まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
こんにちわ♪
CANARUさんのリクエスト♪
じゃんけんで一番手を獲得したのは・・・・誰でしょう?(笑)
怖い話・・・とゆーか、シルフィールの思い出話♪
・・・・・こわいけど(?)
んではでは♪
エル:あんた、これ、読みきりにするっ・・っていってたのに・・・・。何話にするつもり?
薫:・・・・さぁ?
エル:・・・・・・・・・・・。
薫:ま、まあ、気を取り直して、いくのです♪
#####################################ミッドナイト・ホーン? ~サイラーグの悪夢の始まり~
「では、私からですわね」
ゆらり。
ろうそくの火が揺れる。
「シルフィールさんにも、怖い話なんてあるんですか?」
アメリアがいう。
「・・・ええ」
巫女なのに?
アメリアが首をかしげるが。
それはアメリアも同じこと。
「これは、私が、ガウリイ様と、初めてお会いしたときの話なんですが・・」
「シルフィール!?まさか、あれを話すのか!?」
ガウリイがいう。
「?ガウリイ?」
リナが不思議がる。
「ええ。罪を背負っているのは、私も同じ。というのを皆さんには、知っておいてほしいですし」
「う~ん・・。まあ、シルフィールがそういうんだったら・・・別にいいが・・」
『罪?』
ゼルガディスとアメリアが首をかしげる。
「ああ、あの一件のことですか」
ゼロスは、調査をしていたので知っている。
というか『面白くなりそうだから』と情報を彼に教えたのは・・・・他ならぬゼロスなのだから。
シルフィールが12歳のときそれは起り始めた。
そのとき、リナはまだゼフィーリアから出てなかったから噂でしか知らないが。
シルフィールの周りに・・・いや、サイラーグに異変が訪れていた。
どんどん増えてゆく異形の存在。
それはサイラーグの北側の町でどんどんエスカレートしていっていた。
サイラーグの北側。
結構、南側よりも、こちらの方が発展していて第二のセイルーン都市。
とまで言われて結構発展していた町。
人々もセイルーン・シティに負けず劣らず、かなり住んでいて賑わいを見せていた。
当然、サイラーグの神官長でもあったシルフィールの父親のエルクとシルフィールはその原因究明に乗り出したのだが・・・・
たたたっ。
「きゃぁ!!」
森を駆けてゆく12歳のシルフィール。
・・・・ざしゅ。
ふとみれば、自分を追っていた異形の存在が一人の人物になで斬りにされていた。
冷たいまでの眼差し。
金色の髪がなびく。
・・・ぞくり。
シルフィールは、この人物に対して恐怖を感じた。
「ちっ。噂を聞いたが・・。やはり、何考えてるんだ?叔父は・・・」
ぶつぶついいながらも、薄く笑いながら、襲ってくる異形の存在を切り殺している姿はまるで悪魔そのもの。
死神そのもの。
歳のころは・・17歳。
碧い瞳に、金色の髪。
姿格好は、傭兵のようなその姿。
「大丈夫か?」
いうその男性の目は全然に感情がこもっていなかった。
・・・冷たいまでの眼差し。
「だ・・大丈夫ですわ・・助けていただいて・・・」
真っ青になりながら、シルフィールがいう。
声が多少震えてはいたものの、どうにか助けてもらったことには変わりがないので。
とりあえず周りの景色は、頭の隅においやって気丈に振舞う。
「成り行きだからな」
すたすたと歩いてゆく男性。
「あ・・あの!せっかくですから、食事でも、家でいかがですか!?もう、日が暮れますし!」
シルフィールが男性を呼び止める。
「うーん。そういえば・・。じゃあ、お言葉に甘えるか」
そういって振り向いた男性の瞳は、まるで炎のように一瞬輝いていた。
「それが、ガウリイ様と、私の出会いですわ」
シルフィールがいう。
ガウリイがリナと出会ってないときの。
残虐の死神として、恐れられていたときのガウリイと。
「それでは、ガウリイ殿は、ここには何をしに?」
娘を助けていただいた。
というので、エルクは、ガウリイに対してもてなしを開始した。
「いやぁ、まあ、ちょっとした、お家騒動で・・」
言葉を濁すガウリイ。
「お父さま、私、隣にお使いにいってきますわね」
「ああ、遅いから気をつけてな。シルフィール」
「はい」
漆黒の長い髪をなびかせてシルフィールが家からでてゆく。
「・・・仲、いいんですね」
ガウリイがそんな二人の様子をみていう。
「いやあ、あの子の母親が、あの子が小さなときに死亡しまして。・・・私の宝ですよ。あの子は」
「・・・・親子・・・か」
ガウリイは、はっきりいって両親に愛された記憶はない。
というか、いつも両親から、を狙われているのだから。
唯一、味方だった曾祖母のメリルーンはガウリイが10歳のときに死亡。
ガウリイがここにきた理由。
それは、ガウリイの暗殺をたくらむ一族の叔父が、ここで何かをたくらんでいる。
そう聞きつけたからに他ならない。
生きるためには・・・先手必勝。
どんなことでもする。
それがガウリイの生きる意味。
何のために生きているのか。
それは幼いときから、曾祖母に聞かされていた伝説の中の少女に会いたい。
という理由もあったのだが
ミプロス島の神殿に、その少女の銅像が曽祖父の銅像とともに、ひっそりと建っている。
それが、ガウリイの心の支えでもあり、そしてメリルーンのいった一言。
『ガウリイは、大きくなったら、この人と、出会うからね』
と。
それだけが、全て敵である中で、命がいつも危険な状況で。
唯一、自我を保てる理由でもあったのだ。
「まあ、何かの縁でしょうし。それに、これは俺の問題ですから。・・・手はださないでいただけます?」
ぞく。
その冷たいまでの眼差しに、一瞬、心臓が止まりそうになる。
「そんなわけにはまいりませんわ!!」
かたん!!
椅子から立ち上がるシルフィール。
食事の時間の最中である。
「ここは、私達の町なんです!!私達が何もせずに、見知らずの人に頼るなんてまねは!!」
シルフィールが強くいう。
「足手まといだ。」
「・・・・・っ!!!!」
冷たく言い放つガウリイに。
「あんたは、ここで、父親とまってろ。足手まといの何者でもない」
かたん。
そういって、ガウリイは席を立つ。
「ま・・まってください!!」
「くどい!」
びくっ。
冷たいまでの空気がその場に流れ。
意識をしっかりと保ってなければ。
その冷たいまでの殺気で、間違いなく心臓がとまるまでの・・冷たい雰囲気。
かちゃ。
そのまま屋敷をでてゆくガウリイ。
しばらくして。
「・・・はっ!!まってください!」
「シルフィール!?」
正気に戻ったシルフィールが、ガウリイを追いかけて家を出て行った。
「なんか、ガウリイさんの昔って・・今とは比べ物にはなりませんよね」
アメリアが、話の途中でぽつりという。
「まあ、今は、リナがいるしな♡」
「な゛・・何いって//・・・・ん・・・んんんぅぅぅ~!!」
じたばたじたばた。
いうなり、ガウリイはリナの唇を強くふさいでゆく。
「・・・・・話を続けますね。くすくすくす」
そんな仲のいい、ガウリイとリナの様子を優しくみつめシルフィールは話の続きを開始する。
くたっ。
ガウリイから開放されたリナは。
力なく、ガウリイの胸に寄りかかって、息をどうにか整えていた・・・
「・・・ふん。相手が悪かったな」
ぎしぁぁぁぁぁぁ・・・・・。
どうやら、この辺り、フラグーンの影響か、瘴気が濃いな。
・・・・まずいな。
自分の中で、闇が静かに、瘴気に呼応して大きくなっている。
どうにかそれを押さえ込む。
操られている人間を、うすく笑いながら凪ぎ殺してゆき。
この事件を起こしている、そして、自分が目指している相手のいる方にと向かってゆく。
と。
かさり。
「・・・・何だ。ついてきたのか」
・・・びくっ。
まず飛び込んできたのは、累々と転がる死体の山。
そしてその中心に、怪しいほどに返り血を浴びながらも、月明かりに綺麗なまでに照らされている金色の髪の男性。
まるで絵にかいたような・・
「・・・・私も、いきます。どうやら、私にも関係があるような気がします」
「あんたは、戻れ」
冷たく言い放つガウリイ。
「あんたには、ちゃんと、愛してくれる父親がいる。それを悲しませるようなことはするな」
そういうガウリイの瞳に、ひとかけの寂しさを見出すシルフィール。
「そうはいきません。これは、サイラーグの巫女頭としての、務めです。
それに・・・・・巫女としての直感なんですが・・ほっとくと、大変なことになるような気がするんです」
シルフィールの言葉に。
「俺は、あんたが一緒に来たほうが、大変なことになると思うが?」
「どういう意味ですか?」
それには応えないガウリイ。
この女性・・・・
ガウリイには分かっていた。
シルフィールの中に一体何があるのかを。
自分と呼応するその力。
それは・・・紛れもなく。
「ちっ。叔父のやつ・・・まあいい。どうせ、俺には勝てはしない」
何となく叔父の作戦が分かったガウリイ。
執拗にシルフィールが狙われていたわけも。
「どうせ、駄目だといってもついてくるんだろう。好きにしろ。だが、何があっても自分で責任もてよ」
普通なら。
自我が目覚めた段階で、その人間の意識は沈みゆく。
というのを分かっていながら。
それでも、それをいうこともなく。
ガウリイは、淡々と、シルフィールに言い放った。
サイラーグの北側。
そこは、人が、たくさん住んでいるにもかかわらず。
今は、大量に発生している瘴気と異形の存在とによって、恐怖の町へと変貌していた。
ゆらり。
「・・・ひぃ!?」
「・・・ほう、純魔族まででてくるか」
『ほう、我が魔族とわかるか。人間よ。』
それが声を出す。
見た目は、普通の人間と変わりない。
だが。
手が三本。
そして目が四つ。
鼻はなく大きく、顔の中ほどにまでその口が開いている。
それがガウリイとシルフィールの前に立ち塞がる。
何もない虚空から出現したのである。
「・・・・・ラティルト!!」
シルフィールがどうにか呪文を唱えるが。
『おおっと・・』
よけられてしまう。
『くっくっくっ。確かに、生贄には、もってこいの人材だな。主がいうとおりだ・・くっくっくっ』
「・・・生贄?」
シルフィールの声は怯えている。
「まあどうせ、巫女としての、シルフィールの魂とその身体を使って、ここに封じられている
かつての魔獣、ザナッファーの力を取り込もう。そういう魂胆だろうが。叔父・・ザルスは」
しれっと言い放つガウリイ。
「・・・・な゛!?」
シルフィールはガウリイの言葉に声を失う。
魔獣ザナッファー。
百年前に、あっという間に、魔道都市、サイラーグを壊滅させた伝説の獣。
それは、光の剣の勇者によって、倒されて、フラグーンによってその残りの瘴気は吸収されている。
そう伝わっている伝説の生き物。
『ほぅ。やけにくわしいな。だが、その剣では、我を倒すことは不可能だぞ?』
ガウリイが持っている剣をみて。
くくくくっと笑う魔族。
「どうかな?」
ガウリイの瞳が、怪しく輝く。
小ばかにしたような目で。
『ふん。人間というものは、どこまでも愚かなんだか。
まあいい、死に行くものへの、せめてものはなむけだ。我の名前は、スティップ』
「・・・・スキップみたいな名前だな」
『うるさいぃぃぃ!』
気にしてたらしく、魔族が咆える。
「ふん」
その攻撃をことごとく、かわしているガウリイ。
シルフィールも援護はするが。
いかんせん。
はっきりいって・・・・魔族とガウリイの動きには、ついていけなかった。
下手に魔法を使おうならガウリイに当たってしまうし。
何より、シルフィールは、攻撃魔法は苦手であったがために。
『なかなかやるな。人間ふぜいが』
「この俺を知らなかったのが、あんたの敗因だな」
薄く笑うガウリイ。
『何を、人間めが!?』
つん。
ガウリイが剣のツカを針でつつく。
すちゃ。
一度、そして、剣を鞘の中に収めている。
『臆したか!!?』
「あんまり、遊ぶのにも、あきたんでね。」
ツカだけの剣をすらりとぬく。
「さて、決着をつけさせてらおう。」
『はっ!!馬鹿が!!』
気づかずに、そのままガウリイに向かってくる魔族スティップ。
「・・・・光よ!!!!」
ヴォォォン!!
『な・・何ぃぃぃ!?』
「・・・・・・・・・・・!!!!!」
シルフィールが目を見開くのと、魔族が断末魔をあげたのは、まったく同時。
『ま・・まさか・・貴様・・!?金の悪魔・・・ガウリ・・・イ・・!!?ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!』
ちん。
「ふん。やはり、名前は、知られていたか」
当然だろう。
何しろ、彼は魔族にマークされているのだ。
可能性を見出されて。
まあ、当たってはいるのだが・・
剣を収め。
「さて。叔父は・・こっちだな」
すたすたすた。
何ごともなかったかのように、そのまま歩いてゆく。
「・・・・・光の・・・・勇者・・・・」
ガウリイが放ったその剣。
それは、サイラーグにとっては、伝説となっている勇者の証し。
光の剣。
それは、かつての魔獣を倒した、勇者が、持っていた伝説の剣。
シルフィールは唖然となる。
まさか、ガウリイ様が!?
ガウリイに助けられてから、シルフィールは、ガウリイのことをそう呼んでいた。
「はっ!まってください!」
「・・・・ほう、きたか。そちらから」
そこは、町からちょっと外れた一角。
「久しぶり。といったほうがいいですか?叔父さん?」
ガウリイにかにこやかにいうが目が笑っていない。
黒い髪に、黒い瞳。
「ふん、貴様に、叔父よばわりされる筋合いはない。貴様は、一族には、あってはならない存在だからな」
「ひどいですねぇ。こういうふうに、誕生させたのは・・・・少なくとも、俺のせいではなく両親のせいと思いますが?」
冷たい空気がその場に流れ出る。
「ふん、化け物め。貴様を一族とは認めん。それに・・光の剣の継承者とも・・な」
ふぅ。
「結局それですか。まあ、使いこなせるんだったらやってみるんですね。
最も、それやろうとして気が狂って、死んだ一族の仲間入りにならないように」
精神力が足りずに剣の力に飲まれていた一族の者達。
そして、長男でもないのに、曽祖父の遺言で、代々ガブリエフ家に続く、家宝の剣。
光の剣を継承したガウリイ。
そして、ガウリイが人にない力をもっていたことから。
全てのガウリイの一族の存在はガウリイを疎んじ、そして・・抹殺を図っていた。
冷たいまでの会話。
・・・何?
会話からすると、どうやら血縁関係らしいけど。
何?この冷め切った空気は?
シルフィールには理解不能。
いつも愛に囲まれて育っていたシルフィール。
肉親が話す言葉ではない。
ガウリイをみれば、いつものことだ。
と、割り切っているのがみてとれる。
この人は・・・・肉親から・・愛されてない?
ここにいたり、シルフィールは。
ガウリイの冷たいまでのなまざしの原因を何となく理解した。
ちらり。
ぞく。
シルフィールが、ガウリイの叔父に、見つめられ、肩をすくめる。
「ほう、ちょうどいい。この場で、実験をするとしよう」
・・・何!?
シルフィールが身構えるより早く。
かっ!!
シルフィールとガウリイの足元に、魔法陣が浮かび上がる。
「さあ!!我が契約に基づき!!ここに、生贄を捧げる!!その力をもってして、我に更なる力を!!」
ごうぅ・・・。
あたりの空気が、魔法陣に吸い込まれてゆく。
「き・・きゃぁぁぁぁ!?」
どくん。
シルフィールの中に、何かが息づく。
「やはりな。あんたの目的は・・」
冷めた目で叔父であるザルスを見ているガウリイ。
「・・・・何!?どうして、貴様は平気なんだ!?」
驚いているザルス。
「俺には、何をしても無駄ですよ」
きぃぃぃん。
あっさりと、そのまとわりつく、瘴気のことごとくを吸収しているガウリイ。
「まあ、作戦は、ほめてあげますよ。
ここに残っている残留思念のザナッファーを、自らの力と取り込んで、そして魔王を召喚。
作戦としては、まずまずでしたね」
「・・・・な゛!?」
計画を見透かされている!?
この甥には全て!?
穢れなき巫女と、純潔の乙女と、そして魔獣ザナッファー。
これらを全て生贄に捧げ。
彼・・ザルスがもくろんでいたのは。
魔王・・赤瞳の魔王シャブラニグドゥの召喚。
「しかし、選んだのが、シルフィールで残念でしたね」
にっこりと怪しく笑うガウリイ。
「・・どういう・・こと・・だ?」
「ほら」
ガウリイがシルフィールの方を指差す。
と。
「あ・・あああぁぁぁぁあ!!!!」
シルフィールがうずくまる。
自らに入り込んでくる瘴気の影響で。
― どくん。
何かがシルフィールの中で鼓動し…そして…そのまま、シルフィールの意識は闇にと飲み込まれてゆく……
ふっ。
シルフィールは目を開く。
『我を呼び覚ましは・・・・・』
シルフィールの声でいてそうではない。
「やっぱりな。あんたはきづいてなかったんだろう。シルフィール自体が、封印の器だったことに」
淡々というガウリイ。
「おお!!!我に力を!!」
いまだに理解していないザルスに向かい、ふっと手を突き出すシルフィール。
『われを目覚めさせた例として・・・我自らが頬無ってやろう・・・・』
「ぎ・・ぎゃぁぁぁぁ!?」
そのまま、何も残さずに消滅してゆくザルス。
『ふん』
ごぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅ!!!!!
どぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
瘴気が、衝撃波が、辺りを多い尽くしてゆく。
ザルスが消滅するのとほぼ同時。
「シルフィール!!」
「ん?」
ガウリイが声の方をみると。
シルフィールを心配したエルクが、シルフィールを追いかけてやってきていた。
「シルフィール!!目を覚ませ!!」
『五月蝿い』
「ぐわっ!!し・・シルフィィィ・・ル・・・」
シルフィールの放った衝撃波によってその場は完全に荒野と化していた。
今の今まで、直前まで息づいていた者達は、全てその一瞬のうちに、死に絶えていたりする。
「だ・・駄目だ・・まけては・・」
「・・・お・・と・・う・・・さ・・・・ま・・」
『消えろ』
シルフィールの声が二つ同時に発せられる。
初めて目の当たりにした親子の絆。
父であるその声に反応してシルフィールの意識が一瞬戻ったのである。
「あんた、娘が何であっても守るのか?」
ガウリイがしずかに、血まみれになりながらもシルフィールに訴えかけているエルクに淡々と話しかけている。
「親が、子供を守るのは当然です。どんな姿になっても娘は娘です」
親子の愛情。
子供のころ、願っても願っても、ぜったいに手に入らなかったあきらめていたもの。
「・・・しかたない・・・・か。どうせ、二つも、三つも同じことだし・・な」
すたすたすた。
周りは瘴気の渦だというのに、平気で、シルフィールに近づいてゆくガウリイ。
『き・・貴様・・は!?』
ガウリイが近くにきて、ここにいたり、ガウリイの中の自分の気配に気づく。
「悪く思うなよ」
どしゅ。
「シルフィィィィィィルゥゥゥゥゥゥ!!!」
エルクが叫ぶ。
そういったガウリイの手は、シルフィールの胸を貫いていた。
『な・・なぜ!?貴様にも・・我の力が・・ふたつ・・も!?』
断末魔の悲鳴。
血まみれになりながら、ガウリイが手を引き抜く。
「俺にはない、愛情を・・こいつはもっているからさ」
自分らしくないかもしれないが。
すこしうらやましかった。
家族の愛情に守られているシルフィールが。
自分が切望しても、ぜったいに手に入ることのなかった、そのもの。
だからかもしれない。
ほんの気まぐれを起こしたのは。
どさ。
倒れるシルフィール。
だが。
貫いたはずの胸からは一つの血も流れてはいなかった。
「し・・・シルフィール!?」
エルクが駆け寄る。
「大丈夫だ。シルフィールの中に封じられていたものを取り出しただけだから」
そういって。
淡い金の光に一瞬、ガウリイが包まれたかと思うと。
彼が手にしていた赤いオーブは次の瞬間、ガウリイの中に入り込んでいた。
・・どうせ、二つも三つも同じこと。
「つまり、私には、魔王の欠片があったみたいなんですの」
『な゛!?』
言葉を失っているリナ、ゼルガディス、アメリア。
「ガウリイ様のお力もあって、欠片は取り除かれましたが・・・・。
私は、この手で・・お父さまを傷つけて・・・・。サイラーグの北の町を壊滅させたのですわ」
かたかたと震えつつも、気丈にシルフィールはいう。
「どちらかというと、リナさんが、コピーレゾの一件を気に病む必要もないんです。私の方が、よっぽど・・・」
「も・・いい、いいから・・シルフィール・・・」
リナの声が震えている。
「でも、そんな私に、町の人達も、父も、親切にしてくれました。私の意思ではなかったのだから・・と。
そして、私が、壊滅に追いやった。という事実は・・・・黙っててくれたんです。
魔族がやった。という表向きの報告になって・・」
しぃぃぃぃぃん
「これで、私の話は終わりですわ。」
淡々と話すシルフィールの言葉に。
しばし、全員が、無言になっていた。
サイラーグの北の町。
原因不明の何かで一夜にして荒野と貸した町。
その原因はガブリエフ家の財産目当てのザルス=ガブリエフ。
その人間が起こした魔族との契約。
その結果、起りえた忌々しい事実が隠された裏にはあった・・・・
シルフィールは、自分が手にかけてしまった命の償いに一生巫女として人々のために尽くそう。
そう、そのとき、心に誓ったのである。
そして、サイラーグの人々のために・・・と。
ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・
がらがらがら・・・・
どぉぉ・・・・・・
屋敷の外・・窓の外は。
あいかわらず、暴風雨が吹き荒れていた・・・・・。
-シルフィール、終了―
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あとがき:
薫:いかがでしたでしょぅか?
怖い・・というか、事実は、小説より怪奇なり・・と(まて!)
シルフィールの中に、実は、かつてSの欠片がいたのです♪
今は、ガウリイが吸収しちゃってますが・・(汗)
それでは、次回♪
アメリアは、姉の話?ゼルは昔の話?
ガウリイ・・は?リナは??ゼロスは??
という順番です♪ではでは♪
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