エル様漫遊記-プレミアム-  ~勢ぞろい?~


眼下に見えるのは、混乱した町の様子。
「病気…だと?」
さすがのこの混乱振りに思わず唖然としつつもゼロスに問いかけているゼル。
「ええ。感染性の病気です。まずきっかけは、魔力をもった蛸を食することによって感染し。
  それは時と同時にこうしてひろがっていくんですよ。」
丁寧にも説明しているゼロス。
「病気がなんです!そんなものの前に正義が屈するんですか!?正義って何ですか!?」
建物の屋上であるというのに。
その端にてポーズをきめ、高らかに宣言しているアメリア。
と。
ぐらっ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あうえ゛え゛!?」
面白いまでに屋上から落ちかけているアメリア。
はぁ。
そんなアメリアを横目でみつつ、ため息ひとつ。
そのまま、落ちかけているアメリアのマントをしかっとつかむ。
じたばたするアメリアであるけど。
ゼルガディスがマントをしっかりと握っているために、
そのまま落ちるまでにはいたってはいない。
「エルさ…とと、リナさんたちもこの町に来ているはずなんですけど…
  僕も探してるんですけど…痕跡がつかめないんですよ…」
いいつつ、ため息ひとつついているゼロス。
というか、エル様のこと人間に聞こうとしたら……
……ものの見事に全員……答えられなくなってるんですよね…
どうもあの御方が何らかの干渉をしているようですし…
何かそんなことを思いながらゼルガディスたちにぼやいているゼロスだし。
「?貴様でも見つからないのか?」
というか、こいつ、リナと一緒にいろと上司命令とかで旅してたはずなんじゃ?
そんなゼロスの言葉に首をかしげ問いかけるゼルの言葉に。
「せめて、ルーマさんの家でもわかれば…」
ルーマさんの名前まではわかったんですけどねぇ。
そういいつつ、何やら腕を組んでいるゼロス。
「?ルーマ?」
どうにか体制を取り直しつつ。
屋上から落ちかけていた体制を建て直し、何ごともなかったようにゼロスに聞いているアメリア。
「ええ、この町で今回のようなことが起こるかもしれない。と街中で宣伝していた人です。
  …僕が聞いても誰も答えてくれませんで…
  もしかしたら、ゼルガディスさんやアメリアさんなら、きっとその場所。
  聞いたら答えてくださる…とは思うんですけど?」
にっこり口元に手をあてて説明するそんなゼロスの言葉に。
「?というか、どうして俺たちなら、答えてもらえるんだ?」
「まあ、確かに、このままでは名物の蛸料理が食べられませんし!
  そんなの正義に反します!」
いいつつ、ガッツポーズをとり。
「うう。多分なにらかの干渉がかかってると思われるんです…
  お願いです!早くリナさんたちを見つけてください!
  でないと僕たちの未来…というか、下手をすると、この世界の未来は…」
ほぉぅ。
グシャv
僕たちの未来とこの世界の未来はありません。
などと面白いことを言いかけたゼロスに向けて。
とりあえずゼロスの上空にちょっとした塊を出現させる。
その塊はなぜかそのままゼロスにと直撃し、
何ぜかゼロスをそこに押しつぶしていたりするけど。
「……(汗)」
もしかして、これってリナがやったのか??
なぜかそこに突如として出現した石らしき物体に押しつぶされたゼロスをみつつ。
冷や汗を流しているゼルガディス。
「ま、ゼロスさんですし。ほうっておいても大丈夫ですよ!
  それより!このままでは名物の蛸さんが食べられません!
  リナさんたちと合流して、これをとっとと解決して!
  おなかいっぱい、満足するまで名物の蛸料理を食べましょう!」
つぶれているゼロスをちらりとみてそれで済ましているアメリア。
「…ま、それもそうだな。蛸料理はともかくとして。…このまま、というのもな…」
それに、感染性、といっていたし…下手をすれば俺にも感染する可能性もあるわけで…
あんな言葉、恥ずかしくていえるか!
町の中に氾濫している蛸語を聞きつつ。
何やら面白いまでに心で叫んでいるゼルガディス。
「じゃあ、とりあえず、ルーマさんとかいう人の家を探すところからはじまめしょぅ!」
そういいつつ、ふわりとそこから浮き上がり、大地に降り立ってゆくアメリア。
「ま、成り行きだな。」
そんなアメリアに続いて降り立っているゼルガディス。
二人がいなくなったその後には。
なぜかいまだに押しつぶされているゼロスの姿があったりするけど。
まったく、何、寝ているのかしらねぇ?
ふふv


ざく。
ざくっざくっ。
足音がゆっくりと近づいてくる。
アメリアたちがルーマの家を見つけ出すのは至極簡単のこと。
「ルーマ?ああ、あの変な女の子のことね?」
聞き込みを始めてすぐに。
家を知っている町の人にと行き当たり。
とりあえず、その家にいけば、あたしのことがわかるかも。
というので、こちらに向かってきているこの二人。
「でも、あんなにすんなりとルーマさんとかいう人の家、教えてくれますのに?
  どうしてゼロスさんはわからなかったんでしょうか?」
すんなりと教えてもらえましたけどね?
そんなことをいいつつ首をかしげているアメリアに。
「…何か干渉されてる…とかいってたな…
  …リナがもしかしたら何かしてるのかもしれないな…」
しかし…
町全体の質問に対する対応の制限の仕方とか…そんな術、聞いたこともないが…
「…そんなことできるんですか?」
「…普通ならできないだろうな……」
なぜかそんなことをいいつつしみじみといっているこの二人。
ま、まあリナさんなら…何かものすごくできても不思議でないような気がしますけど…
などと思っているのはアメリア。
…やはり、アレが関係している術なのかもしれないな…
それか、スィーフィードの…つまりは神聖魔法とか…ふむ。
などと一人そんなことを思いつつ納得しているゼルガディス。
「とりあえず、その家にいってみましょう。」
「だな。」
そんな会話をしつつ。
二人はそのまま、あたしが今いる、ルーマの家を目指し、そのま道を進み始めてゆく。
ザッ。
ザッザッザッ。
ようやくあの術を直す方法…というか病気を治す方法を所得できたはいいものの。
ついうっかり、町がそんなことになっているとはまったく気づかずに。
夕飯をかねた釣りにて、蛸を吊り上げ、
そのまま蛸を食して思いっきり感染しているこの男性。
というか、この人間も面白いんだけどね。
何しろ、結構守銭奴だし。
まあ、それはそれとして。
近づいてくるその気配を感じつつも。
気づかないふりをして、
目の前のテーブルにと広げられた古代地図を囲んで見ているあたしたち。
そこには、羊皮紙にと書かれた石柱の下にあるという神殿の姿が描かれていたりする。
海中の岩の中にとあるといわれているこの町では伝説の封印の神殿。
ここに近づくとたたりがある、といわれており、町の人たちは近寄りすらしないけど。
四本の石柱を基本とし。
その下には石柱で基礎が成されている神殿がたたずんでいる様子が描かれている。
伝説では、海の中にある石柱モノリスの下にこの神殿がある、と言われているのであるが。
実際には伝説でも何でもないんだけどねv
ただこの町の人々はそれを伝説と信じて疑っていないのも事実だし。
この町の人々はその姿を確認したものは誰一人として存在していないのもまた事実。
というか、人間って、面白いところで迷信深いからv
「ここだな。」
「そうですね。」
とりあえず、ルーマの家にとたどり着いているアメリアとゼル。
二人が扉をノックしかけると、家の中から聞こえてくるあたしたちの声。
というか、あたしは彼らがそこにいるのをしって、わざと声を出しているんだけど。
「とりあえず、ここにいってみるしかないわね。」
「私はお師匠様を探してみます。」

それとなく会話をしているあたしとルーマの言葉を、扉の向こうから聞いているアメリアとゼル。
あたしの声を確認し。
思わず顔を見合わせ、そして小さくうなづき。
そのまま扉にと手をかける。
「リナさぁぁん!探しましたよ!?」
扉を開けるなり、高らかにいってくるアメリアに。
「リナ、ガウリイ、ここにいたのか。-お邪魔するぞ。」
こちらはこちらで、一応はきちんと挨拶をしているゼルガディス。
「アメリア、ゼル、とろっぺちょ。」
ごげっ!
あ、面白い♡こけたv
ガウリイの言葉にその場にこけているアメリアとゼル。
そのまま思いっきり床とキスをしているアメリアたちだし。
「な゛な゛な゛!?ガウリイも感染してるのか!?」
起き上がりつつ、何やらわめいていってくるゼルガディスに。
「ガガガガウリイさん!?今まで以上におかしくなっちゃってるんですか!?」
などとそんなことをいっているアメリア。
ちなみに、ガウリイが今言った言葉は。
―アメリア、ゼル、お前たち。
であるけど。
「あ、あのぉ?リナさん?この人たちは?」
そんな二人をみて首をかしげているルーマ。
「あら、あたしの知り合いよ。―そんなことより。」
「おっぺん、とろすけ?」
ほかにも誰かきたぞ?
歩いてくる人の気配を感じ取り、そんなことを言っているガウリイ。
いまだに言葉は蛸語のままだけど。
あたしとガウリイが今二人が入ってきた扉を見つめているのに気づき。
視線をそちらに向けているルーマに、
起き上がりつつも同じく入り口にと視線を向けているアメリアとゼル。
あたしたちが見ているそんな中。
ギギィィィ。
ゆっくり、ゆっくりと玄関の扉は開かれてゆき。
開かれた扉の後ろから太陽の光が差し込み、逆光効果も手伝って。
人間の目にはその姿はすぐには確認できない。
やがてその姿がはっきりとその瞳に映りこんでゆく中。
ルーマの顔が満面の期待に満ちた笑みにと変わる。
「お師匠様ぁぁ!」
両腕をくみ、その名前を呼んでいるルーマ。
「うん?」
「誰ですか?」
アメリアとゼルがその姿をみて首をかしげているけど。
ルーマの声に少しばかり笑みを浮かべ。
そのまま手にした巻物をずいっと前にと突き出してゆく、
今扉を開けた男性。
灰色のズタボロのマントに。
藍色…ちなみにこれは汚れてこの色なんだけど…
ともかく、そんな服に焦げちゃの紐で腰を結び。
もう少し、服装にも気を使えばいいものを。
「お師匠様!」
期待を込めてつぶやくルーマの眼にと入ったのは、彼が前にと突き出している巻物ひとつ。
それをみてとり、さらに期待に瞳を輝かせ。
「それはもしや魔病を癒す術を示した秘伝の書!?」
期待をかけて、問いかけるルーマ。
そんなルーマの言葉にぐっと、肯定の証として、
右手の親指を握り締めたこぶしより、一本のみつきたてる。
それをみて、さらに瞳を輝かせているルーマ。
「メリケンソ。チョロレベホマランジョン。」
ドガシャ!
次にルーマが師匠、と呼んだ男性が発した言葉は。
ものの見事にお約束。
当然のことながらに蛸語。
その言葉をきき、面白いまでにあたし以外の全員が、再び足コケしてるし。
う~ん、これこれ♪
この反応、やっぱ何度みても、飽きないわよねv
そうなんじゃが。わしも病気にかかっちゃったぁ。
などといいつつ、涙を流して少しばかりぶりっ子したような格好をとっているその男性ゼス。
その姿をみてさらにこけているアメリアたちに。
目を点にして呆然としているルーマ。
「あらあら、肝心なルーマがまっていた師匠のゼスも感染してるわねv」
にっこり微笑むあたしの言葉に。
「え?あの?私…お師匠様の名前…いいましたっけ?」
などと首をかしげているルーマ。
「あら、誰でもわかるっ。」
「にゅぺるっちょな。」
「「わか・・・・るちょな。(るちょっちな。)」
「「にゅ!?」」 
わからんぞ、普通は。
起き上がりつつあたしをみつめていうガウリイに。
わからんと思うぞ?
と言いかけるゼルに
わからないと思います。
と言いかけているアメリア。
そんな二人の言葉は途中から、面白いまでにと蛸語にと変化する。
「あらあらv蛸語の感染、ここまで広がってきたみたいねv」
「リナさぁん!何をそんな悠長なぁあ!」
にっこり微笑み言うあたしに。
なぜかそんな悲鳴に近い声を上げてきているルーマ。
「ま、気にしない、気にしない。―でも、増えてどうするのよvあんたたち♪」
くすくす笑って元から感染しているガウリイはともかくとして。
アメリアとゼルにと話しかける。
あたしの言葉に。
「ムネナシッテぇぇぇぇ!!」
何てことですかぁぁ!?
などと叫んでいるアメリアに。
「ムネナシ…ドロクベホマロール…」
なんてこったい…まさか感染するとは…
などと面白いまでに冷や汗流しているゼルガディス。
う~ん、二人の感情が結構これまた面白いv
このうろたえようは♡

「ま、とにかく。ルーマの師匠であるゼスも戻ってきたし。ひとまずは作戦会議としましょうよ♪」
にっこり微笑んで全員を見渡し言い切るあたしの言葉に。
「「・・・・・・・・」」
何かリナのやつ、楽しんでないか?
リナさん…何か楽しんでませんか?
…私、お師匠様の名前…話しましたっけ??
などと一人違ったことを思っているルーマに。
この女性は…いったい??
などとあたしをみて首をかしげているゼス。
リナのやつ、絶対にこの事態になること……わかってたな…絶対に…
そんなことをおもいつつ、あたしをじと目で見ているガウリイ。
「あら、そんなあんたたちどうでもいいことはおいとして。
  それじゃ、今後の対策を決めましょうかv」
くすりと笑い。
そのまま話を進めてゆく。

とりあえず、いまだになぜか不思議がっている彼らをそのままに。
テーブルに広げた地図というか、絵図を指し示しつつ。
「とにかく、この神殿に行けばすべてはわかるわよ。
  ――で、ルーマは特訓ね。今の魔力と実力じゃ、その術完全に使いこなせないからね。
  かなり初歩的な白魔法なんだけどねぇ。それ。」
首を傾げつつも席についたゼルガディス、アメリア、ガウリイ、ルーマ、そしてゼス。
ゼスが横においている術が書かれているその巻物を指し示し。
とりあえず説明しておくあたし。
う~ん、何て親切v
「とるぺちょな?リナ?」
知っているのか?リナ?
首をかしげて聞いてきているゼルガディス。
「あらvこの言葉というか術、かなり簡単よ。初歩だし。
  ちなみに、混沌の言葉カオスワーズは。『真実の言葉よ光となりて偽りの言葉を照らし消し去れ』。よ。
  このくらいの初歩魔法、誰でもできるってば。」
あたしの言葉と同時に。
術が発動しかけるけど、それは発動しないようにと干渉してっ…っとv
「知っているんでしたらもっと早くにおしえてください!」
『ドラマタ……』
やっぱりか。
リナのやつ、絶対に知っていると思ったんだよな…
などと二人してそんなことを思っているガウリイとゼル。
「あらvゼルちゃん?ガウリイちゃん?どういう意味かしらぁぁぁ?」
とりあえず、そんなことを考えた二人はなぜか。
その直後に床にのめりこんでいたりするけど。
「ペナッ!?ゼルちょどみ!?」
ああ!?ゼルガディスさん!?
なぜか床にとのめりこんだゼルガディスをみて叫んでいるアメリア。
ちょっとばかり二人の周りの重力を数倍にしただけで、
どうしてそのまま床にのめりこむのかしらねぇ。
ふふふふふv

何はともあれ。
そんなほのぼのとした話し合いをしばらくしつつ。
話し合いの結果。
ルーマはゼスにと魔力を高める特訓と術を完成させるべく特訓を受けることとなり。
あたしたちはあたしたちで、海の底の神殿にと向かうことで話が一致する。

さって、遊ぶ…もとい、しばらくひっかきまわし…でなかった。
しばらくこの一件で楽しませてもらいますかv

当分ゼロスには気づかれないようにちょっと細工しておきましょ♪


                                      -続くー

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あとがきもどき:
 薫:・・・・・・・・・・・・・エル様・・・
エル:あら?何かしら?
 薫:・・・・・ノーコメントとさせていただきます・・・・
エル:いいのよ、ゼロスのことなんて。
    それにそもそも、あれを野放しにしておく部下Sたちの体制がそもそもいけないのよ。
    まったく。しかも、あいつ、このあたしに気づかずに攻撃しかけてくる…
  薫:あわわ!ネタバレがぁぁあ!?何か雰囲気がヤバクなってきたので、これにて!
   (薫、無理やり幕を降ろしてゆく・・・)

(エル:ちょっと!まだあたしの話が終わってないのよ!んっふっふっ。いい根性してるじゃない、ん?)

―ザシュシシュ

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

何やら悲鳴が巻き起こりつつも…その場に幕がおろされ・・・そして、沈黙・・・・
2004年3月8日某日


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