ミッションズ・オブ・リング ~汝、永遠のごとくに・・・~
「それで?指輪を手にいれて、どうする、というわけ?」
さめた口調のルナの声が、目の前にいるヴラバザードにと向けられてゆく。
「知れたこと。あれを手にいれて、われがすべての頂点に立つ。それを手助けしてくれる御方にもめぐり合えた。」
などとほざいているこのヴラバザード。
「で?」
リナの後で、何やら雰囲気のかわっているレナなのであるが。
だが、それにまったく気づくことはなく。
「彼は私に約束してくださった。この地を私に下さり、そして、彼がやがて金色の王に成り代わり、すべてを支配したあかつきには。
私を王の中の王にしてくださる、と。ゆえにこそ、人にと封じられている、スィーフィード。
貴様ごときのいうことなど・・・もはやわれは耳をかさん。」
そんなそれらの言葉に。
「?どういうことかよく意味がわかんないけど。だけど、とりあえず、邪魔するっていうんだったら、相手になるわよ?」
いいつつも、レナをかばうようにして、すっと一歩前にと出ているリナ。
「カオス・クラッシュ。」
リナとガウリイの背後から。
小さな、本当に小さなレナの声がぽつりと奏でられ。
次の瞬間。
ばしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!
「あ、しっぱいしちゃったぁ。」
にこやかにそんなことをいいながら、笑みを浮かべているレナ。
ちょっとした何かが消滅する音とともに、掻き消えている、ヴラバザードの背後にとあった、ちょっとした小高い山。
「・・・え、えっと?レナ?今の・・・」
「えとね。かーさまがぎがすれだめっていってたから、べつのなの!」
思わずレナの方をふりむき、問いかけるリナにとにっこり微笑み答えているレナ。
「威力的にはどれくらいなの?」
聞くところはそこか!?
などと、その場にいたほかの竜たちは思わずそんなリナの言葉に心で突っ込みを入れていたりするが。
だがしかし、目の前にいる一応は上司であるヴラバザード。
彼の命令には逆らえない。
悲しいかな、役所、というか、勤め人・・・まあ、人ではないのだが。
竜たちの悲しき定、とでもいうべきか。
「んっとねぇ。ぶらすとぽむていど!」
リナの足にきゅっとつかまりつつ、母親であるリナを見上げて説明するそんなレナの言葉に。
「ならオッケー。あ、レナ、ドラグイレスブの辺りまでの威力ならいいわよ。この辺りの火山を刺激しない程度の術なら。
レナ、あたしと同じくアレのストックかなりあるしねぇ。ちょうどいいわ。実践でこいつらで試しなさいな。」
「わぁぁぁぁぃ!はーい!!!」
何やら聞き捨てならないことをいっているこの母娘。
『まてまてまてまぃ!?何だ!?その『アレのストック』というのは!?』
さすがに、不安を感じた別の竜たち数名が思わず声を張り上げるが。
「何いってるのよ?アレといえばアレにきまってるじゃない。
金色の王の術のことよ。大丈夫よ。ギガスレイブみたいに、あれの力の一部を引き出す術でないかぎり。
万が一のことなんてないし!うん!」
にっこりと、それでいてきっぱりと言い切るそんなリナの言葉に。
「・・・リナ、レナちゃん、お願いだからあの御方が降臨できるような術はやめてちょうだい・・・」
思わずぼつり、とつぶやいているルナの姿。
そんなリナの当たり前のようなその言葉に。
ピシリ。
ほとんどの竜たちがその場にて凍りつくが。
「火竜王さま!?どういうことですか!?一言もそんなことは!?というか、人間なんかがあれを扱えるのですか!?」
「というか、まて!?今、ヴラバザード様はそこの人間のことを何と呼んだ!?
確か『人に転生してるスィーフィード様』とか何とか・・・」
その言葉にざわざわとバニックになり始めているほかの竜たち。
「んじゃぁ、かーさま?かざんにえいきょうがないていどならいいのね?」
「いいわよ。」
その言葉ににっこりと笑みを浮かべ。
「―いいって。」
?この子、ダレにむかって話しかけてるのかしら?
そんなことをふと疑問にも思うが。
「とにかく、レナ、無茶はしたらだめよ。さってと。姉ちゃん、こいつ、どうする?」
とりあえずレナの頭をなでつつも、ルナの横にと並び、問いかけているリナ。
その言葉に。
「とりあえずあの馬鹿は私が始末するから。リナは他のやつらの説得お願い。
あ、ガウリイさん、なるべく、殺さないように手加減はしてくださいよ?人材はあるに越したことはないのですから。」
にこやかに、ガウリイにさりげなく制止をかけているルナ。
ガウリイは間違いなく、リナに向かってこようとした竜たちを問答無用で、切りつけ、殺す、
というのがわかっているがゆえに。
「まあ、相手次第・・・ですね。」
そんなルナの言葉になごやかに返事を返しているガウリイ。
そんな彼らの会話をききつつも。
「何をごちゃごちゃと!覚悟!」
痺れをきらしたヴラバザードは、そのままルナの方にとむかって襲い掛かってくる。
それに続き、仕方ない、とばかりに続く竜が一部と。
後は何がどうなっているのかわからずに、どちらにつけばいいのかわからずに。
戸惑いつつ右往左往している竜たちの姿がそこにあったりするのだが。
「次元嵐」
はじめに、完全にガラリ、と雰囲気がまとう気配が変わっているのに気づいたのは。
先頭をゆく竜の一段。
とりあえず、子供を人質にすれば、手も足もでないはずだから。
という、上司であるヴラバザードがここに来る前打ち出していた計画どおり。
レイナにと襲い掛かっている彼らたち。
だがしかし。
彼らは気づいてはいない。
レイナのその瞳が金色の光を帯びている、ということに。
ゴォウ。
レナの言葉に呼応するように、上空にと出現する黒い渦。
そこに、雲などが瞬時に吸い込まれていっていたりするのは、いったい全体どういうわけか。
「ちょっとまて!?何だ!?これは!?」
その中に吸い込まれそうになりつつも、思わず叫んでいる一部の竜たち。
「きにしない、きにしない、ヴォイドの空間に出るだけだし。」
何やら口調が先ほどの子供とは異なっているように感じるのは、彼らの気のせいであろうか。
ヴォイド・・・すなわち、虚。
何もない空間、という意味を表しているが。
「とりあえず、あたしに手向かってこようとしたのは事実なんだし。」
くすっ。
小さくつぶやくその言葉は。
リナたちは気づいてはいない。
「ねーねー。あれにすいこまれたらどーなるの?」
同じレナの口から、まったく雰囲気の異なる声が発せられているのに。
思わず驚いている竜たち。
声の雰囲気から何から何までが完全に違っている。
そのことに気づいた一部の者たちは、さきほどのルナのつぶやきを思い出し。
一部固まっていたりするのではあるが。
すなわち。
― あの御方が降臨するようなものはやめて・・・
あの御方。
それが何を意味するのか。
まず、たいていの神に仕えるものなどは知っている。
魔王の中の魔王、とも呼ばれているその存在。
だがしかし、その力は神よりも上をいき、万物の王、とも言うべき存在である。
ということは。
まあ、その事実を完全に理解している存在はかなり少ないのだが。
たいていは、魔王の中の魔王、すなわち、手を出したら危険、というイメージと。
あとは母なる存在、というちょこっと違った知識などをもっているのに他ならない。
「気にしないのよ。レナ。あれに吸い込まれたら、何のことはないわ。
この銀河の中にと存在してる、虚の空間にとつまりは、星星すらも存在していないちょっとした空間につながるだけよ。
ま、当然のことながら空気とかないけど、それで死ぬような根性のないやつは、いくらでも生き返らせて根性たたきなおすし♪」
何やらレナ、と呼ばれている少女の口からまったく別な口調の台詞が飛び出していたりする。
「なら、きにしない。えっと、この人たちをあの中においこめばいーの?」
「そうそう。」
ずざっ!
一人の口から発せられる二つの声。
その意味を・・・一部の者は悟り、そのままの体制で思わず退く。
まあ、懸命な判断、といえるのであろうが。
『ちょっとまて!?どういういみ!!』
叫ぼうとするそんな彼らの言葉は。
「フレアテック・ロンド!」
次なるレナの言葉により、あっさりとさえぎられる。
レナの言葉により、生じたものは。
暁の光を保つ、無数の光球。
それらが、まるで、レナに向かってこようとしていた竜たちを絡めとるように、どんどんと彼らの退路をふさいでゆく。
『んなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!?』
前にも進めない、そしてまた、光の球にと体を束縛されているがゆえに。
逃げることも許されない。
それにとらわれた竜たちは何やら意味不明な叫びを上げながら。
空にと出現している黒い渦の中にと飲み込まれてゆく。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
そんな仲間の姿を具間みて。
完全に固まっている他の竜たち。
「あら、レナもやるわねぇ。」
そんなことをいいつつも、確実にと自分の方にとむかってゆく竜たちを倒しているリナに。
「おーい、リナ、とりあえず、こいつら、羽もいどく程度でほんとうにいいのか?」
何やらにこやかに、物騒なことをいっているガウリイ。
「それくらいでいいんじゃない?それか腕一本くらいとか?」
「わかった。」
リナの言葉をうけて、ちょぴっと力を加減して。
空に向かって剣の一閃を繰り出しているガウリイ。
ガウリイの放った衝撃派はそのまま。
逃げ場もなく、彼らにむかいくる竜たちの手を羽をあっさりともぎ取ってゆく。
そしてまた。
リナとガウリイ。そしてレナと、レナの中にとちょっと遊びにきているとある御方。
彼らがちょっとした行動を起こしているそんな中。
キッン!
普通の人間の目には見えない速さで、何やら動き。
剣と、そして槍を勝ち合わせているルナとヴラバザード。
「で?まさか、それでこの私に勝てる・・・・とでも?」
「ぐっ!」
完全に勝利を確信した一撃であったはずなのに。
あっさりととめられ。
逆にそのまま、圧されているヴラバザード。
こんなはずでは。
われはあの方より力を授かったのだから。
などとそんなことを思っているが。
「馬鹿にしなでよね。というか、人間ごとき、とあなたがいってたけど。これは私の意志であるし、また、必要なことでもあるんだし!
力がたとえ以前のそれとは比べ物にならなくても、
たかが、私の四分の一以下の力しかもっていないあなたたちが、この私に勝てる、とでも思ったわけ?」
にっこりと、その紅い瞳に余裕の色が浮かび。
そして、次の瞬間には。
ザッ・・・・ンっ!
逆にヴラバサードがもっていた槍そのものが。
自ら・・・すなわち、ヴラバザード自身の胸を貫いてゆく。
何のことはない。
ただちょっと、ルナが力をこめて、彼の攻撃をかわしたその反動で。
自らが墓穴をほっているこのヴラバザード。
一方で。
「ほぉう、さすがはピンクのりな殿たちじゃなぁ。あ、どうかの?貴殿もお茶など?」
ずずっ・・・
なぜか彼らが戦っている、というのに対して。
のんびりとその場にと座り、お茶などをすすっているマッケラン。
「・・・い、いやあの?マッケランさん・・・でしたよね?あれを見て何とも思われないのですか?」
そんな彼の横て何やらつぶやいているのは黒い服を着ている一人の神官。
「何がじゃの?おお、そうか、魔族のおぬしにはお茶ではなく。確かゼフィーリア特性の飲み物の方がよいかの?
確か『魔族ころり』、とかいう種類の飲み物が・・・確かティーバックがあったはずじゃが・・・」
何やらいいつつも、袋の中をごそごそと始めていたりするマッケラン。
「いや、お茶でいいです・・・というか、アレみて何とも思わないのですか?」
ほとんどなみだ目になりつつも問いかけているのは、いうまでもなく。
お役所仕事の獣神官ゼロスなのであるが。
とりあえずは、今回の一件で上司などにいわれて走り回っていたのであるが。
何かリナたちの近くにいたほうが情報も得やすいだろうから、傍にいろ。
と、なぜか上司たち・・・すなわち、彼の直接の上司にあたる獣王などにそういわれ。
いやいやながらも、そこはそれ、お役所勤めの悲しさか。
リナ達と合流しようとやってきて・・・そして目にしたのがこの光景。
というか、ダレも気づいてないのが恐ろしい。
そんなことをふと思うが。
感じるのは、あのときと同じ気配。
間違いなくレイナから感じるのは一体全体どういうわけか。
そんなことを思いつつもかなりおどおどしているこのゼロス。
「まあ、いっぱいいかがかの?」
そういって横でさしだすマッケランのコップを素直にうけとり。
何も考えずに口にしていたりするこのゼロス。
次の瞬間には。
「ぐばっ!?」
などといいつつ、それを噴出して。
ひくひくと痙攣していたりするゼロスの姿があったりするのだが。
「うーん、これでまだ痙攣するようじゃ、貴殿もまだまだじゃの。ほっほっほっ。」
などといいつつ、そんなゼロスをみて笑っているマッケラン。
ゼフィーリア特製。『魔族ころり』これはちょっとした上級魔族程度なら。
あっさりと殺せる威力をもっていたりするお茶である。
そんなものが通常に売られているゼフィーリア、という国自体もどうかとも思うのであるが・・・
目の前で繰り広げられているちょっとした戦いには、目もくれずに。
のんびりとお茶を飲んでいるこのマッケラン。
ある意味、大物、といえなくもないであろう・・・
しばし、そのような光景が、ここ、とある山頂付近の岩肌で。
しばし見受けられてゆく・・・
「とりあえず足止め程度にはなったか・・・だが、まあいい。あれがくるのならば話は早い・・・」
死の山。
そこの河口付近のふもとにて。
そのような光景を眺めている数名の存在達。
彼らの狙いはただ一つ・・・指輪を手にいれ、そして、すべてをわが世界に・・・
いつの時代、どこの世界にも困った存在、というものは確かに存在しているようである・・・
「さて…と。とりあえずこいつらはそれなりにお仕置きでもしておきますか♪」
ぽそりと、レナがつぶやいたその言葉を捕らえたのは。
この場においてはゼロスとガウリイ、この二人のみ・・・
-続くー
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まえがき:
何かこの話、意味。ないです。
はい。
別に読み飛ばしても話的にはかまわないです。
ちょっぴしエル様降臨モード?(滝汗・・・・
サブタイトルにも本気で意味ないし・・・・・(思いつかなかった人・・・・
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あとがきもどき:
薫:エル様、ちょっぴしお楽しみモード?
ちなみに、レナちゃんの意識そのままに、エル様がそれに便乗する形で。ただいま降臨中(汗)
もしもぉぉぉし(滝汗)
とりあえず、次回で反省竜族と。なぜかどこかにいったヴラバザード・・・・おしてしるべし(合掌
でもって、ついにラスボス(ん!?)登場ですv
んではでは。
今回はあまり意味がありませんでしたが、それではまた次回にてv
2004年5月22日某日
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