エル様漫遊記


ざくざくざく。
「つ~か、どうしてこういう役目はいつも男の役目なんだ?」
などとぶつぶついっているキース。
「そういうな。あんた。もしリナに頼んでみろ。とんでもないことになるぞ?」
などとそんなことを顔色を代えてぼそぼそといっているゼル。
「ほぉぉぅ。どういう意味かしらねぇ?んっ?ゼルガディス♡」
あたしの言葉になぜか一瞬硬直しているゼルに。
「まあ、こういうのも楽しくていいじゃないか。」
などといいつつ、にこにこと。
目の前に背の丈よりも長く生えている草をなぎ払っていっているガウリイ。
この剣、面白いまでに切れ味いいんだよなぁ。
というか、この材質、何か軽く岩とかでもきれそうだし。
などとそんなことを思っているガウリイだけど。
まあ、それ、一応、オリハルコン製。ではあるからね。
ガウリイに今渡しているそれは。
でも、この世界というかこの惑星のオリハルコンではないけどね。
ふふv
ちなみに、ガウリイたち男性陣。
キース、ガウリイ、そしてゼルガディス。
この三人は仲良く並んで、
あたしたちの道の行く手をさえぎる、草をなぎ払いつつ道を作っている今現在。
ちなみにクラウスは、彼らが草をなぎ払い、
道を作ったその場所をならしていっている今の現状。
あたしたち女性陣は。
そんな彼らの後ろからすでに土をならされた道となった場所を歩いて、
後ろからついて進んでいっていたりする。
「…ゼルガディスさん…恐ろしいことをいわないでくださいね?」
などと、なぜかそのにこやかな笑みを浮かべつつも、冷や汗を流してそんなことをいいつつ。
彼らがなぎはらった草を塵と化していっているゼロス。
「だが前に、こういう状況になったとき…リナのやつ、一瞬で石の道を作ったぞ……」
まあそういうこともあったわね。
あの程度でなぜか驚いていたアメリアやゼルだったけど。
まあ、どうでもいいことはおいといて。
そんな会話をしつつも、どんどんと道は開けていっている今のこの現状。

やがて。
そんな彼らの手が止まり。
そんなことをしなくてもいいようなちょっとした空間にと、あたしたちは躍り出る。

「…どうやらおいでになったようだぜ。」
いいつつ、剣を構えなおしているガウリイ。
「だな。」
いいつつも、同じく剣を構えなおしているゼル。
見れば。
少し視界の先に、少しばかり黒いものがうごめいていたりする。
否、それは、確かに”もの”ではあるけども。
「…さすが。ダーク・ブレスの本拠地に近いだけのことはありますね。」
などとそんなことをいっているマリィ。
それの姿を目にとめて。
あたしたちの視線の先には。
その開けた場所の空間全体にと広がる、ちょっとしたうごめくものたち。
まあ、高々五十体程度のオーガ、そしてコブリン、そしてトロルたちの群れ。
「まったく、こんなところにまであんなものを配置しているなんて!
  これは完全にやましいことをしています!という何よりの証拠です!」
などと、一人そんなことを叫んでいたりするアメリア。
そして。
しばし、周りを見渡し。
「…でも、トロルたち相手に高いところに上って口上を述べる、というのも何ですね。」
などと心底残念そうにつぶやいていたりするし。
「んっふっふ。近くに人の気配とかもまったくないわよね~♪」
近くにはまあ、実はその気配はあるんだけど、
ガウリイは気づいてるけど、ほかのものは気づいてないようだし。
まあ、ゼロスはいつものように気づいてても言わないのはわかってるし。
下手にいったら、なぜかあたしに怒られる、とゼロスは思ってるからねぇ。
まったく、心優しいこのあたしを捕まえておいて。
にこやかに微笑みつつ。
軽く手を前にと突き出すあたしをみつつ。
ザァァァ!
面白いまでに一気に顔色を変えているゼルにアメリア。
そして。
「ヤバイ!」
などといいつつ、あわてて風の結界というか防壁を唱えているゼルに。
「マリィさんたち、こっちへ!早くリナさんから離れてください!」
などといって、こちらもまた、ゼルに続いて防壁呪文を唱えているアメリア。
「ほら、早く、巻き込まれるぞ!?」
こちらもまた、あたしが何をしようとしているのか察して、そんなことを叫んでいるガウリイ。
一方でまったく意味がわかってないマリィ・キース・クラウスの三人は、
ただただ首をかしげているのみ。
「…(汗)一応、僕が結界をアメリアさんたちの周りに張りますね…」
どこまで守れるかわかりませんけど…
などとそんな情けないことをおもいつつ、そんなことをいっているゼロス。
「あの?」
「おい?いったい?」
「…?この魔力の高まりは!?」
ただただ首を傾げつつも、アメリアに手を引っ張られ。
そのまま、アメリアたちの横にと移動させられ。
首をかしげているマリィに。
何かいやな予感がするのは、オレの気のせいか?
などと思っているキース。
そして、一人、クラウスは、あたしの方をみつつ。
そんなことをいっていたりするけど。
あたしはそんな彼ら。
とりあえず、三人がアメリアたちの周りに移動したのを確かめつつも。
一応、ガウリイたちや、そしてまた、キース達の人目もあることから。
形適にとカオスワーズを唱えだしていたりする今現在。
「黄昏よりも暗きもの、血の流れより赤きもの、
  時の流れにうずもれし、無能な汝の名に命ず、
  我の命により、我の前に立ちふさがりし、愚かなるものに、裁きの鉄槌をくださんことを。」
あたしのその言葉に。
「…リナさんの、この言葉っていつもどこか違うんですよね…」
「…というか、魔王を無能って…それでよく術が発動するよな…」
しみじみとそんな会話をしていたりするアメリアとゼル。
そしてまた。
「え?この呪文って…もしかして…あの?伝説の?」
マリィがあたしの言葉を耳にしてそんなことをつぶやいていたりする。
このあたりでは、黒魔術。
というか、魔の力を使った術。
はっきりいって伝説上、の代物と成り果ててるからねぇ。
面白いことに。
そんなマリィのつぶやきをその背にとつつ。
竜破斬ドラグ・スレイブv」
ドグゴォオ゛オ゛オ゛ンン!!
あたりにちょっとした轟音というか、爆音が、響き渡る。

「…防御結界張っててよかったです…」
などとそんなつぶやきをもらしているゼロス。
ちなみに、ゼロスが結界をアメリアたちの周りに張っていたがために。
とりあえずはアメリアたちの周りには被害はさほど出てはいない。
まあ、あたしもアメリアたちの周りには術が及ばないように少しはしてたし。
『………』
― さすがというか、何というか…
― やっぱりリナさんなんですよねぇ。
― お~。リナだなぁ。やっぱり。
そんなことを同時にそれぞれに思っている、ゼル、アメリア、ガウリイの三人。
『―――!!!!!!?』
そしてそれをみて<面白いまでにと動揺しそしてまた絶句しているマリィ・キース・クラウス達。
― な゛!?何だ!?今のは!?
― あれが伝説の…黒魔術…最高峰…と伝説にある…
― あれ、覚えたら少しは悪を懲らしめることできるかしら?すごい威力ですわv
などと、そんなことを思っているキース、クラウス、そしてマリィ。
マリィの考え、ある意味、はじめのアメリアと同じ考えなのよね。
ま、この二人、ある意味似たもの同士だしね。
ふふv

あたしの目の前にあったはずの草原は。
ものの見事にきれいさっぱりと。
綺麗にとなくなり、代わりにちょっとしたクレーターが目の前にとできていたりする。
あとちょっぴし周りにその余波が及んでいるようだけど。
それはそれ。
やがて。
ぽつりと。
「…ウソ…だろ?」
ようやく声をだしているキース。
そんなつぶやきに。
「まさか、あの伝説の魔法を使える人間がいるとは…」
などと違う意味で関心しているクラウス。
「もう!リナさん!いきなり竜破斬ドラグ・スレイブはやめてください!
  リナさんのそれ!なんか普通のよりかなり威力があるんですから!」
「というか……リナの唱える呪文はカオスワーズの一部が違っているのが。
  俺的には前から気になってるんだが…」
そんなあたしに抗議に声を上げてくるアメリアとゼル。
「お~い。リナぁ。たかが、オーガとかトロル相手にやりすぎなんじゃないのか~?」
のほほんといつものことなので動じることなくそんなことをいってきているガウリイ。
「まあ、リナは盗賊とかにも竜破斬ドラグ・スレイブを使ってるからな。」
「それはいいんです!悪を滅する呪文!それが竜破斬ドラグ・スレイブなんですから!」
そんな会話をしているアメリアたちだし。
そんなアメリアたちの会話とは関係なく。
「リナさぁん、あまり派手にやってると。地竜王さんに気づかれちゃいますが?」
などと、恐る恐るあたしにといってきているゼロス。
「あら、別にいいじゃないのよ。天竜王エア・ロードバールウィンが出てきても。いい暇つぶしになるし。」
にっこりと言い切るあたしに。
「「…いや、『いい暇つぶし』って…」」
なぜかそんなあたしの言葉に突っ込みを入れてきているフィリアとヴァル。
そんなあたしの言葉に。
「ううう。そんなぁ。僕たちが困りますぅ。というか、余計に弱体化しちゃいますよぉ。」
などと泣き言をいってくるゼロスだし。
「あら、そ~なったら、Sにはさらにスペシャルお仕置きが必要よねv」
その程度で弱体化するってことは、
やっぱり上に立つ、まがりなりにもここの魔王をやっている部下Sの責任だしねぇ。
ふふふ。
「…あうあうあう。」
なんかないてるし、ゼロスは。
そして。
「ん?ちょっとまて。リナ。どうして天竜王の名前を知っている?
  俺等でも知ってはいるが、その名前までは知らんぞ?」
ふと思い出したようにいっているゼルに。
「ルナさんの関係じゃないですか?
  リナさんのお姉さん。赤の竜神の騎士スィーフィードナイトですし。」
そんなゼルにさらりと突っ込みをいれているアメリア。
ちなみに、この会話。
いまだに目の前のこの光景に驚いているマリィたちの耳には聞こえてなかったりするけども。
ふむ。
ちょうどいい機会だし。
「そういえばそうね。ちょうどいい機会だし。きちんと説明しておく、というか教えておくわね。
  まずこの辺りを守っているのが、天竜王エア・ロードバールヴィン。
  で、ゼルたちがいた大陸。あそこを守っていたのか。
  水竜王アクアロードラグラディア。
  まあラグラディアは一応表向きは、滅んだということになってるけど。
  ちなみに意識は残ってて、あれになってるのはゼルたちも知ってるわよね?」
あたしの言葉にうなづくアメリアとゼル。
ちなみに、キース達はただただ首をかしげるのみ。
「で、地竜王アース・ロードランゴードに。
  以前何を考えたのか愚かにも古代竜に戦いを仕掛けようとした、
  火竜王フレアロードヴラバザード。
  つまりは、バールヴィン・ラグラディア・ランゴード・ヴラバザード。この四人よ。
  赤の竜神フレアドラゴンスィーフィードの部下は。」
そんなあたしの説明に。
「…く、詳しいんですわね…」
呆然といってきているマリィ。
「いったい、お前はあのルナさんからどれだけきいてるんだ?」
いや、多分、というかそうであってくれ。
絶対に赤の竜神の騎士から聞いてるんだよな?リナは?
あれの関係…ということはないよな?
などとそんなことを思いつつ、いってきているゼル。
「あら、そんなの全部に決まってるじゃない♡」
即答するあたしの台詞に。
「うん?ちょっとまってください?スィーフィード…ナイトって…あの伝説の?」
ふと思い出したようにと聞いてくるクラウス。
この辺りでは、そのことすら伝説となっていたりするのよねぇ。
ルナの欠片を宿している人物のことv
「神の力をその身にと宿している、といわれている?あの?滅んだ竜神様の?」
まあ、この辺りでは、欠片を宿してはいても。
気づかなかったり、それは微々たるものだったり。
宿しているがゆえにその国の上層部にとにらまれ、そのまま闇にと葬られたり。
ということはこの千年ばかり、一般化してるからねぇ。
一般大衆には知られてないだけで。
そんなマリィの言葉に。
「まあ、リナさんは。
  その『赤の竜神の騎士スィーフィードナイト』であるルナ=インバースさんの妹さんですし。」
などと丁寧に彼ら三人に説明しているアメリア。
「「え゛!?スィーフィード・ナイト(様)の妹!?」」
同時に同じことを叫んでいるキース達三人。
そんな彼らだけど。
ふぅ。
どうもやっぱり勘違いしてるのよねぇ。
軽くため息ひとつ。
というかアメリアたちも勘違いしてるようだし。
「う~ん、どうもやっぱり勘違いしまくってるのよねぇ~。」
いいつつ。
軽く手をばたぱたと振りつつ、にこやかに。
「いっとくけど、滅んでないわよ?スィーフィードは?」
『……は??????????』
あたしの至極もっともな台詞に。
なぜか、目を点にしているゼロスとガウリイを除くこの場の全員。
「あ゛あ゛あ゛あ゛!リナ様ぁぁぁあ!?」 
―ザスッ。
とりあえず、何かが横に転がったのは気にしないでおくとして。
目を点にしている彼らににこやかにと微笑みかけるあたし。
とりあえず、これはきちんとした事実を教えておく必要はあるわよねぇ。ふふふふふv


                                -続くー

   HOME     TOP     BACK     NEXT

#####################################

あとがきもどき:
薫:うにゅぅぅ。せきこみつつ、ついでにメッセしつつやってたら。
  またまた二時、過ぎてるよ・・・・あぅ・・・・
  こんなだからなかなか風邪・・・治らないのかなぁ?(自覚はある・・・・
  でも本気で最近打ち込み時間が前ほど早くなくなってる・・・・
  何か目の前がかすむような気がするのは・・・・私の気のせい?
  あ、そんなどうでもいいことはおいとくとして。
  ・・・・・・って、たったのノート1ページ分しかまた進んでないよ・・・・あはははは・・・(実話
  ま、何はともあれ、また、次回にてv
2003年12月22&23日某日

   HOME     TOP     BACK     NEXT