黒曜の宝石    ~ラスト・バトル?~





「さて、では最後の取り掛かりを。」
そういうアレクの言葉に。
「こっちはもうオッケーだよ。」
などといいつつ部屋の奥から出てくる一人の少年。
「って!?セルお兄ちゃん!?」
その姿に思わず目を丸くしているシルフィールに。
「へぇ。」
などといっていたりするヘル。
「だけど本当にいいの?セル?これはかなり危険な賭けだよ?」
そういいつつこちらはまたその金色の髪を黒く染め。
「でもこの方法だと一番手っ取り早いでしょ?」
「ま、確かにね。」
外見はともかくとして雰囲気がどことなく似ているこの二人。
髪の色も瞳の色も異なるにしろ。
黒い髪に碧い瞳の容姿をもつセルシウス。
今は髪を金色に染めているがゆえに金髪碧眼のかなりの美男子。
となっていたりする。
対するはいつもの金髪を黒く染め、そしてその紫の瞳はそのままに。
「僕がおとりになって、あいつらをおびき出す。そしてその間に国王をアレクが呼び出す。この案、結構いいとおもうよ?」
そう。
最近ではどんどんと過激になっている刺客たち。
すでにもう生き証人たる刺客も数人捕らえ。
後は王にそのことを進言するだけなのだが。
だがしかし、城にと入った彼をすんなりとあの大臣が引き合わせるはずもなく。
それゆえの策。
雰囲気が似ているがためにまずばれはしないであろう。
「とりあえずはシルフィールを理由に。サイラーグの巫女頭見習いが研修にやってきた。
  とでもいえばすんなりと城には入れるからね。はっはっはっ。」
などといいつつ笑っていたりするアレク。
「じゃあ、私は神託が下ったといって言えばいいの?」
すでにもう役割分担なども決まっている。
「うん。そう。それじゃ、作戦開始。」
シルフィールがここディルスにきてはや二ヶ月以上。
そのたったのそれだけの期間ではあるが。
シルフィールは自分でもわからないうちに心の成長を遂げていたりする。
「セルお兄ちゃん、気をつけてね。」
何となく違和感を感じるものの金髪に染めているセルシウスに。
そんなことをいいつつ。
「わかってるよ。アレク、シルフィールをお願いするよ。」
「まかせとけって。」
「こちらは私がどうにかしますわ。」
家を空けるのはかなり危険。
最近ではエルシアの命すら狙い始めた刺客たち。
のんびりとしているわけにはいかない。
それがアレクやセルシウスの意見。
家にヘル一人を彼女の申し出もあり護衛にと置き。
三人は問題が起こっている、ディルス王家にと向かってゆく。



「僕が来たら何か悪いの?」
「い…いえ、そういうわけでは。」
うーん。
アレクの調合した薬はなかなかのものだよね。
副作用などの心配もなく、それでいて。
彼-セルシウスの声を一時的にアレクと同じ声色にしているのである。
当然様々な薬草などを調合しアレクが作り出したオリジナル。
瞳の色まで気にするような人物はここにはいない。
もっとも彼の瞳の色が違っていたからといって気にとめるものもいないのも事実ではあるが。
「それより、ほらほら。また調合した新たな化粧品。どう?」
「きゃぁぁ!いつもありがとうございます!アレク様!」
ばらりと。
袋から出されるちょっとした小瓶をみて、目を輝かせている女官たち。
アレクはその趣味を生かして自然の化粧品などもなぜか作っていたりする。
そしてその品質は-はっきりいって王室に勤めている女性たちの間では、かなり有名なもの。
女性がいるこの後宮。
こちらには主に女性が勤めている。
もっとも今は主がいない状態が続いているのであるが。
そしてこの後宮は。
本殿とかけ離れている。

今、ここに餌はまかれたのであった。



「何?それはまことか?」
「はい。間違いありません。」
いつものことながらお供もつけずにやってきているという。
これはチャンス。
「ではお前に使命を与えよう。―何としても彼を殺せ!」
「―御衣。」
精神感応で伝わってくる何よりの情報。
彼が手ごまを入り込ませているのは何も操り人形と化している人間たちだけではない。
彼と共に幾人もの魔が実はこの王室にはもはや入り込んでいたりする。
「―失礼いたします。ネクロミド様。国王がお呼びです。」
彼に与えられている私室の扉をノックするものがいる。
「わかった。今すぐにゆくと伝えてくれ」
それだけいって扉の向こうにいるであろう兵士の一人に話しかける。
「かしこまりました。」
その声とともに扉から離れてゆく人間の気配がひとつ。



「―何?しかし、それは……」
サイラーグの時期巫女頭となる少女が面会にきた。
それを断る理由など彼にはない。
ましてや。
「―はい。それは間違いありません。クル国王。」
「!?」
今まで礼をとっていたのでそれには気づかなかったが。
彼のこと、ディルス=クォルト=ガイリア。
ディルス三世。
現、ここディルス王国の国王。
彼をそう呼ぶ人物は限られている。
その声は違うにしても。
少し顔を上げてにっと笑っているその顔は。
まさか!?
思わず何かを言いかける彼の言葉をそっと周りに気づかれないように、手を口に当てて制するアレク。
その横にはシルフィールがちょこんと控えていたりするのだが。

「いいかい?シルフィールちゃん?あいつがやってきたらいいね?」
もはやあれが人間ではないであろう。
というのは何となくわかっている。
何しろ以前大事にしないために彼の食事にとある毒を盛り込んだのに、彼は何ともなかったのであるからして。
ちなみにその毒はアレク特製。
人でないならば何なのか。
それはおのずとわかってくる。
一度などカマをかけたところ前国王のことを詳しく説明してもないのに。
その状態を言い当てたことすらあるネクロミド。
そのときに確信した。
あの男が魔であるということを。
「詳しく聞きたい。ほかのものは少し席をはずせ。あ、セルシウスは残れ。」
国王のその言葉に周りにいた重臣たちが席をはずしてゆく。
後にのこるはセルシウスと呼ばれた実はアレクとそしてシルフィール、そして国王クォルトのみ。

「それで?どういうことなんだ?アレク?」
クォルトはこの少年に少なからず評価している。
まだ幼いという割りに彼の周りをみる目はとても高く。
将来は国の中心に立つべき存在であろう。
ということも考慮していたりする。
そして…直系の血のつながりのある唯一の人物でもある。
「あ、わかりました。さすがですね。」
今まで顔を伏せていたその顔をあげるとそこにみえる見覚えのある紫の瞳。
「わからないでか。私のことをクルと呼ぶのはお前くらいだ。」
「ははは。さすがはクル叔父さん。話が早いですね。でもシルフィールがいったことは事実ですよ。
   -この王室に魔がしかもかなりの数、入り込んでいる。という事実は。」

―……王家に闇が迫っている。



そのような神託を受けたので是非に国王に謁見を。
そうアレクがシルフィールをつれ、そしてセルシウスのふりをして。
まんまと国王と謁見に持っていっているアレク。
まあうそはついていない。
ただ神託がなかった、というだけで事実、実際に城の中には魔が入り込んでいるのだからして。


「それで?その娘まで引き出して。何をたくらむ?」
「いえ、ここはやはり、まさか国の重臣に魔を用いている。
  なんてばれたらそれこそ大問題ですからねぇ。体裁もありますし。ここはひとつ穏便に済まそうかと思いまして。」
それゆえにクォルトに事情を説明し。
人払いをしそして今まで調べた証拠を彼にと提出したアレク。
「僕が魔法を使うより、やはりここは巫女見習いの彼女が見破った。そういうほうが体裁、よくありません?」
にっこり。
このアレクはそういった面においても頭が回る。
確かに神聖な力を持つといわれている巫女が魔を見破った。
というのであれば誰も疑うものなどいはすまい。
それに。
僕はあまり魔法は好きではないですし。
そっとその言葉を言外に含ませて。
「まあ、確かに一理あるな。」
そう国王がつぶやいたその直後。
「―王、ネクロ大臣が。」
扉の向こうより聞こえてくるその声に。
「ああ通せ。」
その言葉とともに扉が開かれ。
言葉どおりにそこにいるのはこの国の大臣ネクロミドの姿が。


「―王。急なお呼びで何の御用件でしょうか?」
そういうネクロミドの目の前に。
パサリ。
大量の書類が投げ出される。
「見てみろ。」
その声に伴いその書類を拾い上げ、一瞬彼の表情がゆがむが。
何ともない様子で。
「これは叱り。まさか国王はこの私が本気でこのようなことをしているとでも?
   おおかたまたあのアレク殿の遊びにだまされているのでは?」
彼が突拍子もないことをしでかすのは周知の事実。
それゆえにしらを切っている大臣の姿。
そこには彼が今までしてきたことの諸行や。
そしてまた暗殺に対しての証拠など。
そして、この国を操ろうとしていたことなどの証拠が様々にと書き連ねていたりする。
「さて、それはどうかな?シルフィール殿。」
「はい。」
見慣れぬ娘が一人。
確かサイラーグからきているとかいう巫女見習い。
巫女という存在は彼らは好きではないが。
だがしかし、見習いは所詮は見習い。
別に危惧することでもない。
いざとなればこのような子供の精神を操ることなどはいたって簡単。
彼はいまだに高をくくりとおせると思い込んでいたりする。
「王ともあろうものがそのような子供にいったい何をさせるおつもりですか?」
そういいかけるよりも早く。
シルフィールが唱えていた術が完成する。

「フロウ・ブレイク!」

カッ!

あたりに聖六紡星星の魔方陣が浮かび上がる。
見えない特殊な液体でアレクがこの部屋にと書いていたもの。
そして。
それはシルフィールが今唱えた術を増幅する作用をもたらしていたりする。
こういった付随の魔法陣などはいろいろと研究などをしていたら、
なぜかそれでもないのに付随して出来上がってしまったりするものだから。
国の中でもアレクの力量に目を留めている存在は少なくない。
「それがどうか…」
たかが人間が使う術。
自分のような中級魔族に俗するものに聞くはずもない。
そういい、それがどうかしましたか。
と一笑にふすつもりでいた彼の表情が一瞬こわばる。


謁見室にてそんなことが起こっているそんな同時刻。
「今回のこれは新作ですよ。」
などといって女官達などにそれを渡しているセル。
「あら、本当、何かいつもよりもすべすべしてるじゃない。」
今回、アレク、いや、アレクに変装しているセルが持ち込んだそれは。
「今回のは植物性ですから。肌にはいいですよ。」
そういって一人一人に化粧水を手渡してゆく。
と。

『き・・・・・きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

その場に女性たちの数名の絶叫が、響き渡って行く。


見ればその化粧水をつけた女性の全員ではないにしろ。
かなりの数の女性から…黒いもやというか煙のようなものが立ち上り。
そしてまた。
「ぐわぁぁあ!?何だ!?これわぁぁあ!?」
どろり。
そこにいた三名の女性がその表情を崩してゆく。
そして。
まるで黒い煙に力を吸い取られてゆくがごとくに。
その体がゆがんでゆく。
そこにいるのは明らかに。
人あらざるものの姿のものが三つ。
体半分がまるで魚のホネと人間の骨が合体したような姿をし、
それでいてその顔は人のまま、しかしその顔はくずれ、肉液がぼたぼたと床に落ち。
腐ったような肉のにおいを撒き散らし、その顔にはひとつの目と、なぜか無数にある口と。
そしておなかには牙の生えた口が大きく開いている赤い物体。
そして残りのひとつは。
体の半分が人のままなのであるが、その半分がきれいに、足の付けねまでまったく何もない黒いのっぺりとした水。
になっていたりする。
簡単にいえば水状のスライム。
「あ、今回のこれ、フラグーンの樹液を原料にしてますから。瘴気はごまかせませんよ。」
騒ぐ女性たちとは裏腹に。
のんびりといっているセルシウスの姿がそこには見受けられてゆくのであった。

                                      -続くー

HOME     TOP     BACK     NEXT

#####################################

まえがき:

  シェリフSS4巻購入!
  って・・・・・あり?
  立ち読みしてたら、あれあれ?ベックマン?ライト?おーい?
  ・・・・って、これってMS4巻の内容ジャン!?
  などとおもい最後をみてもやっぱりそう。
  であとがき読んだら・・・あ゛、やっぱり。
  しかしシェリフもいよいよ大詰めかぁ。
  出てきた教授。
  コラードと呼ばれている人の対応が今後気になる展開だ。
  しかしまさかティモシーの先生だったとは(笑)
 
#####################################
 

 あとがきもどき:
      薫:あ・・・・あはは。
        今日(2003年9月23日)は更新午前中にできませんでした・・。
      姫:というか昨日、夜十一時からいきなりダ・○ーンとか見なければ。
        できてたはずよねぇ?
      薫:う・・・・うぐっ!
        で・・・でも!ビデオの映りがぁぁ!
        音声だけで映像がぁぁあ!(涙)やっぱもう十年前のだしなぁ(笑)
      姫:で今朝方もこれ打ち込んでたけど。
      薫:あはは。最高記録ですねぇ。十五分は(汗)
      姫:というかきちんとあんたは薬をのみなさい!
      薫:飲んでますよ。(多分)
        疲れとかがたまってたんでしょう。きっと。
        何しろ昨日の夜はシェリフ読んでしまって、で、気づいたら三時過ぎ。
        おきたの六時で二度ねしても八時でしたし。
      姫:・・・・それで心臓いたくなってたら世話ないわよ。
      薫:あ・・・・あはは。うや?と思ったんですけどそのまま打ち込みしてたら。
        動けなくなっちゃいましたからねぇ。いやぁ、あせりました(おいこらまて)
        声も出ないし、でも意識はある(笑)息苦しいし。
        あ゛あ゛!時間がぁぁ!仕事がぁぁ!とかあせりつつ。
        ま、十五分たってようやく動けるようにまではなったからよしでしょう。
        久しぶりですねぇ。心臓がいたくなったのは(しみじみ)
        しかも動けなくなるまでに(まてぃ!)
      姫:あんたは疲れたらすぐに甲状腺が腫れるんだから・・・。
        ついでに普通と違って幅ひろいから神経とかも圧迫されるの、頭によくいれときなさいよね・・・。
      薫:わかってますよ。次に入院になったら即手術。とまできっぱりといわれてますし。
         だから最近は打ち込みする気力ものらないのもあり、
         更新が滞ってるでしょ?
      姫:たしか私の小説とエルの小説、打ち込みする!
        とか裏を今月こそは毎日する!とか決めてたのどこのだれ?
      薫:くすん。しくしくしく。
        いじめないでください。ストレスからまた心臓いたくなりますぅ・・。
      姫:というか心臓に続くどうやら血液の流れが悪くなっているというのは、
        本当のようねぇ。
        ここはやっぱりv
      薫:ってぇぇ!そのホースは何ですかぁぁ!?
      姫:あらv血液の管をこれに変えるのよv
      薫:いやぁぁぁぁ!
       
      パ゛チャ・・・・・。


     姫:あら、何かとびちっゃった。
       後で生ごみにでもだしておきますか。
       それでは、またv
       あ、なのでもこの人このディルスの話かなり省いているのは、次なる涙で回想として出すつもりだから。
       とかいってるけど。
       どうなることかしらねぇ。ま、それでは、まったねv

HOME     TOP     BACK     NEXT