黒曜の宝石 ~古よりの因縁再び・・・~
人々が目にしたものは。
銀色としかいいようのない。
かつて人であったその姿は。
一瞬のうちにと変化を遂げ。
すでにあたりはもう彼らが放つ衝撃派にて、見渡す限りの荒野と成り果てている。
そんな中。
その中心にて見合っている二つの影が見受けられ。
もくもくと立ち上る煙も異にも解さずに。
そのままその荒野とかした大地の中心にて見合っている金色の髪の男性と、
そして銀色にと輝く魔獣、としかいいようのない姿が。
その姿はよく目にする姿かたちとは異なるが。
だがしかし、もう一人、そこにいる青年がもっているそれは身間違えようもない青く輝く光の刃。
それが伝説の光の剣であることは疑いようもなく。
「勇者の末裔がこの危機に参上してくださった!」
わっ!
誰ともなくそんな声が人々の中からあがりゆき巻き起こる歓声。
元、北の神官長であるカイルがザナッファーの封印をといた。
というのはもはやもう誰の目にも一目瞭然であった。
すでにもうカイルの姿ではなくそこにいるのは古の魔獣、ザナッファー。
かつて魔道都市、すらとも呼ばれていたこの地が、その総力を挙げても倒せなかった伝説の古の魔獣。
その話は今日日、小さな赤ん坊でも知っている。
というほどにここ、サイラーグの町では有名すぎる伝説。
それでなくてもザナッファーが復活した。
それだけで人々は絶望のふちにと立たされかけていたところに。
光の剣を受け継ぐ勇者の末裔がそれと対決している。
それだけで人々の中に希望の光がともってゆく。
彼らにはどうすることもできない。
できないままにこのたび無慈悲にすでにもう町の半分以上は壊滅させられ。
おそらくは、北の町はもう…。
そんな予感が人々の中にめぐりゆく。
まあその予感は事実ではあるが。
絶望、という声すらもそれぞれの心に芽生えたときに聞こえてきたその言葉や目にした姿。
それらは人々に希望、という光を新たに見出させるのには十分すぎるほど。
嗚咽と悲鳴と、そして泣き叫ぶ声のみが響いていた町の中。
やがて、それらの声は勇者の末裔、と呼ばれるその人物にむかっての祈りの声となってゆくにはそうは時間はかからない。
「くっ。」
ぽたり。
赤い血が流れ落ちる。
すでにもう、その体を保っているのもやっと。
そのままずざっと手をかばいつつ退くシルバート。
明らかに剣技において勝てるものでもなく。
そして。
「貴様、本当のこの人間ごとこの私を滅する気か!?」
思わず叫ぶ。
普通、人間というものは自分の身を犠牲にしてでも、または人質、ともいえるものをとっていれば。
それを気にして行動ができなくなる、というのが普通ではないのか。
そんなことを思いつつ。
「別にオレにはそいつは関係ないし。―それに、このまま殺してやったほうがそいつのためだろう?」
たとえ、このザナッファー、シルバートと分離する方法があったとしても。
人に戻ったカイルとかいう神官にのこされている道は。
人々による裁き。
人々はもう彼がザナッファーを復活させたことは確信をもっているであろう。
そんな状態で万が一彼が普通の人間に戻ったとしても。
彼にはもう後がないのは明白。
「それに、別にオレは人質がいようと関係ないしな。」
淡々と言い捨てるそんなガウリイの言葉に。
「お、お前はそれでもにんげんか!?」
などと叫んでいるシルバート。
「お前にはいわれたくはないな。
さて、このままその肉体を殺してもいいが、それだと貴様はまた違う肉体を得て、動き回るだろうからな。
―そろそろ決着はつけさせてもらおう。」
ベースになっているのはあくまでもカイルの体。
それにシルバートは取り付いているだけ。
ある意味幽霊のような存在のようなもの。
―実態をもたない生命体、それが魔獣ザナッファー達。
そのうちの一人、シルバート。
それゆえにもともとが精神世界に果てしなく近く存在している生命であるがゆえに、
普通の人間程度の魔力容量(キャパシティ)程度の魔法では。
彼らに傷をつけることは不可能。
もともと彼らは本来ならば精神世界とそれを身に着けている存在を。
切り離すべく役割を担うべき役目を帯びているよろい。
それが彼らの基礎ともいえる本来の姿。
だがしかし、いったいどこをどう間違えたのか、彼らが作り出された元となる写本には。
それは生体兵器、そう明記され、まあ確かに間違ってはいないが。
そして。
それを作るのに魔の介入が加わったことにより。
彼らザナッファーは完成したのである。
それも今は昔のこと。
その事実を知るものは今はもう人ではいない。
一度この町サイラーグはかつてザナッファーの手により消滅した。
今ある町はそれ以後に再建されたもの。
そして。
今まさに、再び。
かつてと同じようにザナッファーにと滅ぼされようとしているサイラーグ・シティ。
「さて、と。いい加減にそろそろお遊びもやめにしようか。」
そういいつ、すっと剣を構えなおし。
「―ゴルンノヴァ、許す。あのものの魂とそしてその力、精神を喰らえ。」
そういいつつすっと剣を前にと突き出すガウリイ。
「―方法は、まかせる。」
その言葉に。
『了解。』
ガウリイが手にしている剣の刃から声が漏れる。
「くっ!わさわざおめおめと殺されるか!」
そういいつつ、すべての触手を総動員し、そしてまた。
その手のつめを鋭くのばしガウリイにと襲い掛かるザナッファー。
と。
その場から二人の姿が掻き消えたかと思うと。
あたりに響くのは何やら剣とおそらくは硬いものが入り混じる音。
普通の人間ならば残像もみえずにただ音と何かが打ち合うおとと、衝撃波。
それだけが感じ取られるであろう。
だが、次の瞬間には。
次に彼らが姿を現したときには。
ガウリイのその光る剣は。
ルエクの胸を貫いていたりする。
「か…はっ!」
どさりとその体が大地にと倒れ付す。
「邪魔だ。すべてかき消せ。」
その言葉に従いさらにその肉体をつらぬいている光の刃が青く怪しく輝きをまし。
次の瞬間には。
「ば…か、な!?」
ザァっ。
何ともあっけない、本当に何の抵抗もほとんどしないままに。
シルバートはガウリイの光の剣によって再び今後こそ、滅ぼされ。
その体すらもか゛風にととけきえゆく。
人の身で強い瘴気を浴び続けていると肉体は腐り。
ガウリイの今はなったちょっとした衝撃ですらも。
カイルの体は持たなかったのである。
まあその光の刃に自らの精神力を叩き込み、そしてまた。
その光の刃を形成しているとある存在の力までをも使いこなしているガウリイに、普通に考えても勝てるものでもないのだが。
やがて、一夜あけた朝方。
人々が目にしたものは。
すでに廃墟と貸した町並みの中にできたすでに町並みを失った光景。
そんな風景の中に朝焼けの光の中にたたずむ一人の青年の姿。
ガウリイがザナッファー・シルバートを滅ぼしたのは。
シルバートがサイラーグ・シティを攻撃し始めた次の日の朝のことであった。
人々の目に金色にと輝くその髪が目に焼きついてゆく。
トンテンカン。
人というものは結構しぶとい。
もう脅威は去った。
そう判明し、その日より復興に向けて人々は動き始める。
さすがに一夜明けただけでは身内や子供を失った人々の悲しみはいえないものの。
それでも町は復興に向けて動き出す。
それはまるで一夜の悪夢。
つい先日まで生きていた家族が不条理な攻撃により命を落とした身内にとっては。
やり切れるものではなく。
そして、その怒りは。
おそらくは間違いなくザナッファーを復活させたに違いない北の地の神官長にと、怒りは向けられる。
数名が落ち着いたのちに北の町にと出向いたものの。
そこにあるのはすでに廃墟のみで。
あたりには何ともいえない近寄りがたい何というか瘴気が立ち込めている。
伊達に魔王が復活した跡地ではない。
その魔王が残した痕跡はその地を完全に死の空間一歩まで傷跡を残し。
そこには草の一本すらも生えてはいない。
かろうじてあるのは。
かつてどこかの子供が遊び半分で取ってきて植えた、フラグーンの苗木のみ。
それがあたりに漂う瘴気を吸収しつつ、すこしづつではあるが成長している。
そんなもののみ。
北の地の生き残りを探してみたものの。
そんな姿は見当たらず。
北の町の人々は全滅。
そう、結果が出て正式に発表されたのはそれからさらに数日後のこと。
「ここにルシェール=ラナ=ノースを。
その身をもってこの地を守った聖なる巫女として銅像をたて。あがめることをこれをもって宣言する。」
数日後。
すでに気づけば光の勇者たる末裔であろうガウリイの姿はいつのまにか町の人々にすら、知られることなく姿を消しており。
いまだにごたごたしているもののそれでも復興を遂げてゆくサイラーグ・シティ。
混乱の中、カイル神官長が空中より叫んでいたことが事実だと。
占い師の言葉をもってしてもそれが証明され。
この地、サイラーグシティの中の広場。
その中心にルシェールを模した銅像が立てられてゆく。
その式典のさなか。
「これより、継承式を執り行う。シルフィール=ネルス=ラーダ。」
「はい。」
人々が見守る中。
シルフィールは一歩足を前に進みだす。
「別にあんたが魔王として復活しようとオレには関係ないがな。とりあえずこのたびのオレの一族がかかわっていたから。
身内の始末は自分でつけた。それだけのことだ。もっとも、あんたの中にはまだ魔王の力は残ったまま。
ま、竜王の力が働いているようだからめったなことでは封印とけないだろうがな。」
町を出るとき、家を出るときにいっていたガウリイの言葉。
それがうそか真実かはわからない。
わからないが。
確かに自分の中にとてつもない何かの力が眠っている感覚は、以前から感じていたこと。
そして。
シルフィールは真実を。
自分が実はエルクとルシェールの子供で、そして。
この地、サイラーグでは二つの血筋が交じり合ったときに紅い魔が復活せん。
という言い伝えがあったことから二つの町の住人の間の結婚はタブーとされ。
そしてまた、生まれた子供は今まで闇から闇へと葬られていた。
という事実もまたシルフィールは知らされる。
それはそれでショッキングの話ではあったが。
だが、ルシェールの中に宿った新たな命。
それを守るために、エルク、ルシェール、そして…エミーリア。
そして魔法医をしている親戚にあたるグレイ。
この四人の計画によりシルフィールは無事にこの世に正を受けた。
ということ。
そして、ルシェールはそのときに。
ちょっとした病気にかかり、それでもシルフィールの命を優先させたがゆえに。
彼女を産み落としてしばらく。
そのまま意識不明となり、そして目覚めた次のときには、何でもすでにもう子供が産めない体になっていたとか何とか。
『もう、シルフィールも子供ではないから話してもいいころだろう。』
さすがに町の人々やシルフィールも魔王が復活云々。
ということはきいている。
そしてまた。
ガウリイはガウリイでシルフィールの目の前でルシェールを斬った。
そうはっきりと断言していたことから。
エルクは告白することに踏み切ったのであるが。
数日前。
あのとき聞かされたことはシルフィールにとってはすべてがショックを受ける内容。
それにもまして。
それを一言も言わずに自分を育ててくれたエミリーアと。
そして。
そんな自分を暖かく自分が母だとは一切名乗らずにいたルシェール。
その二人の想いはまだ子供を持たないシルフィールにはよくわからない。
わからないが。
二人が、いや、全員が。
シルフィールを守るためにうそをついていた。
というのはもうシルフィールは昔のような小さな子供ではない。
ヘルのことは。
父には話さないでおいた。
そのほうがいいと判断し。
そして、自分の中に紅い魔力が眠っている。
そのことは父も母達も危惧していたり、また確信をもっていたりした。
ということも。
そんな自分に気づいて魔があのヘルを利用したのに他ならない。
その事実に今のシルフィールは気づいている。
ルシェールがその命をとして助けた自分の命。
その償いは。
この町を巫女として導き見守って行くこと。
そうシルフィールが決意したのは。
それが今日の儀式にと結びついている結果に他ならない。
「シルフィール=ネルス=ラーダ。汝は赤の竜神(フレアドラゴン)スィーフィードの名の下に。
今聖なる巫女の地位を受け継ぐことをすべてにおいて誓うか?」
王国より派遣されてきた賢者とそしてセイルーンよりやってきている賢者の声が。
いまだに立て直されているさなかの神殿の礼拝堂にと響き行く。
「―誓います。この命は竜神の名のもとにあることを。」
この日。
サイラーグ・シティに。
新たなる巫女頭がこの日をもって誕生したのであった。
ザナッファーの残した傷跡は。
それはそれでかなりのものではあったが。
人々はその悲しみを乗り越えて。
復興の道のりを進み始めてゆく。
シルフィールの巫女頭就任は。
そんな人々の希望の光、ともいえるべきことではあった-…
-続くー
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まえがき:
ゆ・・・ゆだんしてました・・・・・。
父がいるんだから気をつけないといけないけど。
・・・・・い、いつの間にかモモを外に出してるし・・・・・。
どーりでルナがうるさい・・・・(汗)
もどってこぉぉぉぉぉぃぃぃぃぃ!
しっかし、いくらいってもどーして窓を開け広げてうろうろするの。
直らないのでしょうか・・・うちの父親は(怒)
父がいる日で私が休みの日は部屋にずっと閉じ込めとくかなぁ・・猫ども・・。
うーみゅ・・・・(汗)
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あとがきもどき:
薫:・・・・何か意味不明?ま、いっか。
とりあえずいいたいことはいってるだろう(多分・・・・←お゛い゛!)
さてさて。
シルフィール、苦難(?)を乗り越えて。
巫女頭にと就職です。
さてさて。
・・・・まじでエピローグ・・・・どうしよ?うーん・・・・。
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