ミッションズ・オブ・リング   ~ガブリエフ家~




「え゛え゛え゛え゛え゛!?」
絶叫が部屋の中を埋め尽くす。
「そういっても、決まったのはしかたないでしょ?」
まるで子供を諭さんばかりのそんなリナの台詞に。
「ぜぇぇぇぇったいに、だめだぁぁ!だって、リナとほかの男が旅するなんて!」
ダン!
などといいつつ、テーブルにとフォークを突き刺していたりするのは、金髪碧眼の黙っていればかなりの美形のその男性。
「おとーちゃま。でもおとーちゃまはおしごとあるんでしょ?」
くちゃくちゃ。
「あ、ホラ、レナ、口にお弁当がついてる。」
そういいつつ。
同じテーブルにて食事をしているそんな自分と同じく栗色の髪をもっている。
見た目、一歳程度の少女の口元についているご飯粒をかるくふきとり、そのまま。
ぱくり。
口にと運んでいるリナ。
「はい。よっし。レナ、食べるときは気をつけましょうね。」
「はーい。おかーちゃま!」
いいつつ、元気よくスプーンを振り回しているいとしいわが子の様子に、思わず笑みがこぼれる。
「リナがほかのやつと旅するんだったら、仕事なんてほっぼりだしてでも、お前についていく!」
いいつつも。
しかっ。
「な゛!?いつのまに?!」
いつの間にか席を立ち、後ろにと回りこみ。
しっかりと自分を抱きしめてくるそんな夫…ガウリイの行動に思わず真っ赤になりつつ。
「って、毎回、毎回、人をいきなり抱きしめるなぁぁ!」
真っ赤になりつつ、振り向くと。
「ヤダv」
「ヤダ!じゃ…んっっ~~…////」
そのまま、振り向きざまに口をふさがれ。
じたばたもがいていたりするリナではあるが。
そんなリナとガウリイの姿をみつつ。
「おかーちゃま、おとーちゃま、いつもなかよし。うん♡」
にこにことそんな両親の姿をみている二人の娘のレイナ。
ただいま、一歳。
「ぷはっ。」
やがて、真っ赤になったリナがようやくガウリイから開放され。
「…あんたはぁ…毎回、毎回、いきなり何するのよぉ~……」
潤んだ瞳で真っ赤になりつつ、そんな抗議の声を上げても説得力まるでなし。
「何だ?ものたりないのか?だったら、今すぐにでも寝室に…」
「あ、あほかぁぁぁぁあ!!」
スパパパパァン!
子気味よい、リナのスリッパ攻撃がガウリイの頭にと炸裂する。
まあ、このガブリエフ家にとってはいつもの光景。
「と、とにかく!あんたは仕事をきちんとこなす!」
片手にスリッパをもって真っ赤になりつつ叫ぶリナに。
「でも…だぁぁ!やっぱりリナがオレ以外のやつと二人っきりで旅するなんてぇ!」
などと叫んでいるガウリイ。
「だからぁ!仕方ないでしょうが!れはもう、決定事項なの!
  あたしの連れが同じ魔道士協会所属の、あのおじいちゃんなのは!」
そういうリナの言葉に。
「でも、いくら年寄りでも男には違いない!」
「あのねぇぇぇ!」
そんな二人の様子をみつつ。
おかーちゃま?おとーちゃま?けんかしてるの?…うっ…。」
ぐすん。
そのまま、片手にいまだにスプーンをしっかりと握ったまま瞳に涙を浮かべているレイナ。
「あ゛あ゛!違うのよ!レナ!」
「あ、違うんだぞ?喧嘩なんてしてないからな!?」
べそをかき始めたそんな娘に。
あわてて、言いつくろっているこの夫婦。
…まあ、喧嘩は喧嘩でもはっきりいって、のろけ、としかいいようのない言い争いではあるのだが。
「ちがうの?ほんと?」
「そうだぞ。ほら。」
「ちょっ…ガウっ…んっ……」
今度は先ほどとは比べ物にならない接吻がリナに口付けられていたりするが。
そんな二人をみつつ。
「わぁぁぃ、おかーちゃま、おとーちゃま、なかよし、なかよし!」
いいつつも。
それをみて、安心したのか。
さかかかかかかっ。
勢いよくもっているスプーンにて、目の前に山盛りにとされている、
すでに十杯目のお変わりの焼き飯を口にと運んでいるレイナ。
まあ、さすがに二人の子供というか、何というか…
「…馬鹿っ///」
しばらくしてようやく開放されたリナが。
真っ赤になりつつぼつりとそんな台詞をもらしていたりするのだが。
そんなリナの耳元で。
何かをガウリイが小さくささやきさらに真っ赤になりつつも。
小さくうなづいていたりするリナの姿がそこにあったりするのだが。

「と、とにかく。ガウリイは、ヴィーナス姉ちゃんの直々の依頼うけて。
  今ちょっとばかり問題になってるあそこにいくことになってるんでしょ?
  …それ終わったら合流する、というので、もう、姉ちゃんにもヴィーナス姉ちゃんにも話しついてるし。
  というかそういう命令だし。」
レイナが食事に専念している間に。
二人して、ちょっと一時間ばかり、席をあけ。
寝室に閉じこもり、
出てきたリナの顔は先ほどよりさらに赤くなっているにもかかわらず、ガウリイの方は何か晴れやかな顔をしつつ。
再び食事を開始しているこの二人。
ま、まあ、いつもの光景なのではあるが。
「…ルナ義姉さんもあっちが終わってから一緒にしてくれればいいのに…」
ぶつぶつつぶやくガウリイに。
「仕方ないでしょ?ことは急ぐんだから。それにこれがほかの人の手に渡ったりでもしたら大事だしね。」
いいつつ。
特殊な小さな容器に入っている小さな箱をテーブルの上にとおきつつ。
そんなことをいっているリナ。
「?あれ?おかーちゃま、くび、むしさんにさされたの?あかいよ?」
ふと気づき、そんなことをいってくるレナの言葉に。
カァァァア!!!
真っ赤になりつつ。
「ううううううううううん、ままままままぁ…ね…」
ガウリイの馬鹿!
あれほどレナの目に留まるところに痕はやめてっ!っていってるのにぃ~!///
などと、内心絶叫を上げていたりするリナがそこにいたりするのだが。
「レナ、これはな。オレが…」
「だぁぁあ!いうなぁぁ!」
真っ赤になりつつ、思わず叫ぶリナ。
ま、まあ、気持ちは…わからなくもない。
「と、とにかく。ガウリイはゼフィーリア王家からの依頼をきちんと終了させて。それから、あたしと一緒に合流。わかったわね?」
「…すぐに合流するからな!」
「はいはい。期待してるわよ。」
そういや。
なぜかこいつ、あたしと別行動したときの依頼を終了させるの、かなり早いのよね。
変なやつ。
などと、ふと思いつつ。
軽く受け流していたりするリナ。
…その理由が。
少しでも早く、リナの元に戻りたい、という理由であるとは。
…結婚してもはや子供までいる、というのにいまだに理解できてないリナである。
そんな二人の会話をききつつ。
「んじゃ、またレナ、おるすばん?」
そういいつつも、どこか瞳がきらきらしているのは。
気のせいではないであろう。
「そっか。そういえば、レナは父さん…レナにとってはお爺ちゃんの手伝いしたら。店の売り上げの半分、もらえるのよねぇ。」
「うん!レナね!がんばってうりことかゆーのしてるの!」
どうやら。
母親であるリナより、商売人の血を強く引いたのか。
はたまた、小さな子供が売り子をしているのがかわいくて。
…まず、後者ではあろうが。
ともかく、レイナが店にでると、普通よりも十倍以上の売り上げとなる、リナの実家でもあるインバース商会。
それゆえに、レナが手伝ったときには。
レナが売った売り上げの半分を、かなり太っ腹にも、このまだ物心もついて間もないという幼子に与えているリナの両親。
「うーん、レナの売り子はかわいいからなぁ。」
「そうね。さすがはあたしたちの子供だわよね。」
完全に親ばかモードのこの二人。
ある意味、似たもの夫婦なのかもしれない…

そんな会話をしつつ。
ガブリエフ家の夕食の風景は。
しばし、滞りなく進んでゆく。



「ほらほら、レナ、忘れものはない?」
そういう、リナの言葉に。
「あ、くらげさんのぬいぐるみ!」
いいつつも。
ぱたぱたと寝室に入ってゆくレイナの姿が。
以前、レイナの誕生日、というか一歳の誕生日に、リナが与えたもので。
かなりレイナのお気に入り。
まあ、その顔が父親であるガウリイであったりする。
というのもかなり似合いすぎていたりするのだが……
そのまま、しっかりと。
その手に、リナお手製のガウリイ顔のくらげぬいぐるみをしっかりと抱きしめ。
「おかーちゃま、も、レナ、わすれものないよ?」
にっこりとその背中にこれまたリナのお手製のリュックサックを背負いつつ。
ちなみにその背中にはレイナの似顔絵のアップリケが入っていたりする。
リナは大体、子供に与える服や物などは、手作りを心がけているのである。
その理由のひとつに。
…ほうっておいたら、ガウリイがどんどんと【娘のために。】とかいって、いらないものまで買い込んできてしまう。
という理由が一番に挙げられるのではあるが。
「とりあえず、レナはあたしとガウリイと一緒に、あたしの実家まではいきましょ。
   それから、あたしは魔道士協会に。ガウリイはお城にね。わかった?」
「…ううっ。しばらくリナと離れるのは寂しいよぉ…」
などと、いまだにすねているガウリイがそこにいたりするのだが。
「…あのね…。さ、レナ、いじけてる、お父さんはおいといて。あたしたちだけで出発しましょ。」
「おかーちゃま?おとーちゃま、いいの?」
家の戸締りをして。
玄関先でいまだにいじけているガウリイをみて。
きょとんとした視線で母親であるリナを見上げているレイナの言葉に。
「レナ?いーい?こういうときには無視するのよ?いちいちかまってたらキリがないんだから。」
「はーい!」
そんなリナの言葉に素直に返事をしているレイナ。

やがて。
いまだにいじけているガウリイをそのままに、歩き出す二人に気づき。
「ああああああ!リナ、レナ!まってくれぇぇ!」
あわてて、そんな二人の後を追いかけてゆくガウリイの姿が。
小高い丘の上。
しばし見受けられてゆく……


「わぁぃ、わあぃ。おかーちゃまとおとーちゃまとおでかけぇ!」
いいつつ。
二人に両手をもたれて。
ぶらぶらとブランコをしてもらいつつ。
にこにこしながら笑っているレイナ。
そんないとしい娘の姿をみつつ。
二人して顔を見合わせ。
「ほらほら、レナ、あまりはしゃいだら危ないわよ?」
「そうだぞ?こけたらいたいぞー?」
いいつつも。
二人の娘を見る目は優しく笑っていたりする。
そんなほのぼのとした親子の姿が。
小高い丘の上に存在する彼らの家より、離れた場所にある、ゼフィール・シティの中心部。
そこにいたる道筋まで、しばし見受けられてゆくのであった。


-こういうのも、悪くはない。
完全な…子供。というのも…


レイナの中で。
その一部でもあるとある記憶が。
そんなことを思っているのは…
当然、リナもガウリイも、知る由も…ない。

                             -続くー


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こんにちわー。
本当は今日(5日)にアップできるはずだったんだすけど・・・。
いまだにブリンタと格闘しております・・・・。
で、結果。
・・・・・やっぱり、黒色だけがでないぃぃぃぃぃぃぃい!
ちなみに。
父親が珍しく!インクのみを買ってきてくれたのですが(明日は雨か?)・・・・交換しても出ません・・・。
どーもインクを収めているカートリッジの問題かも・・・・。
・・・お休みの日に買いに行ってきます・・・・。
しくしくしく・・・・。

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あとがきもどき:

薫:さって、問題ですvレイナの中にある、というとある記憶。
  その記憶はどの御方のものでしょうv(まて、ばればれだってば…笑
  レイナちゃん、通称、レナちゃん。彼女は…一応(多分)普通の人間ですよーvふふふふふv
  次回で登場、ルナ姉ちゃんとヴィーナス姉ちゃん。
  ついでに…そーいや、あのお爺さん魔道士…名前でなかったなぁ(まて
  いーや、勝手に考えよう、うん。
  ちなみに。何度もいいますけど。
  これ、ドラゴンオールスターズに掲載されてた。あの漫画が元になってまーすvあしからずv
  んではではvまたv

     2003年12月5&6日某日


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