ミッションズ・オブ・リング ~合流?~
「…いや、その…えっと、レナちゃん?」
「…えっと、レナ?」
思わず呆然と何やらつぶやいているルナとリナ。
それもそのはず。
何しろレナがきょとんとしつつ。
もくもくと立ち上る水蒸気の中で。
地面にと座り込み、その小さな手に何かリングらしきものを握り締めていれば話は別。
「あ、おかーちゃま。ルナおねーちゃま。ねえねえ。これ、きらきらとほのおのなかでひかってたのー!」
などといいつつ、それを手にし。
にこやかにそんなことをいっているレナ。
「…って!!?レナ!?まさか!?あのマグマの中に入ったの!?」
驚愕の声を上げているルナに。
「レナ!それ、身につけたらだめよ!危険だからね!」
違うところで叫んでいるリナ。
ルナが驚いているところは。
どうやらレナがあのマグマの中にと入り込んだ、というその事実。
だがしかし、リナはといえば。
愛する娘がかなり危険な指輪を手にしていることで、そこまでは頭が回っていなかったりする。
まあ、気持ちはわかるが。
何しろ、レナが手にしている指輪は。
かなり危険極まりない代物。
もし、あれを娘であるレナが身につけでもしたら。
と思うと血の気がひくのが自分でもわかるほどに。
「んと、それじゃ、そこにいる、ゴキブリゼロスおじーちゃんににもつもちとしてもってらってもいーの?」
いいつつ、この様子を精神世界面より眺めていたゼロスを突如として名指しし。
そんなことをいっているレナではあるが。
ドデッッ!
そんなレナの言葉に。
思いっきり、虚空より姿を表して、そのまま大地につっぶすようにと落ちてくる黒い塊。
ひたり。
その落ちてきた塊に対し。
「何のよう?ゴキブリゼロス?」
いいつつ、ひたりと黒い刃を突きつけているリナ。
「って、リナさん!いきなりラグナ・ブレードをつきつけるのはやめてください!
というか!スィーフィード・ナイトさんも!何、その手に赤竜の剣なんて出現させてらっしゃるんですかぁぁぁぁ!?」
落っこちてきたのは、自称怪しい神官こと、獣神官ゼロス。
一応これでも腹心の次に実力があるという、高位魔族、その当人。
だがしかし。
そんな高位の魔族には、さらさらと見えなかったりするのだが。
「それはそうと?あんた、部屋の掃除は?」
確か、この前。
獣王に連れられて、部屋の掃除とかいってもどっていったはずじゃ?こいつ?
そんなことを思いつつ問いかけているリナのその言葉に。
「とりあえず、僕の物質化を百人ほどに小分けして、分担してやってます♪
僕は僕で、とりあえずは、何かイヤな予感がするから。リナさんたちのところで様子をみてこい、と命令うけまして♡
だらだらと起用にも冷や汗を具現化させつつも。
にこやかにそんなことをいっているそのゼロスのその言葉に。
「??やけに素直ね?」
つつぅぅぅ…
首を傾げつつも、その刃にて、少しづつつゼロスの首根っこを切っていっているリナ。
「あ゛あ゛!リナさん!切れてます!斬れてます!というか!嘘はついてません!まったく裏はありません!
その指輪も狙ってません!ですから、ラグナ・ブレードで切り刻まないでくださいぃぃぃ!」
いいつつも。
リナによってきりつけられていることもさることながら。
自分をきょとんとした視線で見ているレナの瞳の輝きに。
一瞬、金色の光が宿ったことを見届けて。
瞬時に顔色も悪く、何やら、言い訳をしているゼロスの姿。
それは、暗雲に。
いらないことはいうな。
と釘を刺されたようなもの。
何しろ、レナの中にはかの御方の意思そのものである【力】があるがゆえに。
強いていうなれば、レナの守護者は金色の王、ということになるのであろう。
何しろ、レナと万物の母たる金色の母はそこまでに深いつながりにあるがゆえに。
まあ、当然、というべきか。
何しろ、レナの魂そのものは、元をただせば、混沌の力、そのもの。
といっても過言でないがゆえに。
まあ、レイナ、としての魂もきちんとあるのは。
それは、力の源となっている混沌の力が、すべてを創生し、また消滅させるもの。
すべての力を兼ね備えているからに他ならない。
…まあ、この事実を知っているのは。
今のところ、ゼロスと。
そして、その本能的な野生の勘で気づいているレナの父であり、リナの夫である、ガウリイ=ガブリエフ。
この二人しかいない、という実情もまたそこにあったりするのだが…
「あ。」
「あら。」
「…げっ!?」
ばっ!
レナとルナが同時に声をだし。
そして同じく、リナもまた。
その気配に気づいて、上空を見上げつつ。
おもわず、声を出し。
今までゼロスをきりつけていたその剣を無と化しつつも。
後ろにと退いてゆく。
それと同時に。
「…え!?」
リナ、ルナ、レナ。
三人が空を見上げているのに気づき。
ゼロスもまた、空を見上げるのとほぼ同時。
キュゥゥゥン…
何かが、こちらに飛んでくる音と。
「おりゃぁぁぁぁぁ!」
「…どぇぇぇぇぇぇぇ!?」
みれば、上空から、何か、叫びつつもこちらに向かってきているひとつの人影。
それが誰なのか、確認しなくてもすぐさまにわかる。
何しろ、知りすぎている気配と、それと…殺気。
「ゼロス、貴様ぁぁぁ!オレのリナとレナに何をしてるぅぅ!」
などと叫びつつ。
上空からゼロスめがけて、突っ込んできている人影ひとつ。
「ガガガガガウリイさん!?」
ゼロスが目を見開くのとほぼ同時。
ズシャ!!!!!
ものの見事にガウリイの手にした剣が。
そのまま、ゼロスを串刺しにとしていたりするのだが。
「…あ、あはは…はやかったわねぇ…ガウリイ…(汗)」
リナの声がどこか上ずっているのは気のせいではないであろう。
まさか、また。
というか、いつものことながら。
どうして、こう、自分の元に直接に移動してくるのか。
リナは知らない。
ガウリイが、ヴィーナス女王などに借り出されるとき。
王家に伝わるとある品物が依頼が終わり次第使うことが許可されている、ということを。
…気づきそうなものなのであるが。
何しろ、二人がゼフィーリアにと戻ったあの当時より。
それはずっと今まで変わらない事実がゆえに。
その身に少し光をまといつつ。
ちょうど、リナがゼロスに闇の刃をつきつけていたそのせつな。
リナと合流すべく飛んできていたガウリイが目にしたものは。
リナの横にいるゼロスと。
そして、その横で。
ちょんと座り込んでいるレナの姿。
ちなみに、ガウリイの視界には、リナとレナしか映ってはいない。
というか、興味がらいから見ていない、といったほうが正しいのであるが。
そして、よくよくみれば。
リナがゼロスを斬りつけている。というのも一目瞭然にもかかわらず。
ガウリイとすれば、いつものようにゼロスがリナにちょっかいかけているようにと映りこみ。
問答無用で、上空から、ゼロスをその剣にて貫いたのである。
スタッ。
ゼロスを串刺しにしつつ、台地に足をつけ。
「リナぁぁぁぁぁぁあ!」
がしぃぃぃ!
叫びつつ、いきなりリナにと抱きついているガウリイの姿がそこにあったりするのだが。
「だぁぁぁぁあ!はなせぇぇぇぇ!人前でぇぇえ!はずかしいでしょうがぁぁぁぁ!」
いつもの、というか、日常的なリナの叫びが。
今までの緊張というか、出来事はどこへやら。
辺りにと響き渡ってゆく……
つんつんつん。
リナとガウリイが抱き合っている、というか一方的にガウリイがリナを抱きしめているそんな中。
串刺しにとなっているゼロスをつんつんとつつきつつ。
「ぜろすおじーちゃん、いきてるぅ?」
などといいつつも。
その辺りにと転がっていた木の枝でつんつんとゼロスをつついて遊んでいるレナの姿。
そんな彼らの様子をみつつ。
「いやぁ。何とも微笑ましい親子の様子ですなぁ。」
などとどこか違っていることをいいながら、にこやかにと笑っているマッケラン。
ずずぅ。
「…あー、お茶がおいしいわ…」
とりあえず。
おそらくは、信じたくはないが、あの御方の力波動が多少感じられたこともあり。
どこか堅実逃避をしつつ、持ってきていたバスケットの中から。
紅茶セットを取り出して、現実逃避に紅茶タイムにと走っているルナ。
つんつんつんつん。
「きゃっきゃっ、きゃっきゃ!」
気絶しているゼロスをつつきつつ、遊んで楽しんでいるレナに。
ずずぅ。
どこかあさってをみつつ、紅茶を入れつつ飲んでいるルナに。
「だぁぁぁぁ!いい加減にはなせぇ!つーか!人前でキスしてくるなぁぁ!」
真っ赤な顔をしていまだにガウリイにしっかりと抱きしめられているままで。
叫んでいるリナに。
「リナぁぁぁぁぁ!オレというものがありながら、うぉぉお!あいたかったぞぉぉ!」
「だぁぁぁぁ!だから、はなせぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
リナをしっかりと抱きしめつつも、リナに散々どらなれつつも。
いまだにリナを放そうとしていないガウリイ。
そして。
「ほっほっほっ。若いっていいのぉ。ほっほっほっ。」
そんな彼らの様子をみつつ。
なぜかその白いひげをゆっくりとなでつつ、笑っているマッケラン。
そんな光景が、しばし、その場にて見受けられてゆく…
一時間以上経過しても。
いまだに同じような光景がそこにて繰り広げられていたことは…押して知るべし。
獣神官ゼロス。
赤瞳の魔王(ルビーアイ)シャブラニグドゥ。
その五人の腹心の一人、獣王(グレータービースト)ゼラス=メタリオム。
その獣王のたった一人の直属の部下。
一人しか創られなかったがゆえに、その実力は腹心たちの次にと高い。
だがしかし。
魔を滅する者達(デモンスレイヤーズ)である、リナとガウリイ。
そして、その子供。
そして、魔王と敵対する、というか、相互関係にある、赤の竜神(フレアドラゴン)スィーフィード。
その魂と力を受け継いでいる、赤の竜神の騎士の前では。
そんな地位は…まったくもって、関係などなくなる、いわば。
哀れなる中間管理職魔族の典型なのかもしれない…
もし、ここに第三者がいれば、間違いなくそんなことを思うであろう。
まだ一歳にも満たない幼女に、はじめは、木の枝だつつかれつつ。
それが、だんだんとエスカレートして。
一人ままごとを始めた、レナの食材と化していってしまっている今の状態では…
声にならない、ゼロスの悲鳴は。
リナの照れた叫び声によって。
むなしくかき消されてゆくのであった…
-続くー
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まえがき:
今回は、ちょぴっとオアシスvというかギャグv
次回から、とりあえず、本編再開、かな?
哀れなのは、ゼロスでしょう。
なぜかゼロス君は、哀れなのが似合うのは…なぜですかねぇ(笑
彼は、結構非情か、もしくは哀れ。それの二点だと思うのですよね・・私は(まて!←爆!
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あとがきもどき:
薫:ちなみに。いつものように、ラブラブモードに入っている両親を尻目に。
レイナちゃん。はじめは気絶しているゼロスをつついて遊んでましたが。
だんだん、それが面白くなってきて。その体を切り刻んで、遊び始めたり(汗
ちなみに、ルナに鍛えられているもので、切り刻んだ肉片もどき。
それはゼロスは具現化したままとなってたりします。
…まあ、レイナには逆らえない、というゼロスの心理も働いてますけどね・・・
下手をすると、エルさまでてくるから(汗
ちなみに、リナとガウリイの教育方針。
本当に食べなければ、それはそれでよし。
だそうです。
何しろ、ゼロス、魔族だし、人権ないから。ということで(笑
で、下手にレイナがなくようなことをしたものなら。
問答無用で、ギガスレ(フカンゼンバージョン)もしくは。
ラティルト(ルナに特訓されかなり威力アップ)がゼロスの身には降りかかります(笑
あとは、レイナが無意識に混沌の力を使って。
ゼロスを傷つける、くらいなものかな?
さあ、がんばれ、ゼロス。
滅びたりしたら、それこそ間違いなく、お仕置き…もとい、お説教がまってるぞ(だからまて!
さて。
とりあえず、ほのぼの合流シーンをお届けしましたー(笑
では、次回から、本編ですv
もう少しでこのお話も終わりますvそれではv
もう少しお付き合いしてやろうか。という人のみお付き合いくださいませv
ではではv
2004年3月25日某日
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