まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
こんにちわ♪
何か気分的に、こればっかり打ち込んでいる私です♪(こらまて!)
よーやく、一年かかってた干渉・・終わった反動ですかね?(爆!)
ちなみに。何回も言いますが。
実はこれ。
私がかいている『エル様漫遊記』そのメンバーが。平行世界(パラレルワールド)に迷い込んで(?)いる話ですv
つまりは。リナは二人(でも一人はエル様)
ゼルガディスは二人。
アメリア、シルフィール、ともに二人(でもまだ未登場)
のりは、アニメ版、無印スレイヤーズ!さあ!いってみましょう!
前半部分の大詰め!!!(なのか!?)
魔王復活!!!
・・・・気の毒に・・(笑)
#####################################スレイヤーズ・フォーエバー 第7話 ~赤瞳の魔王~
「で?どのくらい時間がかかるんですか?」
「そうだな。まるまる二日といった程度かな?」
アメリアの質問に淡々と答えているゼルガディス。
とりあえず。
搭にいく道筋に位置している町に立ち寄り、町を抜けて搭にと向かっているあたし達。
町の中を見渡せば、昼が近いこともあり、主婦たちが籠をもち昼食の食材を買い込み、
家路についている、という何とものどかな風景があちこちで見受けられていたりする。
子供たちもまた町の中のいたるところで走り回り、町は活気に満ち溢れている。
「ゼル二号。なんか、こう、ぱぱぱぁっと移動することはできないの?」
二日も歩いていたら間に合わないんじゃあ…
などと思いつつ、問いかけるリナのその言葉に。
「……無理いうな……」
すでに、二号、と呼ばれることに対して抗議することすら疲れているゼルガディスだけど。
くすっ。
「まあまあ。いいじゃない。リナ。たまには、こうやって無駄に歩くのも楽しいわよ♡」
そんなあたしの言葉に。
「無駄って……そういうことでもないと思うけど。でも何かエルと一緒だと。
あたしに似ている姉妹がいるような気がしてくるから不思議よねぇ」
しばし戸惑いの声をあげつつも、ふと思ったことを口にするリナに対し、
「まあ、エルとリナさんでは、三歳程度しか歳は離れてないですから♡」
……今のこの姿の時間率ではね。
にこやかにいいつつも、小さく心の中でつぶやいているユニット。
「それに…だ。年下の方のリナ。いきなり、また瞬間移動とか空間移動で移動させられたいのか?」
そんなリナに対して、何やら淡々といっているゼル。
「う……それは……遠慮したいかも……」
ゼルの言葉にたじろぎつつも、
「しっかし…ああ!こうしている間にも。あのレゾのやつは、準備を進めて!」
もし、魔王復活なんてことになったら!
あたしが姉ちゃんに殺されるぅぅ!
などと思いつつ、リナが一人叫んでいると。
ドン!
「きゃ!?」
走ってきた小さな子供がそんなリナにとぶつかっていたりする。
思わず一瞬身構えるゼルガディスたち。
レゾは子供を操ったりもすることができる。
と判っているがゆえに。
だがしかし。
「い…いたた……」
リナにぶつかり、そのままころん、と転げる子供に対し、
「大丈夫でしたか?」
手を差し伸べているシルフィール。
「おい。大丈夫か?性格までうつらなかったか?」
「……お゛い゛……」
じろりと、そういっているゼルを睨んでいるリナ。
だがしかし、子供の手前、ということもあり。
あとで呪文でもお見舞いしちゃる…
と固く心に誓いつつ、
「あ…あはは。大丈夫?僕?」
いってしゃがみこむ。
リナにぶつかってきたのは、金色の髪を短く束ねた、瞳の色が空色の小さな男の子。
しゃがみこみ、男の子と視線を合わせて話しかけるそんなリナの言葉に、
「うん。ごめんね。お姉ちゃん」
素直に謝っているその少年。
リナが前をきちんと見ていなかった。
というのもあるのだけど。
それはそれとして。
「だめだぞ?ちゃんと前をみて歩かないと?」
そんな少年の頭をぽんぽんとなでつつも、話しかけるリナの台詞に、
「……人のこといえんとおもうが……」
小さく突っ込んでいるゼルガディス。
そんなゼルガディスの言葉をきき、
すぱこぉん!
電光石火の早業で懐からスリッパを取り出し。
わざわざ強化魔法をかけてゼルガディスを叩いているリナ。
「こっちのリナって……子供好きなんですね」
そんなリナをみてつぶやくようにといっているアメリア。
年下とはいえ、あたしと同じ容姿。
ということもあり、呼び捨てには今のところしてないようだけど。
そんな最中。
『!!!!!?』
ふと、全員が違和感に気付く。
違和感の正体はとある霧。
その紅い霧が立ち込めたその刹那。
ぴし・・・ピシピシ・・・・。
何かが固まる音とともに、周囲が一瞬モノクロ色にと彩られ。
そして、その後には全ての存在が石にと変わり果てた姿があるのみ。
その一瞬の出来事に、周囲を見渡し、
「…な゛!?みんな石に変えられてる!?」
その辺りを歩いていた人々全てが石になっているのに気づき、リナが驚愕の声をあげているけど。
リナの目の前にいる男の子もまた例外ではなく姿を石に変えられていたりする。
いきなりのことに、だがしかし、冷静に周囲を見渡し、そして。
「「あれは…レゾの使い魔!?」」
空にふよふよと漂っている目の形をしている魔族を見つけ、
二人同時に叫んでいるゼルガディスとゼル。
ゼルもあれには見覚えあるしねぇ。
町の人々全員が石に変えられている。
と瞬時に判断し、
「「…そ…んな!」」
思わず口を覆いつつ、同時に叫んでいるアメリアとシルフィール。
別にどうってことないでしょうに♡
言うまでもなく町全体の人々が一瞬のうちに意志にと姿を変えられているんだけど。
こんなの誰でもできることなのにね♡
『みなさん。ごきげんよう。お元気ですか?』
使い魔の瞳から立体映像が映し出され、映像のレゾが語り始める。
「くっ。ずいぶんなことをしてくれるじゃないのよ。」
リナがそんな立体映像であるレゾを睨み返すが。
『いえいえ。ちょっとしたイベントですよ。それより、素直に賢者の石を渡してもらいたいのですけどねぇ』
リナの言葉に動じることもなく、にこやかに語りかけているレゾ。
ちなみに、ちょうど今石となっている子供の前に出現するように映像を作り出していたりするけども。
つまりは、あたしたちの目の前に姿が映し出されている格好となっていたりする。
「ふん。あんたが魔王復活を望んでいる以上、これは渡せないわね。それか、この場でこれをぶち壊す!」
女神像をもちレゾに言い放っているリナ。
レゾの瞳は見えていない。
だがしかし、精神世界面を通じて『物事を視る』ことができる。
というのはリナはルナの特訓で多少は理解している。
それゆえに、そんなことを言っているリナだけど。
そんなリナの言葉に。
『おやおや。それなりの代価はお払いするんですけどねぇ』
まったく動じることなく、にこやかにいってくるレゾ。
「賢者の石にどれだけの代金をつけるというのですか?」
そんなレゾの声に対し、声を震わせつつ聞いているシルフィール。
一瞬のうちに、別の場所にいるはずなのに、この場の人々。
つまりは町の人々を石化させたレゾの実力になぜかかなり驚いているようだけど。
このくらいものすっごぉぉく簡単なのに♡
シルフィールの声をうけ、にこやかに。
『そうですねぇ。この辺り一帯の町の人達の命…というのはどうでしょう?』
『な゛!!!!!!!?』
レゾの言葉に、思わずあたしとユニットとゼロス以外の短い言葉が一致する。
あたし達以外は面白いまでに驚いているようだけど。
ユニットは髪をいじりつつ、にこにことして様子を見守っており、
ゼロスはといえば、面白おかしく映像を眺めていたりする。
そんなあたし達とは対照的に、驚き口を覆っているシルフィールに。
「そんなの正義じゃないです!罪もない人を殺すなんてもってのほか!」
いきなり映像にむかって説得を始めているアメリア。
反応は人それぞれだけどけっこう面白い。
そんな中ゼルガディスが小さく呻き、
懐から剣を取り出し、上空にと漂っている目玉もどきにと投げ放つ。
『―ギっ!?』
それはちょうどその目玉もどきのその使い魔の目に当たり。
パッキィィィン・・・・
一撃をうけて、それは瀬戸物が割れるような音を出しつつも、あっさりと消滅してゆく。
そして、その消滅とともに、さらさらと紅い光の粉が町全体にと降り注ぐ。
『私は野暮用がありますので。それをもって私の搭まで来てください。場所はゼルガディスが知ってますよ』
その消滅とともに、声のみを響かせて、レゾの姿もまた掻き消えてゆく。
しばしの静寂の後。
ざわざわざわ……
光の粒が完全に消え去った刹那、町は再びざわめきを取り戻す。
何のことはない。
今簡単にレゾがあの目玉もどきの魔族によって施した術が解除されただけのこと。
それゆえに、石化していた人々は何ごともなかったかのように行動していたりする。
「……どうするんですかぁ?」
アメリアが情けない声を出していたりするけども。
「どっちみち、そこに向かっていたところなのですが……」
戸惑いながらもいっているシルフィール。
「そ~ね。でもどっちみち行くしかないでしょうよ。
その気になったら……レゾはこの町だけでなく、他の町の人々も殺すつもりよ……」
レゾの意図を悟り、空を見上げつつそんなことを言っているリナ。
くすっ。
正解♡
「確かに。あのレゾならやりかねないな」
リナの言葉に賛同してゼルガディスことゼル二号もつぶやいているけど。
一方で、
「まあ、僕は、この世界の人々がどうなろうと。関係ないですけどねぇ♡」
などとにこやかやそんなことをいっているゼロスの姿。
確かにそれはそうなんだけど。
でも何もしなかったらしなかったで後からゼロスにはじっくりとお灸をすえておきますか♡
ふふ♡
「あれ?どうしたの?お姉ちゃん?」
自分が石となっていたことすら気づかずに、リナ達の様子をみて怪訝に思いながら、
戸惑いつつ問いかけている先ほど目の前で石と成り果てていた少年が話しかけてくる。
そんな彼の言葉に、リナの瞳に安堵の色が灯り、
「あ……何でもないのよ?それより、気をつけなくちゃ駄目だぞ?」
そういって腰を降ろし、目線を少年にと合わせて語りかけているリナ。
ここのリナって子供とかには優しいからねぇ。
あたしもものすっごく優しいけど♡
「うん。ごめんね。お姉ちゃんたちっ!」
今何があったのかまったく知らず、そのまま軽く謝り再び走ってゆく子供の姿。
そんな子供の姿をしばし見送りつつも、
「まあ、せっかくご招待してくれたんだし?はやいとこ行きますか。」
内心ほっとしつつも表にはそれを出さずに、言って立ち上がる。
「そうです!魔王を復活させるわけにはいきません!」
「そうですわ。いくら、私達の世界でないとはいえ。阻止しないと」
そんなリナの言葉に対し、同時にいっているアメリアとシルフィール。
別にあいつごときが復活しても、荷物もちが増える程度で関係ないんだけどねぇ。
たしかに魔王を復活させるわけにはいかない。
魔族がすんなりと従っている、ということはエルの言うとおり魔王が封印されている可能性は…大。
そんなことを思いつつ、
「さて……じゃ、いきますか」
決意を込めていってくるリナ。
「あら、急ぎたいの?」
そんなリナにひとまず確認を込めて聞いてみる。
「そりゃね」
即答してくるし。
「だったら♡」
判っていたけどね。
とりあえず今回はちょっと変わった形で…っと♪
いいつつも、目の前の空中にくるりと円を描く。
と。
ゆらり……
あたしが虚空に描き出した円がほのかに光を帯びて輝きだす。
「はい。繋がったわよ。空間♡」
『……は?』
なぜか、あたしとユニットとガウリイ以外の気の抜けた声が一致する。
「おお。ここから搭にいけるのか」
一人納得して言っているガウリイ。
「って!?ガウリイさん!?どうしてすぐに理解できるんですかぁ!」
そんなガウリイに対してわめいているゼロスだけど。
ガウリイだから決まってるじゃないv
「だって気配がそうだろ?この奥に見えてるあれ、搭だし」
いって円の中を指差しているガウリイ。
正解♡
「だ・か・ら♡ガウリイの言うとおり。瞬間移動としたら気づかれるしね。
それだと面白くないし♡こことあそこの空間をつなげたのよ」
つまりは、この虚空に描いた円というか扉をくぐるとそこはもう目的地♡
『??』
意味がよくわからないらしく、互いに首をかしげているリナとゼルガディスだけど。
『・・……いや。その【空間をつなげた】って……』
そして二人してそんなことをいっていたりする。
そしてまた、なぜか唖然としているアメリアとシルフィール。
「ま……リナだしな……」
それで納得し、しみじみいっているゼル。
おそらくリナは、あの例の金色の王と何らかの関りがあるんだろうし、
ゆえに何があっても不思議でないが……
そんなことを考えつつ、つぶやくようにいっているようだけど。
まあ、確かに。
関りはあるといえばあるわよね。
あたし自身のことなんだし♡
なぜか戸惑っている彼らを見渡し、
「ほらほら。早くいきましょ♡」
「先に行きますね♡」
呆然としているリナ達をそのままに、そのまま先に扉をくぐるあたしとユニット。
光の扉の鏡面は、まるで、水面のようにゆらゆらと揺らめいていたりする。
というかそのように設定したんだし♡
すいっと吸い込まれるようにして虚空の光る円の扉に入ってゆくあたしたちに続き、
はたと気づいたように、あわてて続いて移動してくるゼロス。
そして。
「あ!!まってくださいっ!」
そしてそんなゼロスに続き、アメリアもまたあわてて追いかけてくる。
「……よくわからんが……」
とにかく中にはいればいいのか?
などと思いつつ、互いに顔を見合わせつぶやきつつも、
ロディマスとゾルフもまた恐る恐る虚空にとある光の中にと身を投じる。
そんな彼らと共にゼルガディスもまた入っていたりするけども。
そんなに怖がることもないでしょうにね♡
ふふ♡
周囲りから見ると、あたし達がそのままかき消えたようにと映っていたりするけども。
ざわざわと昼時の騒がしい町の中。
そんな些細なことに気付く人間達は、はっきりいっていない。
町は至って平和にざわめきたっている。
「……嘘だろ?」
『・・・・・・・・・・』
目をばちくりさせているゼルガディスに、口をぽかんと開けているロディマスとゾルフ。
「…本当に空間をつなげてたんだな……」
などといいつつも、半ばあきれて言っているゼル。
「リナさん!今度そのやり方教えてください!城を抜け出すのに便利そうです!」
「いいわよ♡」
「おいおいおい……」
目をきらきらとさせてあたしに言ってくるアメリアに答えるあたしに対し、
目を点にしているゼルだったりするけども。
別に問題ないしね♡
「……本当にくぐっただけで……ついたわね……」
虚空に描き出された光の扉というか円。
あれをくぐっただけで目的地につけるなんて……
ね~ちゃんですらああいうことやったことないのに……
などと思いつつも、そんなことをいっているリナ。
そしてまた、
「まあ、エルだからなぁ」
それですませているガウリイ。
「あああああぁぁぁぁ……」
エル様ぁ。
まさか本気でアメリアさんにやり方教える気じゃあ……
というか。
こちらの世界の人々にもしエル様の正体が知られたらっ!
そもそも、まだゼルガディスさん達にも多分気づかれてはいないとおもうのにっ!
などと様々なことを思いめぐらせて、なぜか頭を抱えてうなっているゼロスだし。
「ま、いっか!早くついたに越したことないし!それじゃ、さっそく乗り込むわよ!」
「任せてください!リナさんっ!悪を懲らしめるのは正義の役目ですっ!」
等といいつつも、リナの言葉に賛同しているアメリア。
そんなアメリアをちらりとみつつ。
「……なあ?あんた……よくこんなやつらと一緒に旅ができてるな……」
なぜかしみじみとゼルにいっているゼルガディス。
「そういうお前も、いやでも知り合うさ。というか。もうリナとは知り合っているしな。
まあ、リナと知り合ったのが、運のつきと思うしかないと思うが……」
などと、ため息をつきながら悟りきったように言っているゼル。
ほぉぉう。
「あら♡どういう意味かしらぁ?ゼル♡」
あたしの言葉に。
「い…いや。はは……他意はないぞ?いや本当に(汗)」
なぜか、あわてて言いつくろいつつも心から冷や汗かいていたりするゼルだけど。
「ま。いいわ。あとでみっちりとその件についてはお灸据えるから♡」
ずざっ!
あたしの至極当たり前な言葉に顔色を変えて思わず後ろに退いているゼル。
「こぉらぁ!何してるぅ!ゼル二号に一号!それと二号のおまけたち!とっととくる!」
そんなあたし達のやり取りは何のその、先に塔の入り口に向かっていたリナが叫んでくる。
「だ……誰がおまけだ!」
そんなリナに抗議しているゾルフだけど。
確かにオマケよねぇ。
くすっ。
「ほら。ゼルガディスさん達!いそぎましょうよ!」
意気揚々としながらも、そんな彼らに対して先を促しているアメリア。
「ほ…ほら。小さいほうのリナが呼んでいることだし。はやいとこレゾを止めよう」
とりあえず話題をかえないと。
と思いつつも、そんなことをいってくるゼルだけど。
「たしかに。あっちも面白そうだしね♡」
「うん。面白そう♡」
『面白そう…って……』
にっこりというあたしとユニットの台詞になぜかこちらの世界のゼルガディスたちと、
リナらしいというか何というか…などと思いつつも、同時につぶやいているゼル。
だって面白そうなんだもの。
ふふ♡
『まってましたよ』
搭の中にと入ると目の前の階段の上にレゾの姿がみえている。
「レゾっ!」
その姿をみて、ゼルガディスが構えるが。
「ふぅん。これもどうやら映像のようね」
リナの正確な指摘に。
『いやぁ。本来ならばお出迎えしたいのはやまやまなんですけど。しかし早かったですねぇ。
まあ、いいでしょう。ちょっと今手が放せないので。最上階まできていただけますか?
――もってきてますよね?例の品物は?』
などといってくるけど。
そんなレゾの言葉に、
「ここにあるわ」
答えつつも、高く女神像を掲げているリナ。
別に高く掲げなくても問題ないんだけどねぇ。
レゾは視界で物事を見ているわけじゃないんだし♡
『それでは。またあとで……』
リナの言葉に満足し、とりあえず立体として映し出していたレゾの姿が掻き消える。
レゾの姿が消えると同時に浮かび上がる天井にと続く螺旋状の階段。
そこそこの高さがあるがゆえに、普通の人間の視界では天井付近までは見渡せないけど。
「こ……これを昇るんですかぁ!?」
延々と続くようにみえている階段をみて、アメリアが叫びつつ目を点にする。
「まったく。こんなのちんたら登ってらんないわよ……」
ため息とともにつぶやきつつ、ぶつぶつと呪文を唱え始めているリナ。
というか、わざわざ混沌の言葉を紡ぎださずとも、力ある言葉だけで発動させないと♡
「まあ。かなり高い塔ですわね」
天井のほうを見上げつつ、どこかずれたことを言っているシルフィール。
「まあ、この搭は千年前から存在しているらしいからな。」
そんなシルフィールに淡々といっているゼルに。
「それでは。降魔戦争のときからですの?」
などと聞いているシルフィール。
「正確にいえばこれつくったのって……」
にこやかに言いかけるユニットの言葉をさえぎり、
「お…おい。リナ?それって……」
ガウリイが、リナが何をしようとしているのかを察して止めようとしていたりするけどすでに遅し。
「風魔咆裂弾!!!」
足元の床にと向かって念じて強化した風の呪文をそのまま解き放つリナ。
行き場のない風はどうなるか。
当然のことながら、開いている場所に移動してゆく。
つまりは。
『うきゃぁぁぁぁぁ!!!!!!?』
「む……むちゃするなぁぁぁ!!」
「おやおや……」
ブワッ!!
そのまま風にと乗って上空にと押し上げられてゆく他のみんなの姿が。
あたしとユニット、そしてゼロスは当然その風には乗ってないけど。
風は、一階から最上階まで一気に吹き抜けてゆき。
リナ達全員、同時に巻き込んで押し上げてゆく。
「お…おい!落ちたらどうするんだ!?」
リナに抗議しつつも言っているゾロムに。
「だぁいじょうぶよ。もし落ちて死んでもお墓くらいは作ってあげるから」
あっさりといっているリナ。
「……むちゃくちゃやなつだな……」
半ばあきれているゼルガディス。
「どちらのリナもリナだな……ふぅ……」
半ばあきらめつつも、あたしとリナを見渡してそんなことをいっているゼル。
「ほ、ほら。そんなことより。最上階についたわよ」
「……リナさんにとっては、これがそんなことなんですね…やっぱり……」
「やっぱり。世界が違えども。リナさんはリナさんってところなんでしょうか?」
等と二人して、しみじみ言っているアメリアとシルフィール。
「ま、いいじゃない。もう扉の前についてるんだし♪」
にっこりいうあたしの目の前には、ちょっとした大きさの扉が。
あたしとユニットとゼロスはリナ達の後ろからのんびりと移動してきたんだけど。
それはそれ。
「人間。細かいことはきにしたらだめよ♡」
さらっと的確なことを言っているユニット。
「……言っても無駄だろうしな。とりあえず、あけるぞ?」
ため息とともに、意をけっし、ゼルが扉に手をかけてゆく。
ギィィィィ……
きしんだ音をたてて扉が開く。
扉の先には、部屋全体にと広がっている長い机と、
そしてその机の両脇にと並んでいる蝋燭の数々が。
そして、その机の先には。
『レゾっ!』
あたし、ユニット、ゼロス以外の全員の叫びが一致する。
「よくいらっしゃいました」
あたし達に向かっていいつつも、にこにことして席に座っているレゾ。
「赤法師レゾ!魔王復活など馬鹿な真似はやめて正義の心に目覚めてくださいっ!」
そんなレゾに有無を言わさずにアメリアがいつものように説得を試みていたりする。
そんなアメリアの言葉に、
「おや。よくわかりましたねぇ。この私が魔王シャブラニグドゥを復活させて目を治そうとしているのが」
しれっと、悪びれもなくいっているレゾ。
というか、復活イコール、自分がSに身体をのっとられる。
っていまだに気づいてないのよねぇ。
この人間ってば。
「な゛!?貴様!本気なのか!?」
今まで半信半疑だったゼルガディスが、レゾに向かって言い放つ。
「まさとはおもったけど。でも本気だと分かった以上、もったいないけどこれはあたしが今ここで壊させてもらうわ!」
いって、像を持つ別の手にと魔力の球を作り出しているリナ。
そんなリナの声をききながら、
「ふっ。あなたに出来ますかね?」
完全に勝利を確信しつつ、そのまま手にしていた杖を手にし。
シャラァン……
軽く一振りしつつ、
「硬き岩より生まれし……」
とある言葉を紡ぎだすレゾ。
これはどちらのゼルにも共通しているとある術。
彼らが合成されたときに『レゾ』が組み入れているとある術。
『ぐ……ぐわぁぁぁぁ!!!?』
レゾの言葉とともに、顔を押さえてもがきだすゼルガディスとゼル。
「ダブルゼルガディスさん!?」
そんなゼルたちを驚き見つついっているアメリア。
そんな二人の変化にはお構いなしに、
シャラァン…
さらに手にした杖の飾りを鳴り響かせるレゾ。
そして、ついっと杖を前にと突き出して。
「さあ踊れ!私の操り人形よ!」
などといっていたりする。
そんなレゾの言葉と同時に。
『ぐ……ぐわぁ!』
面白いまでにあっさりと操られ、二人同時にリナのほうにと飛び掛って行く二人のゼルガディスたち。
だがしかし。
「リナ!!」
彼らがリナに飛び掛る寸前にリナを抱きかかえて避難させているガウリイ。
そしてすばやく二人にたいして一撃を加えていたりするのがガウリイらしいけど♡
だがしかし、操られているがゆえに感覚とかも麻痺している。
ゆえにそのまま起き上がり、再び間合いをとっている彼らたち。
「え・え!?ゼルガディスさん!?」
「ゼルガディス殿!?」
アメリアがゼルを心配し、ロディマスはゼルガディスを心配して声をだす。
「おやおや。どうやらあのレゾさんに、お二人とも操られているようですねぇ♡」
にこやかに、そんな彼らをみつつ言っているゼロス。
「ゼロスさん!笑ってないで何とかしてください!」
そんなゼロスに言っているアメリア。
「だ……だぁあ!おろせぃぃぃ!!//」
一方では、ガウリイに抱きかかえられてじたばたもがいているリナの姿もあったりする。
「だって、危ないし」
いいつつ、リナをそのまま抱きかかえて保護しているガウリイの姿も。
そんな光景をしばし呆然とみつつも、はたと我にともどり、
「それよりっ!」
シルフィールが床に落ちた女神像を拾おうとする。
が。
リナの手から落ちて床にころがっていた女神像は、ほのかに光つつ、
そのままレゾの魔力に導かれ、レゾの手の中にと移動してゆく。
女神像を手にし、
「あとは頼みましたよ」
そう、二人のゼルガディスに言い放ち奥の扉へと消えてゆくレゾ。
ふふ。
やはり、世界が違うといえども、同じ魔力パターンであることには違いなかったですね。
彼らとて二人のゼルガディスを相手にしていれば、十分に儀式の時間稼ぎもできるでしょう。
そんなことを思いつつも移動していっているレゾだけど。
それって自滅…っていうんだけどね♡
「い…いかんっ!」
「ああ!?ガウリイ!いいからおろしてっ!レゾを追いかけるわよ!」
ガウリイに抱きかかえられたまま、レゾが入っていった扉を指差しているリナ。
そしてまた。
「ああ。何てことでしょう。ゼルガディスさんが敵に操られるなんて。
愛するもの同士戦わねばならない。なんてロマンティック♡」
「……あ…あのなぁ……」
ゼルが自分に向かって襲い掛かってきていたりするので、干渉に浸って言っているアメリア。
そんなアメリアを唖然とみているロディマスに、あきれてつぶやいているゾルフ。
「ゼルガディスさん!このアメリア!正義の炎と愛の力で目を覚まさせて上げます!ラブラブアタァァク!!」
どごめぎゃ!!!!
おもいっきり、ゼルに向かって走っていきそのまま懐に入り込み。
どがっ!
魔力を込めたこぶしでゼルのお腹へと一撃を叩き込んでいるアメリア。
そんなやり取りをみつつも、
「まあ、それじゃ。ちょっとは、お手伝いしますとしますか♡」
ごぅ!
にっこりいって風を起こしているゼロス。
ドガっ!
ゼロスが起こした風にあおられ。
ロディマス、ゾルフ、そしてゼルガディス達が壁に叩きつけられ、壁が半分壊滅していてゆくが。
そこをすかさずに。
「目をさましてくださぃっ!」
パンパンパンパンパン!!!
おもいっきり鋼のはりせんで、ゼルガディスの顔を叩いているシルフィール。
シルフィールもけっこうやるわね♡
ふふ♡
「う……ううん……」
「う…」
彼らが目を覚ましたとき、
ゼルガディスは、なぜか多少顔が腫れており。
ゼルに関しては、ごほごほとお腹を押さえてむせこみつつも立ち上がる。
「い……一体?俺は何を……」
「…俺は一体?」
二人して同じようなことをいいいつつ、首をかしげているけども。
「ああ。簡単なことですよ。
レゾさんにに合成獣にされたときに命令一つで操れるように。
って、そんな細工が二人に施されていただけですよ♡」
「そうそう。まあ、別世界とはいえ基本的には、その術の構成は同じみたいだし。
ゼルもゼルガディス同様に影響うけたのよ」
ユニットとあたしの説明に、しばしゼルガディスとゼルは顔を見合わせる。
そして。
『くそっ!』
がんっ!
二人同時に叫んで床をたたいていたりする。
そのくらい気づいて自力で術を解除しとかないとね。
二人とも♪
「いい加減におろしてよ……」
ガウリイに未だに抱きかかえられたまま、顔を真っ赤にしてガウリイにといっているリナ。
そんなリナの言葉をうけ、
「おお。すまん、すまん」
いって、リナを床にと下ろしているガウリイ。
だがしかし、ガウリイの心情はといえば、
うーん……
本当はもっと抱きかかえていたいけどなぁ……
などと思っていたりする。
レゾを追いかけている階段の途中でそんなやり取りをしているこの二人。
「ま…まあ。一応、お礼はいっとくわ!一応よっ!」
あのままだったら間違いなく。
ゼルガディスの剣が自分にと当たっていたがために、一応、照れつつもお礼を言っているリナ。
リナも恥ずかしさの余り、どこか少し視点がずれているようだけど。
そんなリナににっこりと微笑み、
「そりゃ、お前に何かあったらいけないからな」
リナと共に並んで走りつつも言っているガウリイ。
「…な゛!?子ども扱いすなぁぁ!!」
レゾを追いかけ階段を走りあがりつつも、ガウリイに対してのリナの叫びが響き渡る。
「……子供扱いじゃないんだが……」
小さくぶつぶつつぶやくガウリイの言葉はリナの耳に届くことなく、
当のリナはというと顔を真っ赤にして怒りつつ、さらにスピードを速めて階段を上ってゆく。
「……まったく。そりゃ、あいつからみたら。あたしはど~せ子供ですよっ!」
階段を駆け上がりつつ、かなり憤慨しているリナだけど。
「……て。……あれ?何であたし、こんなことでいらだってるのよぉ!」
ふと。
ガウリイに子ども扱いされて、いらいらしている自分に気付き絶叫を上げていたりする。
リナも案外流されやすいしね。
というかそういうことに対してリナって免疫ないし♡
他人のこととかには鋭いんだけどねぇ。
ふふ♡
そんな互いの思惑とはまったく異なり。
やがて。
カンカンカン……
「リナ!」
「小さいほうのリナさん!」
階段を駆け上がる足音とともに、アメリアやシルフィールたちも追いついてくる。
そんなやり取りをすることしばし。
やがて彼らは開けた場所にとたどり着く。
階段をしばらく上った場所にあるちょっとした部屋。
部屋全体に広がっている魔法陣。
「……な?!何てばかでっかい魔法陣なんだ……」
部屋に描かれている魔法陣をみてゾルフが何やらつぶやいてるけど。
そんなに大きくないけどねぇ。
彼らの視界の先には、部屋全体に広がっている魔法陣。
そしてその中央にはレゾの姿。
パッキィン……
レゾの手の中の女神像が砕け散り、その中から賢者の石が現れる。
といっても、かなり質の悪いものなんだけど。
どうみてもただの石。
もしくは木炭。
その程度の質の悪い品だし。
「ふ…ふはは!!おおっ!これぞ賢者の石!」
見えない瞳でもわかる。
魔力の波動で。
そして心の目で視えるがゆえに。
高らかにいいつつ、そのまま自らの魔力で賢者の石を上空にとうかべ。
そのまま自らの魔力を高めつつ、魔法陣へと転換してゆくレゾ。
賢者の石に呼応し、青白く光ってゆく魔法陣。
そんな彼が準備を整えているそんな直後。
部屋にとやってきたあたし達。
「さぁ!今こそ復活のときだ!魔王シャブラニグドゥ!」
高らかにこちらを気にすることなく叫ぶレゾ。
「くっ!しまった!遅かったか!?」
そんなレゾの言葉に叫んでいるゼル。
と。
パッキィィイン・・・・
「な゛゛!?」
賢者の石が砕け散り、驚愕の声をあげているレゾの姿が。
まあ、あれは質がわるくそれゆえに耐久力がなかったからねぇ……
本気でどうでもいい屑だったし……
「……失敗…したのか?」
石が消滅したのを見てとり、つぶやくようにいうゾルフに対し。
「……いや。違うわっ!」
リナの目がそれにと気づき真剣なものになる。
「い…いけない!巨大な闇がっ!」
「し…瘴気が濃くなってます!レゾを中心にっ!」
シルフィールとアメリアが同時に気づいて叫んでいるけど。
別に驚くこともないのにね。
特にアメリアとかはなれてるでしょうに。
ふふ♡
バチバチバチ……
魔法陣より湧き上がるようにして、レゾに向かいゆく黒い瘴気の渦。
「…そ~いえば。北の魔王様の封印をといた儀式を行ったのも。僕達の世界のここでしたねぇ」
しみじみいっているゼロスに。
リナを庇うようにたっているガウリイ。
あたし達の目の前では、やがて瘴気の渦がレゾに吸い込まれるようにと掻き消え。
そして。
「ふ…ふはははは!!!!」
ゆっくりと目を開けて哄笑しつつ叫んでいるレゾの姿が。
その目は真紅一色。
つまりは赤眼。
「な゛!まさか!?」
「あれは……赤眼!?」
そんなレゾをみて、驚愕の声を上げているリナとゼルガディス。
「ふはは!見える……見える。見えるぞぉ!目が開いたっ!ふははっ!」
などと叫びつつ、一人喜びに浸っているレゾだけど。
気づいてないし…肝心なことに。
それとともに、更なる瘴気の渦がレゾの身体よりはっせられる。
『ふふふふ……』
そして、そんなレゾとは異なる声が同じくレゾの口より発せられていたりする。
あ、でてきたし♡
「……な゛!?誰だ!?」
レゾがようやくその異変に気付いて叫んでるけど。
遅いってば♡
『我は汝が復活を望みしもの……』
「ば…馬鹿なぁ!ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
レゾの口から異なる声が発せられ、それと同時。
レゾの叫びとともに瘴気の渦がレゾを中心にして更に高まってゆく。
そのままレゾの肉体を我が物としつつも、だがしかし。
わざわざレゾの魂の干渉を防ぐというか断ち切るべく、その形態すら変えているけど。
…情けないっ!!
「す…すごい闇が……」
「こ…これが……」
魔王復活のその場に居合わせたことがない。アメリアとシルフィールは、
それをみてなぜか顔色が悪くなっていたりするけど。
「別に、そんなに怖がらなくても。たかがSじゃないのよ」
あたしの言葉に。
『そ~いう問題じゃありません!リナさんは怖くないんですか!?』
きっちりと声をハモらせて言ってくるアメリアとシルフィール。
アメリアはあっちでSと一緒に旅をしていたというのにね♡
「まっさか。どうして怖がる必要があるのよ♡それにアメリアもSと一緒に旅してたじゃない♡」
「それはそれですっ!」
きっぱり言い切るアメリアに。
『・・・・・・・』
どうしてこんな場面なのにこうまで落ち着いていられるん(でしょうか)(だ)……
などと思っているシルフィールやそしてこちらの世界のリナやゼルガディスたち。
そしてまた、
ま…まあ、リナさんは以前のダークスターのときも落ち着きまくってましたけど……
それに、あちらの世界では魔王とかいうあのSさんとも旅しましたし…
などと、そんなことを思っているアメリアだけど。
……リナさんの正体って…一体……
やはり…金色の王と何らかの関りが?
等とそんなことを思っているシルフィール。
思っていることは違うけども、なぜか二人ともあたしの言葉にしばし無言になってゆく。
「くっ!遅かったか!赤眼の魔王……シャブラニグドゥっ!」
叫ぶゼルガディスの額から一筋の汗が流れ落ちる。
ま、ゼルやアメリアはSに対しては面識あるから慣れてるし…ね♡
ズン……
そんなやり取りをしている中、この場にちょっとした衝撃派がおしよせる。
そして。
目の前のレゾであった物体は、似ても似てつかない物体へと変化をとげていたりする。
でも、これ……
よくみたら海老に似ているわねぇ……
今度、海老鍋にでもしてみますか♡
「……選ばせてやろう。好きな道を。この我を復活させてくれたささやかな礼として。
このまま、大人しく我に従うなら、天寿をまっとうすることもできよう。
それが嫌なら我が今ここで相手をしてやろう。
この世界に封じられし七つのわが身を解き放ち、世界を混沌に戻すその始めのトレーニングとしてな」
低い声で、生意気にもそんなことを言っているSこと、レゾ=シャブラニグドゥ。
「ふん。好きかってなことをいってくれるじゃないのよ!」
そんなSに対してリナが言い返しているけども。
そしてまた、そんなリナの横から、
「驕るな!貴様が時間の流れに封印されている間。人間も進歩している!
伝説の魔王など、このゾルフが倒してくれるわ!」
等と言い放ち、すっと一歩前にと出ているゾルフ。
というか、理解してないし♡
「だ…だぁ!こいつ、この状況を別の意味で理解してないぃ!」
そんなゾルフの言葉に、おもわずリナが頭を抱えるが。
「黄昏よりも暗きもの 血の流れよりも紅きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において……」
まったく理解していながゆえに、面白い呪文を唱え始めているゾルフ。
このあたりはあちらもこちらも同じだからねぇ。
楽しいことに♡
「お…おい!馬鹿っ!ゾルフ!その呪文は!」
「だ…駄目です!ゾルフさん!」
ゼルとシルフィールがそのことに気づいてそんなゾルフを止めようと声をかけているけど。
理解していない人間に、そんな声をかけても無駄だってば♡
「…何を考えてるんですか?あの人間は?」
そんなゾルフに対してあきれているゼロスに。
「ふふ…」
完全に馬鹿にして笑っているS。
そんな中、ゾルフが唱えていた術が完成し、
「竜破斬!」
何を考えているのかSの力を借りた術をS当人に向かって解き放つ。
ほんと、わかっていない人間って楽しいわよね♡
『あちゃ~……』
『あら~……』
その場にいた全員が同じような声をだしつつ、しばし頭痛に襲われ額をおさえていたりする。
ゾルフの放った呪文はSにと直撃するものの。
「ふははは!やったぞ!」
直撃したのをみてとり、完全に勘違いして何やら言っているるゾルフ。
「こ…この馬鹿っ!何、魔王の呪文で魔王を攻撃しているっ!」
そんなゾルフに思わず怒鳴っているゼル。
「い…いかん!まだだ!逃げるぞ!ゾルフ!」
Sの手がゾルフに向いているのに気付き。
未だに意味が分かってないゾルフの手を引っ張り、その場から逃がそうとしているロディマス。
黙々と立ち込めている煙の中から、そのまま何ごともなかったかのようなSが現れつつ、
「ふ…ふはは!馬鹿め!」
などといいつつ、ゾルフに向かって手を伸ばす。
それと共にその手から炎の塊が出現し、二人にむかって解き放たれる。
わざわざ動かなくてもどうとでもできるでしょうに……まったく……
「!!!!ロディマス!ゾルフ!」
ゾルフの手をひっぱり走ってゆくロディマスの背後から炎が差し迫る。
と。
パッキィィン……
その呪文は澄んだ音をたて、あっさりと無効化されていたりする。
あら♡
「…うん?……何やつだ?」
術が無効化されたのに気づき、ようやくこちらにと気づきいいつつもあたし達のほうを見てくるS。
そして。
「…??どうしておまえがここにいる?獣神官ゼロスよ?」
ゼロスに気付いて問いかけているSだったりするけども。
「いやぁ。そうは言われましても。僕、ここの獣神官ではないですから♡
実は、平行世界からこっちに迷い込んで来ているんですよ。
というわけで。僕はこちらの世界の出来事には干渉はしませんので♡…多分」
そんなSの問いかけに、にこやかに答えているゼロス。
最後の言葉はぽつり、とつぶやくようにいっていたりするけども。
そして、そんなSと話しているゼロスをみて、なぜか怯えの色をにじませているロディマスとゾルフ。
別にどうってことないでしょうに♡
とりあえず、
「あ、ありがとうな……」
「あ…ありがとうございます……」
自分達が目の前の少女にと助けられたのに気付きひとまず御礼をいっている二人だけど。
Sの放った力の波動で、風が吹き荒れているがために、
そのポニーテールの髪が風になびいていたりするユニットの姿が。
「気にしないで。目の前で死なれたら寝覚めが悪いだけだから♡」
そんな二人にと、にこやかにあっさりといっているユニット。
そんなユニットの声と言葉をきき、何やらばし顔をしかめているS。
……何か聞いたことのあるような声…のような気が……
まあ、あのおかたがここにいるはずもないし……気のせいだろう。
そんなことを思いつつ、あっさりとその可能性を却下しているけども。
というか…未だにこの『あたし』にも気づいてないみたいねぇ。
…あとでじぃぃぃぃぃぃぃぃくりとお仕置き決定ね、これは♡
しばし、ユニットが攻撃を無効とさせたのに驚きつつも、はっと我にと戻り。
「ちょっとっ!いきなり攻撃したそのゾルフの馬鹿はともかくとして!
何でそのロディマスとかいうやつまで攻撃するのよ!魔王!」
Sに対してそんなことを叫んでいたりするリナ。
「ふっ。この我の力を借りた呪文で我を倒そうとした愚か者を助けようとした人間など。
別に巻き込まれても問題あるまい?」
そんなリナにとさらっといっているS。
まあ確かにそれはそうなんだけど。
一方では、自分が何をしたのか未だに理解しておらず、きょとんとしているゾルフの姿があったりする。
そんなゾルフに対し、
ぼかっ!
おもいっきりその頭を殴っているゼルガディス。
「な!?何をするんですか!?」
そんなゼルガディスに対して抗議の声を上げているゾルフだけど。
「こ…この馬鹿っ!魔王の力を借りた呪文で当の魔王を攻撃する馬鹿がどこの世界にいるっ!」
かなり興奮しつつ、憤慨して本気で怒りをあらわに叫んでいるゼルガディス。
もし……この女の子が彼らを助けなかったら今頃…この二人は……
ぞくりとその結果に思いをめぐらせて身体を震わせているけども。
「何をいっているんですか!ゼルガディス殿!
私は竜破斬で魔王を倒そうとしただけです!黒魔術最高峰の魔法で!」
今だに理解しおらず、無知丸出しで叫んでいたりするゾルフだし。
仮にも魔道に携わるもの。
仕組みくらいはきちんと把握していないとね♡
「……じゃあ聞くが。黒魔法の力の源となる闇の力の王は誰だ?」
そんなゾルフの言葉にため息をつきつつも、自覚を促すべく問いかけるゼルガディス。
「何を簡単なことを。魔王にきまっているじゃないですか」
そんなゼルガディスの問いに威張って答えているゾルフだけど。
だがしかし、ゼルガディスがそこまでいっても未だに理解していなかったりするし。
ほんと、この人間は……ある意味楽しいわ♡
ゼルガディスやゾルフたちがそんなやり取りをしているそんな中。
「……平行…世界?そういえば。汝は我の知っているゼロスより…力が多少上のようだな?」
律儀に待ちつつも、なぜかゼロスと世間話を始めているS。
「はあ。まあ。以前……ちょっと……」
―――言ったら、全員全体責任♡
ゼロスのみに聞こえるようにと伝えた言葉になぜか真っ青になりつつ、
「そ…それは、秘密です♡」
あわてて言いつくろいながらも、Sの問いかけから逃げていたりするけど。
「まあいい。この遊びが終わったら。しばし話しを聞くとしよう……」
普通自力での移動は不可能のはずであるが……?
この一件が終わったらそのあたりのことは詳しく聞く必要があるな。
そんなことを思いつつ、未だに言い合いを続けているゼルガディスたちにと目をやるS。
そしてまた、目の前にいるSをみて畏怖の感情を抱いているアメリアとシルフィール。
まったく…アメリアにしろ、シルフィールにしろ。
人の姿の北のSにあったことがあるでしょうがっ!
どうしてこんなS程度に畏怖いなければならないのやら。
しばらくそんな会話をしつつも、やがて。
どうやらある程度こちらが落ち着いてきたころを見計らい。
「…この我を復活させてくれた礼。そのほうたちのその命をもって祝ってもらうとするか」
などとあたし達のほうを見ながらいってくる。
というかっ!
全然気づいてないしっ!
この鈍感無能中間管理職っ!
ま…魔王様…エル様相手に何てことを……あああっ…
…ま、いっか♡
どうせ僕達の世界の魔王様ではないですし♡
そんなことを思いつつ、
「……成仏なさってくださいね……」
Sの言葉にぽそりとつぶやき、
なぜか祈るような格好をしながら手を合わせているゼロスの姿が見受けられていたりするけど。
「?」
そんなゼロスの言葉と行動の意味がさっぱり理解できずに首をかしげているS。
ゼロスは完全に人事として今回は楽しむようだけど。
まあ、たしかに。
気づかないほうが悪いんだしね♡
「さあ。それはどうかしらね?でもこんな狭い場所でやろうだなんて。魔王のくせにせこいわねぇ」
Sの言葉をうけて内心動揺しながらも、気丈に振る舞い。
ね~ちゃんのお仕置きにくらべたらこんな魔王なんてっ!
などと思いつつも、別の意味で汗を流しつつSに対して言い放っているリナ。
「ふ。いいだろう。死に場所は選ばせてやろう……」
そんなリナの挑発をうけ、口元にと笑みを浮かべ、
ルォォォォ……
Sが咆えると同時、辺りの空間が歪んでゆく。
そんな光景をみつつも。
「それはそうと。何か食べたくなってきたし♡」
「それもそうね。じゃ、とりあえず。ちょっと細工して町にでも移動しますか♡」
ユニットがそう言ってくるので、今Sが放った空間干渉にちょっと手を加え、
全員Sが用意した場所以外の場所に移動してゆくようにする。
「……な゛!?」
自分が移動させようとした場所には移動せずに空間内部に歪みが発生し、
そのまま別の場所に移動してゆくあたし達を認めつつ、驚きながらも。
だが、それはただの偶然。
の一言ですませ、
「……まあいい。今は逃げろ……」
などといいつつも、とりあえずこの器になれるのが先決だな…
などと思いつつも、ゆらり、と姿を掻き消すS。
だ・か・らっ!
まがりなりにも仮にも魔王の役職についている存在ともあろうものがっ!
そんな些細なことに時間をかけてどうするのよっ!!
『うぎゃ!』
どすん。
町の真横にあるちょっとした街道のど真ん中にと、リナ達が地面に落ちるようにと着地する。
ざわっ!
なぜか。
いきなり出現したあたし達に。
周りの人々がざわめきだってゆく……
-続くー
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あとがき:
薫:・・・・あまりに寒いのでアンカコタツを布団に入れたら・・・・。
布団から出られなくなり。さらに拍車がかかり、寝坊している私です・・・・・・。
あぅあぅあぅ・・・。
あと・・・・。なぜかネットが繋がらない・・・・なぜ!?(汗)
・・・・何回接続しても・・・・(汗)
うーん・・・謎だ・・・(滝汗)
朝までは繋がってたのに・・・・。
あうあうあう・・・・(滝汗)
なぞです(涙)
なんでコンピュータが応答しないの!?(絶叫!)
しくしくしく・・・・。
・・・・十二時過ぎて・・・ようやく接続・・・(涙)
な・・・何だったんだ?(汗)
ま・・・とりあえず。次回。決戦v
何で、移動させたかというとv
やっぱ、あのお約束は入れたいしv(かなりまて!)
町を襲うトロル達v
それではvv
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