ミッションズ・オブ・リング ~秘密結社モンドール~
くくく・・・・みつけた。
こうもチャンスが早く訪れようとは。
そんなことを思いつつ、岩陰から、二人の姿の様子を窺っている一人の男性。
あたりには過去に繁栄した、つわものどもの夢の跡。たる石柱(モノリス)が立ち並び、姿を隠すのは絶好の場所。
ぎょろっとした両目を見開き、それでいて、意味もなく伸ばしている黒い髪。
まだ、それでも、似合っていればいいのだが。
これがまた、逆に別の意味で似合っていたりするのだから、救いようがない。
何しろ、紙を伸ばしていることにより、この男性。
あからさまに異様な雰囲気と成り果てているがゆえに。
…まあ、性格と容姿は似てくるもかもしれないが。
「まずは、少しでも相手の力をそがねばな…」
いいつつ、ぶつぶつとつぶやき始めるその男性。
本人は気づいてないつもりらしいが。
「ふはははは!どうだ、さすがにあれでは動けまい!ふははははは!」
ひとり、自分の世界にと入っていっていたりする男がそこに一人。
ザワッ。
空気が一瞬のうちにかわった。
「敵襲!?…って、驚くほどのことでもないか。」
はぁ。
思わずため息ひとつ。
そんなリナに。
「しっかし、これだれの数がいれば何かと面倒じゃのぅ。」
いいつつも、ひげを上下にとなでているマッケラン。
リナとマッケランが進む道の先。
そこに突如として出現したのは。
「何いってるのよ。マッケランさん。この程度数でもないでしょ?」
ぱたぱたとそんなマッケランにと向かって手を振っているリナ。
まあ、リナにとってはそうなのかもしれないが。
彼女たちの目の前にいるのは。
本人は隠れているつもりらしいが、思いっきり、気配も殺気もさきほどから丸わかり。
そんな刺客らしい人物が放ったのであろう、レッサー・デーモンの数。
およそ、十数匹。
うむ。今度の刺客はいったい何やつじゃ!?」
いいつつ杖を握り締めて、そして。
ごそごそと、懐からあるものを取り出しているマッケランに。
「…とゆーか、何マッケランさん…おにぎり、今たべてるんですか?」
マッケランが取り出したのは携帯していたおにぎりの袋。
「いや、何、よくいうじゃろ?腹が減っては戦はできぬ。とな。」
「・・・・・・・・・・・・・」
いいつつも、のんびりとたったままおにぎりを取り出してかぶりついているマッケランをみて、ため息一つ。
「・・・・・・・・・・はぁ。…ま、いいけどね。とりあえず、あの雑魚はとっとと面倒だし、駆逐しときますか。」
いいつつ、にこやかにと微笑み。
そして、そのまま術を唱え始めてゆくリナ。
「黄昏よりも昏きもの 血の流れより赤きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において・・・・・」
リナの言葉とともに、リナの周りにと魔力が収縮を始めてゆく。
これは、混沌の言葉(カオス・ワーズ)と呼ばれている、魔力というか術を使うために、用いる言葉である。
その言語率により、精神世界面より力を引き出して、そして物質世界にと具現化させる。
そして。
「竜滅斬(ドラグ・スレイブ)!!!!!」
チュドゴォォォォン!!!!!!!!!
リナの放ったドラグスレイブが、そのまま行く手をふさいでいるレッサーデーモンたちにと向かって炸裂してゆく。
「うーん。ピンクのリナ、レッサーデーモンにドラグスレイブはちとやりすぎてなはないのかのぉ?」
もぐもぐ。
いいつつも、いまだにおにぎりを食べつついっているマッケラン。
「いいのよ。灰色のマッケランさん。それより!そこの!
たかが、十数匹程度しかレッサーデーモンを召喚するしか脳のない、どっかの雑魚!ばればれだから出てきなさいな!」
目の前にできたクレーターはとりあえず、というかいつものことなので当然無視しつつ。
思いっきりバレバレであるそちらにと向かって叫んでいるリナ。
…何!?
なぜこの我の位置がわかるんだ!?
などと内心動揺するが。
「クククッ…さすがはリナ=インバース。というところか。
お初にお目にかかる。我は【モンドール】の召喚術士(サモナー)人呼んで【蛇の舌(ワームタング)】ブラッド!」
いいつつ、そんなリナの言葉に動揺しているものの、それを表にはまったくださずに。
もったいぶりながら、丁寧にそこにあるモノリュス、というか柱の一番高いものをと選び。
そこの頂上よりリナたちにと姿をみせているこの男性。
本人が今名乗ったとおり、ブラッド。
という名前なのだが。
「うぬ!世界征服をたくらむ秘密結社。【モンドール】のものか!」
そういうマッケランに。
「ふふ。そういうことだ。汝らのもつ【指輪】を渡してもらおうか!」
いいつつ、その長い舌をちろちろと出していっていたりするこのブラッド。
ちなみに、かれの呼び名は、その長い舌とそして、その形相がヘビに似ている。
という理由でついていたりする呼び名である。
「ふっ。何を寝言をいってるのかしら?レッサーデーモンの召喚程度の芸しかない雑魚なんて、相手にするだけ時間の無駄。
とっととボスを呼んできて素直にアジトを白状して財産全部このあたしに差し出すのね!」
などと、そんなブラッドに指をさしつついっているリナ。
「ふっ。いっておくが。リナ=インバース!雑魚。などという魚はいない!」
いいつつ、なぜか額に青筋をたててそんなことをいっているブラッドであるが
「あら、いるわよ?まさか、知らないっていうんじゃぁ?エルファラストの町ではそれ名物だけど?」
そんなブラッドにむかってにこやかにといっているリナ。
「…ピンクのリナよ?それはどこじゃの?」
そんなリナにおにぎりを食べ終え、口の周りに少しばかり、ご飯粒がくっついた状態になっているマッケランが聞き返してくるが。
「地竜王が収めている土地。」
さらっといっていたりするリナ。
「…それはまだ一般人にはあまりしられていないんじゃないかのぉ?」
いいつつも、ぺろりと、口の周りについているゴハン粒を指でとりつつ。
なめとっているマッケランがそんなリナにといっていたりするが。
「何を意味のわからんことを!よかろう!そこまでいうならばみせてやろう!我が真の力を!」
いいつつ、その両手を空にとかざす。
「我の声を聞け!我の同胞たちよ!」
などといっていたりするが。
それとともに。
彼が作り出した空間のゆがみ、というか召喚のためにと歪んだ空より、突如として出現してくる無数の何か。
それは。
パサパサパサ。
音とともにリナたちの方にと向かいつつ、そして。
ブラッドの支持のままにとリナたちの周りにと落ちてゆく。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
思わずそれをみて無言になっているリナとマッケラン。
それもそのはず。
ブラッドが召喚したのは、なぜか無数のバナナの皮。
・・・・ちなみに、このブラッド。
このバナナの皮をこのためだけにこの数ヶ月、仲間にも全員バナナばかりを三食食べらせて、
皮が腐らないように、魔術的な処置を施して、アジトの一室にと集めていたのだが。
・・・・・・・・・・・・なぜにバナナの皮?
同時にそんなことを思っているリナとマッケランであるが。
・・・・・まあ、それが当然の反応であろう。
二人の白い視線がブラッドにと向かっているのはそれもまた当然のこと。
「くっくっくっ。どうだ!動けまい!!!!」
完全に勝利を確信し、笑っているブラッド。
どう考えたらバナナの皮程度で勝利を確信できるのやら。
まあ、彼自身が、よくバナナの皮で転んでは、仕事を失敗している。
という事情があるためかもしれないが。
・・・・・・・・・だからといって、どうしてバナナの皮をわざわざ召喚?
ここにブラッドのことをよく知っているものがいれば。
間違いなくそう突っ込みするのはいうまでもない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それがどうしたぁぁぁ!火炎球(ファイアー・ボール)!」
ドゴン!
ひくひくとこめかみを痙攣させつつ、あきれつつも、
あまりの馬鹿らしさにとりあえず、そんな相手をポビュラー極まりない火の呪文で攻撃しているリナ。
というか、こんなことをしてくる馬鹿には何か一発、してやりたくなるのは、まあ、人間の心情、というものであろう。
「ぐはぁぁぁぁ!」
チュドゴォン!
しかも、ものの見事にリナのその術の直撃をうけ。
…普通、何か術を無効化させるとか、何らかの方法を取るであろうに。
何もせずにそのまま炎にと巻かれているブラッド。
ヒュルル…
ドサッ。
こげた香ばしい肉のにおいと布がこげるにおい。
あとは、みかんがこげたようなたんぱく質がこげるにおい。
そんな入り混じったにおいをさせつつも、そのまま石柱の上から落ちてくるブラッド。
その全身はものの見事に交わすこともなくリナの軽い今の呪文の直撃をうけているようであるが。
服からは火の手があがり、ちなみに髪もチリチリともえつつ。
燃えた布の服がそのまま体の肉にとへばりつき、さらには服の中の肉まで焦がしていたりする。
何ともいえない肉の焼ける香ばしいにおいが辺りにと立ち込めていたりするが。
「ぐっ…ふっ。よくぞ我を倒した…だ…だがもはや!貴様らには安息はない!第二、第三の刺客が貴様たちの命を…グフッ!」
いいつつも。
そのまま、口から血を吐き、その場にて倒れこんでいるブラッド。
「うむ。舌を噛み切ったか。」
いいつつ、杖を大地にあてて淡々と言い放つマッケランの言葉に。
「んな程度で噛み切るなぁぁぁあ!せっかく峰うち、とゆーか手加減してやったのにぃぃ!
せめて、噛み切るんだったらお宝を差し出して、組織のアジトを洗いざらいぶちまけてからにしろぉぉお!」
ガクガクと、すでにコトキレテイルそれの襟首をつかみ、ゆすっていたりするリナ。
「…どっちが悪党なんかわからんのー……」
そんなリナの様子をみて、ぽつりとつぶやいているマッケラン。
ドサッ。
とりあえず、しばし揺さぶった後、何もいわないブラッドをその場にと放り投げ。
「まったく、近頃の悪党は礼儀がなってないったら。とりあえず、マッケランさん、先を進みましょ。」
そういうリナの言葉に。
「ピンクのリナよ?こいつらのアジトならば、観光案内書にのってるぞ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・ペシャ!
いいつつ、腰にとつけていた袋から、観光案内名所。
と書かれている小さな書物を取り出して、そんなことをいっているマッケランの言葉に。
リナは思いっきりその場にて前のめりにとこけてゆく。
「何なのよぉぉぉぉぉ!?その【モンドール】とかゆう組織ってやつはぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
とりあえず、叫ぶだけ叫び。
マッケランからそれをうけとり。
目を通し…
そして…
リナが、それをみて。
思わず叫び声をあげたのは…当然、といえば当然のこと。
秘密結社、モンドール。
いったいどこが秘密結社なのやら。
何しろ、彼らのアジトなどを観光客にと閲覧させて、お金を取っていたりする。
という活動も地道にしていたりする彼らたち。
ゆえに。
-秘密結社のアジトをスリリングにも見学しよう!―
なるツアーまで、彼らは率先して組んでいたりする始末である。
・・・・・・・・なかなかにフレンドリーな組織ではある……
ドッドッド。
ドッドドッドドッ。
ドッドドドッドドッドッドッ
とりあえず、気を取り直し。
再び先を進み始めているリナとマッケランの耳にと。
馬の蹄といななきの音と。
おそらくは数名。
どうやら、馬に乗っている様子から騎馬隊、らしきものらしいが。
その馬の蹄の音に警戒しつつも身構えるリナに。
「うむ。どうやらまた新手がきたようじゃな。ビンクのリナよ。」
いいつつも杖を構えなおしているマッケラン。
「…ですからピンクはやめてください…ビンクは…」
すでにあきらめの境地でそんなことをいっているリナ。
もう、何かどうでもよくなってきたんですが?
などと思うが、だが、それ以上に。
きちんと役目を果たさないと姉にどんな目に合わされるか。
それだけが今のリナを突き動かしているのもまた事実。
やがて。
さきほどの石柱群とは異なり、岩肌が目立つその場所にと差し掛かり。
二人の行く手をさえぎる馬にのった人物数名。
「ついに見つけたぞ。指輪の所持者よ!」
「我らは!」
「【モンドール】のデモンサモナー・ナズグル九人衆!!」
いいつつも、馬にまたがり、その全身を黒いローブで覆っている声の質からして女性らしき人物たち。
「…また召喚士………」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~……
リナが大きくため息をつくのも仕方のないこと。
そんなリナの言葉に。
「ふっ。だがしかし!」
「我らは!」
「「【蛇の舌(ワームキング)】のようにはゆかぬ!覚悟せよ!!!」」
いいつつも、現れた九人全員で同時に異口同音一句一字、間違いなく。
そんなことをいっているこの女性らしき人物たち、およそ九人。
そして。
ぱっと、そのまま馬からその身を翻し。
だだっと一瞬のうちにと陣形をとるそんな彼らに警戒しつつも。
「…マッケランさん、何があるかわかりませんから油断はしないでくださいね?」
とりあえず、警戒しつつ、そんな彼らの出方を見守っているリナ。
やがて。
そんな二人の前で。
九人が九人。
全員がその腰にと刺しているレイピアを抜き放ち。
そして、空にと向かって、陣を描きつつ。
そして、異口同音にとその言葉を発してゆく。
『我らが呼びかけに応じ常闇より来たれ!!滅びの使者、上なる魔よ!!!!』
キィィィィン!!!!
その言葉とともに、レイピアにて描かれた魔法陣が完成し。
それは、やがて逆五寶星の形をなし。
鈍い、音をたてつつ、光を放ってゆく。
「な゛!?まさか!?高位魔族召喚!?」
それをみて、リナが思わず身構えるが。
まさか、こんな雑魚、としか思っていないようなやからが、そんなものを召喚できるなど。
などと思いつつ。
やがて。
彼らがレイピアを地面にと振り下ろすと同時に、地面の上にと浮かび上がる魔法陣。
そして。
光とともに、一つの影が。
その中心にと現れてゆく……
-続くー
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まえがき:
スレイヤーズ。今年で15周年なんですねぇ。
そりゃそーか・・・・。
何しろ一巻発売が平成元年・・・・・・
でも、企画記念でクロスカディアのミニキャラ携帯画像をダウンロード。
というのは、よしとしても。
エル様vやってくださいなv神坂先生vええ、ぜひともにv
もしあるんだったら、私は携帯に取り込みします!ええ!
それとか、パソコンの背景画像にするとかさ(かなり本気
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あとがきもどき:
薫:ゼロス&ゼラス登場は次回まわしですv
キャイキャイした彼女たち九人。表現できるかなぁ?(笑
何はともあれ、のんびりといきますね。
レナサイドもいかないとな(笑
魔族サイトもいってみますか?(爆!
それでは、ではまた次回にてv
2004年1月20日某日
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