黒曜の宝石    ~崩壊!サイラーグシティ!?~




それがいったい何を示すのか。
理解するのには情報がなさ過ぎる。
いきなり突如として北の地にて行方不明者が続いている。
そんなその矢先。
それでなくても町外れの半分すでにクレーターと化してしまった場所の復興を、手がけないといけない。というのにもかかわらず。
北の地にと出向いていった人々は、なぜかことごとく姿を消した。
そして。
国から調査隊が出向いてくるまで、そうは時間はかからない。
それは原因不明の壊滅を遂げた、町の一部を調査するために、派遣されてきた人々なのであるが。
だがしかし、そんな人々も北のサイラーグの町にはいりしばらくして。
やがて音信普通に。
それは、謎の町が破壊される、という事件から数日が経過した日のこと。

サイラーグの町はその不可解な出来事に。
不安の色を濃く人々はいだいてゆく。



「お口に合いますかどうか。」
まるで相手にもされない。
というかどこか冷たい感じを受けるその青年。
シルフィールの周りには絶対にいなかったそのタイプ。
どこかで出会ったことがあるような気がする親近感。
そういいつつ、部屋にと食事を運んでゆくシルフィール。
ガウリイ、と名乗った青年がここ、シルフィールの家に滞在し始めて。
はや数日。
毎日のように何かを調べているようだが、それがいったい何なのか。
シルフィールは知らされてはいない。
この部屋に入るたびになぜか冷たい空気にさらされているような感じをうける。
「そこにおいといてくれ。」
そういいつつ懐から何かを取り出し食事に振りかける。
その様子をみて。
「あ、あの?何をなさっているのですか?」
疑問に思い問いかけるシルフィール。
まあ当然ではあろう、持ってきた食事のすべてにその小瓶に入った何かを振りかけているのだから。
「別に。―万が一のときのために解毒剤を入れているだけだ。」
「な゛!?」
冷たいまでにシルフィールの目を見ることもなく何でもないようにと言い放つ。
彼-ガウリイにとってはそれはもう日常と化している。
昔から家族から、一族から常に命を狙われて、食事に毒などを盛られることもしばしば。
そんな彼が自力ですべての毒を中和させる、または効果を弱くする薬を配合するのは、当然の成り行きといえば当然のこと。
だがしかし、そんな裏の事情をシルフィールは知るはずもない。
「そん…な!毒なんてはいってません!ひどすぎます!」
思わずその場で叫び返す。
目に涙が浮かんでくる。
本当にこんな人があの光の勇者の末裔なのか、という疑問も浮かんでくるが。
「用事がすんだんならもう出て行け。―それとも、何か?夜の相手でもしてくれるのか?」
その言葉に。
「な゛!」
バン!
勢いよくそのまま扉の外にと出てゆくシルフィールの姿が。
「何なのですの。あの人は。あんな…冷たい瞳をして。あんな……」
なぜだか悲しくなってくる。
あの瞳は-すべてを拒絶し信用してない瞳。
彼に毒を盛った、など彼が本気で思っている、というのではないのは、様子と雰囲気からみてそれはわかった。
ただ-おそらく彼はそうすることがもう日課となっているのであろう。
当然のこどこくにその薬をかけて何か入っているかもしれない食べ物を食べる。
-そんな生活をしている人など。
かつてシルフィールは一人だけ、心当たりがあった。
「…そうか、あのガウリイ様は…」
ふと、そのことを思い出してどうして邪険にされてもほうっておけないのか。
というのに何となく思い当たる。
彼は-似ているのだ。
命を狙われていた、知り合い-アレクに。
彼の場合はその性格が明るかったからあれですんでいたのであろうが。
―だが、もしも回りに味方がいなかったらこのようになったのではないか。
などという思いがシルフィールの脳裏を掠める。
「―でも、あんな人に任せては置けませんわ。―ヘルお姉さんの仇はわたくしのこの手で。」
そうつぶやき数日前から計画していたそれを実行することにしているシルフィール。
今日は新月。
月明かりはそれゆえに皆無。
ディルスで所得した浮遊(レビテーション)の術を少しばかりアレンジし。
そのまま完全に夜が更けるのを確認し。
そっと屋敷を抜け出してゆくシルフィールの姿が。

母が死んでから、ヘルとそしてルシェールがいたから今の自分はある。
今はルシェールが義理の母親、という形になってはしまったが。
どこかでそれは認めていないシルフィール。
自分の母親は先にも後にも一人だけ。
そう思っているがゆえにルシェールのことを今までどおりにルシェールさん。
そう呼んでいる。
そして。
血のつながりはなくても自分にとっては、本当の姉。
ヘルの仇は。
おそらくまだ生きている。
それは北の町で相次いでいる行方不明事件に絶対にかかわりがある。
そう確信したからこそ。
父と、そしてガウリイの会話を盗み聞き。
その確信を得たからこそ、今日、シルフィールは計画を実行することにしているのだ。



そっと寝静まったのを確認し屋敷を抜け出す。
だが、いつも夜遅くまで父であるエルクとそして何でも光の勇者の末裔。
と父は説明していたが、そのガウリイとは最近夜遅くまで何やら話し込んでいる。
書斎からはいまだにもれているかすかな明かり。
そっと気づかれないようにと窓から抜け出すシルフィール。
すでに外は夜の闇が押し寄せ。
新月、ということもあり、かろうじて、ところどころにある、明かり(ライティング)をかけられている街灯の明かりがあるのみ。


タタタ。
「絶対に神殿に何かあるはずなのよ。」
先日の爆発から逃れた人々は。
ルシェールを含めて数名。
そんな人々がこの数日にどんどん襲われ。
帰らぬ人となっているのは事実。
そして、その人々が息を引き取る間際に。
そろっていっている言葉がひとつ。
『カ……ル…神…長…ど……て…』
息も絶え絶えにそろって全員がその言葉を口にした。
それだけでは誰が犯人かはわからないが。
それでも、それは勘。
おそらくそれは北の神官長、カイルのことを指し示している。
そうシルフィールは判断し。
このままではいつルシェールが狙われるとも限らない。
ヘルに続き、ルシェールまで。
そうなっては自分が絶対に許せない。
義理の母としては認めてはいなくても、シルフィールにとってはルシェールは。
昔からよくしてくれたお姉さんに他ならない。
ただ、かつて父のエルクと恋仲であった。
というのを知り、意固地になっているだけなのだからして。
すでに夜の闇のカーテンは降りきり。
少し街灯の近く以外の場所を歩けばもはや数メートル先すらも見えないほどの闇。
その闇の中。
一人北の神殿にとむかってかけてゆくシルフィール。


あたりは、まるで水をうったかのごとくに静まり返り。
いるはずの警備の人々の姿すら見えない。
そのまま、そっと神殿にと忍び込む。
カチャカチャ。
ギィ。
シルフィールが鍵穴を少しいじると音を立てて扉が開く。
親戚のセルシウスから教えてもらった鍵のあけ方。
まあそんなこを教えるのもどうかとはおもうが。
ともかく、起用にも針金一本でかぎをあけ。
屋敷の中にと忍び込んでゆく。

「おかしいわ。誰も、いない?」
いくら夜だからといって、警備の一人もいないのは絶対におかしい。
そんなことを思っていると。
ふいに。
「ようこそ。」
真後ろから声がかかる。
「な゛!?」
気配すらも感じずにいきなり聞こえたその声に、思わず振り向こうとするが。
そのまま後ろから羽交い絞めにされ、口元に何かが押し当てられる。
「しまっ!」
それがブルーリーを溶かした液体をしみこませているハンカチだと。
気づくのと同時に。
シルフィールはそのまま意識を失ってゆく。

ぐったりとその場に崩れ落ちるシルフィールではあるが。
そんな彼女をゆっくりとまるで闇から解け出たごとくに現れた一人の男性が、ひょいとそんな彼女を抱えあげる。
「くく。まさか贄の方から出向いてくるとは。手間が省けたな。―おい。ザナッファー。鍵は手にはいった。儀式の用意を。」
闇の奥深く、暗闇にて見えないがそこにたたずんでいるひとつの人影にとむかって話しかけるその男性。
その言葉にうなづき。
そのままその場から移動しているその気配。
それはまるで闇が移動するかのごとくに感じられるが。

そのまま、シルフィールを抱えたままで、神殿の中心にあるとある広間にと向かってゆくその男性。
やがて目的の場所にとたどり着き。
眠っているシルフィールの体をその中心にと横たえる。
「ふふふ。これですべて条件は整った。今こそ、この我に力を!」
そういいつつ。
その手に古びた書物を取り出して。
そこに書かれている古の言葉をつむぎ始める。

ゆらゆらと、部屋の数箇所にと設置されているろうそくの炎がゆれ。
部屋の様子をほのかにと浮かび上がらせる。
そして、そんな彼の横には。
すでに人にあらず、銀色の肌をまとった、元人間らしい魔獣の姿。


この地にねむっている力。
それは古に神に封印されたという魔王の、力。
しかも、それは伝説にあるような欠片とかではなくて、自在に利用することが可能。
という-それを知ったからこそ、この地に彼-ラグルはやってきたのである。
一族の頂点、否、世界を支配するために。
そして、それを呼び覚ますには、より濃く、この地の神官長の家系の血筋。
その人物の血を贄にとささげればおのずから封印は解ける。
すでにもう、封印解除の条件はすべて整い。
 後は今目の前にいるこの娘、シルフィールを贄にささげるのみ。
「今こそ我の手にきたれ!魔を統べるべきその力よ!ここに汝に贄をささげん!」
そういいつつ。
最後のカオスワーズをつむぎだす。


ドクン。
その言葉に従い、周りに黒き闇が突如として出現し。
それはその部屋いっぱいに書かれている魔法陣をぐるぐると左回りに回りつつ、やがてそれは中心にむかって収縮してゆく。
「ふははははは!これで我は無敵だ!」
ドク…ン、ドクン、ドクン、ドクドクドク……。
横たわっているシルフィールの心臓が激しく脈打つ。
熱い。
こんな感情は初めてで。
やがてふわりと黒い闇に飲み込まれるというか包み込まれるようにシルフィールの体がふわりと浮かぶ。
そして。
「あ゛、あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁあ!!!!」

ビクン!

シルフィールの体が大きく跳ね跳ぶ。
思わずあまりの衝撃に目を見開く。
自分の意識が、何ものかに…

『-我、ここに目覚めたり…』

シルフィールの脳裏に何かの自分でない声が響き行く。

「あ、あ、きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

夜の闇に。
シルフィールの悲鳴が響き渡る。



がばっ!
「!!!!!シルフィール!」
今確かに娘の、シルフィールの悲鳴が聞こえた。
まだ完全に体調は戻っていない。
それでも。
「いけない!!!!シルフィール!!!」
ふと、ルシェールにはシルフィールが紅い闇に飲み込まれる様子が。
なぜか脳裏にふと視える。
そのまま、無意識というか母親の本能というべきか。
ルシェールは横になっていたベットの上から、次の瞬間には掻き消え、後にはただルシェールが寝ていた痕跡を残すのみの風景が。
彼女の寝室にて見受けられてゆく。


「どうやら動き出したみたいだな。」
すでにいつの間にか神殿の中にと入り込んでいる金色の髪の青年。
その彼の言葉と同時に。


ドン!!!

次の瞬間。
彼がいるその神殿を中心に。
鋭いゆれが、この地全体を覆いつくす。

ゆっくりと目を開ける。
おかしい。
本来ならばあのまま闇に飲み込まれ、力が自分の物になるはず。
そう思ったその刹那。
今まで浮かんでいたシルフィールがゆらりと立ち上がり、ゆっくりと目を開ける。
その瞳の色は-真っ赤な紅一色。
『我、この地と二つの血筋により封じられし力、今こそ取り戻さん。』
そしてその口からそのようなシルフィールではない声が発せられたかと思うと同時に。

ゴゥ!!!

すさまじいまでの瘴気の渦が巻き起こり。
それは、ほんの一瞬の出来事。
すっと、シルフィールが手を横に振りかざしたその刹那。




ドォォォォォン!!!!!!!!!!!

夜の闇に、聞き間違えのないような爆音が響き渡り。

次の瞬間には。
神殿があったその場所、否。その辺り一帯は。
すべての家々が音と同時に崩れ落ち。
それはほんの一瞬の出来事。
黒い霧のような瘴気をまとったシルフィールが一歩踏み出したそのときには。
すでに、彼女の周りには建物という建物、つまりは彼女が今までいた場所。
そして、そこに、その建物の周りに存在するべきはずの建物。
…つまりは町そのものが完全に視界から掻き消えており。
何が起こったのかはラグルにも理解不能。
やがて、ゆっくりとシルフィールであろうそれは前にと歩みだし。
『人間よ、我を復活させしこと、礼をいおう。その礼として選ばせてやろう。
  このままこの我に殺されるか、または我の配下となって生き延びるか。』
シルフィールの口からゆっくりと開かれる。
「まさか!?きさまは!?」
力だけの復活。
それを手に入れるための儀式。
であったはずなのに。
ここにいたり、ようやく。
あたりにはすでに無数の無限ともいえるデーモンが出現し。
廃墟と貸した町並みを闊歩し。
そのまま町外れの方向などにむかって進みだし。
まだ夜だというのに夜よりも暗い瘴気がシルフィールの体を中心に立ちこめ。
遠くから聞こえてくるのは凶暴化した獣の叫び声。
その事実を具間みて。
「まさか、貴様は!?」
自分がいったい何を復活させたのか。
ようやく思い当たり思わず絶句するラグル。
じりじりと後ずさりつつ。
術を唱え。
「ラティルト!」
とりあえず自分の力にならないものならば用事はない。
そんなことをおもいつつ目の前のシルフィールにむかって術を唱える。
が。
『-ほう、これが答えか。ならば、望みどおりにしてやろう。
   なに、我を復活させてくれた礼に殺しはせん。…未来永劫生地獄を味わうがよい。』
それだけいいはなち視線をラグルにと向けるシルフィール。
それだけで、術は-発動する。
「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
その場にていきなり苦しみだすラグルの様子を笑みを浮かべつつ見ているシルフィール。

そしてふと、視線を、その先にいる一人、否二人の人物にと向けて微笑する。

『-なるほど、我の力が思うように震えないのは、貴様の仕業か。…滅びてもなお邪魔をするか。水竜王よ。』
視線の先にいるのは一人の女性。
その白いネグリジェがシルフィールの放つ瘴気の風にとあおられる。
「―魔王、シャブラニグドゥ。その子、シルフィールはあなたのものではありません。返してもらいます。」
きっとシルフィールの姿をしている、
いや、シルフィールをのっとっている、この世界の魔を統べる王、赤瞳の魔王(ルビーアイ)シャブラニグドゥ。
その名前は今日日、子供ですら知っている。
きっと視線をシルフィールに向けて言い放ち。
ゆっくりとシルフィールにとむかって近づくルシェール。
そして、ちらりとその先にいる金色の髪の青年にと視線を向ける。
それは彼女の中の竜王の力と知識がどうすればシルフィールを助けられるのか。
答えはもう出ている。
完全にのっとられてはまだいない。
それが少なくとも幸いしている。
「―ガウリイ=ガブリエフさん。
  私があの子の中のあれを、この身に移動させますから、そのときに私ごと光の剣で斬ってください。」
助ける方法はただひとつ。
それは、彼女の中にあるその意識を自分にと移動させること。
彼女の力ではそれで十分。
というかそれ以外にシルフィールを助けるすべはない。
彼女が生まれたときより。
それはわかっていた。
だがしかし、シルフィールの内にあったのはただの魔力のみ。
それに精神体である意識がない限り、彼女が目覚めることは、皆無、であったはずであった。
この地、サイラーグに古に封印された魔王の意識。
それを今まさに肉の塊と変化している目の前の元人間。
ラグルが解き放ったことにより、魔力を求め-その意識は魔力をもつ、シルフィールと同化した。
一度とかれた封印は同じ封印で封じることは不可能。
だがしかし、ルシェールにはその身に眠っている水竜王の魔力とそして知識がある。
たとえこの身を犠牲にしても-シルフィールは助けてみせる。
決意を秘めて。
ゆっくりとシルフィールめがけて歩み始めるルシェール。
知識で知っていた赤の竜神の騎士、彼女に悟られぬように、
このサイラーグの町、北のさサイラーグの町全体を結界で覆っていた魔王。
それが彼にとって幸運となるのか不幸になるのか。
その言葉に。
「ま、オレはどっちでもかまわないがな。しかし、あんた、娘のために命かけるか?普通?」
その言葉に信じられない、といった趣でルシェールをみているその青年。
「それが母親というものですわ。子供のためならば、この命は、何ともありません。」
それだけいいつつ近づくルシェールの様子に思わずたじろぎつつ。
「二度も同じ手を食らうか!」
今からルシェールがやろうとしていることが、かつて自分、否、北の自分を封じ込めた方法に近いと気づき。
そのままその手に骸骨のような杖を出現させ。
そのまま一気に振り下ろすシルフィール。
それとどうじにあたりにすざましいまでの爆風と魔力の渦が生まれるが。
体を傷つけつつも、服を切り裂かれながらも。
迷うことなく、ルシェールはシルフィールにと近づき。
「―ごめんね。シルフィール。今助けてあげるから。」
かなり大量の出血をしているはず。
にもかかわらずに迷うことなく自分に近づいてくるルシェール。
弱い人間にどうしてそこまでの意思があるのか思わずたじろぐ魔王。
そして、瘴気で完全に覆われ触れれば間違いなく命はないであろう、
そのような魔力を発しているシルフィールの体をゆっくりと抱きとめる。
そして、ルシェールはゆっくりと。
すでに意識があるのが不思議なほどにかなりの大怪我をしているのにもかかわらず。
とある力ある言葉をつむぎ始める。
『ぐ、ぐわぁぁぁぁ!?やめろぉぉぉぉぉ!?』
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
シルフィールの口から魔王の声とそしてシルフィールの声が同時に発せられ。
そして、次の瞬間には。
シルフィールの中から一瞬何か黒い何かがルシェールの体内にむけて移動する。
「今よ!」
『馬鹿な!?貴様は我と心中する気か!?』
ぐったりとその場に崩れ落ちるシルフィールと。
そして体をしっかりと自らを抱きしめるように腕を組んでいるルシェール。
そんなルシェールの口から彼女の声と、そして魔王の声とが同時に発せられ。

「―悪くおもわないでくれな。―光よ!!!」

次の瞬間。

その場にいたもう一人の男性。
金色の髪の青年の言葉と同時に。
彼の剣が青い光の刃と化し。
そのまま、ルシェールの体を真っ二つに分断してゆく。


『ギャァァァ!!!!我は、まだ!』
「逃しません!」
自らから離れようとする魔王をその魔力によって繋ぎ止める。
そして、いまだに倒れて完全に意識を失っているシルフィールの方をちらりとみて。
「…シルフィール。幸せになるの…よ。」
ゆっくりと笑みを浮かべ。
次の瞬間には。

ザァァァァ…。


彼女の体はまるで風に溶け消えるように塵と化し、霧散してゆく。


「う…ん。」
頭が重い。
そんなことをおもいつつ、ふと気がついたシルフィールが目にしたものは。
なぜか地面に横たわっている自分の様子と。
そして、何やら圧倒的なまでの力。
ふと視線を横たわったまま向ければ、まるで闇を押さえ込むかのようにして、そこにたっているルシェールと。
そして、そんな彼女むけて光の刃を振り下ろした直後のガウリイの姿が。

「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


シルフィールの言葉と同時に。
ルシェールの体は。
完全に風に溶けきえ、霧散してゆく。


「―やっぱり君たちは排除しておくべきだったね。」
ふと、どこか聞き覚えのある声をきき。
振り向いたシルフィールの目に映ったのは。
怒りをあらわにしている…死んだはずのヘルの姿。

そこには、死んだはずのヘルが魔獣の横にとたたずんでいるのであった。






                                      -続くー

HOME     TOP     BACK     NEXT


####################################


 
  ははは。
  ひさしぶりにやっちゃいました(まて)
  更新してるのに更新履歴をアップするのを忘れてましたねぇ・・・あっはっはっ。
  なのでおそらく、2003年10月9日の更新、あれ?と思った人は多かったでしょう・・・。
  ・・・・・更新状況の保存わすれたままでアップしてました(まてこら!)
  (ビルダーに開いて編集したままFFFTPでアップしてる人)
  でも更新はしてたんですよー。
  ・・・・気づいた人はものすごい勘の持ち主でしょうけど(まて)
  たまぁぁにこーいったすっとぽけをしている薫です(自覚あり)
  まあ、何はともあれ、いっきますv

#####################################

  あとがきもどき:
      薫:うーん。
        表現が支離滅裂・・・・・。
        ま、いっか(よくないです)
        まあ簡単にいっちゃぇば。
        北のサイラーグ崩壊させたの、シルフィールです。はい。
        ちなみに、シルフィール、確かに意識である精神、つまりは魔王の意識は、ないですけど。
        ルシェールが身代わりにもってってしんでくれましたから。でも彼女の中には魔王の魔力、のこってます(汗)
        シルフィール、自分が魔王にのっとられていたこと。知りません。あしからず・・・。
        それでは、またまた次回で。
        さってと、サイラーグ崩壊。
        とうとう暗躍していたヘルちゃん登場。
        まあラグルは彼ははっきりいって
        使い捨てのこまとされることがもはや決定してましたしねぇ。
        あしからず(こらまて)
        んではではvまたv

HOME     TOP     BACK     NEXT