まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

いろいろとページ編集作業してたら、時間が・・・あははは・・・・・。
しかも短編でなくこれを打ち込んでいる私って・・・・。
などとつぶやいている2003年の七月終わり・・・・。

・・・・ま、何はともあれ、エリたちの世界?とゆーか。
日帰りクエストの世界に入り込んでしまったセリナたち。
はてさて、この回でどこまでいけるかな? 

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白銀の旅立ち    ~出会いと別れは突然に~

「やっほ~!ラーディー!」
元気よくエリの声がこだまする。
ここ、新たな結界の町の中。
そこに位置する四つの塔。
この塔を鍵として、別の土地でも彼ら、竜人ギオラムが生きるための実験。
「あ、いらっしゃい、エリさん、セリナちゃん、ユーリ君。」
そういいつつ、青い竜人がひょっこりと顔を覗ける。
「……よし、でははじめようか?この球に魔力を入れ込めばいいのだな?」
とりあえず情報提供者でもある一人……いや、二人か?
セリナとユーリがこなければどうしようもない。
別にゴルンノヴァでもいいではないか、という意見もあるであろうが。
何しろ彼は今は町並みを建設するのに駆り出されていたりする。
まあ、疲れをしらず、しかも、幾人にも分身可能。
はっきりいってかなり便利な道具アイテムではある。
そういってくる銀色の肌をしている竜人、ゾムド。
この結界実験の責任者でもあり、彼らの国の国王の実の弟でもある、その彼。
ゾムドの言葉にそこに集まっていた竜人の関係者や、そしてまた。
この国、ファインネルの関係者の一部たちが固ずを見守る中。
そこに描かれた部屋いっぱいの魔法陣と、そして。
「うん、これだといちいち結界の最上階に閉じこもってなくても。
  これに魔力を絶えず定期的に補給するだけで、その力は発揮するから。」
セリナたちがもたらした知識のひとつに、物に魔力を蓄える。
というものがあり、それを応用し、結界の維持に努める。
という話がまとまったのはつい先日のこと。
そういうセリナのその言葉に。
「確かに。今までは結界の責任者は常に塔の最上階に位置していなければいけなかったからな。」
それが原因なのか、またはその因子があったのか。
間違いなく後者ではあるのであるが。
「……ベツァー殿の一件がありますからね……」
そこにいた一人の竜人がぽつりとつぶやく。
元、白翼の塔の責任者。
そしてまた、エリに強制的に戦いの最中に強制退出させられてしまい。
それだけではなく、次にたがえたときには屋根の上から顔面を足蹴りにされ。
その次のときにはエリが投げたちょっとした岩が顔面を直撃し。
気絶してしまった。という経歴の持ち主。
エリに対する憎しみから暴走し、狂ったベツァー。
まあ、それがエリが原因だと知っているものなど……はっきりいっていないが。
その言葉にうんうんうなづく数名の竜人や人間たち。
竜人、人間、どちらにも痛い思いとして彼の暴走は骨身にしみている。
そして、また、第二、第三のベツァーを作らないがためにも。
結界に閉じこもる、という仕組みをどうにか打破できないか。
そう会議がなされ、その結果、セリナたちからいい方法が聞きだせたのである。
まあ、彼女たちの知識をこの世界に伝えてもいいものか?
という意見はちらっとエリがいっていたりすれども。
そもそも、ここに、セリナたちが乱入してきた時点で。
もはや本来の時間軸からはこの次元は離れた未来に向かって進んでいるのは明白。
ならばよりよい未来にしてみちゃおうv
というのがセリナとユーリの共通した意見。
まあ、悪いことではないであろう。
「じゃ、いきますよ?」
とりあえず、この魔法陣の仕組みを完全にと理解ができて。
力を発揮させられるのはセリナとそしてユーリのみ。
どちらかといえばユーリは父親似で剣の腕の方が際立つのだが。
やはり、魔力ではセリナの方が格段に上なのである。
魔法陣の中心にとおかれている四つの丸い球。
それが東西南北にときっちりと置かれている。
その四つの球の前にとたたずんでいる四人の竜人。
その中の一人が青い竜人、ラーディー。

セリナのその声を封切に。
オーブの中に魔力を込める儀式は今ここに行われてゆく。

かっ!

まばゆい光が部屋を照らす。
それと同時に、ひとつの塔から伸びる三つの光。
それらはきっちりと各自建設されている塔にとのびてゆき、
光がのいたその後には中心にあったオーブはすでにひとつを省きそこにはなく。
いや、残ったひとつですら、
ふわふわとまるでゼリーのような、それでいてガラスのような物体にとオーブ事態が包まれて。
部屋の天井付近、ちょうど魔法陣の真上に当たる位置にとふよふよと浮いている。
これと同じ現象が残りの三つの塔の最上階でも同時に光の帯が伸びるのと同時に同じことが起こっているのだが。
「魔法陣、正常に起動、発動の言葉を。」
そして魔法陣の中心にたっているのは栗色の髪の女の子。
気のせいなのかそれとも気のせいではないのか。
その栗色の髪が銀色に見えたりもしているが。
そんなセリナの言葉を合図に。
四人が、発動の言葉を発してゆく。


それとともに。
四つの塔から薄い魔力の光と膜が出現し。
この新たな町を魔力の壁にて覆い尽くしてゆく。
これが結界実験。
彼ら、竜人は寒い所では活動ができない。
それゆえに異なる気候の場所でも生きていかれるようにとの実験。
その実験箇所にかつて、この国、ファインネルが偶然にと選ばれ。
そして、つい先日まで人とギオラムは敵同士であった。
だが、休戦条約が交わされ。

そして、今日。
新たなギオラムの町が王国の中にと誕生した。
その瞬間であった。





「どうやら私たちの時間率?やっぱりここの人たちとは違うみたいよ?」
のんびりとすごしつつ、いろいろと調べていたセリナがふとつぶやく。
「みたいだね。僕たちぜんぜん年とらないし?」
そうこれまたのんびりといっているユーリ。
栗色と金色の髪がかなり対照的であり、そしてまた。
二人並んでいればかなり絵になるこの姉弟。
「ま、当然というか、どうやら……ここ、僕たちがいた世界というか時代から?かなり前だからね。」
正確には千年と少し前。
そういっているのはとある命令でセリナと共にいることを決定づけられている、
とある世界のこれでも魔族でもあるゴルンノヴァ。
「う~ん?同一時間上の移動ならできるかもしれないけど?やってみる?
  あの戦いに乱入することにるかもしれないけど?」
などとさらっと爆弾発言をしているセリナ。
少しづつではあるが、ゆっくりと人とギオラムとの間で交流も始まった。
セリナが……人が彼らがもっていなかった知識をもっていた。
しかも、一夜にして町や塔を作り上げた。
という事実は今まで人を見下していた竜人たちの概念を一気に突き崩した。
セリナ達やゴルンノヴァが特別、というのをほかの人々がわかるはずもなく。
ましてや、異世界からやってきているなどという驚愕の事実を。
関係者以外、いったい誰が連想するであろう。
まあ、ここ、ファインネルの関係者は伊達にエリと付き合っていないがゆえに。
そのあたりのことには動じてないのだが。
「……それはやめておいたほうがいいんじゃない?
  この時代には……あそこには、まだ、【セリファナ】としてセリナちゃん、いたし……
  下手したら相互干渉でどっちとも消滅するよ?」
かつて、セリナはリナとガウリイの娘として生まれてくる前までは。
聖魔兵器、セリファナ。と呼ばれていた。
彼女のその当時の母親や祖父により命を助けるためにと。
合成獣にされていたこのセリナ。
「?よくわかんないけど。何か危ないことのような気がするから。とりあえずそれはじゃ、却下しよ。」
セリナはその自分がかつて破壊兵器だったことについては。
ほとんどというかまったく覚えていない。
その方が彼女のためであろうが。
「そうだね。その方がいいね。……で、戻る方法なんだけど……
  この時空の歪みからきている時空ゲート、これを利用するのはどうかな?」
そういいつつ、一体全体どこからそんな知識というかそんな細かいほころびに気づくのか。
この世界にあるちょっとした歪。
それを見つけてその力を利用しようと提案しているユーリ。
このあたりの勘は、彼は父親でもあるガウリイの野生の勘をかなり引き継いでいる。
つまりは絶対に人がわかるはずのない歪を見つけ出しているのだ、このユーリは。
そんなほのぼのとした話し合いをしつつ。
やがて季節は春にと向かって進み始め。
積もっていた雪の間からふきのとうが出始めてくる。

ここ、彼女たち、セリナ、ユーリにとっては異世界。
そしてまた村瀬エリにとっても異世界。
この世界に春が訪れ始めてゆく……

セリナ達がこの世界に乱入して、すでに一ヶ月以上が経過。
にもかかわらずにどうやったら元の世界に戻れるのか?
ほとんど昼間は遊びつくし、もしくはいろいろと探検し。
夜寝る前の数時間、話し合いを開くセリナ達。

「う~ん、それかなり危険な賭けだけど……でも、このまま……というのも……ねぇ?」
そういいつつ、うんうんうなるゴルンノヴァ。
「でも、ゴルお兄ちゃん?何事もやってみないとわかんないよ?」
しぶるゴルンノヴァにそう問いかけるユーリ。
その言葉に。
「確かにそうだね。」
この約一ヶ月の間にいまだに人と竜人ギオラムとの互いにおける、敵対心はあるものの、
それでも少しづつではあるが、変化の兆しを見せ始めているこの世界。
あまりここに長居をする、ということは、この世界……否、この国の人々にとっても。
のましくはない。
暇だからと、怪我を治す……つまりは自然の気をその身に取り入れたり、
または細胞を活性化させる術というか仕組みなども伝授したセリナたち。
まあ、まだその程度だからいいとしても。
あまり大きな力を与えることは、この世界にとっても望ましくない。
ということは理解しているゴルンノヴァ。
「じゃ、決まりだね。」
「う~と、んじゃ、力が満ちる満月の夜に。」
太陽とそして月の力が満ちる満月の夜。
本来ならば日食などがかなり力を取り込みやすいのだが。
次の日食までまだかなり日がある。ましてや、月食も……

数日に及ぶ話し合いの結果。
とりあえずようやく話がまとまりを見せるセリナ達。



「え?出発?」
それは寝耳に水。とはまさにそのこと。
どうにか国としての体制が整い始め。
かつて壊滅した村の復興もまた、ゴルンノヴァの助力。
……正確にはセリナに脅されて…が正しいのだが。
かつてベツァー率いる部隊に壊滅させられた村なども。
ゴルンノヴァの力によって、とりあえずは復興している。
そのため、凍死者がこの冬出なかったのは彼らにとっても唯一の救いではあるが。
彼ら、ファインネルとそして竜人ギオラムが休戦条約を結び。
一種の平和条約……つまりは和平を結んだ。
というのは平和になった町の人々の口から時間をおかずに、近隣の国々などに知れ渡り。
それゆえに、この国に対して友好条約を結ぼう。
という国々が今現在、面白いまでに増えてきている今の現状。
その対応に追われているこの国の実質的な国王、クルーガー王子。
ばたばたしている状況なのでいまだに戴冠式は済ませてはいないが。
会議などに追われていたクルーガー達に挨拶に。
セリナ達の口からその言葉が発せられたのはまさにそんなとき。
「はい。あまりここに永いをすると歪みが大きくなる可能性もありますし。」
事実、彼らがこの世界にやってきたことにより。
本来の時間軸・・・つまりは、人と竜人との和平。
というのは本来ならば成り立たず……ゾムドの死。
というのでこの件は終わりを見せるはずであった。だがしかし。
セリナ達の乱入により、実際にはゾムドは死なず、そして、条約も結ばれ。
そして今にいたるこの実情。
「ああ、確かに、何の取替えもなくやって来ているんじゃったな。おぬしたちは。」
彼らが異世界からほかのものを召喚するときには。
こちらの世界とそしてあちらの世界、それを取り替えることにより、均等を保ちつつ召喚している。
が、どうやら話を聞く限り単体でどうやら異世界にやってきたらしいセリナ達この三人。
そんなゴルンノヴァの言葉にうなづいているロッドヴェル将軍。
そんな彼の言葉に腕を少し胸の前でくみ。
「はい。あまり異世界のことに干渉するわけにもいきませんし。」
そういって挨拶しているゴルンノヴァ。
もはやかなり干渉しすぎている。
というつっこみは本来ならば出てくるべきなのだが、
幸か不幸かそんな突込みをしてくる人間は今のここにはいない。
「でも、エリに何もいわなくてもいいのか?」
そういうクルーガーのその言葉に。
「でも今夜のを逃したら、きちんと帰れるという保障がないんで。」
ゴルンノヴァの代わりに答えているユーリ。
いまだにオーブには力は満ちてはいない。
それでも、あまり長居をするのは好ましくない。
それはまだ幼いながらも何となくだが理解しているセリナ達。
「とりあえず、エリお姉ちゃんには記録球にでも理由吹き込んでいるから。
  それ、クルーガーお兄ちゃん渡してねv」
にっこりとそういいつつ、金髪、蒼い目、長髪美男性。
ここ、ファインネルの時期国王クルーガー=ゼス=ファインネルにそれを手渡すセリナ。
異世界からの来訪者のはじめがあのエリであったことから。
ほとんどエリが普通・・という何とも間違った知識を埋め込まれているがために。
セリナ達の突拍子もない力や知識などにもあまり動じなかったクルーガーたち。
まあ、エリが自分たちの世界から本をもってきたときには。
これは便利だ!といって。
エリからその出版、印刷、などにおける知識をあちらから持ってきてもらい。
今まさにそれを実行に移している最中ではあるのだが。
後は結構便利な紙のすきかた……など。
エリがもたらした知識とそしてセリナ達がもたらした知識。
それは、この王国にとってはまさに革命的ともいえる事実であることには間違いはない。
「あ……ああ。」
そういいつつ水晶球・・つまりは記録球を受け取るクルーガー。
「じゃ、セリナちゃんたち?いきますか?」
そういいつつ、そんなセリナ達の横から声をかけてくる青い竜人。
別に人の幻影をまとってでもいいのだが、
それだと、バイザー親衛体調をからかえなくなるから、というエリの懇願によって。
こうしてこちらに別に用事があるときのみは竜人の姿のままでいるこのラーディ。
セリナ達が戻る。
というのをきき、ぜひにお見送りがしたいです!
といってきたのはほかならぬ彼女自身。
かるく別れの挨拶を交わし、部屋からでてゆくセリナたち。
「……いきなりというか…と…とりあえず。さて、先ほどの続きですがな?」
そういいつつ、テーブルに広げた地図に目をやるロッドヴェル。
「無謀にもわが国にやはり侵攻をかける国が一つ、これをどうするか…じゃな。」
どこをどう間違えたのか、情報というものはどこかでゆがむもので。
この地から竜人が撤退した。
そう伝え聞いたとある国が、ならばその戦いにおいて弱体化したこの国を自分たちの領土にするために侵攻を始めた。
という旅の商人の話をきき、ここ連日その対策会議に追われているクルーガー達。
「やはり、ここは……われらの国には彼らがいる。ということを。
  そちらに知らしめるのが一番…かと思うのじゃが…いかがかな?皆の衆?」
そういって回りを見渡すロッドヴェル。
「うむ。確かにロッドヴェルのいうとおりだ。
  事実、彼らの侵攻してくる今の道のりだと真っ先に竜人たちの町にたどり着く。
  ライラギオラム、ゾムド殿の書類では、今回の和平に反対していた彼らの仲間が。
  どう動くか不明なので今回の一件には尽力をつくしてくる所存。
  という書類も今日、あちらから届いた。……で、今後のことなのだが。」
セリナ達が出発する。というのであるならば見送りに出たいのは山々だが。
彼らは彼らでこの国を守る使命というか役目があるのだ。
頭の中で彼女たちにお礼と別れの言葉をとなえつつ。
会議の続きを行ってゆくクルーガー達であった。


見上げれば満天の星空。
そして空に浮かぶこれでもか!というほどの大きな銀色の月。
「あ、始まった。」
見上げるそんな中で、ゆっくりとだがやがて月が翳り始める。
その現象は近年まではこの国の人々は災い、もしくは何かがある前触れ。
そう捕らえていたのだが、エリがもたらした知識…それは。
太陽と月のめぐりの関係で起こる現象。
そう知らされたこの国の人々。
まあ、すぐには信じがたいが、それでも不安材料が減ったことには変わりがない。
納得できなくとも、それに順ずる何かの不安定ながらも理由があれば。
人というものはその不安から解き放たれる傾向があるがゆえに。
「うーん、もっといろいろと話を聞きたかったんですけど…仕方がないですね。」
人里から離れているその郊外。
広い草原の中でそんなことをつぶやいているラーディ。
「だが、お前たちには感謝している。達者でな。」
そういいつつ、どうにか執務を早く繰り上げて自室に戻り。
今日も今日とてお忍びでまたまた彼らの新王宮から抜け出してきているゾムド。
そういいつつ、手を伸ばす。
それはラーディーから人の別れの挨拶、ということを聞いていたがゆえに。
「うん、あのね?ゾムドお兄ちゃん?
  ラーディーお姉ちゃんに言いたいことは、はやくいっちゃったほうがいいよ?」
そういいつつにっこりと微笑むユーリの言葉に。
「うっ!」
言葉を詰まらせているゾムド。
「?ゾムド?何か私に言いたいことがあるんですか?」
「何だろ?」
きょとんと首をかしげている・・・セリナとそしてラーディ。
どこをどう見ても、ゾムドがラーディーを好きである。
というのは一目瞭然なのだが。
そのあたりのことに関しては…鈍いこの二人…セリナとラーディ。
ぽん。
「……がんばってね。」
まったく理解してないらしいラーディをみて本気で同情するユーリのその言葉に。
「と…とにかく、元気でな。」
「あ、ユーリ、そろそろ月が完全にかけるよ?」
そんな会話をしているユーリたちの横で空を見上げるセリナ。
月はやがてゆっくりとではあるが……その姿を完全にと。
太陽の影に多い尽くされ、そこに浮かぶはぼっかりとした黒い空間。
それに呼応するかのようにセリナが宙にと浮かせていたオーブが輝く。
そしてその中にある鍵のような物質がさらに銀色の光を増してゆく。
「我、ここに我の命ずるままに、わが意思により旅の扉をひらかさん。」
それに手をかざしつぶやくセリナ。
伊達にこれをいろいろと調べていたわけではない。
どうすればこれが発動するのかくらいはすでにセリナとて調べはついている。
そもそもこれはいってみればセリナの力のひとつであるがゆえに。
そうつぶやくセリナの声に呼応し。

オーブはやがて。
ぽっかりと虚無の空間の円を描いている月の中心にと浮かび上がり。

やがて。

かっ!

オーブから銀色の光の一つの帯が大地にとふりそそがれる。

「よっし!成功!」
一人ガッツポーズをとっているセリナに。
「みたいだね。じゃ、ほかのみんなにもよろしくね?」
そういいつつ、手を握り返しているユーリ。
「やれやれ……ようやく戻れるんだね。」
ほっと安堵のため息を小さくついているゴルンノヴァ。
「よっし、んじゃ、いこ!」
セリナの声にともない。
セリナ、ユーリ、ゴルンノヴァ。
彼らは空から伸びている銀色の光の帯の中にと進んでゆく。

セリナ達がその帯に入ったその刹那。
かぁぁぁぁ!
あたりをまばゆいばかりの白銀の光が多いつくし。
あまりのまぶしさに目を閉じたラーディーとゾムドが。
目を見開いたときには、すでに・・そこには。
光の帯も、そしてまた、セリナ達の姿もどこにもなく。
ただただ、風に草がなびくのみ。


「……な…何か出会いも突然でしたけど……別れも突然でしたね……」
「……だな。だが彼らのおかげで人との和平が実現したのも事実だからな。
  もしかすると彼らは神が使わせてくれた救世主なのかもしれないな。」
目を点にしていっているラーディの横でつぶやくゾムドのその言葉に。
「あ、もしかしたらそうかもしれませんね。」
……彼らは知らない。
これが実は面白そうなことになりそうだから。
というのですべてなる母がちょっとした気まぐれでセリナ達の移動先をここに指定した。
ということを。
……まあ、世界のすべてをつくった存在がそのように気まぐれでいろいろと何かをすることがある。
ということ自体……普通はわかるはずがない事実であるのだから。
彼らがいいように解釈しても……仕方がないのかもしれないが。
彼らは、元の世界にと戻っていったセリナ達を…神が使わした救世主。
それで一つの納得を見るのであった。

「うきゃぁぁぁぁぁ!」
「うわっ!?」
ドスン!
光の奔流に一瞬飲み込まれたとか理解したその直後。
彼らはいきなり大地にと上空から出現しそのまま地面にとたたきつけられる。
「お……おもいぃぃぃ……」
セリナとユーリをその背中にうけて伸びているゴルンノヴァ。
「……えっと……あれ?確かに私たちの…世界…だよね?」
ゴルンノヴァの背中にのったまま……つまりは押しつぶしたまま空を見上げるセリナ。
「うん、確かに精霊世界の仕組みは……違いないんだけど……」
そういいつつもこちらもまたゴルンノヴァを押しつぶした格好のまま。
空を見上げて回りを見渡すユーリ。


彼らが見上げる空は……どんよりと、力がまるで拮抗するかのように。
たえず不安定な要素を見せている。
見上げる空は……透き通った青いそらではなく。
まるで、血のように真っ赤な雲に覆われた部分があるかとおもえば。
逆に真っ黒の雲で覆われている。
そんな感じの広い空。



「……って、また失敗してるじゃないかぁぁぁぁあ!」
その空気は覚えがある…というか。
聞いたことがある…というのが正確なのかもしれないが。
つぶされたまま空を見上げるゴルンノヴァの叫びが。
草木一つすら生えていない地面にと・・・響き渡ってゆくのであった。

よいしょ。
とりあえずゴルンノヴァの上からおりて。
服をかるくはたき整えつつ。
「……えっと……仕組みは…っと……あれ?過去?」
「……セリナちゃん…さらに過去にきて…どうするのよ……」
ため息まじりのゴルンノヴァのつぶやきがむなしく響く。

セリナが移動した先。
それはさらに……確かにセリナ達の世界には違いはないのであるが。
……さらなる過去の世界…であるのであった。

「う~ん、ま、とりあえず元の世界には戻れたし。」
「セリナお姉ちゃぁぁん、これは元の世界とはいわないんじゃぁ……」
あっさりとぽんと手をたたいて納得するセリナに突っ込みをいれるユーリ。
「とりあえず、なっちゃったものはしかたないじゃない?
  過去は振り返らない!ということでこの世界の情報収集にいってみよう!」
などといいつつ、人の気配がする方向に歩き始めてゆくセリナ。
「……ねえ?ゴルお兄ちゃん?
  何か今度は…果てしなくいやな予感…するんだけど?僕の気のせいかなぁ?」
「……いや、気のせいではないとおもうよ…ユーリ君……」
気配からして……どうやら、ここは……この時代は。
そんな会話をしているユーリとゴルンノヴァに。
「ほら、二人とも早くぅ!」
何とも前向きな姿勢のセリナ。
このあたりの性格は、母親であるリナ譲りなのである。

セリナ、ユーリ、ゴルンノヴァ。
彼らが移動した先は……今まさに、大戦の真っ只中の。
後に神魔戦争……と呼ばれる時代の真っ只中であることを。
セリナはまだ知らない。


「ええええええええ!セリナちゃんたちもどったの!?ちっ!」
四日後、いつものように彼女たちの世界では日曜日。
こちらの世界にやってきたエリが悲鳴を上げる。
「あ~あ、もっといろいろと聞きたかったのになぁ。」
などとつぶやくエリであるが。
それでも、一応はセリナがくれた代金…というのが。
これがまた、宝石というか純金であったがゆえに。
親友に頼んでお金に換えて…という方法をとり。
また、なぜかもっていたという彼女たちの世界のお金をも手に入れているこのエリ。
ゴルンノヴァが以前そちらの世界にお使いでいったときにどうやら使わなかったお金を。
セリナたちが買い取ったとある小説の代金として支払ったのであるが。
その小説とはいうまでもなく……彼女たちの両親の話が小説になっている。
エリの世界では普及している、【スレイヤーズ】という小説のことである。
「ええ、エリさんによろしくといってましたよ?」
いつものように町をあるきつつそんな会話をしているエリとレキサンドラ。
「あ、エリさん、あっちに面白い露店がありますよ!」
「え!?本当、いこ!ラーディー!」
とりあえず春先になりまた姿をみせた人の幻影をまとったラーディ。
なぜ冬の間は姿を見せなかったのか?
というクルーガー達の疑問にはエリが機転を聞かせて。
「どうやら彼女……寒いと持病の心臓の病が悪化するようで……」
などといった口からでまかせをあっさりと信じ込んでいるクルーガー達。
美少女は病弱である、というどこか思い込みがある人の深層心理を利用した説得ではある。
それゆえに冬の間姿をみせなかったのは……まったくといっていいほどに。
怪しまれてはいないこのラーディ。
彼らの世界は……これから先が見えない道にと進んでゆくが。
とりあえず、エリやラーディにとっては人とギオラムとの共存。
ということが実現しそうで何ともうれしい今後ではある。
そんな会話をしつつ、今日も今日とて、女の子のお約束。
ショッピングとそして食べ歩きに没頭するエリとラーディたちであった。


                        -続く-

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あとがきもどき:
薫:とりあえず日帰りクエスト編はおしまいv意味になってなかったなぁ。
  うーん・・・・・。何はともあれ。お付き合いいただきましてどうもです。
  ・・・・・最近、またまた体調・・・おかしいかもです。
  ・・・・目がかすみがかかったようになるときが・・・。
  しかも久方ぶりに心臓痛くなるし・・・あぅ・・・。
  本当は週に三回のところの薬をただいま毎日飲んでおります。
  うーん・・・・悪化・・・・してくれるなよ・・・くすん。
  疲れが一気に出てきているんでしょうかねぇ?
  謎です・・・・・・。
  というわけで打ち込んでたんですけど、体調が思わしくない。
  と判断して寝ました。
  とうとう今日から八月です。
 ・・・・・ああ、日にちがたつのは早いですねぇ?
 学生のみなさん、宿題おわりましたか?(こらこら)
 とりあえず私は仕事に行く前までにどこまでできるか。挑戦です。
 ではでは・・・・・・。
2003年8月1日(7月31日から繰越)

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