まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
こんにちわ。何やら改めて。フィルムブックと、DVDを見直してたら。
まあ、台詞などが割愛されまくってますね~。と一人で内心改めて突っ込みしてたり(笑
しかし、何やら台詞ばかりになってきてるようなきがひしひしと……
情景・・・やっぱりいれた方がいいよなぁ……
台詞ばかりで、そのやり取りを空想してもらえれば一番いいんだけど。
下手にいれたら、その空想とかけ離れたものになりかねないしなー。
などと、いろいろおもいつつも表現方法を変えている薫です(まて
とりあえず、この話が終われば次はVOL4~♪
まだまだ先は長いです。
ちなみに、ボックス使ったら置く場所がかさばるので単体でそろえたほうのDVDつかってます。
ドラマCDメアテに今回、新たに販売されたボックスも購入してますけど…ね(笑
今回のはでも何においても、表紙だけで満足v
エル様が表紙に~♪(といってもリナ乗り移りバージョン
何はともあれ、いくのですv
#####################################スレイヤーズフォーエバーinNEXT
~ くせ者揃いの珍道中?魔力をとりもどせ! ~
「………え゛?」
ピッシ。
なぜか説明をうけて固まっているゼロス一号。
「まったく。このあたしにまで術をかけてくるなんてねぇ。ま、効くわけないけど♡」
とりあえず、フィルの護衛を命じておいたゼロスの元にと戻り。
あたし達からマゼンダの魔力の気配を感じ取り、ゼロスが聞いてきたのでとりあえず答えたところ。
なぜかその場にて固まっているゼロス。
そして。
「…あああっ!何かんがえてるんですかっ!ほんと。この世界のマゼンダさんはっ!」
何やら頭を抱えて叫んでるし。
「それはそうと。フィルさん。魔法医ルナンがどこにいるか知らないか?
以前、レゾが話していたのを聞いたことがある。とりあえず封じられた魔力を取り戻すのが先決だからな」
腕をくみつつも、フィルにといっているゼルガディス。
ちなみに、ゼルガディスの体は邪妖精と岩人形の合成であるがゆえに。
精神世界面から隔離され、術が使えなくなったのをうけ。
肉体的にもかなり軟弱になっていたりする今現在。
ゼルガディスの体そのものが、魔力の影響を根強くうけてるからねぇ。
先ほど、彼女があの名前をいってたが。
あちらの世界にも彼の名前は知れ渡っているのか。
そんなことを思いつつも、ミリーナをちらりと見た後フィルにと問いかけているゼルガディス。
「ルナン殿…か?うむ。たしか……」
魔法医ルナン。
一応このあたりでは有名な医者。
簡単な術とかならば解くことが可能。
最も、ルナに言えばすぐだけど。
ま、マゼンダが使った程度の術は自力でもどうにかできる分野だしねぇ。
まったく。
もうすこし根性いれてやるならやらないと……
「確か。ルーン山に住んでいる。という話はきいているが。
何しろもう数年前の情報じゃからな。今も健在だという話はきいてるが」
以前、このセイルーンにて勤めていたものの。
娘が結婚し。
娘たちと暮らすためにとセイルーンからでていったルナン。
ちなみに、ここ数年は早くに他界した娘夫婦の忘れ形見である孫娘と暮らしていたりする。
「で。どうするの?ゼルとミリーナの二人でいってくる?」
そんなあたしの言葉に。
「俺のミリーナと二人っきりにさせるかぁぁ!」
「ルークの戯言はともかく。魔法医ルナンですか。
たしか昔、噂で彼は写本をもってるとか聞いたことがありますけど。こちらの世界もそうなんでしょうか?」
ふと思い出し、そうつぶやくミリーナの言葉に。
「写本!?あたしもいくわっ!」
目をきらん、と輝かせてそんなことを即座にいっているリナ。
「なら、フィルさんの護衛は私達でやっとくわね。とりあえず、リナさんやミリーナさん達でいってくる?」
にっこりと。
リナやミリーナをみつつ言っているユニット。
「案内は私にまかせてくださいっ!」
なぜか一人はりきっているアメリア。
「まあ、ミリーちゃん達が護衛してるんなら何も問題ないだろうが。………遊ぶなよ?」
なぜか、そんなユニットの言葉をうけて、じと目でユニットをみつついっているルーク。
くすっ。
「なら、決まりね♡」
そんなほのぼのとした会話をしつつも。
とりあえず、詳しい話を敷き詰めてゆくことに。
「気をつけてな。お~い。何かあったら必ず連絡するんだぞ~?」
「何かあったら必ず連絡してね♡」
とりあえず、写本目当てということもあり。
ミリーナたちにとついていくことにしているリナ。
当然、リナにくっついてガウリイもいくことにしてるけど。
出かけるリナ達を心配そうにみていっているフィルに、にっこりというあたし。
そんなあたし達を多少不安そうにみているミリーナとルーク。
そしてまた。
「ふっふっふっ。しゃっほん、しゃっほん♡」
すでに頭の中が写本のことで一杯になっているリナ。
ま、リナらしいけどね♡
「さあ。いらっしゃい。いらっしゃい。」
「やすいよ。やすいよ。銀貨一枚であなたの呪いはあなたのままよ!」
いってお手製のゾアメルグスターのブローチを販売しているマルチナの姿。
「ま…マルチナさん。もういい加減にしませんか?」
おもいっきり詐欺だ。
と判っているがゆえに、戸惑いつつもそんなマルチナにいっているゼロス二号。
「ゼロス様。わたくし悟りましたの。世の中お金ですわ。
いとしいゼロス様とお茶をするのも。復讐をするのも。すべて先立つものはお金。
ですからこうしてこつこつと……」
そんなゼロス二号にと、きっぱりと言い切っているマルチナ。
「ああ!やっぱりマルチナ!それにゼロス二号!」
そんなやり取りをゼロスたちがしているそんな中。
マルチナの声をきき、リナ達が様子をみに寄っていたりする。
「何やってんだ?ゴキブリ二号?」
そんなゼロス二号にとさらっといっているルーク。
「……ひどい。ルークさん…しくしく…と、ともあれ。やっときましたね。リナさんたち」
ルークの言葉にいじけつつも、気をとりなおしてリナ達にと話しかけているゼロス二号。
「リナさん…って。じゃあ、ゼロス様がお待ちになっていた人って……」
そんなゼロスの言葉に驚きつつも、問いかけているマルチナ。
「あれ?リナさんたちですよ?いってませんでしたっけ?」
そんなマルチナに対してあっさりといっているゼロス。
「ええ!?」
そんなゼロスの言葉に思いっきり驚いているマルチナだけど。
というか。
ゼロスが二人いたの、前この人間ってみてるのにねぇ。
ほんっと、面白いったら♡
「いやぁ。このたびは災難でしたねぇ。魔術を封じられるなんて」
そんなマルチナをあっさりと無視し、リナ達を見つめてそんなことをいっているゼロス。
まあ、ゼロスのほうは、あたしがリナにとある品物を渡している。
とうのを知っているので、リナさんの術は封じられていないのは確実ですね。
と確信をもちつつも、言っていたりするんだけど。
「やはりゼロスさんはゼロスさんですね。情報早いですし」
そんなゼロスの言葉に、あっさりとうなづいているアメリアに。
「ま、二号だし。というか何もしてないけどね。こいつは……」
思わず頭をかかえつつも、そんなことをいっているリナ。
そしてまた、
「それはそうと?何でおまえ。このゾアナ王国の皇女といっしょにいるんだ?」
額に手をあてて、ゼロス二号に問いかけるゼルガディスの言葉に、
「二、三日まえに、マルチナさんが盗賊に襲われていたのをお助けしまして。
お知り合いになりまして。僕と一緒にいく。といわれまして。
魔法医のところまでご一緒しようとおもいまして。まってたんです。マルチナさんと。いけませんか?」
「いけませんか…って……そういう問題ではないとおもうのですが……」
しばらく様子を見て黙っていたミリーナがぽつりと言っていたりする。
くすっ♡
別にどうでもいいでしょうにね♡
とりあえず、リナ達に詳しく説明するために。
近くにあるカフェテラスに移動しているゼロス。
そんなゼロス二号についていっているリナ達一行。
さってと。
これで少しはリナ達のほうも楽しくなってきたわね♡
ふふ♡
「盗賊を倒したときのゼロス様の。それはもうりりしかったこと。前のときには気づきませんでしたけど。
あちらの女性のゼロス様よりこちらのゼロス様のほうが」
未だに一号のほうを女性だと勘違いして思いこんでいるマルチナ。
一応、今回は確認のために胸をさわって男性だ。
とそれとなく確認していたりするようだけど。
そんなことを思いつつ、ひとり浸っているマルチナ。
ゼロスがリナ達に説明している間。
ゼロス二号との出会いのシーンを自分なりに美化して思い出しているマルチナ。
マルチナの美化された思いでシーンでは。
にこやかに微笑んだゼロスの歯がきらっとひかっていたりするけど。
こいつは別にそんなことしてないんだけどねぇ♡
そんなマルチナをあっさりと無視して、淡々とリナ達に説明しているゼロス二号。
「……と。いうわけでして。マルチナさんにすっかり気に入られてしまいましてね」
「そういう問題でもないとおもうが……」
ゼロスの説明をうけ、じとめでマルチナをみつつつぶやくゼルガディス。
「でもいい人ですよ?マルチナさんは。復讐するときめたらてこでもうごかない。
手段も選ばない。そのためにこつこつアルバイトまでする。
その執念と意思の強さにはほんと敬服しちゃいます。……あれ?どうかしたんですか?」
くたっ。
にこやかにいうゼロスの言葉になぜか全員テーブル…否。
ミリーナ以外の全員がテーブルに突っ伏していたりする。
「…どこがいい人なんだ?」
テーブルに突っ伏しつつも、突っ込みをいれているゼルガディスに。
「……まあ、こいつらしいが。どうせあのゼロス一号と同じゼロスだしな」
どうにか体をおこしつつも、ため息とともにいっているルーク。
「まあ…ゼロスさんですしねぇ。どこの世界でも同じ。ということなんでしょうか?」
そしてまた。
ため息とともにそんなことをいっているミリーナ。
ガウリイはといえば、ひとりもくもくと起き上がりつつも出されてきた食事を食べてるし。
そしてまた。
マルチナはといえば、ゼロスが説明している間もぴったりとゼロスにくっついてるけど。
どうも、今回は胸をさわっても平べったい。
ということもあり、前回のゼロスのときのように女性。
ということはありえない。
と一人勝手に確信もってるようだけど。
だからぁ。
外見上の性別ってどうにでもなるってば♡
ふふ♡
ゼロスがリナ達に簡単な説明をしているそんな中。
セイルーンのとある一角において、何やら呼び出されている一つの物体。
なぜか骨…しかも完全に骨だけのような形態で、その頭部分にはなぜか角。
……どうでもいいけどもうすこし考えてから具現化しなさいよね……
見た目、何となく人間の上半身の骨格模型に似せてるし……
まったく…最近の魔族は……
やがて命令をうけ、それはその場から掻き消える。
あとには、窓辺にたたずんでいるカンヅェルとマゼンダの姿が見受けられていたりするし。
まったく……
相手の力量くらいはかりなさいっ!
こいつらも魔族失格よね………
とりあえず。
まあ別に害もないだろう。
というのと、いっても無駄。
というのが判っているがゆえに、ゼロスを伴い目的地にと進んでいるリナ達。
「ああ。そうです。それじゃあ僕は食糧を買い込みにいってきますから。
みなさんは先にいっててください。あ、マルチナさん。今回は僕の顔をたてて穏便におねがいしますね」
山道に入りかけて、ふと足をとめ、そこにある雑貨屋をみていっているゼロス。
「お前もあの一号と同じくパシリが板についてきてるのか?」
さらっというルークの言葉に。
「ひどいっ!ルークさん!そんな言い方って!……ただ。
もし、あなたたち…特にリナさんの機嫌をそこねたりして。あの御方の耳にはいったり。
もしくは、スィーフィードさんの耳に入るのがいやなだけです。僕は」
きっぱりと言い切っているゼロス二号。
「だから。どうしてゼロスさん達はあちらのエルさんを畏れてるんでしょうか?」
そんなゼロスの態度に首をかしげつついっているアメリアに。
「ゼロスさんだけではないですわ。畏れてるのは」
言外に、異世界の魔王とかもいますし。
などという意味合いをこめてため息とともにいっているミリーナ。
そんなアメリア達に対し、
「それは秘密です♡あ。言い忘れてましたけど。リナさんをいじめちゃだめですよ?」
さらっと話題をかえつつも、マルチナにそんなことをいってる二号だし。
「わ、わかってまぁす」
そんなゼロスの言葉をうけ、ぶりっこしつつもいっているマルチナ。
「それじゃあ」
いいつつも、山道に入りかけた場所にとある小さな小屋形態の雑貨屋にとはいってゆく二号の姿が。
「ゼロス様はああおっしゃったけど。これはチャンスよっ!ようはゼロス様にばれなきゃいいのよ!」
ゼロスの姿が見えなくなるのを確認し、一人拳を握り締めてきっぱりといい。
ドドドド……
いうなりそのまま走り出すマルチナ。
「あ、おい」
そんな彼女にゼルガディスが声をかけてるけど。
「…で?どうすんだ?」
横にいるリナにと問いかけるガウリイに対し。
「…ほっとくわけにはいかないでしょ……」
はぁ~……
盛大なため息をつきつつも、そんなマルチナを追いかけてゆくリナ。
そして、そんなリナに続いてゼルガディスたちもまた、マルチナの後を追いかけてゆく。
ずりずりずり……
「ちょっとまってね」
そのあたりにころがっている木の枝で、地面に魔法陣をえがいているマルチナ。
「…やるだけ無駄とおもうけど……」
そんなマルチナをみつつも、そのあたりの木の下に座っていっているリナ。
「……まったく。どっと疲れるな。俺は先にいくぞ」
そんなマルチナの様子をみつつ、長引きそう。
そう判断し、ため息とともに言っているゼルガディス。
「私達も先にいきましょう。ルーク」
「だな」
同じ時間率というか行動だとすれば、このあたりで別行動を多少しても、問題ないはずですし。
たしか、暗殺騒ぎのことを噂できいたとき、私達は同じセイルーン。
といってもセイルーン内の別のところにいましたしね。
そんなことを思いつつも、淡々といっているミリーナに。
そんなミリーナにあっさりとうなづいているルーク。
「ほっとくわけにもいかないから。あたしがのこってるわ……」
ため息とともに、そんなゼルガディスたちにといっているリナ。
「ならオレものこるな」
などといっているガウリイ。
そんな会話は何のその地道に間違いつつも魔法陣を描いているマルチナだし。
そんなマルチナを見下すかのように空ではカラスがないている。
「さってと。魔法陣は完成したわ。お次は……何か身につけるのちょうだい。」
「…も、逆らう気もおきんわ……」
ため息とともに、マルチナにともっていたハンカチを手渡しているリナ。
「お~ほほほ。ついに罠におちたわね!リナ=インバース!」
「……これ罠?」
額に手をやりあきれつつもつぶやきながらいっているリナ。
確かに。
罠とはいわないわねぇ。
「お前の魔術が封じられたのも、天がゾアメルグスター様に与えてくれたチャンス!
丹念に丹念をかさね、磨き上げた我がのろいの恐ろしさに震えるがいいっ!」
ごろごろごろ……
「お。すごいな~。ほんとに空が変化してきたぞ?」
「でもずいぶんと時間かかってるわよ?」
すでに時間的には数時間以上経過していたりする今現在。
ゼルガディスやアメリア。
そしてルークとミリーナはといえば、この先の宿場町にてすでに宿をとって休憩している。
「うるさいわね!来たれ!いかづち!」
ピシャァン……
「あ。ほんとにきた。」
ガラガラガラ……
カッ!!
そのままマルチナに直撃している雷ひとつ。
「あ、直撃してる」
「んきゃぁぁ!?」
その反動でその場から多少吹き飛んでいるマルチナ。
「お~。あれでもいきてるぞ?」
「へ~。根性あるわねぇ」
リナはルナの特訓で雷程度の耐久性は出来ているものの、
マルチナが雷直撃を耐えたのをみてそんなことをいってるし。
リナ達がそんな会話をしているそんな中にも。
そのまま続けざまに雷がその場にて落ちてくる。
木に直撃したり、崖の上の岩に直撃し。
岩がそのまま落ちてくるけど。
「……はぁ。火炎球。」
どわしゃっ!
落ちてきた岩にむかってリナが術を唱え、そのままそれを粉砕していたりする。
「って…んきゃぁぁ!?」
何やらそれにマルチナまでが巻き込まれて叫んでいたりするけど。
「ちょっと!魔術。ふうじられているんじゃなかったの!?」
無傷でそんなリナにと何やらいってきているマルチナだし。
「あら?あたしは封じられてないわよ?封じられたのは、ゼルとミリーナだもん」
「…そ…そんな……」
くてっ。
リナの言葉にショックをうけ、その場にパタン、と一時たおれているマルチナ。
だがしかし、すぐさまに気を取り直し。
「ふ。魔術が使えようが、使えまいが!この私の呪いに勝てるはずがないのよっ!」
などといってるマルチナだし。
「……お~い。リナ?いつまでつきあってるんだ?これ……」
「そね。おなかすいたし…ゼルたちがまってるはずの宿にいきましょ」
「ちょっと!まだおわってないわよっ!…って、んきゃぁぁ!」
ガラガラ…
ピシャァン!
その場から立ち去るリナとガウリイに向かってマルチナが叫ぶものの。
再び雷の直撃をうけその場で逃げ惑い、踊っているマルチナの姿が。
そんなマルチナをその場にのこし。
「…やれやれ」
額に手をあてながらゼルガディスたちと合流するためにと進んでゆくリナとガウリイ。
そんな一人で遊んでいるマルチナの姿を木の陰にかくれてみつつ。
「う~ん。やっぱりマルチナさんってあきませんねぇ」
などといっているゼロスの姿が。
あの御方が来られているので気をつかいますし……たまには遊び心も大切ですし…ね。
などと思っていたりするようだし。
どういう意味かしらねぇ♡
まったく……
ルーン山の麓。
そんなに開けた場所ではなく、家の数などもまばら。
この場所は隠居している魔法医ルナンをたずねてくる旅人のために多少の店がある。
町に数件しかないお店。
一通りの雑貨を扱っているお店の軒先で、
「おばさ~ん。小麦粉とお塩もちょうだい」
ピンク色の髪をした十歳程度の女の子が店の中にむかって言っている。
肩のあたりまで延びた髪を頭の上で二箇所にお団子にしまとめていたりする。
そしてふと、店先にと並んでいるキャンディーにと目をやり、
「あ~。このキャンディ。おいしそう」
「おまけだよ。もってきな」
「わぁぃ。ありがとう」
お店の人より飴をもらいうれしそうに両手で荷物を抱えた一人の女の子。
「あの?このあたりに魔法医ルナンって人の家があるとおもうんですけど。知りませんか?」
そんな女の子に目線を同じにしてといかけているミリーナの姿。
「はい。しってます」
「案内してもらえるか?」
「はい。いいですよ」
「これで俺のミリーナも元にもどるな」
「歳からしてミリーちゃんと同じくらいですわね」
そんなルークの声をさらっと無視して、少女をみていっているミリーナ。
そんな会話をしつつ。
少女の案内でリナ達は山にむかって進んでゆくことに。
山間にぽつりとある一軒屋。
「ここです」
周囲には他の家の姿はまったくない。
カチャリ。
扉をノックする必要もないのでそのまま中にとはいってゆく少女。
「ここが。か」
「ごめんくださ~い。って、誰もいないようですけど?」
建物の中にはいり、周りを見渡してそんなことをいっているアメリアとゼル。
「魔法医ルナンさんは…往診中でしょうか?」
そんなにごちゃごちゃしてない、さっぱりした部屋。
誰もでてこないので、ミリーナがそんなことをいってるけど。
「あれ?いいませんでしたっけ?私が魔法医ルナンです」
そんなミリーナ達に対して振り向きつつ、にっこりわらっていってる少女。
『ええええ!?』
『何ぃぃぃ!?』
そんな少女の返事に、面白いまでにアメリアとリナ。
そして、ルークとゼルガディスの声が一致する。
ガウリイは、のほほ~んとしてるけど。
「私はキラっていいます。よろしく」
にこっ。
「……どうりで。あのリナさんがあっさりと私達だけでいくのを許可したわけですわね」
「というか。あいつらの場合は。のこってとんでもないことをしでかす。
という目的があるような気がするんだが……」
少女の自己紹介をうけて、何やらしみじみといっているミリーナとルーク。
「…ま、まあ。この際。年齢はともかくとして。あのユニットちゃんの前例もあるし。
それはそうと。実は、あたし達、魔族に魔力を封じられる術をかけられちゃってね。
あたしとこっちの子…アメリアっていうんだけど。あたし達は無事だったんだけど。
この二人。ミリーナとゼルガディスが魔力封じられちゃって。
みてのとおり、このゼルって。合成獣だからか、赤ん坊より弱体化してるのよ。
それで、どうにかその術をといて魔力が復活できないかな?とおもって訪ねてきたんだけど」
そしてまた、額に手をやりつつも。
ユニットちゃんのこともあるし……
人間見た目じゃないし……
そんなことを思いつつも、とりあえず説明しているリナの姿。
「…あのユニットちゃんは特別だとおもうんだが……」
「ガウリイさん。お願いですから何もいわないでくださいね?」
そしてまた、ぽつりとそんなことをいっているガウリイに、
何やら本気ですがるような眼差しをむけて懇願しているゼロス二号。
「あ。本当ですね。そちらの人。みたところ。
岩人形と邪妖精が混じってる合成獣さんみたいですね。
なるほど。判りました。私にまかせてください!」
「「……大丈夫なのか?」」
「「……何かすっごい不安なんですけど………」」
きっぱりといいきるキラの台詞に、なぜか顔を見合わせて不安そうな表情をしているリナ達。
そんなリナ達とは対照的に。
「とりあえず、詳しくおしえてもらえますか?」
いって、にっこりとそんなリナ達を見渡して問いかけているキラ。
そんなキラの問いかけをうけ、ダメでもともと。
という概念もあり、とりあえず詳しくキラにと説明してゆくことにしているリナ達一行。
くすっ。
まだこの子ってば、祖父にいろいろと習ってる状態で、いわば見習い魔法医。
みたいな存在なんだけどね。
ふふふ♡
「へぇ。魔族さんに魔術をふうじられちゃったんですか。それは災難でしたねぇ」
いって、必要な書物を用意するために、うろうろとしてる少女。
そして、材料などがはいった宝箱の中から必要と思われる材料を取り出しつついってくる。
「…これが…なのか?」
「ものすっごぉぉく不安なんだが……」
ごそごそと埃のかぶった魔法書などを取り出しては用意しているキラをみつつ。
不安そうな声をだしているルークとゼルガディス。
「あの?それで、ゼルガディスさんたちの魔力は元にもどるんですか?」
そんなキラにと心配そうに問いかけているアメリア。
何しろ、今のゼルガディスって普通に叩いただけで痛がるくらいまで弱体化してるからねぇ。
まったくもって根性がないったら。
「戻ります」
アメリアの問いかけに即答する。
「ほんとか!?」
そんなキラの即答をうけ、思わず身を乗り出してルークが何やらいってるけど。
「はい。大丈夫。治療の仕方はちゃんと習ってるし。
たしか…六年前に一度、同じような患者さんをおじいちゃんとみたことあるし」
いいつつも、机の上に必要な魔法薬や材料を用意し作業を始め、
「おじいちゃんは去年。引退したんです。それで魔法医ルナンの名前を私がついだんです。
おじいちゃんは今。持病の腰痛の治療のために温泉旅行にいってるんです。
やっぱり自然治療も大事だとかいって。私もついていきたかったんですけど。
もしお客さんがきたらいけないから。というのでのこってたんです」
いいつつも、直し方がかいてある羊紙皮をみて用意した材料で作業をはじめるキラ。
分量どおりに、薬などをはかりつつ。
粉状のものを扱っている最中。
「は…はくしゅっ!」
そのままくしゃみをしてそれらを吹き飛ばしていたりする。
「い、いっけな~い!」
そのくしゃみの反動で、容易していた薬すべてが吹き飛んでいたりするけど。
「……何かものすごい不安なんだが……」
「大丈夫ですよ。ゼルガディスさん。……たぶん」
ため息とともに、つぶやくゼルガディスに、励ますようにといっているアメリア。
「…その多分って……」
「……怖くてもリナさんたちにお願いしたほうが早かったかも…ですわね……」
「それだとあいつらのことだ。ぜったいに後々何かこきつかわれるぞ?」
おもいっきり不安そうにつぶやくゼルに、そしてまた。
あたしとユニットに頼んだほうがよかったかも。
などといっているミリーナ。
そんなミリーナにすかさず突っ込みをいれているルーク。
そんな会話をしている最中にも、材料が一通りそろい。
ちょっとした大きさの壷を用意して、その中にと材料を放り込み始めているキラ。
そんなキラの手伝いをせっせとゼロス二号がしてるけど。
「えっと。オッペの実とコーマの尻尾…それと……」
治療法がかかれた洋紙皮を片手に、壷の中にととにかく材料をいれてゆく。
そして、ふと首をかしげ。
「あの。すいませ~ん。これって何てよむんですか?」
書かれている文字がよめずに、近くにいるゼルにと聞いてるけど。
「…アオンドラ…だ」
「あ。そうでした。どうもです」
ため息とともに説明するゼルにペコリと頭をさげて、再び作業にもどってゆく。
「ものすっごぉぉい不安なんだが……」
「本当に大丈夫なのか?」
「……さあ?」
何やら思いっきり負の要素を振りまきつつも、とりあえず静かにまっているリナ達。
リナ・ゼルガディス・アメリア・ルーク・ミリーナの五人。
マルチナはマルチナで、ゼロスがキラの手伝いをしていることから。
ゼロス様って子供にも優しいのですわね。
何て素敵♡
などと、自分の世界に浸っていたりするけども。
ガウリイはガウリイで、
何かあるんだろ~なぁ。
などと思いつつも、そのままリナの横でぼ~と立っていたりする。
そんなそれぞれが、キラの作業を見守っているそんな中。
「大丈夫。きっとよくききますよ」
ぐりぐりぐり。
材料を入れ終わった壷の中身を木の棒でぐるぐるとかき混ぜる。
だがしかし。
ドロッ…
ボチャ……
『んげげ!?』
『あらら……』
液体の中にと触れていた木がそのまま解けるようにしてそのまま、壷の中にと落ちてゆく。
それをみて、なぜか同時に叫んでいるルークとゼル。
そしてリナとアメリアとミリーナの五人。
「さってと。次は…っと」
いって、チョークを取り出し床にと六芒星を描き、その中心に布団をひき。
「出来ました。後はここに横になってください」
にっこりと、ミリーナとゼルを見つめつつ言い放つ。
フラッ……
それをうけて、思わずよろけているミリーナに。
「……えっとぉ。見た所調合法は間違っていないようですし。モノはためしにうけてみてはどうですか?」
面白いまでにこの場に負の気が充満しているので、多少それで食事をしつつも。
にこやかに、ミリーナとゼルガディスをみてそんなことをいっているゼロス二号。
「じゃあ。お前がのんでみろっ!」
そんなゼロスにゼルガディスが何やらいってるけど。
「え?い、いやぁ。僕は……」
「あのなぁ!」
そんなゼルガディスの言葉を遠まわしに断っているゼロス二号。
そんな二人の会話をききつつ、
「ちょっとまて。ごきぶりに飲ませても意味がないとおもうぞ?
こいつは根本的に違うしな。とりあえず、俺のミリーナに害がないかどうかお前がさきに……」
腕をくんで、きっぱりといいきっているルーク。
「だから!何で俺が先になるんだっ!」
そんなルークに面白いまでに突っ込みをいれているゼルガディス。
「何だと!?俺のミリーナに害があるかもしれないようなものを先に飲ます気か!?」
「ならお前が毒見でのんでみろっ!」
「俺たちより、あんたのほうが体も丈夫だろうがっ!」
「どういう理屈だ!」
何やら二人して、面白いまでの言い争いをしているし♡
そんなほのぼのとしたやり取りを横目でみつつ、
まずいわ。
これでリナの仲間たちまで魔力を取り戻したら…
まさかとは思うけど……
そんなことを思いつつ、懐から小さな小瓶をとりだして。
小瓶の表面になぜかドクロマークがついているそれを、
キラがつくっている液体の入った壷の中にと小瓶のまま放り込む。
「これで……」
コポポ……
壷の中の液体にマルチナが液体をいれると同時に泡が立ち上り。
そして次の瞬間。
どぐわぁぁぁん!!
楽しいことにそままま爆発をひき起こす。
爆発とどうじに家そのものがふっとんでいたりするけど。
おやおや。
そんなことを思いつつも、腕を上にとあげて簡易的な防御を張っているゼロス二号。
リナはリナで、即座に自分達の周りに同じく防御結界をはってるし。
ま、このあたり。
ルナとの特訓で機敏になってるからねぇ。
リナは♡
「ゼロス様♡」
ゼロスを助けてくれた。
そう思い込み、ゼロスに何やら話しかけているマルチナ。
ドグワッ。
ゼロスが防御を解くと同時に、吹き飛んでいた壷がそのままマルチナにと直撃する。
「な…何なのよ」
「…ん?…ああ!こんなのいれたら爆発するにきまってるじゃないですか」
同じく、落ちてきた小瓶を手にとり、目を丸くして叫んでいるキラ。
「あんなモノを俺のミリーナに飲ませなくてよかったというべきか。それとも……」
一人、何やらうなっているルーク。
「残念でしたね。ゼルガディスさん。もうすこしでのめそうだったのに」
「お前らは!あれを俺に飲ますきだったのか!?アレを!?」
しみじみというアメリアに、何やら叫んでいるゼルガディス。
ルークやアメリア達がそんな会話をしているそんな中。
「いけませんねぇ。マルチナさん。おかげで今のでいらぬお客さんを呼んでしまったようですよ?」
空を見上げて言うゼロスの言葉と同時。
空に雲が立ち込める。
それをみて。
「まぁたあんた。何かやったんじゃないでしょうね?」
「え…お~ほほほ。これぞゾアメルグスターの呪い」
リナの問いかけに、目を一瞬点にするものの。
これも私の力にしてやりましょう。
そんなことをおもいつつ、から笑いをあげながらいっているマルチナ。
「…違うな。こりゃ」
そんなマルチナをあきれた表情でみてリナがつぶやくと同時。
渦をまいた中心から雷がリナたちにむかって解き放たれる。
「ちっ!」
それをみて、すかさず短剣をそれにむけて投げているゼル。
ピシャンっ!
短剣が避雷針の役割をし、雷がそちらに逃げるけど。
「ほう。魔術が使えんわりにはやるな」
いって、渦をまいた雲の中。
そこから出現してくる骨もどき魔族が一体。
その姿をみとめ、こそこそとキラと一緒に隠れているゼロス二号。
「ま…魔族!?」
「何でこんなところに魔族がくるんですか!?」
「ちっ。やっかいだな」
「というか、また魔族……」
「あの?あなた、命令まちがえてませんか?
今回あのフィル殿下は一緒ではないですが?セイルーンはあちらですけど?」
「そうそう。命令聞き間違えてどうすんのよ」
「ふ。間違いではない。リナ=インバース。お前に用がある。
われはカンヅェル様の僕。ご命令とあらばどこへでもいき任務を果たすまで」
「?あたしに?いったい何のようよ?」
「それは。リナ=インバース。お前に死んでもらうことだ!」
いって指先を掲げるそれ。
それとともに、上空に数十匹のレッサーデーモンもどきが出現する。
「どうしてリナさんをねらうんですか!ですが!正義の心は我々にあり!」
ぴっと、それにむけて指をつきつけ、すばやく混沌の言語を唱え、
「霊王結魔弾!!」
力ある言葉を解き放つアメリア。
それとともに、アメリアの拳に魔力が込められ、
精神体である魔族にもダメージが与えられるようになっていたりする。
それをみて。
「……何!?」
魔術をマゼンダ様が封じたはずではなかったのか?
そんなことをおもい驚愕の表情を浮かべてるし。
「ちょっと!あれなんなんですか!?」
「魔族にきまってるでしょうが!」
「魔族!?あれが!?」
そんな会話をしているリナとマルチナの会話に割って入り、
「もしかしてみたことないのか?」
思わずといかけているルーク。
「あたりまえじゃない!お育ちのいいわたくしがそんなものみたことあるわけないでしょう?
わたくしはこの前まで皇女だったのよ」
きっぱりはっきりいいきるマルチナに。
「でもマルチナさん?私もセイルーンの皇女ですけど。よくみてますよ?」
きょとんとしていっているアメリア。
「お前は特別だ。ぜったいに」
そんなアメリアにすかさずゼルガディスが突っ込みをいれてるけど。
そんな会話をしつつも、
「どうもそっちの情報がなってなかったみたいねぇ。そんな雑魚でこのあたしがどうにかできるとでも?」
いって、不適に笑い。
「烈閃槍!!ブレイク!!」
チュドド!
バシュシュ!!
リナの放った光の槍が言葉とともに炸裂し、一気に数十体のレッサーデーモンを消滅させる。
「…何だと!?」
面白いまでにうろたえ。
そして。
「ば…馬鹿な!?マゼンダ様が魔力を封じたのではなかったのか!?」
おもいっきり動揺してそんなことをいってるし。
「あたしにはきかなかったみたいだけど?」
「私はあのとき。あの逆五紡星の魔法陣の中にはいませんでしたし!」
きっぴりはっきりと言い切っているリナとアメリア。
そしてまた、
「きゃぁぁ!助けてぇ!ゼロス様ぁ!」
いいつつも、壷にはまったままで逃げ惑っているマルチナ。
そんなリナ達の様子を壊れた建物の背後で見ているゼロス二号とキラ。
「?いいんですか?助けにいかなくても?」
「いろいろと事情がありましてね。おおっぴらに動くわけにはいかないんです」
両手を顔にあててそんなことをいっている二号だし。
キラはそんなゼロスをみて首をかしげているけども。
ゼロスたちがそんな会話をしているそんな中。
「俺は何でかきかなかったしな。さ。覚悟するんだな?
チビリナのやつが本気になるまえに、降参したほうがいいぞ?たぶん」
「ルークぅぅ!誰がチビなのよ!誰が!」
「お前にきまってるだろうがっ!」
「ぬぁんですってぇぇ!またいってはならないことを!
んっふっふ……あんたがそういう気なら今度こそ……」
「闇よりもくらきもの、夜よりもふかきもの、混沌の海よ、たゆたいし存在……」
「ってぇぇ!リナさん!その術だけはやめてください!その術だけはっ!」
すばやい口調で完全版の重破斬を唱えるリナ。
そんなリナの呪文をきき、顔を真っ青にし叫びながら瞬時にリナの側にと出現しているゼロス二号。
「お…お前は!?」
そんな出現したゼロスをみて、驚愕の表情を浮かべている骨魔族。
「…ルーク。こちらのリナさんにも下手なことはいわないでください。
あちらのように、いきなり周りが無の空間とかになったらどうするんですの?
私達の知っているリナさんがやった後は、ミリーさんとかが再生させてますけど。
普通の人間にあんな状態で再生させたり。とかいうのは不可能のはずですし」
「……『いきなり無の空間』って……」
そんなルークに突っ込みをいれているミリーナの言葉に、
なぜか冷や汗ながしつつつぶやいているゼルガディス。
「だぁぁ!とめないで!ルークのやつ、消滅させてやるぅぅ!」
「ですから!やめてくださいってば!この世界ごときえてしまいますよっ!」
いって。
「…いや、それまではいかないかもしれませんが。何しろあの御方が……」
何やらぶつぶついっているゼロス二号だし。
「お~い?ゼロス?リナに呪文を使わせたくないんだったら、お前がどうにかしろよ?」
「し…仕方ありませんね。背に腹はかえられません」
いって、深くため息をつき。
「僕が始末しますから。く・れ・ぐ・れ・も!リナさんはあの御方の召喚呪文だけはやめてくださいぃぃ!」
何やら悲痛な叫びをあげながらもリナにいってるし。
『召喚呪文って……』
なぜか異口同音で声を重ねている、ゼルガディス・アメリア・ルーク・ミリーナを完全に無視し。
上空にと浮かんでいる骨魔族に視線をうつし。
「と。いうわけで♡もうしわけありませんが。滅んじゃってくださいね♡」
にこやかにいって、すっとその手にもっている錫杖を構えるゼロス二号。
そして。
「四界の闇を統べる王、汝ら欠片の縁に従い、汝ら全員の力もて、我に更なる魔力をあたえよ」
ゼロスの言葉をうけて、ゼロスのはめている紅い宝玉のついたブレスレッドが鈍くひかる。
「暴爆呪」
錫杖を地面に突き立てると同時。
錫杖の周りからちょっとした炎がまきおこる。
「な…なぜお前がここに!?」
炎によってリナ達の視界から二人の姿がさえぎられる。
それに驚いて回りを見渡している骨魔族。
それと同時に、しゅっと目の前にと出現しているこちらの世界のゼロス二号。
こいつがいるなんて聞いてないぞ?
そんなことを思いつつも、恐れながらも。
「……く……」
何やらうなってるし。
「それは秘密です♡」
すっと閉じていた目を見開いて紫の目で見つめ返し、
すっと人差し指を口元にもっていきいっているゼロスの姿が。
腹心の次に実力がある。
といわれている相手と対峙するには自分はあまりにも力不足。
それゆえに完全に固まってるけど。
にっこり言い放つと同時。
どすっ。
その手にもっている錫杖をそのまま骨魔族の懐にと叩き込むゼロス。
それと同時に本体そのものにも力を加え、本質から攻撃し。
当然。
まがりなりにも獣神官の役についているものと、役のないどうでもいい下っ端魔族。
その差は歴然。
瞬時のうちにとそのまま消滅してゆく。
そのまま、残りの下級魔族もどきたちも一瞬のうちに掻き消えてゆく。
完全にもう大丈夫。
そう判断し、隠れていた場所からごそごそと家の跡にと向かい、
とりあえず、その破壊された家の中の瓦礫の後をたしかめ、
「あらら。もう薬はつくれません」
といっているキラ。
ま。
このキラ。
昔、ああいった魔族を幾度かみたことあるからねぇ。
祖父の関係で♡
それゆえにあまり動じてないんだけど。
そんなキラの言葉をうけ、
「え~!?もう薬はつくれない!?どういうことよ!?」
思わず叫んでいるリナに対し、
「さっきの爆発で全部燃えちゃいました」
きっぱりさらっといっているキラ。
「いやぁ。危ないところでしたね」
「へ~。くさっても一応はゼロスね」
「だな。パシリ二号ではあるけど、実力はこいつあるからな」
「…ひどい。リナさんもルークさんも……」
戻ってきたゼロス二号にさらっという二人の言葉に、
何やらいじけているゼロス二号だし。
事実でいじけてどうするのよ♡
「ゼロス。一応お礼はいっとくわ。でもって。そのタリスマン。売って!」
「は?」
「首からさげたのと。両手首にはめているやつと。ベルトのバックルにつけてるやつ!
その四つをつかって魔力の魔力容量を増幅している」
「さっすが。みやぶられちゃいましたね」
「最初に唱えた呪文の内容は、は魔力の拡大だったもんね。あんたに必要とはおもえないけど。
呪文だけで拡大するんだったら苦労はしないわ」
「何でも魔血玉とかいう石で。それぞれが赤眼の魔王。
蒼穹の王。闇を撒くもの。白霧
この世界の魔王と、異世界の魔王の四体をあらわしているとか」
「へ~。こっちのやつもそれもってるのか」
「たしか。ゼロス一号さんももってましたわね」
「話が大きいわね。なおさら。それ売って!」
「ダメですよ!これは高貴なるお方からもらった大切なものですから!
第一!リナさんはあの御方達からもらったペンダントとかがあるじゃないですか!」
「それはそれ。これはこれ♡」
「二百。いや、おもいきって三百だしちゃう。いやぁ、ふとっぱらだねぇ。リナちゃん」
「ええい。四百!」
「何であんたが参加するのよ!」
「ゼロス様。リナに売るくらいならこのマルチナに譲って。出世払い。分割。利息なし」
「そうはいくか!五百!」
「いえ。ですから……」
「五百五」
「五百二十」
「五百三十」
「…ですから…話を……」
「でええぃ。五百五十。これでどうだ!」
「五百五十万なら……」
「よおしっ!買ったぁ!」
「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?」
「クラウネの根が一束と。メルティアの薬が二つ。
フーデリンの指輪とレムタイトの原石。おまけにクルアの丸薬もつけちゃう。
これだけあれば捨て値でうっても軽く五百五十万は超えるわよ」
「で…ですが……」
「売るわね?」
「う・る・わ・ね!」
「は…はい……」
「はっきりいって詐欺だな」
「というか。詐欺そのものだろうが」
そんなリナとゼロスのやり取りをみてそんなことをつぶやいているゼルガディスとルーク。
魔族が嘘をつくのは自分の弱体化をも招くこと。
それに……下手にことわってまたあれを唱えられても……
そんなことを思いつつも、ため息とともに、首飾りとベルトバックル。
そしてブレスレッドをそれぞれ外し、その四つをリナにと手渡しているゼロス。
「さってと。これはゼルにね」
「俺にか!?」
リナから手渡され、思わず驚きの声をあげ。
そして。
「てっきりお前はそれも独り占めにするもんだと……」
「ですよね。リナさんですし」
「誰があげるっていったのよ!貸すの!貸すだけにきまってるでしょうが!
今のあんたは赤ん坊より無力になってるからね。で、貸し出し料は…っと♡」
ごけけっ!
いとも当然のようにいうリナの言葉に、
なぜかその場にことごとくこけているルーク・ゼルガディス・アメリアの三人。
そして。
「…やっぱりそうきますか。どちらのリナさんもリナさんだというか……」
「まあ、それもリナのいいところなんだけどな♡」
何やらしみじみとそんなことをいっているミリーナとガウリイ。
「まあ、たしかに。ゼルガディスさんは今かなり無力ですからねぇ。
ですけど、それを身につけてもたいした魔力がつかえるとも」
「それはわかってるわよ。だけど、今のゼルは赤ん坊より無力だし」
ゼロスとリナがそんな会話をしている最中。
ふと、未だに壷をかぶったままのマルチナが、その中にあるとある物体にと気づき。
「ねえ?これなあに?さっきの爆発で紛れ込んだみたい」
いってそれを取り出してゼロスたちに見せていたりする。
小さな箱の中にはいった小さな本。
その表面には六芒星がかたどられた表紙がついていたりする。
「まさか…それは!?」
それをみて、思わず目を丸くしているゼルガディスに。
「それは!」
何やら叫んでいるルーク。
「らっき~!本当にあったんだ!」
そしてまた、にこやかにそんなことをいっているリナに。
「あれって。まさか……」
表紙をみてつぶやくようにいっているアメリアに、
「間違いないわ。異界黙示録の写本ですわね」
淡々と、それでいて多少驚きつつもいっているミリーナ。
「?クレ?何ですか?それは?」
そんなリナたちの会話をききつつ、首をかしげ。
それって昔の私のお絵かき帳。
そんなことを思いつつも問いかけているキラ。
「ふ。決まってるじゃない。ウクレレの教本よ。」
そんなキラの問いかけに、自信満々にまったく嘘をいっているマルチナ。
「嘘をいってはいけませんよ。私が少々教えてあげましょう。」
そんなマルチナの台詞に、ふっとため息をつき、ゆっくりと手前に歩いてくるゼロス二号。
「はい。ゼロス様♡」
そんなゼロスの声に、すんなりと従っているマルチナ。
「異界黙示録。それはこの世界に伝わる伝説なんです。
こことは別の世界の魔王や魔族たちの伝承。
果ては私達の魔道奥義までが克明に記されているという伝説の魔道書。
それが異界黙示録なんです。ま、なかなか本物の写本にはお目にかかれないのですが。
ラッキーというか、何というか」
嘘でもないけど完全に正確ではない説明をしているゼロス二号だし。
そんなゼロスの説明は何のその。
「あ。ルーン文字じゃない。いよいよ本物っぽいわね」
それを覗き込んでパラリとめくっていっているリナ。
「あ、ほんとうだ。」
そしてまた、そんなリナの横からそれを覗き込んでいっているアメリアに。
「何がかいてあるんだ?」
同じく、リナの背後から覗き込みつついっているルーク。
「お前にくっついてたら、本当に向うのほうからいろいろと近寄ってくるな」
そしてまた、ルークの横でリナの斜め背後から覗き込むような格好で、
ふっと息をつきつつそんなことをいっているゼルガディス。
「どういう意味よ?ゼル」
そんなゼルガディスに思わず突っ込みをいれているリナ。
「言葉どおりだが?」
「あのね!」
「…それで。いったい何が……」
「ちょっとまってね。…って、これって!?」
問いかけるミリーナの台詞に、改めて解読しつつめを通し。
思わず小さく叫びをあげているリナ。
これって…昔からあたしが研究してた術の奥義みたいなものじゃないのよ!
らっき~♡
などと思っているリナ。
「どうやら、すでに失われたはずの術の一つの奥義書みたいよ」
いいつつも、それを覗き込んで解読を始めているリナ達の姿が。
さて…どうしましょうかね?
あれに書かれているのが…何なのかこの僕もわかりませんし。
まさかこんなところで、本来のお仕事ができるとは……
無関係な人間に知識を与えるのは……先に燃やしちゃいましょうか。
そんなことをゼロス二号が思っているそんな中。
「ゼロス?処分するなよ?」
いつのまにかガウリイがゼロスの背後にいき、耳元でそんなことをいってるし。
「いやあの……」
ゼロスが言いかけるより早く。
ぽんっ。
「ゼロス。リナがみるっていってるんだから、みせるよな?当然。
もし先に燃やしたりして処分したら、エルたちの正体。ルーク達はともかく。
こっちの全員にも教えるからな?」
ゼロスの肩にと手をおき、にこやかにゼロスのみに聞こえるようにいっているガウリイ。
「ガウリイさんっ!僕を脅迫する気ですかっ!」
そんなガウリイの言葉に目を丸くしてゼロスが何やらいってるけど。
「オレはべつにどっちでもいいけど?どうするんだ?」
そんなゼロスの態度にはまったく目もくれずに、にっこりと言い放っているガウリイ。
「……し、仕方ありません……ですけど。読み終わったら処分しますからね……」
このガウリイさん…リナさんが絡んだら本当に言いかねませんしね……
し…仕方ありません。
ここは、あきらめましょう。
……あれに書かれてるのがあまりあの御方に関することでなければいいのですが……
そんなことを思いつつも、がっくりと力を抜いているゼロスの姿が。
そんな二人の態度を首をかしげてみているキラ。
まあ、キラは今の会話をきいてても、意味がわからないしねぇ。
もし、ルークとかがきいてたら、予想は立てたでしょうけど。
ルークもミリーナもまた、今はリナが手にもってる写本に夢中だし…ね♡
「おのれ、リナ=インバース!くさい芝居でわたくしのゼロス様の気をひくなんてぇ!」
リナだけではない。
というのに、リナ限定で、そんなことを言っているマルチナ。
ゼロスはといえば、解読がおわってから燃やすとしますか。
などとおもいつつ、常に状況を背後で見守っているんだけど。
マルチナの目には、ゼロスがじ~と熱い視線でリナを見ているように映っていたりする。
「……これって、何かもしかしなくても……」
そこに書かれているのは多少、あたしのことに触れつつも。
この世界の神と魔について書かれていたりする。
ちなみに、その力の融合方法なども♡
リナって昔から融合魔法。
研究してたからねぇ。
未だに完全なやつは発動させてなかったものの♡
さすがに、そこにかかれている内容に気づいて思わず声をあげるミリーナに。
「?……何か、金色の魔王とかかかれてますけど……」
「…え゛!?」
ピッシ。
思わずつぶやいたアメリアの台詞に、なぜかゼロス二号はその場に固まってるし。
まったく、情けない……
「どうやら。はるかな古に実在したという、混合魔法の奥義みたいだな」
リナがもっている魔道書を覗き込むようにして解読していたゼルガディスがぽつりとつぶやき。
「…みなさん。熱中しちゃってますね」
じ~と、リナ・アメリア・ゼルガディス・ミリーナ・ルークの五人で呪文書を覗き込んでいるのをみつつ、
ぽつりといっているキラ。
「混合?…そ~いや、前。エルのやつ、デュグ何とかってやつと、ヴォル何とかってやつ。
何かおっことしてたな~。あのときも何か混合何とかとか、別のところの神族の人がいってたけど」
さらり。
と何やら暴露しているガウリイ。
「…あの?ガウリさん…それってもしかして…もしかしなくても……
闇を撒くものと漆黒の竜神のことじゃあ………」
この世界とは別のあの……」
そんなガウリイの言葉に多少震えるこえでゼロスが問いかけ。
「よくわからんが。何かんなこといってたぞ?」
きょとん。
といっているガウリイ。
「…………それ、リナさんたちには…まさかいってませんよね?」
……あの御方…あちらでいったい何をしていたのでしょうか……
ですけど、それを知られたら。
あの御方の正体がリナさんたちにばれかねませんね……
などと思いつつ、ガウリイに確認しているゼロス二号。
「まだ話してないぞ?」
「お願いですから絶対に話さないでください……」
おもいっきりそんなガウリイにと懇願している二号だし。
どういう意味かしらねぇ。
あとでゼロス二号はお仕置きね♡
最後のページをめくると同時。
リナたちの目に飛び込んでくる色とりどりの落書きが♡
「…よ、よめない」
どでっ。
それをうけて、なぜか、リナとルーク、そしてゼルガディスがその場に倒れ伏しているけど。
「あ、落書きされてます」
それを覗き込んで、みたままをいっているアメリア。
「…あ、なつかしい。これって三歳のころの落書きです。たしかもういっさつあったのは。
全部落書きしちゃって、焚き火の材料にしましたっけ?」
投げ出された呪文書をみて、それにかけより、そんなことをいっているキラ。
「何ですってぇ!?もういっさつあったわけ!?」
そんなキラの言葉に思わず目を見開き、問いかけているリナだけど。
「というか、これだと肝心な部分が全然よめませんわね」
そしてまた、冷静に、落書きされているページをみてそんなことをいっているミリーナ。
リナ達がそんな会話をしているそんな中。
しゅっと、地面に置かれて…というか落ちていたままの呪文書を手にとり、
瓦礫の上にと移動し。
「お~ほほほほほほ。何だかわからないけど、残念だったわねぇ」
などと、呪文書片手に高笑いを上げているマルチナ。
「…何いってんだか。ほら。さっさとかえしなさいよ」
またこいつは…何をしようとしてるんだか……
そんなことを思いつつ、額に手をあててリナがマルチナに言い放つけど。
だが、そんなリナの言葉は何のその。
「この写本っていうのが手にはいればこっちのもの。
これをうって、魔人ゾアメルグスター様の復活の資金にするのよ。
まっていてください。ゾアメルグスターさま。復活のあかつきには、にっくきリナに……」
「やれやれ。しょうがないですねぇ」
そんなマルチナの台詞をききつつ、ゼロスが小さくつぶやき。
それとともに、
マルチナが何やらいっている最中。
マルチナが手にした魔道書が一瞬のうちにと燃え上がる。
「お~ほほほ。って…あちちちち」
いきなり燃え出した本を手放すマルチナ。
それとともに、魔道書は地面におちてそのまま炭と化してゆく。
「ゼロス。お前!」
すぐにゼロスの仕業とわかったゼルガディスが何やらいい。
「おのれ!リナ!よくも!」
「…あたしじゃない。っていっても無駄よね。もう勝手にして」
ため息をつきつつもいっているリナ。
ま、マルチナは思い込んだら人の話なんかまったくきかないから…ね♡
くすっ♡
しばし。
何やらほのぼのとした光景が繰り広げられてゆく。
さってと。
そろそろいいかしら…ね。
ふふ♡
-続くー
HOME TOP BACK NEXT
######################################
あとがきもどき:
薫:何気に。リナとルーク。そしてルークとゼルガディスの掛け合いがすきだったりv(まて
あのメンバーで言い争ったらたぶん面白いとおもうんですよね~。
ゼルも譲らないだろうし。とうぜんルークも譲らないv(だからまて
ガウリイは、さすがに伊達に二年くらいエル様と旅をしていただけあって。
度胸とかかなりついてます(笑
……ま、散々異世界の魔王とかの呼び出しとかにも直面してますからねぇ…ガウリイ……
その意味では、もう何があってもあまり動じなくなってるのかもしれません(笑
人間。理不尽なことになれたら常識(?)的なことは些細なことに感じる…はず(汗
さてさて。次回でようやくセイルーンに残ってるエル様とスミレちゃんのサイド♪
さて…気の毒なのは誰なんでしょうねぇ(笑
お二人があちらで遊んでいる間に、それではまたv
今回はお二人がこられるまえに、次回予告v
それではまた、次回にてv
ではではvv
2006年9月9日某日
HOME TOP BACK NEXT