エル様漫遊記


「とりあえず女性限定、ということだから♪」
にっこりと、エレノアから依頼を受けた後。
村に一軒しかない宿屋に部屋をとり。
今回の依頼の件について話し合っているあたしたち。
ぎくっ!
なぜかあからさまに硬直しているゼル。
「そうですね……さて。女性限定……ということですよね。」
などといいつつ、腕をくみ、ちらり、とガウリイとゼルを横目で見ているアメリア。
「あ、俺は、別の筋からこの件……当たってみるから…」
冷や汗を流しつつもそのまま、腰を浮かしつつ逃げかけているゼル。
あたしたちが今ちょっとした作戦会議をしているのは。
さすがに小さな村のせいか、宿屋兼集会場、としても利用されているこの宿。
ゆえに、ちょっとした会議室のようなものが設けられていたりする。
そんな会議室もどきで話し合いをしているあたしたち。
なみに、この宿屋は三階建てで、一階が集会場。
二階、三階が宿泊部屋となっている。
がっし。
椅子から立ち上がり部屋から逃れようとするゼルをにっこり微笑みつつも、
そのマントと手をつかむあたしとアメリア。
「何をいってるんですか!ゼルガディスさん!これも人助けです!」
ゼルガディスの手をつかみ、にっこりと微笑んでいるアメリアに。
面白いまでに顔色を悪くしているゼル。
「そうよ♪ゼル、そういうことでお化粧ね♪もちろん、ガウリイもSもゼロスもね♡」
あたしの至極当然の言葉に。
「って、やっぱりかぁ!?」
などとなぜだか叫んでいるガウリイに。
どえええええええ!?
などと面白いまでにうろたえているS。
あ~、やっぱりこうなりますかぁ。
などとそんなことを思っているゼロス。
まあ、悟っているようなゼロスですら、面白いまでに内心冷や汗を流しているのが面白いけど。
「あら、何いってるのよ。別にいいじゃないのよ♪
  特に本当に女性体…すなわち、その性別を変えるのじゃないんだから♪」
にっこりと微笑むあたしの言葉に。
なぜか。
嘘です!!!
嘘だぁ!!!!
同時になぜか二人して同じことを思っているゼロスとSがいたりするけど。
まあ、そりゃ、面白いからこの二人に関しては。
ちょこっと精神体から切り離して、
ちなみに力も普通の人間とさほどかわりないようにして、完全なる女性体にするけどね♡
そのほうが楽しいし♪
「?リナさん?性別を変えるって……そんなことができるんですか?」
首を傾げつつもあたしに聞いてきているアメリア。
「あら♡何ならアメリアにも教えるわよ。遺伝子の組み換え方法♪」
結構、簡単だし♡
『やめてくださいぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!』
あたしの言葉になぜか本気で手を顔の前で組んでなきながら懇願しているSとゼロス。
まったく、気が小さいったら。
「……い……遺伝子?の組み換えって……」
何かとてつもないことのような気がするのは…俺の気のせいか?
などと思いつつ、冷や汗を流しつつぽつり、とつぶやいているゼル。
「あら♪とっとも簡単なのよ♡
  まず、人間にはXとYという染色体があるんだけど。あ、染色体というのはね。」
「いや、怖いから詳しくは聞かないことにする。」
「気にはなりますけど詳しく聞いてもおそらくわかりませんのでご遠慮いたします。」
なぜか説明を始めたあたしの言葉に。
即座に言ってきているこのアメリアとゼル。
「あら?そう?簡単なのに?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
なぜかあたしの言葉に完全にしばし無言となっているゼルとアメリア。
本当に簡単なのに。
失敗してもそれはそれで面白い物体となるだけだしね。
「ま、いっか。と、ともかく!話がそれましたけど!
  さっ!それよりゼルガディスさん!そうと決まれば早速お化粧しましょう!」
にっこり笑ってがしりと、ゼルガディスの腕をつかんでいるアメリアに。
「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
なぜか抗議の声を上げているゼルに。
「じゃあ、ゼルはアメリアに任せたわね。あたしはガウリイとSとゼロスを担当っと♪」
「げぇぇぇぇぇぇぇえ!?」
『いやですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!』
なぜかあたしの言葉に。
同時に叫んでいるガウリイとSとゼロスの三人。
ちなみに、情けないことに、Sのやつは涙まで流していたりするけど。
「ほらほら、ガウリイ、あんたは男でしょ?
  それに魔族ともあろうものが細かいことでわめかないの!」
あたしの一喝に。
「どういう関係があるんだ!?どういう!?」
などと抗議してくるガウリイに。
「魔族だからって……」
「……はぁ……言っても無駄だぞ……ゼロス……」
しくしくしく……
泣き喚くようにいじけているゼロスに向かい、なぜかなきながら諭しているS。
そんなSをみつつ。
「レイさん、あなたそれでも魔王なんですか?」
思わず面白いところを突っ込んでいるアメリア。
くすっ。
「あら、アメリア。こいつは魔王は魔王でも。
  無能中間管理職の使いっぱしりなんだから、魔王じゃないのよ♪」
あたしの至極もっともな適切な意見に。
「な…何かリナにかかっては魔王も形無しだな……」
いったい、リナは……どうも絶対にスィーフィード・ナイトの妹、というだけでなく。
金色の王と絶対にかかわりが少なからずあると思うんだが……
そんなことを思いつつも何やらつぶやいてるいゼル。
そして、
つ……使いっぱしりって……リナさん……ゼロスさんならともかく。
などと思っているアメリア。
「ほらほら、そんなことよりも。さっ、お化粧しましょ♪」
いいつつも、くるり、と手を軽く回して目の前のテーブルに化粧セットを取り出すあたし。
「ですね♪」
ゼルガディスさんの女装って、きれいですもん!
などとうきうきして、あたしが取り出した化粧セットを手にしているアメリア。
がしっ。
なぜか逃げようとするガウリイをとりあえず捕まえ。
「さっ、化粧しましょうね♪あ、ガウリイ。逃げようとしたら、本気で女性体にするわよ♡」
あたしのにっこりとしたその笑みに。
なぜか面白いまでにおとなしくなっているガウリイ。
そしてまた。
てきぱきとガウリイを飾りつけしているそんな中で、
同時にSとゼロスをも飾りつけを施してゆくあたし。
しばし。
あたしとアメリアの着せ替え&飾りつけが会議室において繰り広げられてゆく。


一時後。
そこにいるのは、さきほどとはうってかわった、美女が二人。
「やっぱりゼルガディスさん、きれいです!」
目の前にいるゼルガディスをみて、うっとりとしているアメリアに。
そして、そこにいるゼルをみて。
「ほう。確かに人間の中でいえば美人ではあるな……」
そんなことをつぶやいていたりするS。
やっぱりか……
自分の体が完全に女性体、
しかも、力があまり振るえない人間のそれ、と同じになってるのに気づき、
なぜか半ばあきらめたため息をつきつつも、そんなことをつぶやいているこのS。
そんなSやゼロスに対し。
「あれ?そういうあんたやゼロスは、気配から何か女性になってないか?」
しかも、気配が魔族のそれでなく人のそれに近くなってるんだが……
そんなことを思いつつも首をかしげて問いかけているガウリイ。
ぎくっ!
ガウリイのその図星の指摘になぜか驚いているこの二人。
「……さ……さすがガウリイさんですね……」
などとつぶやいているゼロスに。
「……さすが、ご一緒に旅をしている人間だけのことはあるな……」
などとなぜかしみじみいっているS。
くすっ。
「あら♪ガウリイ、こいつらは魔族なんだから性別なんて簡単に変えられるのよ♪」
あたしの説明に。
「そういえば、ついつい忘れがちになりますけどゼロスさんもレイさんも魔族なんですよねぇ。
  魔の本体は精神生命体ですもんねぇ……」
そんなことをつぶやきつつも妙に納得しうなづいているアメリア。
「わざわざ女装する必要もないわけか……」
などとなぜか半分涙目になりつつもつぶやいているゼル。
いや、というか、気配から人になってるんだが……ま、いっか。
それであっさりと済ましているガウリイ。
正解v
完全に性別固定してるのよね。Sとゼロスは♡
ついでに、自分達では、元に戻れないように、してるけど♪
「しかし……レイさん。美人ですねぇ……」
アメリアがSをみてそんなことをいってたり。

Sの外見は、腰まで伸ばした長い黒髪。
ぱっちりした赤い瞳。
ついでに、服は、ウェディングドレスに近いものを着せてみたり♡
ゼロスは、前回は、チャイナ服だったので、
今回は、とりあえず、パーティドレスにしてみている。
ちなみに、二人とも、かなり美人だったりするのは、お約束♪
とりあえず、全員女装をし終え、
各自、とりあえず会議室から出てロビーにと出てゆくあたしたち。

しばらくして。
とりあえず、一度ロビーにでて、行動に移ることにしたあたしたち。
ガウリイはちょぴっと気落ちしていたりするけど、それはそれ。
というのも、始めに部屋から降りていったガウリイは、
男からいきなり告白されてたりしたんだけど、ま、いつものことだし。
「さってと♪じゃあ、あたしもちょっと、コルセットを外してくるから♪」
とりあえず、今のこれじゃちょぴっと面白くないので軽くコルセットくらいははずしておきますか。
瞬間的にもできるけど。
やっぱりそこはそれ、気分、というのも必要だしね。
ロビーで待機するアメリアたちをそのままに。
とりあえず一度部屋にと戻ってゆくあたし。
ついでに、抑えていた魅力なんかも、すこ~しばかり解放してみるとしますかね♡
あと、服も、あたしがよく普段着ている服に替えてっと♪
髪はとりあえず金色には今回は変えないで…やっぱ、変えておきましょっと♪
あたし、一応、一人旅をするのに、いろいろと面倒があってはというので、
普段は、コルセットなどでスタイルを隠している。
簡単にいっちゃえば、別にそんな面倒なことは、しなくてもいいのだけど。
気配や魅力を隠して、この姿で旅してたら、
まあ、面白いことに、いろいろな存在やらがちょっかいかけてくるったら♡
だから、あえて、面白いから♪
という理由から、あたしはそうしているのよねぇ。


あたしが部屋から降りてゆくと、完全にSとゼロスは、石化。
「魔王さん?ゼロスさん?」
「お~い?」
「どうしたんだ?」
アメリア達がS達の前で手をひらひらとさせているのにも気づいてないし。
やがて、
『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!エル様ぁぁぁぁぁ!!!!なぜ、その姿にぃぃぃぃ!!!!』
同時に、パニックに陥っているSとゼロス。
刹那。
二人は泡吹いて倒れさる。
ふっ。
何回、アメリア達がいるときに、その呼び名で呼ぶなと言い聞かせている、
というのに懲りずに呼んでるし。
でも、どうしたのかしらねぇ。
二人とも。
んふふふふ♡
そんないきなり倒れた二人をちらり、と具間みて。
一瞬首をかしげつつも。
「別にいっか。ど~せ、ゼロスさんも、レイさんも魔族ですし。
  それより、リナさん、やっぱ、綺麗ですぅ♪」
いつものことですもんね。
それで納得して、気を取り直して降りてきたあたしをみつつ。
あたしにすっかりといつものことながら見惚れているアメリア。
「しかし……。こうも、女性は変わるという典型だな……」
いつものことながら、どうしてこう雰囲気まで変わるんだ!?
そんなことを思いつつ、言っているゼル。
「この姿だと、リナはものすっご~く、絶世の美女なんだがなぁ……
  なんで、こうも変わり身となるのかが、オレにもわからん……」
ガウリイがそんなことを言っていたりするけど。
まあ、あたしがこの姿になったのって、確か、今回で、二度目だし♪
一度目は、サイラーグの一件のときでしょ♪
そして、この前の、部下Dの一件のときの二回なのよね♪
でも、あたしの正体は、まだ、誰も気がついてないけどね♪
ガウリイは何となく部下Dの一件以後、気づきかけてるけど、それはそれ。
でも、あたしの姿、知っている存在なんて、限られているからねぇ。
ふふ♡
まあ、よく形を成す姿とはこの姿違うしね。
極力、近い姿ではあるけど♡)
「とりあえず、分かれて、おとり作戦といきましょ♪」
「じゃあ、私は、ゼルガディスさんと一緒にこのあたりを見回ります!!
  行きましょう!!!ゼルガディスさん!!!!」
有無を言わさずにアメリアはゼルを引っ張っていきつつ、宿から外にと出て行っているけども。

ちなみに。
あたし達の作戦とは、それそれが、
この近辺を歩き回って事件を起こしているやつをおびき寄せるといったたぐいのもの。

「じゃあ、Sとゼロスが一組ね♪あんたたち、いつまで倒れているのかなぁ♡」
にっこり微笑みつつ、手にちょっとした虚空より取り出した棘付きハンマーを握り締め。
いまだに倒れている二人にと向かって微笑みかけるあたし。
そんなあたしの言葉に。
『うう……分かりました……(涙)』
なぜか、二人とも、顔色も悪く大量に涙を流していたりするし。
「じゃあ、あたしとガウリイが一組ね♪」
あたしの言葉に。
「おーい、リナ、いくら何でもゼロスもレイさんも弱る一方だぞ……それじゃ……」
何かいってるガウリイがいるけど。
「いいのよ。それで弱るようなら、それこそスペシャルお仕置き決定だから♡」
あたしの至極当然なその言葉に。
なぜか。
ぽん。
ゼロスとSの肩にと手をおき。
「……あんたらも大変だな……」
なぜかねぎらいの言葉をかけているガウリイ。
何はともあれ。
そんなほのぼのとしたやりとりをしつつも。
かくして、あたし達は、三組にわかれて、おとり作戦を実行に移してゆく。
さって、少しばかり楽しみますかね♡


                                -続くー


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あとがきもどき:
薫:次回は、どっちかといえば、番外でエル様・・・・とと。
  リナの方はやってるので。ミルガズィアたちのほうをいってみます。
  何がどうなったのかが、わかるかな?(こらまてや
  いやぁ、エル様視点だと、どの視点においても書いても違和感ないから楽だわ
  (こらまてや
  スミレちゃん登場は・・・・モー少しかな?
  んではではvまた次回にてv

2004年6月11日某日

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