エル様漫遊記  ~竜たちの峰ドラゴンズ・ビーク編~


「……あ、いや、それで?いったい何のようだ?獣神官よ?」
どうもアメリア達の会話に多少あんぐりしつつ呆然としていたようだけど。
声をなぜか多少どもらせたまま、ミルガズィアが声を出したのはしばらくしてから。
「あ、あの実はですね。ここにある異界黙示録クレアバイブルに用がありまして♡」
にこやかにそういうゼロスのその言葉に。
「……魔族のおぬしが…か?」
いぶかしげに問い返す。
「いえいえ。僕でなくてこちらの人間にあれを少々使わせていただきたいんです。」
……本当ならばリナ=インバースという人間に……というのが、計画だったんですけどねぇ。
でもまさか……そのリナ=インバースという人間が、あの御方だったなんてぇぇ!
……以前というか昔……フルネームの確認を取っておくべきでした……
僕としたことが……あう……
などと心でそんなことを後から追加してぼやいているゼロスだけど。
そんなことをしてたら後々が面白くないじゃない♡
そんなゼロスの言葉に眉をしかめ。
「人間に?」
そういいつつ、じっとゼルやあたしたちの方をみてくるミルガズィア。
「――何をたくらんでおる?獣神官よ?」
「さあ?僕にはぜんぜん……」
というか、本気で……エル様のお考えなんて…僕ごときにはわかりませんし……
その言葉の後に内心、つけたししているゼロスだし。
「……断れば……どうする?」
警戒しつつそういうその言葉に。
「話し合い以外の手を考えます♡」
にこやかに涼しい顔で言い切るゼロスをしばしまじまじと見つめるミルガズィア。
「あ~、はいはい♡ゼロス、二人だけで話しを進めないの♡
  さってと♡それはそうと久しぶりよね♡
  水竜王ラグラディアのところの最長老ミルガズィア♡元気そうね♡」
にっこり笑って一歩前にでて話しかける。
「……お前は?」
そんなあたしに警戒しつつ問いかけてくるミルガズィア。
「あら?リナよ?リナ=インバース。まさかもう忘れたわけではないでしょうに?
  たかだか五歳前後のあたしにことごとくここの竜達負けたものねぇ。
  ちょっかい出してこなければいいものを♡」
ここでの時間率でいうと約十年ほど前。
オリハルコンを発掘して遊ぼうとしたあたしの行動を妨げてきたので、
それなりのお仕置きしておいたんだけど。
「……!!!」
あのときの……幼女か!?
その一言で思い出してなぜか顔色を一瞬悪くしているミルガズィア。
「?リナさん?この黄金竜?知っているんですか?」
そういってあたしに聞いてくるアメリア。
「まあね。あたし小さいころここにオリハルコンをよくとりに来てたのよ♡で、そのときに知り合ったの♡」
嘘ではないし♡
「オリハルコン…って!?ここ、取れる場所があるんですか!?
  それってかなりすごいことじゃないですか!」
などと目をきらきらとさせているアメリアに。
……とゆ~か…リナのやつ…どうやって幼女のとき黄金竜に勝てたんだ?
違うところに突っ込みをいれつつ、なぜか冷や汗かいているゼル。
「あるわよ?何ならあとでとりに行く?」
「ええ!是非にお願いします!」
あたしの言葉にすぐさまに返事をしてくるアメリア。
「……ゼロスよ?なぜこの人間と共にいる?千年前の降魔戦争の時。
  われわれの竜の一族をたった一人で、絶滅寸前にまで追い込んだお前が……」
あのどう考えても人間とは思えない、あのときの幼女とこいつがどうして一緒にいるのか?
などと思っているミルガズィア。
『な゛……!?』
そんなミルガズィアの言葉にゼルとアメリアの声が重なる。
「そうはいわれましても、まあ詳しいことは秘密です♡ミルガズィアさん♡」
にこやかに微笑みつつも。
そんなの……絶対にいえるわけがないじゃないですかぁぁぁあ!
などと言葉でいいつつも、内心はそんなことを思い、
いつものポーズで口に手をあてて指を左右に振っているゼロス。
……ちょっとまちなさいよね?
何そんなことを本心では思っているのかしらねぇ?
ゼロスちゃぁん♡
そんなゼロスの言葉をうけ。
……ふう。
やがて深いため息とともに。
「…わかった。われらでは到底お前を止めることなどできはしない。…ましてやそこの人間は…
  まだ幼女だというのに我らを一人で、ほとんど危篤状態にまで陥らせた人物だ……」
かつての実力がああならば、今はいったいどうなのか……
などと思っているミルガズィアだけど。
「あら?あの程度で死にかけるほうが悪いのよ?根性であれくらい防がないと♡」
「・・・・・・・」
にっこりというあたしの言葉に、なぜか無言となりはて。
……いったい……前もおもったが……・この人間は一体全体『何』なのだ?
と思いつつ、あたしを見定めるように見てくるミルガズィアだけど。
「……わかった……好きにするがいい。」
ため息とともにその言葉を搾り出す。
「それでは、お言葉に甘えさせていただきます♡」
にこやかにいうゼロスの言葉に。
「……ただし。この私もそれを見届けさせてもらうぞ。」
そういうなり空に向かって軽く咆えるミルガズィア。
それト同時にその竜の体が揺らめいて、
黄金色の霞と化したその体は、しばらくすると小さく収縮して一つの人形をとる。
人の形はゆったりとした青い服に身を包んだ薄い金髪をしている一人の男性。
「……どうでもいいけどわざわざ術を唱えずに、姿くらい変えなさいよね……」
あたしのその言葉に首をかしげつつも。
「……案内しよう。ついてくるがいい。……といってもそこのリナ殿は道を知っているがな……」
そういいつつあたしたちにと向かっていってくるミルガズィア。


岩肌のむき出しになった山道を歩くあたしとガウリイ、アメリアとゼルガディス。
おまけでゼロスにフィブリゾにそしてミルガズィア。
そんなこんなで、のんびりと歩いてゆくあたしたち。
そんな中。
「なあ?ゼロス?」
前を歩いているゼロスに問いかけているガウリイ。
ちなみにガウリイは、フィブリゾが魔族だということにも気づいているけど。
別に聞かれていないのでアメリア達には話してなかったり。
気楽な口調で問いかけるガウリイのその言葉に。
「何です?」
歩きつつ返事を返しているゼロス。
「おまえって……むちゃくちゃにじじいだったんだな。」
ごけけけけっ!
みごとにその言葉に転んでいるアメリア、ゼルガディス、ゼロス、フィブリゾの四人。
ちなみにミルガズィアの服は少しばかりずり落ちかけていたりする。
こけてはないけど。
今の全員の反応…面白かったわね♡
「……な、何をいきなり?」
錫杖をつかい身を起こしつつ、そんなガウリイに問いかけているゼロス。
「いやぁ、そっちの竜がいった降魔戦争って、どっかで聞いたことがあるような気がしたんだが。
  で、ずっと思い出そうとしていたんだが、あれって確かとことん大昔のことだろ?」
ぽりぼりと頭をかきつつ言う、そんなガウリイのその言葉に。
「……まあ、正確に言えば今から千と十二年前ですけど……」
ガウリイの質問に丁寧に答えているゼロス。
「だろ?ってことはゼロスは少なくとも1012歳以上ってことだよな?
  どうみたって千歳以上には見えないからなぁ。いいとこ二十代だ。
  そうはみえないから歳なんか気にすることないさ。」
そんなのんきなことをいっているガウリイ。
「……魔族の見た目が年齢に比例するわけがないだろうが……」
そんなガウリイの言葉にこめかみを押さえつついっているゼル。
「まあ、確かに。老化現象なんて生物とか有機物に限ったことだしね。無機物にも限界はあるけど。」
とりあえずそんなゼルに補足をしておくあたし。
「は……はぁ……ありがとうございます……」
どうやらどう対応していいのかわからないらしく、ぼけた返事を返しているゼロス。
まあ、ガウリイのこれ…本気でいってるからねぇ。
面白いからいいけど♡
ゼロスの肩をばんばんたたきつつ笑っているガウリイをみて。
……が…ガウリイさんの精神攻撃・・・かなり堪えるものがありますね……
などと思っているゼロスに。
……お母様が旅の同行……許しているわけだよね……
などと思いつつガウリイをみているフィブリゾ。
「でもガウリイさん。…そういえばゼロスさんが魔族だって知っても、あまり驚きませんでしたよね?」
ふと、いまさらながらに思い出したように言うアメリアに。
「え?そんなこと見ただけで魔族だってわかるだろ?普通?
  オレ初めて会ったときからゼロスが魔族だって知ってたぞ?」
さらっといいきるガウリイのその言葉に。
『えええええええええええええええええ!?』
『何ぃぃぃぃぃぃぃぃ!?』
あ、面白い♡
アメリアとゼロスの声が重なって、ついでにゼルガディスとフィブリゾの声が重なってるし。
ちなみにガウリイの今の言葉に口をあんぐりとあけているミルガズィア。
「そうはいうけど、この……」
そういいつつフィブリゾを見るガウリイ。
その視線に気づいて。
「それよりまだつかないの?早くいこうよ?」
無力で無邪気な子供のふりをして話題を変えようとしているフィブリゾ。
「それもそ~ね。いきましょ。ガウリイのその野生の勘は今にはじまったことじゃないんだし♡」
にっこりというあたしのその言葉に。
「……おそるべき野生の勘だな……」
などとつぶやいているゼルガディス。
こ…こほん。
目を点にしばらくしていたがやがて咳払いを一つして。
「と……ときにリナ殿は、あのゼロスが魔族だと……知っていたのですか?」
あたしに聞いてくるミルガズィア。
う~ん、なぜか以前のことがあるせいかデスマス口調になっているのよね。
どうでもいいけど。
「あら、当然でしょ?まあ少しは使える便利な使いっぱしりとして♡」
きっぱりとさらりと言い切るあたしの言葉に。
なぜかぽんぽんとゼロスの背中をたたいているフィブリゾ。
……そういえばこのゼロス……昔からお母様のお共を命じられてたっけ……
などとなぜか同情しているフィブリゾだし。
どういう意味かしらねぇ?
まったく……
そんなあたしのしごく当然の言葉になぜか汗を一筋流しつつ。
「…あ、あのゼロスが相当強いのも知っているのか?
  そういえば……あのゼロスが貴殿に従っているように見えるのだが……」
「あら?別にあたしがSごとき…
  つまりはシャブラニグドゥの欠片が封印されている人間というわけではないから、
  その心配はないわよ♡ミルガズィア♡
  まあ、ゼロスは簡単にいえば上から命令されて私についてきているたけだから。」
そんなあたしのその言葉に。
「……いや……上からとは……」
なぜか声をかすれさせているミルガズィア。
というか……ゼロスの上といえば……獣王か腹心連中……もしくは魔王……)
などと思っているようだけど。
「まぁあたし。昔から結構カタートにいっては魔族とかしばき倒したりして遊んでたし。
  あ♡料理の材料にちょっと実験してみたこともあったかしら?
  あとどこまで耐久力があるか実験したりとか♡だからこれ以上戦力失いたくないんじゃないの?」
あの程度で戦力を落とす魔族も魔族だと思うけど……
そんなあたしの至極当然な言葉に、額から数筋の冷や汗ながしつつ。
「き……貴殿の実力って……」
言葉を失っているミルガズィア。
「あ。ついたみたいよ?」
そんな会話をしているとやがて目的の場所にとたどり着く。
「あ……ああ、そうらしいな。」
深く聞きたいのは山々なんだが……
……なぜかこう本能が『聞いてはならない。』と告げているのは……どういうわけか?
などと内心、思いをめぐらせているミルガズィア。
半ば呆然とつぶやくようにいい、目的の場所にと着いたのに気づき、その場にて足をとめる。
あたしたちに続いて足を止めるアメリア達。
そこは岩肌が立ち並び少しばかり開けた場所。
「さって。あたしたちはここでのんびりとまってるから♡
  ゼル、アメリアと一緒にいってらっしゃいな♡」
あたしの言葉に従って。
とりあえずゼルとアメリアは異世界黙示録クレアバイブルのある入り口の前にと出る。
右の岩壁にすうっと音もなく体半分をもぐりこませ。
「この奥に異世界黙示録クレアバイブルがある。岩肌に見えるが普通に通り抜けられるはずだ。来るがいい。」
そういって腕を差し伸べてくるミルガズィア。
「じゃ、いってらっしゃい♡アメリア、ゼル♡
  ガウリイはいかないほうがいいでしょうね。まず間違いなく中で迷うし♡」
そういって、二人にぱたぱたと手をふるあたしをみつつ。
「リナさんはいかないんですか?それに迷うって?迷路にでもなっているんですか?この奥?」
素朴な疑問を質問してくるアメリア。
「まあ確かに。迷路みたいだともいえる。しかしその枝道の数は無限に等しかろう。
  私とていって戻ってくる道しか覚えておらぬ。
  魔族や竜族ならまだ帰り道を見出すこともできようが、
  人の身で迷えば中で一生を費やしてすらおそらく帰ることはできんだろう。」
あたしの代わりに答えているミルガズィア。
「ま、そ~いうことよ♡まあ思う存分に聞きたいことを聞いてらっしゃいな♡
  あたしはここでゼロスやガウリイたちと待ってるから♡」
そんなあたしのその言葉に。
「ではお言葉に甘えさせてもらおう。」
「じゃ、いってきますね。」
そういってミルガズィアの元にと歩いてゆくゼルガディスとアメリア。
「――いくぞ。」
手を伸ばし多少不機嫌のこもった声で岩壁にと入り込んでゆくミルガズィア。
それにつづいて消えてゆくアメリアとゼルの姿。
やがて三人の姿は完全にと岩壁にと入り込むようにとその場から消失してゆく。


「……何なんだ?ここは?」
「……何なんですか?ここは?」
ミルガズィアの後ろをあるきつつ進んでいるゼルとアメリア。
二人が回りの景色をみて唖然とした途方にくれた声をだしていたりする。
ここは性質としては簡単にいうと精神世界面に近い場所。
「ここは降魔戦争の折にできた空間だ。
  性質として精神世界…精神世界面アストラル・サイドに近い所。気にせんことだ。」
かるくいうミルガズィアのその言葉に。
「……いや。気にするなって…気にするぞ?これは……」
ものを見るのも聞くのも目や耳ではなく精神的に直接働きかけられる。
まあ一応見た目も関係しているんだけど、見た目にとらわれていたらまず道に迷う。
周りを見つつ、そういうゼルの言葉に、ため息交じりに。
「ここは降魔戦争の折にできた空間。性質としては精神世界に近い。
  ものを見るもの、聞くもの、ほとんど目や耳ではなく精神的だ。
  不安は花園を地獄の風景に買え、そよ風のささやきを亡者の怨嗟と化す。
  敵意があいての命を殺ぎ、絶望が容易に滅びをもたらす。」
淡々と説明するミルガズィアのその言葉に。
「……なるほど…な。」
周りをみつつゼルがつぶやく。
「そんなもんなんですか。」
関心した声をだしつつもしっかりとゼルのマントをつかんで離さないアメリア。
少しばかりおびえていたりするようだけど。
そんな二人をみつつ。
「それよりお主達?異界の知識を手に入れて何を欲する?」
そう問いかけるミルガズィアのその言葉に。
「俺はこの合成獣の体を元に戻す方法を探している。
  魔力を今のままの状態でな。その方法ほ探している。」
淡々と語るゼルガディス。
「それはそうと、ミルガズィアさん?
  さっき言っていたゼロスさんが、竜族を壊滅に追い込んだって……本当ですか?」
だって……ゼロスさん、リナさんにまったく頭…あがらないのに……
などと思いつつ、ふと思い出したように質問しているアメリア。
「ふむ。確かにあのゼロスが強い。というのはわかるが……。
  リナの前ではいいように扱われているからな……」
というか…ゼロスが極端なまでにリナを怒らせないようにしているのが目に見えるんだが……
そんなことをおもいつつ、アメリアの質問に同意を示しているゼル。
「……それが私にもわからん。なぜあのゼロスがあの人間と共にいるのか…が。
  あの人間もかなり強いが……な。」
そういいつつ深くため息ついているミルガズィア。
「?知っているんですか?リナさんの強さ?」
私もあまり完全に見たわけではないですけど、リナさんが強い。というのはわかりますし。
などとおもいつつ質問を投げかけるアメリアのその言葉に。
「……あのものは小さいころによくここに来ていてな。
  むろん追い返そうと…多数の竜達が挑んだが……あっさり負けた。たかが人間の子供に。
  それなら…と。あの人間の住処に出かけていった仲間たちは…
  …全員記憶を失って戻ってきた……」
始めはただの人間の子供。
そう思ってただ追い返せばいい。
と思っていただけ。
だが……しかし、あっさりと負けた。
しかもその子供は手を一つも動かさしてもいないのに、それほどまでに圧倒的な強さで。
それなら…とムキになった仲間たちが…
一瞬のうちに全員が、
ほとんど動けないほどの重症を負ったことは……いまだに鮮明に記憶に残っている。
そんなことを思い出しつつ、またまたため息ついているミルガズィア。
というか。
どうしてちょこっと気を開放しただけであんなになるのかが、あたしとしては不思議よねぇ。
あれくらい根性で防げるのにね♡
「……ど…ドラゴンロード相手に……ですか?」
「……さすがリナ。ドラマタの呼び名は伊達じゃないってことか。」
感心した声をだしているアメリアとゼルだけど。
だ・か・ら。
誰でも可能だってば♡
そんな会話をしていると。
「さて。……ついたぞ?」
そういいつつ一箇所にて足を止めているミルガズィア。
「……で、どこにあるんだ?」
「……?何もありませんね?」
周りを見渡していう二人のその言葉にかるくうなづき。
「ふむ。……人間の目ではみえぬか。ならば感じ取ってみるがよい。」
感じ取るって……目でもつぶればいいの(か)(でしょうか)?
などとおもいつつ、お互いに思ったままにと目をつむるアメリアとゼル。
と。
とうとつに目をつぶったまぶたの裏に浮かび上がる『何か』。
思わず目をぱちくりとさせてそこをみるが、目で見たのではそれは見えていない二人だけど。
そんなこんなで、やがて精神を集中させるにしたがって二人の目にも見えてくる『それ』。
「……このオーブが?」
アメリアがつぶやく。

――宝珠オーブではない。
  この歪み、狂った空間の中心にして、出発点。異界からの知識の奔流をもたらすもの。
  われは水竜王の記憶の欠片、それが…お前たちが異世界黙示録クレアバイブルと呼ぶ存在だ――

二人の脳裏に直接響くその声。
二人の脳裏に直接話しかけていたりする。
「……なるほど、頭に直接語りかけるって代物か……」
「……ならば……」
そうなっとくしつつ質問を開始し始めてゆくアメリアとゼルの二人の姿が見受けられてゆく。


ゼルとアメリアが岩壁にと入ってゆくのを見届けつつ。
「当分留守番かぁ。なあ、リナ?オレちょっとそのあたりを見てくるわ。」
そういいつつ、ガウリイはそのあたりをぶらぶらと歩き出してあたし達から離れてゆく。
「ふふ♡さって、今はまだ知られたくないあの二人が中に入っていったことだし♡
  そろしろ準備をしますかね♡」
くすくす笑いつつ、ゼロスに渡していた水晶を受け取り、そのまま道の上にとかるくおく。
「ふふふ♡これでよしっと♡さってと♡ところで?フィブリゾ♡
  いったいこのあたしを使って、なぁぁぁぁにをたくらんでいたのかしらねぇ?ん♡」
にこやかに微笑みながらそこにいるフィブリゾに向かって話しかける。
と。
なぜかその場にひざまづいて、
「…ううっ!すいません!すいません!ごめんなさい!
  リナ=インバースがお母様だって知らなかったんです!
  だからお母様の力の術を暴走させてこの世界を無に還そうと計画したんです!」
そういって必死に謝ってくるフィブリゾ。
……はぁぁぁぁ。
思わずため息一つ。
「……あのね?そういう問題じゃあないでしょうが?
  確かにあんたたち魔族はすべてを滅ぼして混沌にと還る。
  それを目的として本質的に創り出しているけど。
  それは、まったく逆の性質。
  つまりは生きることを望む者たちとともに、互いに競い合いつつ自らをよりより方向に高めてゆく。
  それがあんたたち魔族と神族に与えている使命でしょ?
  それを……何?人間を使って滅ぼす?何を考えてるの?あんたって子は?
  職務怠慢&このあたしへの反旗、ととってかまわないかしら♡」
「め……滅相もないですぅぅぅぅぅ!
  赤瞳の魔王ルビーアイ)様が人間に滅ぼされたと知って、ふと思いついた作戦だけです!はい!
  何もお母様に反逆しようとかでは!決してありませんっ!!」
なぜか全身から恐怖という負の感情を撒き散らせつつ謝っているフィブリゾ。
「あら?あれは滅ぼしてないわよ?んな楽をさせるわけないじゃない♡
  あいつは精神世界面アストラル・サイドから隔離して、力をほとんど失わせてv
  ついでに鳥の姿にと固定させておいてあれが封じられていた人間。
  つまりはそのレゾと一緒に、今は善行を行っているわよ♪」
まあ、このあたしにちょっかいを出してきたんだし?
その程度で済ませてあげたあたしって何て親切♡
あたしの説明に。
うう……そうだったのか……
などと心の奥底で後悔しているフィブリゾの心が手にとるように視えてくる。
くすっ♡
「とりあえず♡フィブリゾ♡あんたのお仕置きは♡
  表立ってこのあたしの命を狙ってきたガーヴへのお仕置きがすんでからね♡
  って…あら♡どうやら先にあっちらいったみたいだけどね。」
ふふ♡
にこやかに岩壁の方をみるあたしの視線に気づき。
……魔竜王カオスドラゴン様も気の毒に……
などと内心思っているゼロス。

あたしたちがそんな会話をしているころ、一方のゼルガディスとアメリア達はというと。


「……ではこれを聞いておきたい、金色の魔王に関する知識を……」
ゼルとアメリアが同時にそのことを聞いた直後。

― あれは……すべてを理解するには程遠い存在……
   すべての闇の母……まったき虚ろ  混沌の海 たゆたいしもの 
   闇よりも暗きもの 夜よりもなお深きもの すべての混沌を生み出せし存在
   魔族たちの真の王 すなわち……悪夢を統べる王ロードオブナイトメア ―

二人の脳裏に銀河の消滅と再生が瞬時に映像として流れ込む。
その先にある・・・・まあ、あたしの空間への入り口……といっても、ここでのだけど。
その光景が二人の脳裏にと映し出される。
……ま、まさか……金色の王(って)(というのは)……
同時に同じことを思いついているゼルとアメリアの二人。

― そのとおりだ。

二人の脳裏に響く声がそれを肯定する。
まあ、真実といってもそうでもなく、だからといって嘘でもないけど。
アメリア達がたどり着いた答えは……
伝説にある原初の海。
混沌の海こそがあたし……もとい魔金色の王ロードオブナイトメアそのものである。
ということ。
あってるようで少し違うけどね。
そもそも混沌の海そのものがあたしの一部にしか他ならないんだから♪
いってしまえば短なる一部。
そんな一部を無数にあたしはさまざまな次元などを創り出し、創り出しているのもまた事実。
『・・・・・・・・・・・・』
それをききなぜか無言になっている二人。
「うん?どうした?何を聞かされた?」
そして、二人の顔色が悪いのに気づいてミルガズィアが二人に問いかけているが、
二人はほとんど放心状態。
まったく…些細なことを知った程度で何て反応かしら♡
「な……何でそんなものの力を!」
リナは軽々しく使えるんだ!?
そう思わず言いかけたゼルのその言葉を、さえぎるように。
「あぶない!」
ミルガズィアが叫び、飛んできたそれをはじき返す。
「ちっ。なぜ助けた?黄金竜の長老よ?」
そういいつつ空間の奥から出てくる一人の男性。
そしてちらりと、アメリア、ゼルガディス、ミルガズィアを一瞥し。
「うん?何だ?あの娘はいないのか?
  ならばとんだ無駄足だったな。ってことは…外ってことか……」
それだけいってそのままそこから掻き消えてゆく。
「な゛!?」
その姿と声を見咎めてうなっているミルガズィア。
「……・な・・・・何で……ヤツが……」
そういいつつ、なぜかこの程度で硬直していたりするけど。
「今の人……誰ですか?」
今掻き消えた男性は、歳のころならばアメリア達の目には二十歳過ぎにと見えている。
がっちりとした体格を象牙色のコートで身をつつみ。
身が手に握った赤い片刃の長剣で、自分の肩をとんとんとたたいていたその男性。
そんなアメリアの質問に答えるわけでなく、ただただ、つぶやくように。
「……魔竜王カオスドラゴンガーヴ……」
一言、震える声でそうもらしているミルガズィア。
「な゛!?魔竜王カオスドラゴン……ガーヴだと!?」
その言葉に驚愕するゼルに。
「なんですって!?は!?そういえばあの娘とかいってましたよ!?あの人!?
  まさかっ!?リナさんが危ないです!早く戻りましょう!」
ガーヴがいった言葉を思い出しそんなことを言っているアメリア。
別に危なくとも何ともないんだけどね♡
「そうだな。……質問はまた後でもできる!急いで戻るぞ!」
そういうゼルのその言葉に。
「そういうことなら急いで戻ろう。」
そういいつつ、三人はもと来た道を戻ってゆく。


一方のあたしたちの方はといえば。
「……あっちへって……え?」
戸惑いの声を上げるゼロスに。
「あら♡どうやらこっちにくるようよ♡」
その言葉と同時に、虚空から一閃がひらめく。
が。
それは役に立つはずもなくそのまま無と化してゆく。
「…へっ。やっと見つけたぜ……」
そういいつつ、何もない空間から出てくる一人の男性。
さってと。
少しばかりからかって遊びますか♡


                -続くー

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あとがきもどき:
薫:・・・・・・・・三時から打ち込みはじめて・・・今七時・・・。
  ・・・・本気で私・・打ち込み気力・・・どうなってるんでしょ?ねえ?(涙)
  くすん・・・・しくしくしく・・・・・。
  四時間かけてたら・・・普通三本か二本は打ち込み・・・できるぞ?(汗)
  ・・・・・なぜぇ・・・・(涙)あうあうあう・・・・。
  とりあえず。ようやくガーヴ登場ですv・・・・といってもすぐにヤラレキャラ?(笑)
  ちなみに・・・・これは小説を原点にしているそのままですvあしからずv
  ではでは・・・また次回で・・・・・。
2003年7月7日午後7時


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