まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

こんにちわ。
今回の話はスペシャル2巻。リトルプリンセス2ですv
これについになる話は26話を参考にしてくださいv(かなり他力本願)
とりあえず前回までのあらすじ:
ある日あるとき、ある街中で。助けを求めてきたとある少女。
それはマリウスという商人の娘のエミリア。
とある公女の影武者になっているところを。リナとナーガに助けられ。
すべては丸くその事件は解決した(そーか?)


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    エル様漫遊記・番外編  ~リトル・プリンセス2編~


「どなたか!どなたかお助けを!」
面白いほどにお約束な切羽つまった叫び声が聞こえてきたのは。
あたしとナーガが街道を森にと差し掛かったときのこと。
「無駄だ!じいさん、誰もきやしねぇょ!」
こちらもまたお約束以外の何ものでもない声を張り上げている男性の声が。
まあこういった日常的な騒動はどこの世界にでも転がっているものの。
なかなかこういったことに面白いのに首をつっこむ存在ははっきりいって少ない。
「おーほっほっほっほっ!おーほっほっほっほっ!」
その声を聞きつけて、その声に向かって高笑いしつつかけだしているナーガ。
おそらくは旅人か誰かが夜盗か何かに狙われてるんでしょうね。
これは助けたら謝礼金がもらえるわ!
などと心でおもいつつ高笑いしつつかけだしているナーガだし。
あたしたちの進む道の先に。
その当の先ほどの声の人間たちはいたりする。
まあさすがにほんの少ししか離れてなかったがために、この距離ではナーガ迷子にはならなかったようだけど。
というか一本道だしね。ここまで。
とりあえず高笑いしつつ走ってゆくナーガの後ろからのんびりとあたしもそちらの方にと向かって歩いてゆく。

見れば視線の先には。
地面にとへたり込んでいる白い髪の老人と。
そして抜き身の剣を片手にぶらさげ老人の方に歩み寄っているどーみても。
似合ってないのに気づいてないらしく髪を伸ばしている盗賊その一。
そしてその先の木の根元ではもう一人の盗賊その二ともみ合っている金色の髪の少女の姿が。

そして。
「「・・・・・・」」
「おーほっほっほっほっ!悪人ども、それまでよ!おーほっほっほっほっ!」
などといいつつ高笑いをして走ってきたナーガを目にとめて。
しばしその場にいる四人は無言になっていたりするけども。
そんなナーガを面妖なものをみる面持ちでみつつ。
「な、なあ、あの姉ちゃん、人間…だよなぁ?」
「いや、狸とか狐がばけてるのかもしれないぞ?あんな格好でうろうろする女がいるものか。」
などとぽそぽそと話し込んでいたりするこの夜盗たち。
そして。
「おーほっほっほっ!悪人ども、観念するのね!この白蛇のナーガ様が来たからには、あなたたちの好きには!」
そういいかけ。
すぅ…
「―はうっ!」
そのままその場に失神していたりするナーガ。
ふと見ればちょっとぱかり老人の顔から血が流れているのが見て取れる。
そういえばさっきこの老人転んだときに顔を少しばかり傷つけてたわねぇ。
そのまま血をみていつものことながら失神しているナーガをみつつ。
「…な、なあ、兄貴ぃ。この女いったい何なんだ?」
「気にするな。それよりオレたちの獲物はこっちだ。」
とりあえずナーガのことは見なかったことにして。
くるりと気を取り直して追い詰めていた女性と老人にと向きなおしている夜盗達。
「はいはい。あんたたち、そこまでね。」
パンパンバン。
かるく手をたたきつつそんな彼らの方にと近づいてゆき、そのまま軽く手をたたく。
と。
カキィン!
彼らが持っていた武器のすべてが、情けないことにそのまま空気の抵抗に負けて彼らの手から飛んでゆく。
なぜか巻き起こった風の衝撃派により、ことごとくあっさりと剣をその手から離している男たち。
「な゛!?」
なぜかいきなりのことで言葉を失っている男たちの耳に。
「おーほっほっほっ!よくもやってくれたわね!炸弾陣(ディル・ブランド)!」
いつものように突如として復活したナーガの声が、言葉を失っている男たちの耳にと届くと同時に。
どぐわぁぁぁぁん!
そのまま。
彼らがあいてをしていた旅人もろとも、そんな彼らを吹き飛ばしてゆく。



「ふっ。おーほっほっほっ!人間細かいことは気にしたらだめよ!おーほっほっほっ!」
などと、ぐびぐびとビールの大ジョッキを片手に高笑いしているナーガ。
「どこがこまかいんですのじゃ!?」
などと少しばかりちょっぴりその白いひげが香ばしくこげている老人がそんなナーガに抗議の声を上げていたりする。
青の街道沿いにあるとある一応名前は面白い名前がついている、そんな小さな村。
ちなみにこの村の名前は、フルート。
…何でも思いつかなかったから当時の村人たちがふと目にとまった楽器から。
この名前をつけているのが真実。
「まあまあ、爺。助けてもらったのになんてことを。」
などといいつつもこちらもちょっぴしこげている女性。
「おーほっほっほっ!人間細かいことまで気にしてたらだめよ!おーほっほっほっほっ!」
ぐびぐびぐび。
そういいつつすでに十杯目のお代わりを頼んで飲み干しているナーガの姿。
ひひくく。
そんなナーガの言葉に額に青筋を立てながら。
「おぬしが呪文で吹き飛ばしたのは。仮にも公王より領土を預かるテゥラーディア公のご令嬢であらせられるのだぞ!
  しかも顔などにも青あざを!この青あざが消えなんだらレイミア様は!
  レイミア様はっ…こんな愉快な顔で一生を過ごされることになるのじゃぞ!」
そういいつつびしっとそこにいる女性-レイミアを指差していたりする。
ちなみにレイミアの顔には先ほどナーガが放った術によって、
巻き上げられた大地の破片にて、くっきりと目の周りに青あざができていたりする。
ちなみに口の周りにも。
ついでにいえば吹き飛ばされた衝撃でちょっとした全身打撲のおまけつきv
「…わるかったわね。『ユカイな顔』で…」
そういいつつじと目でそんなことをつぶやいているレイミア。
まあ確かにとある場所に生息しているバンダみたいな顔になってるしね。
これが青あざでなくて黒かったらそのままバンダvで通用するかもv
つぶやきつつもその手はせかせかい動かしつつ。
ちゃっかりと机の下においたとある材料セットを取り出しては、
右手でバラの造花を作っていたりするこのレイミアだけど。
そんなレイミアの言葉にあわてて頭をさげつつ。
「は。ははぁ!申しわけございません!このクランベつい口が滑ってしまいました!平にお許しを!」
そういいつつ頭を下げる老人-クランベの言葉に。
「かまいません。それよりもその人、勘弁してさしあげなさい。
   それにあまり大きな声で公女、公女と呼ばないで。一応しのびの旅なんですから。」
「はぁっ。御衣に。」
などといった会話をしているこの主従。
ちなみに。
この人どこかで見たことがあるような気がするんですけど。
思い出せませんわ?
などとナーガをみてそんなことを思っていたりするレイミア。
まあ一応、皇女のときの姿のナーガとはレイミア、知り合いだからねぇ。
かなりナーガの影響うけてるのもまた事実だけど。
「ふっ。おーほっほっほっ!レイミア、あなたもまだまだね!
   おーほっほっほっ!そんなことを気にしているようでは大物になれなくてよ!
   私前に教えたわよね!人間図太く、自分に自身をもって行動するようにって。おーほっほっほっほっ!」
などといいつつ。
かちゃり。
「あ、おばさーん。こちらにAディナーセットのお代わりおねがいするわ!」
などといって面白いことにビールジョッキに注がれたブランデーを飲み干しつつも。
かちゃかちゃと手を動かしていた手を止めて、すでに空になったお皿の追加注文をしているナーガ。
「…え?」
そのことを教わったのは…
などと思いつつそのままじっとナーガを見つめているレイミア。
だんだんとその脳裏にとある可能性が浮かんできていたりするんだけど。
「あ、レイミア、あなたが思ってるとーりよvでもそれいわないほうがいいわよv」
とりあえずにっこりといいかけようとしているレイミアの口をやんわりとふさいでおく。
ま…まさか、…いや、でも…まさかあのお人がこんなところに…。
などとおもいつつ面白いことに冷や汗ながしているレイミア。
「ま、ナーガの方向音痴は今に始まったことじゃないから。
   まあそれより、どうしてあんなごろつきに教われてたの?あんたたち?」
にっこりと。
やっぱりこういうのはノリというのが大切だし。
レイミアたちにと一応わかっているけど問いかける。
そんなあたしの言葉にはっとなり。
はっ。
そうでしたわ。
とりあえず今は、などと思いつつ、そうはたりと正気に戻り。
じっとあたしとそしてナーガをみつめつつ。
「と、ところで、お見受けしたところ、あなた方魔道士のようだけど…」
まあいきなり名前を呼ばれたり、自己紹介をする前から、なぜか名前が知られていたのは気にはなりますが。
などとおもいつつ、卑屈な態度であたしたちにと問いかけてくるレイミア。
まあこげて転がっている彼女たちをとりあえず起こして、この村まで運んできたのはあたしたちだしね。
ちなみに浮かばせてから。
「おーほっほっほっ!そうよ、この私こそが!!
  リナの最大最高のライバルの、白蛇のナーガ様とは私のことよ!おーほっほっほっ!」
などと口に手をあてて高笑いをしているナーガ。
ちなみに。
あたしたち以外にいた客は、ナーガのいく度目かの高笑いに耐えられなくなりすでにこの店から外にでていたりする。
「そ。そうですか。それはまあおいといて。やはりそうだとおもいましたわ。」
さらりとナーガの言葉をかわしつつしみじみうなづいているレイミアのその言葉に。
「まあそちらの得体の知れない物体はひとまずおいとくとしましてもじゃ。
   そちらの女性が魔道士であるというのは見れば猫でもわかりますな。」
そういいつつちらりとナーガをみてそれから後にとあたしにと視線を移しているクランベ。
「…爺…」
そんなクランベの言葉にじと目でにらみつけているレイミア。
「おおお!これはまた失言を!」
まったく。この爺は、いつも一言多いんですから。
などとおもいつつ。
小さく咳払いをし。
そしてあたしたちの方にと改まって向き直り。
「先ほどの夜盗達を倒した手並み、かなりのものとみました。
  そこであなた方におりいってお願いしたことがあるのですが…」
いいつつすでに葉っぱとそして茎のテープを巻きつけ終わった造花の薔薇を、
テーブルの下にある箱にと投げ入れているレイミア。
「おーほっほっ!当然よ!このナーガ様の手にかかればあんな雑魚くらい!」
そういいかけたか笑いをするナーガの言葉をさえぎりつつ。
「まあ、それはたのもしいですわ。実はあたしたちの護衛を勤めていただきたいのです。」
そういいつつさらに次の造花を手にとり作業をしつついっているレイミアの言葉に。
少し首を傾げつつも。
「あら、レイミアだったら別にそれくらいのことは護衛、いくらでもつけれるでしょうに。
  それか前にこの私がいった【真の民を預かるものは一人で旅をするのが基本!】
  という言葉を守ってる、にしてもどうしていまさらそんなものが必要なのかしら?」
などといいつつすでにボトル五本目をあけているナーガ。
ちなみにここの会計は。
さきほどの夜盗から奪ったお金で事足りているのはまあそれはそれ。
「や…やはり、あなたは…」
そういいかけるレイミアの額に一筋の汗。
まあそうやって彼女に真の後継者たるものは一人で旅ができて一人前。
そう教えたのは他ならないナーガとそしてフィルだしねぇ。
まあどうでもいいことだけど。
とりあえずその先の言葉をいうのはとりあえずいまはやめておくことにし。
少しばかり頬を染めつつ。
「ふっ。私もできればこのたびのように必要なときには正規の兵士たちでも連れてくればいいのでは。
  などとも思うのですが。はずかしらかならわが領地の経済事情は大変逼迫しておりまして…」
そういいつつもじもじしつつも、器用に手にした造花に茎の変わりになる緑のテーブを巻きつけているレイミア。
そういいかけるレイミアの言葉にあわてつつも。
「ひ、姫!そのようなことをぺらぺらと!」
あわててその言葉をとめようとしているクランベ。
「おだまりなさい。引き受けていただくためには知っておいていただかないことには。」
ぴしゃりとそんなクランベの言葉を止め。
そしてすでにできた造花を再びテーブルの下にと投げ入れて次なる花を手に取り。
おもむろに。
「実はうわさでお聞き及びとは思いますが。しばらく前、私たちの領土で野心家の大臣が不心得を起こしまして…」
 正確にはちょっと記憶操作したのが事実なんだけどそれは面白いから言わないけど。
「そして彼の放ったおかしなゴーレムのせいで町は甚大な被害をうけ、その再建のために財力が尽きてしまったのです…」
そういうレイミアの言葉に。
おーほっほっほっ!ゴーレムごときで財力が尽きるなんてなさけないわね!
   私なんかよく昔っから町とか宮殿の一部こわしまくってたわよ!おーほっほっほっ!」
などといいつつ高笑いしているナーガ。
まあナーガは昔から、よくセイルーンの町並み、壊しまくっていたからねぇ。
そのおかげというか実はセイルーンの宮殿は、ちょっとした魔力耐性が強く作り直されていたりするし。
「いや、あの宮殿って?」
思わずその場所に突っ込みをいれているクランベの言葉に。
ただただ、続けざまに高笑いを続けているナーガの姿が。
「や、やっぱり…。何はともあれ、なぜか大臣は【覚えてないけど、多分自分がやったと思う。】
  などと不確定なことを最後までいっておりましたけど。
  とにかくそんなわけで兵士たちに払う賃金すらもなくなって、城に残ったのは長年仕えてくれているこの爺一人。
  公女のはずのわたくしが造花づくりのアルバイトなどをする始末。ううっ。しくしくしく…」
いいつつも次になるその薔薇の造花に緑の葉っぱをくっつけているレイミア。
そんなレイミアの肩に手をおき。
「姫、泣いてはいけませぬ。泣いたところでビンボはビンボ。」
そういっているクランベ。
「…私に喧嘩うってるの?」
そういうレイミアの言葉に。
「そ…そのような滅相もない!もあしわけありませぬ!つい口が滑りました!」
などと平謝りに謝っているクランベだし。
そんなクランベをじと目でみつつも。
「まあそんなわけで一族総出でアルバイトとかしている現状なのですが。いまだにやりくりがつかない状態でして…」
まあ彼らのアルバイト、といっても。
あまり確かに収入がいいやつをやっているわけではないし。
どうせだったらそのあたりに不法投棄されている物質を。
ちょっとばかりいじくって新品同様にして売り払いでもしたほうが、かなりの金額には彼らにとってはなるほどに。
はっきりいって面白いほどに、見入りの少ないアルバイトばかりをしていたりするのが現状だったりするし。
「しかたなく親戚筋にあたるフィガロ・シティのマクガレル公の元へ、借金の申し込みに行くところでなのです。」
…しくしくしくしく……
そういいつつできた造花の薔薇をテーブルの下の箱にと収めているレイミア。
「おーほっほっほっ!臨時予算くらい組んでおくのが基本よ!おーほっほっほっ!」
などと一応はこれでも王女、だけのことはありまともなことをいっているナーガ。
「その臨時予算でもおいつなかなかったんです…しくしくしく…とにかく、ですからどうかお願いします!
  今は払えるだけのものはありませんけど、お金の工面ができたら必ず!
  ご不満ならば肩もみます!お茶もいれます!犬と呼んでください!」
そういいつつテーブルに頭をこすりつけているレイミアに。
「姫、何もそうヒクツになられなくても…」
そういいかけるその言葉に。
「爺!泣いてないであんたも頭さげなさい!」
「しくしくしく…」
「しくしくしく…」
そんなこんなで、二人してあたしたちにと頭を下げてきているレイミアとそしてそのおつきのクランベ老人。

結局のところ。
あたしは面白そうだ。という理由と、ナーガはナーガで別に用事もないから。
という理由でこの一件を引き受けることに。

「まあ、こんな手っ取り早い資金集めの方法があったのですわね!」
などと目をきらきらと輝かせているレイミア。
「おーほっほっほっほっ!レイミア、悪人には人権はないのよ!」
「そ、そうですわね!お姉様!」
すでにナーガがいったい誰なのか理解し、いつものように、以前の呼びかたで接しているレイミア。
「いやはや、姫様がかわっていかれる…」
などといいつつもこちらもまたせっせと宝物蔵より品物をもてきれないほどに背中に担いでいるクランベ。
あたしたちの旅はまずまずは順調そのもの。
レイミアが食い逃げで捕まりそうになってきたときには、
そのあたりにいたごろつきが、ちょうどいい具合に絡んでくるのでそいつらの懐からすべてを払い。
そしてまた、十数回ばかりごろつきたちと遊びつつ。
まあ当然といえば当然だけどあたしたちのようなか弱い女性ブラス、力のない老人。
そんな旅人は盗賊たちにとっては格好の餌食としか映らない。
そのために、まあちょっと人里やそして表通りをはずれただけで、
お金のほうからあたしたちにとちょっかいをかけてくるこの現状。
そんなこんなで。
今日もまたいつものように、あたしとナーガの呪文とそしてそれにプラスレイミアの呪文が夜の森にとこだまする。

別にさしたるトラブルもなくやってきたフィガロ・シティ。
すでにこれまでにためたお金は教会を通じて。
すでにレイミアは一部を国にと転送していたりするけども。
まあ一応、魔道士協会はほとんどの主だった町や国には、必ずある施設だからねぇ。
何かあったら一応責任は魔道士協会がとることになってるし。
ちなみに協会は副業でそういった遠方への届け物。
といったサービスというか事業も行いそしてその収入を経営資金の一部に当てていたりする。
「もしかしたら盗賊退治を一年ばかしやってたら。兵士の一部に払える金額くらいにはなるんじゃないかしら?」
などとレイミアはつぶやいていたりするけど。
まあそれは盗賊がもっている実入りの数にもよるけどね。
中には、壊滅させたはいいものの。
彼らにとってはお宝…であるらしい、昔のぼろ布や、そして土器。
そういったもの専門に集めていたりする盗賊もいたりするし。
そういった品物は専門の場所でないと高く人間世界では売りさばけない。
という何とも面倒なしがらみがあったりするし。
あたしとしてはちょっとオリハルコンを数トン単位以上創り出せば、それはそれですべてにおいて解決だと思うんだけど。
なぜかいまだに自力でそれを創り出すことができない人間たち。
というかいまだにそれ、成功している存在、いないのよねぇ。
情けないというか、何というか…
とりあえずそんなレイミアのつぶやきをそのままにしつつ。
あたしたちはそのままその中心にあるここの城にと向かってゆく。
町並みはタイレル・シティよりやや大きい程度。
下町の雰囲気ははっきりいってよどみを含んでいたりする。
ま、領主が領主だからねぇ。
ここのやつは。
上の状況で民の様子もきまるし。
それなのにどうしてあたしの部下たちはあたしがこんなにいい上司であり母親なのに。
ああも全員なかなかお仕事を率先させないのかしら。
…今晩にでもどこかの部下を数名ほど視察にでもいきますかv
そんなことをおもいつつ。
やがてあたしたちは城の前にとたどり着く。


「止まれぇ!」
「何者だ!?」
城の入り口であたしたちの前に立ちふさがる門番二人。
「おーほっほっほっ!私は白蛇のナーガ!」
ぺち。
あ、たたかれたv
そのまま持っている槍でそのままたたかれて、そのまま少しばかりそれで血が流れ、
そのまま失神しているナーガはひとまず無視するとして。
そんなナーガを。
ふみっ。
とりあえず前に出ないと話ができない。
というので踏みつけにしつつ、一歩前にと進み出るレイミア。
「わたしはタイレル領主。ラディウス=フォン=トゥーラーディアの娘。レイミア=ウル=トゥラーディアです!」
そういうレイミアの言葉に。
すかさず。
「「うそつけ!」」
同時に兵士二人の声が重なる。
「………」
即答のその返答に思わず言葉を失い無言になっているレイミアに。
「失礼な!何を根拠に決め付ける!」
そう大声を上げているクランベ。
「黙れ!そんな怪しい公女一行がどこにいるというのだ!」
そういいつつレイミアがいまだに踏みつけているナーガを指差していたりするし。
「この面妖な生き物は関係ないとしても!
   レイミア様をそりゃ、確かに性格は悪いかもしれませんが、これでもれっきとした公女ですぞ!」
そういってつめよっていたりするクランベ。
「あらあら、クランベ。面妖っていったら、こいつの父親が聞いたら。間違いなくま、笑い飛ばす程度で済むか。
   それとも少しばかり親ばか発揮して正義の説得に入るわよv」
そんなクランベの言葉にとりあえず訂正をいれておくあたし。
その言葉に。
「…わたくし、あのフィリオネル殿下のあの説得はちょっとご遠慮いたしますわ…」
などとどこかあさってをみつつそんなことをつぶやいているレイミア。
まあ彼女がセイルーンに留学していたときに。
フィルがゴーストやデーモンなどを、素手で捕まえて説得している様子を幾度か彼女は見たことあるからねぇ。
ちなみに。
彼女もまた面白いことにフィルを見たときに気絶した一人だったりするけど。
人間面白いものでどうしても、『王子』などとという肩書きの単語でその人物を過大評価してしまう節があり。
それによりまあ面白い事柄も多々とおきているのもまた事実だけど。
「?何をわけのわからないことをいっておる!
   それに第一!そんな面妖な格好をしているものを共にしている公女など!
   聞いたことはないわ!それにこちらにくる、という話すら聞いたことはないわ!」
などと言い捨てる兵士に。
「そんなお金があったらこんなところにまできたりはいたしませんわ!」
などと叫んでいたりするレイミア。
どうでもいいけどいまだにナーガの上にのっかったままなんのですけどv
レイミアはv
そんな会話をしていることしばし。
「どうした?何を騒いでおる!」
そういいつつ奥から一人の兵士が、表の騒ぎというか会話をききつけて出てきたりしていたりする。
一応見掛け倒しにがっしりとした体格に四角いあごをもっているこの男性。
一応はここの領主の第二部隊の隊長でもあるこの人物。
「バ…バーレル隊長…」
そんな男性-バーレルの姿をみとめ、戸惑いの視線をそちらに向けていたりする。
「あらあら、バーレル、あなたのところの部下たち、躾がなってないわよv」
くすくす笑うあたしに。
「??何だ?こいつらは?」
どごっがっ!
シィィィィン・・・・。
とりあえず突如として空から降ってきた岩の塊を目にして、なぜか静まり返っている兵士たち。
「え、ええと、このお方たちはタイレルの公女一行だといわれております。」
なぜかいきなり敬語になっている門番していた兵士その一。
「そしてついでにあなたたちがたたいたナーガはねv」
くすくすくす。
いまだに伸びているナーガの腰からその短剣を少し拝借して、彼らの前にと突きつけてみせるあたし。
―びしり。
あら、面白い。
そのまま音を立てて固まる兵士たちとバーレルの姿がそこにあったりするけど。
ちなみにそのナーガの短剣の柄には。
しごく当然のことながらセイルーンの王家の紋章が刻まれていたりする。
まあフィルがもっているような短剣と同じだけど
それに組み込まれている、魔力を含んだ宝石が異なるだけだからねぇ。
「ちなみにどうみても見えないと思うけどv
    このナーガ。【グレイシア=ウル=ナーガ=セイルーン。】一応これでもれっきとしたセイルーンの王女よ?
    それで?もしそれでもまだ偽者とかいうつもりだったらvセイルーンまでも敵にまわしてみる?」
くすくすくすくす。
「い、いやまさか。」
「はったりにきまってる。」
などとぼそぼそいっている兵士たちではあるが。
「…あ、あのぉ?レイミア様?もしかして真実なんですか?」
恐る恐るようやくナーガの上から退いているレイミアにと問いかけるクランベに。
「ええ。そうですわ。わたくしもこの格好でしたからすぐには気づきませんでしたけど。
  間違いなくこのお方はグレイシア王女ですわ。」
きっぱりはっきりいいきっているレイミア。
ちなみにいまだにナーガは気絶したまま。
「それより、レイミア、あんた父親から書状、預かってきてるんでしょ?それみせたら?」
くす。
少し微笑むあたしに。
「あら?わたしいいましたっけ?リナさんに?はっ!そうでしたわ!確かにわたくし、父より手紙をあづかっておりましたわ!」
そういいつつ背中に背負った造花の籠の中の箱をごそごそやりつつ。
「えっと、これじゃないし。これでもない。あれ?確かにここに?旅費の足しに古道具やにでもうったかしら?」
などといいつつごそごそしはじめるレイミア。
「ノリ台にしてなかった?」
あたしの指摘に。
「あ!そうでしたわ!ありましたわ、これですわ、これ!」
などといいつつノリでぱりばりになった書状をバーレル隊長にと渡すレイミア。
そしてふと。
あら?どうしてリナさん、わたしがこれをノリの台にしていたのをご存知なのかしら?
などと思いつつ少しばかり首を傾げていたりもするが。
手紙をわたしつつ。
「これをマクガレル公に渡していただければすべてはっきりするはずです。―わたくしが本物の公女である、ということが。」
そういってにっこり微笑むレイミア。
「ほ、本物なのか?一応確認させてもらうぞ?」
いまだに状況が飲み込めず半信半疑のままその手紙に手をかけようとするバーレルに。
「あら、覚悟はできているみたいね。」
くすりと笑っていうあたしのその言葉に。
「ど、どういう意味だ?」
理解してないバーレル。
「あら、決まってるでしょう?一応仮にも領主が領主に送った手紙を単なる二部隊の隊長が独断で開封し中をあけて見る。
    厳罰程度ですむレベルじゃないわよねぇ。
    あたしだったら間違いなくしっかりとお仕置きしておいてから、
   さらに幾度か殺しておいてから再生させてさらにはあることをさせるわね。」
「いや、あの、リナ殿?再生させる、とは?」
突っ込みをいれてくるクランベの言葉はかるく流しておくことにして。
「うっ。」
あたしのその言葉に、手紙とそしてあたしたち、そしてレイミアをみつつ。
とりあえずこの面妖な女性がどうしてセイルーンの王家の紋章入りの短剣をもっていたのかはひとまずおいておくとして。
まずはこの問題が先決だ。
そう自己完結し。
「と、とにかくあなた方はここでまっていてください!」
こちらもまた丁寧な口調になりつつそのまま城の奥にと引っ込んでゆくバーレル。
「う、うーん。」
やがて。
そこにはじめの門番だけが取り残されたときに、ようやくナーガの目がさめて。
「はっ。おーほっほっほっ!よくもいきなりやってくれたわね!
    それはこの私の才能をねたんでのことかしら?おーほっほっほっ!」
などと一人高笑いをし続けているナーガがいたりするけど、それはそれ。



「いやぁ、うちのものの不行き届き、どうかお許し願いたい。」
そういいついってくるマクガレル公。
城の奥のとある一室。
テーブルにと並んだちょっとした料理の数々に。
そしてそのテーブルについているのはマクガレル公の子供五人と、そしてあたしたち四人。
つまりは十人がこのテーブルにと腰掛けていたりする。
ちなみに全員といっても過言でないけどナーガの格好に唖然としている事実があるけど。
それはそれ。
ちなみに歳は42。
ひょろりとやせ細りそして貫禄をだすためだけに伸ばしているちょびひげが余計に哀愁を漂わせていたりする。
城の内装やそして彼らの服装からみても。
あたしたち一行があまり歓迎されていないのは出されている食事からも丸わかり。
そんな貧相な食事だというのにもかかわらずに。
「みてみて、爺。サラダにドレッシングがかかってる!ぜえたくね!」
「おおお!手の平より大きい魚を口にするなど、くくぅ!久方ぶりですじゃい!」
「あれってひょっとしてとり肉。ああ…箱つめにしてみんなに持って帰ってあげたいわ。」
などといった会話をしているレイミアとクランベ。
どうでもいいけど。
ま、まあ主食が木の根っこ、にまでなってるしねぇ。
このレイミアの家って今は
別にあたしは食べなくても平気だけど。
そんな会話を耳に挟み、冷や汗をながしつつ。
「と…ともあれ、料理の冷めないうちにお召し上がりください。」
そういわれるや否や。
そのまま奪取のごとくに料理に手をつけているレイミアたち。
ちなみにいつも身だしなみにもっているタッパーに料理を詰め込んでいるのを忘れたりはしていない。
いやあの・・・もしかしてそこまでトゥーラディアは切迫しているのか?
そんな必死にタッパーに食事をつめているレイミアをみて、面白いことに冷や汗流しているマクガレル公。
「おーほっほっほっ!このドレッシング、ちょっと塩が濃いわよ!
    こういったサラダには塩はサラダを五とするならば…」
などとといいつ口上をのべているナーガ。
一応ナーガがセイルーンの関係者であるかもしれない。
という報告を受けているのでその格好を疑問におもいつつもとりあえずは、突っ込みをいれてこないこの城の者たち。
まあ関係者、といえば確かに関係者だけど。
一応これでも時期セイルーンの女王だしねナーガは

脱兎のごとくに食事をしつつもタッパーに食事をつめこむレイミアと。
そしてにこやかに会話をしつつ食事をしているあたしと。
無意味やたらと高笑いしつつ食事をしているナーガ。
そんな光景がしばらくその場にと見受けられてゆく。


「しかし一人娘のあなたをわざわざ使いによこすとは。…お父上もかなりお困りのようですな。」
とりあえず食事がおわり。
残ったものがあればぜひにこれにつめてください。
といって背中に背負っていた籠からタッバーをいくつも取り出して。
女官にと手渡しているレイミアをとりあえず気にしないことにしつつ。
ほとんどない薄いチョピヒゲを指でもてあそびつつも、レイミアにと問いかけてくるマクガレル公。
「ええ、お恥ずかしいながら。父も今では近くの町で。交通整理のアルバイトをしている次第ですので。」
などといいつつタッパーをすべて使い切り。
いまだにのこっているトリ肉をポケットというぽけっとに詰め込みつつ頬を赤らめ答えるレイミア。
いやあの。
領主そのものがアルバイトって…。
思わずそこに突っ込みを入れそうになりそうになるがそれをどうにか押しとどめ。
「わかりました。お父上の手紙にあった金額。何とかご用立てしましょう。」
そういいつつレイミアにと視線を向けるマクガレル。
ちなみにせっせといまだにナーガは食事に手をつけていたりするけど。
「本当ですか!?」
喜びの声をあげるレイミアに。
「ええ。差し上げます。お貸しするのではなく、ね。」
その言葉に。
「いや、それはなりませぬ!」
抗議の声をあげているのは皿についたソースをパンでヌグっているクランベ。
その言葉を冴えぎるように。
「おーほっほっほっ!ちょっとまつのね!レイミア。こういう場合の口約束はそれだけではだめよ!
  まあ確かにただで何かもらう、というのは公務ではありえないことではあるから。
  たとえばそれに見合った何かをこちらがする。とか。
  または善意でどうしても、という場合には口約束だけではなくてきちんとした書類。
  あ、でも簡単に偽造できるものはだめよ。きちんと特殊な公式用の紙でその旨を記して。
  そしてさらにはできたらその対談の様子も映像として保存。
  そうしないと万が一、というときに、あれは盗まれたとか脅されたとかいちゃもんつけて、
  戦争しかけてくる馬鹿がいるからね!これは外交の常識よ!おーほっほっほっ!」
さりげに外交のノウハウを唱えているナーガ。
「いや、それ以前に。お心はまことにありがたいのですが。
  ですがいくら血のつながりがあろうとも、あれほどの大金をただ何もなしにいただく、
  というのはわが君主の面子も立ちませぬ。」
とりあえずナーガの言葉にびくりとしつつも。
まあこいつも似たようなことを考えているからねぇ。
「なるほど。…それは確かにそうかもしれぬな。」
そういってしばし考え込むマクガレル。
といっても。
しかしまさかそこまで切羽詰っている領土を手に入れても…借金が増えるだけではないのか?
などとふとそんなことも思っていたりするけど。
「とはいえわしとていったん、『さしあげる』と口にした以上、やはり【貸すことにする】などとは言えぬ。
  ……うむ、どうしたものかのぅ。」
まあ相手が断ってくるのも計算づくであったのだから。
そのまま考える振りをすればいいだけのこと。
そんなことを内心おもいつつも。
「ふむ、ならばこういうことでいかがかな?いずれにしろあれだけの金を用立てるにはしばしの時がかかる。
   そこでその間あなた方にはあることをやっていただきたい。」
そのように会話をふっているマクガレル。

「ねえ?リナ?いったいあれだけ、とかいってるけど、どれくらいの額なわけ?」
そういいつつあたしをつついて聞いてくるナーガのその質問に。
「ああ、たかだか金貨一千万枚だから。」
あたしのその言葉に。
「あら、その程度なの。」
ある程度の金額からはナーガにとってはすでにそれはお金ではなくなる。
という事実がまたここにあったりもするんだけど。
だからそれはそれでまた面白いというのもあるんだけどね。
『いや、たかがって(汗)』
そんなあたしたちに会話をききつつなぜか突っ込みをいれてきている五人の子供たち。
子供といってもすでに成人している長男から下はまだ七歳まで、といって年齢は様々ではあるけども。

「あること…ともうされますと?」
そう問いかけるレイミアの言葉に。
ちなみにすでに服ですら、その上に羽織っていたマントにも食べ物を風呂敷代わりに包んでいたりするレイミアをみつつ。
冷や汗ながしつつも。
「それは、まだ考えておりませんが。つまり、あなた方に何かの仕事をやっていただきたいのです。
  でその報酬としてこちらがあなた方に礼金を払う、これならば双方の面子もたちましょう。」
「なるほど。」
その言葉に。
のこったお皿に残っているソースをお皿ごと持ち上げて舌でねぷっていたクランベが、
なめてきれいになったお皿をテーブルにおきつつ。
「それならば。」
そういいつつ大きくうなづきそしてレイミアをみつめる。
そして視線があわさりそのままレイミアもうなづきつつ。
「わかりました。ならばそのお話ありがたくお受けさせていただきます。」
そういいつつも。
「あ、すいません、それ食べないんでしたらいただいてもよろしいですか?」
すすすすすっ。
手付かずになっていたチキンダックのお皿をそのまま引き寄せているレイミアの姿があったりするけども。
貧乏が身にしみてるわね


「おーほっほっほっ!こんな依頼ちょろいわね!おーほっほっほっ!」
などと高笑いしつつ道を歩いているナーガ。
「いえしかし、いいのでしょうか?こんな?」
などといいつつもせっせと道をあるきつつも造花を作っているレイミア。
「というかあの湖のほとりになんてだぁれもすんでないのにね
―ぴたり。
あたしの言葉になぜか全員足をとめる。
「リナ?それってどういう?はっ!わかったわ!
  まさかあなた私の力をやっかんでそんなことをいっているのね!だまされないわよー!おーほっほっほっほっ!」
などといいつつ高笑い。
「あら、事実よvそれにかつての側近はすでにもう死んでるし。
   まあ湖までのルートに出ていた盗賊は。今では別のところに移動して今はいないけどね。」
そういうあたしのその言葉に。
「そんな!それじゃあお金が手に入らないじゃないですか!」
などと困ったように叫んでいるエミリア。
ちなみにこのエミリアも。
盗賊退治の面白さを実感して、少しばかり趣味の領域に突入しかけている今日この頃。
「…姫様、とりあえずそちらのナーガ殿のように。無意味やたらに呪文を唱えるのはやめてくだされな。」
などといいつつエミリアの横にて造花作りの補佐をしつついっているクランベ。
「おーほっほっほっ!そんな言葉にだまされると思って!?リナ=インバース!おーほっほっほっ!」
高笑いしつつ呪文を唱え始め。
そのまま。
「ヴァ・ル・フレア!」
ナーガの呪文が完成し。
あたしにと向かってくるちょっと大きめのフレア・アローのような炎の物体。
ひょい。
そのままあたしの横をすり抜け、後ろの茂みにと直撃する。
「あらあら、ナーガ、コントロールが甘いわよv」
にっこりと微笑むあたしの言葉と同時に。
「…リナさん…燃えてます…」
そういいつつぽつりと後ろを指差しつぶやくレイミア。
ごぉぉぉお!
後ろではナーガの放った術により面白いまでに火が燃え広がっていたりする。
『うどわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
叫び声をあげたのはレイミアでもクランベでも、そしてナーガでも当然あたしでもない。
面白いまでに火に巻かれあたふたしている男たちが数十名ばかり。
ちなみに全員がそろいのプレート・メールとロング・ソード。
そして目の周り以外をすっぽりと多いフルフェイスのかぶとで完全武装をしていたりする。
いきなりナーガにより術を先制攻撃され、慌てふためく様が結構みていて面白い
それにプラス。
全員が鎧で体を覆っている、ということもあり。
炎の中でうろたえている彼らは全員いわば蒸し風呂状態。
というか人間の蒸し焼きができるくらいまでにちょぅどいい温度で周りは燃えている。
「まあ!さすがはお姉様ですわ!敵がいるのを知っていて術を唱えたのですわね!」
「…え?…―おーほっほっほっ!このナーガ様を甘くみてもらってはこまるわね!
   そうよ!こいつらの殺気に気づいて呪文をとなえたのよ!おーほっほっほっ!」
そういいつつ額に一筋汗を流しつつ高笑いしているナーガだけど。
事実はまったく異なるんだけどね
「と、とにかく火をけせぃ!」
わあわあわあ。
面白いまでにうろたえている刺客たち。
ぜいぜいぜい。
面白いまでに全員が息を切らして消化を終えたのは、それから一時後のこと。
「ああああ!あいつらはどこに!?」
彼らが気づいたときにはすでに。
そこには当然あたしたちの姿はなかったりする。


ざわり。
道をゆくその先に湧き上がる殺気。
そのままあたしたちの行く手をさえぎる先ほどの刺客たち。
「ふっ。何のつもりかは知らないけどあなたたちにあげるお金なんてないわ!」
などといいつつせっせといまだに造花づくりに余念がないレイミア。
今彼女の懐にはマクガレルからもらった少しばかりのすずめの涙ほどの路銀が入っていたりするけども。
そして。
ひとつ造花を作り終え、そのままいそいそとクランベが持っているかごにとそれをしまい。
「あなたたちにお金を渡すくらいなら謝るわ!」
などといって両手を腰にあててきっぱりと言い切るレイミア。
「…いや、あやまってもらってもどうしようもないのだが…」
その反応は予想してなかったがために呆然としつつ、ぽりぽりと顔を覆った兜をかきつついってくる刺客のリーダー。
「それに第一われわれの目的は金ではない。その代わり…手紙をこちらに渡してもらおう。
   おとなしく渡せば命だけは助けてやる。いやむしろこっちが金をはらってやってもかまわんぞ。」
言いかけるその男―バーレルの言葉をさえぎり。
「おーほっほっほっ!あなたたちに渡す命なんてこれっぽっちもないわよ!ボム・ディ・ウィン!」
どごぉ!
いきなりナーガの呪文が炸裂し。
そのまま。
チュドォン!
面白いまでにナーガの放った強風ともいえない風が、あたしたちの道をさえぎる男たちを一斉にと吹き飛ばす。
ちなみにナーガはバーレルの言葉は始めの一言しか聞いてなかったりする。
「ああ!お姉様!お金をくれる、というのですから。この手紙を差し上げればお金になりましたのに!」
そういいつつ吹き飛ばされてゆく男たちをみつつつぶやいているレイミアに。
「…姫様、それではマクガレル公からお金がもらえなくなりますぞい。…しかしどうしてやつら手紙のことを?」
とりあえずレイミアの言葉を押しとどめ、首をかしげているクランベに。
「あら、簡単よ。だからいったでしょ?
  その手紙受け取り手がいないってvそれより、レイミア、クランベ。避難したほうがいいわよv」
にっこり微笑み彼女たちに忠告を促すあたしの言葉に首をかしげているこの二人。
それと同時に。
がさり。
クランベの横の茂みががさりと揺れる。
「おーほっほっほっ!まだいたのね!」
どぐわぁぁん!
その音を聞くと同時に。
そちらにむかってまたまたナーガの呪文が炸裂する。
「ああ!籠が!」
ひしっ。
吹き飛ばされる籠だけを保護し、そのままそこにうづくまるレイミアに。
その後から。
ひょこりと顔をのぞけているウサギが一匹。
「あらあら、ナーガ、今のはウサギが茂みを揺らしたのよv」
くすくすくす。
笑うあたしに。
「ふっ。おーほっほっほっほっ!」
とりあえず笑ってごまかそうとしているナーガ。
「ほっ。よかった爺はともかく籠は無事ですわ。」
いいつつも籠の中身の造花が無事なのを確認し、安堵のため息をついているレイミア。
「おーほっほっほっ。あら?あのクランベとかいう老人はどうしたのかしら?」
ふと見ればそこにクランベの姿がみえないことに気づいて首をかしげているナーガに。
「あらv今のナーガの術で吹き飛ばされてvついでにあいつらに捕まってるわよvクランベはv」
にっこり微笑み説明するあたしに。
しばらく沈黙。
「ふっ。まあいいわ!あんな人ほうっておいてとっとと先に進みましょう!」
そういいつつ歩き始めるナーガに。
「そうですわね。それに籠は無事でしたし。」
などとナーガの言葉に同意しているレイミア。
「あらvレイミアvでも手紙、クランベに預けてたんじゃあないの?」
くすりと微笑むあたしのその言葉に。
またまた再び沈黙。
「はっ!爺の命はともかくとしても!手紙がなければお金にはなりませんわ!」
さらりと面白いことをいって叫んでいるレイミアだし。  
「ついでにこんなものが城の一室においてあったりするのよねv」
ふい。
そういいつつすでに彼らが用意してあった手紙を湖のそばの古城よりと取り寄せるあたし。
そこには。

― 爺は預かった。五日後必ず手紙をもって四人でここにこい。
   こなかった場合、もしくは戻ってマクガレル公に報告した場合爺の命はないと思え。―

そのような内容が書かれている一枚の紙切れが。
「あら、リナ、またいきなり空間から手紙を取り出して。でもこれっておかしくない?私たち今三人しかいないわよ?」
首をかしげているナーガに。
「いやあの?お姉様?今リナさん…いったいどこから手紙…取り出しました?」
なぜか冷や汗かいているレイミア。
「あら、レイミア、人間別のところから一瞬にして品物を取り寄せるくらい、誰でもできるわよv」
にっこり微笑むあたしのその言葉に。
「…できません。」
などと即答してくるレイミアだし。
「ま、それはおいとくとして。簡単よ。まさかあいつらはナーガの術によってクランベを手に入れることができるとは。
   思ってなかったから、その前に計画を立てておいて。
   あたしたちが古城にたどり着いたらこの手紙をみるようにと、すでに罠を張っていただけのことよv」
にっこりと微笑みつつ説明するあたし。
「ま、まあ深くはつっこまないけど。だけどリナ、どうするの?まさかここに書かれているとおりに五日もまつわけ?」
そんなことを聞いてくるナーガ。
「その前にそろそろ日も暮れるから、そこの村ででも休みましょv」
あたしのその言葉に。
そのまま今日は湖のほとりにあるとある村にて泊まることに。



太陽はすがすがしく照り返し。
湖にその光が反射してきらきらと輝いている。
昨日の夜レイミアが湖のそばにたたずむ古城のことを聞いてみたところ。
当然のごとくにそこは十年前から誰も住んでいない。との返事を村人よりもらっていたりする。
『あんたたち、あの湖の城にいくのかい?
  悪いことはいわないよ。やめておいたほうがいいよ。あそこは呼ぶ。といわれてるからねぇ。』
そういいつつあたしたちにと食事を運んできていた宿屋の女将。
この湖にある古城はちょっとしたことで有名ではある場所。
ちなみにこの湖では毎月三人以上は死亡している。
といっても別にあたしのところに還ってくる、というわけではなく、
この湖に以前封印されているとある生き物が復活のために魂を集めている。
などとどこにでもあるようなありきたりのことをしているやつがこの湖にはいるのだが。
すでに視界には目的の場所の古城は目に見えている。
「…でもかわった城ですわね。」
などとぼつりとつぶやくレイミア。
湖にせり出したその城は、今にもちょっと風がふくと湖にと落ちそうなたたずまい。
「おーほっほっほっ!このナーガ様を甘くみたのが運のつきよ!おーほっほっほっほっ!」
などといいつつ。
高笑いをしているナーガ。
それと同時に。
ぽこっ。
ぽこぽこぽここっ!
その声と同時に湖にとある物体が浮かび上がる。
そして。
その浮かび上がった物体に向かって。
「おーほっほっほっ!あんたたち、あの城にいる者たちを。全員しびれさせてしまいなさい!」
などといいつつ高笑いをして命令していたりするナーガ。
「まあ。さすがお姉様ですわ。すばらしいです。」
ぱちぱちぱち。
こちらはこちらでそんなナーガの行動に手をたたいているレイミア。
「まあこの湖にはしびれくらげが多数生息してるからねぇ。」
あたしたちの目の前に、うぞうぞと浮かび上がってくるクラゲたち。
ちなみに。
このくらげ、水陸両用。
ついでにいえばこのくらげ少しばかり空を飛べたりするおまけつき。
ナーガの言葉に従って。
ずざざざざざ!
湖全体を覆いつくすほどのくらげ陣は、そのまま城の内部にと突進してゆく。

「…ま、まさかこのような手でくるとわな。」
などといいつつ苦笑い。
あたしたちが城にとたどり着くと。
面白いことにそのあたりにいるすべての生き物などは。
くらげに巻きつかれそのまま体をしびれさせたまま気絶していたりする。
中にはそのまま死亡していたりするものちょっぴしいたりするけども。
とりあえず累々と横たわる痺れて動けなくなっている生き物を足踏みにしつつ。
あたしたちはそのまま城の最上階にと向かっている。
そしてその最上階にいるのは一人の人間。
といいつつも。
その彼らがおとりとして使おうとしていた人形には目もくれず。
本物の人間が入っている動く鎧にしっかりと数十匹のクラゲが巻きつき。
隙間から中に入ろうとしている様子が見て取れる。
ちなみにこのクラゲ。
触ればその防衛本能で致死量の毒を出す、という性質をもっていたりする。
どうでもいいけど。
クラゲをその鎧全身に張り付かせていっている様は何ともこっけいで面白い。
「まあ、猫人間さんですわ!」
などといいつつ、見世物にしたらどれだけ稼げるかしら?
思っていまだにクラゲたちをなぎ倒している黒い人影をみて、そんなことをつぶやいているレイミア。
「豹だ!豹!黒豹!」
その言葉にすかさず突っ込みをいれてくるのは、クラゲたちを剣でなぎ払っている一人の獣人。
「―ゼクター。そんなところで遊んでないで。どうにかしてくれ。」
などとこちらはこちらで情けない声をだしている鎧の中に入っている魔道士の男性。

一方では。
「おーほっほっほっ!さあ、あんたたち、思う存分暴れなさいな!おーほっほっほっほっ!」
ナーガの言葉に従って。
この城の周りに生えていた無数の蔓もまたクラゲたちにと混じって城の中をうねり歩く。
かなり面白い光景ではある。
高笑いしているナーガの周りで次々に蔓に絡めとられ、
そしてクラゲに指されて気絶したりしてそのまま動かなくなっている人間たちの姿というのも。

「それで?わざわざそんな豹とそして下級魔族と合成して、 いったい何がしたいわけvフラオンv」
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・
『・・・・・・・・・・・・・・』
あたしのその言葉になぜか一瞬その場は静まりかえる。
「あ、あの?リナさん?フラオンって…」
「フラオン様といわれましたら。レイミアさま以外で時期領主の資格を持つ唯一の方ですな。
   じゃが先の大臣の暴走により影口にいたたまれなくなり、継承権を放棄してそのまま城を出られた。」
そういいつつ。
せかせかと。
一時クラゲによりしびれてはいたものの自力でその痺れをほどき、
逆に食べられるクラゲをよそって氷付けにしていたりするクランベ。
ちょっとした術は彼使えるからねぇ。
そういいつつちらりとレイミアをみて。
「そういえば姫様はフラオン様をすいておられましたなぁ。
   じゃが何しろ姫様はまだ乳臭い小娘。フラオン様があいてになさるはずも…」
などとさらっといっているクランベに。
「爺ぃぃぃい!助けにきてあげたというのにその態度は何ですかぁぁ!」
こちらはこちらで。
周りの状況をまったく無視して、じゃれあいはじめているクランベとレイミア。
ちなみに。
つかまっていたはずのクランベは。
先ほどまですやすやと眠っておりクラゲの襲撃で目を覚ましたという何ともほほえましい現実があったりする。
「ふっ。あんた人違いをしてるぞ。私は…」
そういいかけるゼクターと呼ばれたその獣人の言葉に。
「あらvそうかしらv」
くす。
軽く笑ってパチンv
ひとつ指を鳴らす。
それと同時に。
ゆら。
「な゛!?」
自分の意思でもないのに突如として獣人の姿、というか豹の姿から、
元の人間の姿に変わり行くのに気づき驚愕の声を上げてるし。
やがて。
彼の体が元の人の体に戻るその刹那。

「おーほっほっほっほっほっ!このナーガ様に逆らおうなんて百万年早いのよ!」
そういいつつ。
「グ・ル・ドゥーガ!」
こちらはこちらで。
とにかくナーガをとめようとやってくる刺客たちの姿をみとめ、いきなり呪文を唱えているナーガ。
それと同時に。
ナーガの呼びかけに応じてそこに闇が形となってゆく。
「やっておしまいなさい!この場をすべて無にするのよ!おーほっほっほっ!」
ちなみに。
狭い城の廊下に呼び出された魔王竜(ディモス・ドラゴン)はといえば。
ナーガのその言葉に従い。
そのまま。
ヴォイドブレスをあたりにと撒き散らす。
「おーほっほっほっ!見たかしら、私の実力って…んきゃぁぁぁぁあ!?」
ガラガラガラ・・・・・
当然といえば当然のこと。
ナーガのいうとおりにところかまわずにいきなりヴォイドブレスを吐き出す魔王竜の攻撃により。
そのままあっさりと城は崩れだす。

ガラガラガラ。
突如として天井から落ちてくる瓦礫と。
ずしんと響くゆれ。
そして。
そのまま。
ぐらりとたっていた床が揺れ、一瞬のうちに足元は崩れてゆく。

「んきゃぁぁぁぁぁぁ!?」
「うどわぁぁあ!?」
「「なにぃぃぃぃぃぃい!?」」
ザザザバァァァン!!!!
後には悲鳴のみを残して。
ものの見事に湖の中にと落ちてゆく城の残骸と。
そしてその城の中にいた人々の姿が。



「まあ、これだけ売ればかなりの金額になりますわ。」
などといいつつ湖から引き上げた刺客たち全員の身包みをはぎつつ。
ほくほくしていっているレイミア。
ちなみに。
ナーガの人徳によりナーガはクラゲに助けられ、湖の上を浮かんで進んでいたところ。
さらに湖にと浮かんでいるレイミアたちを発見して、そのまま陸に運んできたのであるが。
「しかし、どうしてマクガレル公の兵士が…」
どうせならやるからには身元を隠せばいいものを、ご丁寧にマクガレルの家紋をつけた鎧に身を包んでいたりする男たち。
とりあえず全員を捕まえ。
殺人未遂、という名目で近くの役場に届け出る前に。
【身包みはぎとりうっぱらいましょう。】というレイミアの意見により、あたしたちは彼らを身包みはがし。
そして今。
下着一枚にした男たちを役所にと届け出て、残りの彼らが身につけているものはすべて売り払い。
その手に入った金貨をみつつほくほく笑いながらいっているレイミア。
「ま、とりあえず。手紙を渡す相手は必要でしょうからv十年前に死んだ彼、ここに呼び出すわねv」
とりあえずは城はなくなったものの。
依頼内容はその城に住んでいる人に手紙を渡すこと。
すでになくなった城跡をみているレイミアたちにとにっこりと微笑み。
そう言い放ち。
そして。
そのまま。
ふわっ。
あたしの言葉に従って。
その場に一人の人間が突如として出現する。
「…ね、ねえ?リナ、今何やったの?」
リナってときどき私にすら理解できないことをするのよね。
などと思いつつあたしに聞いてくるナーガ。
あたしたちの目の前には。
少しばかり姿が半透明な一人の人物がそこにたたずんでいたりする。
「あ、紹介しておくわねv彼女がここに住んでいた人。ちなみに今のマクガレル公の乳母してた人よv」
あたしの言葉に目の前にいる人物がゆっくりと目を見開き。
そして。
『え、えっ?ええぇぇ!?私死んでいたはずじゃぁ!?』
なぜか目を見開いてバニックになっていたりするし。
「あ、シリア。とりあえずしばらく魂だけで存在させておくから。
  マクガレルの悪事、あんたの思うように彼に制裁加えてもいいわよv」
にっこりと微笑むあたしに。
「…え?えっと…ま、まさか…」
どうやらあたしが誰か気づいたみたいねぇ。
でも、
「わかってるわよねぇ?シリアv余計なことはいわないのv」
「は、はいぃい!」
ちなみにこのシリア。
マクガレルの乳母であり、そして彼が恐れていた唯一の人間でもある。
ちなみに出身はゼフィーリア。
「「…いや、だから死人をよみがえらせられるリナ(さん)(殿)って…」」
なぜか。
レイミア、ナーガ、そしてクランベの声が同時につぶやかれてゆく。


「うわぁぁぁぁぁぁ!?シリアおばさん!?」
どごげっ!
城に戻り再び謁見を申し出た私たちの姿をみて、そしてもう一人の姿をみとめ。
思わず叫びつつずざざっと後ろにと退いているマクガレル公。
そしてそんなマクガレルをそのまま。
脱兎のごとくに走りより、足蹴りしているのは。
あたしがちょっと呼び出した、かつてのマクガレルの乳母をしていたシリア。
ちなみに赤い髪と赤い瞳が印象深い。
「うふふふふ。まさかまた坊ちゃまをこうして教育できるとは。それで?坊ちゃま?すでに私がもうこの世にいない。
   というのにこのお方たちに私宛の手紙を言付けたのですって?うふふふふ。」
そういいつつにこやかに。
なぜかその手に剣を握り締めているシリア。
「な゛!?馬鹿な!?シリアオバ…もといお姉さんは十年前に死んだはずだぁあ!」
面白いまでに、マクガレルの悲鳴が城の中にとこだましてゆく。



「まあ、やっぱりフラオンでしたの。何て素敵な姿になって。」
こちらはこちらで。
湖でおぼれていたフラオンをみつけて救助しているエミリア。
そして自分たちを襲おうとしていた猫、もとい豹が、実は自分の従弟にあたるフラオンだと気づいて。
そのまま。
「―悪事を働いていたのを知られたくなければ。資金集めに協力してくださいな。」
にこやかにすみやかに平和的な交渉を持ちかけ。
結果として。
協力してくれなかったら肉食蜂の卵を植えつけてみちゃいたくなりますわ。
などという平和的なエミリアの交渉に、こちらはこちらで丸く収まっているこの二人。


「おーほっほっほっほっ! ナーガ様の手にかかればこんなものよ!おーほっほっほっほっ!」
ほくほくと。
マクガレル公より貰い受けた依頼料、もとい口止め料。
シリアの教育によりマクガレルがやろうとしていたことが明るみにでて。
そのまま黙っている代わりに依頼した金額の倍を払ってくださいますか。
という何とも現実的なエミリアの言葉に従い。
その金額を手に入れて。
トゥラーディア領地にもどってゆくレイミアとクランベと。
そして、獣人になっている、というので見世物として資金を稼ぐことになっているフラオン。
この三人はすでに先ほど領地に向けて出発し。
依頼料として金貨二万枚を受け取っているナーガの高笑いが響き渡る。
「ナーガはほとんど何もしてないけどね。」
ちなみにあたしもまた金貨を受け取っていたりするけど。
「おーほっほっほっ!リナ、これもすべては私の人徳のたまものよ!おーほっほっほっ!」
などと笑いつつ。
がばがばとジョッキを片手に度数の高いブランデーを飲み干しているナーガの姿が、
ここ、依頼を終えたフィガロ・シティの酒場にて見受けられてゆく。



「リナちゃぁぁん…」
「あら、これはあたしのよv」
「そんなことをいわないで、ね?」
などといいつついつものように。
今日も今日とて旅の空。
ちなみにナーガは一晩で金貨二万枚をすべて食事とお酒代につぎ込んだことはいうまでもない。
そんなナーガのおねだりをうけつつも、あたしは次なる旅先にとむかってゆく。
後日。
シリアにつれられて子供に位を譲ったマクガレルが精神を鍛えなおす修行、と称され。
とある国にと連れて行かれていたりする、というほほえましい現実と。
そしてまた。
フラオンは見世物小屋で有名になっていたりする、という何とも面白い現実があったりするけど。
それはそれ。


うーん。
もう少しあたし遊んでもよかったかもしれないわねv


                                  -リトルブリンセス2編終わりー


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  あとがきもどき:
     
     薫:うーん。エルさまが遊んでいるシーン。省いたの・・っは!
   (突如として何かが薫にとかぶさり、そのまま意識は昏倒してゆく。)


    L:はい。というわけでどこかにいった薫の代理のLですv
      まったく、こいつは。
      仮にも!このあたしが主人公!だというのに!
      今回もまたあたしがまったく活躍してないじゃないのよ!
      まったく。
      しかもあたしがマクガレルのところでちょっと遊んだシーンとか省いてるし。
      別にあの場を突如として重力変えたり、それとか空気をうすくしたりとか、
      あとは大雨降らせて部屋全体を水浸しにしたりとか。
      なぜかそれで数名息できなくなって仮死状態にまでおちいっていたけど。
      そんなところまでこいつ省いてるのよね・・・・。
    薫:(ぷはぁ!)エ・・エル様ぁぁぁ!
       いきなり人に袋をかぶせてしかも錘つけて、
       湖に沈めないでくださいぃぃい!(涙)
    L:あら、何のことかしらv
    薫:しくしくしく・・・・。
    L:それはそうとして。
      どうしてこのあたしが活躍してないのかしらねぇ?
    薫:ぎ、ぎくぅぅ!
      あ、あの?その手になされているスコップブラス、
      その桶いっぱいにもっている肉食蜂の幼虫は…いったひ(汗)
    L:あら、きまってるでしょv
      ここに穴ほって入れるのよv
    薫:ま゛ま゛ま゛ま゛っ!
      ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


  ドグベシャ!
   ドクドクドク・・・・・。


   L:ふう。
     人間の体って結構すんなりと穴ほれるわよねぇ。
     さて、ここにこの幼虫をいれてっとv
     何はともあれ。
     なぜか言葉もいえなくなった薫はおいておいて。
     ここまでお付き合いくださいましてありがとうございますv
     それではまたどこかで近いうちにお会いしましょうv
     それではねvv


(後には肉食蜂の幼虫に体を食い尽くされてゆく薫の姿がそこにあるのみ…)


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