ミッションズ・オブ・リング   ~侵攻せしは…~



ドドドドド…
シュウウウ…

音を立て、上空にとなぜか渦を巻いていた黒い雲が消えてゆく。
それに伴い、多少の竜族なども一緒に巻き込みながら。
そんな仲間の姿をみて何やら叫んでいるほかの竜たちの姿もそこに見受けられていたりはするが。
「…で?聞かせてくれるかしら?あなたに力を化した、という人物のことを?」
にっこりと微笑みつつも、目の前の大地にとすでに翼などを失い倒れているヴラバザードに問いかけているルナ。
その手に握られているのは一振りの剣。
「誰が…」
誰が口を割るか。
などと思い、それでもいまだに負けを認めずに、そっぽを向いているそんな彼の言葉に。
「まあいいわ。あんたの記憶そのものに聞くから。」
そういいつつ、手をかざし。
何やら唱えるルナ。
それと同時に、ルナの周りに暁の光が生まれ。
次の瞬間には。
その光はやがて、ひとつの光の姿をなし。
ルナを中心として、やがてその光はひとつの姿を作り出してゆく。
といっても、光の映像、というか残像、みたいなものではあるのだが。
だが、それで十分。
その場にいる他の者たちに存在の意味を知らしめることにおいては。

ざっ。
思わず、そこにいた竜族のすべてが大地に降り立ち。
その場にひざまづく。

それは、暁よりもまぶしく 光よりも凄烈なる おおらかな羽をもった
…彼らのうちでは、絶対、ともいえる、彼らの主。
赤の竜神(フレアドラゴン)スィーフィード。

古より伝えられている伝承。
赤の竜神の騎士を敬称するものたちの中に。
本来の竜神が転生し、紛れ込んでいる。
と。
見分ける方法はなきに等しいが、ただひとつ。
それは、その身に宿す力とそして…オーラ。
いくらその器が人となっているとはいえ、基本は竜神。
そのオーラは人のそれとはことなり、竜のごとく…

「どうやらあっちはルナさんが何かしたようだし。」
チン。
とりあえず、自分たちに戦いを仕掛けてきていた竜たちが。
抵抗をやめ、そちらもまた、大地にとひざまづいているのを確認し。
剣を鞘に収めてそんなことをいっているガウリイ。
「まあ、姉ちゃんだし。さって、ガウリイ、とりあえず。…って、ああ!?レナは大丈夫かしら!?」
にっこり微笑んで横を振り向いたリナがあまりにかわいくて。
思わず抱きしめようとするガウリイの手をすかっとすり抜け。
そのまま、娘であるレナのほうにと駆け出して行くリナと。
「…リナぁぁぁぁ~…」
むなしく空中をつかんだその手をいまだに未練がましくしばらく見つめ。
情けない声をだしているガウリイ。


「どうやら、ひと段落したようじゃの。ほっほっほっ。」
いまだに横でひくひくと痙攣してほとんど動かなくなっている黒い物体をそのままに。
大地にと広げていた魔力て作ったシートを片付けているマッケラン。
といっても、片付ける、とはいえ、ただそれを霧散させているだけなのであるが。
ルナがそのオーラを出現させたことにより。
いくらヴラバザードが何をいっても、当然それ以外の竜族は。
彼の言葉ではなくルナの言葉に従うのはいうまでもなく。
結果として、一時もしないうちにと。
先ほどリナたちにと攻撃を仕掛けてきていた竜族たちは。
素直にルナの管轄下にと入っていたりする今の現状。
「まあね。こっちはまあ雑魚だからいいのよ。問題は…」
いいつつも、無理やりヴラバザードの記憶と精神から。
その情報を得たルナの表情が少しばかり険しくなる。
「で?姉ちゃん?何だったの?」
しっかりとその腕にレナを抱きしめ。
そんなことをいっているリナ。
まあ、正確にいうならば、抱きしめている、というか抱いているのだが。
リナがレナを抱いていれば、よく似ているがゆえに、親子、とは一目瞭然なのではあるが。
何にしろ、リナが本来の年齢よりも若くみられるがゆえに、姉妹、と見られてしまうことも少なくない。
まあ、ゼフィーリアのゼフィール・シティの人たちは全員そのことを知っているので。
あまりそんなことは起こりえないのだが。
レナを抱きかかえてルナにと問いかけているリナ。
そんなリナの言葉をうけ、かるく視線をリナの方にとちらりとむけて。
「どうも別の世界…というか惑星から、こっちにやってきている馬鹿が主体ね…まったく…」
はぁぁぁぁぁ~…
情けなくて、それでいてあきれてため息がでてしまう。
この太陽系の中にある惑星の中には、文明を気づいている生命体は他にはないが。
だがしかし。
その近くにあるあまたの太陽系には、確かに文明を気づいている生命体は無数に存在する。
そんな中で。
間違った知識をもったまま、そしてまた。
逆に少しばかり文明が進み、古代遺跡などの古代文字や伝承を解読し。
さらには、遠く離れた場所を『透視』する装置を開発したとある惑星の文明たち。
一度、魔と神のぶつかり合いで無と化し、新たな文明を築いているその惑星。
だが、たいていの種族にいえることではあるが、力をもつと、過信する。
そして、自分たちが一番上でなければ気がすまなくなってしまう。
そういう困った存在、というものは、いつの時代、どこの世界にも確かに存在する。
そう、先ほどルナが制裁を加えていた火竜王ヴラバザードのように。
「とりあえず、わかったのは、死の山のふもとで待ち構えている。ということよ。
  あとは、数日先の皆既日食。それで仕掛けてくる、ということかしら。」
ため息をつきつつ、リナたちに説明するルナの言葉に。
「?皆既日食?ああ、あの太陽が月の影に隠れて、地上からは見えなくなるやつね。
    そういえば、数日後にあるんだっけ。そういうのが。」
まあ、その仕組みを理解している存在など、いまだにこの惑星上では少ないのだが。
リナはそのあたりの知識などは姉であるルナから幼いころから叩き込まれている、
もしくは、クレアバイブルに触れているがゆえに、そのあたりのことは知っている。
きょとん、として問いかけるリナの言葉に。
「そう。何か今回、これを狙っているやつらは。とりあえずは異星人、とでもいったほうが楽かしら?
  とにかく、こちらの過去などを調べてて、でもって、指輪の存在を知ったみたいね。
  そして、それがあれば、世界の支配者になれる、だなんて勘違いもはなはだしいったら。
  とにかく、そんな勘違いをしまくって、で、こっちにやってきたみたい。」
まったく、その行動力などを別の場所に生かせばいいのに。
などとルナはぶつぶつとそんなことをつぶやいていりたするが。
まあ、何か馬鹿なことを考えるものたちのしでかすこと、というのはたいていはそうである。
いらないことを優先し、必要なことはしない。
それは、ほとんどの存在などにいえるお約束。
「ま、とにかく。こちらの世界で普及してる、『魔法』それすら、皆既日食のときには。
   使えなくなる、とか馬鹿なことを思って仕掛けてくるつもりみたいよ。」
さすがにあまりにあきれすぎて情けなくなってしまうが。
というか、それをわかっていて、訂正しなかったヴラバサード。
彼としては、そのうちに、力を与えてくれたそれらに成り代わろうとしていたのだから。
彼らにとって有利な情報を与えるはずもないのであるが。
「んじゃあ、とりあえず、今のままでいったら。ちょうど麓付近にたどり着くのが、それくらいの日時になるし。
   なら決戦場所は死の山の麓、ということ?姉ちゃん?」
ある程度の説明をルナからうけ。
納得しているリナ。
そんなリナの横で。
「…なあ?リナ?何かオレ、まったく意味がわからないんだが…」
すばこぉぉぉぉん!
頬を少しかきつつ、ぽそり、とリナをつついてつぶやくガウリイに。
電光石火のごとくに懐から取り出したリナのスリッパが炸裂する。
「あのねぇ!とにかく!今回の襲撃者たちが、死の山の麓付近で仕掛けてくる、という話よ!」
そんなリナの説明に。
ぽんっ。
軽く手をうち。
「おお、何だ、そういうことか。なら、難しいこととかいわないで。それだけいってくれたらオレでもわかるぞ。」
「つうか、少しは頭をつかえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
いまだに振るえ、大地にひざまづいている竜たちを尻目に。
そんな和やかな会話がリナたちの間で繰り広げられてゆく。




生命があふれるこの惑星。
だがしかし、ここ以外にも確かに生命体が存在する惑星もあまたとあるのもまた事実。
そしてまた。
世界を任されし、竜神、魔王が管理しているのは。
何もひとつの惑星だけではない。
あまたの星星が集まり形成されている、銀河、と呼ばれるひとつの星雲。
そして、そんな星雲がまた集まり形成されている大星雲。
その中のひとつに彼らは位置づけられている。
正確にいうならば、大星雲の銀河集団が四つにと区切られ。
それぞれの地区をそれぞれの四人の竜神と魔王が管理しているこの世界。
ゆえにこそ、古の伝承などでは、よく『四界の魔王や竜神』という言葉がでてくるのだが。
だが、その事実を知っているのはほんの一握りほど。
そして…直接に干渉、つまりは魔王や竜神、という存在の干渉をあまり受けていない世界においては。
それらの力を我が物にしよう、とする動きがあってもおかしくはない。
その力の強大さを知らないがゆえに、そしてまた、自分たちの力を過信しているがゆえに。
そしてまた。
例にもれずに、魔王や竜神、そんな存在が実際にいる世界を見つけたとある世界。
そんな彼らが…それらの強大な力を得ようとして動き始めるのはいうまでもないこと。
すでに、空間転送装置は彼らの惑星において完成している。
あとは。
すべての力を無制限にと拡大する、といわれているらしい。
かの世界の古の指輪を手にいれれば。
すべては自分たちの思い通り。
あまたとある惑星をすべて支配することなどはたやすい。
そしてまた、魔王の上にいる、という魔王の中の魔王。
それにすらにも匹敵する力をもって、すべてを支配する。
そのように、困った考えを抱いてしまった存在をもつ惑星の生命たちは。
気の毒、としかいいようがない。
何しろ、それは、自分たちは関係ないのに、預かりしらないところで、
あきらかに、死刑判決を受けているのに等しいのだからして…



「ラグール様。時間的にはあと数日で、計測的にはこちらの世界の力が弱まります。」
間違いと勘違いとによって、それが事実、とされている彼らの知識。
というか、この世界の魔法倫理がまったくわかっていない。
という何よりの証拠でもある。
どうして太陽が消えた…と見えるその現象だけで、魔法が使えなくなるものか。
常識的に考えればすぐさまにわかりそうなものであるのだが。
「この世界は古の御伽噺にでてくるような力というものが存在するが。
  だが、われらの科学力をもってすれば、子供だましの魔法とかという、力など、なきに等しい。
  現にこの世界の要、ともいえる竜王、と名乗るものですら。
  われらの科学力をもってして力は向上した。われらがすべての頂点に立つのがふさわしいのだ。」
などと高らかに言い放っているのは一人の男性。
その少しばかりウェーブの入った金色の髪が風にとなびく。
「御衣に。われらの星がすべての世界の頂点にたつ。これほど喜ばしい作戦に参加できるのは、われら限りない喜びであります!」
無知がゆえの暴走。
そんなことをいっている、このあたり、というかこの惑星ではまず見ないような。
服装をしている彼らたち。
体にフィットし、動きやすいその服装には。
彼らのシンボル、ともいえる双頭蛇のマークが。
彼らの世界では、古代より蛇は繁栄の証と・・・そして、滅びの象徴。
「わかっているのならばよい。このあたりに仕掛けた装置の確認。一時も時間を無駄にするではないぞ?」
「はっ!」
科学力をもってして、まやかしの術など、無効化してやる。
などとそんなことを思いつつも、後ろ手にある死の山の河口付近を眺めているその男性。
…人間、何事も、無知、というほど、怖いものは…ない。
この世界の力がすべてはまやかしで、科学力をもってすればそのまやかしが敗れる。
など。
どこをどう調べたらそのような結論にいたるのであることか…
一人笑みを浮かべつつ、すべての頂点に立つための、まあ、気休めかもしれないが。
だがしかし、未知なる力が使われているらしい、持つものに更なる力を与える。
という指輪の存在。
そういった指輪の伝説は彼らの世界にもあったことから。
だからあえてそれを手にいれようと行動を起こしている彼らたち。
…何事も、行動を起こすときには、慎重に調べなければならない。
という、いい例が彼らであろう。
その指輪がどいったものか、はたまた、どういった性能ものか。
そしてまた。
この世界の力の仕組みなどがどうなっているのか。
まだ完全に解明されていない、というのに。
皆既日食がくるから、という理由で侵攻を決定している彼らの上層部。
上が愚かだと関係ないものまでが苦労する、という典型的な例であろう…



「まあ、とりあえず。このあたりで瞬間移動とかしたら、姉ちゃん。
   別の空間に飛ばされるほどに空間が安定してないんでしょ?とにかく、とっととこれ、死の山の火口に始末しにいきましょう。」
まあ、ここで何やらいっていても話が進まない、というのも事実であり。
ルナがヴラバザードから聞き出した、という説明を聞きながら。
あきれつつも、つぶやくようにといっているリナ。
「そうね。とりあえず、それを始末するのが先よね。
   とにかく、あそこにさえそれを投じれば、それ、あの御方の下に献上、というか、還る仕組みになってるし…」
などとそんなリナの言葉にぶつぶつとつぶやくルナ。
くすっ。
そんなルナの言葉をききつつも。
まあ、確かにあそこに投じたものは、ここに設定しているあたしの聖殿の中にある、ある場所にと直接につながってるからねぇ。
そんなことを思っているレナ。
正確には、レナの中にと降りてきている別のモノ。
「そなんだ。」
いきなりぽつり、とつぶやいたレナに大して。
「うん?どうしたの?レナ?」
きょん、として問いかけているリナ。
いまだにレナの中にかの御方が降り立っていることに気づいているのは。
今、この場ではガウリイのみ。
まあ、ガウリイもまた、聞かれてないがゆえに話してもないのだが。
そしてまた…


うっうっうっ。
魔王さまぁ。ゼラス様ぁ…
何か、何か、何かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
あのレナちゃん、やっぱりとんでもないような素質もってる…というかぁぁぁぁ!
何だって、レナちゃんの体からあの御方の気配が一緒になってあるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

なぜか物質世界面においては、いまだに痙攣しそのあたりの地面にころがりつつ。
精神世界面においては、何やら絶叫を上げているゼロスの姿がそこにあったりするのだが。

だが、いつものごとくに、きれいさっぱりと無視されているゼロスなのであった…



「とにかく、先に進みましょう。お馬鹿さんたちには、とりあえず。
   …まあ、私たちがやらなくても、間違いなくあの御方が何やらしそうなきもするけど…
   とにかく、今あたしたちがやることを、やるべきことをしにいきましょう。」
そういい、全員の顔を見渡すルナに。
「それしかないでしょ。あ、レナ。まだ少しあるくから、疲れたでしょうから。どうする?
  このままあたしが抱いてようか?それともガウリイがいい?」
抱きかかえているレナにと問いかけているリナ。
そんなリナの言葉ににっこりと。
「レナ、おとーちゃまがいい!」
にっこりと微笑んで答えているレナ。
「だって、ガウリイ、はい。レナよろしく。」
そんなレナの言葉ににっこり微笑み。
レナをガウリイにと手渡しているリナの姿。
いまだにおびえ、固まり、地面にひざまづいている竜たちの目の前で。
何ともほほえましい親子の姿が見受けられてゆくのであった。
「よっし、じゃあ、レナ、父さんといっしょにいこうな。」
「はーい!」
ガウリイにレナを手渡し。
そのまま、その場に竜たちをその場にのこし。
再び先を進み始めてゆくガウリイたち。

その先に待ち受けているのは。
待ち構えている、異世界の愚かな存在たち……

                             -続くー

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何でひとつを完成させないままに次にとりかかってるんでしょうねぇ?
私は・・・・だめじゃん(自覚あり)
とりあえず、残りわずか、となってる、このリングと
あと結婚式!とラブラブ新婚生活(まて)だけとなっている狭間。
あれがすめばだいぶ違うんですけどねぇ・・・・
何か打ち込みする気力になんなくて・・・・・(ふっ・・・←こらまてまて
まあ、何はともあれ、あとこのリングもあと少しv
何はともあれ、いくのですv


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    あとがきもどき:
     薫:はい。ラグールでてきましたねぇ。(まて)
        ちなみに、彼ら、神族、とかといった存在ではありません。
        普通!の人間です。
        文明が進めば愚かな考えを起こす存在って・・・・
        どこの世界にもいるんですねぇ(遠い目…
        しかも、きちんとした調べもせずに、指輪のことがわかったがゆえに。
        といっても、これもまた、完全にわかったわけではないのに。
        世界征服のために、力を得ようとやってきている愚か者です・・・
        しかも、この世界の魔法、とかいう力。
        だたのまやかし、子供だまし・・・・と思ってたりするし・・・・
        ・・・・・・・・んなんで、人の命というか部下つれて侵攻してくるな(汗
        まあ、俗にいう、常識でしか考えられない人たち、といったところですかね。
        何しろ科学力だけは、別の惑星と自分たちの惑星の空間をつなげる、
        惑星空間転移装置。
        そんなものを作り出せるほどの文明ですから・・・・・
        でも、使い方というか、馬鹿な考え起こすなよな・・・・
        などと一人突っ込みをいれつつも。
        次回、ラグール部隊とリナたちの決戦です!
        え?エルさま?それは当然・・・・・・ふふふふふ♪
        んではでは。
        この調子だと、やっぱり予定通り、20話でおわれそーです。
        んではではv

      2004年5月23日某日


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