まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

さてさて。こんにちわ♪
打ち込みのんびりやっている最中。
とうとうTRYの発売日までがすぎてしまった薫です(まて)
今回のTRYのBox特典のドラマCDはまさかのまさかv
ヴァルガーヴの転生後。
すなわち、魔族でなくなった古代竜エンシェントドラゴンの子供ヴァル(五歳)がでてきたしv
あの映像…ブックレットの中にでもいいからのせてほしかったなー。
かわいいだろ~なぁ。
ひらひらフリル服スカートきてる子供ヴァル~♪
あと、どうしてガウリイが『腐女子』なの言葉をしってるのか…
という疑問がのこったり(笑
あの世界にもああいうのってあるんですね~(ドラマだからノリかもしんないけど…笑
今回のだけでも映像化してくれませんかね~。
切実に(笑
それか、あらいずみ先生の新たな画集がでるとして、その中に画像をばvv
などといろいろと想像しつつの打ち込みですv
……がんばってこのNEXT編しあげてTRY編にいこっと……(汗

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スレイヤーズフォーエバーinNEXT  ~どんでんがえし?~

「しかし。あいつら本当に何を考えてるんだ?」
「ですわね」
とりあえず貴賓室にとはいっているあたしたち。
貴賓室だというのに、
壁にはアメリアが書いた『ビクトリー』という文字が額縁の中に飾られていたりする。
それぞれに椅子やベット、好きなところに座りながらもそんなことをいっているルークとミリーナ。
そしてまた。
「それはそうと。フィルさんはどうしたんだ?」
などとあたしにきいてきているゼル。
「そ~いえば、フィルさんきてないわね?」
ふと今更ながらに気づいてそんなことをいっているリナ。
「そういえばそうたな~」
ガウリイもまたリナにつづいてそんなことをいってるけど。
「?おまえら、フィルさんをみたのか?」
「何かあんたたちが消えると同時にあたしたちのところにきてたけど?」
首をかしげつつ問いかけているルークにさらっと答えているリナ。
「ああ。フィルなら今マルチナとこっちにむかってるわよ♡」
そんなリナたちににこやかにあたしが答えるのとほぼ同時。
バタン!
勢いよく部屋の扉が開かれ、そして。
「リナさん!エルさん!大変です!」
何やらあわてた様子で部屋の中にとはいってくるアメリアの姿。
「あ。アメリア。どうだった?」
アメリアはといえば、『クリストファーやアルフレッドの様子をみにいく。』
といって少しばかり様子を伺いにいっていたんだけど。
「それどころじゃありません。クリストファー叔父様が王位継承権を放棄したんですっ!」
息をきらせつつもあたしたちにいってくる。
「どういうことだ?」
そんなアメリアの言葉をきいて顔をしかめるゼルに、
「それって。フィル殿下に万が一のことがあっても王位を継がない。ということですわよね」
「さすが俺のミリーナだ!」
「でも、どうして……」
ルークの台詞をさらっと無視し、手を顎にあててつぶやくように考え込んでいるミリーナ。
「ミリーナァ……」
そんなミリーナに対してルークが毎度のことながら情けない声をだしてるけど。
「そうなんです。自分がやとった魔道士が引き起こした事件の責任をとるっていって……」
今の今まで、クリストファーはカンヅェルたちが魔族だと、半信半疑であったからねぇ。
せっかくあたしが説明してあげたというのに♡
「どういうことだ?この事件にはやはり彼は関係ない。ということなのか?」
ゼルもまた腕組みをしつつ何やらつぶやいてるけど。
くすっ♡
「ま。とにかくみにいってみたらわかるんじゃない?」
そんな彼らに淡々といっているリナ。
「ま。たしかにね」
「あ。私もいく~♡」
リナの言葉をうけ、ひとまずあたし達はクリストファーの様子を見に行くことに。

「よいか。怪しいと思われる場所はしらみつぶしに探索せよ。
  何としてもカンヅェルたちの居場所を突き止めるのだ。ゆけいっ!」
王宮の中にとある中庭。
そこに捜索隊の兵士達を集めて何やら支持を飛ばしているのはいうまでもなくクリストファー。
自分がふがいないばかりに魔族に入り込まれた。
それゆえに今回の一件を招いた。
という責任を彼なりに感じて、今回の行動にでているようだけど。
『はっ!!』
クリストファーの言葉をうけて、集まっていた兵士達が姿勢をただし、
そしてそれぞれに割り当てられた場所にと散ってゆく。
「王位継承権を放棄すると宣言したあと。あの調子で捜索隊を指揮してるんです」
少し離れた場所にとある渡り廊下からそんな彼の様子を眺めつつ、
あたしたちにと説明してくるアメリア。
「ということは。やっぱりあいつは何もしらなかった。ということか?」
そんな彼の様子をみつつ、つぶやくようにいっているルークに、
「かもしれませんわね。それとも……」
私達の世界のほうのリナさんが言われたとおり、あのアルフレッド殿下が黒幕。
というのは事実でしょうけど。
父親である彼がそれを知っていたかどうかは怪しいですわね……
そんなことを思いつつも、すこし考え込んでいるミリーナ。
「そうね。今のクリストファーさんの行動が本心からかどうかはわからないけど。
  とりあえずもう一度アルフレッドから話を聞く必要がありそうね」
そんな彼らの言葉をうけてこくりとうなづき、そして自分自身に確認を入れるようにというリナに対し。
「ですね。アルフレッドからこの事件の首謀者はクリストファー叔父様だ。ともきいてますし」
そんなリナにとアメリアが賛同した声を出す。
いまだにアメリアは、あの優しいアルが首謀者とは信じられないです。
などとそんなことを思っていたりするんだけど。
まあ、彼の場合はコンプレックスとかもあったからねぇ。
ナーガやルナにも負けてる、という自負があったようだし♡
勝てるはずもないのにね♡
ふふ♡
「まあ、エルたちから『首謀者はアルフレッドだ』ってはきいてはいるけどね」
いって、ちらりとあたしとユニットをみてくるリナ。
「確かにな。とりあえずきちんとした確認はしておいたほうがいいだろう。
  魔族の動向も気になるしな。それはそうともうひとりのゼロスはどうした?」
うなづきながらも、もうひとりのゼロスの姿が見えないのに気づいてリナに問いかけているゼル。
まあ、ゼロス二号は彼らと一緒に魔法医のところにいってたからねぇ。
それでもってリナとガウリイと一緒にセイルーンに戻ってはきてるけど。
「ああ。ゼロス二号ならそのうちにくるわよ♡」
「何か情けないにも、倒れてたけど。ゼロスさん。」
いらないことを言おうとしたゼロスに対して、ちょっとぱかりお灸を据えたら、
それだけでなぜか倒れてしばらく動けなくなってたりするのよねぇ。
あいつは……
まったく……
「……何かこっちのごきぶりのやつにも同情するな~……俺」
「同感ですわ」
あたしとユニットの言葉をきき、何やらしみじみといっているルークとミリーナに。
そしてまた。
「ま、ゼロスだし。いいんじゃない?」
「だな~」
それですませているリナとガウリイ。
「……まあ、詳しくは怖いので聞かないが……とりあえず、アルフレッド殿下のところにいってみよう」
なぜか額に一筋汗を流しつつもいってくるゼル。
「そね。ここで話しててもしかたないしね」
そんな会話をしつつ、ひとまずあたしたちはアルフレッドを探しにいくことに。
まあ、すでに彼はこの王宮から外にでていってるんだけどねぇ。
例の場所に♡

「いない?アルフレッドが?」
とりあえず、兵士たちにも話をきき、アルフレッドの行方を探すアメリア。
そして、彼らから戻ってきた返事は……
「ええ。屋敷の中はもちろんのこと。どうも王宮の敷地の中にはいないみたいです」
それでなくても今は捜索隊がしらみつぶしにカンヅェルたちの行方を捜している最中。
それといっしょにアルフレッドの姿を見かけたらすぐにわかるはず。
それでも姿が見えない…ということは。
そんなことを思いつつも、あたし達にと報告してきているアメリア。
そんなアメリアに問いかけるように言っているリナに、
「ならいったい……」
顔をしかめて何やらいっているゼル。
「たしか。町の外れに別宅があるはずです。ひょっとしたら……」
ふと思い当たり、そちらのほうの報告はまだだったはず。
そう思い当たり、何やらアメリアがいってくるけど。
「とりあえず、そこにいってみましょ♡」
いってにっこりあたしが微笑むと同時。
「…って、エル!?」
「ちょっとまてぃ!」
「…またですかぁ!?」
「……ま、エルだしな~」
かるくパチンと指を鳴らすと、あたし達全員の姿はその場から一瞬のうちにと掻き消え。
なぜかリナ、ゼルガディス、アメリア、ガウリイの声が一致していたりするけども。
まったく。
瞬間移動くらいなれないとねぇ。
くすっ♡

セイルーンの町の外れ。
中心の五紡星からはずれた山の麓。
このあたりは人工的な結界から生じたひずみなどが多少ところどころに出てる場所でもあるけども。
ひっそりとあたりに家の姿もなくたたずむ一つの一件屋。
白い外観と赤い屋根が周囲の緑から多少浮いてるけど。
ギギィ……
鍵のかかっていない屋敷の扉を開くと鈍い音が響き渡る。
「やっほ~。アルフレッド~」
声をかけつつも、扉から中にとはいりつつ何やらいっているリナに。
「アルフレッドさ~ん」
のりで声をかけているユニット。
「返事がありませんわね」
きょろきょろと周囲を確認しつつ、
そしてまた何の返事もないことをうけ、ふと考え込むようにといっているミリーナ。
「そうですね」
そんなミリーナにアメリアが同意してるけど。
「とにかく、奥にいってみようぜ」
「だな。ここにいても仕方ないしな」
ルークとゼルガディスはそんな会話をしつつも、とりあえず、そのまま建物の中にと入ってゆく。

ギィ……
建物の中にはいり、廊下を進むことしばらく。
明かり一つもついていない廊下を歩いてゆくことしばし。
奥の部屋からぽつりともれている灯りがひとつ。
それを見つけてそれぞれが顔を見合わせ、その部屋の扉に手をかけてしずかに扉を開くと。
その部屋の奥に影に潜むようにひっそりとたたずんでいる人影ひとつ。
「アルフレッド?」
その影に向かって恐る恐るアメリアが声をかけると同時。
「ようこそ。みなさん。いらっしゃるころだとおもっていましたよ」
いって、こつこつと暗闇から腕を組みながらでてくる人影一つ。
この屋敷の内部には彼以外には誰もおらず。
今は彼とあたし達のみがいる状況。
白い神官服を基準として、その胸から腰にかけて青いタスクをかけている人物。
いうまでもなく、アルフレッド当人だったりするんだけど。
「ってことは。クリストファーさんが王位継承権を放棄したのをきいたみたいね」
そんな彼の姿をみとめ、確認の意味をこめて問いかけているリナに対し。
「ええ。ききました」
半ば投げ捨てるようにと言い捨てるアルフレッド。
ちなみに、いまだに腕を組んでいるままだったりするけども。
「どういうことなの?この前あなたからきいた話と違うけど?
  あのクリストファーさんが一連の事件の首謀者だというんだったらありえないことだと思うんだけど」
あたしから前もって事実を聞いていた。
というのもあり、あまり驚いてはいないものの。
だがやはり、確認は必要。
それと、相手がどのような手にでてくるか。
そんな見定める意味をもこめてリナが問いかける。
「そうですね。まったく父にもあきれたものですよ。
  せっかくこの僕があれだけなりたがっていた国王にしてあげよう。というのに。
  子の心、親しらず、といったところでしょうね」
ため息とともに、いけしゃあしゃあと言い放つアルフレッド。
それって、イコール、自分も父親も殺されるか、もしくは幽閉されるかのどちらか。
という事実にはまったく思い当たらずに彼らの話に乗ってるからねぇ。
こいつは……
少し考えればわかるでしょうに♡
「何ですって!?」
そんな従兄弟の言葉に思わず声を荒げるアメリアに、
「あなたたちさえやってこなければ、もっとうまくことが運ぶはずだったんですけど…ね」
いいながらも、きっとあたし達をにらんでくるアルフレッド。
というか。
うまく事が運ぶ。
という考え事態が甘いんだけどねぇ。
「ということは。やはり。あなたが王位につくために一連の事件を引き起こした。ということですわね」
そんなアルフレッドに、淡々と問いかけるミリーナ。
「そういうことになりますかね」
それをあっさりと認めているアルフレッド。
ある意味、潔い。
というか、完全に開き直ってるしねぇ。
こいつって。
それに、あたしたちをもあいつらに始末させればいい。
そしてリナの姉も…とかおもってるけど。
Sの腹心たちですらルナにはかなわないのに下っ端にどうにかできるはずないのにね♡
「こいつ…いけしゃあしゃぁと……」
そんなアルフレッドの態度にゼルガディスが何やら吐き捨てるようにいってるけど。
「でも、あの演技はいただけないとおもうけどな~」
にこにこと、対照的に的確なことをいっているユニット。
そんなユニットの言葉にわざとらしくお辞儀をし。
「お褒めにいただきまして光栄ですね。それもこれれもこの僕が将来セイルーンの王位につくためのこと。
  この僕こそがこのセイルーンの王にふさわしい。
  僕が王位につけばセイルーンはより強大な国になる。それこそ世界を支配することも」
などといってくるアルフレッド。
というか…褒めてないってば♡
どこをどういう解釈したら、褒めてるように捉えられるのかしらねぇ。
ふふ♡
「己の欲望のために世界を支配しようなんて言語道断ですっ!」
だんっ!
アルフレッドの言葉をうけて一歩後ろにとびさがり、指をつきつけて言い放っているアメリア。
だがしかし、そんなアメリアの台詞を失笑し、
「それがこの世のためでもあるんですけどねぇ。愚かなものにはそこがわからないのでしょう」
などと、さらっといいきっているアルフレッド。
というか、どちらが愚かなのかは明白なのにね♪
「ふざけやがって!!」
そんなアルフレッドに思わずルークが声を荒げていたりする。
こんな奴のために俺のミリーナの魔力が封じられたのか!?
などとそんなことを思っての怒りみたいだけど。
というか、怒りのポイントがずれてるってば♡
「ですが、あなたがたがこのセイルーンに来たおかげですっかり計画が狂ってしまいましたよ。
  フィリオネル叔父さんはなかなか死んでくれませんし」
そんなアメリアやルークの声は何のその。
腕を組みながらあたし達をにらんでそんなことをいってきているアルフレッドだし。
「父さんはどこにいるんですか!?」
まさか…アルフレッドがあの魔族に命じて本物の父さんまでどこかに……
とかアメリアは一瞬おもってるみたいだけど。
そういえば、まだアメリアたちにはフィルをネズミにしてるの教えてなかったわね。
ま、別に問題ないでしょう♡
「それですよ。僕もそれが知りたい」
そんなアメリアの言葉をうけて、すこし眉を潜めあたし達全員を見渡してくる。
「?」
そんなアルフレッドの言葉に、一瞬アメリアが首をかしげると同時。
「カンヅェル」
いいながらも虚空にむけて問いかけるアルフレッド。
それをうけ。
「およびですか?」
言葉とともに、アルフレッドの背後にと出現してくる人影二つ。
「どういうつもりだ?僕はフィリオネルを殺せと命じたはずだが」
そんな背後に出現した二人……
……いうまでもなくカンヅェルとマゼンダを横目でにらみつつ、などと言い放っているアルフレッド。
そんな彼の言葉に動じることもなく、あっさりと表情一つかえずに言い放つカンヅェル。
「たしかに。あなたから受けた命令はあの男を殺せというものでしたが。こちらにも都合ができましてね」
そんなことをいいながらも、マゼンダと顔を見合わせて少しばかりほくそ笑んでるけど。
「都合だと?」
そんなカンヅェルの言葉をきき、思わず背後を振り返りながらも叫んでいるアルフレッド。
「ええ」
というか…いまだにこいつ、気づいてないし……
「きさまらの都合などこの僕のしったことか。こいつらものとも、フィリオネルを殺すんだ!
  どうせこいつらも邪魔な存在だからなっ!」
いってあたし達を指差してくるアルフレッド。
力の格差くらいわかりなさいよねぇ。
だから、そんなんだから、ナーガにすらこいつ勝てなかったりしたのよねぇ。
「どうしても?」
「あたりまえだ!絶対の服従をちかう。それが取り交わした契約のはずだ!」
あたし達を無視して、そんなことを彼らに言い放っているアルフレッド。
きちんと契約の内容を確認してなかったこいつもこいつだけど…ね。
「たしかに。では仕方ありませんね」
カンヅェルがいうと同時、すっとマゼンダが一歩前にでて手をかざす。
それと同時にその手から光の筋が延び、それはそのままアルフレッドを直撃する。
「…な…に…」
どさっ。
そのまま倒れてるし。
あれくらいよけなさいよね……
「アル!?」
マゼンダの攻撃ともいえないそれを直接体に受けて倒れるアルフレッドに対し、思わず叫んでいるアメリア。
「…ば…馬鹿な。お前たちは契約に従うはずじゃぁ……」
マゼンダの放った光の筋は、アルフレッドの心臓のしたのあたりをえぐり、
それはそのまま背中にと抜けていたりする。
なぜかそれだけのことで、瀕死になりかけているアルフレッドが、
口から血を吐きながらも、腕をカンヅェルたちに対して伸ばして何やらいってるけど。
「勘違いしたようね。あなたと契約をかわしたのはカンヅェルのみ。ふふ」
そんなアルフレッドの言葉に、笑みを浮べながらもあっさりと言い放っているマゼンダに。
「ふふふ」
契約者が倒れたというのに、笑みを浮かべているカンヅェル。
「ぼ…僕を裏切るのか?」
未だに自分が利用されていた。
ということにすら気づかずに、そんなことをいっているアルフレッド。
「うらぎる?」
「初めからこうなる計画だったんだよ」
そんな彼の言葉に心外そうな声をだし、さらっと言い放つカンヅェルとマゼンダ。
そして。
「おまえごときが我ら魔族を従えると本気でおもってたのか?」
瞳を閉じつつも、馬鹿にした口調で言い放つ。
「…な…何だと……」
そんなマゼンダたちの言葉をうけて、信じられない。
という感情を撒き散らしつつも、自分の非を認めたくなくてさらに問いかける。
「所詮お前は、我らの手の中で踊っていたにすぎんのさ。ふふふ」
きっぱりといいきるカンヅェルの言葉に、ようやく自分が利用されていた。
ということに今さらながらに気づいて。
「…そん…な……」
などといいながらもそのまま意識を失っているアルフレッド。
「くっ。卑劣なまねを」
そんな彼をみて、思わずつぶやいているゼルの姿。
「ま。自業自得というか。何というか。どうする?このまま死なせてみる?それとも、なおしとく?」
さらっというあたしの言葉に。
「アルをお願いします」
いいながらも、あたしに対してぺこりと頭を下げてくるアメリア。
「あ。ならこのまま父親のところに送っときましょ♡」
「そうね」
ユニットの言葉をうけ、軽く返事をし。
一応魂のみをその体に留め置いたまま、
そのままアルフレッドの体をクリストファーの目の前にと瞬間移動させておく。
『……!?』
なぜかそれをみて、カンヅェルとマゼンダが驚きの表情を浮かべてるけど。
別に驚くようなことでもないでしょうにねぇ。
「いったい何のつもりよ。あんたたちの目的はこのセイルーンを裏から操ることじゃなかったの?!」
アルフレッドの体そのものを移動したことには触れず。
まあ、姉ちゃんの関係者だし……
それであっさりと済まし、きっとカンヅェルとマゼンダにむけて言い放っているリナ。
というか、深く考えたら何か怖いしね……
などとリナは思ってるみたいだけど。
別に怖くも何ともないのにね♡
「たしかに。我々の狙いはその男を王位につかせ、このセイルーンを操ることだった」
「だがそれも。リナ=インバース。お前たちがこのセイルーンにやってくるまでのこと」
マゼンダとカンヅェルが言葉を言うのと同時。
二人の瞳が怪しく光る。
それと同時。
グラグラ……
バチバチバチ……
大地が揺れはじめ、屋敷の外の周りに亀裂が生じ、それはそのまま上空にと浮かび上がってゆく。
ちょっとした浮島状態になってたりするんだけど♡
「地震?」
足元といわず、周囲全体が揺れているのをうけて、アメリアがつぶやき、
「…まさかやつらが?」
きっと二人をにらみながらもいっているゼルガディス。
「ミリーナっ!」
「おそらく。彼らの魔力で何かしたようですわね」
ルークはルークでミリーナをかばうように彼女の目の前にたち、
そしてミリーナは冷静に状況を判断しながらもつぶやいていたりする。
「何をしたのよ!?」
なぜか叫んでいるリナ。
「ああ。どうってことないわよ。ただこいつらがこのあたり一体の大地を少しばかり空中に浮かせただけよ♡」
そんな戸惑うリナ達にとりあえず説明しておくあたし。
「ほおう。よくわかったな」
「というか。誰でもわかるとおもうけど♡」
小ばかにした口調でいってくるマゼンダに、にっこりと笑っていっているユニット。
「たしかに。誰でもわかるわよねぇ」
そんなユニットとあたしの言葉に、
「いや。わかんないとおもうけど……」
などとつぶやくようにいっているリナに。
「ま。エルだしな~」
「そうですね。こっちのリナさんですし」
「だな」
それですませているガウリイ、ミリーナ、ルークの三人。
「ちょっとまってください!…今、浮かせたとかいいませんでした?」
「…まさか……」
いいながらも、窓から外を確認のためにとのぞくアメリアとゼル。
そんな二人の視界にと映ったのは上空にと浮かんでゆく周囲の景色。
眼下にセイルーンの町並みがちょっとぱかり見下ろせたりしてるけど。

「…何だ?あれは……」
兵士の一人が空を見上げてつぶやき。
「…まさか…アルフレッド……?」
捜索隊の指揮をとっていたクリストファーもまた、空に浮き上がってゆく大地をみてつぶやいてるし。
そしてまた。
「何だ何だ!?」
「何がおこってるの!?」
などと、これしきのことで何やら騒ぎ始めているセイルーンの町の人々の姿が。
彼らが騒ぎ始めるとほぼ同時。
クリストファーがつぶやくと同時に彼の目の前の空間が一瞬揺らぎ、
そしてその場に地面に倒れた姿のままのアルフレッドが出現する。
「アルフレッド!?」
そんないきなり現れた息子の姿と、そしてまた、どうみても怪我をおっている息子の様子に驚き。
そして。
「誰か!急いで魔法医を!!」
などと叫んでいたりするクリストファー。
復活リザレクションくらい使えないと…ね♡

「きさま達がたやすく逃げられないようにしただけだ。
  きさまがここをでらるときは、死体になったときか。それとも、我らの仲間になったときだ」
いいながらも、あたしに対して人間のくせにやるようだな。
そんなことを思いながらも、あたしとリナに対していってくるカンヅェル。
「何だと!?」
「リナを…」
「仲間に!?」
「何ですって!?」
「…なっ!?」
そんな彼の言葉に、なぜか同時に驚いたような声をだしているゼルガディス、アメリア、ミリーナにルーク。
そしてまったく同時に。
『それだけはやめといたほうが(いいぞ)(いいです)(いいですわ)』
きっぱりと四人が四人とも異口同音でいっていたりする。
そして、一人だけ。
「オレのリナをお前らにやるかっ!こっちのエルならともかく!」
などと、リナをがばっと包み込むように抱きしめながら、あたしを指差しいってくるガウリイ。
「ほほぉぅ。ガウリイちゃん♡あちらに強制送還してほしいのかしら♡」
にっこりと微笑みかけるあたしの言葉に。
「そうはいうけどな。お前の場合は誰も勝てないだろうがっ!こっちのリナはか弱いんだぞ!?」
などと本気でいってきていガウリイ。
まあ、たしかに。
普通の人間である以上。
こっちのリナがか弱いのは事実だけど♡
「…どこがか弱いんだ?」
そんなガウリイにすかさず突っ込みをいれているゼルに。
「いや。それよりも今、ガウリイさん。こっちのエルさんには『誰も勝てない』とかいってませんでした?」
などとあたしを見ながらも言ってきているアメリア。
「こっちのリナならありえるぞ」
そんなアメリアの言葉にこれまたすかさず突っ込みをいれてきているゼル。
「たしかに。こきつかってるみたいだしな~。腹心たちすら……」
いいながら、しみじみと腕を組んでいっているルークに。
「というか。レイさんすらもこきつかってますからね。リナさんは……」
ため息とともに、しみじみといっているミリーナ。
「あのねぇ!あんたたち……って、腹心をこきつかってるって……」
そんな彼らの会話をききながらも文句を言おうとし、思わずあたしを見つめてくるリナ。
そんなあたし達の会話は、『ただの冗談』として捉え。
淡々と。
「きさまがこの地にやってきたころ。
  我らが主。魔竜王ガーヴ様から『リナ=インバースを抹殺しろ』と命令がくだったのだ」
などといってきているカンヅェル。
「ま…魔竜王!?」
「ガーヴだと!?」
そんなカンヅェルの言葉に、なぜかアメリアとゼルガディスの叫びが一致してるけど。
「?あいつはたしかエルが赤ん坊にしなかったか?」
「あれはあっちの世界のことよ。こっちはまだガーヴはいるわよ♡」
対照的に、のほほんとあたしを見ながら言ってくるガウリイにとりあえず説明しておく。
「いや。だからかなりまて。魔竜王ガーヴといえば。この世界の魔王。五人の腹心の一人。
  それが魔竜王カオスドラゴンガーヴのはずだが……
  ……おまえ、それを『赤ん坊にした』って……」
そんなあたしたちの会話をきいて、なぜか驚愕しつつもあたしに問いかけてきているゼルに。
「……なるほど。それでいつも来るのはゼラスさんかダルフィンさんだったんですね……」
「たしか、冥王ヘルマスターはあの二人がいうには、動けないとかいってたな……」
しみじみと、どこか納得しつつそんな会話をしているミリーナとルーク。
だがしかし、そんな彼らの反応は何のその。
「何ものでもあろうがオレのリナはやらんぞ!」
などと、いまだにリナを抱きしめたままでそんなことをいっているガウリイ。
だから。
争点がずれてるってば♡
「…え。えっとぉ。エルの言葉はともかくとして。冗談じゃないわよっ!何であたしがっ!」
とりあえず深く考えないことにして、カンヅェルたちの言葉のみに対して叫ぶリナ。
一方で、カンヅェルたちのほうもあたしたちの会話の意味をきちんと理解することもなく。
「初めは命じられたまま、貴様を殺すつもりだった。だがあの呪文をみて少し気がかわったのだ」
淡々とリナにむかっていっていたりする。
そういえば、マゼンダのやつも、あのこと。
カンヅェルに報告してなかったりするのよねぇ。
マゼンダも報告するのが怖いとかいう理由で。
そんなことがあるものか。
と馬鹿にされるのがいやだから。
みたいだけど。
「あの呪文…って神滅斬ラグナブレード?」
他にはカンヅェルの前では使ってないし。
そんなことを思いながらもつぶやくリナに。
「あれほどの呪文が使えるのであらば我らの戦力になる」
相手は人間だ。
というのに戦力として捉える発言をしているカンヅェル。
まあ、彼らにとっては人間などはあっても別にいいかな?
という程度の盾もどきだからねぇ。
あとは使い捨ての何か。
「ふ。おあいにくさま。あたしは魔族なんかと手を組むつもりなんてこれっぽっちもないわ」
そんなカンヅェルたちに対して、きっぱりと言い切っているリナだけど。
「そんなことをしたら、ルナさんがこわいものね~。リナさんは♡」
そんなリナに、にっこりといっているユニット。
「それはいわないでぇぇ!」
図星をさされ、リナが何やら涙まじりに言ってるし♡
そんなリナの反応は何のその。
「さすがです!リナさん!悪に魂を売り渡してはいけませんっ!」
違う意味でリナを褒めているアメリアに。
「つ~か。こいつを仲間にしても危険だとおもうぞ。おもいっきり」
きっぱりはっきり、なぜかいいきっているルーク。
「ですわね。私たちの世界のほうのリナさんの場合は…いうに及ばず……」
そしてまた、ミリーナもそんなルークに同意した声をあげていたりするけども。
「??まあ、そういうとはおもったがな。だがこれと引き換えではどうだ?」
そんなユニットたちの会話の意味が判らずに首をかしげながらも話を進めるカンヅェル。
カンヅェルがそういうと同時。
いまだにフィルの姿をしているままのゼロスが、カンヅェルの言葉と同時に彼らの背後に出現する。
『………あ』
ちなみに、背後に出現したそれは、なぜか木の枝らしきものにくるまれて、
身動きが一見したところ取れないようになっていたりする。
まあ、あいつにはそんなのは別に関係ない束縛なんだけど。
「このためにあいつを攫ったのか?」
それがフィルではないとわかっているがゆえに、半ばそれをみてあきれていっているルーク。
ま、たしかに。
ルークの言うとおり、あきれる以外の何物でもないけど♪
「たしか。人質とかって
  『自分達の力が弱いからと認める行為』うんぬんで魔族らしからぬ行為じゃなかったっけ♡」
にっこりと、それがフィルではない。と指摘はせずに、
にこにこしながらも、カンヅェルたちに対して話しかけているユニット。
「まったく。魔族のプライドがないやつらよね~」
ユニットの言葉と同時、あたしもしみじみうなづくと同時。
「くっ。それだけ我々が強い力を求めているということだ」
などと、図星を指されて多少動揺しつつもそんなことをいってくる。
子供のくせに、よくそんなことを知ってるな……
などと、ユニットに対してはそんなことを思ってるようだけど。
普通、誰でも思うことだとおもうけどねぇ。
ほんっと、情けないったら……
「なるほどね。それでアトラスの魔道士協会やセイルーンの軍隊を支配下に置こうとしていたわけね。
  あんたたちの本当の狙いはなに!?」
相手の出方を見定めるのが何事においても重要。
もしくは先手必勝。
そう育てられているからこそ、カンヅェルとマゼンダに対してきっぱりと言い放っているリナ。
一方では。
「……もしかして、彼らきづいてないんでしょうか?」
「だろうな」
などと、顔を見合わせつつも何やらしみじみといっているアメリアとゼル。
そんな二人の会話に気づくことすらなく、
「くっ。おしゃべりがすぎたみたいだな。
  さあ。リナ=インバース!我々に従うか。それともあの男を見捨てるか」
人間というものは、他人の命がかかっていれば素直に言うことをきく。
そう思っているからこそ、自分達の優位を確信して高らかにいってくるけど。
「やれば?」
カンヅェルたちの思惑とは裏腹に、きっぱりはっきりといいきっているリナ。
そんなリナの言葉におもいっきり驚きながら、
「なっ!?これは冗談ではないぞ!…こちらが本気だとわかってないのか?ならば……」
いって背後にいるそれにとむけて魔力の球を投げ放つ。
………効くわけないのにねぇ。
バシュ。
「「……何!?」」
だがしかし、当然のことながらカンヅェルの放った魔力球は直撃するまでもなく霧散する。
それと同時。
「……あのぉ?僕はいつまでこうしていればいいんでしょうかぁ……」
下手に動くことは出来ない。
それがよくわかっているのか、情けない声をだしてあたしに視線をむけつつも問いかけてくるゼロス。
「何!?馬鹿な!?意識があるだと!?」
そんなゼロス一号の声をうけて戸惑いの声をあげているマゼンダ。
……まったく。
本気で今の今までこいつら気づいてなかったみたいなのよねぇ~……
「というか。いつまでそうやって捕らわれたまねしてるんだ?ごきぶり?」
そんな捕らわれた格好になっているゼロス一号に対して、さめた口調で話しかけているルーク。
「ひど!ルークさん。そうはいいますけどね!
  エル様の許可がない限り下手に動いたらどんな目にあわされ……もといっ!
  いえその、僕だけの問題ではないんですよっ!」
そんないまだにフィルの格好をしているゼロス一号をじと目でみつつ問いかけているルークに対し、
何やらそんなことをいってくるゼロス一号。
「あら。どういう意味かしらねぇ。何ならこれからず~とその姿でいる?ゼロスちゃん♡」
そんなゼロスににこやかに微笑みかけると、
「…できれば遠慮したいですぅ……」
なぜかか細い声で返事をかえしてきてるけども。
『……なっ!?』
そんな会話を耳にし、面白いまでに動揺した負の感情を撒き散らしつつもカンヅェルとマゼンダは、
「…ゼロスだと!?馬鹿な!?」
「…まさか…そんな馬鹿な!?」
などと二人同時に驚愕して叫んでいたりする。
あ、とまどってる、とまどってる♡
「あ。おもしろ~い。マゼンダさんとカンヅェルさん。ものすっごぉぉく戸惑ってる♡」
そんな二人の様子をにこにこしながらみていっているユニットに。
「まあ。普通戸惑うだろうな」
しみじみと腕を組みながらもいっているルーク。
「ですわね。リナさんの完全な使いっぱしりと化していましても。
  あれでもあのゼロスさんは一応腹心の方々の次に実力のある高位魔族らしいですし」
そしてまた、これまたあっさりといっているミリーナ。
「…ルークさぁぁん、ミリーナさぁぁん……」
そんな二人の会話に対して、ゼロス一号が情けない声をだしていたりするけども。
「ま。いっか。姿変えてもいいわよ?」
まあとりあえず。
カンヅェルたちの目くらましの役目は終わったようだし。
ひとまず姿を変えるのは許可しておくとしますか♡
「わかりました♡」
ユラッ……
あたしの言葉をうけて、瞬時にフィリオネルの姿からゼロスがよくとっている姿にと変化させる。
そんなゼロスの姿をみとめ、
『……な!?馬鹿な!?』
なぜかまたまた同時に叫び。
そして。
「ならば本物のフィリオネルはどうした!?」
などと叫んでくるカンヅェル。
「あのねぇ。あんたたち。あの場にいたんだから。フィルがどうなってるかくらいわかりなさいっ!
  まったく……最近の魔族はどこの世界も教育がなってないったら……」
至極もっともなあたしの意見に。
「そういえば。まだ父さんがどうなったのかきちんときいてないんですけど?」
ふと思い出したようにあたしにと聞いてきているアメリア。
「フィルさんなら、エルがネズミにしてたわよ♡」
「……しかも、体はネズミでも顔はそのままフィルさんの姿でね……」
にっこりとあたしに代わって答えるユニットに、なぜか顔色も悪く答えているリナ。
そんなあたしたちの会話を聞きながらも、
「……おまえ……何ものだ?」
「……あのときも、おもったが……」
交互にあたしにといってくるカンヅェルとマゼンダ。
カンヅェルは今のあたしの行動などをみて。
そしてまた、マゼンダは今の行動と先日の様子を思い出しながら何やらいってくるけども。
くすっ♡
「あら。あたしもリナよ。リナ=インバース♡世の中って同姓同名っているのよ♡」
嘘じゃないしね。
「……どうやら、只者じゃなさそうだな」
こちらの人間もリナ…だと?
どちらが抹殺命令がくだったほうだ?
などとそんなことを思いながらも、あたしに対して侮れない。
と少しばかり警戒し、だがしかし、たかが人間風情に何ができる。
と思いながらも完全にこちらを見下しつつもいってくる。
「お~い。あんたら?遊ばれないうちに降参したほうがいいぞ~?」
そんな彼らに、なぜか親切にも声をかけているガウリイに。
「もう遅いとおもうぞ?俺は……」
なぜかため息をつきながらもいっているルーク。
そんな会話をしている最中。
「あの~。もう降りてもいいですか?」
「すきになさいな」
いまだに姿のみ、フィルのそれではなくしたものの。
木の枝もどきに一応絡まっている状態であたしに問いかけてきているゼロス一号。
「では♡」
シュッ。
あたしの言葉をうけ、ゼロスが一言。
それと同時、ゼロスに絡まるようにまきついていた木の枝もどきが瞬時に消え去り、ゼロスの姿も掻き消える。
そして次の瞬間。
「やれやれ。しかし……いくら、おそらくこの御方たちが何かしていらっしゃったとはいえ……
  本当に僕だと気づかなかったんですかねぇ。マゼンダさん達は……」
そりゃまあ。
僕はこの世界の僕じゃあないですけど。
そんなことを思いつつ、あたしたちの真横に出現したゼロスが何やらいってるけど。
そんなゼロスに対し、
「まあ。どうせエルが何かしてたんだろ?」
そんなゼロスに対し、などといっているガウリイに。
「ま。そんなことより♡」
「そうそう。それで、カンヅェルさん達はどうする気?」
そんなゼロスたちの会話を横目で聞きながらも、
にっこりとカンヅェルとマゼンダに話しかけるあたしとユニット。
あたしとユニットの言葉に、未だに多少警戒したままで。
「……人質がいなくても、きさまらを仲間にするか。それともここで死んでもらうか。
  というのには変わりはない。しかし…なぜお前が?」
「おのれ。なぜここに!?というかなぜあの姿に!?」
あたしをにらみつつも、淡々とゼロスをみながらいってくるカンヅェルに、
なぜか未だに動揺しつつも、ゼロスに対して何やらいっているマゼンダ。
「それは秘密です♡」
そんな彼らに対し、いつもの口調で口元に手をあてて、ぴっと言い放っているゼロス一号。
「とりあえず♡どうやら戦う気満々みたいだし♡ここだと動きにくいわね」
にっこり言い放ち、そして。
パチン♪
軽く指をならしておく。
それと共に周囲といわず、あたし達がいる建物。
すなわち、クリストファー所有の別宅のつくりがすべて砂にと変化する。
そして。
ドシャ!!!
「んきゃぁぁ!?」
「って、風気結界呪ウィンディ・シールド!!」
なぜか砂にと変化した壁といわず建物全体がその重みに耐えかねて、というか耐久性が追いつかず。
建物全体が一気に崩れ落ちてくる。
「エルっ!何したの!?」
『けほけほけほっ!!』
瞬時の判断で風の結界を張っているリナが何やらあたしに対して叫んでくる。
そしてまた。
なぜかこの場にいるほとんど全員が多少砂まみれになりながらもむせ返っているけども。
「ミリーナ。大丈夫か?お前なぁ。俺のミリーナが窒息でもしたらどうするんだっ!」
ミリーナを気遣いながらも、何やらあたしに対して文句をいってきているルーク。
「あら?別に砂に埋もれた程度で窒息なんかしないってば♡」
にっこりと至極当然なことをいうあたしに対し、
「いや。普通するとおもうぞ?量が量だけに……それはそうと。今何をしたんだ?」
なぜかあたしに対して突っ込みをいれながらも、あたしに聞いてきているゼルガディス。
「ああ。ゼルガディスさん。今エルはただちょっとばかり。
  建物の物質構造を砂のそれに変えただけよ♡分子レベルを変換したら誰でもできるわよ?」
にっこりと、そんなゼルガディスにと説明しているユニット。
ちなみに。
当然のことながら、あたしとユニットは崩れ落ちてきた砂にかかることもなく。
また、ゼロス一号はといえば、何やら頭をかかえてうずくまっているまま。
そのまま砂を直接もろにかぶり、何やら砂の人形と成り果てていたりする。
「出来ないと思うぞ………『砂に変えた』…って……」
何やらぶつぶつと未だにつぶやいているゼルガディス。
「さってと。これでとりあえず、戦いやすくなったし♡」
にっこりと、なぜかまともに砂をかぶったままのカンヅェルとマゼンダをみつつあたしが言うと、
「エルさぁん。ひどいです。せめて一言何かいってからやってくださぁい」
ぱんぱんと体についた砂を叩き落しながらもあたしにいってきているアメリア。
「……いうだけ無駄だとおもうぞ~?」
そんなアメリアたちにぽそりといっているガウリイ。
先ほどまであたし達がいた建物は、一瞬のうちに砂と化し、
ものの見事に建物の形を形成するのに耐え切れず崩れ落ちていたりする。
それゆえに、あたし達の周りには何もさえぎるものも何もなく。
天井があった場所には空がくっきりと見えており、
眼下にはすでに視界のかなたのほうにとなっているセイルーンの町並みの姿が。
「……まあ。リナさんですからね……」
ため息とともに、そんなことをつぶやき。
そして。
「とりあえず。今は目の前の魔族二人をどうにかするのが先決ですわね。
  ……リナさんとミリーさんが何かする前に私達でどうにかしないと。私達の身まで危険ですわ」
ルークの台詞をさらりと無視し、
目の前のなぜか半ば呆然としている二人の魔族をみつつそんなことをいっているミリーナ。
「……えっとお。とりあえず深く追求はしないわ。とにかく!
  このあたしに喧嘩を吹っかけてきた以上!ただじゃあおかないわっ!」
とりあえず、建物が砂に変化したことは気にしないことにして、
ぴっとマゼンダたちに向かって言い放っているリナ。
そんなリナの言葉をうけ、はっと我にと戻り。
「……どうやら油断がならない相手のようだな。だが……我ら二人に勝てるかな?」
自分達ですら、物質を変化させることはきわめて高度な技。
自分達ですら出来ない技を、目の前のエルとか呼ばれてる同じ『リナ=インバース』はあっさりと成し遂げた。
その事実に多少同様しつつも、だがしかし。
それでも自分達の優位を確信してそんなことをいってくるカンヅェル。
「ふ。正義の心があるかぎり、あなたたち悪の手先にはまけないわっ!」
一方で、そんなカンヅェルに対して高々と言い放っているアメリア。
「とりあえず。ゼルガディスさんはリナさんが貸した魔力増幅器でどうにか多少はなるでしょうし。
  問題は私ですわね。まだ魔力は封じられているままですし」
今の状況を判断して、的確なことをつぶやくミリーナ。
「ガウリイ。あんたのそれ。ミリーナにかしたげて。あんたはもういっこあるでしょ?」
そんなミリーナの声をきき、ガウリイにむかってリナが何やらいってるけど。
「ちょとまてっ!確かそれって…異世界の魔族じゃなかったか!?そんなものを俺のミリーナに渡すってか!?」
そんなリナの言葉に、何やらいってきているルーク。
「ルーク。今はそんなことをいっている場合では……」
ミリーナがそんなルークをたしなめようとしてるけど。
「ともかく!俺のミリーナに変なものはもたせねぇ!」
いって。
そして。
「確か。魔力を封じたのはあのマゼンダってやつだったよな?
  ならあいつを倒せばミリーナの魔力は元にもどるんだろ?なら先に俺のミリーナのためにたおしてやるっ!」
などときっぱりはっきりいってるルークだし。
「ほぉう。たかが人間風情がこの私を倒せるとでも?」
そんなルークの台詞をきいて、マゼンダが小ばかにした口調で何やらいっくてるけど。
というか。
ルークには勝てないってば♡
「へん。よくいうぜ。このまえのこっちのリナ達の攻撃の傷。未だにどうせ治ってないんだろうが」
そんなマゼンダに対して何やらいっているルークだけど。
「そういえば。おもいっきり避けそびれてましたよね。あのとき。このマゼンダさん」
「というか。あれをよけられるのがすごいと思うぞ?」
何やらしみじみと、ルークの台詞をきいて話しているアメリアとゼルガディス。
「あら?あれくらいよけられないと」
至極もっともなあたしの意見に。
「……えっと。まあ、何をしたのかは怖いから詳しくは聞かないけど……
  とにかく!あんたたちを倒せば万事解決なのはまちがいないし。
  それと!ルーク!そんなことを今いってる場合じゃないでしょうがっ!
  それとも何?エルたちが何かしてもいいっていうわけ?」
「…うっ!!」
なぜかじと汗を流しつつも、それですまし、なおかつルークに向かって叫んでいるリナの姿が。
そんなリナの言葉になぜかルークがおもいっきり脂汗を流しながら固まってるけど。
「ルーク。こちらのリナさんの言うとおりですわ。私も足手まといにはなりたくないですし。
  かといって。あのリナさんやミリーさんが何か始めたら…まず、死にますわよ?」
さらっと面白いことを言っているミリーナの姿もあったりするけど。
「あら?大丈夫よ♡万が一死んでも生き返らせるから♡」
「…それが怖いのですわ」
あたしの言葉になぜかミリーナが即座にいってくるし。
別に怖くも何ともないでしょうにねぇ。
ふふ♡
「この前はわけのわからん術で不覚を取ったが…今度はそうはいかないよっ!」
言葉と同時になぜか人型のそれから姿を多少崩した姿に変化しているマゼンダ。
……まったく……
「あのねぇ!せめてずっと人型でいなさいっ!人型で!
  たかが力を使おうとしただけで、人間の姿を崩さないのっ!何のための実体化よっ!」
至極最もなあたしの叫びに。
「……だから。お前はどっちの味方なんだ……」
なぜかコメカミに手をあてて、あたしに言ってきているゼルガディス。
「まあいい。何かいっているようだが……
  なぜかマゼンダの魔力封じがきちんと作動してなかったようだが……
  だが、しかし。この数を相手に太刀打ちできるかな?…ゼロスのやつの動きはきにはなるが……」
未だになぜか砂に埋もれたままで固まっているゼロスをちらりとみて、カンヅェルがそんなことをいってくる。
カンヅェルの言葉と同時。
ざわっ。
大地とともに一緒に浮いていた木々がざわめき。
そして、次の瞬間。
『るうぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
何やら叫びながらも出現してくるレッサーデーモンやブラスデーモンがたかが数匹。
「数を頼んで援軍とは卑怯せんばん!ですが!正義の心にはこんなもの何でもありませんっ!
  今こそ私達正義の仲良し四人組プラスアルファの力をみせてあげるわっ!」
「…そのプラスアルファって何だ?」
アメリアの言葉に、思わずルークが何やら突っ込みをいれてるけど。
「あら?ルークさん達のことだとおもうけど?」
そんなルークににこやかにいっているユニット。
「……で?結局どうすんだ?」
そんな会話の最中。
ガウリイがのんびりとリナにと射掛けていたりするし。
「アメリアの台詞はともかくとして。とにかく。ガウリイはそれをミリーナに。
  体術はそこそこ使えるみたいだけど。んでもって。あの雑魚どもはガウリイに任せるとして。
  あたし達はカンヅェルとマゼンダ相手ね」
そんなガウリイの言葉をうけ、的確に指示をだしているリナ。
「あら?リナ?ならあたしたちは?」
「お願いだからっ!エル達は何もしないでっ!お願いっ!」
にっこりというあたしの言葉に、なぜかリナが涙を浮かべて懇願してくるし。
「……何か、そっちの小さいほうの人間からものすごい負の感情がでているが……」
「……判る気がするわ……」
そんなリナの反応をみて、なぜか戸惑い気味のカンヅェルに何やらぽそりとつぶやいているマゼンダ。
「え~?私も遊び…もとい。お手伝いしたいんだけど……」
ユニットがにこやかにそんなことをいってるし。
それはあたしも同感♡
「……その『遊び』というのが洒落になんないだろうが……」
そんなユニットに、ガウリイがぽそりといってるけど。
「ま。それじゃ。何もしないっていうのも何だしね~。ちょっとばかり空間でもいじっとくわ♡」
『……げっ!?』
「…え゛?!」
にっこりというあたしの言葉に、なぜかガウリイとルーク。
そしてミリーナの小さな叫びが一致してるけど、それはそれ。
「えい♪」
パチン♪
軽く指を鳴らすと同時。
一瞬のうちに周囲の大気が変化する。
ちなみに、今この場。
即ち、この浮遊している場所の空間は、精神世界面アストラルサイドに結構近い空間にしてみたり♡
つまりは、魔力を使うのに力ない存在でも適した場所。
『……な゛!?』
なぜか驚きの声をあげているマゼンダとカンヅェルはともかくとして。
さってと。
「とりあえず。精神世界面アストラルサイドに近い空間創造つくっといたわよ♡
  ここだと『力ある言葉』だけで術とか発動するから、結構楽なはずよ♡
  まあ、その分。精神生命体である魔族たちも多少力はアップしてるけど。
  ま、別にどうってことないし。遊ぶには…もとい。戦うのにはいいでしょ?このほうが♡」
にっこりとリナたち全員を見渡していうあたしの台詞に。
「……よく姉ちゃんにそんな空間に連れてかれて特訓されてたっけ……」
などといいながらも、どこか遠くをみているリナ。
「…だから。お前は何ものなんだ?」
以前のアレといい…今のことといい。
そんなことを思いつつ、なぜか再度あたしに問いかけてきているカンヅェル。
そしてなぜか。
もしかして、この人間…魔王様の欠片が封印されている人間なのでは……
などと思っているようだけど。
「どうしてあたしがSが封印されてるとか思うのかしらねぇ。まったく……」
『?』
至極当然なあたしのつぶやきに、意味がわからずに首をかしげているマゼンダたちの姿が。
ま。
それはそれとして。
「さってと。それじゃ。リナたちのお手並み拝見するとして。てこずるようならいってね~。すぐに手を貸すから♡」
「あ。エル。なら私達はお茶でもしてましょ?」
「あら。いいわね」
ふぃっ。
手をかざすと同時、横にちょっとしたテーブルと椅子が出現し。
それに腰掛けてリナ達にと話しかける。
そんなあたしとユニットをなぜかしばし無言で見つめつつ。
「……ま。まあ、深く考えたらだめ…ってことですよね?」
それをみて、なぜか小さくつぶやいているアメリアに。
「……そね。と。とにかく!あんたたちの好きにはさせないわっ!」
とりあえず気にしないことにして、カンヅェルたちにと言い放っているリナ。
そしてまた。
「とにかく!俺のミリーナに手をだしたことはゆるせねぇぇ!」
などと、別の意味で憤っているルークの姿が。
ルークっていろんな意味で楽しめるわよね。
くすっ♡
「ほぉう。人間風情が我らに勝てるとでも?」
内心、あたしとユニットが戦いに加わらない。
というのに安心しつつも、小ばかにしきった口調でそんなことをいってくるマゼンダ。
「我ら魔族の力。甘くみるでない」
なぜか。
というか、どうやったのかはしらないが。
今、この場は魔力が満ち溢れている。
つまりは我々にとっては最も有利な空間になっている。
そんなことを思いつつ、淡々といってきているカンヅェル。
そ~いえば。
こいつらって、この程度のことも出来なかったのよねぇ……
情けないったら……
ま、しばらくは、リナ達の行動を傍観していますか…ね♪
ふふ♡


                   -続くー

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あとがきもどき:
    薫:中途半端だけどここで区切りv
    L:ちょっと!どうしてあたしたちが遊びに加わらないのよっ!
    薫:あ…遊びって……(汗)
    姫:まあ。リナさんたちの出方をみるのにはいいとはおもうけど。
       でも遊べない。というのはねぇ。
       それに。戦闘シーンが今回でもはじまってないんだけど?
    薫:……え…えっと(汗)戦闘が遊び…って……まあ。それには触れないとして(おい)
       とりあえず。長くなりそうなのでここで一区切りです。
       次回に戦闘(になるのか?)と例の墜落浮遊大陸(?)になる予定v
   L:どうでもいいけど!もっとあたしを活躍させなさいっ!
   薫:ど…努力します(汗)
   姫:さってと。何やらエルが薫さんに何かしてるので。とりあえず代理にてv
      次回で一応セイルーン編は薫さんは終了の予定らしいですv
      次が禁断のダンスですv何はともあれ、それでは。またvv
  
(遠くでは、何やらか細い悲鳴が聞こえ…やがてそれも聞こえなくなってゆく……)

2006年9月20日某日

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