ミッションズ・オブ・リング ~指輪があるそこは…~
「ああもう!よりによって!」
思わずルナが叫ぶ。
ここは、カタート山脈の近く。
すなわち。
どうして。
あの地にかつて、水竜王が君臨していたか。
というところまで話はさかのぼる。
あの場所、というか地下には。
この星の活性化ポイントがあったのだ。
そこを刺激すれば、かつてのように、再び、惑星そのものが、活動を再開し。
再び、この惑星は、炎と熱の惑星となる。
そう、太古の惑星のように。
水竜王は滅んだ。
と世間一般では言われているものの。
そうではない。
あの戦いにおいて、活性化しそうになった、この惑星。
ゆえに。
その楔となるべく、そこに身を投じているのが事実。
もっとも。
確かに、物質化、というか具現化するだけの力は、そこそこ損なわれているがゆえに。
かつてのように、かの竜王の力をほいほいと引き出し、使うことは不可能となっているのだが。
もともと、あの地で、かつて、約千年以上前。
降魔戦争。と呼ばれる戦いが起こり、その決着の舞台となったのは。
偶然ではない。
それは。
それまでに、偶発的に起こり始めた、大地の揺れ。
活性化ポイントに力がたまり、それが、今にも爆発しそうになり。
それが、惑星全体に影響を及ぼしていた。
という事実。
それらは、上層部しか、知らない事実。
この世界を、惑星を、よりよく導いてゆくためにと創られた、神と魔。
互いの上層部しか知らされていないこと。
― 最も。
中には、それを完全に理解せずに、神直属、魔王直属。
といった配下のものが、暴走するのも、多々とあったりするのだが。
世の中、どこにでも、困った存在、というものは存在するのである。
それが、たとえどんな種族、命、存在、であろうとも。
カタート山脈を決戦とした、かの戦いにおいて。
活性化ポイントにたまっていた力は分散され。
そして今は。
魔王と、水竜王。
互いのプラスとマイナス。
それらの力の均衡で、エネルギーが拡散、暴発するのを抑えている。
ゆっくりと時間をかけた結果。
ようやく、それらのエネルギーは収束を迎えかけているのだが。
だがしかし。
世の中、どこにでもまた。
そんな上層部の苦労などはまったく知らずに。
とにかく、この世界を手に入れたい、または、滅ぼしたい。
などと、そんなことを思う存在もまた、後を絶たない。
後者は、基本的にはそれらが魔族の本質的な使命であり、望みなのだが。
彼らはそう、創られているがゆえに。
だが。
この惑星を破壊しかねない【鍵】となるものを、人間が作ってしまったら?
答えは………
今、ここにある。
シャザード=グランディが作り出した、とある指輪。
それらは、すべてのものに力を与える。
言い換えれば…確かに、その手にし、身に着けたものの生命エネルギーを消費しつつ、
周りのエネルギーもまた、吸収しつつ、力を発揮するそれは。
ある意味、爆弾よりもタチがわるい。
そこまで、かの人間-シャザードは気づいていたわけではない。
気づいたのは、竜神と魔王。
ゆえに。
どうにか、ほかの存在に知られることはなく。
それを封印、消滅させようとしていたのは事実。
だがしかし、長い年月を隔て。
それは、人の手に渡ってしまい。
近日、ようやく、それを手にいれた、赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)。
竜神としての、力と記憶。
それは、いくら人の身に封じられているとはいえ、その本質的な力は残っている。
そして、それは、魔王にもいえること。
七つの欠片に分断された魔王たち。
だが、中には、逆に強い人間の心に飲み込まれてしまい、それを融合してしまい。
ちょっと困ったことになっていたりすることもあったりもするのだが…
本来ならば、魔王とて、竜神の騎士と同様のような存在になるはずであった。
それが、事実。
だが、その、彼らがそういったようになる戦いの最終決戦。
そこに、とある力が乱入…もとい、加わったことにより。
今のような状況と成り果てているのもまた事実。
何が起こったのかは、頑固として、竜神も魔王も口を割らない。
知っているのは…彼らの直属の部下たちでもいるかどうか。
そして…今。
この星の運命の鍵をも握るかもしれない。
人の手によって作られし破壊道具。
それが、今。
あろうことか…惑星の活性化ポイントに続く、道筋に。
今、ものの見事にその力を発揮して、その地脈すぺてに力をそれは与えている…
「私たちはあれに触れたら大変なことになるのよ!」
悲鳴に近い声が、ルナの口から発せられる。
どうして、ルナがあれを破棄しなかったのか。
答えは、いたって単純。
考えてもみてほしい。
何しろ、彼女は…いくら、今はその身を普通の人間と化している、とはいえ。
本質的な力そのもの、魂そのものは。
この世界の光を統べる赤の竜神(フレアドラゴン)スィーフィード。
その精神そのもの。
この世界、といえど、たかが、この惑星ひとつではない。
彼らが納めている世界、すべて。である。
夜空に輝く無数の星星。
見えない星星にあたるまで、それらは彼女たちの管理区域。
あまたの銀河が連なり、ひとつの形を成している、仮に大銀河。
とでもいうべきか。
広大なる宇宙を統べる精神。
そんなモノの力を指輪が吸い取ればどうなるか?
答えは…惑星規模ではなく、銀河レベル、よくて、太陽系レベルの瞬間消滅。
人がつくりしものの、その仕組み(ベクトル)は、彼女たちにとっては未知の領域。
何しろ、下手に手出しができない。
というのが実情。
何しろ、あの使われているモノの中に。
とんでもない力が含まれているがゆえに。
…下手をすると、自分たちが任されている世界ごと、消滅をしかねない。
そんなとんでもない代物なのである。
あの、【指輪】は。
だが、そんな詳しいことまで、説明するわけにはいかない。
それこそ、話、というのはどこから漏れるのかがわからないがゆえに。
これは、上層部のみのトップシークレット。
「??姉ちゃん?」
そんな悲鳴というか、叫んでいる姉をみて、思わず首をかしげるリナ。
姉がこんなふうに狼狽しているのなど、始めてみた、ような気もする。
そんなのんきなことを思っていたりするのだが。
「…もしもし?おぬしたち、わしを忘れてないかのぉ?」
完全に忘れ去られているマッケランのつぶやきが、ふと風にと再び流されるが。
「あ!リナおかーちゃま。みてみて!はなび、はなび!」
一人、きゃっきゃと、何やら、大地を指差して、そんなことをいい始めているレナ。
「…って、うどわぁぁぁぁぁ!?」
驚くのも無理はない。
そんな会話をしている間に。
気づけば、自分たちの周りという周りの大地から吹き上げてきているマグマの柱。
思わず、それにいまさらながらに気づき、叫んでいるリナに。
「わぁぁぃ!はなび、はなび、はなびだぁあ!」
ぴょん。
母親であるリナの腕をするりとすり抜けて。
一人、きゃっきゃといいつつも、あたりを駆け回り始めるレナ。
レナにはこの状況がよくわかっていない。
というか、一歳児が状況を瞬時に判断できればそれはそれですごいものがあるのだが。
「きゃぁぁぁぁ!レナぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
真っ青な顔をして叫んでいるリナ。
あわてて、追いかけてゆくものの。
その小柄な体は、ちょこまかと動き回り。
簡単には捕まえられない。
しかも、何しろ気が気ではない。
見たところ、娘であるレナは、その身に結界も何もまとってはいない。
それが、炎が突き上げている隙間を走り回っているのである。
「レナ!危ないから、よしなさいぃぃぃぃぃ!」
悲鳴に近いリナの声が、あたりにとこだましてゆく。
「…あれ?」
走り回るその視界の先に。
ふと、何か、周りが赤く染まっている炎の柱、レナにとっては花火の柱。
それの中に、何か違うものらしきものがあるのが具間みえる。
「んと、あついのかな?んと、おみずまとって…えとえとえっと?」
何だろう?
小さな子供は好奇心旺盛。
炎の中にと浮かんでいるそれが気になり。
どうしても手にとってみたくなるのは、それは、子供ならではの心理。
「「って、レナ!だめ!って・・・きゃぁぁぁ!?」」
どぅっ!!!!!
レナが、先ほど、リナが指輪を投じたその場所にとたどり着き。
一番高く吹き上げている炎の柱の前にといき。
首を少しかしげて、その小さな手をその中にと伸ばしそうになっているのをみてとり。
リナが悲鳴を上げる。
そして、同じく、ルナもまた。
二人が悲鳴を上げるのとほぼ同時。
二人と、レナとの間の地面から。
突き上げるようにと吹き上げてくるマグマの海。
数十メートル近く、壁上となり吹き上げるそれのせいで。
レナと、リナとルナ。
彼女たちとの間の視界が一瞬さえぎられる。
― レナ。それは、水をまとっただけじゃ、無理よv
?
レナの脳裏に声が響く。
「んと?んじゃ、どうやるの?」
― それはねv
頭に響く声の指示するままに。
そのまま、何も考えることもなく。
いわれるまま、その身にある力を受け流してゆくレナの姿が、リナとルナの視界がさえぎられたその一瞬に。
その場にて見受けられていたりすることを。
リナもルナもまた、気づいてはいない。
熱いのか、よくわからない。
何か、ふわふわとした感じをうける。
そんなことを思いつつ。
「あ!ひかってるたからもの!」
あたりは一面、溶岩の海。
今、レナは、思いっきり、吹き上げている溶岩、というかマグマの中にと入っているのだが。
当人はそんなことは、まったくもって気づいてもなければ。
そういった知識すらも持ってはいない。
普通なら、間違いなく。
生身の人間が、吹き上げる、マグマの中や溶岩の中にその身を投じれば。
はっきりいって、骨も残さず消滅するのが通常。
だが、レナは、頭に響く声の導きのままに。
無意識に生まれたときから、その身に宿っている、とある【力】を使い。
まったくもって、常識はずれにも、マグマの中でも、普通どおりにと存在することが可能となっていたりする、このレナ。
だが、そのことには。
リナはいまだに気づいていない。
レナが、マグマの中に入り、無事。
というのは、大地を通じて、感じ取っているルナはといえば、もはやほとんど顔面蒼白状態にと成り果てていたりするのだが。
それは、リナとて同じこと。
「レナぁぁぁぁ!ちっ!こうなったら!」
などといいつつ、呪文を唱え始めるリナ。
「闇よりも暗きもの 夜よりもなお深きもの 混沌の…」
「って!?リナ!?何ギガスレイブなんか唱えてるの!?」
それにふと気づき。
あわてて、横にいるリナを羽交い絞めにしているルナに。
「はなしてぇぇぇ!ねーちゃん、レナが、レナがぁぁぁぁ!?」
そんな姉妹の様子がそこには見受けられていたりするのだが。
母たちのそんな様子をまったく知る由もなく。
「わぁぃ、ひかってる、ひかってる。んっと…っと。」
そんなことをいいつつ。
すっと、そこに浮かんでいるそれを手にとっているレナ。
次の瞬間。
パシュウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!
レナがそれを手にした直後。
大きな音とともに。
あたりいったいを水蒸気らしきものが多い尽くす。
それは。
一瞬にして、今まで吹き上げていたマグマなどが瞬時に蒸発した音なのであるが。
もくもくと。
あたりを水蒸気が覆いつくしてゆく……
-続くー
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まえがき:
こんにちわ。さてさて、今回は。
前回のあとがきで(笑)ちらりと触れた指輪の効能、というか機能の一つを暴露してたり(笑
ついでにもって、竜神と魔王の設定とかさ(だからまて!
しっかし…光景はきちんと頭の中にあるのに・・・・文章にできない・・・くすん(涙
それでも、意味不明でもいいよ?という人のみ、みてやってくださいな・・・・
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あとがきもどき:
薫:本日、きれいさっぱりと。
というか、お仕事してて、おもいっきり、すっぱり。紙で手をきってしまいました・・・・・。
今回は深いぞ・・・あはははは(汗
絆創膏がすぐに赤くそまりましたよ・・・・紙できったらいたいのよね・・・(涙
ちなみに、やはり、風呂でもしみました・・・あしからず・・・・・
さてさて。
レナちゃん。そろそろ、エルさまの指導もあって(え゛!?汗
その力の使い方を習い始めていていたりv
普通の呪文とかはレナ、もうできるんですけどねぇ。まだ一歳児…だというのに…
うーん。
マグマの中にと漂うレナちゃん。
なかなかに表現が難しいです。というか表現できてないし・・・・
普通、マグマとかに触れたら、人間、瞬時に消滅ですよね・・・・・(汗
恐るべし・・・・レナちゃん・・・
リナはリナで、混乱して、ギガスレうとうとしてるし…
ちなみに。
リナがギガスレやろうとした理由。
あれなら間違いなく、マグマごと消し去ることができるからです(笑
よっぽどパニックになってますなぁ。ま、母親だし・・・・(そーいう問題か?!
さてさて。
次回で、目が点リナ&ルナ姉妹と。
ガウリイ合流。
んで、家族そろっての死の山にピクニック(←レナはそー捕らえる・笑)かな?
何はともあれ、もう少しほどお付き合いくださいねv
んではではv
2004年3月19日某日
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