黒曜の宝石    ~エピローグ~



思い出したのはほんのきっかけ。
「シルフィールさぁん、郵便でーす!」
町を再建させようとがんばっていた彼女、シフィールの元に。
ある日、手紙が届けられる。
かさり。
それを開き。


「こ、これは。」
その内容と差出人に思わず目を見開いてゆくシルフィール。


今までのことが一気に脳裏にと去来する。



何をいっているのだろうか。
なぜかここずっと見たことのない彼女たちの姿が目の前に。
「ルシェール母さん?エミーリア母さん?」
手を伸ばし話しかけようとするが。
体が動かない、もどかしい。
手を伸ばしても届かない。
「まって!」
呼び止めようとするが二人の姿はどんどんと遠くなっていき。
その先に。
「お父様!?」
その先にいるのは。
二人の先にたたずむ一人の男性の姿が。
そこにいるのは紛れもなく、彼女、シルフィールの父親でもあるエルクの姿が。
そして。
二人に連れられて父は光の向こうにとー……
「まっ!!!!」


「まって!お父さま!」
がばっ!
思わず飛び起きる。
はぁはぁはぁ。
息が切れる。
「どうした?シルフィール?」
横から聞こえてくるその声。
「あ…夢……」
周りを見渡せばどこかの洞窟の中。
そっか。
わたくしは。
「疲れてるんじゃないのか?」
そう問いかけてくる人物は。
あきらかに人のそれ、ではあるが。
ぱちぱちと火をおこしているその肌は岩のよう。
「大丈夫ですわ。」
そういいつつ起き上がる。
―そう。
自分は今、父たちを助けるべく。
ちょうど町にきた彼とともにあの人物のことを調べていたその矢先。
気がついたらすべてはあの人物の言いなりになっていた。
父ですら。
その原因を調べていた最中。
彼と出会い、そして-彼が本物ではありえないことを聞いたのだ。
「大丈夫ですわ。わたくし。ちょっとお水でもくんでまいります。」
そういいつつ起き上がる。
交代で見張りをたてて今は逃げ惑っている状態。
彼が偽者であるのはあきらか。
「…あれは、神託と何か意味がある夢なのかしら?」
そうおもいつつ、水を汲むために隠れていた洞窟を後にするシルフィール。
「気をつけろよ。シルフィール。やつの実力は不明だからな。」
「ご心配、ありがとうございます。ゼルガディスさん。」
にっこりと微笑み。
その場を後にしてゆくシルフィール。


それはかつての出会いの再開。
その序曲。
「-ガウリイ様!?」
それは一瞬人違いかとも思ったが。
その金色の髪と碧い瞳は見間違えようはない。
だがしかし。
その瞳に宿っていた暗さは今はもうない。
「何よ?ガウリイ?知り合い?」
見れば一緒に手配をうけたもう一人の女性。
その女性を見つめるその視線がとてもやさしいものだと瞬時に気づく。
そうか。
この人があのリナ=インバースさん。
?どこかで?
シルフィールは覚えてはいない。
かつてディルスで姉であるルナとこのリナにあっている。ということを。
まあ当時のリナはまだ幼く、そしてシルフィールも。
そうか。
この人がガウリイ様を…。
リナをみているガウリイの視線で瞬時に判断する。
もうあのときのような十二の自分ではない。
あれから六年。
あれから自分でもいろいろと呪文などを勉強し。
白魔法ならばかなりの高位のものまで扱える。
黒魔法に関してはまだ怖く。
なかなかそれに手をだそうとは思えないが。
というのも。
冗談交じりで学んだ黒魔法最高といわれている呪文。
―その知識もきちんとしていないままにそれが発動してしまい。
それ以後あまり熱を入れて黒魔法には力を注がなかったのだ。
―万が一、自らの中にあるという魔王の魔力が暴走することを恐れて-…
「へえ、あんたが人の名前を覚えてるなんてねぇ。」
そういう栗色の髪の見た目まだ十二かそこら。
そんな少女のその言葉に。
「彼女、飯がうまいんだぜ。」
などとほんわりといっているガウリイの姿が。
以前の彼からは絶対に想像できないほどに。
「あ、そ、そーいう意味ね…」
などといっているその女性。
「あ、あの?」
そう問いかけるシルフィールに。
「みつけたよ。シルフィールさん。」
声が聞こえたのは-まさにそんな時であった。



それはかつてのガウリイとは信じられないほどに。
いいほうにと変わったガウリイの姿。
思わずそんな彼の笑顔にどきりとする。
当時は思わなかったけど。
もしかして、わたくしは…
などと思っているシルフィールではあるが。
だがしかし。
彼の視線はいつもリナにと向いている。
そして。
ガウリイをここまで人間らしくしたのは他ならないこのリナ=インバース。
という女性なのは明らか。

「気をつけろ!やつの後ろには魔族がいるぞ!」


彼から聞いていた二人の話。
そして。
かつて彼らが魔王を滅ぼした。という話も。
ゼルガディスから聞いている。

あの夢は、ただの夢よ。
この人たちと、というかこのリナさんといるとなぜだか、すべてがうまくいくような気になってくる。
何ものにもくじけない力、そんな感じをこの女性からは感じ取れる。
それは巫女であるから感じるのか、はたまた彼女がもっている力ゆえなのか。
それはシルフィールにはわからないが。





「くっ!くるぞ!」
リナたちと出会ってまもなく。
対峙した、偽者のレゾ。
そして、目の前で。
「急いで!」
結界を張り巡らせ、その場より空にと浮かび。

そして。

「お、お父さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
シルフィールの叫びが響き渡る。


それはリナとガウリイに再開して間もない出来事。
目の前で父が、サイラーグの町が確実にと崩壊され。


ドクン。
自らの中に何かが芽生えるのを。
シルフィールははっきりと自覚する。


この地に封じられていた意識は。
彼女の母であるルシェールがその身をもって封じたあれだけではなかったのであると。
彼女はその日。
昏倒する意識の中でそのことを自覚してゆく。


崩壊したサイラーグ。
それでも人々は復興にむけて歩き出す。
一緒に旅をセイルーンにむけてする中で。
リナが何ごともにも負けずに立ち向かっていく。
その性格はシルフィールにも憧れを抱かせるほどに。
彼女は命の輝きに満ちていた。
わたくしも、こんなふうに。
どんな困難にも立ち向かってゆく強いこころ。
それがほしい。
ルシェールがかけてくれた封印だけにたよった自分ではなく。
自らにできることを。

夢はいつも現実を示している。
それは彼女の能力なのか何なのかわからないが。
そして。
 夢の中、ガウリイが闇にととらわれ、そして。
リナもまた、闇にととらわれ、そしてその姿は金色にと。


そんな夢をみたのはほんの少し前。
「リナさん!?」
サイラーグの町が復活した。
そう聞いたのは一年もたたないある日のこと。
夢の中に出てきた姿も気になる。
「ガウリイ様はどうしたんですか!!?まさか、どこかに捨ててきたとか!?」
「…冥王(ヘルマスター)フィブリゾにさらわれちゃった。てへv」
サイラーグの町にと向かうシルフィールがであったのは。
リナとそして、幾度かその姿をみたことがある、セイルーンの皇女であるアメリア。
かつてともに戦ったことのあるゼルガディス。
その言葉をきき、シルフィールは。
そのまま気を失い。
あの夢が再び事実を告げていた。
ということを確信する。
それでは?
リナさんを包み込んだあの金色の闇…は?

どこかでみたことのあるような子供。
そして。
次に気がついたときには何もないただの荒野というかクレーターの中。
おそらくはフラグーンの樹の根があった場所であろう。
冥王の力により復活していたサイラーグの町はことごとくに消滅していた。


気になるのは気絶していたときにみたあの光景。


「―君は殺す、といったけど殺さないよ。お父様の魔力をもつ君はお父さまの器になるべく人間だしね。」

そういって微笑んでいた誰かに似ている…そう。
そのときにそういわれ、それが誰ににているのかはっきりとシルフィールは思い出した。
それは。
かつて自分が姉と慕っていた…ヘル。
その姿と目の前にいる少年はまったくもって瓜二つ。

そして。
金色の光に包まれているような雰囲気からも何からもまったく変わった『リナ』に攻撃を仕掛けて、そして滅び行くその様子を。
なぜか気を失っているはずであるのにシルフィールはその様子をすべて、視ている自分にとふと気づく。
いったい……
冥王により閉じ込められたクリスタルの中で。
そんなことを思うシルフィールの脳裏に。
『…あの人間…本当に人間か?(汗)あの御方をその身に召還するなどと…』
彼女の脳裏に自分とは異なる声をはっきりと聞き取ったその刹那。
何かの力で表に出てこられない、自らの中にいるそれ、の存在にようやく気づく。
それは。

「…赤瞳の…魔王…」

サイラーグが崩壊したことにより。
あの地に封印されていた魔王の意識の欠片。
それは、近くにもっとも自分の力に近いシルフィールの中にと、あのときより存在していたその事実。
つぶやく彼女の脳裏に。
今まさに。
リナがいったい誰に体をのっとられたのか。
瞬時に自らの中にいるそれの意識がリンクし。
目の前の『リナ』が誰であるのか瞬時に理解する。

あれは…

虚無の具現化。
その意味を、そのとき。
シルフィールは神託の意味すらも。
わかりたくはないが今はっきりと自覚し。
それより後にそのことについて彼女は研究を進めてゆくこととなる。





「え?手紙?」
様々な経験を得て。
今、サイラーグの復活のために里帰りしていたシルフィールの身に。
懐かしい人から手紙が届いたのは-…。


サイラーグの事件より一年と少しばかりたったある日のこと。
あふれかえるデーモンたち。
その気に押されて自らの体内にいるそれが目覚めそうになるその衝動。
いつ自分が自分でなくなるのか。
そんな不安にさいまなれているそんなとき。

シルフィールの元に。

ディルス王国から手紙がとどきゆく。


それは、すべての始まりともいえる、ディルス王国首都。
ガイリア・シティより。
アレクサンドラからの手紙。


一通の手紙がシルフィールの今後の運命を今、決定させてゆくのであった。



                                      -終わりvー黒曜の涙へ続くきますv-

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  ・・・何となくやっぱり気分がのっているときにとおもいつつ・・・・。
  というわけでこんにちわv
  なぜか連続してこれを打ち込みしている薫です。
  ただいま2003年の10月13日某日夜・・・・。
  ただいま母が知りあいからもらったという国産マツタケご飯たべつつの。
  打ち込みだったり(まてこら)
  お吸い物はとっとと飲んでしまったし
  (でも下におりたらまだ残りがあるはず!←だからまて)
  とりあえずこのエビローグ、支離滅裂です。
  シルフィールのほとんど回想、ですから(かなりまて!)

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 あとがきもどき:
      薫:・・・・・支離滅裂なエビローグと成り果てました(まてこら!)
        ところどころの回想シーン。
        正確な回想は(たぶん)涙で表現すると思いますので(あくまで予定)
        ご勘弁を。てへv
        まあ、何はともあれ。
        ・・・・・・シルフィール、とーとーその体内に魔王・・・宿してます。
        でもこれは七つの欠片のうちのひとつではないですから。
        あしからず。
        神魔戦争時代にまだ分かれてない時代。
        この地に魔王がちょっとした出来事で落としてしまった意識のひとつです。
        ・・・・・ま、まあさる御方に三日三晩説教をうけていれば。
        何があってもおかしくはないです・・・・あしからず・・・・。
        それではいつ打ち込みはじめるかわからない次回、涙でお会いしましょうv
        それではvまたいつかvv


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