ミッションズ・オブ・リング ~ガブリエフ夫妻の近況?~
「…何ぃぃい!?リナと組むのは男だとぉぉぉぉ!?」
悲鳴に近い声が辺りにと響き渡る。
「…って、知らなかったのか?あんたは…」
おっかなびっくり、しり込みしつつ、後ろにさがりつつ、いっている傭兵の一人。
ここ、ゼフィーリア。
そこから少しはなれた位置にとある、海沿いの草原。
見渡す限り広がる草原は、その先にある海を青々とたたえている。
「何でも、かつては異名をとったともいわれている、灰色のマッケラン。とかいう爺さ…」
そう説明するそんな男性の言葉に。
「リナぁぁぁぁぁぁぁあ!」
はっきりいってその場にそぐわない叫び声が響き渡る。
「…何なんだ?あんたは?役にも立たない女の名前なんか叫んで。今は…」
「「げっ!!!!!」」
事情を知らない雇われの傭兵らしき人物が、はっきりいって自殺、ともいえる台詞を発する。
その言葉に、ずざっと退く事情をしっているその他のメンバー。
ぴくり。
そんな男性の言葉に。
「…役に立たない…だと?それにリナをそんな呼び方するのか?お前は…」
ぞくっ。
辺りにはっきりいって零点下以下ともいえる空気が張り詰める。
はっきりいってどんな鈍感な人間でも、この空気はわかるであろう。
「…馬鹿が。死んだな…」
などとつぶやく他の兵士。
「ガウリイさん、今はそれより、ここ、ゼフィーリアに攻めてこようとしている彼らを退けるほうが先決ですよ。
早く終わればそれでリナさんの元にと戻れますよ?」
まあ、毎度のことなのですでに慣れている、というか、さすが、というか。
伊達にゼフィーリア女王、ヴィーナスに仕えているその男性。
ガウリイの扱い方に慣れているというか、さすが上司譲りというか…
そんな男性の言葉に。
「はっ!そういえば、確かヴィーナスさんやルナ義姉さんが、これが終わったらリナと合流していいっていっていたな。
とっとと終わらせて、リナぁぁあ!すぐに助けに行くぞぉぉ!!!!」
などと一人叫んでいる金色の髪の男性が一人。
「…何なんだ?こいつは…」
先ほど暴言を吐いた傭兵の一人がそんなことをつぶやくが。
ぽん。
そんな彼の肩に手をおき。
「よかったなぁ。オルファー様がとりなしてくれて。でないとあんた、問答無用で死亡、もしくは再起不能になってたぞ。」
そういいつつ、しみじみ語る一人の兵士。
「?」
そんな言葉に首をかしげるが。
まあ、それが当然の反応であろう。
「まあ、今は愛妻家で知られてるけど。
あの金色の死神に無茶なことをいって、助かるなんて幸運以外の何ものでもないけどなぁ。」
またまた別の兵士の言葉に。
「「うんうん。」」
こくこくとガウリイのことを知っているその場の全員が同時にうなづく。
金色の死神。
それはガウリイが傭兵時代のときの通り名。
その名前を聞くだけで、相手を震わせ戦意を喪失させていたりしたのだが。
…まあ、似たもの夫婦。
そういっても過言ではないであろう。
リナとガウリイは。
リナとて、【盗賊殺し(ロバーズ・キラー)】や【魔を滅するもの(デモン・スレイヤー)】それらの異名をもつ存在である。
まあ、【魔を滅するもの(デモン・スレイヤー)】という呼び方に関しては、ガウリイもまたそれを持っているのもまた事実。
「…金色の死神…って……」
・・・・・・・・・
しばし無言。
そして、やがて。
ギギィ。
ぎこちなく顔を動かし。
そして。
その顔をいまだに何かわめいている金色の髪の男性…
…つまりはガウリイ=ガブリエフにと向けてゆく。
その視線の先では。
「うぉぉぉ!リナ、すぐにオレがいってやるからなぁぁ!」
などといいつつ、一人張り切り…といえるのか。
…遥かかなたに見える侵略するためにとやってきている数多の船をめがけて剣を一閃させているガウリイの姿が。
海の浜辺にと構えて立ち尽くしつつ。
というか、はっきりいって普通の肉眼では、それらが着ていることすら、いまだにその視界にははいってこない。
にもかかわらず、ガウリイの目にはそれらがすでに見えており。
とっとと片付けるために、上陸してくるその前に。
船ごと。
しかも丁寧に船に詰まれた武器庫。
それらを狙って衝撃派を放っているガウリイの姿が見て取れる。
そして、そんなガウリイをみつつ。
「うーんvやっぱりガウリイさんには、リナさんと離しておいて。
そしてリナさんに男性でもあてがっておいたら、とっととケリは早くつきますねぇ。」
などとにこにこと笑っているオルファー。
ゼフィーリア女王、ヴィーナスに仕えている直属の騎士。
その銀色の髪が印象深い。
ストレートに長く伸びた髪を後ろでひとつに束ねている、年はすでに三十に近い、というのにもかかわらず、
はっきりいって、少年、というか、二十代より少し下、にしか見えない、というのも驚異的ではあるが。
そんなオルファーの言葉に。
「…オルファー様…だからといって、お願いですから。
ガウリイ=ガブリエフ殿に仕事を早くケリをつけさすために。あのリナ殿に男性をあてがうのはやめてください…」
一人がほとんど泣きそうな声でそんなことをいってくるが。
「まあ、あまり若い男性をそばにあてがったら。またガウリイさんに宮殿の半分くらい破壊されても困りますからねぇ。
その気がない男性や老人、それらを選んで同行させてますよ。その辺りは心配しないように♡」
にこやかに微笑みつつそういいきるそんなオルファーの言葉に。
「…というか、あのガウリイ殿…リナ殿…つまりは彼の奥方がかかわったら。信じられない力を発揮しますからねぇ。
だからといって毎回とぱっちりをうけるのはわれわれ下っ端なんですよぉぉ…」
さめざめざめ。
そういいつつ、そんなオルファーの台詞に。
だくだくと涙を流しているゼフィーリアの兵士たち。
ま、まあ、気持ちはわからなくもないかもしれない。
以前などは、リナの側に若い男性がいる、そう聞きつけたガウリイが。
何しろ敵味方かまわずに壊滅させた、という経験ははっきりいって記憶に新しい。
…年月、といってもまだそんなに数年もたってはおらず。
彼らの記憶の中にはそのときの地獄絵図が脳裏にと刻み込まれていたりする。
そんな彼ら、しがない兵士たちの会話をよそに。
「うぉぉぉぉお!」
いいつつ。
ザシュ!
ザン!
目にもとまらない速さで、海にと向かって剣を振り下ろしているガウリイの姿が。
一方、そして、そのガウリイがその攻撃を仕掛けている側からすると。
「何!?何なんだ!?」
「わかりません!正体不明の攻撃が!」
「二番艦、撃沈!」
「何ぃぃぃぃぃ!?」
千年に及ぶ結界がとかれ。
そして、その結界の中の領地を手にいれようとこうして軍隊を指揮し、侵略を開始している数多の国。
およそ数十。
だが、いまだにそれは成功したものがない。
というのも彼らは知っている。
魔がすむ世界。
そう彼らは幼いころから伝説として聞いていた。
彼らの世界では、魔力、というか魔法、というのははっきりいって発達などはしていない。
発達したのは、科学の力。
つまりは物質的な物理的な力のみ。
ゆえに、彼らの船などには彼らの技術力を駆使した武器弾薬など。
そんなものの数々が載っているているのではあるが。
だが、こんなことは話にも聞いていない。
何もない、大海原から、突如として。
いきなりまるでかまいたちのような風の刃が向かいきて。
そして船をことごとく沈めてゆく、などという話は。
そして、それだけではなく。
「総督!!!前方、巨大な高波が!」
悲鳴に近い声が、その船隊にと響き渡る。
みれば。
軽く十数メートルは超えるであろう巨大な波が。
彼らの前方から彼らがいる方向にむかってやってきていたりする。
「「…た、退避ぃぃぃ!」」
「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
ザッパァァァン!!
第一陣の船隊は。
ものの見事にガウリイの放った剣圧の衝撃派によって生じた高波に。
ものの見事に海の藻屑と化してゆく…
「よっしゃぁぁぁ!リナ、まってろよぉぉ!すぐに助けにいってやるからなぁぁ!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
無言になる以外の何ものでもない。
何しろ、やってきていたはずの船隊が。
ものの見事に高波にそのまま海の藻屑にと消え果たのだからして。
「…とりあえず、第二陣、第三陣、もあるようだし。」
ほとんどのものはそれを見なかったことにして。
現実逃避にと走ってゆくのは…しかたのないことであろう。
まだまだ、侵略者たちの侵攻は、始まったばかりである。
一方、ガウリイたちが侵略者たちと戦っているそんな最中――
「我と汝のちからもて 等しく滅びを与えんことを!― 竜滅斬(ドラグスレイブ)!!」
ドゴガァァン!!!
辺りに響き渡る轟音。
「うーんvすっきりv」
いいつつ、にこやかに笑みを浮かべている茶色い髪の一人の女性。
そして、そんな女性の横にて。
「しかしのぉ。ピンクのリナよ、たかが、盗賊風情に竜滅斬(ドラグスレイブ)はちと、やりすぎでないかのぉ?」
いいつつ、そのあごにと蓄えている長いひげをなぞりつつ、しみじみいっているのは、
三角にとがった帽子をかぶり、そしてまた、その全身を包み込むかのような、ゆったりした服装。
そして、マントの色もまた灰色。
すべて帽子から何から何まで灰色にと統一しているその白いひげを蓄えている、一人の老人。
「何をいってるのよ。灰色のマッケランさん。こいつら、盗賊を模した刺客たちよ?」
いいつつ。
ごそごそと。
ある程度というかかなり手加減しているがゆえに。
死亡していないすでに声もだせなくなっている
倒れている先ほど襲ってきた、盗賊もどきの懐をごそごそとあさっている栗色の髪の女性。
見た目の年齢は二十歳より少し下くらいであろうか。
…事実はすでにもう二十歳は超えているのだが。
彼女は。
「何と!?」
そんなリナの言葉に目を見開きつつ。
「どうしておぬしはわかったんじゃ!?」
そういって驚愕の声をあげるのは。
どこにでもあるような、というか、
どこにでもころがっているような、流木のような杖をもっている、一人の老人。
灰色のマッケラン、と呼ばれたその当人。
そんなマッケランの言葉に。
チッチッチッ。
かるく指をふりつつ。
「ふっ。甘いわ。灰色のマッケランさん!こいつら、登場したときの台詞がお約束でなかったからにきまってるじゃないのよ!
今日日。【命は眼中にないから品物だけおいていけ。】なんてばかげたことをいう盗賊がどこにいるっていうのよ!
普通のお約束としては。【命だけは助けてやるから身包みおいていけ。】これが普通の盗賊とかの台詞よ!」
きっぱりはっきり。
きっぱりとそういいきっているリナの言葉に。
「……」
思わず無言になるマッケランと呼ばれたその老人。
そして、しみじみと。
「伊達に称号である、【ピンクのリナ】以外に。
【盗賊殺し(ロバーズ・キラー)】の異名をもっているわけではないのぉ。ビンクのリナよ。」
そういいつつ、ひげをさすりつつ、関心した声をあげるそんなマッケランの言葉に。
「だからその呼び方はやめてください…」
だから、同郷の魔道士とは組みたくなかったのよねぇ。
でも姉ちゃんやヴィーナス姉ちゃん、それに魔道士協会からの依頼だし。
などと、心でぶつぶついいつつも、とりあえず無駄とはわかっているものの、抗議の声を上げているリナ。
ピンクのリナ。
それは、リナの故郷であるゼフィーリア、ゼフィール・シティの魔道士協会から。
女の子だから。
という理由で、リナに与えられた称号、というか色である。
…それが、フリルのついたビンクのローブ一式でなければいうこともないのだが…
そんなこんなで、リナについている称号というか呼び方が、【ピンクのリナ】というわけなのだが…
「しっかし、盗賊に化けて我らを襲うとは。情報が漏れている、ということだな。」
リナの抗議の声を聞き流し。
一人つぶやくマッケラン。
「みたいですね。とにかく、いそぎましょ。―【死の山】へ―…」
いいつつ、ちゃっかりと、倒した盗賊に模していた刺客たちの服などすべて、身包み剥ぎ取り、
ガチャガチャと、後ろにと魔力で動かしている荷馬車に、それらが身に着けていたよろいなどを放り込んでいるリナをみつつ。
「ところで?ピンクのリナよ?何をしておる?」
リナの行動が理解できずに聞き返すマッケランのその言葉に。
「ああ、これですか?次の町の武器やで売り払うんです。少しは路銀の足しになりますよ♡」
にこやかにそうきっぱりいいきるそんなリナの言葉に。
「おお!さすがはピンクのリナ、それはいい考えじゃの!」
などといいつつ、賛同しているマッケランの姿が。
ゼフィーリア王国。
そこの出身者は…もしかしたらリナによく似た者たちばかりのつわものたちの集まりなのかもしれない…
何しろこのマッケランもまた、ゼフィーリア出身者なのであるからして…
そんな会話をしつつ。
二人して、盗賊を模して襲ってきた彼らの服、下着のみを残したすべてを剥ぎ取り。
自分たちの路銀の足しにするために、ヴィーナスより与えられた魔力で動く荷馬車にて。
それらを積み込んでゆくリナとマッケランの姿がしばし見受けられてゆく。
-続くー
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まえがき:
しくしくしく。ただいま2004年の正月です。今日はただいま1月6日。
でもどーしてとうとう三日連続カウンタ初期化・・・様子…見てみるしかないなぁ…
そのままトクトクからダウンしているカンウタなのに・・・・くすん(涙
まあ、そんな現状をぼやきつつも。
前回これを打ち込んだのが、何と12月14日。
おいおいおい。
ま、いっか、フォーエバーとか漫遊記(番外&幼少)編なんかは。もっと時間が過ぎているv(かなりまてぃ!
何はともあれ、いっきますv
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あとがきもどき:
薫:ふふふふふ。魔道士の名前、ありましたねー。そういえば。
それはそうと…赤版の出版…まっだかな?(待ち望み…
次回で少しばかりゼロスサイドにいけるかも・・・
レイナサイドにもいかないとなぁ(まてぃ!
ガウリイ…あーた本当に人間ですか?(笑
などと一人突っ込みをいれつつも。
多分次くらいにて、あの短い漫画の内容のあたりに。そろそろ入ると思われますvあしからずv
それでは、また、次回にてvんではではvv
2004年1月6日某日
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