エル様漫遊記-プレミアム- ~決戦近し?~
雲はそれといってあまりなく。
澄み渡った青空に海鳥が舞い。
太陽の光に照らされて、空高く、鳥の鳴き声が青空と青い海にと響き渡る。
「さ、いきましょv」
石柱を拝む位置にとある白い砂浜。
そこにたたずむあたしたち。
アメリア・ガウリイ・ゼルガディス、そしてこのあたしのこの四人。
「トロピカナ…リナ?ドロンジョ?」
『いくって…リナ?どうやって?』
蛸語であたしに聞いてきているゼル。
「プリティーナ。リナにょっち?フニョドロンジョッチ?」
『そうですよ。リナさん?いったいどうやって?』
こちらもまた、今だに蛸語のままに話しかけてきているアメリア。
「アメリア?あんた、一応はセイルーンの巫女頭なんだから。
自力でその程度の魔術干渉くらいは治さないと。」
にっこり微笑むあたしの言葉に。
『ううっ。やってはいるんですけどぉ。』
などと蛸語で言い返してきているアメリア。
まあ、その気になれば、どんな言葉でもあたしには通じないものはないんだし。
「あ、いっとくけどv蛸語になってるからって。
魔法が使えないなんて軟弱なこといったら。あたし、少し暴れちゃう♪」
満面の笑みを浮かべてにっこり微笑むあたしの言葉に。
ずざっ!
なぜか一気に顔色を変え。
『ゼルガディスさん…(汗)』
『リナのやつ…本気だぞ…あれは、あの笑みは…(汗)』
にこにこと微笑んでいるあたしをみて。
そんな会話をしているアメリアとゼル。
「あらv魔術というものが何なのかきちんと理解していれば。
言葉なんて、ただのきっかけに過ぎないって、わかるとおもうけど?
まさか、このあたしと一緒に旅してたくせに。
その程度もわからない、というんじゃないでしょうねぇ?
クレアバイブル…すなわち、水竜王の記憶の欠片にも触れておいて?」
至極当然のあたしの言葉に、面白いまでにうろたえているこの二人。
「ま、神殿にたどりつくまでに、がんばってねvじゃ、そういうことでv」
パチン♪
あたしが指を鳴らすと同時に。
あたしたちの周りにと突如として出現する空気の層。
そのまま、ふわりと浮き上がり。
ゆっくり、ゆっくりと、石柱のある場所に一気にと移動する。
ちなみに、あたしたちがいた砂浜から浮いたと同時、
瞬時に石柱郡の真上にと移動したんだけど。
なぜかそれに冷や汗流しているアメリア、ゼル、そしてガウリイ。
― リナのやつ、いったい全体…本当に何者なんだ?
などとそんなことを思っているゼルに。
…う~ん。リナの気配、間違いなく人間なんだがなぁ。
たまぁぁにオレ、自身なくなるときがあるんだよな?
何かこう、もう少しで確信がもてそうな気もしなくもなく・・・
そんなことを思っているガウリイ。
― 確かに、リナさんの言うとおりです。正義の心さえあれば、魔法は必ず仕えるはずです!
などと、一人自分の世界に浸り、ガッツポーズをとっているアメリア。
「ほらほら、あんたたち。
どうでもいいようなことを考えてないでvこのまま、海中に突入するわよv」
トプン。
そのまま、ゼルたちを引き連れて、有無を言わさずに海中にと突入してゆくあたしたち。
さってと。
そろそろ、ゼロスだけに関してかけてた『町の人たちに対する枷』はずすとしますかね。
そのほうが面白いしv
「ううう。いったいエル様…どこにいらっしゃるんですかぁぁぁ…」
なぜか泣き言をいってるし、こいつは。
町中でなぜかうなだれて、
錫杖を大地につけて、それにすがりつつよろよろと歩いている黒い神官。
「あの海中の神殿にも入れませんでしたし…
……というか、あの石柱にすら近寄れませんでしたし…つまり…(汗)」
そんなことをつぶやきつつ。
つまり、それって…
あの御方があのプラシオさんに関して、何か干渉する、ということですよね…これは…(汗)
そんなことを思ってるし、こいつは。
そもそもあそこにこの僕が入れない。
というので、間違いなく決定的なんですけどね…
あとは、エル様たちのことを聞いたり、この町で白魔法、というか、
以前からプラシオさんの復活を警告していたあの白魔道士のルーマさんとかいう人間。
その人のことを聞いても町の人たちの反応は…ないですし…
完全に何かエル様…たくらんでおられるのは間違いないですし……
そんなことを考えつつ、てくてくと街中を歩いているこのゼロス。
「あああ。あのブラシオさんのことです!
絶対にあの御方と気づかずに失礼なことをしでかしかねませんし!
そうしたら、僕たちだけでなくこの世界そのものがぁぁぁぁ(涙)」
などといいつつ、その場に頭を抱えてうづくまるゼロス。
「おか~さん、なぁに?あの人?」
「しっ。見るんじゃありませんよ。男の子にはねそっとしておいたほうがいいこともあるのよ?」
などとそんなゼロスを横目でみつつ、
家路への帰路にとついている母娘がそんな会話をしていたりするけども。
「と…とにかく、こうなったら。なりふりかまっていられませんし。
この町の役場にいって、ルーマさんの家の位置を把握するべきでしょうね…」
早くしないと、取り返しのつかないことになっても困りますし…
そんなことを思いつつ。
そのまま、すっと街中にある木の後ろにと回り込み。
そのまま、人目がないことを確認し、瞬時に空間移動しているゼロスの姿。
あらあら。
どうやら役場でこの町の地図を手に入れて、ルーマの家を探すみたいねv
「テレスケホー!」
もう一度!
などといいつつ、ルーマに特訓をしているゼス。
「はい!真実の言葉よ!」
いまだにきちんと術が完成していないルーマ。
「やれやれ、やっとたどり着きました。」
二人が術の特訓をしているそんな中。
二人の背後から二人の耳にと知らない声が聞こえてくる。
思わず振り向く二人の視線の先にいたものは。
どこにでもあるような錫杖をもった、
どこにでもあるような神官服をその身にまとった黒尽くめで、
にこにこと笑みを浮かべている場違いな男性一人。
「?あの?あなたは?」
そんな男性-ゼロスの姿をみて首を傾げつつ問いかけるルーマの言葉に。
「ああ、はじめまして。僕は謎の神官、ゼロスといいます♡
実は僕、リナ=インバースさんとガウリイ=ガブリエフさん。
という人たち探してるんですけど…何かご存知ありませんか?」
にこにこと笑みを絶やさぬままにと問いかけるそんなゼロスの言葉に。
「まあ。リナさんのお知り合いですか?
リナさんは今。リナさんのお仲間だというアメリアさんとゼルガディスさん。
その二人とともに、今は海中にあるという封印の神殿に向かっているはずですが?」
両腕を顔の下でしっかりとくみ。
目をきらきらさせながらゼロスにと説明しているルーマ。
これはきっと!!
リナさんのお知り合いとかが集まってきている、ということは。
運命が私たちの未来を祝福してくれている!ということですよね!?ね!?
などと完全に自分の世界に浸りつつそんなことを思っているルーマだけど。
そんなルーマの言葉をうけ。
「え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!?」
面白いまでに驚愕の声を上げているゼロス。
「まさか、まさか!?あ゛あ゛!」
なんか叫んでるし、ゼロスのやつは。
「あ、教えてくださってどうもです!それでは、僕も急いでリナ様たちと合流しますので!」
などとなぜかあわてつつ。
そのまま瞬時にルーマとゼスの目の前から掻き消えているゼロス。
そんなゼロスの姿を目の当たりにし。
「まあ!リナさんのお仲間さんって瞬間的に消えることすらもできるんですのね!
すばらしいことですわ!」
などとそんなことをいっているルーマに。
「…うにょろしと?」
―…瞬間的に移動した?
なぜかそんなことをつぶやきつつ、冷や汗流しているゼス。
今の神官のことも気にはなるが。
だが今はとりあえず。
などととりあえず今のゼロスのことはおいとして。
「るし、ルーマ。テレスケホー!」
よし。ルーマ。もう一度!
瞬時に話題を切り替えているゼス。
「はい!」
そんなゼスの言葉をうけ。
再び魔法の特訓に入ってゆくルーマの姿がそこにあったりするけど。
さすがこの師弟よねv
まったく動じてないしv
海の中とはいえ。
当然あたしたちの周りはきちんと空気が存在する。
ゆえに息とかも普通にできてはいるけど。
もっとも、空気がないと生きられない人間とか、酸素を糧に肺呼吸する存在って。
欠点として、こういった水の中とかではあまり自由に活動できない、というのがあるんだけど。
その気になれば、水の中にある酸素の量でどうにかなるものなのに。
それにすらいまだに気づいていなし、ほとんどの存在が。
ゆっくり、ゆっくりと、海中にと進んでゆくあたしたち。
周りには魚一匹見受けられないのは、このあたりに充満している瘴気の影響。
まあ、今アカッシの町の負の感情というかエネルギー。
そのすべてがあたしたちが今向かっている神殿に一点に集められている。
というのもあるけども。
「あ、見えてきたわよv」
海中に沈んでゆくことしばらく。
やがてあたりに無数の石柱が具間みえはじめ。
その先に神殿の入り口がしっかりと。
ここに入れ、といわんばかりに海中というのに明るくなっていたりする。
まあ、事実、あいつらが、あたしたちを返り討ちにする、とかいう絶対無理なことを考えて。
おびき寄せるためにと舞台設定をしてるんだけど。
『光がありますね。』
『どうやらあそこが入り口らしいな。』
蛸語でそんなことを会話しつつ。
うなづきあっているアメリアとゼルガディス。
「とにかく、いくわよv」
そんな二人の言葉にくすりと笑い。
そのまま、空気の塊、
というかあたしたちが今入っている空気の結界を、そちらにとむけて進ませてゆくあたし。
さってと。
すこしからかって遊びますかv
「お~ほっほっほっほっ!ケロンジョベチョトナフィルナぁ!」
おかわりを持ってきて頂戴!
などと高笑いをしつつも、横にいる蛸たちにとそんなことをいっているとある女性。
自称、あたしのライバルをいまだに名乗っている、
アメリアの姉であり、あのフィルの長女でもある、グレイシア=ウル=ナーガ=セイルーン。
知恵蛸たちの助っ人として、この神殿にとやってきているまではいいものの。
というか、ナーガは無理やりにくっついてきた、というほうが正解なんだけど。
何しろ有無を言わさずに蛸たちをひきづりながら、ここにきていたりするからねぇ。
このナーガは。
『…(汗)いったいこの蛸魔道士様、どれくらい食べれば気がすむんだ?』
そんなナーガの姿をみて。
面白いまでに戸惑いの負の感情を撒き散らせているこの部屋にと存在している蛸たち数匹。
「お~ほっほっほっほっ!お~ほっほっほっほっほっほっ!」
部屋の中、ナーガの高笑いの声が響き渡る。
そのまま、しばしむせこんで。
そこにあるジョッキに入っているビールを、ガブのみしていたりするし。
このナーガ。
助っ人、というより、ここにたかりにきた。
というのが正解なんだけど。
それにすら気づいてないし。
ここの蛸たちは。
ふふ。
本当に面白いわ♡
ナーガが食事に夢中になって。
そしてまた。
ゼロスがルーマにあたしのことを聞いている同時刻。
あたしたちはあたしたちで、神殿の封印の間の中にとそのまま突き進む。
スポッ。
海中を進むうちに。
突如として水がなくなり。
あるのは、地上と同じ空気。
円形状の部屋の中。
四方を壁に囲まれ、その中心たる入り口の正面に。
ご丁寧にと安置されている、茶色い、ちょっとした模様の入っている壷ひとつ。
蛸をかたどった柱の中心に、しっかりと安置されてたりするし。
『なっ。空気がありますね。』
『なっ。空気があるのか?』
いきなり水がなくなったのに驚き、そんな声を上げているアメリアとゼル。
『ほ~。リナ以外でもこんなことできるんだなぁ。』
などとそんなことをいっているガウリイ。
そういえば、ちょっとした出来事のとき。
周りの水をきれいに消滅させたことが以前あったわね。
どうでもいいことだけど。
「んふふふ。この程度で驚くな。
貴様ら下等生物にあわせてやったのだ。この愚か者どもめ。」
そんなあたしたちにと向けられる一つの声。
『あ!あのときの!』
その姿をみて、思い当たることもあり、叫んでいるアメリア。
以前、この知恵蛸、出会ったことがあるからね。
多少、その顔は魔力を得たことにより変わっているけど。
ぴくっ。
アメリアの言葉に多少反応しつつも。
あのときの…
そんなことを思いつつ。
「ふふふ。私こそ守護神さまの魔力を得た、蛸族の若き英雄、知恵蛸。」
「長きにわたってわれわれ蛸族を町の名物として繁栄してきたものどもよ。
今こそ、報いを受けるときがきたのだ!」
などといいつつも、ご丁寧に壷の目の前に浮かび。
あたしたちにと説明してくるこの知恵蛸。
『蛸でも人間の言葉が話せるんですね。』
『あの蛸って、以前、フィルさんによく似ていた蛸じゃないのか?』
ほのぼのとそんな会話をしているアメリアとゼルガディス。
「まあまあ、そんなあたり前のことはおいといて。
それはそうと、あんたの後ろにあるその壷が。
あんたたちのいう、守護神である魔族プラシオが封印されている壷でしょ♡」
くすりと笑うあたしの言葉に。
面白いまでに反応しているし。
この知恵蛸は。
『あ、ということはこのままあの壷、破壊してしまえばいいですね。』
『おそらくあの壷を壊せば、あの蛸の魔力も消えるだろうしな。』
しみじみとそんな会話をしているアメリアたち。
『……で?どうするんだ?』
のほほんと、そんなことを聞いてきているガウリイ。
「くっ!き、貴様らのことは調査済みだ!生出よ!蛸魔道士様ぁぁぁあ!」
そんなあたしたちの会話をききつつ。
じと汗ながしつつも、ナーガを呼んでるし。
だがしかし。
シィィィィン……
その言葉の後に続くはしばしの沈黙のみ。
しばらくの沈黙の後。
あわてて、ナーガがまだ食事中だと伝達しにきている伝達蛸。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その言葉に一瞬目を点にして。
「こほん。」
体裁を取り繕うべく軽く咳払いひとつ。
「た、蛸魔道士様はただいま食事中だそうだ。」
ごけっ!
その言葉に、思わずこけそうになっているゼル。
あらあら。
かなりお茶目になったきたわね♡
このゼルガディスはv
さって、これから少しばかり楽しむとしますかね♡
-続くー
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あとがきもどき:
薫:あとは、アメリアが吹き飛ばされるシーンは。
あれはまあお約束で。魔族が復活するときにアテハメてたり(おい
でないと、ドラマCDに続きませんしねー(だからまて!
さあ、ゼロスは間に合うのか!?ナーガの活躍はあるのか!?
というか、まったく見せ場がないぞ!?アメリアたち!?(おい!
などとアメリアたちから苦情がきそうになりつつも。
とりあえず、次回にむけてゆくのです。
んではではv
2004年3月10日某日
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