お仕事が終わってから。
  しばらくこのアリシアとベルナレスの父娘と一緒に行動してたのよ♡」
あたしの説明に。
「いやぁ。あっはっはっ。何やら面白いことをなさってましたからねぇ。
  まあ、結果的に共倒れ。という形になってたりもしましたけど。
  でも、あのとき、あのことを知っていれば、何かと…」
今のように北の魔王様がかなり衰弱することもなかったでしょうに…
などとそんなことを思いつつもいっているこのゼロス。
「あら♡あの程度でどうにかなるSのやつが悪いのよ♡」
そんなゼロスに対してにっこりと微笑むあたしに。
「なあ?どういうことなんだ?リナ?」
首をかしげあたしに聞いてきているガウリイ。
くすっ。
「簡単なことよ♡つまり、あの当時。
  こいつは面白そうだからってことの成り行きを傍観してたのよ。
  で、ちょっと面白そうだから、という理由でアリシア親子と共に行動してたのよね♡」
あたしのしごくわかりやすい説明に。
「はあ。まあ、そういうことです♡まあ、あの一件は僕のお仕事ではありませんでしたし♡」
にこやかに、さらりといっているゼロスに対し。
「…相変わらずのお役所仕事?といったところか?」
ぽそりとつぶやき。
そしてまた。
「このアリシアも気の毒に。散々ゼロスに振り回されたんだろうな…」
当時のことを想いはせ、そんなことをつぶやいていたりするゼルだけど。
「なあ?仕事って…何だったんだ?ゼロス?」
のほほんと横にいるゼロスにと問いかけているガウリイ。
「いやだなぁ。あっはっはっ♡ガウリイさん。
  それは写本の処分に決まってるじゃないですか♡
  ちなみに今でもその仕事はありますよ♡
  ただ今は最優先順位が【リナさんとの同行】、ということになってますけどね♡」
さらっといいきり。
「たまたまあの当時。
  僕この国にあったレイナード王家に保管されてた写本の処分にきてたんですよぉ。」
にこにこにこと笑みを浮かべつつも説明するそんなゼロスの言葉に。
「え?!それでは、あのとき…写本を燃やしたのは、ゼロスさん、あなたなんですか!?
  でも何でどうしてそんなことを…」
このアリシアはもともとのオリジナル、といっても過言ではないので、
このあたりの思考は、かつての人だったときのまま。
そんな彼女の言葉に思わずくすりと笑いつつ。
「あら♡何でって、それかこいつのお仕事だからじゃないのよ♡
  当時、あなたたちこいつがいい人、だと思ってたようだけど♡
  こいつ、こう見ても一応は高位魔族だからねぇ♡」
くすくすくすと笑いながら言うそんなあたしの説明に。
「……な゛!?」
あ、面白い。
絶句してるし。
そして。
「そんな!?
  それじゃあ父が命をかけて封印したあの魔族を解き放つ気ですか!?させません!」
なぜか悲鳴に近い声をあげ、そのままあたしたちにと向かってきているこのアリシア。
「いえ、あんな下っ端を解き放ってもどうかと…
  そういえば、リナさん?塔の封印をとかれてどうするおつもりなのですか?」
にこやかに、アリシアには困ったように、
それでいてあたしには疑問に思い、問いかけてきているこのゼロス。
「させるものですか!」
いうなり、そんなあたしたちの会話をさえぎり、術を解き放ってきているこのアリシア。
ちなみに、この塔はオリハルコン製、ということもあり。
中でちょっとした魔法とかつかっても、多少たりともびくともしないようにと設計されており。
ゆえに。
竜破斬ドラグスレイブ!!!」
いきなり、竜破斬ドラグスレイブを解き放ってきているこのアリシア。
「おや、アリシアさん、いきなりは物騒ですねぇ♡」
にこやかにそんなアリシアの放った術を無効化させつつもいっているゼロスに対し。
「…まだくるぞ!?」
何か叫んでいるゼル。
「あらあら♡このあたしに勝てる、とでも?ふふふ♡」
にっこりと。
微笑むあたしの言葉に。
なぜか。
『……え゛?』
まったく同時に叫んでいるゼルガディス、ガウリイ、そしてゼロス、この三人。
それと同時に。
虚無舞カオス・ロンドv」
きゅどどどど……
部屋一面にちょっとした黒い光の塊の舞がしばし舞い踊ってゆく。


「あ…あのなぁ…リナ、いきななりあれはやめてくれ…」
なぜかずたぼろになりつつ、あたしに抗議してきているゼルに。
「何かオレ、慣れてきたなぁ。」
のほほんといっているガウリイ。
まあ、部屋の中を舞ってゆくあの光から、
ガウリイはことごとくよけてたので、怪我ひとつない、というのが現状なんだけど。
どうやらあたしと一緒に伊達に長く旅をしてるだけのことはあり、
だんだんとそのあたりが磨かれてきてるのよね♡
このガウリイは♡
「あら♡あの程度はよけないと♡
  それはそうと、やっぱりここにも、オーブがひとつだけよね♡」
ふふ♡
にっこりと微笑みつつ、オーブを手にとるあたしに。
「とりあえず、わかっている塔はこれで最後か…だが?リナ?
  お前何か絶対に知ってるだろう?」
なぜかじと目であたしをみてきているゼルガディス。
「あら♡この一件、有名じゃない♡誰でもしってるってば♡ここ、レイナードの伝説は♡」
まあ塔に関して、ここたったの千年ばかりでいろいろと話が生まれてるからねぇ。
500年ほど前のレイナード王の財宝の伝説とか。
その地図をアミュレットにして残した、とか。
そういった類なものの伝説が♡
「ま、まあ、。レイナード王の財宝の伝説は有名だが…だが、あんたのことだ。
  それだけで動いている、というわけではなさそうなんだが?」
などとあたしにといってきているこのゼル。
くすっ。
だいぶこのゼルガディスも勘が鋭くなってきたわねぇ♡
いいことよね♡
「あら♡それはいやでもすぐにわかるわよ♡今は内緒♡」
まあ、ナーガには説明してるけど。
まだゼルたちには内緒にしておいたほうが、楽しいしね♡
「とりあえず、どうする?一度ロベルトのところに戻って。それから次にいく?」
くすくすと笑うあたしにたいし。
「…そうだな。とりあえずオレはこのまま首都でもあるレイナード・シティにいってみる。
  今はいろいろと魔道士とかそれなりの関係者があつまっているだろうしな。」
そんなことをいっているこのゼル。
ま、今はちょうど会議の時期だからねぇ。
ふふ♡
「それじゃ、あたしたちは一度ドルトハウトに戻るから。レイナード・シティで合流しましょ♡」
あたしの言葉に。
「ああ、そうだな。」

簡単な会話を交わし。
とりあえず別行動にするあたしたち。

さってと。
瞬間的に移動したら、アメリアと出会わないし。
勘違いしてるのも面白いから、からかいがてらに街道を進むとしますかね♡


                           -続くー

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あとがきもどき:
薫:ちなみに。私的には、ゼルガディスが、
  リナに『レイナード王の財宝が、塔の中にはすでにない。』と促すシーンが好きです。
  かなり念を押して怒らないか?と聞いていたあたりが何とも(笑
  で、ガウリイがゼルガディスには怒らない、と約束したからって。
  とばっちりをうけて、殴られるのがまた何とも(爆!
  さてさて、次回でアメリア登場です。
  その前に、アメリアが勘違いするにいたった事柄。
  ちょこっとのせておきますか(まて
  んではでは・・・・・
2004年5月6日某日

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