ミッションズ・オブ・リング   ~獣王ゼラス=メタリオム?~




「…と、いうわけで、気がついたら僕この人たちと【契約】をいつの間にか交わしていた状況となってまして…」
などといいつつ、やつれているわりにはご丁寧に錫杖の先で、地面に【の】の字を描きつつ。
いじいじしつつリナにと説明しているゼロス。
「…あんた、それでも本当に高位魔族なわけ?」
そんなゼロスの説明に思わずあきれた声をだすリナ。
ただいまのゼロスの説明からすれば。
どうやら、このゼロス。
いつものように、彼のお仕事-つまりは、昔から彼が命じられているらしい。
異世界黙示録(クレアバイブル)の写し、つまりは世間一般では、【写本】そう呼ばれているその存在。
それを処分しているさなかに出会った、どうやらこの女性たち…
つまりは、秘密結社モンドールの組織のアジトの中で、写本をもらう代わりに、
いうことをひとつだけ聞いてもらう、というような約束をしたらしく。
その結果…ゼロスも思いつかないような、彼女たちのゼロス曰く【攻撃】をうけ。
で、今に至っているらしいけど…
そんなことを思いつつも、だがしかし、理由を説明されても、目の前にいるゼロスに対する、
― こいつ、本当に高位魔族なのか?
というような至極当然のリナの心情が消えるはずもなく。
いかんせん、伝説に残るような、しかも、このゼロス。
こうみえても、竜の頂点に立つ、とすらいわれている、黄金竜。
そんな彼らが一目をおいているほど。
何しろ、たったの一人で竜達の連合軍を壊滅させた、というかつての約千年前の折の降魔戦争において、
そういった経緯を持っている、というかなりの実力の持ち主。
…にもかかわらず、あんなどうでもいいような召喚士、あんな彼女たちに軽々しく召喚されてしまうその様は。
…その伝説というか事実がうそではないのではなかろうか?という疑問すらも抱いてしまうのもまた当然。
「うううっ。リナさぁぁん…そんなぁ…」
駄目押ししているそんなリナの言葉にさらに涙声になっているゼロスではあるが。
はっ!
ゼロスをからかっているさなか、真後ろにとある気配を感じ、身構えつつ、ぱっと後ろを振り向くリナ。
このあたり、伊達に様々な事件に遭遇しつつも、いまだに生き残っているだけのことはある。
いくら、相手をからかって遊んでいるそんな中でも、警戒心だけは常に回りに気を配っている。
そんなところはさすがに、最高の実力をもつ。といわれている魔道士のことだけはある。
「まったくだな。リナ殿の言うとおりだな。」
ざわり。
どこかで聞いたことがあるような、それでいて、全身が身震いするかのような。
どこか重みのある、女性の声が。
リナの振り向きざまにとリナの耳にと届いてくる。
振り向いたリナの視線にと入り込んだものは。
確かに先ほどまではいなかったはずのとあるひとつの人影が。
「むぉ!?」
うーむ。
この女性、只者ではないのぉ。じゃが、でっかい乳してるのぉ。
などと思いつつも…そんなことを思っているのは、さすがに年をとっていても、男、というべきか。
女性の姿を目にしてそんなことを思いつつ、小さくうめいているマッケラン。
確かにリナたちの後ろにはほかには誰もいないはずであった。
にもかかわらずに確かに、そこには一人の女性が存在していたりする。
当然、先ほど、リナが術で吹き飛ばしたナズグル九人衆の中の女性などではその気配からしても絶対にありえない。
その女性がそこにいるだけで、辺りの空気がまるで張り詰めたようにと一瞬冷めた気配すらまとっているようにと感じられる。
その女性の姿を目にし、思わずリナは身構える。
な゛!?どうして【コイツ】がここに!?
そんなことを思いつつ、目を見開いているリナではあるが。
そこには、リナが一度であったことがある人物の姿。
短くまとめられた金色の髪。
少しつりあがった冷たい感じを受ける瞳。
そして、服装は、動きやすい上下の服。
前回見たときには、どこにでもあるような旅人のような服を着ていたが。
今回彼女が着ている服は、胸の前を紐で結び、そして襟首には暖かそうな何かの毛皮。
そしてまた、その体にフットしたズボンの腰には、なぜかナイフが数本、皮ベルトにと刺されていたりする。
…獣王(グレータービースト)ゼラス=メタリオム……
無言でその女性をじっと見詰めるリナの額に一筋の汗が流れでる。
それもそのはず、リナはこの女性には見覚えがあるのである。
かつての、サイラーグに出向いたときに、
魔王の指示で受付係をやっていた、二人の魔族…海王と獣王、そのうちの一人、獣王ゼラス=メタリオム。
ちなみに、今リナがからかっていたゼロスの直属の上司でもあるが。
どうする?
今はガウリイいないし…一人で戦うには…
そんなことを思っていたりするが。
だがしかし、そんな警戒しているリナの心情とは裏腹に。
ちらりとリナにと視線をむけ。
「久しぶりだな。リナ=インバース殿。いや、今はリナ=ガブリエフ殿であったな。
   何、私のことは気にするな。大掃除の途中で抜け出したゼロスをつれ戻しにきただけなのでな。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
リナにと視線をちらりと向けつつ、自分に戦う意思がないことをとりあえず告げ。
そしてその視線をゼロスにと向けているゼラス。
「はっ。はぅっ!ゼゼゼゼラスサマ…」
その姿をみてかなり見た目でもわかるほどに動揺しまくっているゼロスの姿がそこに見受けられていたりするのだが。
そして。
そんなゼラスの言葉に思わず目を点にしているリナとマッケラン。
まあ、当然の反応、といえば反応であろうが。
「…魔族が…お~そ~じ?」
思わず目を点にしつつ呆然とつぶやくリナ。
「まったく。こんなところで何を遊んでいるのかな?ゼロス?まったく。まだ、わが獣王宮の大掃除はすんでおらんのだぞ?
  これだから、一人っ子はわがままでいかんな。戻るぞ。戻ったらお仕置きだ。」
いいつつ。
しかっ
ただただ状況を理解できずに呆然とつったっている、リナとマッケランの目の前でゼロスの首根っこをひっつかみ。
そして、そのままズルズルとゼロスを引っ張りつつ。
ふと、視線を目の前の何もないはずの空間にと走らせる。
と、ゼラスが空間を一にらみしただけで、目の前の空間がぐにゃりと揺らぐ。
…こ、これは!?
そこに出現した黒い渦のようなもの。
そして、その先に見えるのは…なぜか、木々にと覆われたとある宮殿らしき建物。
それを目にし思わずリナは目をみはる。
「ほら、戻るぞ。とっとと獣王宮に。罰としてゼロス一人に宮殿全体の掃除と後は庭掃除と、それとそれがお仕置きだ。」
ずるずるずる。
そんなことをいいつつ、ずんずんとゼロスの首ねっこをつかんだまま。
そんな自らが作り出した渦の中にと進んでゆくゼラス。
「あああ、違うんですぅぅぅ~…リナぁぁぁぁん!助けてくださぃぃぃぃぃぃ!」
ひっぱられつつもリナに助けを求めているゼロス。
「…つーか、魔族が助けもとめてどーすんのよ…」
そんなゼロスをみて思わず至極当然の突っ込みを入れているリナ。
そんなリナたちの目の前で、ずるずるとゼラスに首をつかまれ、渦の中にと消えていきかけているゼロス。
「まったく、目を離すとすぐに逃げ出しおって。リナ殿、邪魔したな。ではな。」
「いやぁぁぁぁ。お仕置きはいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~…」
ズルズルズル…
軽くリナに会釈をし、そのまま渦の中にと掻き消えてゆくゼラスと。
ゼラスに首根っこをつかまれたまま、その渦の中にと同じく消えてゆくゼロス。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
そんな光景をただ、しばし呆然と眺めているリナとマッケラン。
な、なんか、ゼロスのやつも、あたしが姉ちゃんから受けたようなお仕置きされてるのかなぁ?
しっかし…何で魔族が大掃除するわけ?
そんな光景を半ば呆然とみつつ、そんなことを思っているリナに。
…何か今の口調からしたら、あの女性…まさか獣王?…いや、まさかな…いやでも…
・・・・・・・・・・
こちらはこちらで、当然、といえば当然ではあろうが、
獣王などといった、魔王直属配下の腹心、超高位魔族、
つまりは世間一般では、そんな彼らすらもが魔王、と呼ばれていたりするクラス。
そんなクラスの魔族など当然目にしたことなどあるはずもなく。
しばし、目をぱちくりさせているマッケラン。
そして。
くるり。
そのままとりあえず、二人が掻き消えた場所より向きを反転させてゆく。
「…えっと…」
リナもまた、マッケランと同じことを思い立ち。
そのままリナもマッケランと同じような行動をとり、そのままくるりと向きを変え、身を翻らせつつ。
『見なかったこと。見なかったこと!!!!』
至極、まるで申し合わせたような形で二人の声が一致する。
― 二人、リナとマッケランが出した結論。
それは。
何も見なかった、聞かなかったことにする。
というもの…
ある意味、まあ、その選択が一番無難なのではあろうが。
「とにかく、とっとと先いきましょ。」
「であるな。」
二人して、先ほどの一件はまったくなかったようなそぶりで。
そのまま先を進んでゆく。



・・・・しっかし、部下があ~だから、上司もああなのかしら?
などとリナが心の中でしばし首をかしげていたのは当然、といえば当然のこと。




一方。
リナとマッケランが、そんな獣王と獣神官を相手にしているそんな同時刻。
「よっしゃぁぁぁあ!これで最後だ!」
いいつつ、まるで鬼人のごとくに、剣を一閃させている一人の青年。
それは、ほんの閃光、としかいいようがない。
何しろ、金色の光が一閃、そこを走りぬけたかとおもえば。
その後に残るのは、累々と倒れた人間の山。
『……あの男…ほんとぉに人間なのか?』
などと、味方、そして敵、互いに異なる陣営している敷地内でそんなことをつぶやいている両陣営。
「うぉぉお!!!!リナ、まってろよぉぉぉぉお!」
などと叫びつつ、それと同時に、また一小隊。
ものの見事に各自が各々の武器を手にする暇もなく。
そのままバタバタと地面にと倒れてゆくこの地を侵略しに来た他国人達。
たったの一人で敵をなぎ倒しいっているそんな男性の様子を何か筒のようなもので眺めつつ。
「う~ん。さすが、ガウリイさんは、やっぱりリナさんと離しておいて。終わったらリナさんと合流していい、とでも餌まいといて。
  あとはリナさんの傍にガウリイさん以外の異性の方をつけておけば、もう効果てきめんですねぇv
  さすがはヴィーナス女王陛下。これだと一日もたたずに解決しそうですねぇ。今回もv」
にこやかに、そんな男性-ガウリイの様子を眺めつつ。
そんなことをいっている、ガウリイの一応は上司に当たるべき人物。
つまりは、今回の作戦の指揮を取っている総責任者。
オルファー=ミケロット。
そんな彼のにこやかなまでの微笑みを浮かべた言葉は。
周りにいる兵士すべてをうなづかせるのには十分すぎるほど。



ガウリイ=ガブリエフ。
魔を滅する者達(デモン・スレイヤーズ)のうちの一人。
家族構成。
妻一人、娘一人。
追加説明。
彼を完全に使いこなそうとするならば、彼の妻であるリナ=ガブリエフ。
旧姓、リナ=インバースを利用すると、間違いなく1000%以上の成功率で。
どんな難問というか事件やそして戦いでも、間違いなく彼を味方につけたものが勝利する。
というのは…もはや、誰も何も言うこともない事実……





「うーん、ルナおねーちゃぁぁぁぁん、このぶったい、どこにすててこよーか?
  いつものかたーとさんみゃくちたい?それともさばくちたい?」
そこに転がるのは累々とした肉塊の山。
まあ、生きているというのが信じがたいが、一応は全員まだ息はしていたりする。
「そうね。とりあえず、今回は砂漠地帯でいいんじゃない?ちょうど今あの地帯、サソリの大量発生で困ってるらしいし。」
さらりと、そんな姪の言葉に何でもないようにといっているのは一人の女性。
ルナ、と呼ばれたその女性の目に入ったのは。
いつものこと、とはいえ。
たかだか、一歳をようやく迎えた程度の幼女に負けた大の大人たち。
そんな実力ももたないままに自分に挑戦をしかけてこようとした。
そんな馬鹿たちにはそれなりのお灸を据えておくことが肝心。
そう彼女-ルナ=インバースは当然ながら思っている。
「それじゃ、レナちゃん。こいつら連れて砂漠にいくわよ。この前教えた瞬間移動、できるわよね?」
「うん!」
何とも一般の人間が聞いたら耳を疑うような台詞を交わしつつ。
とある場所より掻き消えてゆく、栗色の髪をもつ一歳程度の幼女と。
黒い髪をもった歳のころならば二十歳くらいの一人の女性。
そんな光景が、ここ、ゼフィーリアの一角にて見受けられてゆくのであった…


                             -続くー


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まえがき:

こんにちわv
今回は、あのゼラス様登場です。といっても、あまり出番はない・・・・
まあ、それはそうとして(こらこらこら!そろそろ、モンドールの支配者クリストファーさん登場ですなv
んではでは・・・・・(意味になってない前書きだなぁ・・・・笑


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あとがきもどき:

薫:最近、というか、ちょっとした気づきを発見!
  いや、というものですね。
  今まで、打ち込みするの、ベットノ腰掛けて、それでいて、パソコン置いてるタンスの引き出し、一番下、
  それを空けといてから、足置き場にして。そうして打ち込みしてたんですよね?
  で、たまぁに寒いときにはキーボードをひっぱって、布団のほうにとひっぱって。
  んで打ち込みしてたんですが、ですが寝転んでうちこみ、というのは。
  画面が上のほうにあるのでまあ首が疲れ・・・・結果。やっぱり元の体制に。となってたんですよね。
  ですが!今やっている方法だと!つまりは、ベットの端は端でも、パソコンとは向かい合わせではない位置。
  そこに腰掛けて、んでもって、布団の上にキーボードをもってくる。
  んで、横から布団をかけるようにして、そのまま布団の中に足をいれる。
  この方法だと!足が寒くないんです!ええ!(笑
  一応、キーボードはもう見なくても打てるくらいには上達しているらしく。
  ちなみに、これ打ち込みしているさなかでもあまりキーボードは確認してません(笑
  画面をみつつ間違っていたら訂正、といった感じですね。この方法で、しばし打ち込みやってみますv
  さって、今まで足が寒かったからなかなかに気力がのらなかった打ち込み。これで奪回できるかな?(かなりまて!
  まあ、どうでもいい近況報告でした。
  何はともあれ、小説に関係ないことをいいましたが(ある意味関係あるけど)
  何はともあれ、それでは、また次回にてv

  2004年2月15日某日


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