過去からの希望 -第1話ー
「ええと・・・・いるのは・・これと・・これと・・・。」
ごそごそごそ。
「ふぅ。どうして僕がこんなことを・・・。」
ぼやきつつも、今まで、リナに対して、おとりなど使っていたので、何もいえない。
というか、滅ぼされても、しかたないが、これですんでいるだけましなのでしょぅか?(涙)
黒い神官服をきて、森の中で、ハーブを採集している彼。
「そもそも、一番の原因は、魔王様ですよね!!始めに、リナ様にちょっかいかけたのは、魔王様なんですから!!」
ぶつぶつ、上司たる赤瞳の魔王に文句を言っている。
あれからが、全ての始まり。
リナが、レゾ=シャブラニグドゥを滅ぼした直後から。
その次に、アトラス、サイラーグ。
冥王が、リナを利用して、世界消滅計画をたてたときも。
誰も、まさか、リナ=インバースが、リチェウスィだとは、気づかなかった。
ここ、十数年、リナは、完全な人として、平和(?)に暮らしていたのだから。
よく考えればわかると思うけど。
容姿は、今は、ちょっぴり、スリーサイズは、異なってるけど。
大まかな、意思の強さと、魂の輝きは、同じなのに。
それに、リナはよく、昔から、今のリナ=インバースと同じ、あの栗色の髪の形態をしていたのだから。
それは、スティルバイトにもほめられて、彼と初めてみた景色だから。
という、リナのかわいい心のたまものなのだが。
それでも、気づかなかった、ここの魔族達って・・・・。
かなり鈍感。
リナが、ゼフィーリアから出ている可能性。
まったく、考えてなかったのだから・・・・
獣神官、ゼロス。
彼は、リナ=インバースと、ちょっとしたときに、関りがあった。
まず、写本の処分をしていたときに、リナに、無理やりに、デモンブラッドを買い上げられ。
そして、その後、冥王の命令にて、リナ保護しつつ、異世界黙示録(クレアバイブル)へと導き。
そのついでに、冥王が、魔竜王を滅ぼして。
その後は、ヴァルガーヴをおびきだすために、リナを利用して。
結果として、ここの四界の世界の中の、魔王デュグラディグドゥと、竜神ヴォルフィードの融合体を撃破して。
そして、覇王が、リナによって、計画を邪魔されて。
まあ、弱体化もさせられたけど。
その後、リナ達の知り合いでもあった、ルークの覚醒。
ミリーナという、一人の人間の女性の死が引き金となって。
人の中で、眠っていた魔王の欠片の意識。
それは、元々は、リナを隠すための、方法だったのだが。
あまりの年月長さに、なぜか、人の心と同化しやすくなってたりして。
まあ、本体の、分身なんだから。
そんなに力はないのだけど。
それでも、ようやく、二つの分身が滅んで、リナが、リナであることを知った、レイス。
ここの世界の魔王、赤瞳の魔王(ルビーアイ)シャブラニグドゥ。
ゼロスは、その、いわゆる、人身御供に、差し出されたようなものである。
まあ、そのとき、ストリッジ・シティで、リナとガウリイの互いを想いあう心のすれ違いで。
リナが、赤ん坊へと、変化することさえなければ・・・・・
「ガウリイさんも、ガウリイさんですよ。さっさと、リナさんを先に抱いてたらよかったんですよ。そうすれば、今回のようなことには・・」
さらり。
と、とんでもないことをいっているゼロス。
「人である、二人が結ばれたら・・そういや、どうなってたんですかねぇ・・・。リナ様と、スティルバイト様・・・・。」
ふと、疑問に思っているようだが。
「それは、それで、面白そうですよね♡」
リナが赤ん坊のときから知っているゼロスは。
ルナ達同様、リナとスティルバイトの互いの想いも。
知っていた一人ではある。
彼も、実は、スティルバイトと、リナの仲が、うまくいくほうに、賭けている一人でもあるのだが・・・
面白いことに、 リチェウスィと、スティルバイトの、仲は。
賭けの対象となり、結構、人気があったりするのが現状だったりして・・(笑)
何、考えてるのかしら♡
ここの、存在達って♡
まあ、今だに、リナを手にいれたい!
と、思っている存在もいるには、いるんだけどね(笑)
「さて・・・ともかく、ハーブの採集にいそしみましょう!!」
丁寧にも、神官服に、割烹着をまとい。
背中に、採集籠を背負い、黒い神官ゼロスは、かがみつつも、薬草(ハーブ)の採集に、いそしんでいた。
「ゼルガディスさん、早く、早く!!」
「まあまて、アメリア。そう急ぐな。」
あれ?
ゼフィーリアの首都、ゼフィールシティの入り口で。
何か、簡単な結界のようなものがあるのに気づくアメリア。
巫女の能力で、それが何となく分かったのである。
「ゼルガディスさん?これ、何でしょう?」
「何といわれても・・何がだ?」
ゼルガディスには、わからない。
ま、関係ないですかね。
アメリアは、それですませてしまう。
ちょっとした、トラップ。
リナがここにいるのは、知っているものは、知っているので。
リチェスィを狙った存在が、これに触れると、警報がなるしくみといった、簡単なもの。
まあ、その警報もいろいろと、バージョンがあるけど♡
これは、約5千年前から、ここに張っている結界もどき。
普通に生活するのには、何ら、差し障りない代物である。
入り口をくぐり。
とりあえず、森へと入ってゆく。
フィリアから聞き出した、リナの実家が、この森の奥にあるがために。
一応、リナの実家ともなっている、インバース家と。
リナが住んでいる、ゼフィールシティは。
周りを森の木々で、囲まれている。
王都というのに。
自然との調和。
というのが、ここのモットー。
表向きは。
だから、門をくぐって、とりあえずの、町並みはあるけれど。
森を抜けないと、本当の、王都にはつけないのである。
ちなみに、この森。
別名、迷いの森♡
心に迷いがあるものや、リナに、完全に危害を加えよう。
としている存在達がはいりこむと。
問答無用で、ちょっとした、精神世界とリンクする。
精神が。
それで、なぜか、気が狂う存在も多々といたりするけれど。
結構、ここに住んでいる人々は、それを利用して。
精神の修行!
とかいって、重宝しているのだが。
「しかし・・・・初めてくるな・・ここ、ゼフィーリアには・・・。」
ゼルガディスが、つぶやく。
「そうなんですか?私は、以前、小さいころに、一度・・。」
父親と、姉に連れられて、ここに来たことのあるアメリア。
ここで、赤の竜神を祭る祭典があったがために。
来賓として、招かれたのである。
「まあな・・。」
ゼルガディスは、言葉を濁す。
裏の世界では。
ここ、ゼフィーリアは、絶対に近寄ってはならない、土地、ナンバーワン!なのである。
何しろ、ここに向かった、裏の世界に住むものなどは、
はっきりいって、 戻ってきたためしがない。
当然だけど。
というか、この森に入るまえの町並のところで、
よくて、子供の遊び道具になるのが落ちである。
「でも、ここって、すっごい、空気が綺麗ですよねぇ!!」
アメリアが、澄みとおった空を見上げる。
木々の木漏れ日が反射して、アメリアをより一層引き立てる。
ゼルガディスは、そんなアメリアに見とれていたりするが。
セイルーンを出発して。
アメリアとゼルガディスは、リナの故郷。
ゼフィーリア王国。
ゼフィール・シティにたどり着いていた。
「きょぅぅも、お仕事vvぼーくは、しがないつかいっぱしりぃ・・・。」
哀愁を含んだ歌が、アメリアとゼルガディスの耳に届く。
「・・あれ?」
アメリアがそれに気づき。
ゼルガディスが、露骨に顔をしかめる。
がさり。
「・・・って!!あっれぇ?アメリアさんに、ゼルガディスさんじゃないですか。おひさしぶりです♡」
がさり。
茂みの奥から出てきた人物に、警戒するゼルガディスだが。
それも一瞬のこと。
『ぶ・・・・・・・ぶっわつははははははははははは!!!!!』
思わず、目が点になったあとに、思いっきり、笑い出してしまう。
似合ってない・・というか、まっちしすぎているというか・・・・。
ニコニコ顔の、どこにでもいる怪しい神官。
それはいい。
それはいいのだが。
白い割烹着に、そして、背中に背負った、採集籠。
まるで、どこぞの清掃人。
「ゼロスさん・・・・にあってます・・・・くくくくっ・・・・」
「何、魔族のお前が・・そんな格好・・・くくく・・・・・」
二人とも、目に涙を浮かべていたりする。
いじいじ・・・
あっ♡
木の根っこで、のの字を書いて、いじけているゼロス。
アメリアとゼルガディスの元に現れたのは、
いわずとしれた、獣神官ゼロス。
さんざん笑まくったあとに。
やがて。
ゼルガディスの目が真剣になる。
戦士の顔にと。
「・・・で、何で、お前がこんなところにいるんだ?」
これでも、このゼロスは、一応高位魔族。
「何かたくらんでいるんですね!!さあ、きりきりと白状してもらいましょうか!!ゼロスさん!!」
アメリアがゼロスに、ぴっと、指を突き立てる。
「それは・・・・。」
ゼロスが、いつもの通り、口に人差し指をもってゆくと。
「それは、秘密です。ですか?」
「それは、秘密・・か。」
ぴったりと、アメリアとゼルガディスの言葉が一致する。
「ひ・・・ひどいですぅぅぅぅ!!!僕の台詞をぉぉ!!」
本当に、涙を丁寧に流すように具現化しているゼロス。
結構、面白い♡
「さあ、きりきり白状なさい!!ゼロスさん!!!そして、真人間になるんです!!」
「い・・いや・・それはちょっと・・・・(汗)」
「で・・何で、お前がここにいる?」
ゼルガディスの問いに、
「ふっ・・・・。人身御供ですよ・・・・。僕は・・・・。しくしくしく・・・・。」
人魂オプションつけて、いじけているゼロス。
「で、アメリアさんと、ゼルガディスさんは、どうして・・ここに?」
話題を変えたな・・・。
ゼルガディスは、内心思うが、ゼロス相手に、本気で戦っても、勝ち目がない。
というのは、よくわかっている。
何を考えて、ここにいるのかは分からないが。
とりあえず、様子を見るしかない・・か。
ちらり。
アメリアと目配せする。
アメリアも目で、それに同意する。
「行方不明と噂になってる、リナさんとガウリイさんの手がかりを探すためです。」
「リナとガウリイのことが何かわかるかと思ってな・・。」
アメリアとゼルガディスがいうと。
「え・・・ええええええぇぇぇ!!!!!?リナ様とスティルバイト様のことを調べに!?」
こらこら(笑)
本気で、驚いているゼロス。
「はっ・・ごほごほごほ・・・・」
そして、言ってしまったことに気づいて。
あわてて言いつくろう。
「・・でなかった、リナさんとガウリイさんのこと・・ですか?
まあ・・・・確かに。ここに戻ってきてはいますが・・・・・。おふたかたとも・・・・」
冷や汗を流しつつ、ゼロスがいう。
「ええ!!リナさんとガウリイさんがいるんですか!?」
アメリアが、それに反応し。
「・・まて、ゼロス、何で、リナを様づけでよんでいる?・・・・スティル・・バイト・・・って・・誰のことだ?」
ゼルガディスは、確信をついている。
「あれ?だれがそんなことをいいました?」
あさってを向いて、とぼけているゼロス。
あいかわらず、にこにことしているが。
だらだらた大量に汗が流れ落ちている。
こういったところまで、完全に人間と同じく実体化しているのである。
面白いけど。
「でも・・・・・。会わないほうが・・いいと思いますよ・・。・・・・ショックが・・・あるでしょうし・・・。」
ぽりぽり。
頬をかきつつ、ゼロスがいう。
「・・・どういうことだ?」
リナ達の身に、何かあったのか!?
アメリアとゼルガディスから、血の毛が引いてゆく。
「ガウリイさんは・・まあ、ガウリイさんなんですけど・・・・・。(覚醒してますが)リナさんが・・・・・。」
『リナ(さん)に何かあったのか!?(あったんですか!?)』
同時にいうゼルガディスとアメリア。
「あった・・というのか・・・どういうのか・・・・・。ちょっと・・衰退・・してまして・・・。」
言葉を濁すゼロス。
「・・・・何があったんだ?ストリッジ・シティで、リナ達に最後にあって・・・・。
あわてて、探しあてても・・・・。見つけたのは、リナが身に着けていた・・肩当・・とかだったんだが・・。」
「あれ?ゼルガディスさんは、ご存知だったんですか?あの、キルさんの出来事を?
まあ・・・あれが原因・・というのでしょうかねぇ・・・・・・。リナさん・・・・。」
そこまでいって。
「まあ・・・会えば・・わかりますよ。でも・・・・今のリナさんは・・・・間違いなく。お二人のこと・・・覚えてませんよ?
それでもいいんでしたら・・・案内は・・しますけど?」
あえて、リナが、赤ん坊になっている。
ということは言わないゼロス。
まさか!?
あの、キルに何かされて、リナの身に何かあったのか!?
だとすると・・・・。
ガウリイに俺・・殺されるのか!?
ゼルガディスの脳裏に、あのときのリナの様子が浮かんでくる。
「・・・記憶喪失・・か、何か・・ですか?」
アメリアとの問いに。
「はぁ・・・・。そんなに簡単なものだったら、僕らも・・・・いいんですがねぇ・・・・」
盛大にため息つくゼロスに。
「まて。ゼロス。何で、魔族のお前が、それを知っている?というか、どうして、ここにいるのか、まだ、聞いてないんだが?」
殺気をとばしつつ、ゼルガディスがいう。
「まあまあ、落ち着いてください。ゼルガディスさん。はっきりいって。僕らは。リナさ・・とと、リナさんには、二度と、手出しはしませんよ。
・・・そんな恐ろしいこと・・・・。」
最後の言葉が、ひっかかるゼルガディス。
アメリアには、聞こえてないが。
「じゃあ、何で、ゼロスさんが、リナさん達の側にいるんですか?知っているってことは、そうでしょう?」
アメリアが、ゼルガディスの代わりにゼロスに聞いている。
「まあ、魔族の中で・・動いてもさしつかえのないのが・・・。・・・・僕ですから・・・・。どうせ、僕は、パシリ魔族ですから・・・。」
自分で、認めてどうするの♡
いじいじというゼロスの言葉に。
「だから・・どういうことだ?」
いらいらと聞いているゼルガディス。
そうですね・・。
真実は、いえませんが・・・・。
そんな彼らの様子をみて、少し考え。
「いやぁ、リナさんのお姉さんの・・・ルナさん。ルナ=インバースさんなんですけどね。」
「リナさんのお姉さん?リナさんの恐れる?」
「リナまたの、リナの故郷の姉ちゃん?」
二人が、顔を見合わせる。
「はい。実は、そのルナさんは・・・。
実は、赤の竜神の騎士(スフィードナイト)だったりするんですよ。これがまた。はっはっはっはっ!!!」
本当は、スィーフィード本人なんですけど・・・。
言葉の裏に、それをふくみつつ。
べしゃ!!!
アメリアとゼルガディスは、おもいっきり、地面に倒れて、キスをした。
「魔王様と、実力が同等の、スィーフィードを敵に回すなんて、馬鹿な真似はできませんし♡
それに、ここ、ゼフィーリアは、魔族、神族の、停戦地帯。ですし♡」
嘘でもないが、完全なる真実もいってないゼロス。
『あ゛・・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?』
ゼロスの、爆弾発言に。
ただ、アメリアとゼルガディスは、頭を抱えていたり。
それはそうだろう。
リナの姉が、噂にきく、伝説の、赤の竜神の騎士。
まさか、そうだとは、夢にも思ってなかったのだから。
だが。
リナが、あれほど怖れていたのが、これで、ようやく納得がいっているアメリアとゼルガディス。
ふと。
「停戦・・地帯?」
アメリアが、今のゼロスの言葉の一部分を気にかける。
「ええ。ここ、ゼフィーリアは、神魔戦争の最中に創り出された王国なんですよ。
魔族も、神族も、ここでは、戦いは・・ご法度。まあ、一種の、避暑地・・みたいなものなんですよ。ここは。」
真実に限りなく近いようで、それでいて、真実でない。
ゼロスお得意の説明。
「・・・何で、そんなものがあるんだ?」
もっともな意見のゼルガディス。
ゼロスの言葉をそのまま、鵜呑みにするわけにもいかずに。
「何で・・というか・・・・。あの御方の・・・気まぐれで・・・。」
そういうしか説明のしようがないゼロス。
『・・・・あの御方?』
当然、ゼルガディスとアメリアは、首をかしげる。
「ええ。ゼルガディスさんも、アメリアさんもそして・・・シルフィールさんも、ガウリイさんも・・・。
(まあ、ガウリイさんは、当然ですが・・)お会いしたでしょぅ?冥王様の一件とき、サイラーグで♡」
ゼロスの言葉に。
あのときの、出来事が二人の頭にうかぶ。
すぅぅぅ・・・・。
血の気がひいてゆく二人。
『ママママママままままままままさか・・・・・。』
まさか、この国は・・あれに関りが!?
真実は、かなり知らないが、それでも、
『我が力こそ、我が意思、混じることなき純粋なる力』
その言葉が、思考を埋め尽くす。
「ですから、下手な詮索は・・・無用に願いますね・・・。下手すると、簡単に、この世界・・消滅しちゃいますし♡」
うまく、はぐらかしているゼロス。
顔色がわるい二人。
「ま、ともかく、リナさん達に会いたいのでしたら・・・・・・。僕、これから、採集した、薬草を持って戻るので・・・。ご案内・・しますよ。
でも・・・リナさんは、かつてのリナさんじゃ・・ないですからね。覚悟しといてくださいね。」
ゼロスの言葉に。
「・・・・リナさんに・・・何があったんですか・・・?」
声をかすれさせて聞き返すアメリア。
「まあ、命には、関係ないですよ。ただ・・・・・・。ちょっと、時間が退行しているだけで。」
これもまた、嘘でもないが、真実でもない言葉。
「ま、いきましょう。」
無言のまま、進み始めたゼロスについて歩き、アメリアが質問している。
「・・・・衰退?」
これには、ちょっと、疑問がのこった、ゼルガディス。
「ええ。ちょっと・・リナさんの・・精神が問題だったのか・・・・・。
まあ、ガウリイさん絡みなんですけどね・・・・・・。今、リナさん、キルさんの、事件の影響で・・・・・」
そこで、言葉をとぎらせるゼロス。
「リナさんに一体何が!?」
「リナに何があったというんだ!?」
悲鳴に近い、アメリアとゼルガディスの言葉。
ぴたり。
「それは・・・・ご自分たちで・・確認してください♡」
いつもの通りの、ゼロスの言葉に。
ただ、顔色を悪くするよりすべのない、アメリアとゼルガディス。
てくてくてく・・・。
重い空気が立ち込める。
その一瞬の時間なのに、永遠の時間のように、二人は感じる。
はてしなく、浮かびたくない、事柄ばかり、脳裏にうかび。
やがて、
周りの様子も目に入らないまま。
二人は。
リナの実家がやっている。
インバース商会にやってきていた。
あぜん。
おもわず、その店・・をみて、口をあんぐりとあけているアメリアとゼルガディス。
看板には、インバース商会。
と、書かれているから。
ここが、リナの実家の商売の店であるというのは・・わかる。
分かるのだが・・・・・。
『・・・・ここまで、大規模!?』
二人が、思わず口にする。
二人の前には。
ちょっとした、領主の館より、ふた周りくらいおおきな店である建物が、聳え立っていた。
からん。
店から、誰かがでてくる。
光に、金色の髪が反射する。
背中に・・何かを負ぶっている・・・・男性が。
『ガウリイ!(さん!)!!!!???』
同時に叫ぶ。
「あれ?アメリアにゼルガディスじゃないか。・・・・どうしたんだ?」
・・??
何か、ガウリイさん・・雰囲気が??
ガウリイの雰囲気が、今までとは違うことを感じ取っているアメリア。
ゼルガディスは、この雰囲気に近いガウリイを一度。
出会っているから、知ってはいるが。
「だぁぁぁぁ!!」
「ああ、はいはい、散歩・・いこうな、リナ♡」
『リナ(さん)!!?』
ガウリイが、背中に負ぶっている何かに語りかけている。
そして・・・・・・・・・・。
アメリアとゼルガディスの目に飛び込んできたのは・・・・・・。
「・・・・・リナ・・・・・・・・・さ・・・・ん??」
「・・・・り・・・・・・・・・な・・・?」
ガウリイの背中に、おんぶされている。
赤ん坊となっているリナの姿。
見覚えのある、栗色の髪。
そして・・・紅の瞳。
面影も・・・リナ、そのもの。
一瞬、リナの子供かと思う、ゼルガディス。
雰囲気で・・信じたくないが・・分かってしまった・・アメリア。
しぃぃぃぃん・・・・・・・・・・。
「・・・・がうりい・・・さん・・・リナ・・さん・・・は・・・・。」
何が起っているのか、理解不能。
ぽりぽり。
頬をかいて。
「まあ・・・そうだな。今から・・リナの散歩にでるから・・・・。道筋にでも・・話そうか・・・」
ガウリイが、いつもの動作で、アメリア達に語りかける。
「・・・っ!!そうじゃないです!!!リナさん、何で、赤ん坊になってるんですかぁぁぁあ!!!!!!」
アメリアの絶叫が。
澄んだ空気にこだました。
「・・・・おまえら・・の・・子供・・・・っていうわけじゃ・・・・。・・・・ないよな?」
そうであってほしいと願うゼルガディス。
「ああ、これがリナだ。」
きゃっきゃっきゃ。
ガウリイの背中で、抱っこされて、喜んでるリナ。
小さなもみじの手。
今、リナの姿は・・・・
人でいうと・・六ヶ月くらいに、成長していた。
「どうぞ。」
目の前に差し出されるお茶と、お茶菓子。
その目の前では、ガウリイが、リナをあやしている。
これが、リナと、ガウリイの子供なら、何ら、問題ない、風景なのだが。
いかんせん。
その赤ん坊が、リナ本人だというのだから・・・・
ぐるぐるぐる・・・・
頭が混乱し、ごっちゃになり、何が何だかわからない。
「あ・・・あの?一体・・・何が???」
アメリアが、意を決して、話しかける。
リナの母と紹介された、セシルに。
「そうなんですよ。ちょっとした、すれ違いで・・・。
リナってば、ガウリイさんの、気持ちが分からずに・・・。心を閉じてしまったんですよ。まあ、その結果が・・これですね。」
ふっ。
と、悲しそうな瞳をするセシル。
「まあ、俺は、リナが、元に戻るまで・・・・。ずっと・・リナの側にいる・・と、決めているがな・・・・」
ガウリイが、静かに、リナを抱きしめながら誰にいうともなく言っている。
「・・・・こころ・・・を?」
ゼルガディスが聞き返す。
その間にも、ゼロスが、小間使いのように、走り回っていたりする。
「そう。リナは、ガウリイの心が分からずに。・・・あれほどプロポーズ・・されてたのに(汗)
そして、ガウリイが、お家騒動をリナに隠した。それが、リナにより不安を与えた。」
ばりん。
せんべいをかじっている、紫ががった、蒼い髪の女性。
リナの姉と表面上はなっている、ルナ。
ルナ=インバース。
「ゼルガディス、あんたから、リナが、真実を聞いて。リナがとった行動。それは、ガウリイのために、キルを始末する。
そうだったんだけど・・・・・。まんまと、あいつの罠にはまってしまった・・・。」
ぴくっ。
ゼルガディスの身体が震える。
あのとき。
― 決着は・・自分でつける。 ―
リナの顔が、今でもちらつく。
よかれ。
と、思って、リナに教えた。
がたん!!
「まさか、あいつの魔の手に・・・!!!!?」
ゼルガディスが、悲鳴を上げる。
「まっさか。その前に、リナは、撃退したわよ。
・・・・・マンドラゴラの、数億倍の濃縮した毒を・・・・。・・・・受けたけど・・・ね。」
『・・・・・・・・・・・・っ!!!!!!!!!!!』
二人が、言葉を失う。
マンドラゴラ。
それは、少量では、薬になるが。
この毒を受けたら。
普通の治療の方法では・・まず助からない。
そういわれている・・・猛毒。
リザレクションでも無理なのだ。
死してもなお、その身体を蝕む。
とさえ、言われている。
「リナは、不死の契約を交わしていた、キルを倒すために・・・。ラグナブレードを使った・・・。純潔を・・守るために・・・・」
静かに、ガウリイがいう。
薬で、身動きがとれなかったリナ。
それを犯そうとしていたキル。
それをリナは、撃退した。
キルの、ほんの一瞬の、隙をついて。
「つまり・・・・自分のうえに乗って来ている・・・・・。キルごと・・・自分を貫いた・・・のよ・・・。」
ルナの声が震える。
「・・・な゛!?」
つまりは、そういうことなのだ。
リナは、キルに、やはり、やられそうになった。
それでも、精神力で、キルごと・・自分を貫いた。
とすると・・・あの・・一人分ほどの・・黒い空間は・・・。
ゼルガディスに、ストリッジ・シティの町外れの草原にぽっかりと、人、一人分、できている、虚無の空間が、頭をよぎる。
しぱらく、言葉を失う、ゼルガディス。
「??・・でも・・どうして、リナさんが・・赤ん坊・・に?死ぬ・・とかでなく?」
アメリアが首をかしげる。
「ああ。リナは・・・・・。そういう、制約なのよ。人では・・・・ないから・・・・リナ・・・・は・・・・・。」
ふと、視線を落とすルナ。
「・・・??」
首をかしげるアメリア。
「いい、ルナ、俺が話す・・・。」
ガウリイが、寝たリナをそっと抱きかかえ、ベットに寝かしつけてから、また、戻ってくる。
『ガウリイ様!!!!?(ガウリイ!!?』
セシル、マルス、ルナ、そして、ゼロスが、同時に叫ぶ。
説明・・するのか・・と。
「・・・・落ち着いて・・・聞いてくれる・・か?二人とも・・・・。」
静かに、それでいて、燐とした声。
こんな、ガウリイの様子は・・アメリアとゼルガディスは・・・。
はっきりいって、みたことなかった。
どこか、近寄りがたい・・雰囲気を持っているガウリイ。
かたん。
ルナが、コップを置く。
「いいわ、私が先に話す。まず、私は・・・ルナ。ルナ=スィーフィード。
伝説では、滅んだ・・とされている。赤の竜神(フレアドラゴン)ルナ=スィーフィード。
リナを・・リナ様を隠す目的で・・・。姿を隠していた存在。」
・・・・・・・・・・。
『・・・・・・・・・・・・・・・はい?』
ゼルガディスと、アメリアは。
一瞬、何を言っているのか・・理解できなかった。
かたん。
誰かが、ここの部屋に入ってくる。
黒い髪の男性が。
「・・・・レイス・・か。」
ガウリイが静かに、そちらをみていう。
「まあな。ルナが説明するなら・・・・。こちらもせねばなるまい。」
ルナの隣に座る、男性。
「まず、始めまして・・というべきか。といっても、ゼルガディス。
ゼルガディス=グレイワーズ。貴殿とは、我が分身でもある、一部が、関りがあったから・・・・。
始めまして・・というわけでもないが・・な。」
ゼルガディスの方を向いていう男性。
格好は、魔道士といった、格好をしていて。
それでいて・・・。
どこか、冷たいまでのその雰囲気。
ふと、アメリアが横をみれば。
ゼロスが、そのまま固まっていたりする。
・・・・いったい?
アメリアが首をかしげるより早く。
「まず、自己紹介をしておこう。我は、レイス。
汝らが呼んでいる・・・・北の魔王と呼んでいる存在。赤瞳の魔王(ルビーアイ)レイス=シャブラニグドゥ。」
『・・・・・・・な゛っ!!!?』
真紅の瞳が、それが真実だと物語っている。
言葉がでない、アメリアとゼルガディス。
当然だろうけど。
「今は、瘴気は・・抑えているがな。まあ、ここでの、表面上は、七つに分断されて、封印されている・・ということになってるが・・な。」
「実際は・・・私もレイスも、滅んでもいないし、封印もしていない。それに近いことはしているけど・・。」
言葉を濁しているルナ。
「我は、確かに、七つに分断した。だが・・・。それは、あくまで、分身として・・だ。
本体は、我だ。そして、神魔戦争、最終で、気づかれないように、人の中に、我はもぐりこんだ。
この場所がらみの用件・・でな。我らの母の御心の許に・・・」
「私は、滅んだ。と、表面上をみせかけたのは・・・・・。
あの御方から、あずかりし・・・とある存在を・・・。守るため。
あ、水竜王と、天竜王は、それを知ってるけどね。私が滅んでないというのは。」
「・・まあ、火竜王には・・・いったら、面倒なことになるだろうしな・・。」
ルナの言葉に、ガウリイがつぶやく。
何しろ。
権力をわがものにしようと画策していた火竜王に、リナのことをおしえたら・・どうなるか・・・
目にみえて、結果はわかっている。
それでなくても。
うすうす感づいたかれは、反逆者と、手を結ぶ。
など、とんでもない行動に出ていたのだから。
ただ、無言のまま、目をまるくして、ルナ達をみているゼルガディスとアメリア。
いきなり、こんな告白をされても、信じられるわけがない。
「で、約千年前の降魔戦争、火竜王の馬鹿によって、あれが、起ったとき、この区域に、私とレイスとで、話し合って、結界を張ったの。
まあ、人の中に、ちょっと、面倒な存在がまじりこんで・・・・。・・・・ああいう結果になったけど・・・・。」
あえて、この世界に背くものがいる。
というのは、言わないルナ。
「あれは、一般には、冥王が起こした。とされているがな。フィブは、それを最小限に食い止めたにすぎない。
フィブリゾに命じて、輪廻が見えない、存在を、片っ端から、見つけ出させて、
この世界に入り込んでいる、問題ある存在を排除しただけだから。」
「・・・・まあ、リナを狙って・・・・。金色の王に反逆して・・背いている存在が・・・・。入り込んでたからな。あのときは・・・。」
ガウリイが、静かにいう。
『・・・・ガウリイ・・・・・(さ・・・ん)?』
話について来ているガウリイ。
というか、ガウリイもこのことを知っている!?
アメリアとゼルガディスは、混乱する。
金色の王に・・反逆っ・・・・て・・・・(汗)
そう思う、彼らの耳に。
次にとびこんできたのは。
はっきりいって。
かなりの爆弾発言に他ならなかった。
「リナは・・・・・・・・・・。・・・・・金色の王に代わる・・・・。時期・・・ここの・・金色の王・・・・・。
つまりは・・・・・悪夢を統べる存在(ロードオブナイトメア)の、一人娘。というわけだ。
まあ、リナが、誕生して・・そういう風に、エル様が創り出してから・・まだ、5千年と少し・・だが・・な。」
ガウリイが、静かに。
それでいて。
はっきりと言い切った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・
・・・シィィィィィィィィィィィィンン・・・・・・・。
アメリアと、ゼルガディスは、今のガウリイの言葉を、理解するのに。
しばらく、時が・・止まった。
そんなアメリア達を傍目にみつつ。
「まあ、リナは、そのことを封印されている。完全に人として、精神の修行を行っているんだから。俺は・・・そんなリナを守るために・・・。
・・・・自ら望んで、俺も記憶と力を封印されても・・・・。リナのそばにいることを・・・望んだ。エル様に。無理いって。」
「・・・・が・・う・・・・り・・・・ぃ?」
言葉がかすれる。
話の流れからすると・・・・。
エル・・様・・・というのは・・・・。
おそらく・・・・・。
可能性は・・一つしかなかった。
だが、怖くても、聞くしか、方法はなかった。
「ガウリイと・・・スティルバイトと、リナ様は、暗黙の公認の仲の、恋人同士だったのよ。
まあ、エル様は、認めてなかったけどね。私達のような、神や、魔王、そして上層部の中では、はっきりいって、有名だったけどね。」
ルナの言葉に。
「だが、リナ様は、それを恋愛感情だとは・・・はっきりいって、まったくといっていいほど、気づいておられなかったがな。」
苦笑するレイス。
いや・・あの・・・・。
確か、この人・って・・魔王・・っていってましたよね?
魔王と神が、こんなに仲がいいのは、どうしてなんでしょうか?
アメリアがふと、疑問に思う。
リナがここにいるために。
協力している、この世界の神と魔王。
「・・・・ガウリイ?お前・・いったい?」
ゼルガディスが、かすれつつも、ガウリイに問う。
「ああ。俺か?俺は・・確かに、今は、ガウリイ=ガブリエフ。ただの人間だ。」
嘘つけ。
思わず内心つっこむ、ルナとレイスとゼルガディス。
「だが・・・本質は・・・ルナ達と一緒だ。こことは、異なるそうだな。ゼル達には、異世界。といったほうがわかりやすいか?
四界の世界でもない、また別の世界。そこを任されている。碧玉の王(スティファランス)カウェリイ=スティルバイト。
ルナ達とは違い、神と魔の王を務めている。」
ノックアウト。
ゼルガディスと、アメリアは。
完全に、目の前が真っ暗になった・・・・・・。
-続くー
HOME TOP BACK NEXT
####################################
まえがき:
こんにちわ♪
せっかくのお休みなのに、小説打ち込まないで、サイトめぐりしている薫です!!!(爆!)
ははははは(から笑・・・・。)
―あんたはぁ・・・・。
ぎくっ!!!
それでは!!いくのです!!希望シリーズ完結偏♪
過去からの希望、第二部!!(一部、過去からの希望)
といっても、たぶん、おまけとして、ちびちびと、 過去話を打ち込むことがあるかも・・・・(笑)
それでは♪
エル:・・・しかも、とうとう前がきだけで終わってるし・・(怒り)
薫:あ゛あ゛!!!(今日・11日も小説めぐりを・・汗)
###################################
あとがき:
薫:さてさて♪一体、何話になるのかな♪(かなりまて!)
姫:クライマックス部分で、7話でしょ?
薫:・・・・はい(汗)
姫:まあ、その前に、リナとガウリイのほのぼの(ガウリイにとっては苦痛!?)
の話があるんでしょうけど♪
薫:まあ、リナは、全然、自分を思い出してもいないし・・・・。
子供としては、なついてますがねぇ・・・(汗)
ま、夢は、願望を表す。というか、リナ、昔の出来事を夢で、見てますけどね・・・。
起きたら、覚えてないけど(汗)
ま、頑張りますのです♪
あ、それと、Lilyさん、参考になる、歌、ありがとうなのです!!
ふふふふふふふ♪ガウリイの心情を語ってますね♪あの歌は♡
ボーナスでたら(出るのか!?無理だって!!)
CD購入するのです♪
林原めぐみさんの新しいアルバムその中の一曲 「シンシア・愛する人」という曲。
ふふふふふふふふふ♡
わざわざ歌詞まで♪(参考に、過去話・・考えます♪)
『 うるわしのシンシア 僕の話を 笑わないで 今は聞いて 返事はいいから
世界中がもし 揺らいだとしても 君のために それは僕のため 必ず守るよ
君になにひとつも 心配がないように 祈ってる 邪魔するもの それにやられないように
君は汚れないで 陽だまりの道を行け まっすぐに こうと決めたら迷ってはだめだよ
よろこびかなしみ ときどき話して 輝く朝 雨の夜も 嵐もあるだろう
君がどんなことも 怖れずに行くように 願ってる あやまちさえ 無駄ではないからね
君がやさしくても 力強くあるように まっすぐに 顔を上げて 君の道を行け
人は誰もそうだよ 愛する人を どこまでも守りぬきたい その笑顔がなによりの幸せだから 』
いただいたとき、なんて、ガウリイ&リナなの!!♡
と、舞い上がってた私です(笑)
シンシアをリナに変えたら・・そのままやん(爆!)
姫:確かにね♪
薫:・・・すみれちゃん?(汗)
何、含み笑いをして・・・(汗)
姫:あら♪今日、貴女、何時間、サイトめぐりで、小説打ち込んでない?
薫:ぎ・・ぎゃぁぁ!!!逃げるのです!!!!それでは!!!!
姫:あ、待ちなさい!!!!!
ア゛ア゛あ゛あ゛あ゛・・・・・・・・。
ただ、悲鳴が吹き抜けてゆく・・・・・・。
そういや・・・・・。
リロードとガウリイの話・・・いいかげんに打ち込まないとなぁ・・・・・。(こらこら!!)
では・・・・・・・・。
HOME TOP BACK NEXT