まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

それでは、第八話♪今回は、リナの一人称だけでは、ありませんので。あしからず・・・・。
では

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混沌の娘2  ~第8話~

― 夢を見ていた。
昔の夢。
「ねえ、ゼロス。どうして答えてくれないの?」
あたしの問いに、ゼロスは、
「リナス様。僕と貴方様とでは存在が違いすぎます。」
突き放したように言うゼロス。
「そんなの…そんなの、分かってるわよ!でも ― 好きなの!!」
「― 申し訳ありません。」
ゼロスは言って、その場から立ち去っていく。
「ねえ!!待ってってば!!あたし……あきらめないから!!」
大粒の涙をこぼしながら言うあたし。
「― ゼロス!!!」
そこで、初めて目が覚める。
「ー あ…夢か……」
あたしは、涙をぬぐいつつそっと独り言を言う。
「ひさしぶりに、みたな。この夢……」
あたしはつぶやく。
今、あたしは、結婚以来、初めてゼロスと一緒ではない。
あたしは今、実家に戻って家業を手伝っているのだ。
母さんが身ごもった為に、手伝いに戻ってきているのである。
ゼロスはというと、ゼラスの代わりにお留守番しなくてはならず、ゼラスの宮殿に残っているのだ。
ゼラスはSと一緒にお母様のところへいっている為に。
「少し離れただけで…この不安…なんだろ?……会いたいよ……ゼロス。」
今の夢…
…あたしが、よく昔みていた夢だ。
ゼロスはいつもそうだった。
あたしが何度告白しても、『存在が違いすぎます』と……
だから、あたしは人間に転生した。
たとえ、本質的には変わらなくても、少しでもゼロスと共にいられるのならと。
でも、時々不安が襲う。
ゼロスには、あたしに気づいてもらいたい。
でも、もしそれで再びゼロスが離れていったなら?
あたしは……どうすればいいのだろう?
「―ゼロス―!お願い、あたしを受け入れて―!!」

       <間>

「あら、リナ?目が赤いわよ?」
と姉ちゃんが言う。
「夢見が悪かったから…かな?」
あたしの言葉に。
「そ~なの?てっきり、ゼロスと一緒じゃないからだと♪」
と姉ちゃん。
「姉ちゃんの意地悪!!」
姉ちゃんのおかげで、ど~やら、いつものあたしに、戻れたようだ。



― ああ、久しぶりにみますね。この夢。
「ゼロス!待ってってば!」
金の髪の少女が駆けて来る。
「どうして?どうして、答えてくれないの!」
涙を瞳にためていう少女。
「― リナス様。僕と貴方様では、存在が違いすぎます。」
僕は彼女に言う。
「…そんなの!!そんなの分かってるわよ!!でも……好きなの!!」
彼女は言う。
「― 申し訳ありません……」
僕は、その場を立ち去る。
そうでもしないと、立場を忘れて彼女を抱きしめたくなってしまうから。
彼女が、普通の存在だったならどんなによかっただろう。
一目みたときから僕は彼女に惹かれていた。
だが、彼女はあの御方の一人娘だった。
あの時、獣王様のお供で、あの御方の宮殿を訪れたとき…僕は彼女に会ったのだ。
立場を忘れて、僕は……彼女を愛してしまった。
だが…口にすることなどできない。
そのもどかしさ。
彼女から、告白された時も、我を忘れて彼女をさらおうかとも思った。
だが…できるはずもないのだ。
彼女は、リナスレイヤーは、あの御方の一人娘なのだから……
だから、僕は逃げることしか出来なかった。
自分の欲望を抑えるためにも。
「ねえ!まってってば!あたし…あきらめないから!!」
泣きじゃくる彼女。
どんなにかあのとき、彼女を抱きしめたかったろうか。
いつもならここで目がさめるのだが。
― おや?
「ねえ、ゼロス。だったら、あたしが形だけでも存在が違ったなら、あたしに答えてくれる?
  愛してくれる?」
彼女が言う。
「ー え!?」
僕が、彼女の方を振り向くと……
彼女の姿は光に包まれ、
― そして……別の姿へと変わってゆく。
そう。
僕がもう一人、愛してしまった、あの少女に……
「ね、ゼロス。」
そう言って、にっこりと笑う彼女は……リナさんの姿だった。
「ゼロス、大好きよ。」
リナさんの姿に変わったリナスはそう言ってくる。
「― リナさん!?リナス!?」
そこで、初めて目が覚める。
「― ああ。やっぱり夢ですね。」
言って僕は、起き上がる。
「久しぶりですね。この夢みるのは。」
僕はつぶやく。
本来、僕ら魔族は夢などはみない。
だが、あの時。
彼女の涙をみてから、僕は毎晩のように、その時のことを夢に見ていたのだ。
あれから暫くして……彼女は…リナスは降臨してこなくなった。
心配で彼女の元に飛んでいきたかったのだが、僕ごときがいける場所でもなく。
そうこうしているうちに……リナさんに初めて会ったのだ。
始めてリナさんに会ったとき、一瞬、彼女かと思ってしまった。
なぜか。
姿も、存在自体も違うのに。
だが、リナさんは人間である。
そんなリナさんに僕は惹かれていった。
リナスが手の届かない存在だから、リナさんで気を紛らわそうとしていたのかもしれない。
だがリナさんは、始めて一夜を共にしたあの日。
そのことを打ち明けても、
「話してくれて、ありがとう。好きよ、ゼロス。」
といってくれたのだ。
リナさんに出会ってから、この夢をみることなどなかったのだが……
― しかし、それにしても……
「本当……なんて欲張りな夢ですかね。リナさんが、リナスだなんて……」
僕は内心ほくそ笑む。
そんな、都合のいいことがあるわけがない。
― もし、そうだったなら―……どんなに僕はうれしいか ―
「リナさんに三日も会ってなかったから、こんな夢…見るんですよね……
  ……少しぐらいなら、留守しても……大丈夫ですよね♪」
そして、僕はリナさんの所へと移動していった。




「リナさん♪」
「ゼロス!?」
いきなり現れたゼロスにあたしは驚く。
「会いたかった!!」
「僕も!!」
がしっ!!
ぶっちゅぅぅぅぅ!!!!
あたしと、ゼロスは抱き合う。
「あ~……こほん。お二人さん。ここ、店の中なんですけど?」
姉ちゃんが言う。
あっ。
そ~いやそ~だった。
……いや、ゼロスにあえたうれしさで、完全に忘れてたあたし。
「ひゅ~!ひゅ~!熱いね~!!」
客が冷やかしている。
「留守番はいいの?」
あたしが聞くと、
「リナさんに会いたくて、抜け出してきちゃいました♪
  ですから、あまり長居はできないんですよね♪」
言って、ゼロスはあたしを抱きかかえる。
「ちょ…ちよっと!?ゼロス!?」
「ルナさん。リナさん、お借りしますね♡」
ゼロスは、あたしを抱きかかえて、寝室へと進んでいく。
「ハイハイ。まったく……いつまでたっても、熱々ね、あんたたちは……」
姉ちゃんの苦笑いが聞こえてきた。

     <間>

「も~行くの?ゼロス?」
あたしはベットの中からゼロスに言う。
「ええ。いつまでも留守にしておくわけにもいきませんし。」
ベットから立ち上がり言ってゼロスは戻ろうとする。
「……くすん。あたしも帰ろっかな。ゼロスと。」
あたしの言葉に、
「も~すぐしたら、獣王さまも戻られます。そ~したら、僕もこっちに来ますから。」
「本当!?絶対よ!?」
あたしの言葉に、
「リナさん、どうしたんです?リナさんらしくない?」
ゼロスが不思議に思ったのか聞いてくる。
「……ゼロスに会えないと、不安なのよ……嫌な夢もみるし……」
あたしが言うと、
「大丈夫ですよ。ですから…ね。」
ゼロスがあたしをやさしく、なぐさめてくる。
「絶対よ!?」
なおも食い下がるあたしに、
「リナさん。聞き分けのない人は……こうです♡」
「きゃん♡…あ…ああん♪ゼロス♡」
……あ、あ…ん……



「おはよう♪あれ?リナは?」
あたしはリナのところにやってきた。
「あら、お早う。エルスィちゃん♪リナはね~。今、ゼロスと眠ってるの。」
ルナが言ってくる。
(…んな、朝っぱらから…何やってんだか……)
あたしのつぶやきが聞こえたのか、
「エルスィちゃん?」
ルナが首をかしげている。
エルスィというのは、あたしが仮に名乗っている名前である。
あのとき、リナの結婚式に参加した姿のまま、年月を重ねるようにして姿をかえているのだ。
あたしは。
さすがに、エルと名乗ったときには、ルナが真っ青になってしまったので、
仮にエルスィとしておいたのだ。
まだ、あたしには気づいていないが。
『エルと呼んでもい~よ♪』
以前、あたしが面白半分に言うと、
「それだけはっ!!けっして、出来ませんので!!ごめんなさい!!エルスィちゃん!!」
ルナは叫んでたが。
ちなみに、呼び捨てもできないらしい。
この名前にしてみても。
「あ、い~の、別にたいしたようじゃなかったから、またくるって伝えておいて♪」
あたしは言って店をでて、人通りのない場所から宮殿へと戻ってゆく。



ここは、あたしの宮殿の中。
「そういえば、このごろリナスレイヤー様……お見かけしませんね。」
ゼラスがSに向かって言う。
「そういえば、そうだな。」
言ってSは手近にいたメイドを呼び止める。
「もし、つかぬことを聞くのだが?」
とS。
「はい。何でしょうか?赤瞳の魔王シャブラニグドウ様。」
と答えるメイドのシキル。
「リナスレイヤー様を近頃みかけないのだが?どうかなされたのか?」
とS。
「リナス様でしたら、ただ今、あなた様の世界の人間界に人間として……はっ!!」
言いかけて、あわてて口をつぐむシキル。
「あああ!!すいません!!お答え出来ません!!
  エル様とリナス様より、直々に命令がでてますので!!失礼します!!」
言ってばたばたと逃げさるシキル。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シーン・・・・・・・・・・・・・・・・。

「……今……なんて聞こえた?……ゼラス……」
とS。
「リナス様が……人間界に転生と……」
とゼラス。
ふたりは顔をみあわせる。
ふたりの脳裏に一瞬、浮かんだのは、まぎれもなく……
「あ…あははは(汗)そんなこと、あるわけがありませんよね……(滝汗)」
「そ…そそそうだよな……(滝汗)」
ど~やら二人とも、同じことを思いついたらしい。
『……多分……』
二人の声が重なる。
「……ゼラス。とりあえず、もどったら緊急会議にしよう……」
とS。
「……そ~ですね……多分、違うと思いますが…でも……」
とゼラス。
『リナスレイヤー様なら……(汗)』
ふたりの声がはもる。
やりかねない。
というのは、Sもゼラス達も十分に承知してるのだ。
何しろ、リナスの性格はあたしによく似ているし。
「ともかく!!いそいで戻ろう!!」
そして、Sとゼラスは、大急ぎで戻っていく。


「なんでしょうか?いきなり会議に出席しろだなんて?
  それより、僕。早くリナさんとこにいきたいのに……」
ぶつぶつ愚痴をこぼしながら、ゼロスは呼ばれた会議に出席する。
いきなり、ゼラス達は、もどってくるなり会議をはじめたのだ。
なんで、ゼロスが呼ばれたかというと、当事者だったりするからだからなのだが♡
「失礼します。およびにより、参上しました~、」
ゼロスは言って、会議室へとはいってゆく。

……し~ん……
会議は静まりかえっていた。
「?あ…あの~?」
とゼロス。
「ゼラス……お前から言え……」
とS。
心なしか顔が青ざめている。
「わたしが!?」
ゼラスが驚く。
うんうん。
うなづく一同。
「え……ええとね…ゼロス。……リナス様のことなんだけど……」
歯切れも悪くゼラスが言う。
「リナス様!?彼女……いや、あのお方がどうかしたんですか?」
とゼロスが思わず問い返す。
黙り込むゼラス。
「獣王様?皆様!?」
彼女に何かあったのだろ~かとゼロスは不信に思う。
ここに、集まってるのは、魔王と腹心、全てである。
やがて。
「リナス様…実は人間界に…この世界の人間として転生されてる…そうだ……
  ……心辺りは…ないか?……ゼロス……」
かすれる声で、嘘であってほしい願いをこめていっているS。
本当は、S達は心当たりが大有りなのだが。
それが、誰なのかに。
多分、認めたくなく、信じたくないのだろう。
「え!?」
ゼロスは一瞬、今朝の夢を思い出す。
ー まさか?!本当に?!いや、そんなばかな!?
「失礼します!!」
言って、ゼロスは、いきなり空間移動して消えてゆく。
行き先は……まぎれもなく、リナのところである。
「……頼む……嘘であってくれ~!!!」
「多分……間違いないですよ……魔王様……リナス様の性格からして……」
Sが泣き叫び、グラウシェラーが冷静に突っ込みをいれる。
「……すごい根性……そこまでしてゼロスを追っかけてきたなんて……」
とダルフィン。
「う゛~……リナちゃんがリナス様……う゛~……」
うなっているゼラス。
ど~やら、ここにいたって全員、リナの正体に気が付いてしまったようである。
ま、リナスがゼロスを好きだということは全員がしっていたからだろ~が。
「しくしくしく……」
Sはただただ、涙をながしているだけである。


                                         -続くー

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あとがき:
かお:はい♪よーやく、全員(?)気が付きました♪リナスの正体♪
    次回は、ゼロスが、よーやく、自分の気持ちに素直になります♪
    くくぅー♪リナスやったね♪
エル:どーでも、いーけど、あたしの出番は?
かお:あるのです♪
   晴れて、めでたく公認となった二人を祝して、エル様の宮殿で結婚式をするのです♪
        ついでに、このエリア(?)の八人も全て呼ぶのです♪
    リナ:で、いったい、何話で終わるわけ?この話?
    かお:ぎぎくううぅぅ!!多分、十話だと思うのです。多分。
    リナ:何よ?その、多分・・って・・・。(じと目突っ込み)
    かお:前書きでも、いーましたが、
        頭の中で完結してるので、長さの位がつかめないのです。
        今回も、実は、ゼロスの告白(?)シーンまで、入る予定だったのに。
        長くなりすぎて、次回にまわしたのです。(←実話です)
    エル:・・・計画性のないやつ・・・。
       いらない、部分が、多すぎるのよ・・。あんたは・・・。
    かお:はははは(冷や汗)十分、分かっては、いるのです(滝汗)
        ではでは、これ以上、突っ込まれないうちに退散するのです♪(逃走!!)
    エル&リナ:あっ、まちなさ~い!!
        それより、始めの長編投稿すませんか~い!!!
     (かお、リナとエル樣につかまってしまい・・・・お仕置きタイム中・・・・。)


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