ミッションズ・オブ・リング   ~インバース商会~




「おおおお!レナ、よく来たな!」
「わーい、おじーちゃま!」
ぴょん。
両手を大きく広げている見た目、まだ若い…見たところまだ二十代前半か後半、にしか見えない黒い髪の男性。
どうみても、祖父。
と呼ばれる年齢ではないのでは?
という疑問は普通にはわくが。
だがしかし。
この状況で動じていない、この町の人々。
店の中にいる、ほかの場所からの観光客などは、そのことに驚いていたりするのだが。
「父さん、姉ちゃんは?」
レナとガウリイ、そしてリナ。
この三人で向かった先は、リナの実家でもある、インバース家。
この時間、実家の方には家族はいないので。
こうして、直接に、出先、というか、実家が経営している『インバース商会』にと足を進めてきているリナ達三人。
「ルナなら今ヴィーナスちゃんを呼びに言ってるぞ?」
この国で。
まがりなりにも、ゼフィーリア女王、
永遠の女王(エターナルクイーン)ヴィーナスを、ちゃんづけするなど、この家ならでは、といえよう。

この国。
ゼフィーリア王国。
その王国をすべるのは一人の女王。
この国の王は代々女王と決まっており。
そしてまた、代々、女王は第一皇女しか産まない。
その父親は、神託によって決まるとか、決まらないとか。
様々なことがうわさされていたりもする。
または、父親がいなく、そのまま時期がくれば女王は身ごもるのだ。
という説も世間一般には流れていたりする。
嘘かまことか、はたまたどこまでが真実なのか。
まあ、どんな世間一般でうわさが立っていようとも、真実はいつもひとつなのであるが。
この国では。
女王が選んだ伴侶には、誰一人として異を唱えることはできない。
それがたとえどんな人物であろうとも。
以前、というか一昔前。
その当時、敵対していた国の要にある人物と女王が恋におち。
周りの反対を押し切って、結ばれ、その要たる人物は、彼の国を捨て、女王の元にときて…いわゆる駆け落ちした。
という話すらもこの地にはあったりするが。
女王はあくまでも女王。
この国の女王に生まれたもの、または継ぐもの、として生まれたものは。
未来永劫、その使命から逃れることはできない。
それは、この地が特別であるがゆえに。

「リナ、絶対にとっとと仕事終わらせて合流するからな!」
しかっ。  
いいつつ、リナをしっかりと抱きしめているそんなガウリイに。
「だ、だぁぁ!人目があるから恥ずかしいでしょ。やめ!」
「やだv」  
「そ、即答するなぁぁぁ!」
ここ、インバース商会。
目新しい、というか変わった品物なども取り扱っていることから。
店内には人の出入りが後を立たないが。
そんな店内、人ごみでごった返しているさなか。
人目もはばからずにいちゃついている、傍目若いカップル。
実際にまだ若いのだが。
「だってなぁ。…ルナ義姉さんが戻ってきたら。リナとこーしてスキンシップすることできないし…」
「しなくていい!しなくて!」
抗議の声を上げるリナの声は、むなしく、しっかりと抱きしめられているガウリイの胸にとはばままれる。
「あ、お義父さん、ちょっと奥の部屋、かりてもいーですか?」
にこやかに、いまだにレナをかまっているリナの父にと語りかけているそんなガウリイのせりふに。
「ああああああんた、ましゃか…」
リナの額から一筋の汗。
「かまわんが。終わったらシーツは取り替えて洗濯しておけよ?」
「了解です。」
「って、こらまてぃ!ガウリイ、ねーちゃんがもどって…んっ!」
『……』
「あ、これなんかいいんじゃないですか。」
「そうですわね。」
一部の客は、目の前で繰り広げられている、金髪美屏風の青年と、見た目まだ若い栗色の髪の女性のラブシーンに。
思わず声を失いつつ。
一方では、慣れている免疫ができているこの町の人々は。
何事もなかったかのようにと買い物の続きをしていたりする。
そんな彼らの目の端では。
ガウリイのキスによってぐったりとなったリナが。
そのままお姫様抱っこをされて。
奥の部屋にと連れて行かれている光景がちらりと移っていたりするのだが。
まあこれもいつもの光景。
そんな二人をみつつも。
「レナ、この調子だとお前にも近いうちに妹か弟できそうだな。」
「あのね!レナ、りょーほーほしいの!」
「そうか、そうか。お爺ちゃんは男の子がほしいぞ?この家、男がすくないからなぁ。」
そんな娘夫婦をみつつ。
孫であるレイナに向かってそんなことをいっているのは。
リナの父であり、レイナの祖父でもある、マルス。
まあ、気持ちはわからなくもないが。
何しろ、マルスの子供は、ルナとリナ。
両方女の子。
ついでにいまだに長女であるルナは独身。
男の子がほしい、というその思いもわからなくはない。
「?おじーちゃまもおとーちゃまもいるよ?」
きょとんと首をかしげるそんなレナをぎゅっと抱きしめ。
「まあ、そうなんだけどな。それはそうと、レナ?今日もまた何かうってみるか?」
「うん!レナ、やるー!」
そんな祖父の言葉に目を輝かせていっているレナ。
「じゃ、用意しような。」
「うん。わーい!」

この店、インバース商会では。
ここしばらく。
もうひとつ、隠れた目玉がある。
それは、まだ幼いレイナ、通称レナが売り子をするときに販売される摩訶不思議な魔法道具の数々。
レナが自覚なしに、作り出している道具の数々で。
それがまた、かなりの高性能を誇っている。
まあ、当然、といえば当然なのだが。
何しろレナは、母親であるリナのお腹にいるときに。
母親の内部にとのこっていた、『混沌』それのすべてを消化、吸収して生まれた子供である。
その力を感じ取り、生まれた直後にリナの姉にあたり、
レナにとっては叔母にあたるルナが、その力をその直後に封印はしているものの。
だがしかし、そんな力を封じられる力は…この世の中、というか世界のどこにも存在するはずもなく。
レナもまた、その無意識のうちに、その『力』を使ってしまうものだから。
ある意味、最強というべきか、怖いものなし、というか…
『力』は『すべてなる母』そのもの。
でもあるがゆえに、言い換えれば、レナの内部には、『すべてなる母』が常に滞在している、という現実がそこにあったりするのだが。
だが、当のレナはそれをさして疑問に思っているはずもなく。
まあ、物心つくまえ、しかも、母親の胎内にいるときから、常にそばに『すべてなる母』を感じていれば。
そうなるのは必然、なのであろうが…
幸か、不幸か、母親であるリナはそのことを知りはしない。
父親であるガウリイはその気配からして気づいてはいるが。
まあ、娘に害がないようなのでほうっておいているのが現実。
まあ、言い換えれば、最高の保護がついているようなものである。
聞かれてもいないので、リナにも教えていない父親であるガウリイ。
まあ、世の中。
知らないほうが、幸せ、ということも多々とあるのである。


「まあ、今日はレナちゃんが売り子をするのね。これはたれ幕ださないとv」
にこやかに。
そんなレナと夫であるマルスの姿をみつつ。
そんなことをいっている栗色の髪の女性。
リナとルナの母親である、レナの祖母。
ちなみに、リナは母親譲りの栗色の髪であるが、長女であるルナは父親譲りの黒髪である。
いいつつも、このレナが売り子をするときには、軽く店の売り上げが、百、というか万、というか一億近くなることも当たり前で。
店の外、というか、その屋根にバルーンを浮かばせるのと同時に、垂れ幕を外にと出しているそんな女性-セシルの姿が。

インバース商会でそんな会話が繰り広げられているさなか。
まあ、その奥の部屋では、完全防音となっているがゆえに。
何が起こっているのか、絶対に知りようもないが。
そんな奥の部屋にと閉じこもったままのリナとガウリイ。
そんな光景とは裏腹に。


「…つまり、今回のは、これがこれで…」
いいつつも。
地図を片手にそんなことをいっている、銀色の髪のどこかおっとりした感じのある女性。
その長い髪が床にまでつき、かるく後ろにと流している。
「でも、ヴィーナス?今回もなるべく死人を出さずに。懲らしめるだけにとどめるつもり?」
半ばあきれつつ問いかけているのは、髪をその肩の辺りまで伸ばしている、紅い瞳の女性。
そんな女性-ルナの言葉に。
「あら、戦力喪失はもっとも重要よv多分、あと数回もやったら、この国に攻撃しかけようなんて、馬鹿な国はいなくなるわよv」
にこやかに、笑みを浮かべてままで、にっこりといっている銀色の髪に青い瞳の女性。
彼女こそが、この国の女王、永遠の女王(エターナルクイーン)ヴィーナス。
そんな彼女…
ルナとヴィーナスは幼馴染でもあるのだが。
そんな幼馴染の台詞に。
「ま、ガウリイを選伐隊に導入した、という理由で。もう次からは戦力喪失するでしょ。
   今回はいつものようにガウリイに『餌』まいてるし。」
にこやかに、そんなことをいっているそんなルナの言葉に。
「あらあら、ルナったら、いくら本当のことでも、それはないんじゃない?
  確かに、あのガウリイさんは、リナちゃんと離して、用事が終われば合流しても、というか、リナちゃんの元に戻っていい。
  っていったら、面白いまでに役に立つ人物だけど。」
ころころと笑いつつそんなことをいっているヴィーナス。
「ま、あのガウリイ、リナのためだったら、数日以上、不眠不休で何でもするからねぇ。
   だから、ガウリイを動かすのは、リナを『餌』として釣ればいいわけよ。
   あと、休暇をしばらくその後、与えとけでもしたら、あいつ、どんなことでもやるしね。」
…リナの知らないところで。
こんな取引がなされているなどとは。
当然、ルナの妹であるリナは…知る由もない…。
「ところで?リナちゃんの方は大丈夫なの?」
笑いつつも、言葉とは裏腹にまったく心配などしていない口調で問いかけるそんなヴィナスの台詞に。
「大丈夫よ。というか、しっかりとそのあたりは抜かりはないわ。
   一応、年をとってても、『男性』がリナと行動するようにしてるし。
   若いやつだと、…ガウリイの暴走だけでなくて、レナが泣き叫ぶ、という可能性もあるからねぇ…」
レナがまだ一歳にも満たないとき。
ガウリイを動かす理由で、これまたリナにとあることをお願いしたルナであるのだが。
そのとき、リナと共に、同じくその依頼を協会から受けていたとある男性がリナに対して邪な感情を抱き…
結果。
その男性は、当然ガウリイにもずたぼろにされ。
しかも、一緒にいたレナが泣き叫んで無防備、というか、コントロールなしに放った混沌の力にて。
その一帯の一角が、死の空間になってしまったのは。
そんなに昔のことではない。
…リナは眠り薬を飲まされていたがゆえにその事実はしらないのだが…
「まあ、リナちゃんは、『奢ってやる』という言葉に弱いからねぇ。」
いいつつ、ころころ笑っているヴィーナス。
この場合…誰が悪いのか、どうなのか。
ちなみに、余談ではあるが。その男性。
…そのまま、精神崩壊を起こして、どこかの病院にこもっていたりするらしいが。
まあ、散々、皮一枚を残してガウリイに切り刻まれ。
…という原因もあるのかもしれないが…
そのあたりのこともリナは当然、知る由もない。
「まったく、どこを育て間違えたのかしら?ともかく、あんな心配が起こらないような人物だから大丈夫よ。」
「そう、ならいいわv…で、ルナ、これなんだけど…」
いいつつも。
今回の作戦会議に余念がない二人の姿が。
しばらく、ここ、ゼフィーリア王室の中、女王の私室にて、しばし見受けられてゆくのであった。



「ほっほっほっ。今回の作戦はあのピンクのリナと一緒とはの。
  いやはや、まさかあの指輪の始末をこの老いぼれにと依頼されるとは。国もまた変わったことをなさりおる。ほっほっほっ。」
一人。
魔道士協会から依頼をうけ
そんな台詞をつぶやきつつ。
リナたちと落ち合う場所であるとある店にと向かう一人の男性。
そのあごに白いひげを豊かにとたたえた老人が。
インバース商会、ゼフィーリア王室、それぞれ、彼らが行動をしているさなか。
行動を起こしている姿が見受けられてゆく……

                             -続くー

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まえがき:

星野さんからは突っ込みきたけど。
それ以外からはつっこみなかったですね(こらまて)
いや、長編にここのリンク、先に張ったまま。
まだ小説打ち込みしてない、というのにねぇ。アップしてたのよ。忘れてて、編集してたの(笑)
(先に狭間打ち込みしはじめたから←はじめはこれのつもりだった人…
何はともあれ、今回、レナちゃんの正体暴露v
ちなみに、ルナちゃんたちの作戦、というか餌まきに笑ってください(かまりまて!
何はともあれ、いっきますv

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あとがきもどき:

薫:さって。次回でガウリイの作戦の全貌と。リナの旅の始まりだなぁ。
  それでよーやくあの漫画の内容にとはいってゆくv
  今回で、レナちゃんの正体、とっとと暴露したのは。
  (多分)この話、そんなに長くなんないから、と思われるので(そーか?)
   ・・・・・・・何話で終わるかなぁ?うみゅ・・・??
  ま、狭間ほど長くはなんないのは確実だ。うん(笑
  まあ、この中にある表現。意味のわからない人はそのまま無視してください。
  わかる人はそのあたりは創造にまかせますv(まてこら
  何はともあれ、また、次回でv

      2003年12月14日某日

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