まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

さてさて、ようやくこの物語のみの設定さんとかがでしゃばる模様(まて
あと、なつかしのメンバー?(といえるのか?)とかがちらっとでてきたり。
そういえば、彼ら…あれからどんな処罰をうけたのでしょうねぇ?
全体責任はまちがいない、とはおもうのですが…
そんなことをおもいつつ、逃亡者?達に登場してもらっていたりします。
何はともあれゆくのですv

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リトル・スレイヤーズ ~伝説の定説と真実?~

「ガウリイ様。本当に赤眼の魔王ルビーアイ・シャブラニグドゥを知らないのですか?」
翌日。
なぜかあたしたちと行動を一緒にする、といってきたシルフィール達。
断ってあまりしつこく断ると怪しんでいるのがわかってしまう。
何より敵を知るに行動をともにするのはうってつけ。
ゆえにそろって階下の食堂にて食事をしているあたしたち。
レゾは外を外を見てくる、といって朝からどこかにいったらしい。
あたしの予測通りならばあの彼らとコンタクトを取りにいったのであろう。
「ん~。やっぱりわからないな。有名なのか?」
・・・・・・・・・・・・・
『は~……』
溜息はあたしとシルフィール、ほぼ同時。
「あたしが説明するわ。ガウリイお兄ちゃん。昔話とおもって聞いて。
  今からこの惑星でいうと約四十五億年前からになるけど。細かいことはおいといて。ここでの通説で説明すると……」
惑星?
はて?
「この世界にはここ以外にもいろいろな世界があるの。まあいろんな町や村があるのようにね。
  それが世界、という枠にかわっているだけ」
そ~きたか。
しかし三歳児の説明ではないような…はて?
「そしてそれぞれその世界ではそれぞれの理のもとにすべては動いているの」
「?」
「・・・子供の説明で首をかしげるなっ!!」
気持ちはわからなくもないが。
「子供?やっぱりこの子はお二人の!?いやぁっ!!」
「あ~!話しがややこしくなるでしょうがっ!違うっていってるでしょ!?」
どうもシルフィールはまだエルちゃんの両親にあたしとガウリイを疑っているようである。
というか数日前に初めて出会っただけで子供がいるかっ!
「ともかく。あたしがかわりに説明するわ。
  エルちゃんのいうとおり、この世界にはあたしたちが住んでいる世界は別にいくつもの世界が存在しているの。
  そのすべての世界は遠い昔、何者かの手によって混沌の海にと付き立てられた無数の杖の上にあるのよ。
  そしてそれぞれの世界は丸く、平で…そうね。地面につったった棒の上にのっかっているパイか何か。
  そんな所を想像してもらったらいいわ」
「…パイでなくてリンゴとか球体のほうが説明的にはいいけど……」
ぽそっとジュースをのみつつエルちゃんがいってくる。
あ~、たしかに球体、といったほうがいいかもしれないが。
こいつの説明するのにそういえば余計にこんがらがりそうである。
かくいうあたしは以前、世界が本当に平なのか実験し……
…結果、つきることのない大地にその可能性を考えているのでエルちゃんの言葉の意味もわからなくもない。
そもそも、王宮で世界地図、として見せられたソレからしても平というより球体のほうがしっくりくる。
「とにかく。そんな世界の一つがあたしたちがいますんでいるここ、よ」
いって、とんっと下を指さす。
ちなみにあたしがいま説明したことは、一般の魔導師仲間の中での通説になっている。
が、あたしはそうではない、と確信している。
いってもガウリイを混乱させるだけなのでいわないが。
「そのそれぞれの世界を巡って、はるかな昔から戦い続けている二つの存在があるのですわ。ガウリイ様。
  ひとつはわたくしたち、巫女や神官が信仰している神々。そしてもう一つは魔族。
  この二つの勢力が戦いつづけているのですわ」
あたしに続いてシルフィールが説明をつづけるけど。
「神々は世界を存続させて守ろうとするもの。
  魔族はその意思と力にてこの世界そのものを滅し混沌の海へ世界を還そうとするもの。
  定説では彼らは【杖】を巡って争っている、ともいわれているわ」
まったく見当違いの定説もいいところ。
あたしもきっとゼフィーリアにいなければ真実は勘違いしているままだっただろう。
「わたくしたちの住んでいるこの世界では、
   赤眼の魔王・シャブラニグドゥと赤の竜神スィーフィード様とが世界の存続をかけて争っていたのですわ。
  戦いは幾百、幾数千年にも及んだ、と伝わっております。
  しかし、我らが神、スィーフィード様は魔王の体を七つに立ちきり、
  そしてそれらをこの世界の至るところに封じ込めた、と言われています」
シルフィールがあたしに続いて説明してくる。
シルフィールの説明もこれまた通説だが、あたしはこれにも異議を唱えたい。
そもそも、神々と魔族、は物質的存在であるあたしたち人間と違い精神生命体に近い存在。
つまり、体を云々、ということ自体がまちがっている。
その疑問をかつてうちの姉ちゃんにぶつけてあっさりと肯定されたという事実もある。
ついでにその【いたるところへ封印】、というのは実際は『人の魂の内』であるらしい。
説明したらややこしくなりそうなのでひとまず今はいわないでおく。
「つまり、スィー何とかっていうのがかったのか?」
わかってない。
「それは違うわ。魔王の魂を七つにわけて封じただけよ」
「?タマシイ?」
「?でも体を七つに分けられたら死ぬじゃないか」
あたしの言葉にシルィールが首をかしげ、ガウリイがきょとんとした声をだしてくる。
「人間って自分の定義で物事をみて図るのが欠点といえば欠点よね」
ぽそっとさらっとすごいことをいっているエルちゃん。
…だから、エルちゃん、あんた本当に子供?
まあ、ませた子供ってかなりいるし。
かくいうあたしもその一人だったし。
このエルちゃんもおそらく大人びた子どもの一人なのだろう。
「まあ、エルちゃんのいうことも最もだけど。とにかくそくくらいでしぬようじゃ魔王とはいえないわよ。
  一応魔王を封じ込めはしたものの、さすがの竜神も力つき、混沌の海へと沈んでいった」
と、言われてはいるが。
実は違ったりするのだ、これがまた。
「無責任なんじゃ?」
「それは心配いりませんわ。ガウリイ様。万が一の魔王の復活を恐れ、スィーフィード様は力つきる前に、
  地竜王様、天竜王様、火竜王様、水竜王様、という四体の自らの分身ともいえる神々を創り出し、
  この世界の東西南北をまかせられたのですわ。それがいまから五千年前のことだと言われています」
というか、永遠の女王エターナルクイーンいわく、四人の竜王達はそれより前からいたらしいが。
話しがややこしくなるのでここはいわないでおくに限る。
「今から約千年前。魔王が…正確にいえば七つに分けられていた魔王の魂の一つが復活したの。
  魔王は自らの器となった人間の肉体と精神をのっとって、そしてそれらを利用して自らをよみがえらせた。
  それは当時北を収めていた水竜王ラグラディアに対し戦いを挑んだの。
  自らの五人の部下に命じ他の竜王達が干渉できないよう結界を張らせてね。
  あたしたちの世界が【外】に出れないのはその時の結界がまだ生きているからよ。
  話によれば同じ『竜』という属性を利用して、
  魔王の部下の一人、魔竜王ガーヴをひきつれて赤眼の魔王・シャブラニグドゥは水竜王に戦いを挑んだ。
  結果、魔王が勝つにはかったけど、魔王自身も氷の封印をくらいみうごきがとれなくなってしまったの。
  それがいま、カタート山脈にいる、という北の魔王のことよ。あの地はかつては水竜王の神殿があった場所なの」
「リナさん。ずいぶんと詳しいんですね。そのガーヴ云々、というのはわたくしも初耳ですわ」
「ちょっとした情報を信じられるところからきいているしね」
そもそも、ゼフィーリアの王国お抱えの神官や巫女ならば誰でも知っている。
ゼフィーリアの魔道士協会においても、
ある程度のレベルに達すると【王宮】から多少の真実が伝えられたりするのはゼフィーリアのお国柄。
ちなみにいうまでもなくゼフィーリアはあたしの故郷である。
「あいうち?しかしなんか不毛だな~」
「光と闇は必要ではあるけどね。バランスを保つためにも」
ガウリイの言葉にぽそっとつぶやくエルちゃん。

「と、とにかく魔王はうごけなくなったけど、今だに魔王の部下の張った結界は健在。
  そしてその結界の中には【竜王】はもういない。
  だから【ここ】、結界の中となるこの区域は俗にいう闇の獣が闊歩してるのよ」
「その結界って何なんだ?」
あ~、そこも説明しないといけないのか。
普通常識中の常識の知識でしょうに。
「群狼島。滅びの砂漠。カタート山脈のさらに北の北の拠点るそして魔海。東西南北に存在している闇の拠点のことよ」
実際、それらの場所を目指していって戻ってきたものは…いないらしい。
「滅びの砂漠はエルメキア帝国にも隣接している砂漠地帯のこと。
  北の拠点はカタート山脈をはさんだ更に北なので詳しいことは誰にもわからないわ。
  群狼の島は…セルティーグや沿岸諸国連合のはるか南の海に位置している、といわれているわ。
  ここ、ライゼール帝国からいけばはるか東の海に魔海、と呼ばれている場所があるの。
  その四つを点としてこの区域は結界が張られているの。
面倒なので一応、荷物の中からこのあたりの地図を取り出し丁寧にと説明しておく。
こいつには何か目安になるものがあったほうが理解してもらえやすそうである。
「そういや、エルメキアのはるか西に立ち入ったらもどってこられないっていう砂漠があるなぁ」
「それが滅びの砂漠よ」
どうやら地図と言葉で何とか納得はしたらしい。
理解しているかはともかくとして。
「そしてあのゼルガディスはそんな魔王を復活させようとしているのですわ。
  その為にお父様を殺し、町までも……」
シルフィールがそういいうつむくが、あたしは実はあの彼を疑ってはいない。
思いこんでいるシルフィールには酷ではあろうがあたしが疑っているのは…レゾである。
「よくわからんが。でもおまえさん、あいつや、それにあの紅いやつのことあんまり信用してなかっただろ?」
ほ~。
「あら、見るところはちゃんとみてるのね」
かなり以外だが、何もかんがえてない、という訳ではなさそうである。
「まあね。彼が本物のレゾだ、っていう保証はどこにもないわ。ほとんど伝説に近い人物だし。
  ここ十年ばかし姿をみたっていう人も噂もきかないし」
「レゾの名をかたって近づこうとする奴らの仲間かもしれないってわけだ」
「そういうこと」
伊達にどうやら傭兵稼業はやってなさそうである。
そのあたりの頭の回転は一応まともに働くらしい。
「ひどいっ!リナさんもガウリイ様も!あの御方はレゾ様ですっ!!
  ゼルガディスのたくらみのあの御方がいなければわかりませんでした!」
いや、だから怪しいんだってば。
「盲目的に信じるのはどうかとおもうわよ?」
「リナさんは知らないからっ!!町が…もどったら消滅していて呆然としているわたくしを助けてくださったのは…っ!」
そりゃ、うちひしがれていたときに優しくされれば信じたくなる気持ちはわかる。
わかるが。
「あたしは可能性をいってるの。裏切られたときの可能性を含めてね」
「レゾ様はそんな御方ではありませんっ!!」
だんっと机をたたきながらもいいきり立ちあがるシルフィール。
あらら。
こりゃ、何をいっても無駄っぽいわ。
でもほんと、アレは信じないほうが絶対にいいとおもう。
もしかしたらこのシルフィールは今まで人を疑う、ということを知らずに育っているのかもしれない。
まあ、神官長とかいったらけっこう裕福な家庭…だしねぇ。
おそらくは箱入り娘、だったとみた。
結局、あたしが何をいっても無駄らしく、険悪な雰囲気のままその場はお開きに。
何だかな~。

「う~ん。いい天気」
「だな~」
「?シルフィールさん?」
のんびりとあるきつつも、つぶやくあたしとガウリイ。
シルフィールはあれから…すなわち、朝食のときから一言もあたしと口を聞いてはいない。
そんなシルフィールにレゾが声をかけていたりする。
ちなみに、レゾが先頭をいき、次にシルフィール。
あたしとガウリイとエルちゃんはその後、という並びでの歩き旅。
エルちゃんはずっとあたしの後に隠れるようにしているし。
何だかなぁ。
しかもご丁寧に宿の人にもらったのか顔をすっぽり隠す黒いフードまでかぶって顔を覆い隠している。
レゾのやつもよくもまあここまで徹底的に嫌われているものよね。
ちなみに、あたしたちの後にはちょっとした光景がついさっきまで広がっていた。
「しかし。おまえさん、大丈夫なのか?」
「平気」
というか、ガウリイに抱っこされている状態のほうがきつい。
先ほどレゾが様子を見てくる、とあたしたちから離れてしばらくしてあたしたちは計ったようにと襲撃をうけた。
そのほとんどをガウリイが片づけたのだが。
あたしとしても、呪文の一つでもはなってストレスを発散させたかったのだが。
こればっかりは仕方がない。
何しろ今朝がた始まってしまったのだから。
正確にいえば今朝がたには兆候があり、つい先ほど、というほうが正しいのだが。
うっかり、今だに怒ってずんずんと先をいっているシルフィールをかばって
相手を帰り打ちにしたときにちょっと相手の攻撃がかすってしまったのは不覚であった。
というか襲撃されただけでパニックにならないでよね、シルフィール……
動くと下腹部に鈍い痛みが襲いくる。
そろそろ、とはおもってはいたが、こういうときになるとは面倒極まりない。
その証拠に回復呪文のききがやたらと遅い。
理由は簡単。
あたしは痛みに対するこらえ性があまりなく、精神集中がおざなりになっているからである。
シルフィールをかばったときに、おもいっきりわきばらをざっくりと。
シルフィールにそれを気づかれたくないのでのほほんとしているように見せかけて、
あえてガウリイにすべてをまかしたのだが。
どうやらガウリイはごまかせなかったらしく、いきなり傷口をさわってきやがったのだ。こいつは。
シルフィールはそんなのほほんとしているあたしをみて批難の視線を向けていたが、ガウリイの手をみて顔色を変えた。
ガウリイの手はあたしの怪我による血でべっとりと赤くそまっていたりしたのだ。
これがまた。
どうやら血の匂いでけがをしたのを気づかれていたらしい。
「そんな顔しないでよ。もうちゃんと傷はふさがったから」
痛みがあるのは別の理由だし。
今だに心配そうな目でみてくるガウリイにひとまず答える。
「無理するなよ?」
「つうか、あんたの持論はわかったから。大丈夫だって」
この男いわく、何でも女子供には優しくしろ。
というのが彼の祖母の遺言だったらしい。
どうやらかなりのお婆ちゃんっこだったとみた。
「そういや。何か『鍵』とかいってたけど。その鍵ってどういう意味なんだ?どこかに錠でもあるのか?」
こ…こいつは。
昨日の話。
しかも今ごろになって気づいたようにきいてきますか。
そうですか。
…ま、いいけどね。
「鍵、というのは魔道の用語よ。文字通りそういうことができるのよ。
  セイルーンとか魔道の発達している都市や金持ち貴族の屋敷などにも
  そういう仕掛けがあるっていうのはきいたことがあるわ。実際にあたしもめにしたことがあるし。
  たとえば中庭にある泉に若い女の人が入ると宝物倉の扉が開く、とかね。
  この場合は【若い女の人】、というのが鍵にあたるわけ」
しかもあれは十代の女の子、というのが条件だったので寒い冬だったのできつかった。
しかも倉の中にあったのはろくでもない品ばかりで…いやまあ、今はそんなことはどうでもいいか。
「つまり、カギは何でもいいんだ」
「そういうこと」
どうやらそれで納得したようである。
レゾはあたしがガウリイから降ろしてもらってしばらくしてから戻ってきた。
そして、『何かあったのですか?』ときたもんだ。
それでもまだシルフィールはレゾを信じているっぽい。
「何でもありません。レゾ様。レゾ様はどちらにいかれていたのですか?」
「少し気配を感じましてね。しかし襲撃があったとは…ともかく皆さん、無事で何よりです」
シルフィールの言葉ににこやかに答えているレゾ。
というか、彼らと打ち合わせをしていた、とおもうのはあたしの気のせいだ、とは思えない。
「とりあえず、この先に村があるようです。そこでひとまず休憩しましょう」
「わかりましたわ」
有無を言わさずとはさすがといわざるを得ない。
シルフィールもあっさりとうなづくんじゃないっ!
…あたしの予感ではその村にすでに何かをしかけているとみた。
あたしのこういった場合の勘は結構よくあたる。
「しかし。さすがに村のある人里近くでは何もしてこないでしょう」
視線の先に見えてくるひとつの村。
にこやかに、それが当然とばかりにそんなことをいってくるが、わざとそれを強調しているとしかおもえない。
「どうやらリナさんはあの日に突入してしまったようですし。少しは休んで体力と魔力を回復させませんとね」
「レゾ様?」
「ああ。血臭、ですよ。リナさんのほうからしてきますし。怪我をされたのではないのでしょう?」
びくり。
怪我、という言葉にシルフィールが反応する。
何だかなぁ。
あからさまに血臭、といわれておもわず顔が赤くなる。
「しかし、だからというわけではありませんけどね。注意はおこたらないでおきましょう。
  気の緩むその瞬間を狙っているかもしれませんしね」
笑みを浮かべたままでそんなことをいってくるレゾ。
そういうことはいわれなくても油断なんてみせないわよっ!
それでなくてもいくらあたしが天才魔導師だからといっても今は不利。
女性の体が子供を産むことができるようになっている以上、
ちょっとばかり月に一度は苦しまなければならない時期がやってくる。
人によっては月に二度、あるいは不規則。
それに前後するかのようにそのピーク時やその前後やその期間中。
女の魔道士、視子や僧侶などはその霊力が著しいく減退し、人によっては完全にその時のみ力を失う。
それの間、処女性を失い普通の女になってしまうからだ、というのが世間一般での解釈。
だが、そんなわけはない。
ただ単に精神統一の問題である。
その証拠に処女性云々、というのであれば子持ちの女性の僧侶とか巫女とかがかなりいる理由に説明がつかない。
そんな理由だったとすれば、乙女でなくなったら力は使えない、ということになってしまう。
何ともバカらしい通説である。
それでも、それが通説となっているのはどこか神聖さをもたせたい男の身勝手だ。
あたしはそう思っている。
事実、あたしの周囲の人たちも子供とかいても思いっきり呪文は使えるし。
子持ちの神官、というのもざらなのだから。
世の中、通説と現実との矛盾、というのはよくあること。
そんな会話をしつつも、やがてあたしたちがたどり着いたのはごく小さな村。
街道の側面から並ぶ小さな石づくりの家々が垣間見える。
ごく普通の小さな村。
村の西に広がっている麦畑。
ひとまず今日のところはあたしたちはここで一泊することに。

足音がする。
気のせいではない。
あたしが宿で床についてしばらくしてのこと。
お腹の痛みになかなか寝付けなかったのであたしのすこぶる性能のいい耳がその忍び足、ともいえる音を目ざとく捉える。
しかもその足音は、遅くまでのんだくれていた人がやっと腰をあげて自分の部屋にともどってゆく。
そういう部類の足音ではない。
複数の人間ができるだけ足音を忍ばせてあるいている。
そういった音。
まだマントもすぐそばにおいたままの格好だったので術を唱えて痛みを緩和させた後、すばやくマントをはおる。
「エルちゃん。念のため外にでててね」
一階部分しかない宿屋なのでけっこう楽。
おそらく彼らの狙いはこのあたし。
隣のベットというか一緒のペットの中にいたエルちゃんにいうとこくり、とうなづき、
鞄を背負ってひょいっと窓から外へとでてゆく。
そしてそれとほぼ同時。
突然扉が蹴破られ、いく人もの人影が部屋の中にとなだれ込んでくる。
眠り込んでいるはずのあたしの姿は、当然ベットの上にはない。
「どこだ!?」
一人が叫ぶ。
が、すでに呪文の詠唱は済んでいる。
あたしは扉のそばでこっそりと隠れて…というか扉の向きを考えてしゃがんでいただけなのだが。
それと同時、あたしの手の中に生まれる輝く光の球。
火炎球ファイアーボール!!」
あたしの声をきき、あわてて人影がふりむくが、遅いっ!
部屋の中に投げ込むと同時に、ドアを閉めて通路へと出る。
密室ないで炸裂した火炎球はいうまでもなく威力を数倍にする。
ゴウンッ!!
かなり派手な音が周囲に響く。
あたしの火炎球は絶好調のときならば鉄すら溶かす。
が……
「大丈夫か?!」
ガウリイがいいつつも部屋から飛び出してくる。
どうやらガウリイの部屋にも刺客がいたらしく、数匹のトロルらしきものが倒れているのがみてとれる。
「刺客よ!」
「やったのか?」
「わからない」
正直なところ、本当にわからない。
気配はまだ部屋の中に残っている。
と、バタンと部屋の扉が開き、焦げくさいにおいとともにいくつかの人影が炎にまかれながらも飛び出してくる。
やっぱし。
痛みのせいで術にたいして集中力が散漫になってたか!
すかさずガウリイが剣を抜いて切りつける。
よくよく見れば相手は剣と簡単な鎧とで武装しているトロルたちである。
「あの子は?」
「ひとまず外に避難させたわ」
「ならお前はあの子を守れ!ここは何とかする」
たしかにそれも一理ある。
小さな子供を一人にしておくなど危険すぎる。
幾匹か倒れているトロルたちを文声あたしはひとまず、こげたままの窓から外へとでる。
外へでてみておもわず唖然。
村はすでにかなりの数のトロル達によって埋め尽くされている。
そしてまた、トロルの大群に交じって初めて見る顔がいくつもある。
一人は獣人、とおもうがどうみても二本足でたっている犬。
そして半魚人。
この半魚人はひとに近い種族からまったく魚に近い種族がある。
ここにいるのは後者。
そして例のミイラ男。
…まだいたのか、あいつは。
そしてまた、がっしりした体格の先日ともにやってきた男性。
そして何よりも……
「お~ほっほっほっ!ついに観念するのね!リナ!!」
…やっぱり敵側にいるし、こいつは。
と。
「ゼルガディス!もうにがしません!」
何か村の中心あたりから聞こえてくるとある声。
村の中心にあるちょっとした広場。
声を頼りに移動してみればシルフィールと対峙している男たちの姿が垣間見える。
その中央の真ん中に一人の男がたっている。
コートのような服をきた二十歳前後のけっこう整った顔立ち。
しかしその肌は青黒い岩のような何かでできている。
頭に頂く銀色の髪の毛はおそらく無数の金属の糸。
そしてその手にしているブロード・ソード。
「久しぶりね。ゼルディガス」
あたしの声に、
「ゼルガディスだ」
本人がご丁寧にも訂正してくる。
「やれやれ。名前なんかどうでもいいだろう?
  要はこの女から神像をいただければそれで終わりだ。あの御方も酔狂なこって」
やはり、周囲を見渡してもレゾがいない。
今のこの獣人の言葉であたしは完全にと確信する。
やはり、本当の黒幕は――
顔はほとんど狼。
でも体型は人間でレーザーアーマーなんかを着こんでおおぶりの円月刀シミターなんぞをかついでそんなことをいってくる。
「ディルギア!」
「そういやこいつらにはまだものが正確には何かいってなかったってことだったな。
  でもあの御方やそこの女からいろいろ聞いているかもしれないぜ?」
…いるのよね。
何も考えてないやつって。
ゼルガディスの叱責の声に何でもないように言い放ち、
「どのみち、こいつらはここで死ぬんだしな」
ほほ~。
「やけに大きいことをいってくれるわねぇ。弱そうなやつばっかで」
この場合、この場にいるトロルたちに対しては例の術が有効っぽい。
…あまりやりたくないけど。
「とにかく。再度問う。大人しく女神像を渡せ。でないとこの村のやつらまで巻き込まれることになる」
「何をいまさらっ!サイラーグをあんな目にあわせて!」
そんなシルフィールの声をききゼルガディスの瞳にまたまたうかぶ憐みの色。
「別にかまわないし」
きっぱりはっきりいうあたしにたいし、なぜか呆れた顔でこちらをみてくるシルフィールとそしてなぜかゼルガディス。
しかしここまで騒いでいても誰も出てこないとは、これはやはり……
「ゼルガディス。こ、ここはボクが……」
半魚人らしき男…だとおもう、とにかくそれがすっと前にでてくる。
女なのかもしれないがこのさいそれはどうでもいい。
「覚悟しろ。ボ、ボクはゼルガディス様のイチの子分なんだな」
つ~か、そのぬめっとした体は精神衛生上よろしくない。
「お~ほっほっほっ!何をたわけたことをいっているのかしら!
  リナを倒すのはこの白蛇のナーガ様にきまってるわっ!!」
…だああっ!
余計にややこしいやつがっ!!
「あれ?何か声がする、とおもったらゼロデスじゃないか。あと何であの嬢ちゃんがあっちにいるんだ?」
「あたしにきくなっ!」
高笑いとともに現れたナーガをみていってくるガウリイ。
おそらくナーガの高笑いを聞きつけてやってきたのであろう。
しかし、あのトロル達をもうやっつけてきたのか?こいつは?
「ナーガ!あっさりとそいつらと馴染むんじゃないわよっ!」
「お~ほっほっほっ!神像を売り払ったお金を一人占めにしようとしている人にいわれたくないわ!」
…話し、やっぱしつうじないし。
「…ゼルガディス。あんたのところ、結構人材不足よね」
ナーガを戦力にいれるだなんて、無謀もいいところ。
「その同情の視線はやめろ。俺だって自覚している。俺が動かせるやつはごくわずかだ」
しみじみいうあたしの言葉にそんなことをいってくる。
なるほど。
「ゾルフのやつは、魔術の本質を理解してないがあいつの術は役にたつ。
  そういえば、宿に向けておいたロディマスはどうした?」
ほ~。
あの体格のいいおっちゃん、ロディマスっていうんだ。
そういや前なんかそんな名前をきいたような気もしなくもないけど、あまり覚えてないし。
何か騎士道精神っぽい感覚を受けたけど。
ちなみに、さきほどあたしの部屋やってきた刺客らしき人物の一人のこととみた。
「こっちをみろ。お、お前のあいてはこの僕だ」
どうやら無視されてさみしかったらしい。
少しいじけているのか胸ヒレをパタパタうごかしつつ半魚人がいってくる。
そういやあんまりにも弱そうなんですっかり存在すら忘れてた。
「いくぞ」
つうか、何ができるっていうんだ?こいつ?
そういうと魚は変な格好をとると、
にゅるん。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いきなり二匹になってるし……
「なあ。あれって何かスライムとおなじ感覚がするんだけど?」
「あたしにきくなっ!あたしにっ!」
スライムの分裂よろしくあたしたちの目の前で増えてゆくお魚さん。
え~と、何といっていいものやら……
術…にしても何だかなぁ……
ガウリイと言い合っている間も半魚人はどんどん数を分裂させ増え続ける。
「どうだ?おそれをなして声もでまい?」
いやあきれてるんだってば。
「さあ、こうさんしろ。さもないと」
さもないと、といっても魚に何ができるのやら。
「おどるぞ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
「「「は?」」」
思わずあたしとガウリイ、そしてシルフィールの声が重なる。
いや、今、何て?
そういうと、半魚人はあたしたちをぐるりと取り囲み、いきなり変な歌詞をつけて踊りだす!
…ひ、ひどい、あまりにひどすぎる。
二十匹ほどの魚男が貧弱な手足をクネクネさせてそれに合わせてエラと胸ヒレを閉じたり開いたり……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
炸弾陣ディルブランド!!!」
ドゴガッ!!
あたしの声に応じてあたしの周囲の大地が吹き飛ぶ。
いうまでもなく呪文のアレンジ版。
そして続けざまにもう一発!
火炎球ファイアーボール!!」
数か所にかたまり倒れているそれらにととどめとばかりに呪文を解き放つ。
やがて周囲に香ばしい匂いが充満する。
「・・・・・・・・。さすがリナ=インバース。噂は伊達ではないな」
何か感心したようにゼルガディスがいってくるが。
「ちょっとリナ!あなた今、どさくさにまぎれて私にも火炎球を放ったでしょう!
  さては、あなた私の実力をおそれ……」
氷結弾フリーズブリッド!」
コッキン。
「よっし。静かになった」
『・・・・・・・・・・・・・・・』
それをみてなぜかあたし以外の全員がその場に一瞬硬直する。
「お前、それはさすがにひどいだろ?ヌンサに呪文を放った気持ちはわかるが」
判るんだ。
「いいのよ。ナーガだし」
つうかほっといたら何かと面倒。
「仕方ない。これ以上騒ぎを大きくすると村にも被害がでる。今日のところはひこう」
ゼルガディスがそういうのとほぼ同時、ゆらりとした動作で各家からでてくる村人たち。
しかも全員、その瞳は虚ろ。
これは・・・・傀儡くぐつの術?
それほど難しい術ではなく、単純な生き物にはかなりの効果がある。
しかし、これは……
普通、この十は一人の相手に対して、それもある程度の時間と道具をつかって行うもの。
だがこれはみたところ、村人すべてが操られているっぽい。
それぞれ村人達が家からでてころ広場へと集まってきているのがみてとれる。
「あなたという人は!村人に何をしたんですかっ!!」
いや、シルフィール。
あんたもこいつが何もしていないのをみてたでしょうに。
それでもこいつがやった、と思いこむか?普通?
「あいつ…眠らせる、といっていたのに……とにかく、ここはひこう。行くぞ」
何かそれをみて苦虫をつぶしたような顔をしてつぶやくとそのままくるりと向きをかえる。
ゼルガディスの合図とともに、残っていたトロルたちもまた退いてゆく。
「まちなさい!ゼルガディス!」
シルフィールがあとを追いかけようとするが、村人たちに阻まれてそれもできない。
じわりと村人に囲まれてゆくあたしたち。
と。
「おやおや。何があったんですか?」
ゼルガディスがいなくなるのと同時に、宿の方側からやってくるレゾ。
いかにもわざとらしい。
「何か不穏なことになってますねぇ」
そういうなりレゾは何かを唱え、それと同時に村人たちは大地に倒れ伏す。
「何かくるぞ!」
「え?」
ゼルガディス達が立ち去った方向に何か赤い光を放つものが落ちている。
どうやらルビーぽいけど。
それはゆっくりと巨大化していき、宝石らしき品物は人間の背丈ほどの大きさとなる。
そしてそのまま一気に破裂する。
パキィッン…
「くわぁっっっっっ!!」
何かが砕けるおとと、何ともいえない雄たけびの声。
そこには先ほどまでいなかったはずのドラゴンが一匹。
「ルビーの中にドラゴンが封じられていたようですね」
あたしを含め、何があったのかなんて説明していない。
しかもそれがルビーだ、だなんてひとこともいっていない。
しかもレゾは目が見えない。
なのに今、レゾははっきりとルビーといいきった。
「レゾ様!御無事でしたか!」
その違和感に気づかないのかレゾにかけよってゆくシルフィール。
しかし、ドラゴンか~。
「いやぁ、すいません。おそくなりまして」
「お疲れだったのでしょう。よくねていらっしゃいましたし」
いや、絶対に違う。
そんな二人の会話に思わず心の中で突っ込みをいれる。
「と、とにかく。村人たちを起こして安全な場所に避難させないと」
そういいつつ、何かを唱え始めるシルフィール。
そういや、このシルフィール、一応巫女だった。
あたしとしては村人たちを起こすのはやめといたほうがいいとおもう。
シルフィールの言葉と同時に目を覚ます人々。
が、彼らはあたしたちにむかって隠し持っていたらしい武器を手にしてむかってくる。
「な!?どうして!?」
シルフィールが何か叫んでいるけど。
あたしの予想が正しければ、彼らを操っているのはレゾである。
「リナさん。まずはドラゴンを!このままでは村に被害がでます!」
いいつつも、村人に近寄ってゆくシルフィールだし。
って何かんがえてんのよ!
あのお嬢様はっ!
「ちょっと!あぶないわよっ!」
「わたくしの力わもって人々を正気にもどしてみせます!」
いって村人たちにむかって何かを唱え出す。
が。
ドッン!
「きゃっ!?」
ドラゴンがいきなりシルフィールに対して攻撃を仕掛けて光を球を吐いてくる。
咄嗟に狙われていたシルフィールを突き飛ばす。
「何やってんのよ!あんたは!」
状況をよくきちんとみてほしいものだ。
「悲しい思いをするひとが、わたくしで最後にするためです。
  家族を失って泣く人々をこれ以上みたくありませんから」
あたしの抗議の声にそんなことをいってくる。
…何だかな~。
悲劇のヒロインに徹しているあまり、見なければいけない部分を見落としているとおもう。
この子は。
「とにかく。適材適所という言葉があるんだから。あんたは村人たちをもういっかい眠らせときなさい!」
そんなあたしの言葉とほぼ同時。
「お~ほっほっほっ!よくもやってくれたわね!リナ!」
「ナイスっ!ナーガ!」
よくもああいいタイミングで復活してきた!
風魔咆裂弾ボムディウィン!」
「んきゃぁぁ!?」
つっかかってこようとしたナーガに対し、攻撃呪文を解き放つ。
ただし、ドラゴンのほうにむかって吹き飛ばしただけ。
案の定、ドラゴンはナーガが自分に攻撃をしかけてきた、と判断し
問答無用でナーガに気をとられ攻撃をしかけていたりする。
ナーガもまた必至で逃げ回っていたり、攻撃してたりするけど、まあナーガは死ぬようなタマではない。
ドラゴンがナーガに気をとられているすきに…っと。
ふわり。
そのままそのあたりの木のてっぺんにふわりと浮かび上がり着地する。
「あ。やっほ~」
・・・・・・・・・・・・
「こんなところにいたんだ。無事?」
どうりで姿がみえない、とおもったら。
その木のてっぺん付近にみえる小さな金の影。
「うん」
どうやら危険を察知してこの木の上に移動していたらしい。
案外この子、応用力がある。
さすがあたしにそっくりのだけはあるっ!
って今はそれどころじゃないっ!
「黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの」
「「っ!その呪文は!?」」
あたしの声に気づいたシルフィールとレゾの顔色がかわる。
いつまでも手のひらの上で遊ばれているつもりはさらさらない。
「時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我ここに闇に誓わん」
これぞあたしの最も得意とする術。
人間の使える黒魔術の中では最強のもの、といわれている。
その名も。
「我が前にたちふさがりし すべてのおろかなるものに 我と汝の力もて 等しく滅びを与えんことをっ!」
竜破斬ドラグスレイブっ!!」
ドグワァァッン!!
あたりに…正確にいえばドラゴンを中心としたちょっとした火柱が周囲を覆い尽くしてゆく――
この術はアレンジ加減によって国ひとつまるまる滅ぼせる威力をもっている。
といっても使うのが人である以上、術者の魔力により威力は異なるが。
もともと、対ドラゴン用として作り上げられた、といわれている魔法で
一発で小さなお城くらいはらくらく軽く消し去ることができる。
これを使える魔道士を二、三人も抱えていればその国や組織はかなりおおきな顔ができる。
ちなみに、あたしがコレを覚えたのは十二歳のときである。
『・・・・・・・・・・・・』
「…おまえな~・・・・・」
なぜかあたしのほうに視線をむけて溜息をもらしながらつぶやいているガウリイに、
なぜか冷たい視線であたしを見上げているシルフィール。
ドラゴンはきれいに消え去っており、ついでにそこにはちょっとしたクレーターが出来上がっている。
さすがにまともに集中力が保てなかったがゆえかいつもより威力がかなり小さい。
しかも一発放っただけでむちゃくちゃに疲れる。
「リナさん!何てことを!!」
何かシルフィールがいってるようだけど、わざわざあたしのいる木の上のほうを見上げて。
というか未だに村人対策、シルフィール、何もしてないし。
村人たちはあたしの術をみてか、そのまま固まりじりじりとあとずさる。
「仕方ないですね~」
にこやかな笑みを浮かべたまま自然な動作でトンっと杖を大地につくレゾ。
次の瞬間。
ドロリ…
「…ひっ!?」
シルフィールの短い悲鳴。
木の上からでもわかる。
一体何がおこったのかが。
村人たちの姿がみるまに溶けて瞬く間にゾンビと化してゆく。
「ど…どうして!?」
シルフィールが叫ぶけど今のレゾの行動があたしはあやしいとおもう。
しかし、相手…第三者に気づかれることなくこんな真似ができるとは……
「何かの術がかけられていたようですね。苦しまずに逝かせてあげましょう」
悪びれもなく言い放ち、
浄化結界ホーリィブレス
にこやかにレゾがそういうと同時、周囲を淡い光が覆い尽くす。
ゾンビと化していた村人たちは一人残らずその身を滅し、光の中にと消滅してゆく――


                   -続くー

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おまけ♪

とうとう自分たちにまで追ってが迫ったのだ、そうおもった。
あの金髪の剣士がいるのが何よりの証拠。
どうにか追っての手を逃れてここに小さな村をつくり隠れて暮らしていたというのに。
賢者としても名高い赤法師レゾ様。
彼がそのことを教えてくださった。
あなたたちに意思があるのならば力を貸しますよ、と。
自分たちは表ざたになればまず罰せられるのは確実。
何も悪いことはしていないのに。
ただ、魔族にいわれて旅人達を殺していただけ。
その魔族はかつて旅の剣士とよくわからない男性にと滅ぼされた。
それから自分たちの苦難は始まった。
誰も自分たちのことをわかってはくれない。
脅威が他人ごとだから、正義のなのもとに自分たちをさばこうとする。
われわれとて、理不尽な裁きをうける気などさらさらない。
いきよう、としてどこがわるい。
自分たちは何も悪いことなどしていないのだから。
外に出れない以上、殺した人々の財産を奪って何がわるかった、というのか。
…他人はどうしてそれをわかってくれないのか……


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あとがきもどき:
薫:ちなみに、こちらのスレイヤーズ世界においては、ゼフィーリアの女王のもと。
  色の称号をあたえられるまでになった魔道士には基本的な真実な知識が伝わる。
  という設定にしてあります。一応、女王は水竜王の意識、らしいですしねぇ(苦笑
  なので当事者(?)から詳しい話をゼフィーリア関係者はある程度は知っている。
  そんな世界感にしております。
  とはいえ、それらをよそに吹聴するようなお国柄の人々でもなく。
  世間一般的にはやはりどこか間違った解釈のままの定説が一般的です。
  あと、リナたちが出向いた村。
  はい。おまけでもいいましたけど、例のリナ父とガウリイが解決した事件の村の人々です(まて
  リナと出会ったのがあれからすぐしばらく後、ということなので、あのあたりにある村だと踏まえまして。
  裁きをうけるのがいやで逃げ出していた人々の村なのですよ。
  ちなみに、廃墟となっていた場所をレゾが提供して村の形を整えていた、という設定にしております。
  そのあたりの設定をリナの一人称ではわからないのであえておまけで少しばかり村人サイドの感想をばv
  何はともあれ、ではまた次回にて♪

2009年4月17日(土)某日
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