まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。



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エル様漫遊記・完全無欠版スレイヤーズ! ~其の八~

「これが、若いときの、儂と、メリルーンじゃ」
ぽう……
手をかざしたそのうえに、遥かなるかつての二人の映像の立体映像が浮かび上がる。
辺りは四方を本棚にと囲まれて。
そして、その部屋の中心にある机の後ろには、大きな砂時計。
といっても、この砂時計、鈍く金色にと輝いていたりするけど。
ラウディのこの五百年の研究の成果でもある、時間の砂。
様々な研究、調べ物などをし。
そして。
ゴルンノヴァの能力をもつかい、異界の知識などを詰め込んだ、彼の研究の成果でもある。
まあ今は。
彼は、ゴルンノヴァこと、光の剣をもってはないが。
彼が持っていた名残に。
彼がもっている杖の先は。
この世界でいう、別名『光の剣』と同様になっている。
机に座り。
淡々と語り始めるラウディ。
「儂は、ラウディ=ガブリエフ。この島は、かつては大陸から陸続きでこれる場所だったんじゃ。
  だが、あの日……エルフの村祭りの日。あいつは、やってきた……」
いって、過去を振り返るラウディ。
「儂はあのとき、突如として出現したデーモン達を倒しつつ、
  急いで、エルフの村に走っているところじゃった。
  ちょうどやつが現れたのは、祭りもたけなわ、という時のことじゃ」
デーモンとの戦いにおいて。
少しばかり、頬を傷つけたりもしたけども、
それよりも何よりもメリルーンが心配だったかつてのラウディ。
そのとき。
エルフの村はいきなり出現したジョイロックに皆殺しにされていた。
「だが……時、既に遅く。儂がたどり着いたときには……
  もう、エルフの村は壊滅していた。儂は、かなわないまでも、ジョイロックに挑んでいった……」
怒りに肩を震わせて剣を片手に挑んでいったものの。
― へえ?それは、確か、光の剣ってやつじゃないのか?
笑いつつ、ラウディの一撃を片手で受け止め振りほどくジョイロック。
「……未熟な儂の腕では。ジョイロックに傷一つことすらできんじゃった。
  やがて、あいつは、出現したときと同様。笑いながら虚空にと消えていった……」
それと同時に。
彼が召喚していたデーモン達もまた消えてゆく。

「う……」
そっと、メリルーンの体に触れるとまだ暖かかった。
助かるはずのない傷で、それでも彼がくると信じていたメリルーン。
最後の言葉を彼にかけ、彼女は息を引き取ってゆく。
ぽたり。
ラウディの目から涙が零れ落ちる。

「やがて、メリルーンのなきがらを前に儂が嘆いていると。
  そのとき、エルフの体から光の球が空中にと浮かび上がって山頂にと上っていった。
  そのときからじゃよ。この島が不思議な時間率で動くようになったのは……
  以来、儂は、死ぬこともできずに、ここでメリルーンの魂とともに、暮らしておる……」
彼女のなきがらを埋めた、この大木の下で。
エルフの体から、紫色に青白く輝くフェアリーソウルが。
エルフ達のなきがらから、抜け出ていくのを見守ることしか出来なかったかつてのラウディ。
その現象は、島の至るところで見受けられていたりする。
島全体から、島の中心にある山頂にと上ってゆく、魂の結晶。
フェアリー・ソウルと一般には呼ばれているもの。
しずかに、自分が作り出した立体映像をみつつ頬杖をついて説明するラウディに。
「……ひょっとして、今でもほれてる?」
ナーガがそんな彼にと聞き返す。
「……う…まあ……」
ナーガの言葉に、照れて真っ赤になっているラウディ。
「とにかく。長い時間をかけて。一年前、またやつがこの島に戻ってきたとき。
  儂ははっきりと確信したんじゃ。あってはならない過去と、あるべき姿。というものがある。
  この島の望みは、あれは、あってはならない過去なのじゃ」
ラウディの言葉に。
「……それって…過去を変えようってこと?」
ナーガが鋭く突っ込むが。
「本来、島のあるべき姿に立ち戻ること。それを、この島は望んでいる。
  そのためにこそ―儂は長い年月を死ぬことも出来ずに。生きていたのじゃ…とな」
そのためには、この儂の全てを投げ出しても。
――たとえ、それが理にかなわないとしても、あれは……あってはならない過去。
ならば……
この身の全てを投げ出して訂正するのみ。
老いぼれ一つの魂で、それが成し遂げられるのであれば……
儂は、母なる存在に、その全てを投げ出そう。
強い決意と純粋なる心と願い。

ならば。
全ての母なる存在としてその願いを叶えましょう。
我たちにとっては、短い時間ではあるにしろ。
人の世で。
五百年以上、純粋に思い続けて、その全てを投げ出すその覚悟に免じて。
島、魂、この島全体の望み。
それは、あるべき姿に立ち戻り時間を紡いでゆくこと。

「それで?」
あたしが先を促すと。
「この島というか、山の頂上付近に、昔からある用途が不明とされてきた神殿がある。
  そこに、島と儂の力を使って時空の扉を開く。そこからリナ殿たちに過去に向かって欲しい」
決意を秘めていうその台詞に。
「過去を変えたら、今ある貴方も全て消滅する。ということになるわよ?それでも?」
「なぁに、この儂の魂の一つや二つ。
  それに……島の者達も、やつにあやつられている現状からあるべき姿に戻るだけじゃ。
  それなら、たとえこの身の全てを投げ出してもやる価値はある」
ユニットの言葉に。
その目に強い輝きを宿しきっぱりと言い切るラウディ。

――我がここに来たのは、その純粋なる願いに惹かれてのこと。
島自体が望む、その願いに惹かれてのこと。
近頃、こういった純粋なる存在は、めっきりと減ってきているがゆえに。
すべてなる母として、我が子ともいえるその願いを聞き届けるのも……我の役目。
その代償は、それらにとっては計り知れないものがあるだろうとも。
その決意はすでになされている。
ならば――
ここの次元には。
過去を変えるべきほどの、人材が誕生していないがゆえに。
我自らがその手を差し伸べるのは、また、一興……


「へっ。俺に逆らうやつの一人くらい、生かしておいてやっていいと思ったんだが……
  決着をつけてやるぜ、ラウディの爺さんよ!」
島の中心から端にある山の一番高い山の頂上付近。
そこにある、一つの神殿でジョイロックを迎え撃つあたし達。
この島は。
中心から、ぐるりと囲むように山脈が連なって構成されているその頂にある神殿は。
かつての、神魔戦争よりも昔から。
ここに生きとしいける存在達が、全てなる母に感謝の祈りを込めるべく創られているこの神殿。
簡単にいえば、このあたしに祈りを捧げるための神殿に他ならない。
昔は。
生きとしいける存在達は、その大地と精霊と自然と星とともにその願いと思いを共にしていたがゆえに。
最近、その傾向、かぁぁぁなり薄れてきているけど。
このあたしのことを完全ではないにしろ。
全てを作り出した母なる存在であるあたしのことを。
すくなからず漠然と全員が知っているのが当然であったその当時の存在達。
今では。
ほとんど、その伝承などにしかそれは見受けられていないけど。
白い石で構成されたその神殿には。
その、祭壇に四つの羽の生えた像。
それらは。
風、火、水、土、自然の四大元素の大精霊を指し示している。
ちなみに、この遺跡、今はめっきり、ここではあまり取れなくなった、
ホワイト・オリハルコンが使用されているので、少々のことでは崩れたりはしない。
待ち構えるあたし達に、捨て台詞をはきつつ出現してくるジョイロック。

「ふっ。今度こそ決着を付けてあげるわ!」
ナーガが高らかに宣言する。
「ふっ!ほざけ!いけ!」
ボゴゴ!
ジョイロックの言葉と同時に、辺りに十数ダース単位程度のレッサーデーモン達が出現する。
『ぐるわぁ!』
叫び声をあげつつ。
ジョイロックの一言を皮切りに、あたし達の方にと向かってくる雑魚たちの姿。
「ふっ。なら、こんなのはどうかしら
ふわっ。
あたしが手を掲げると、その手に大鎌が出現し。
ブン!
それを一振りするだけで、その辺りにと広がる虚無の波動。
「な゛!?」
なぜか、それをみて驚愕しているジョイロック。
何だ……?
あの術は??
などとなぜか理解できてないし。
「なら、私もv」
いいつつ。 
自らの身長よりも大きく柄を伸ばしたロッドを、出現させているユニット。
すっ。
それを上空にと掲げ。
一言。
虹心雨霧激レインハートミスト!」
かっ!
その声と共に、ロッドの先のオーブが光り輝く。
一応、ここは、あたしの中なので。
その力をあたしの力にと転用して、その特質を変えて放っているユニット。
ユニットの力。
それをそのまま使ってもいいと思うんだけど。
それは、その場ののりで、その属性を変えているし。
彼女は
ユニットの声と同時に虹色にと輝く、霧の雨が雑魚デーモン達にと降り注ぐ。
「ふっ。崩霊裂ラティルト!ブレイクっ!」
呪文にアレンジを加えて。 
シュドドド!
一発の呪文で、一ダース程度を倒しているナーガ。
こ……こいつら…強い!?
何なんだ!?
なぜか本気で引いているジョイロック。
烈閃槍エルメキア・ランス!」 
遺跡の祭壇の中心で見下ろしつつ、呪文を放っているラウディ。
にや。
とりあえず、当初の目的どおりに、それをみつつにやりと笑みを浮べ。
すい。
空間を渡るジョイロック。

どしゅ!
「ぐわっ!!!!」
「な!?しまった!?」
ラウディの叫びと、ナーガの叫びが一致する。
みれば。
祭壇の頂上で移動してきたジョイロックに、その胸を貫かれているラウディの姿。
腕をラウディの胸にと貫かせ。
「まずは、老いぼれから一人目……と。」
からかうようにといっているジョイロック。
が。
がし!
「まっていたぞ!」 
「なに!?」
胸をつらぬかれ。
それでも、その自分の体を貫いているジョイロックの手を握り離そうとしないラウディ。
「儂は、この瞬間をまっていたんじゃ!」
ゴゴ……
「な゛!?」
ジョイロックが短い驚愕の声を上げると同時に。
神殿に、島全体から魔力が集まってくる。
「この儂の命と魔力と島の願い。そして貴様の魔力。その全てが揃い、今、時空の扉が開かれる!」
ゴゴ……
ラウディの言葉とともに、山を黒いうねりが多い尽くしてゆく。
「な゛…馬鹿な!?」
それを驚愕の表情でみているジョイロック。
ザァァ!
時間の砂が、激しく、上下にと揺れてゆく。
「島のあるべき姿、それを望むもの。あってはならない過去を訂正すべく!今、過去への扉が開く!」
ごぉ!
ラウディの言葉に従って、遺跡にと集まってきた魔力の全てが混合し、そして……
時空の扉を開いてゆく。
神殿の頂上。
胸を貫かれたラウディを中心に、扉は今開かれてゆく。

「馬鹿な!!」
それをみて、驚愕の叫びをあげているしかないジョイロック。
次元の扉を開く……だと!?
そんなことが出来るはずが!
などと、思っているけど。
事実、すでにその時空の時軸は開いているに過ぎないのに、まだ納得できてないジョイロック。

「リナ!うけとれ!儂の最後の力だ!」
いって。
最後の力を杖にこめ、あたし達にと差し出してくるラウディの杖。
「ちょっとお!どうして、リナにばっかりなのよ!この私が貰ってあげるわ!お~ほっほっほっ!」
「あ…こら!」
がし!
ナーガが、先にその杖にと掴まっているし。
ぐら……
そのまま。
時空のうねりの中にと放り出されてゆくナーガ。
「ちょ…何ょ、これわぁぁ!?」
時空のうねりの闇の空間に引きこまれつつ、叫んでいるナーガ。
「ま、ちょうどいいか
「そうね。ちょっと、見られたくないしね」
ナーガがそのうねりにと飲み込まれるのを確認して、あたしとユニットが交互にいう。
「くっ!貴様ら!歴史を変えるなんて!そんなことができるはずが!許されるわけがないだろう!」
過去における未来の干渉は、あってはならないはず。
そう、叫んでいるジョイロックだけど。
「あら、いいのよ」
「そうそう」
ふっ。
軽く笑い。
今や時空の扉が開いている状態なので、この島は再び時空の狭間の入り口に位置している状態。
つまりは。
この島の様子は、この島以外にはどう頑張っても分からない。
ということ。
すっ。
あたしは軽く目を閉じて、そしてゆっくりと開いてゆく。
――この我が認めたんだからな――
リナの姿のあたしと、我がよく本来とっている形状が同時に重なり、目が金色にと輝く。 

「ナ゛!?」
何だ!?
こ…これは……くっ!
あたしの姿だけで威圧されているジョイロック。
なんか、滅びかけてるけど。
「リナ=インバース?……貴殿は……一体・……」
ラウディが、
ごぼっ!
その口から今だに胸を貫かれたままであるので血を吐きだしつつ問いかけてくる。
『その純粋なる意思と、願い。この島の思い。それら全てが我に行動を起こさせた――
   我は、純粋なき意思にして――純粋なる力――』
凛とした、リナの声なのだけど。
そうでないあたしの声が、彼等の魂にと響いてゆく。
「貴方たち存在は。彼女のことをこう呼ぶわ。つまりは――」
「「『悪夢を統べる王ロードオブナイトメア』とね」」
あたしの声と、ユニットの声が同時にと発せられる。

すでに。
あたしが少し気配を開放させただけで。
ダース単位程度くらいいたデーモン達は、なぜかあっさりと消滅していたりする。
滅ぶまもなく、完全消滅してるし。
な……なさけない!

「な゛……ば……ばかなぁぁぁ!?」
バシュウ……
あたしの気配と、その名前を聞いただけで。
死ぬどころか滅びもせずに完全にその根源そのものから消滅していっているジョイロック。
でもv
そうは簡単には消滅なんてさせないからv
このあたしに喧嘩を吹っかけてきた代償は、じっくりと償ってもらわないとねv
消滅し混沌にと溶けいるその前に。
彼の精神を留め置いて。
とりあえず、なぜか部下達全員が嫌がるお仕置き部屋として作り出した、
とある次元というか空間にと送り込んでゆく。

……ドサ……
支えるものがなくなり、その場にと崩れ落ちているラウディ。
「……では…貴女様が……数々のご無礼を……ごふっ……
  ……どうか……この儂の全てを引き換えに……」
すでに視界のなくなった手を、あたしにと伸ばしてくるラウディ。
この五百年の研究で、その呼び名の意味するところを把握しているラウディ。
「我の名の元に、その時間軸、訂正せざらん」
ふっ。
あたしが手を掲げると。
ぶわっ!
その時空の渦は島全体をと包み込んでゆく。

「ちょっとぉ!?何なのよぉ?!これわぁ!?」 
今だに時間のうねりの中で、引っかかっているナーガ。
あたしとユニットは自らの力を使ってこの次元の過去にと向かってゆく。
過去、現在、未来とは、まるで無限ループのようなもの。
どこからでも、移動が可能。
それゆえに、分岐点なども多々とあり。
そこで、未来が途切れるか、新たなる道を切り開くかは、その道を選んだ存在ものしだい。
「ナーガさん。それ、放したら。二度と、戻れなくなるわよ
くすっ。
そんなナーガの耳にと聞こえているユニットの声。
「まあ、どこか遠い過去とか未来に飛ばされたくなかったら。絶対にその杖を放さないことね」
「ちょっと!!?リナ!?すみれちゃん!?何処にいるのよぉ!?」
ナーガの叫びだけが、時間の流れの中の空間に響き渡ってゆく。

「……後は……たのみましたぞ……金色の母よ……
  ……この老いぼれの願いを聞き届けてくださって……あ…り…が……」
サァァ……
空にと手を伸ばし。
過去を変えることを望みつつ。
過去を変える。
ということ、それつまり、その時間軸の現在がなくなること。
それゆえに。
ラウディの体は霧散してゆく。
ザァァ……
島全体で、店や人など。
同じような現象が、しばし見受けられてゆく――


――ドサ!!!

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
ザシュ!!!
気合と同時に。
その手にした、光の刃でデーモンをなぎ倒してゆく一人の少年。
その直後。
その側の木が盛大にゆれ。
「いったぁぁぁぁぃぃぃぃぃ!何なのよぉ!これはぁぁ!!?」
ナーガのぼやきが響き渡ってゆく。
そして。
「キシャァ!」
そんな木に引っかかって、身動きとれないナーガを程よい獲物と感じたのか。
雑魚が一つ、そんなナーガにと向かってゆく。
「ふっ。なめてもらっては困るわね!烈閃槍エルメキア・ランス!」 
ナーガの呪文一発で、消滅している雑魚のレッサーデーモン。
「……な゛!?」
そちらに気をとられそうになるが。
『ぐるわぁぁ!?』
そんな少年の周りに取り囲むようにと出現してゆくデーモンの数。
「アビス・ロンドv」
キュドドド!
深遠の光の舞いが、そんな雑魚たちを焼き尽くしてゆく。
「……な?」
少年がこちらをふりむく。
「はぁいv」
「こんにちわ
にっこりと挨拶するあたし達に、少し警戒しつつ。
「……あんた達は?」
あたし達にと聞いてくる。
「ふっ。人にものをたずねるのにはまず自分から名乗らないとね!お~ほっほっほっ!」
ナーガが木にぶらさがったままで何やらいってるけど。
「俺か?俺は……」
『ラウディ=ガブリエフ(さん)でしょv』
あたしとユニットの声が完全にと重なってゆく。
今は。
ちょうど、ジョイロックが出現してすぐの時間の世界。
あたし達は。 
あの時間軸から、五百年ほど前にやってきていたりする。
さって、ここからがお楽しみよね♪


                        -続くー

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あとがきもどき:
ああああ!時間が゛ないぃぃぃ!
明日は早く起きないといけないのにぃぃ!
とりあえず。エル様、正体、ばらしちゃってます(お゛ーい゛!)
さて。ここからは。過去の話と相成りますv
さて!この五百年ほど前!
ピン!
と来た人・・・わかるでしょぅ(まてぃ!)
んではではv次回。エルフの村でv
あ!ね・・寝ないと!それでは!

ああ!まだシェリフ読んでないのにぃぃぃぃ!!(涙)

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