エル様漫遊記 ~ガイリアの動揺&カタート山脈~
「……なあ?大司教…とと、神官長殿?かつてここにも例の写本があったと聞いたが……」
ゼルの一言にブランデッドの手がぴたりと止まる。
「そ……そなた。あのことを知っておるのか?」
震える声で、ゼルを見つめ。
やがて。
「……知らんほうがいい、知らぬほうが……」
そういいつつどこか遠くをみているブランデッド。
「事実を知らないほうがよかったと何度も後悔しておる。
それゆえに……口伝で伝えたり答えたりすることも……気軽にできなくなった。
…………知らぬほうがいい。」
そんなブランデッドのその言葉に。
「……それって……金色の魔王のことか?」
ゼルの問いかけに。
ぱささささ!!
手にした書類などをすべて落としているブランデッド。
「そ……その御名をど…どこで……」
震える声で問いかけるその言葉に。
「リナから聞いた。」
そういいつつ落ちた書類を拾い上げているゼル。
「そ…そうか。リナ殿から……ならば儂から何もいうことはあるまい。
リナ殿のほうが我らより。よほど【あの存在】について詳しいので…な……」
そういいつつ落ちた書類をかたづけるブランデッド。
その様子に。
……いったい……ここまでおびえさせる金色の王の真実とは??
内心、首をかしげているゼルガディス。
一方。
いまだに水晶の中でわめいている二人。
ふぅ。
軽くため息ひとつ。
「やれやれ、竜神官ラルタークさん?竜将軍ラーシャートさん?
無駄なあがきはしないほうが……力の無駄になりますよ♡」
水晶を手にもちつつにこやかに中の二人に話しかけているゼロス。
ちなみに今ここにはゼロスしかいない。
「――ゼロス?その二人の様子は?」
そんなゼロスしかいないちょっとした小さな部屋にと入ってくる、黒髪の少年が一人。
その部屋にあるのはゼロスとそしてゼロスが手にしている水晶だけ。
ゼロスの周りにはこの城に収められている書物の棚が並んでいるけど。
そんな少年にかるくお辞儀をし。
「いまだに中でわめいておられますよ。
にこやかににっこりと笑みを浮かべて答えているゼロス。
「……な゛!?」
「何ぃぃぃぃぃ!?」
その言葉に封じ込められている二人が同時にわめいていたりする。
……本気で気づいてなかったようね……
……あんたたち……まがりなりにも……将軍職とかについてる魔族でしょ~が……
わめいている二人を一瞥もせずに。
「けど、何だって、あの御方……こんなことをしたんだろ?」
お母さま……何を考えていらっしゃるのかな?
などとおもいつつ腕を組んでいるフィブリゾ。
「あら?知りたい?フィブリゾ♡」
くすりと笑ってその部屋の中にと入る。
『……!!!!!??』
それに気づいてあわててその場にと膝まづいているゼロスとフィブリゾ。
一応、この少年にしか見た目には見えないこいつは、
Sの…シャブラニグドゥの五人の腹心の中では一応一番強いとされている、
この世界の中においてはこれでもなぜか一応高位魔族。
人の死や輪廻転生を視る能力などがあることから、
死を操るもの【ヘルマスター】と呼ばれているのだけど。
ちなみに多少は
些細な程度だけど。
あたしにとっては当たり前のこと意外の何ものでもないけど。
にっこりと微笑みつつ、部屋の中にとはいってゆき。
ちらりと水晶をみて。
「二人をそれの中にいれたのは、ガーヴをおびき出すために決まってるでしょ♡
それはそうと♡フィブリゾ♪
あんた、このあたしを利用して、何かしようとしていたんだってねぇ♡
いったいどういうことかしら?ん♡」
にこやかに笑みを浮かべつつにっこりとそこにいるフィブリゾにと問いかける。
そんなあたしの言葉にだくだくと汗を大量に流しているフィブリゾ。
あ、面白い、なぜかフィブリゾから大量の負の感情が湧き出てるわ♡
必死に床に頭をこすりつけながら。
「ま……まさか!お母様とは知らなかったんですぅぅ!
本当です!ゼロスの報告を受けたゼラスが教えてくれるまで!本当にぃ!」
なにやらわめくようにしかもなきながら声を震わせて謝り倒しているフィブリゾ。
「ま、いいわ♡今はまだほかの連れでもある人間である、アメリア達の目もあることだし?
あんたへのお仕置きはあとできちんと行うから♡その前にやっぱりガーヴへのお仕置きよねぇ♡
何しろこのあたしを殺せと部下に命令していたんだし♡」
ふふふふふ♡
くすくすわらいつつそれだけいって、笑みを浮かべるあたしに、
なぜか完全に凍り付いているゼロスとフィブリゾ。
「リナさぁん!?どこですか!?」
そんなあたしの耳にアメリアの声が聞こえてきたりするけど。
「あ、今いくわ。」
呼ばれたのでとりあえずその部屋から出てゆくことに。
くるりと背を向けて部屋を出てゆくあたしをみつつ。
「……うう。やっぱりエル様……かなり怒られてるよぉ……」
なぜか本気で泣き言を言っているフィブリゾ。
「…い……今の会話の内容……何か聞いてはいけないような、言葉や御名が……」
水晶の中でそんなことをつぶやくラルタークに。
「はあ……まぁ。僕らごときにはもったいないというか、恐れ多い御名ですからねぇ♡」
にこやかにそんなラルタークの言葉に返事を返しているゼロス。
『・・・・・・・・』
なぜかそんなゼロスの言葉に水晶の中で無言になっている二人だけど。
そんなことをしつつ、とりあえず事後処理に追われ。
ゼロスたちはゼロスたちで町の中にいる雑魚の始末などを少しばかり担当させ。
あとの処理は対外この国の者たちにまかせつつ。
何やかんやと大まかのことが終わったのは、三日後のこと。
なぜかあのたったの一瞬で主だった指揮官、将軍、大臣エトセトラ。
そしていなくなったそれらのすべてが全員【魔族】だったことが判明し、
なぜかここディルス王城は大混乱していたりするけど。
そういえばガーヴのヤツ。
ここを拠点にカタートに侵攻するつもりで、けっこう地道な努力をしてたからねぇ♡
「……やれやれ、何とか片付いたな……これからが大変なんじゃろうが……」
疲れた声でそんなことをつぶやいているブランデッド。
「そういや?リナさん?あの二人の魔族?いったい何者なんですか?」
そういえば魔竜王関係とかいってたような?
どうやらあの後のごたごたで記憶混乱起こしているアメリアだし。
ま、別にそれを指摘するまでのことはないし。
「ああ?彼ら?
さらりというあたしのその言葉に。
「……な゛!?そんなに大物なんですか!?」
なぜか目を見開いているブランデッド。
……ガーヴが創り出した。
というまであたしが竜神官とかいっても、意味…わかってなかったみたいだし…あのね……
「……で?何でそんなやつらが国に入り込んでるんだ?」
とゆ~か……だからどうしてリナのやつ……そこまで詳しいんだ?
…いくら赤の竜神の騎士の妹……といっても、限度があるだろうに……
などとおもいつつそんなことをいってくるゼルガディス。
「あら?そんなことは簡単よ♡今ガーヴのやつ、Sにたてついているよねぇ。面白いことに♡
あ、Sっていうのはシャブラニグドゥのやつのことね♡あんなやつはSで十分だから♡」
にこやかにそういいきるあたしの言葉に。
…だから、どうしてリナさんにかかったら……魔王が何か…
…むちゃくちゃに無力のような気がするのは……気のせいでしょうか?
などと心で思っているアメリアに。
……本気でリナのやつ……いったいリナは【誰】なんだ!?
などと思っているゼルガディス。
「……あ……あの?腹心の一人なのにです……か?」
なぜか声を震わせて聞いてくる一人の神官。
「そ、降魔戦争ってここでは呼ばれている1012年前の戦いでね。
水竜王のアクアに中途半端な術かけられて、下手に人間の心が混じってるのよ。
ガーヴのやつは。」
そういってその場にいる人間たちに説明をするあたし。
「……何でそんなことを知っている……リナ……」
低い声であたしに言ってくるゼル。
……普通いくらなんでもそこまで詳しいのは…おかしいんじゃないのか?
などと心の中で思っているようだけど。
「あら?いろいろと情報は入ってくるし?それにこの話は有名よ♡」
「……俺たちは始めて聞いたぞ?」
「あら?そう?」
なぜか冷や汗ながしつつあたしにそういってくるゼル。
「……う…ううん。しかし…魔竜王だの…水竜王だの……挙句は、魔王だの……
話のスケールが違いますな。
いやはや、あのときわれらの伝承が間違っている。と訂正されたときにもそうでしたが。」
そういいつつハンカチで汗をぬぐうブランデッド。
―……かつて、ルナと共にここにきたとき、
こともあろうか、ここに伝わっている写本の内容を聞いたんだけど……
何でこのあたしがっ!
天空より堕とされた魔王!などと伝えているのよっ!この国は!
そのときここに伝わっていたのは、このあたしのことが。
【天空より堕とされた魔王の中の魔王、金色の王】
などという、とんでもない間違い。
何で天空とかすべてものを創り出したあたし、堕とされた存在にならないといけないのやら。
そんなとんでもない間違いだったし。
まあそれを知ってたから、あたしもルナについてきたんだけど。
で、当然のことながらその場にて実際のことを訂正して、
ついでに彼らをちょこっとこの星の外につれていって、世界の仕組みとかを見せたりとかして。
で、ルナ…つまりは、スィーフィードからもあの後によくよく説明がなされたようだけど。
「あ……あのぉ?リナさん?この町での用事を先に済まさないといけないのでは?」
そんな会話をしているとあたしにいってくるゼロス。
そ~いや、こいつもいたわね。
「それもそうね。実はあたしたち、
カタート山脈の中にある、【
ぶっ!!!
そんなあたしのその言葉になぜかミルクを飲んでいたフィブリゾが噴出しているけど。
「ド…どらごんずぴ~く?!」
何やらひくひくと顔を痙攣させつつ言っていたりするし。
「あ、そういえばそうでしたね!すっかり私忘れてました!」
その言葉に今思い出したようにぽんと手を打っているアメリア。
う~ん、話が少しばかりずれたのに気づいてないし。
……ま、いっか♡
さりげにゼロスが話題を変えたのよねぇ。
そのことに気づいてるのガウリイだけだけど。
「ほほう、そうでしたか。いや……それは……」
そんな和やかな会話があたしたちの間で繰り広げられてゆく。
しばらく王宮にて世話になり、
数日後にカタート山脈の中に位置する、
のんびりとしたのどかな旅ではあるものの。
ちなみに余談だけど、ガイリア・シティの魔道士協会にはるか昔、
竜達が一斉に飛び立ったことがあり、まさに空を金と黒との二色に染め上げた。
と人間たちの記録にも残っていたりする。
黄金竜といえば一応、一般にカタート山脈に住む
古代竜エンシェントドラゴンを除いて、
ここでは今のところは、竜族の中では一・二の能力を持っている種族…ではあるけど。
ま、こちらには一応ゼロスがいるから、すんなりと話は進むでしょうけど。
そのときにようやくアメリア達もゼロスの正体、知るでしょうけどね♡
それはそれで関係ないし。
今あたしたちが通っている名もない別名迷いの森と呼ばれているそこを抜ければ。
そこが
といっても当然整った整備された道や獣道なんかもあるわけでもなく。
すでに木々や草木が生い茂り、
道ではなくなっている小さく無数にある獣道のひとつを選んで進んでゆく。
「…ところで?リナ?」
伸びた枝葉と草とを掻き分けて道を進みながらあたしに尋ねてくるゼル。
どうやら前々から聞いてみたかったことを質問する気になったようだけど。
ま、あたしも尋ねられないと答えなかったのもあるからね。
「…何でお前は竜族が【
何もしていないんだ?あんたなら何かに利用しそうな気がするんだが?」
そういって問いかけてくるゼルに。
「う~ん、ま、確かに。
人間とか命あるものが知識を手に入れたら。
それを活用して技術などを生かして利用するでしょうね。
当然それには魔とかは脅威に感じることも少しはあるかもしれないけど。
ま、写本は不完全なのがまあ多いからねぇ。
間違って作ったあのザナッファーみたいなもの写本でできるしね♡」
そういいつつ後ろを歩いているゼルたちを振り向いてにっこりと笑い。
「ま、だから
下っ端魔族とかには脅威になりえる可能性があるからって♡」
まあ嘘ではないけど事実すべてでもない。
「……へえ?」
あたしのそんな言葉に関心の色を示しているアメリア。
「それに、結局。
降魔戦争で眠りについて、情けないことに力を分断させてしまった、
水竜王の知識の一部だからねぇ。
そんなやつがしっていることなんてほんの雀の涙にも満たないし?
あたしにとってはそんなの当然のことながら全部わかってることだし♡」
というより……エル様には……わからないことなどないのがあたり前……
そんなあたしの言葉に、なぜか顔を見合わせて同時にそんなことを思っているゼロスとフィブリゾ。
ちなみに、ゼロスとガウリイが道をつくりつつ。
その後ろにあたし、フィブリゾ、そしてアメリア、ゼルガディス。
といった形で進んでいたりする。
「……知ってるって…リナ……お前いったい……」
……いったいお前……何者なんだ?
そういいかけるゼルの言葉をさえぎり。
「あ!着いたみたいですよ!わ~!すっごぉぉぉぉぃ!」
道が開けて目の前に広がる光景を歓声を上げて喜びの声を上げているアメリア。
そういいつつ広がった開けた場所にと駆け出してゆく。
「お、すげ~!本当に竜がいるんだなぁ。」
本気で関心していたりするガウリイ。
「……すごいな。まさか……これだけの竜が……」
そういいつつその光景になぜか絶句しているゼル。
森をぬけつつつ、山を登りきったあたしたちの目の前に広がった光景はというと。
そこにあるのは断崖絶壁。
そしてその山間の割れ目に数百程度の竜達が飛び交っていたりする。
一応左右を見渡しても目に入るのは飛んでいる竜の姿。
なぜかこんな光景が珍しいらしく感嘆のため息つきつつはしゃいでいるアメリアに。
こちらもまたなぜかしばし絶句しているゼルガディス。
しばらくゼルとアメリアは二人して崖の上から周りを見渡していたりするけども。
ばさっ!
しばらくアメリア達が周りをそこから眺めていると、頭上で羽ばたく羽音がひとつ。
「あ!リナさん!竜が降りてきますよ!」
ふとその音に気づいてアメリアが上を振り仰ぎ。
こちらにむかって降りてくる竜の姿をみつけてそんなことを言っていたりするけど。
そういいつつその竜を指差しているアメリア。
あら♡
彼ミルガズィアじゃない♡
……おや?
あたしとゼロスが思うのはほぼ同時。
「……何の用だ?人間よ?」
あたしたちの目の前に降り立ちあたしたちに話しかけてくる竜。
その言葉にかなりオーバーなリアクションをしつつ。
「うどわぁぁぁあ!?リナ!?竜が人間の言葉をしゃべったぞ!?」
本気で驚きの声を上げているガウリイだし。
…ガウリイ。
あんたは今までも竜がしゃべるのを見たことあるでしょうが。
本当、この人間って……面白いわ♡
「当然でしょ?しゃべるにきまってるじゃない?」
そんなガウリイにさらりと突っ込みをいれておく。
「――ほう、そこの人間?竜がしゃべるのは珍しいか?」
どうやら彼、ガウリイのリアクションが気に入ったみたいね。
ガウリイに向かってそんなことを聞いていたりするし。
そんな彼をみつつぽりぽりと頭をかきながら。
「いやぁ、竜がしゃべるのって…オレ始めてみたもんだから。
?けど人間の言葉なんてどうやって覚えたんだ?」
…あのね?
初めてじゃないでしょうが…初めてじゃ♡
くすくすくす。
思わずくすくすと笑ってしまうけど。
素朴なガウリイの質問に、
「われらが竜族は長き時を生きるもの。
時の流れを過ごすうちに、戯れにほかのものたちの言葉も覚えるようになる。」
その言葉にしばし考え込み。
「――つまり、暇つぶしに何となく覚えたったことか?」
ぽんと手をうちにこやかに答えるガウリイ。
・・・・・・
「・・・・ま・・・・まあそうともいうが・・・・・。」
そんなガウリイの反応に多少あきれつつ、いったいこの人間は・・・?
何かかなりの変わり者だな?
などとおもいつつ少し違う意味の汗を流してガウリイを見ているけども。
「う~ん、話せるなら話は早いや。なあ?リナ?このおっさんに事情を話して……」
「……お…おっさん?」
あ、面白い、ミルガズィアがあきれてる♡
にこやかにあたしの方を振り向いて言ってくるガウリイに。
「ガウリイさん!ドラゴンロードに対して!何とことをいうんですか!」
そういいつつアメリアがガウリイに指を突きつけて抗議の声を上げていたりするけど。
「……こいつのことは気にしないでくれ……」
そういいつつ軽くガウリイの頭をぽかっと殴っているゼルガディス。
さすがに黄金竜を怒らせたら……俺たちではかなわないぞ?
などと心でそんなことを思っているけど。
あら、誰でも簡単に勝てるけどねぇ?
たとえ赤ん坊でも♡
「ず…ずいぶんと変わった人間たち…だな……」
今までこんなに毛色の変わった者たちは……みたことないな。
などと心でつぶやいているミルガズィア。
いうまでもなく目の前にいる黄金竜の名前がそうなんだけど♡
「…やれやれ。」
そんな会話をみつつ拉致があかないと悟ったのか。
というかちらりとあたしがゼロスをみて促したからのようだけど。
カツン。
そのまま一歩前にと進み出ているゼロス。
「お久しぶりですねぇ?ミルガズィアさん♡」
そういってにこやかに話しかける。
…あ、面白いまでにミルガズィアからゼロスに対しての恐怖、という負の感情があふれてる♡
そのまま顔をしかめて。
……なぜにこいつがこんなところに!?
などと思ってるし。
あら。
かなり動揺してるじゃない♡
面白いわね♡
そんな心の動揺を表には微塵もあらわさず、嫌悪の感情をあらわにしつつ。
「……本当に久しぶりだな……降魔戦争以来だな……
……もっとも私としてはもう会いたくもなかったが……獣神官ゼロスよ……」
そういいつつゼロスを見据えているミルガズィア。
前に一歩ほど出たゼロスをきょとんとしてみつつ。
「あら♡」
「…ゼ…ゼロスさん?竜族を知ってるんですか?」
「降魔戦争だと!?ゼロス!?貴様!?」
くすりと笑うあたしの声とは別に。
驚きの声を上げているアメリアに、警戒しつつ身構えているゼル。
「……うん?なあ?こうま…って何だ?ああ、馬の子供か!?」
どぐわしゃ!
ぽんと手をうってにこやかに言い切るガウリイのその言葉に。
……あ、面白い♡
ミルガズィアまで横倒しになってるし♡
みればびくびくと頭から地面にキスをしているアメリアにゼルガディス。
ついでにゼロスとミルガズィアの姿が。
う~ん、楽しい♡
一瞬地面とキスをするものの、がばっと起き上がり。
「が…ガウリイさん!降魔戦争です!降魔戦争!」
ぴっとガウリイに指を突きつけて詰め寄っているアメリア。
そしてよろよろとおきあがりつつ、こほんと軽く咳払いをしつつ。
……このだんなは…どこまで本気で冗談なのか…つかめないな……
などと思いつつも。
「……伝説によれば、その昔、魔族と竜族は敵対関係にあったと聞いている。
まさか……ゼロス…貴様!魔族か!?」
そういえば、ゼルは、ゼロスが魔族とまでは気づいてなかったようだしねぇ。
まああたしも教えてなかったし。
「そ……そんな!?ゼロスさんが魔族!?ゼロスさん!今からでも間に合います!
魔族なんて因果であこぎな商売はやめて真人間になるんです!」
そういいつつゼロスに詰め寄っているアメリア。
「……い…いや、そ~いうわけには……」
ゼロスったら。
何をアメリアの台詞程度で後退しているのかしらねぇ♡
困った顔をしつつ、じりじりと少しづつ後ろに退っているゼロスだし。
「う~ん、まあまあいいじゃないか、アメリア、ゼル。
ゼロスだって好きで魔族に産まれたわけじゃないんだから。」
そんなアメリア達にのんびりと言っているガウリイ。
それってフォーローになってないわよ♡
「何をいっているんですか!ガウリイさん!魔族といえば!害虫以下の代物にすぎません!
闇に身をおき恐怖と滅びをつかさどるもの生とし行けるものの天敵!百害あって一理なし!
そんな人とこれまで旅をしていたなんてぇ。」
などといっているアメリアだけど。
「……いやあの。そこまでいわれると、僕としても……」
そういいつつ少しいじけてぽそぼそとつぶやくゼロス。
「まあ、それをいうならリナのほうは破壊の使者とも裏世界では呼ばれて……」
グシャリ。
「…ああああ!?ゼルガディスさん!?いったいこの岩はどこから!?」
そういいかけるゼルの頭をイチメートル四方の岩が直撃する。
「あらあら♡どこからそんなものがとんできたのかしらね♡ふふふ♡」
にこやかに笑みを浮かべているあたしを、
なぜか顔を引きつらせつつ、見てくるフィブリゾとゼロスだけど。
「……お母様。……手加減…一応は・・・あれでも…してる……んだよね?」
「……冥王様…気にしたらこれからやっていけませんよ?」
そんな会話を小声でしていたりするフィブリゾとゼロスがいたりするけど。
……あのねぇ♡
しばらくそんな取りとめのない会話が続いていき。
そんな様子をおきあがりつつ唖然とみているミルガズィア。
……さってと。
楽しく少しはなってきたかしらね♡
-続くー
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あとがきもどき:
薫:・・・・・よーやくゼロスの正体、アメリア達が知りましたv
とゆーわけですでにもう、次の内容に入ってますのですv
・・・・・・原作とはかなり違っているのは・・・当然ですので・・あしからず・・・・。
2003年7月7日午後二時。
・・・・さて、お昼を何か作って食べるか・・・・。
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