まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
魔王との戦いの描写はあえて避けます。
リナの一人称にしてるので面倒だし(こらこらこら
しかも、リナ、ギガスレ唱えているとき、回りみえてないですしねぇ。
つうかそんな余裕ないとおもわれます(苦笑
アニメのレボさんで周囲りがみえてたのは、あれは絶対にエル様の気まぐれだ・・・(確信
しかも完全版制御だし(エル様の干渉なければ無理です、絶対に
何はともあれ、今回、決着、そしてその後、です♪
ではでは~♪
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リトル・スレイヤーズ ~死闘、そして……~
目の前にあるのはすでに大地、とは呼べない溶岩の海。
その中にすくっとたつように浮かんでいるひとつの人影。
「みんな、無事!?」
ばっと周囲を見渡せば、どうやら全員無事らしい。
あの爆発に巻き込まれたはずなのに。
…どうやらあたし達は【転移】してきているらしい。
いったい誰が?
…って、そんなことができるのはおそらく……
うわ~。
本当に嫌な性格してるわ、魔王。
おそらく自分はいつでもあたしたちに対して手を下せる、とみせつけるためにあたし達を移動させたとみた。
「危ない!」
「ゼルガディス!?」
ドッン!
と叫ぶとともにシルフィールを突き飛ばすゼルガディス。
その直後。
溶岩から発生したらしき炎の龍がゼルガディスの体を再び貫く。
間一髪よけたものの、その肩はおおきくなぎ払われ岩の肌から血がとめどもなくあふれだす。
さきほどの炎につつまれた影響だろう、それでなくても満身創痍、としかみえないゼルガディスの姿。
たっているのがやっと、というような様子である。
「…リナ。時間は私がかせぐわ」
いつもなら血をみて気絶するナーガが顔色を悪くしつつも真剣な表情でいってくる。
「永久と無限をたゆたいし 総ての心の源よ 我に集い力となれ
魔皇霊斬。ガウリイ、これを使え」
ごふっ。
何か自らの剣に術をかけてガウリイに渡しているゼルガディス。
その直後、口から血がどばりと噴き出ていたりする。
そんなゼルガディスの手から剣を受け取っているガウリイの姿が目にはいる。
「話してはダメです!なぜ、なぜわたくしをかばったのですか!?」
自分を治療するのでもなく自らの剣に何かの術をかけて先にガウリイに手渡しているゼルガディス。
おそらくふつうの剣に魔力を持たす術とみた。
この戦いがおわったらじっくりと聞いてみよう。
そしてそんなゼルガディスにむかってかけより何やら叫んでいるシルフィール。
「……レゾに…あんたまでころさせるわけにはいかないからな……
…俺は…レゾをとめられなかった……」
レゾではなく魔王。
そう頭ではわかっていても、やはり姿形がレゾのまま、というのでゼルガディスとしても苦しいのだろう。
その気持ちはよくわかる。
だからこそ、無意識のうちにシルフィールをかばった、というところだろう。
彼とて身うちであり、そして誰よりも尊敬していた人に人殺しなどはさせたくないのが本音なのだろうから。
「はい」
そんな中、あたしの下のほうから聞こえてくる幼い声。
ふとみればあたしの間横にエルちゃんの姿が。
・・・うや?
何でエルちゃん、こんな状況なのに平気なんだろう?
フードでかくれてその表情がみえないだけ?
小さな手に握られている剣の柄。
おそらくそのあたりにころがっているのをエルちゃんが拾ったのであろう。
エルちゃんの小さな手からあたしに差し出されている剣の柄の部分。
「ナーガ。これに上乗せしてつかって」
エルちゃんからそれをうけとり、ナーガに話しかける。
「ふっ。まかせて」
こちらの言いたいことがわかったのかそれを手にとり、そして、
「暁よりもまぶしきもの 命の輝きを愛しむもの 母なる大地に宿りしその力…」
きいたことのない混沌の言葉を紡ぎ出す。
「神聖呪文かっ!しかし、させぬっ!」
ナーガのカオスワーズをきき、魔王がその手にした杖をかざししかけてくる。
「させませんっ!…きゃぁ!!」
四霊封陣にて炎をさえぎろうとしたシルフィールがそのままの勢いで背後に叩きつけられる。
この術はある程度の時間、地水火風に対して高い防御力を持つ。
しかし持続時間は極端に短い。
が、突発的な壁をつくるにはうってつけ。
しかしやはり【人】と【魔王】のその魔力容量の差は歴然。
当然、さえぎられるはずもなく、そのまま吹き飛ばされてしまったのだろう。
「シルフィールっ!」
おもわずシルフィールに声をかけかけよるものの、
「レゾ様…お願いです…もう……」
よわよわしい声で、それでもなおレゾに懇願しているシルフィールの姿。
「…っ!もうやめろ…やめるんだ!レゾ!!」
ぴくり。
ゼルガディスの血を吐くような声にレゾの動きが一瞬とまる。
「我は願う 愛しみしその力 我にひととき汝らの力を我らに貸しあたえたまわらん!」
ぽうっ。
ナーガの周囲に発生する暁よりもまぶしき光。
周囲のいたるところから発生したそれらはナーガの元へと集い、あつまってゆく。
「光よ!聖なる力をその刃にやどし 我に力をかしあたえんっ!」
ナーガの声と。
「あんたはあれほど、あれほど『世界は美しいのでしょうね』そういっていたあんたが!
あんたが世界を滅ぼす気か!レゾ!」
ゼルガディスのさらなる叫び。
…レゾの動きが、とまる。
…やはり。
まだ”レゾ”は消滅していない!
「赤法師レゾ!選びなさい!このままシャブラニグドゥにその魂を喰いつくされるか。
あるいは自らの仇をとるかっ!」
「何を馬鹿な―『私は―』」
異なる二つのこえが同時に発せられる。
「闇よりもなお暗きもの 夜よりもなお深きもの 混沌の海よ たゆたいし存在 金色なりし闇の王」
魔王相手に不完全なものが通用するとはおまえない。
かといってこの術はとんでもない力を呼び覚ますものであることを自覚している。
「な…なぜにお前のようなものがあの御方のことをしっている!?」
【レゾ】の口から発せられる驚愕の声。
「でやっ!」
そんな中、ゼルガディスから受け取った剣をつかい、向かいくる炎の龍をなぎ倒していっているガウリイ。
竜の数はさらに勢いをまし、あたしとナーガのほうにむかって襲いくる。
「こっちはまかせろ!あんたたちは術を!」
いいつつも、次々と襲いかかってくる竜を倒していっているガウリイの姿。
斬っても斬ってもとめどもなく竜はその場にあふれかえる。
「聖暁砲!!」
ナーガが光の剣に術を上乗せし、魔王に向けて解き放つ。
「…そうか!きさま…ニブヘイムの末裔っ!…くっ!!」
何か魔王が叫び、それと同時、周囲をまぶしき暁よりもまぶしき光が覆い尽くす。
「我、ここに汝に願う 我、ここに汝に誓う 我が前に立ちふさがりし すべてのおろかるものに
我と汝が力もて 等しく滅びをあたえんことをっ!!」
両手を掲げたあたしの頭上に闇が生まれる。
夜よりもなお深き、無明の闇が。
くっ。
思っていた以上に…きついっ!
気をぬけばあたしも闇にと飲み込まれ、おそらくこの術により世界もろとも混沌に還るだろう。
魂が深い闇にと堕ちてゆく感覚。
そして流れ込んでくる【誰か】の想い。
意識が沈んでゆく。
制御するのにすべての魂のそこから力を引き出している、そんな感覚。
そこには何もない、無明の闇。
このまま闇に飲み込まれてはそれこそ姉ちゃんのお仕置きがまっているっ!
姉ちゃんのとこだから、死んだあたしの魂すら見つけ出してお仕置きするにきまってるっ!
「――ルシファサイスっ!!」
ふっとひとつの声により意識が向上する。
その直前、魂の中に金色の光がはじけたような気がするのはおそらく気のせいではないだろう。
…この術は、かの金色の母、そのものともいえる力を召喚するものなのだから――
ふっと目にはいったのは、倒れているナーガの姿。
そしてそんなナーガの前にたっているその身長よりも大きな大鎌を手にしているエルちゃんの姿。
そして何よりも…魔王の動きがとまっている。
はて?
なぜかはわからないが、チャンスは一度きり!
今にも暴れ出しそうな虚無の闇。
闇は周囲のもの、光すらのみこみそこにある。
「な…なぜ…!?」
「重破斬!!」
最後の力をふりしぼり、何かいっているらしき魔王にむけて投げ放つ。
なぜ、といったのは魔王かそれともレゾか……
ドウッン!!
瞬間。
闇は魔王、そして周囲の総てのものをのみこみすべてを虚無へと導いてゆく。
ぐらりと体が崩れ落ちる。
意識が沈んでゆく。
アレを制御するのにほんっと魂の底から総ての力を出し切った。
完全版を唱えたのはこれがはじめて。
に…二度とするもんかぁっ!!
そう自分自身に固く決意するあたしは間違っていないだろう。
――ありがとう。しかし……
そんな中、ふときこえるとある声。
意識の沈んだ闇の中にて浮かぶはレゾの姿。
それとともに意識がゆっくりと浮上する。
「…まさか、人間にここまでのことができるとは…な。
気に入ったぞ。リナ=インバース。そしてニブヘイムの末裔よ。
神魔戦争の折り、すべて滅したはずであったのにな……」
闇に飲み込まれていきながら、
魔王、レゾ=シャブラニグドゥは騒ぐでもなくこちらに視線をむけたままそんなことをいっくてる。
すでに周囲の溶岩ですら闇に飲み込まれどんどん無と化している。
それでも魔王が術の影響下から逃れられないのは明白。
魔王の体もまた闇にと吸いこまれ、その姿はだんだんと薄くなっている。
「・・・・・・・・に、敬意を表して大人しく混沌の眠りにつこう。汝らとは再びあいまみえたいものよ・・・・・」
どっん!!
魔王が言葉を言い終るとほぼ同時。
更にとてつもない衝撃波があたし達のほうにまで降り注ぎ、闇はしばしその猛威をふるってゆく――
さわっ。
肌にふれる風がここちよい。
「リナさん!」
ゆっくりと開いた目に飛び込んできたのは、突き抜けるほどの青空と、
そして心配そうにその瞳に涙をためてのぞきこんでいるシルフィールの姿。
――どうか、これで”私”を止めてください。
ふとさきほど意識の中で聞いた”声”を思い出す。
夢か現か幻か。
ことりと固い感触がしてゆっくりと右手をひらくとそこには小さな赤い宝玉がひとつ。
「よかった…リナさんっ!」
がばっ。
「ちょっ!?シルフィール!?」
いきなり涙をながされ抱きつかれて、とまどってしまうのは仕方がない。
「リナおね~ちゃんがなかなか目をさまさないから心配してたのよ?」
つうか、エルちゃん。
その姿でいわれても何か違和感が……
というかその手にしている大鎌は何?
「わたくしが気がついたら皆さんたおれていてぴくりともしませんし……
リナさんとナーガさんは髪の毛が真白になっていますし……」
いわれてみればたしかに。
「お~ほっほっほっ!リナ!ずいぶん長く気をうしなっていたものね!お~ほっほっほっ!」
あ゛~…いつもどおりだわ。こいつは。
たしかにいつもごとくに高いをしているナーガの髪の毛は真っ白。
ついでにさらりと見えるあたしの髪の毛も真っ白。
これは魔力の使い過ぎによる生体エネルギー低下の影響によるものである。
「そこのエルちゃんのその鎌は自らの力を形となし刃にする術だそうだ。
…俺も初めてみる技だがな」
あれほど大けがを負っていたはずのゼルガディスのけがはどこにも見当たらない。
「けがは?」
「そこのシルフィールが俺達をなおしてくれた。
そっちのナーガのほうはちょっとこげめがついているだけでけが一つなかったらしいがな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ナーガらしいというか何というか・・・・・・
空気がとてもすがすがしい。
まるで雨上がりの空のごとくに。
ただ一ついえるのは……あたし達の周囲には【何もない】、ということのみ。
どこまでつづいているかわからない荒野。
ただの大地のみが延々とひろがっている。
ごろごろ転がる岩はどうも火成岩っぽい。
しかしそれらも触れるともろく崩れて砂と化す。
…おそらく重破斬の後遺症だろう。
「お~ほっほっほっ!これでリナ!あなたに貸しひとつよ!」
・・・・・・・・・・・
「って、何でそうなるっ!」
そもそも、ナーガもまきこまれていたんだから貸しとかそういう問題じゃないっ!
だいいち、こいつが裏切ったせいで話しがややこしくなったのも事実なわけだしっ!
「あ~。こほん。いいあいはあとにして。…結局、何がどうなったんだ?
そいつに聞いても要領をえないしな」
?
「見てなかったの?」
「途中から意識がなくなったからな」
ということはそれほど大けがだったってことか。
…まあ、ちらりとしかみえなかったけど骨までみえてたっぽいからなぁ……
よくすぐに気をうしなわなかったものである。
こいつも。
「わたくしは…吹き飛ばされたところまではおぼえていますが。
目覚めるとあたり一面この様子。しかもみなさん、その子以外は倒れていますし。
しかもガウリイ様にしろそこのゼルガディスにしろかなりの怪我をおってましたし……」
よくあの中で無事だったな、エルちゃん……
「オレは炎の龍を相手にしていたら黒い衝撃をうけて吹き飛ばされて、何とかこらええたど。
そのあとをよく覚えてないし」
・・・・・・・・まあ、あたしもこいつの記憶力なんぞ期待してない。
短い付き合いでもこいつがモノ覚えがものすっごくわるいことはよ~くわかったし。
「レゾ様は……」
「レゾは…いや、魔王はどうした?」
シルフィールとゼルガディスの問いかけはほぼ同時。
「お~ほっほっほっ!この白蛇のナーガ様の術でひるんだところリナがとどめをさしたのよ!
魔王を倒せたのもすべては私のおかげね!お~ほっほっほっ!」
ぐっ。
下手に間違っていないがゆえに突っ込みができない。
しかしっ!
「そもそもあんた、あんな大技ができるなら出し惜しみするんじゃないわよっ!」
ナーガが神聖呪文つかえるなんざあたしもしらなかったぞ?!
「お~ほっほっほ!愚問ね!リナ=インバース!
あの術の制御は私もまだ完全じゃないのよ!
このたびは運がよくて周囲の誰も仮死状態にならなかっただけよ!お~ほっほっほっ!」
「って、いばるな~!!…って仮死状態?」
何か今怖いことをきいたような?
「あの術はすべての生き物の中にある赤の竜神スィーフィードの力を強制的に引き出して集める技なのよ。
一歩間違えたら対象物の命ごと奪うことにもなるけどね。お~ほっほっほっ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・』
「って、笑いごとかぁぁっ!!」
いや、あたしの術も洒落になんないけど…けどっ!
ナーガの術も洒落になんないぞ!?
どうやら他のみんな。
シルフィールやゼルガディスもあたしとおなじ思いに駆られたらしい。
無言でナーガを信じられない、というような眼でみていたりするのだが。
…あたしの術の危険性はいわないでおこう。
うん。
そうこうしているうちにいつのまにかエルちゃんが手にしていた大鎌を霧散させる。
「そういえば、エルちゃん、大丈夫だった?」
ここはひとまず話題をかえるのが勝ち!
「あたしは何ともないけど。とりあえずあいつはちょっかいかけてこられないでしょ」
「お仕置きしたし」
?
最後にぽそっとおしおきとか聞こえたが気のせいか?
「ならいいけど。…とりあえず、本当におわったのね……」
おもいっきり伸びをする。
景色はともかく空気がとてもおいしい。
魔道を駆使したところで生きて数百年、か。
流れこんできた”声”がそういっていた。
レゾもおそらくその長い時を生き、じんわりと確実に魔王にその魂をむしばまれていったのであろう。
「どうやらそうみただけど……」
どこか戸惑いを含んだガウリイの声。
「それで、いったい何がどうなって……」
あの魔王に勝てたのが信じられないのであろう。
実力的には圧倒的にこちらが劣っていたのだから。
「ええ。おわったのよ。レゾのおかげでね」
「レゾの?」
アレが本当に滅びたのか信じられないらしく周囲を見渡しそうきいてくるゼルガディス。
みわたせど、すでに岩と化した大地がどこまでも広がるのみ。
小鳥の声ひとつきこえない、あるいみ死の大地。
「アレの中にまだレゾの魂がのこっていたのよ。
長い年月をかけて内側から魔王に蝕まれながらも残っていたレゾの心が。
本当はわかっていたんでしょうね。自分のやろうとしていることが間違っているって。
だけど…とまることはできなかった。魔王の心と人の心がせめぎあっていたんでしょう。
だからこそどこか矛盾な行動をとり…結果、自ら魔王とともに滅ぶ道を選んだ……」
おそらくレゾはわかっていたはずである。
いくら人が愚かでどうしようもなくても、それらを滅ぼして新たな世界を…などというものができる。
そんなことはありえない、と。
もしそんなことでひとが愚かでなくなるのならばすでに数千年前以上に人は理想郷にむかって進んでいるはずなのだから。
神魔戦争より前、かなり高度な文明が築かれていた、と聞いたことがある。
そしてその戦争のあと、人類は疲弊し、文明もまた衰退し…そして今にいたる。
おそらく古代の遺跡発掘などからさっするに、その高度な文明、というのはあながちまちがっていない。
というのはすでに世間での常識中の常識。
「しかし…あんたもそっちもたいたもんだな。まさか神聖呪文がつかえるとは」
あたしとナーガをみつついう、苦笑まじりのゼルガディス。
確かに、この世界において神聖呪文なんざほとんど伝説の中の力にすぎない。
「私の家の教育の一環で叩きこまれたのよ」
いやだから、あんたの家って…いや、きくまい。
何となく怖いし。
「…なあ。とりあえず、どっかでメシにしないか?」
ぐ~……
ガウリイのその言葉と、おもいっきりお腹のなる音が同時におこり思わず顔を見合わせるあたしたち。
ぶっ…
「「あはははは!!!」」
その場に何ともいえない笑い声が満ち溢れてゆく。
そ~いえば、さいきんあまりロクにたべてなかったわ。
シリアスな雰囲気から一点、あたし達はひとまずどこかで食事をすることに。
歩けどあるけど見渡すのはただの岩肌。
え~と……
つかんでみた土ですら、もろくもすぐさま砂と化す。
この大地には命がやどっていない。
「しかし、魔王の力とは…すざましいものだな」
ぽそり、と歩きながらもいっているゼルガディス。
結局のところ、あの場でゆっくりしていてもラチがあかず、どこか休める場所にでも移動しよう。
ということになり、とにかくひたすらに西にむかってあるいているあたし達。
ちなみに、場所的にいえばひたすら西にむかっていればアトラス・シティにつくはず…なのだが。
ここまで街道も何もかも、きれいさっぱりと消えてしまっていてはそう断言できるかどうかすら怪しい。
たぶん、これって魔王云々、というより重破斬の後遺症だ、と自覚しているあたしとしては黙っているほかない。
かつてあたしがあの不完全な術をつかったとある場所は浜辺に大きな入り江をつくりだし、
今でもなぜか魚いっぴきよりつかず、水こけすらも生えないときく。
ゆえにおそらくこれもあの術の影響とみた。
…口がさけてもそれはいえないけど。
「お。あそこに水発見」
ガウリイの示したその先にたしかにキラリと光る何かがみえる。
何もない荒地にただひとつ、ぽっかりと空いたくぼみにたたえられている水がとても奇異に映りこむ。
よくこんな中で泉が残っていたもんだ。
近づいてみてみれば、何やらくぼみに湧水がたまり、小さな泉を形成しているっぽい。
「ふむ」
この水が飲み水に適しているか調べるのがともかく先。
何しろ人間、のまずくわずでいるわけにはいられない。
ぽうっとオリジナルの水質検査の術を唱えれば、どうやら飲料に適している模様。
ちなみにこれらもまた旅の必需品としてあたしがオリジナルに開発した術の一つである。
他には魚釣りようの術など、いろいろオリジナルの技は限りがない。
「とりあえず。今日のところはここで休むしかないな」
「・・・そうね」
あるけどあるけど荒野ばかり。
水がある、というだけでもかなり違う。
あたしもまだ魔力が完全ではないので今のような簡単な術しか使用はできない。
魔力が戻ればまだ高速飛行の術で町か村まで飛んでゆくことは可能であろうに。
ちらりと全員を見渡せば、どうやら誰からも却下の意見はでてこないっぽい。
あたし達が目覚めたとき、すでに太陽は頭上よりすこしかたむいていた。
つまり、逆算するとあたし達は半日以上も気をうしなっていたことになるのだが。
それだけ疲れていた証拠であろう。
…まさか、アトラスシティのほうまで荒野になってしまった…なんてことは…ま…まさかねぇ。
あはははは……
ほのかにともる明かりの明りがあたし達の表情を照らし出す。
水を安心してのんだところ、睡魔におそわれ気付けばもう夜は更けていた。
そのまま魔法でアカリをともし、それぞれもっていた携帯食糧にての夕食タイム。
「あ…あの……」
「?何だ?」
そんな中、戸惑い気味にゼルガディスに話しかけているシルフィール。
「あの、わたくし、あなたにあやまらなくてはいけません。
…わたくし、ずっとあなたのことを誤解していました。あなたが町を…そしてお父様を…と。申し訳ありませんでした」
おそらくシルフィールもまた気にしていたのであろう。
まあ、気にしない、というような人間はあまりはず。
「…きにするな。それにあんたは俺をたすけてくれた。お互い様だ。
それに、こんな見た目怪しいやつよりあいつの言葉を信じるほうが人の心理だ」
心理、と言い切るか。
しかも自分でまだ自分があやしい、と断言してるし。
たしかにまあそうかもしれないけど。
シルフィールの場合は思いこみで回りがみえなくなってた、というのもあるだろうしねぇ。
すこし冷静に考えれば何かがおかしい、とわかったであろうに。
まあ、大切なものが目の前で失われて冷静でいられる人間がいたらそれこそそれはそれで怖いのかもしれないけど。
気まずい沈黙が支配する。
「…もう、あいつを憎んでいないのか?」
そういうあんたは?
あたしとしてはそうききたいけど、きくだけ野暮というものなのだろう。
彼とレゾの関係は言葉でなんか言い表せないものなのだろうからして。
「はい。…不思議ですね。あのかたに騙されていたという憎しみよりも、あのかたのやさしい笑顔ばかりが思い出されて……」
「そういってもらえればあいつも救われるさ。…あいつはたしかに、人々のためになることを心底喜んでいたんだ。
そう…そのはずなんだ……」
え~と…
何だかまたまたしんみりした何ともいえない雰囲気に。
と、とにかく雰囲気を変えよう。
それでなくてもくそまずい携帯食糧がさらにまずくなる。
「あ。そうだ。これ、ゼルガディスに渡しとくわ」
今の今までわすれてたけど。
いいつつも、ズボンのポケットにいれておいた小さな宝玉を取り出してゼルガディスにと手渡す。
「?これは?」
「おそらく、レゾの形見、かしら?意識の中でたしかにレゾの声をきいたのよ。
何ていったかはよく覚えてないけど。目覚めたらそれが実際に手の中にあったし。
…きっと、レゾはあなたに伝えたかったんじゃないのかしら?」
自らの血縁であるゼルガディスに、おそらくレゾは何かを託したかったのだろう。
「…そうか」
実はこの宝玉、かなりの魔力をかんじはするが、あたしとてネコババするほど人は悪くない。
おそらくこれはきっとゼルガディスにとっても、レゾにとっても大切なものなのだ。
そうなぜか確信がもえるがゆえになおさらに。
ぎゅっとソレを手にしてどこか目をつむり何かを考えているゼルガディスの姿。
「あ。そうだ。リナおね~ちゃん。これもうわたしとくね。アレがもういないからもんだいないし」
いいつつも、ごそごそと背中に背負った袋の中から小さな箱を取り出してくる。
箱の中にはちょっとした宝玉がいくつか。
「そういえば。何でエルちゃん。これ先に渡してくれなかったの?」
気になっていたことを問いかける。
そもそもおそらくこれがあればかなり戦いも楽だったはずなのだ。
「?でもアレにはそれ通用しないし。おそらくもってても封じられて役に立たないし」
?
横ではすでにナーガが寝息をたてている。
よほどつかれているとみた。
「?何なんだ?これ?」
ガウリイがそれをのぞきこんで何かきいてるけど。
あんたがきいてわかるのか?
絶対にわからないとおもうぞ?
あたしは。
「魔力増幅道具。魔血玉っていうの」
へ~。
これまたかなり変わった名前というか聞いたことのない名前である。
「そのペンダントになってる紅いのがS…赤眼の魔王・シャブラニグドゥさしてて。んで、他の蒼、黒、白のが……」
いや、ちょっとまていっ!
いま、さらっととんでもない名前がでなかったか!?
ルビーアイはともかくとして、何で蒼穹の王や闇を撒くもの、白霧がでてくる!?
「ちょっと!エルちゃん。何でそんなことしってるの!?」
あたしとしてはそちらのほうが驚愕である。
そういえば、このエルちゃんに関してはあたし達まだまだ知らないことだらけだったんだった…
今更ながらに思い知らされる。
そもそも、術が使えることすらあたしは知らなかったんだから。
「だって、これの後ろにかいてあるし」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
え~と。
これつくったの誰ですか?
といいたいのはあたしの気のせい?
ねえ?
確かに箱からとりだしてみてみれば、四つのタリスマンの後ろにしっかりと、
御叮嚀にシンボルマークとおもわしき紋章とそしてこれまたご丁寧にそれぞれの名前が刻まれている。
表だけみればそれらはわからないけど、たしかに子供にもわかるようにしかもフリガナまでふってあるし…
え~と……
ほんっとこれつくったのって誰?
丁寧、というか何というか……
「闇を撒くものは知っているが。他のは何なんだ?」
どうやらゼルガディスは闇を撒くもの、という単語は知っているらしい。
「ゼルは知ってるの?」
とりあえずゼルガディス、と御叮嚀に呼んでいたが面倒なので短縮して問いかける。
「ああ。以前にレゾが光の剣の研究をしていたときにな。
あんたがもっているその光の剣はもともと、異世界の武器で闇を撒くものという魔王がいたところの武器らしい」
ふむ。
つまり、かつて宮殿でみた四界のうちの一つの世界か。
「そういえば、あいつは光の剣のレプリカ作成したはいいが持続時間がもたずに役にたたなかった。
とか以前いってたな。今はそれがどこにあるかわからないが」
ちょっとまて。
それってかなり重要なお宝情報!?
「しかし。あんたの妹さんは何でそんなのもってるんだ?」
「え?」
あ、そ~いえば、まだ説明してなかったっけ。
エルちゃんのこと。
「このこ、あたしの妹じゃないわよ?」
「え?それにしてはおまえらそっくりだろ?てっきりそいつとあんたとが兄妹かとおもってたんだが」
「冗談!こんな脳みそクラゲの兄なんてまっぴらごめんよっ!」
確かにガウリイの髪の色と瞳の色。
それらがエルちゃんとおなじだからってこいつと兄妹なんて冗談ではないっ!
「そうか。なら親戚か何かなのか?」
「それがわからないのよ。たまたま山賊につかまってたところを助けてね。
あたしとそっくりのよしみでこの子を血縁者、もしくは親戚のいるところまで送っていこうかと。
といっても、この子もどこに親戚がいるとかわかってないみたいだから人づてに話しをききながらしかないけどね」
嘘ではないし。
まあ、一番の理由は本当に親戚で放り出したあとで姉ちゃんや母さんに知られたら…というのがあるにしろ。
それは言わぬが花である。
「そうか。まああんたにそっくりなんだから。たぶん何かしら関係あるんだろうしな。
しかし、何でその子がそんなものもってるんだ?」
「あたしに聞いてもしらないわよ。って…あ、ねてる」
みればいつのまにかエルちゃんはあたしの膝枕ですやすやと寝息をたてている。
「とりあえず、この子がいうには、タダじゃわるいからって、これくれる約束してたのよ。
何かレゾの前では気づかれるとか何とかいって渡してくれなかったんだけどね」
「…なるほど。小さい子は勘が強いしな。おそらく危険を察知したんだろう。
たしかに、異世界の魔王に関係ある品かもしれない、となればレゾもだまってはいなかったろうしな」
そんなあたし達の会話をききつつも、
「そういえば。リナさん。きになっていたんですが。どうやって魔王を倒したのですか?」
ぎくっ!
「そういえば聞いてなかったな。いったいどうやったんだ?」
こらこら!
ゼルガディスまでうなづいてきいてくるなっ!
「え~と、赤眼の魔王・シャブラニグドゥではない他の魔王の力をかりた呪文を唱えて、それでね」
「ほぅ。あんた研究家なんだな。しかし、魔王にそれが通用したとは…いったいどんな魔王の…」
「とりあえず魔王より上位の魔王の力、とだけいっとくわ」
「?まさか、それは…あの金色の魔王のことではないだろうな?」
ぎくぅっ!
「って、何であんたがその名前をしってるのよ!?」
「俺がまだレゾに合成獣にされる前。レゾとともにディルスの王宮を訪ねたことがあってな。
ディルスの司祭長が教えてくれた」
…お~い、ディルスの関係者…誰にでもはなしていいことか?
もしかして訪ねてきたひとにほいほいと話しているんじゃぁ……
そんな不安がふとよぎる。
まあ、あたしもひともことはいえないけど。
昔、姉ちゃんにくっついていったディルスの王宮で初めてあれはきいたわけだし。
「たしか、魔王の中の魔王。天空より堕とされた金色の魔王、とかの地では言われていたが。
そういえば、あれを聞いてしばらくレゾは何だか落ち付きがなくなっていたな……」
そりゃ、レゾの中の魔王が反応したんじゃないのかなぁ?
何しろアレは魔族の母でもあり、そしてあたしたち人類の母であり世界の母でもあるのだから。
「そんな存在がいるのですか?」
「こいつの術が発動した、ということは実在はしているんだろう。俺も半信半疑だったがな」
…あのイルマートの入り江のことは絶対にだまっていよう。
うん。
「ま、とりあえず。明日もどこまで歩くのかわからないし。とにかく今は休みましょ」
「だな。じゃあ、交代で見張りをしながら休むとしよう」
とりあえずあたしの話題転換を気にすることもなく、あたしの意見に同意してくるゼルガディス達。
しかし…ゼルガディスがアレのことを知っていたとは…以外だわ……
とりあえず、今日のところはお休みなさい…ほんっとようやくゆっくりとこんな場所だけど休めそうだわ……
「やっとみえたぁぁっ!!」
いやほんと、長かった!!
「本当。携帯食糧もつきかけてましたしね」
どうやらシルフィールも同じ意見っぽい。
数日後。
延々と続くかとおもわれた荒野はゆっくりと自然をとりもどしていき、ようやく町並みがみえているこの現状。
しかし自然が見えてきた、とはいえ魔王の瘴気にあてられたのかほとんど立ち枯れていたが。
つまりは、そこに森などがあった痕跡はあれどすべて蝕まれ立ち枯れている状態。
ゆえに森などでの食料調達は当然できるはずもなく。
たよりはあたし達がそれぞれにもっている携帯食糧のみ。
そんな状況ではや数日。
水はどうにか浄化水を使って確保できたからいいものの。
あんなまずい食事でかなり餓えてきていたのも事実である。
何しろここにくるまで河という河もみなかったし。
川の一つでもあればお魚さんくらいはいるものを。
歩く途中で廃墟とかした村もいくつかみた。
こびりついている血の匂いとすでに蝕まれた人であったであろう死体の姿。
どうやら魔王の瘴気にあてられて人の死体までもが朽ち果てたらしい。
予測ではあるが、魔王の復活にともないレッサーデーモンなどが大量発生したはず。
おそらくそれらの襲撃をうけたのであろう。
大きな町や村ならどうにか自衛手段があるであろうが小さな村など自衛手段などもちえるはずもない。
視界の先にみえるのは、しっかりとした門構え。
門構えからしてどうやら視界の先にあるのはアトラスシティに間違いない。
「これでようやくふかふかのベットとおいしいものがたべられる~!!」
心からそう思う。
ずっと野宿はさすがにきついぞ!
まあ、廃墟とかした村とかで休んでいても何かこうゆっくり休めなかったのも事実だし。
しかも、荒野がようやく途切れたかとおもったら、なぜかいるわいるわの野良デーモンたち。
エルちゃんにもらった魔血玉で何とか魔力が完全回復してないまでも撃退はできてはいるが。
はっきりいってもう少しゆっくりと休みたいのが本音である。
「ようやくまともなご飯がたべられるのね……」
ナーガもまたそんなことをいっていたりする。
野良デーモンとかって倒したら消滅してしまうので何ものこらないし。
まだ、オーガやトロルとかなら死体がのこるからまずいけど肉くらい確保できるのに。
あたしもナーガも今だに髪の毛の色は完全に回復していない。
ぱっとみため、薄い栗色なので光加減によっては金髪にみえなくもない。
ナーガにおいては薄茶色っぽくなっている。
「何だかえらく長い旅になっちまったなぁ~」
たしかに。
ガウリイと出会ってからほんといろいろあったからなぁ。
あの場からアトラスまで約十日もかからない距離だったというのに。
「そういえば。シルフィール。あんたこれからどうするの?」
「そうですね。まずは光の剣を狙う邪悪な魔導師からガウリイ様をお守りしようかと」
・・・・・・・・
「ってまていっ!まさかその邪悪な魔導師ってあたしのことじゃないでしょうね!?」
「他にいないでしょう?それでなくてもガウリイ様が寝ているスキに剣に手をかけていましたわよね?」
うぐっ。
「そ、それはただほら。あたしも魔道士として純粋に光の剣の仕組みが気になるわけで……
それに、ガウリイは光の剣をあたしにくれる約束してるしっ!」
「してないっ!」
間髪いれずにあたしの言葉にガウリイが突っ込みをいれてくる。
ちっ。
なかなかしぶとい。
このあたりで観念してあたしにくれればいいものを。
「わたくしの親戚はもうセイルーンにしかおりません。故郷であるサイラーグもすでに壊滅してますし…
ここから一人でセイルーンに向かうより、わたくしはガウリイ様をお守りすることを優先します。
それに、そちららのエルちゃんの家族のことも気になりますし」
「…本当はガウリイと一緒にいたいだけだったりして……」
「そ、そんなことはありませんわっ!」
あ、真っ赤になった。
というか、いまだにガウリイに愛想尽かしてないのがあたしとしてはすごいとおもう。
ガウリイのやつ、いまだにシルフィールの名前…まちがえてるし……
「ゼルガディスさんはどうするんですか?」
仇、とおもっていたときにはさんづけなどしていなかったが、魔王との戦い以後、シルフィールはゼルガディスをさんづけして呼んでいる。
どこかできっとふっきれた証だとあたしはみているが。
「そうだな。俺はそろそろこのへんで失礼させてもらう」
「え?」
唐突といえば唐突のゼルガディスのセリフ。
「何でだ?ロデガデスもおいしいものたべたいだろ?」
「ゼ・ル・ガ・ディスだ!いい加減に人の名前を間違えるのはやめてくれ!
俺はいままでいろんなことをやらかしてきてるしな。顔もそこそこ知られている。
ああいう大きな町はやばいんだ。こういう目立つ風貌しているしな」
こいつもな~。
そこまで自分を卑下しなくてもいいとおもうけど。
「なぁにいってるのよ!大丈夫にきまってるでしょ!それに!
まだあんたにあたしは何もおごってもらってないわよっ!」
「って誰がおごるっていった!」
「あたしが今きめた」
「あ、あのなぁっ!」
「何いってるのよ!あの宝石、結構ねが張るものだとおもうのにあたしはちゃんとあんたにあげたのよ!
それくらいの見返りあってもいいじゃないっ!!」
魔力がかなり感じたことからあれも一種の魔力増幅アイテムのはずなのに!
それをあたしは親切にもレゾの形見になるだろうから、とゼルガディスに渡したのだ。
それくらいの見返りをもとめて何がわるいっ!
「風貌云々いうんだったら今のアトラスは問題ないとおもうぞ?何かいろいろと傭兵募集してたみたいだし」
そういえば、ここさいきん、広く傭兵募集をアトラスシティの誰かが募集してたっけ?
「お~ほっほっほっ!ここで逃げ出すなんてゆるさないわよ!
まだ私に約束した金貨もはらってもらってないしね!」
ナーガのやつはいまだにどうやらゼルガディスがはじめのころにいっていた女神像の金額をいっているらしい。
お金のことに関してはナーガは執念深いからなぁ。
…とりあえず、きれいさっぱりと砂金のことは忘れているっぽいのでいわないでおこう。
「…こいつがこういいだしたらず~~とおいかけるわよ?それより何かおごっといたほうがみのためよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あたしの言葉になぜかしばらく無言となり、大きく溜息をつき、
「…しかたがない。ならここの宿代と食事代は俺がもとう……」
どこか諦めの境地に悟ったようにいってくる。
おっしゃ!
「よかったわねぇ。エルちゃん。ゼルがあたしたち全員の食事代と宿代おごってくれるって」
「うん」
「って誰が全員分っていった!」
「今あんたがいったじゃない。宿代と食事代はもとう、って」
男たるもの、口に出した以上守ってもらわねば。
「…まったく。あんたはほんとうにあのリナ=インバースだよ。わかった。それでいい」
「お~ほっほっほっ!たべるわよぉぉ!」
「そういえば、ガウリイはどうするの?約束はここまで、だったわよね?
もっとも、あたしはガウリイが剣をゆずってくれるまでずっと追っかけするけどね!」
「何いってるのよ!リナ!光の剣は私のものよ!」
「いいや!あたしの!」
「二人とも!ガウリイ様の剣はガウリイ様だけのものですっ!ガウリイ様のものならわたくしがほしいですっ!」
「何いってんのよ!光の剣よ!光の剣!魔道の研究もかなりはかどる品よ!」
「お~ほっほっ!安心して!私の家で家宝にしてさしあげるわっ!」
「ナーガの家なんて安心できるか!あんたのことだからどっかに売り飛ばすにきまってるっ!」
「・・・なあ、何かオレそっちのけで話しがすすんでないか?」
「あきらめろ。こいつらにはおそらく何をいっても無駄だ」
どういう意味かしら?
負けずと言い合うあたし達の横でそんな会話をしているガウリイとゼルガディス。
「そんなことより。はやくみんな、町の中にはいりましょ?」
「…おまえら。小さな子供にいわれてどうする……」
今だにいいあっているあたし達とは対照的に、すたすたと町のほうにとあるいてゆくエルちゃんの姿。
「ふっ。一時休戦よ。こうなったら食べ比べで勝負よ!」
「お~ほっほっほっ!のぞむところよっ!」
「わ、わたくしもまけませんわっ!」
「いや、だからオレは誰にもやらないって……」
何かぼそっとガウリイがいってるけど、このさいそれは問題ではない!
絶対に光の剣は手にいれてみせるわよ!
そのまえに、たらふくおいしいものを食べるのを忘れずに。
そういえば、あれだけ広い範囲で荒野になり果ててたけど・・・報告、必要かなぁ?
…下手にしないほうがいいか。
……ややこしい手続きとか面倒なことに巻き込まれてもいやだし。
それに少しきになっているんだけど、サイラーグの今の状況。
シルフィールはすでに廃墟となっている。
とはいうけど、それも少しきになるしね。
アトラス・シティによったらまずは魔道士協会にたちよってみますか。
しっかし。
ナーガのやつ、ぬけがけしないように見張っとかないとなぁ。
あいつだけはほんっと信用ならないんだからっ!
目指すアトラス・シティはすぐ目の前。
しばらくこの町でゆっくりと体力回復かねて情報収集とでもいくとしますかね♪
-終わり・エピローグへー
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あとがきもどき:
薫:ちなみに、シルフィールは復活にてゼルガディス達のけがを直してます。
その効果がちと異なり、?マークをシルフィールが浮かべたのはここだけの話(笑
こっそりとエル様が干渉して金色の光につつまれての完治となってますのですよvええ(こらこら
さくっと決着ついた魔王戦。
しかし内容はかなりリナたちからしてみればかなりハードです。
さくっと流してはいますがたえず炎の龍がおそいかかり、ガウさんが頑張って駆逐してます。
しかし、その原動力が魔王の魔力。
ゆえにつきることなくふえていき、あるいみ無限ともいえる敵さんと戦っているガウリイだったり(まて
とうぜん、やけどとかもガウリイも体力的にきつくてするわけで…
リナやナーガは自分たちの術の制御でそこまで気がまわっておりませんがね。
え?エル様は何してるのかって?
もちろん、おもしろがって傍観しておりますが、リナの意識の浮上したあの言葉。
あれがけっこうネックになってたり。
というわけで(何が?)エピローグも魔王&レゾサイドにするのですv
ではエピローグにて~♪
しかし、ぽそっと…死の入り江…イルマートであってたよな?(確認せずに打ち込みしたひと)
2009年5月16日(土)某日
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