まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
ちなみに、前回のナーガの術。
浄化炎か浄化結界かどちらか悩んだ挙句に無難な浄化炎にv
いや、浄化結界だと一日一回、という使用制限があったので(笑
ちなみに、ノートのほうは浄化結界でかいてました(こらこら
それに、レゾが使ってますしね。ブレスの方は村人たちに対して(まて
なのでかぶりを懸念してひとまず炎のほうに~
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リトル・スレイヤーズ ~赤眼の魔王・シャブラニグドゥ~
・・・・・・・・・あたしは生まれて初めてそれをみた。
おそらくこの場にいる誰もがそうだろう。
それぞれが息をのむ音が聞こえてくる。
目の前でひとが異質のものへと変化してゆく。
ひらいたレゾの瞳に封じられしもの…それは、紅玉のような血のような色をした一対の瞳。
ごとり、とレゾの頬の肉がそげおちる。
腐った匂いと瘴気とで息をするのもやっと。
「何!?」
誰かの叫び声。
声が男のものであるからして、この場にいるゼルガディスか、ガウリイ。
もしくはゼルガディスの仲間らしき二人のうちの誰かの声だろう。
ごそっと次には額の肉もそげおちる。
…ここにいたり、あたしは嫌々ながら確信してしまう。
レゾの中に封じられていたソレの存在を。
今やレゾの顔は目の部分に紅玉をはめ込んだ白い石の仮面と化している。
そして全身を覆うローブも又、硬質の紅い何かにかわりゆいている。
「「・・・まさか・・・そんな……」」
ゼルガディスとシルフィールの呻きはほぼ同時。
おそらく二人は気づいたのだろう。
赤眼の魔王・シャブラニグドゥがこの地に再び再臨したことを。
「こ…これは、本格的にまずくない?」
さすがのナーガもこの状況に危機感を抱いたらしい。
周囲に立ちこめている瘴気はさらに濃さをましている。
「…逃げろ」
ゼルガディスが固い声で部下たちらしき人物に命じているが、
「いえ。おともいたします」
中年風のたしか、ロディ何とかいっていた剣士がそんなことをいっているが。
はっきりいって普通の剣士や魔導師では太刀打ちできる相手ではない。
「じゃ、お言葉に甘えて…」
「あんたはにげるんじゃないっ!!」
どさくさにまぎれてソンザラしようとしたナーガのマントをひっつかむ。
こいつはぁっ!
一人だけ楽をさせてたまるかっ!
ちなみに、あたしもまた瘴気の風におされてか、ナーガたちやゼルガディス達とおなじ位置にとたっている。
ふとみれば、ガウリイのうしろにちょこんとエルちゃんの姿が垣間見える。
・・・よく平気だなぁ。
あんな小さい子が、こんな濃い瘴気の渦の中で……
「い、いやねぇ。リナちゃん。私、逃げようとなんてしてないわよ。ただちょっとお花畑に……」
「見苦しい言い訳すなぁっ!」
こんなやつでもこのナーガ。
なぜか白魔法や精霊魔法の使い手なのだ。
その暴走率はともかくとして。
今は藁をもつかみ、猫の手もかりたい状況なのだから逃がしてたまるかっ!
『このレゾという男。みごとに我の役にたってくれたな』
そういうレゾの声はもはやレゾのものではなく別のもの。
「あんた…レゾを内側から操っていたのね?」
むせかえるほどの瘴気が渦巻いている。
空も暗雲に覆われ、周囲の木々もあっという間に立ち枯れる。
『ヤツの弱き心が我が声にこたえたまでのこと。ひととはおろかなものでその欲によりその身を滅す。
…愚かな人間よ。すべては我の仕組んだこととはしらず、
本気で今ある世界が滅べば新しい世界が訪れる、と信じてな』
かつてレゾであったそれが口を開く。
その口調すべてがもはやレゾのものではない。
「・・・では。レゾが治療した人々がその翌日、盗賊に村ごと責め殺されたり。
病を治した村に領主が無理難題をおしつけて村人たちが死をえらばざるを得ない状況にしたり・・・
…すべて、すべてキサマがレゾの心をくじけさせるためにやったのか!?」
・・・んなこともあったんかいっ!
そりゃ、レゾがひねくれるのもわからなくもない。
ないが……
ゼルガディスの声におもわずゼルガディスと、かつてレゾであったものを見比べてしまう。
『人、とはおろかなものよ。我が力をうけて欲深いものはその欲を強くしたにすぎん。
……さて、おしゃべりはここまでにしておこう。汝らには選択の余地を与えよう。
選ばせてやろう。好きな道を』
そういう姿はもはやレゾにあらず。
ゆっくりとその姿は巨大化しており、レゾであったものを核としてそこに巨大な何か、が出現している。
『この我に再び生を与える手助けをしたそのささやかな礼として。
この我に従うのならば天寿を全うすることもできよう。
しかしもしもそれがどうしてもイヤだというのであれば仕方がない。
水竜王に動きを封じられた北の魔王、もう一人の我を解き放つ前に相手をしてやろう。選ぶがよい。好きな道を』
とんでもないことをいいだすし。
こいつは。
北の魔王を解き放つ。
それはとりもなおさずに世界を再び破滅に導く、といっているのと同意碁。
今、この地には魔王の腹心達により結界が張られ他の竜王達の手助けは期待できない。
そして、【魔族】そのものの存在を否定しているお偉方は対策をとっているはずもない。
よくて戦力になりそうなのはうちの姉ちゃんとゼフィーリアの女王様くらいだとあたしはふんでいる。
世界の破滅。
それはすなわち、生きているものたちすべてに死を宣告しているに他ならない。
同じ死ぬなら綺麗に思い残すことなく死にたい。
そう思うのはひとに限らず、ほとんどの命ある生物ならばそうだろう。
かつての本体ともいえる【魔王】の力より、七分の一に削がれてはいるが腐っても魔王。
その力はおそらく生半可なものではない。
人、でしかない器のあたし達には抗えない。
…普通は、そうおもう。
しかし人間、あきらめたらそこで最後。
「何をたわけたことを!!」
きちんと事態を理解しているのかいないのか。
たしか元ミイラ男が声を張り上げる。
いつのまにか包帯はとりはらっているようである。
まあ、魔導師なんだからけがくらい自力でなおせなきゃ嘘だしね……
「おごるな!お前が時間の裏側に封印されていた間。人間も進歩している!
旧時代の魔王などこのゾルフが片づけてくれるっ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・り、理解してないいぃっっ!!
おもわず頭をかかえてしまうあたしは間違っていない。
絶対に。
ゾルフはそう言い放ち、たかだかと両手を振り上げ、
「黄昏よりも暗きもの 血の流れよりも紅きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝のなにおいて」
いきなり呪文詠唱をはじめていたりする。
って、この術は!?
竜破斬!?
あんな三流魔道士でしかない、とおもっていたミイラ男がドラスレを使えるとは!
それで、前、理論を理解してないけど使えるとか何とかいってたのか。
ゼルガディスは。
ようやく一つの謎がとけた感じが否めない。
しかし……
「ムダよっ!!」
「やめなさい!ムダよ!」
「ムダですっ!」
ナーガとあたし、シルフィールの三つの声がきっちし重なる。
しかし、あたしたちの叫びなんかまったくききはしない。
『…ほぅ』
魔王はあたし達の声をきき、面白そうな感心したような声をだす。
「よせっ!」
ゼルガディスが制止の声をかけるが、時すでにおそし。
「竜破斬!!」
してやったり、という表情の元ミイラ男。
今はもう包帯を巻いてはいないけどミイラ男で十分である。
本来ならば大爆発が起こるこの術。
が、まったくその気配は皆無。
当然といえば当然なんだけど。
「な…何!?」
驚愕したようなミイラ男の声。
ほんっきで理解してないんだ…魔法論理…こいつって……
魔王の手の中にそのままにぎられている紅き球。
『愚かな。我が力で我を滅しようとは。所詮は人間。考えがないな。…これはかえすぞ』
「にげろ!ゾルフ!」
魔王の声をきき顔色を変えてもう一人の男が本能的に叫ぶ。
魔術を使用しないっぽい剣士ですら本能的に気づいたっぽいのに、
しかけた当の当人はその場にたちつくしたまままで理解ができない、という表情でたっている。
「・・・ちっ!何でもいいからはやく!」
剣士はしたうちし、ミイラ男…ゾルフ、と呼んだ彼のほうにむかってかけだし、
そのままがっと手をつかんでその場から駈け出してそこから離脱しようとする。
が。
ごうっ!!
その瞬間。
炎の塊が二人を飲み込み、二人の姿は炎の中に塵となりつつきえてゆく。
「きゃぁっ!!」
シルフィールの悲鳴がこだまする。
「ロディマス!ゾルフ!!」
ゼルガディスが叫ぶ。
――違う……
炎の音にまぎれて誰かの声がしたような…気のせいか?
『愚かな。力のなんたるかわからぬ愚か者をかばうとは。
愚かな虫けらとおまえたちも同じ道をたどるか?答えをきこう』
魔王の感情のこもっていない、淡々とした問いかけ。
むしけら…ですって?
おもわずそのことばにぴくりと反応してしまう。
そりゃ、たしかにあのミイラ男はあきれるくらいバカだとはおもっていた。
剣士のほうはよくしらないけど、しかし身を挺して仲間をかばおうとした。
しかしその行為をおろかだなんていってほしくないし、断じていわせない。
「おあいにくさま。あたしは誰の手先にも配下にもなるつもりはないわ。レゾ=シャブラニグドゥ」
ぴくり。
魔王の体が小さく震える。
みのがしてしまいそうなほどにものすごく微弱に。
「わたくしもいいなりになんてなりません!サイラーグの町とお父様のためにも!
わたくしはあなたを止める責任があります!」
震えつつも何とか足をふんばりそういうシルフィールの顔色は真白。
どうやら青を通り越して完全な顔面蒼白となり果てている。
『ほう。自ら死を選ぶか。やはりひととはおろかだな』
完全に馬鹿にしたような魔王の声。
「だ~れがしぬつもりっていったかしら?死ぬつもりで戦うなんてそれこそ馬鹿げてるわよ。
意地や使命感で戦っても意味がないわ。そんなんで死んだら終わりだしね。
でも、戦うからには絶対に勝つわよ!あたしは!
あんたのことだからどうせ『負けるとわかっているけど戦いを挑んで絶望感の中でしぬ』
その時の負の心を喰らうつもらでしょうけど、そうはいかないわよっ!
だ~れが、あんたたち魔族の餌にすきこのんでなるものですかっ!」
魔族の望みは滅び。
そしてまた、彼らがその力の糧とするものは負の心。
つまりは畏れや不安、絶望と恐怖。
それらすべては魔族の糧となり更にヤツラに力をつけさせてしまう。
「あんたたちも!い~い!?たとえ勝てる確率が一%だとしても!
負けるとわかっているけど戦うなんてそんな後むきの根性と姿勢で戦えばその一%もゼロになるのよ!
弱気は逆に相手にスキをみせるようなものよ!」
どうせゼルガディスは今、魔王の攻撃で死んでしまった二人に申し訳ないとかで死ぬ気で戦おうとしているんだろうし。
ガウリイのほうは…よくわかんない。
シルフィールは責任感から命をかけても無駄だとおもっているが何とかしよう、というのがみえみえ。
ナーガは…どうなんだろ?
「ふっ。たしかに。魔族はすべてのいきとしいける者たちに死と恐怖と絶望をもたらしふりまくものたち。
リナの言うとおり、私も負ける気なんかこれっぽっちもないけどね!お~ほっほっほっ!」
高笑いをしつつもそういうナーガの額にはしっかりと脂汗とも冷や汗ともいえないものがうかんでいる。
…つまりは、見栄でいってるわけか。
「・・・なあ、リナ?」
「何よ?」
そんな中、なぜかガウリイがあたしに何かをきいてくる。
「何であいつにさっき術がつうじなかったんだ?」
・・・・・・・・・・・・・
ごけっ。
おもわずおもいっきりガウリイの質問にこけそうになってしまう。
こ…こいつはぁぁ…状況を理解しているのか!?
「あのねぇ。そもそも、相手はその本体を精神世界にその身をおいているの。わかる?」
「?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
だああっ!
「魔王!ちょっとこの大ボケ男に状況を教えるから少し時間をもらえるかしら!
それとも何?この脳ミソスライムに説明するのを待つこともレゾ=シャブラニグドゥにはできないのかしら?
たかが人間なんかの説明時間にゆとりをもつほどの余裕もないっていうのなら別だけどね」
裏を返せば、人間が他人に説明する時間もまてないのならば魔王の力はその程度。
つまりは人間フゼイに警戒をしている、ということに他ならない。
『死にゆくものにはそれくらいのゆとりをあたえてもいいだろう。好きにしろ』
魔族って人間をかなり下にみているがゆえになりたつこの言い方。
逆に今、魔王がそれもまてない、というのであればつまりは人間なんかにそんな時間をもたす余裕すらない。
という形になる。
精神生命体である魔族にとってはそれは自分の力を否定することにもなり弱体化にもつながり、
下手をすれば自分の力を否定することでその存在そのものを否定したことになる。
『我とてトレーニングがてらに戦いをするのに汝たちにも全力でかかってきてほしいしな』
トレーニング、とくるか。
ともあれ、時間はかせげそうである。
そのままその場で目をつむり、何やら精神統一らしきものをしている魔王。
「…おまえ、よくアレを口先だけでいいくるめられるな」
何かどこか感心したようにあたしにいってくるゼルガディス。
とりあえずあたし達はガウリイに説明しがてら今後のことを話しあうためにひとまず一か所に固まり陣をつくる。
「魔族ってね。基本的にプライドの塊みたいな存在なのよ。
だからあえて名前でよんだのもあるけどね。まあ、それは神族にもいえるらしいんだけどね」
魔族や神族は基本は精神生命体に近い存在。
ゆえに変なところでプライドが高いらしい。
姉ちゃんいわく、人の身になってそれがよくわかるとか何とかいってたが。
「まあ、あいつらはね~……」
ぽそっと、何か思うところがあるのかエルちゃんがつぶやいてるけど。
って、そういえば。
「そえいえばエルちゃん、平気?」
「何が?」
「いや、何が…って……」
あたしたちですらけっこうきついのに、どうしてエルちゃんは平気な顔をしてるんだろう?
そういやこのエルちゃんって呪文つかえたっけ?
あ、でも使えてたらもともと山賊につかまってないか。
あ、でもあそこは魔力封じがなされてた場所だし…う~む。
今さら聞くのもなぁ~……
「それより。何でアレに呪文がきかないんだ?さっき放たれた技を手で捕まえてたし」
見えてたんかいっ!
その視えてたこと自体がすごいとおもうが。
「ガウリイ。あんた魔族のことどこまでしってる?」
とりあえずこいつに説明するのにはそこから教えなければいけなさそうである。
といっても、精神世界云々とこいつに説明してわかるだろうか?
…理解しないような気がする……
「ひとでないやつら、だろ?それにあの紅い奴の中に人と魔族がいたのはみんなしってたんだろ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
「は!?」
「おい。ちょっとまて。いたのを知ってた…ってどういうことだ!?」
おもわず目を丸くするあたしと、こちらもまた目を見開いて問いかけているゼルガディス。
「え?だってみたらわかるだろ?面白いな~、とはおもったけど。別に聞かれなかったし」
・・・・・・・・え~と……
「みたらわかる。って……」
またうちの姉ちゃんみたいなことをこいつはいってくるし……
「ガウリイ様。どうしてはじめにおっしゃってくれなかったのですか!?
ガウリイ様のいうことでしたら、わたくし…わたくし……」
いや、シルフィール。
悪いけど、ガウリイの言う言葉でもあんたは絶対に信じなかったとおもうよ?
「シルルも知ってて一緒にいたんじゃなかったのか?」
あ~……
「…あんた、名前くらいきちんといってやれよ……」
それはあたしも同感。
「お~ほっほっほっ!たしかにレゾの中から魔族の気配はしていなくもなかったけど。
てっきり周りにいるいくつかの魔族の気配と私はおもっていたわ!まあお宝の前なのできにならなかったけど」
「あ…あんたもきにしろぉぉっ!!」
ガウリイといい、ナーガといい…も、いや……
はっ!?
今はそんな話をしている場合ではないんだった。
魔王がいつまで待ってくれているかわからない以上、時間は無駄にはできない。
「と。とにかく。まあその人でない存在であることには間違いないわ。
そして、魔族は基本、この世界、つまり目にみえる世界とは別の世界に存在している。
そして、さっきミイラ男がはなった技。あれは竜破斬っていうんだけど。
あれは本元、魔王の力をかりて強制的にその力を引き出して破壊力とする術なのよ」
そういえば、ナーガたちが何かアレにしかけていたけど。
「そういえば。さっきアレにしかけた術、何しかけたの?ナーガ?」
「しれたことよ。瘴気が強くなったので崩霊裂しかけたんだけどムダだったわ」
「・・・げっ?!」
ちょっとまて!
「ちょっ!崩霊裂もムダだったわけ!?」
おもわず口調がつよくなってしまうのは仕方がない。
魔王にはいうまでもなく黒魔術系統の術は通用しない。
その理由はいたって簡単。
黒魔術、といわれている技のほとんどがその主たる力をすべているのが魔王当人であるがゆえ。
ならば対抗できるのは、白魔術か精霊魔術の二点のみ。
そして崩霊裂は白魔術の分野では精神の部類にはいり、最も最強ともいわれている術である。
「?だから何なんだ?」
・・・・・
つうか、この場で理解してないのはあんただけだとおもうぞ。
あたしは。
「崩霊裂。この世界においては聖令魔術中、最強と呼ばれている呪文。
精神面から相手を滅する技で人間の魔力容量程度でも簡単につかえる術の一つ」
「…あんた、こんな小さな子供に説明させてなさけなくない?」
あたし達にかわり、エルちゃんがガウリイに説明しているし。
そもそも、三歳児に物事をおそわるこいつっていったい……
エルちゃん、しかしかなり魔術関係の知識は豊富とみた。
「とりあえず、今。エルちゃんがいったとおり。
生き物に対しての攻撃力は黒魔術の竜破斬に匹敵すると言われている術。それが崩霊裂よ」
「ドラ何とかって何だ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
「だああっ!!さっき説明したばかりでしょぅがぁぁっ!!」
つうか、こいつの頭の中本当にからっぽなんじゃないの!?
「ガウリイ様。竜破斬は人間の使える黒魔術の中では最強のもの、といわれています。
最初にこれをおつくりになった賢者レイ=マグナス様が、
千六百歳のアークドラゴンを倒したと伝わることからドラゴンスレイヤー。
ドラグスレイブ、の名前がついた、といわれております」
「シルフィール。追加説明ありがとね」
「い、いえ」
そもそも、さっきの説明でもわかってなかったこいつがこれで理解したとは思えないが。
ちなみに、実は竜破斬よりも最強の術があるにはある。
が、アレはあまりに危険極まりない。
もちろんあたしが編み出したのだが、危険すぎて公表する気はさらさらない。
「アレに魔法が効かなかったのはいたって単純明快。
精霊魔術は基本、地・水・火・風の四代元素。そして精神世界とを利用した魔術の組み合わせによる行使。
魔王とかああいった上位の存在は基本、精神生命体なのよ。
ゆえに精神世界面に対する干渉力もおおきい。
人の作りだした精神力程度で突破できるか否か、はまあ根性次第、でしょうね」
根性をだせば人間、なせばなるものである。
「つまり。少なくともアストラル系の精霊魔術ではあいつはたおせんだろう。
かといって四大元素を利用した魔術は人間同士でもうち破ることができる。
無論、術者の力量によって結果は違ってくるが……」
あたしに続いてゼルガディスがご丁寧に説明してくる。
しかし、ガウリイのやつ、ちゃんときいてるんだろうか?
「黒魔術なんかは問題外ね。主に黒魔術の源となっているのが憎悪や恐怖、敵意などといった暗黒の意思の力。
その暗黒の力を束ねているのが他ならないルビーアイよ」
珍しくナーガがあたし達につづいてまともなことを説明してくる。
知識だけは豊富みたいなんだけどね。
このナーガ…
裏ワザもかなり多いのに…術の制御とその常識がなぁ~……
「とにかく。さっきのミイラ男みたいに術を唱えることは、
『今からお前を攻撃するからお前の力をかしてくれ』というのと同意語なわけよ。わかる?
いくらあんたでも『お前を殺すから手伝ってくれ』ってその殺す本人に頼む。
これがどれほどあきれる以外のなにものでもない大馬鹿な行動だ。ってわかるでしょ?」
「…その、オレにでも、っていうのがきになるんだが……」
「言葉のままよ」
ここまでいってもこいつに理解できているかあたしははっきりいって怪しいとおもってるし。
「でもたぶん、理解してないとおもうな~」
ぽそっとそんなあたしに同意を示すようにぽつりとつぶやいているエルちゃん。
「…あんた、こんな小さな子にここまでいわれてなさけなくない?」
「そっか?いやぁ。まいったなぁ」
呆れて問いかけるあたしに、なぜかてれたようにいっているガウリイ。
って…おいっ!
「って、褒めてるんじゃないわっ!!」
こいつの脳みそ、ほんとうにどうなってるんだ!?
…何もはいってなかったりして……
まだスライムとかのほうがはるかにまし、とおもうのはあたしだけ?
ねえ?
「と…とにかく、ですわ。わたくしが得意とします白魔術にも攻撃呪文は存在していません。
浄化系の呪文では死霊やゾンビならともかく、伝説の魔王に通用するとはおもえません。
ですが、ガウリイ様の光の剣があります」
たしかに。
「たしかに。今はあんたのその光の剣にかけるしかないか」
シルフィールの言葉にゼルガディスも静かにうなづく。
「あのなぁ。何で術があいつに使えないのかはよくわからんが。つまり。つまり、オレ一人で戦えってことか?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
あ…あれだけ説明してもまだわからんとかいうか!?
こいつはっ!
さすがに呆れたらしく、ゼルガディスとナーガですら呆れた視線をガウリイへと向けている。
「大丈夫ですわ。ガウリイ様。サイラーグに昔から伝わる予言がいまこそ現実になるときなのですわ」
はて?
予言?
前にもそんなことを聞いたような?
「その予言って?」
何となく気になるのでシルフィールにと問いかける。
「今から百年ばかし前。ザナッファーが現れる少し前。
サイラーグの神殿に一つの予言が下された、といいます。
”力あるものの心闇におつる時 其は魔王と化し 世界を滅びの淵ほと導かん。
されど人よ絶望するなかれ 光掲げる剣士と魔導師現れ出て 深き闇を打ち払うであろう”
これがサイラーグの代々の神官長にと伝わる予言です」
ん?…んんん!?
な~んか、どっかで聞いたような……?
「…ねえ。リナ。今のって、ニブス村の……」
「って、ああっ!?」
ナーガのぽそっといった台詞にようやくひっかかっていた出来事を思い出す。
あの村長の祖父が羊皮紙に書いたという大迷惑きわまりなかったあの予言だしっ!
あのときはおいしいお芋につられていろいろあったが……
う~む。
子供相手のお遊び予言ごっこ、とばかりあのときは思ってたし。
しかし、サイラーグの神官長に代々伝わっていたというあたりを考えると、
あながちあの村長のお爺さん、そこそこの能力者だったのかもしれない。
もしくは、サイラーグにてそれを何らかの拍子でききかじり、子供相手に遊び感覚で教えたか。
あたしの予測ではおそらく後者。
何かしらの力があるのならば名前がのこっていなければおかしいし。
「・・・ま、ともあれ。とにかく今はレゾ=シャブラニグドゥをどうにかするのが先よ!
あんたもアレを倒さなきゃいけないってことくらいはいくら何でもわかるでしょ?」
とりあえず話しを進めよう。
うん。
「リナさん。ガウリイ様にむかってそのようないい方!
ガウリイ様はただ単に何も考えておられないだけですわ!!」
「いや、それフォーローになってないぞ……」
シルフィールの台詞にぽそっとつっこみをいれているゼルガディス。
たしかにフォーローになってない。
「でも、光の剣だけ、だというのもね。ナーガ。あんた何か裏ワザ隠し持ってるでしょ?」
こいつは予測不可能な技をけっこうもってたりするからなぁ。
しかもあっさりと他人の技すらをも身につけたりするし。
ほんと、底が知れないやつではある。
「え~?いやぁよ。私。赤の竜神の力を使った術ってね、かなり疲れるんだから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
「「は?」」
いや、今、何て?
ナーガの言葉に思わず目が点。
どうやらゼルガディスとシルフィールも同じ状態になり果てている。
「あんた、そんなのつかえたの!?」
つうか、今では失われた神聖呪文ってことだよな?
郷里の姉ちゃんはよくつかってたが、姉ちゃんは別格だし。
そもそも、規格外だし。
「いってなかったかしら?我が家では女性は特に魔術教育に力をいれているのよ。
私も昔からお母さまやお婆様にいろいろならったものだわ」
…こ、こいつの家っていったい……
まあ、ナーガの家の追及はあとできっちりするとして。
「と、とにかく。なら光の剣とソレで何とかなりそうね」
とりあえずそれらでめくらましで時間は稼げる。
おそらく魔王に通じる技はあたしの裏ワザくらいしかないだろうし。
そのためにも時間稼ぎはどうしても必要である。
ちなみに、赤の竜神スィーフィードは滅んだ、と一節にはいわれてはいるが。
実はその力を引き出すのは比較的簡単だったりするのだ。
これが。
竜神の力は自然界にも微弱ながらに満ちており、それらを集めることにより力を引き出して使用することも可能。
ただ、その集めて引き出すという行為にはかなりの実力を要する。
それができるとは、ナーガ…ほんっと侮りがたし。
「何ならてっとり早くそれで術の威力を増幅させてみたら?
いくらこんなDの世界から召喚されてそのままいすわっているヤツでもそれくらいは利用できるし」
D?
「エルちゃん?」
エルちゃんは何がいいたいんだろうか?
そもそも、Dの世界って何?ねえ?
「ん~。人の精神力程度の増幅はソレでもできるとおもうし」
人の精神力程度、って……
しかし、小さい子供の勘ってあなどれないしな~。
実際、エルちゃんはレゾに対してかなり警戒していたし。
おそらくレゾの中にいた魔王に敏感に反応していたんだろう、きっと。
何はともあれ、今は目下のところレゾ=シャブラニグドゥを何とかしなければっ!
「光の剣。たしかにレゾの研究の中で光の剣はひとの精神力を形となすものではないか。
といわれていたしな。…よし。それでいこう」
レゾ、そんな研究もしてたんだ。
しかし、ひとの精神力を形にする、かぁ。
「なら、ゼルガディス達は光の剣に術をかけて援護ね」
以前、ある一件にて光の剣に竜破斬ですら上乗せできるのしってるし。
”人”の思いは時として奇跡すらをも呼び覚ます。
それは身をもって経験したあたしだからこそよくわかる。
とりあえず、当面の方向もきまったようである。
と。
「ようやく話しもまとまったようだな」
そんなあたし達にむけられてくるとある声。
振り向けばそこにたたずんでいるのは先ほどとはうってかわった姿をしている魔王の姿。
その容姿はまさにレゾそのもの。
異なるのはその瞳が開かれており、紅玉の瞳を開いている、という点のみ。
そして手にしている杖もまたレゾが手にしていた杖ではなく骸骨に近い形状のもの。
おそらくはあれこそ伝説にある魔王の武器餓骨杖だろう。
レゾの姿でレゾの声でない声が紡がれる。
さきほどまでの異形の姿はどこへやら、という感じである。
「え?レゾ…様?え?」
その姿をみてあきらかに戸惑いの表情を浮かべているシルフィール。
「…いい趣味してるわね。その姿ならあたし達が全力をだせない、とでも?」
おそらく”人”の姿をとることで、こちらの戸惑いの感情を糧とするつもりであろう。
「我とてこのものの中に永きにわたり封じられていたがゆえにこの姿がおちつくだけのこと。
何より動くのにひとの姿のほうが何かと都合がいいものでな」
なるほど、納得。
「それで。その姿で人々を滅するのか」
どこか敵意をこめたゼルガディスの問い。
姿形はまさしくレゾのまま。
その身に満ちる力を相手が完全に隠していないので【異質】の存在とわかるが。
彼ら魔族はその気になれば気配すら変えることもできるはず。
それが魔族の王、となればなおさらに。
「先ほどまではおろかにもこの人間が我に抵抗してきていたがゆえに形をかえたが。
汝らの話のさなか、”レゾ”という人間の意思はすでに我が内にある」
・・・つまり、レゾの魂は魔王に喰い尽されたってこと?
――違う……
?
ふと、聞こえる別の声。
それはかすかではあるが、たしかに。
・・・もしかして……
ふとあたしの中に浮かぶとある可能性。
「どんな姿だろうがあたしは遠慮なんかしないわよ。レゾ=シャブラニグドゥ」
ぴくり。
あたしの言葉に魔王の手が一瞬ピクリと反応する。
…やはり。
おそらくまだ、”レゾ”の人としての魂は消失していない!
人としてのレゾの正しき心が残っているならば、あたしはひととしてのレゾの心を信じたい。
人は弱さゆえに過ちを犯す。
が、それらを乗り越えてゆく力をも持ちえている。
それが光にも闇にも属さず、またどちらにも属しているという人間、なのだから。
その魂…心の強さにて【魔王の魂を封じる】ことすらもできるほどに、人の心は強くもあり、そしてもろくもある。
だからこそ…あたしは絶対にあきらめない。
「――たわけたことを。人間ふぜいがこの我に挑もうとは。
ひととはおろかなものよ。限りある命を無意味に散らそうとは。
まあよい。我とて永きにわたり封じられ、いまいち力がしっくりこぬ。
正直、あのゾロムやロディマスといった人間を殺したところでトレーニングにもならぬしな。
しかし、汝らとならば少しは肩習し程度には楽しめそうだ」
そう”レゾ”がいうのと同時、周囲の空気からして一気にかわる。
【レゾ】から感じる圧倒的な力。
気を抜けば飲み込まれてしまいそうなほどの。
「…いってくれるわね。やってやろうじゃないっ!シルフィールは後方支援を!」
肩慣らし。
トレーニング、ですって?
たしかに、あのミイラ男は救いようがないバカだったかもしれない。
ロディマスとかいう中年剣士もハンサムとはいいがたかった。
だけども彼らも彼らなりに生きていた。
自分たちの行動の先に人々の幸せがある、おそらくそう信じていたのであろう。
それを殺したところで肩慣らしにもならない、など。
あたしとて人を殺したこともある。
それはガウリイにしろゼルガディスにしろ同じだろう。
レゾの目指すものが人々の幸せのためにある、とおもったからこそ彼らはついていっていたはずなのだ。
そんな彼らをないがしろにするこの発言だけは人として許せない。
「だけど。後悔することになるわよ?」
魔族にひとの心なんてものが判る、などとはあたしはおもってない。
魔族にも譲れないプライドがあるように、人間にだって譲れないものがある。
「そうでなくてはつまらんからな。…では『はじめるとしましょうか』」
最後の声はレゾのもの。
こいつ、完全に人をからかっている、としか思えない。
魔王であるレゾ=シャブラニグドゥがいうと同時、トンッとその手にしている杖を地面に落とす。
瞬間。
足元の大地が揺らぐ。
大地から木の根にもにた無数の岩の蔓が出現し、魔王の力によってであろう。
生き物のごとくにあたりをうねりあたし達のほうにむかってくる。
「総ての命を育みし 母なる無限のこの大地 我が手に集い手力となれ!地撃衝雷!!」
タンっと地面に手をつき素早くカオスワーズを唱え力ある言葉を解き放っているナーガ。
術と”力”の相互作用、とでもいえるのか。
蛇のようにうねっていたそれらはあたしたちの周囲のみただの土くれともどり脆くも崩れ去る。
ちらりと視線をゼルガディスへとむけ、視線のみで言いたいことを伝える。
「優しき風よ光よ 我が指し示す先に 暖かな祝福をあたえたもう 聖光壁!」
そんなあたし達に対してシルフィールが簡単な防御呪文をかけている。
この術は光と風の属性を利用しているがゆえに、多少、闇関係の術に対して効果がある。
すなわち、闇の力を使用する魔王に対しては
人ができうる範囲の一応最低限の防御呪文ともいえるだろう。
「次!リナ=インバース、いっきます!」
いってちらりと後をみればどうやらエルちゃんはちゃんとシルフィールの後に隠れているっぽい。
あいかわらずフードを深くかぶっているままでぱっと見た目、周囲に溶け込みわからない。
周囲はすでに黄昏時のごとくに染まっている。
かろうじて太陽が西側から差し込むことにより紅暗いかんじとなっている。
魔王の力が太陽の光を覆い尽くすのが先か。
日が沈むのが先か。
かなり際どい明かりの確保。
いくら夜目がきくあたしとはいえ、魔王相手に不利な暗闇で戦うなんざごめんである。
とにかく、とっととケリをつけるのみ!
周囲には魔王のものであろう魔力が満ちているのが感覚でわかる。
口の中で呪文を唱え、手の平に光の球をつくりだす。
一見したところ、ただの赤い光る球。
火球はふわふわとホタルのごとくにレゾ=シャブラニグドゥのほうにむかって飛んでゆく。
「永久と無限をたゆたいし 総ての心の源よ 尽きること無き蒼き炎よ……」
あたしのしたいことを瞬時に判断してか、ゼルガディスが小さく呪文を唱え出す。
「ほぅ。火炎球。おもしろいアレンジですね」
口調もすべてレゾのまま。
こいつ絶対にあたし達を戸惑わせて楽しんでいるにちがいないっ!
「しかし。これでは私をどうにかすることなどできませんよ?」
そんなの百も承知。
「そうね、でも」
意味深にいうあたしとは対照的に、レゾ=シャブラニグドゥは興味なさそうに、すっと手にした杖をかるく振りかざす。
今だ!
「ブレイク!!」
パチン。
あたしが指を鳴らすと同時、光の球が分裂し螺旋を描いてレゾ=シャブラニグドゥの周りに降り注ぐ。
「こ…これは」
魔王の少し驚いたような感心したような声。
それと同時、一気に炎と砂煙がまきおこり、魔王の体を一瞬覆い隠す。
「ガウリイ!」
「おう!光よっ!!」
ヴッン!
「崩霊裂!!」
ガウリイが吠えるのと、ゼルガディスの術が解き放たれるのはほぼ同時。
ゼルガディスの放った術は光の剣に上乗せされ、光の刃がさらにと伸びる。
「ガウリイ様っ!」
そんなガウリイにむけられるシルフィールの声。
「でや~!」
そのまま光の刃をたずさえて、魔王にむかって攻撃をしかけるガウリイ。
「…ほぅ。なかなかやります。ね」
ガウリイのおそらく渾身の一撃は【レゾ】の手にした杖によって寸止めされる。
どこか面白そうにいっている魔王。
「光の剣。ですか。人間の世界ではサイラーグを死の都と化したザナッファーを倒した伝説の剣。
として伝わっていますね。しかしこの私がゼナファごときとおなじとおおもいですか?」
キイッン!
杖と刃がぶつかりあう。
ガウリイもまた、間合いをとりつつきりかかる。
が、魔王はそれらすべてを片手のみでなんなくあしらっている。
ぶつかりあうたびに刃の長さと刃の光り具合が失われていっている。
おそらくは魔王の力によってその術の力が削がれて失われていっているのだろう。
「ガウリイ様!永久と無限をたゆたいし 総ての心の源よ 尽きることなき蒼き炎よ
我が魂の内に眠り死その力 無限より来たりて裁きを今ここに 崩霊裂!!」
ごうっ!!
ガウリイの様子をみかねてか、シルフィールもまた術を解き放ち光の剣にさらなる崩霊裂を上乗せする。
ガウリイの手にした刃がさらに輝きを増し刀身もまた伸びる。
「人間にしては剣の腕はなかなかのものですね。この私に手をださせるのですから。
……しかし、所詮は人間」
そう【レゾ】がいうと同時、もう片方の手をすっと付き出す。
と。
どぐわっ!!
その瞬間、爆発が巻き起こる。
「くっ!?」
爆風はすざまじく立っているのもやっと。
「ガウリイ様!」
吹き飛ばされ、おそらくは攻撃が直撃したであろうに受け身をとりつつ体勢を整えているガウリイ。
そんなガウリイにシルフィールがかけより、
「今、回復いたします」
いって素早く治癒の術を唱え出す。
「ちっ!」
吹き飛ばされた衝撃であろう。
転がっている光の刃のきえた柄のみをひろいつつ、手にして身構え
「永久と無限をたゆたいし 総ての心の源よ 尽きることなき蒼き炎よ……」
光の剣を出現させ崩霊裂の詠唱を始めているゼルガディス。
どうやら上乗せするのではなく増幅させて解き放つつもりらしい。
ちらり、とナーガに目くばせするとナーガもすっと印を切り始める。
と。
「ぐわっ!?」
次の瞬間、ゼルガディスの体が一瞬のうちに炎にと包まれる。
「ゼルガディスの体は岩の体ですしね。死にはしませんよ。
安心してください。すぐには殺しませんから」
にこやかにわらいつつも、視線をあたしのほうにとむけてきて、
「本気でかかってきてくれなくてはこまりますよ?…では、次は私からいきましょう」
そういうと同時。
レゾから巨大な力が発せられ、それは巨大な光を帯びた球体となる。
…まずいっ!
「みんな!にげてっ!」
光の球はあたし達をもまきこんで、やがて巨大な爆発を巻き起こす。
…まにあわないっ!!
-続くー
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あとがきもどき:
薫:さて、サイラーグに伝わる予言。それはニブス村のものとおなじでした(笑
ニブス村?何それ?という人は、SPの「魔王降臨」を参考をばv
ルナテクヘステバルの回にのってますよ~♪
あれって村人の解釈は違えど正しい予言だったですよねぇ(爆
さてさて、そろそろちらほらと、エル様本領発揮中(こらこらこら!
ってもう皆さんわかってるから暴露しても問題ないですよね(笑
知らないのはリナたちばかりなり~♪
ちなみに、聖光壁(ライトシールド)は私の創作の術でスレイヤーズには出てきませんので、あしからず。
ゲームにもでてませんよ?念のため~
しかし、原作カオスワーズより、ロイヤルとかのほうのカオスワーズのほうがはるかに充実している(笑
まあ、ゲームはリナが崩霊裂つかえたりといろいろと?のところはありますけどね(苦笑
次回で決戦&決着その後の予定~
何はともあれ、ではまた次回にて♪
2009年5月9日(土)某日
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