ミッションズ・オブ・リング   ~協会新聞?~


「ここか…」
長い、長い道のりだった。
何しろ、彼の全財産と、そして名誉がすべて傷つき、なくなったのは、いのことだったか。
だがしかし。
こうして、今自分は、【アレ】に泡を吹かせるべく、【彼女】の実家を探り当てた。
いきなりの、急襲。
何が起こったなどとはわからない。
気づいたときにはすでに、すべての建物は炎を上げており。
しかも、仲間たちは、火にまかれ。
連絡すらもまともにとれないそんな状況。
何しろ、炎がいたるところで舞い踊るかのごとくに上空から降り注いでいたがゆえに。
そして。
気づいたときには、すでに、ごっそりと溜め込んでいたお宝のすべては奪われ。
仲間もまた、十分の一以下にとなっていたのは、いまだに昨日のことのように思い出される。
そして、囲っていた女には、『貧乏人には用はない。』とあっさりいわれ、逃げられて。
今日まで、惨めな思いをしつつ、ただひたすらに。
せっかく数十年かけて、築き上げてきた、かつての組織を再び構成するために。
せっせと、追いはぎや、そして置き引きなどにとせいをだし。
彼曰く、まじめに働きつつ、ようやく組織が壊滅する原因となった、
あの女魔道士の家族のいるところを突き止めたのは、これはやはり神の導きだ。
などと、そんなことを思いつつ。
どこかくたびれたような紫色のローブをその身にとまとい。
そして。
背負っている袋の中にあるものは、数々の拷問にと用いる品物の数々。
アレの家族をイタブリ、そして、アレにと復習をはたす。
それが、彼の今の望み。
彼の目の前にとそびえているのは、【インバース商会】と書かれている看板がでている、
まるで、ちょっとした豪邸か何かなのではないだろうか?
そんな建物がそこにあったりするが。
「ううう。お頭、ようやく、たどり着きましたね。」
いいつつ、彼の周りには二十人ばかりの男たちの姿が具間見えるが。
「いいか、やろうども!これは、お礼参りだ!いくぞ!」
『おー!!!!!!!!』
叫び声も高く。
そのまま、それぞれに得意な獲物を手にと構え。
そのまま、一気にと、建物の中にと突入してゆく、男たち。
「「この店はわれらがのっとった!おとなしく…っ!?」」
ヒュン。
ゴドッッ!

それぞれに、四方にと別れ、客ごと、彼らは全員を人質にとり。
彼ら全員を拷問にかけつつ、あのにっくき『ロバーズ・キラー』をおびき出す。
それが、彼らの作戦。
だがしかし。
彼らが叫びつつ、店の中にと踏み入ったとき、叫ぶよりも早くに。
彼らの目の前にと飛んでくる、何か大きな銀色の物体ひとつ。
ゴメッ!!!
メリッ…
ズズズズズ…
そのまま、飛んできた数々の物体にと押しつぶされ。
そのまま、床の中にとのめり込んでゆく男たちの姿がそこにあったりするが。
だが、当然、そんな彼らを気にするものなどいるはずもなく。



「おかーさーん、これ、おもいよー。」
いいつつ、どうみても、まだ七歳かそこらの子供が、なぜに。
といえるような光景が、そこには見受けられていたりする。
何しろ、七歳にも満たないような子供が、かなり大きなモーニングスターや、挙句は、バトル・アックス。
さらには、バスター・ソードなどを振り回している…というか、その重さに絶えかねて。
それを子供がもって、店の中をふらふらしている様子などは。
まず、絶対に、お目にかかれるものでもないであろう。
「あれ?おにーちゃん、なにかつぶれた音したよ?」
「気のせいだよ。」
子供たちのそんな声は、子供たちがすっぽ抜けさせた武器にとつぶされた彼らの耳には、当然のことながら、届くはずもなく。
「はいはい。みなさん、各自、自分にあった武器を手にしてくださいねー。
  家族の方も一緒に子供さんたちの武器を選んでくださいね~♡」
などと、手をたたきつつ七歳かそこらの子供たちにと話しかけるようにと叫んでいるのは。
薄紅色の上下の服を着ている一人の女性。
「魔道士たるもの、とりあえず、その身を守ることから始めるのが肝心です。さあ、皆さん、いい武器はえらべましたか~?」
『は~い!!!!』
「でも、レナちゃんの武器って使いやすいよね~。」
「うんうん。」
「ほんと!?」
キャッキャッキャ。
なぜか、七歳より下くらいの子供たちの姿も見えていたりするが。
 そんな会話をカウンタの中にいる栗色の髪の幼女。
見たところ一歳程度ぐらいに見えるのだが。
そんな少女と和やかに会話している近しい年齢の子供たち。
そして。
「おう。先生、今日は魔道士見習いの子供たちをどこにつれていくんですか?」
いいつつ、にかっとした笑みを。
そんな子供たちを引率している数名の大人たちにと視線を向けて問いかけている長い黒い髪の男性。
見た目、二十歳後半か前半、くらいにしか見えないのだが。
なぜか、その口には火のついていない、葉巻がくわえられているのがかなり気にはなるが。
そんな彼の言葉に。
「まあ、これはインバースさん。今日は子供たちには体験学習として。北にある、迷いの森で彼らはサバイバルですわ♡」
「ほぅ。それはそれは。今回は最短何秒で森を抜けられる子供がいますかなぁ。」
にこやかに、そんな会話をしているこの二人。
そんな二人の会話に。
「今までの最高記録は、ルナちゃんの二十秒と。あとリナちゃんの五分ですからねぇ。
  後続くは、一時間、とか幅がありすぎますし。おほほほほほ。」
などと、口を挟んできている少し年配の女性。
年のころならば四十を少し過ぎているのだが、だが、見た目が小柄であるがゆえか。
その年齢に見えないのは、彼女の驚異的なる特徴。
…何しろ、見た目、十代後半、にしか見えないのだから……


迷いの森。
そこは、ここ、ゼフィーリアの首都であるゼフィール・シティの魔道士協会に通う魔道士見習いならば、一度は訪れる場所。
普通の大人でも簡単に迷って命を落とす名所でもある。
よく旅人などが迷い込んで、白骨化し、一年に二度、捜査隊がそんな彼らの白骨を回収しているのだが。
それは、方向感覚と、そして磁場を狂わせる特殊の磁場がよどんでおり。
ゆえに。
生い茂る葉で、当然空の様子も見れることはなく。
ついでにいえば、地面にはかなりの多くのオリハルコンの地質が含まれており、魔法の力も極力掻き消えるまでとなり、
そしてまた。
そこには、ここ、ゼフィーリアの人たち以外からみれば、間違いなく。
正体不明の化け物などがタムロする空間。にほかならず。
それでも、この地に住んでいるまだ年端も行かない子供たちが、そこを遊び場、というか、訓練場としていることは。
あまり公には知られていない。


「いーなー。レナもいきたい。」
ぶぅっ。
頬を膨らませて、愚痴をいうレナのその言葉に。
「レナももう少し大きくなったら、できるからな。レナなら、ルナやリナの記録を塗り替えられるかもしれないなぁ。」
いいつつ。
クシャリとそんなことをいいつつ、娘と同じ髪の色をしている孫娘の頭をなでている、
レナの祖父、そしてまた、リナの父であるその男性は。
にこやかにとそんなレナにと微笑みかけ。
そんな会話を二人がしている少し横では。



「あらいやだ。こんなところに穴が、まったく。」
いいつつ。
「ベフィス。」
いいつつ、大地にと干渉し、店の出入り口付近にできていた、二十数個の。
なぜか人の形にと床にのめりこむようにとあいている穴をみて。
瞬時に床とそして地面に干渉し働きかけて、その穴を埋めている栗色の髪の女性の姿が。
彼女こそ、レナの祖母であり、そして、実質的というか、このインバース家にて、一番力をもっている人物に他ならない。



…リナ=インバース。
今は結婚し、姓は変わっている、というものの。
彼女の家族にかかわりを持とう、というか、ちょっかいかけようとした元盗賊の輩たちは。
そのまま、誰に知られることもなく、そのまま、冷たい地面の中にと閉じ込められ。
ずぶずぶと時間をかけて、やがて、この地の地下にとある、
とんでもない生き物が生息している地底湖の一角に、叩き落されてゆくのは。
また、別の話…




実家でそんな和やかな光景が見受けられている。
というのは、当然、リナは知るはずもない。
彼女の目にしているものはといえば。
「だぁぁぁぁぁぁ!しつっこいぃぃぃぃぃ!」
ドゴガァァァン!
再び炸裂する攻撃呪文。
「だぁぁぁぁぁあ!どうして、こう、行く先々で指輪を狙うやからが出てくるのよぉぉお!」
おかしい。
このルートは誰にも気づかれないように、なるべく地味なルートを選んだはずなのに。
そんなことを思いつつ、向かい来る世界制覇を企む、といえば大げさだが。
とにかく、力を手にいれようと、リナとマッケランにと襲い掛かってくる刺客たち。
その数、すでにもう数えるのも馬鹿らしい数にとなっていたりするが。
この依頼は、数カ国が内密的に、それでもって、ゼフィーリアに。
そして、ゼフィーリアの王家から、赤の竜神の騎士であるルナに。
そして、その妹であるリナにと渡ってきたのであるが。
「そりゃ、ピンクのリナ。おぬしが行く先々で、ドラグスレイブを連発していては。
   指輪を狙う者たちに道しるべをつけているものじゃよ。ほっほっほっ。」
などと、ひげを触りつつ、のんきにそんなことをいっているマッケラン。
あたりはすでに、岩が多く存在する、ちょっとした丘にと差し掛かり。
もう少し先にいけば、少しばかり切り立った崖の真下に、
百度を超えた地下水が湧き出ている、渓谷にとたどり着くのだが。
「それはそれ。でも、おかしすぎるわよ。
  まるで、あたしたちがこっちにきます。というのをあたかも待ち伏せされている。というのは。」
ふむ。
そういいつつ、しばし、腕を組み考え込むリナ。
いくらなんでも、先回り、ということは、到底できるはずはないはずである。
そもそも、このルートを通る以外にも、死の山に行くルートは多々とあるのだからして。
そんなことをおもいつつ、リナがしばし、あごに手をあてて考えていると。
『マッケランさん、定時報告どうぞ?』
ふと、マッケランの懐の中から、少し旋律の高い女性の声が漏れ出してゆく。
「おお、そうじゃった、そうじゃった。魔道士協会増刊、『死の山への逃避行』、それの定時報告の時間じゃな。」
・・・・・・ぴたり。
そういいつつ、懐から、ちょっとした大きさのクリスタルを取り出しているマッケラン。
思わず、うろうろしていたリナの足がそんな彼の言葉を捉えて、ビタリととまるが。
「えー、今はピンクのリナと共に、地獄の釜茹で峡谷に差し掛かる道にと入っているところじゃ。
  あと数刻もすれば、峡谷にさしかかるじゃろうて。」
いいつつ、手にもつ、ちょっとした子供程度の頭よりふた周りほど小さめのそれに向かって、何やら説明しているマッケラン。
そして。
『了解しました。いやぁ、情報、というのは、正確さと速さが必要ですからねぇ。
  では、すぐにそのことを刷りまして、配布いたしますね。』
「おお。そうじゃの。今回の旅は様々な人々の関心を集めているらしいからのぉ。
   こうして、実況説明をしつつの状況配布ならば、大衆も満足しようて。」
いいつつ、にこにことそんなことをいっているマッケラン。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
思わずそんな会話が聞きたくないのにリナの耳にと届いてくる。
聞きたくない、そんな会話は。
ということは…すなわち、それが意味することは…
『それで?これからの日程は?』
「それはの、峡谷を抜けてから、今度は白き渓谷をとおり…」
「…って、ちょっとまてぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
丁寧にこれからのルートを説明しているマッケランに。
思わず待ったをかけているリナ。
「うん?ピンクのリナよ?どうかしたのかの?」
きょとんとしつつ、報告を終え、水晶を再び懐にとしまっているマッケランであるが。
「『どうしたのかの?』んじゃなあいいいぃぃぃぃぃぃ!!!あんたのせいか!!!!?あんたの!?」
リナの叫びがこだまする。
「うん?何をいっておるのじゃ?
  わしはただ、魔道士協会で発布している、『実録、死の山への逃避行』の正確なる実況を伝えているだけじゃが?
   この報告をうけて、魔道士協会から一刻もたたないうちに、 最新の情報が大衆にと有料で配られる、というわけじゃの。
   ・・・・うん?ピンクのリナ?もしかして、あの日に突入か?」
『うどわぁぁぁぁあ!?』
あわわわわ。
頭いたい…
そんなマッケランの説明をききつつ、思わず、心の中で、『うどわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』と叫びつつ。
いや、実際にあまりの衝撃で声は表にと出ていたりするのだが。
その場に叫びながらうずくまっているリナ。
「んなのを今!しかも、今後のルートまで説明すなぁぁぁぁあ!どーりで、待ち伏せされてるじゃないのよぉぉぉぉぉぉぉお!」
よぉぉぉ・・・・よぉぉぉぉ・・・・よぉぉぉぉ・・・・
リナの叫びはただただむなしくその場にと響き渡るのみ。



何のことはない。
刺客たちが待ち伏せしている原因は。
魔道士協会が一般にと有料で配布している『死の山への逃避行』という新聞のために。
…今までも、そしてこれからのルートもすべて、このマッケランが、魔道士協会にとそれを伝え。
そして、魔道士協会はそれをうけて、新聞を作成し。
結果。
指輪を狙うものたちに、常に最新の情報を提供していたのである。


「おかしなリナ殿じゃのぉ?まったく。」
「おかしーのはあんただぁぁぁぁ!せめてすんだ道のりをつたえればいーでしようが!」
叫ぶリナに。
「何をいう!?それでは真実の報道にはならん!!!」
「んなのはなくていいいいいいいいぃぃぃい!」
そんな二人の叫び声が、しばし、その場にと響き渡り。


「うふふふ。見つけましたわ。好都合にもあんなに叫んで。」
「ふふふ。これでわれらが組織が頂点に♡」
などと、その声をききつけて。
笑っている全身黒ずくめの人間たち、その数およそ十数名。
そして、その彼らがまとっている気配は、それはすべて女性のもの。
「うふふふふ。すべてはわれらの手中に!」
「きゃー!素敵ですわ!お姉様!」
「「キャーキャーキャー!」」
などと叫びつつも。
リナたちの声がしている方向にと、そんな団体は進んでゆく。


どこの世界にも少しずれているものがいる…というのは当然で。
…リナの周りにはこういったものがよく寄り付いてくる…というか、集まってくるのは。
その理由は…リナは一生知らないほうが幸せであろう……

                             -続くー


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まえがき:

今回は、ギャグ、ギャグ、ギギギギャク゛v(笑
ちなみに。
お姉様たちの登場、次回になりました。
やっぱりお約束でゼラス様も出すべきですよねぇ?(笑
何はともあれ、いっきますv

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あとがきもどき:

薫:ちなみに。完全に忘れられている復讐にときたらしい、とある悪の組織のメンバー。
   彼らはそのまま、地面に生きたまま埋められて(汗)
   ついでに、地下水脈にのって、地下にある地底湖にと投げ出され。
   そこで、死ぬほうが楽、というような目にとあったりするという裏設定が(笑
   リナにかかわったもの、というか、ゼフィーリアに足を踏み入れて。無事な悪党などいないのです・・・・はい・・・・
   次回で『しなばもろとも!』にいけるかな?(まて!・笑
   何はともあれ、ではまた、次回にてvんではではv

     2004年1月17日某日


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