まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
どうも、6P分がだいたい50K前後になるっぽい。
ほんっと何話になるのかな?これ?
もともとのスレイヤーズの原作そのまま、ともいっても過言でないのではありますが。
ちなみに、↓のはナーガの夢が面白そうだったので児童書版のほうから抜粋しました。
王宮での夢でもみてたんでしょうかね?
カラスの学校って何だろう?(まて
何はともあれゆくのです♪
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「むにゃむにゃ…リナちゃん。もうおなかいっぱい…しくしく、顔だけはやめて。顔だけは。
…むにゃ…メイドたちが一等賞~!…カラスの学校が…」
う~む……
ナーガと同室の部屋を割り当てられたはいいものの、ナーガのやつ、
一体どんな夢をみてるんだ?
…今度、ひとの夢の内容をみれる術でも研究してみる価値があるかもしんない……
リトル・スレイヤーズ ~お約束?~
「氷の矢!!」
冷気の矢を立て続けに放つ。
「ちょっとリナ!一体どうなってるのっ!?」
「いや、あたしに聞かれても」
それが本音。
ナーガが実は宿を壊した、とバレないうちに、世話になったからという理由で、
遠慮する宿のおばちゃんに小さな宝石をいくつか押しつけて村を出発したのが三日前。
その翌日からなぜかあたしたちは正体不明の敵に襲われまくっていたりする。
今も今で山道の中でコブリンの不意打ちがあったがあっさりと氷漬けにしてやりすごしたのだが。
あたしもナーガも悪人達にいろんな意味で有名で、中にはあたしを倒して名を上げようとする輩も多々といる。
かくゆうナーガもその一人だったりしたのだが。
何の因果か腐れ縁でいっしょに行動しているここ数年。
ひどい時には一日四、五回。
おかげで盗賊いじめ…もとい、退治どころではない。
襲われる原因はあたしかナーガか。
ガウリイに聞いても心当たりがない、というかどんな依頼を今まで受けたかすらよく覚えてない、ときた。
覚えとけよ…それくらい……
「しかし、本当に多いいな~」
「エルちゃん。大丈夫?」
こくり。
あたしのそばにくっついているエルちゃんにきくとこくりとうなづく。
何やかんやとあり、結局例の品物はとりあえずまだエルちゃんにもってもらっている。
ナーガは砂金のことをすっかり忘れているようだが、とてもいい傾向である。
ま、とりあえず何とか襲撃者を撃退したのでひとまず安心。
ガウリイはあたしとナーガが呪文をみて驚いていたが。
「女の子だけの旅ではそれも必要か」
などと変な納得をしていたりする。
というか、どうみてもあたしの格好からして魔導師以外の何ものでもない、とおもうのだが……
道中のさなかにある少し街道沿いから離れた位置にとある小さな宿屋。
ひとまずしばらくいくとその宿屋をみつけてそこにはいるあたしたち。
村長さんの家であらかた没収したお宝の品定めと屑宝石類の作業はすませてある。
傷ものの宝石類はそのままでは安く買いたたかれてしまう。
というかお金にならないこともざら。
ゆえに、そういった品は少し手を加えて『魔法道具』として護符に作り替えるとかなりの値でさばける。
それらはジュエルズアミュレット、と呼ばれペンダントなどに組み込んでも簡単な護符としても使えるし、
武器や防具に組み込めばその性能を増す特性をもっている。
ちなみにあたしが身につけているペンダントやバンダナ。
そして腰に指しているショートソードにも組み込んでいる。
オシャレでゴージャス、実用的。
中流以上の家庭で流行中。
…て、思わず商売人根性がでそうになり、はっと我にと戻る。
「しかし、こう毎日だと疲れるわね」
いいつつ、ストンとベットに腰掛けるナーガの姿。
「で?あんたはまたそこでねるの?」
「夜の見張りをするだけさ」
「…どうでもいいけど、寝るときは外にでてよね」
何でも危ないから、といってここ数日の見張りをほぼ毎日かってでているこのガウリイ。
交代制の見張りが一番望ましいのだが。
むろん、ナーガのみはりなんて当てにならないので問題外だが。
彼曰く、女子供にそんな役目をさせられない、ときたもんだ。
何でも彼の祖母の遺言が女子供には優しくしろ、というものだったらしい。
そんな遺言をわざわざ残すこいつの祖母っていったい……
まあ、当人がやる、というのだから無理にとめることでもない。
結果、このやり取りはこの三日ですでに定着しはじめている。
ふとみれば、エルちゃんはエルちゃんでボスン、とベットの中にすでにもぐりこんでいる。
どうでもいいけどよほどあの袋は大切なものなのかいつものように腕にかかえたままで。
そんないつものやり取りをしているそんなさなか。
コンコン。
扉をノックする音が。
「こんな時間に?」
「?お客さん?」
「二人とも。外に何人かいるぞ」
しかし扉の向こうから殺気は感じられない。
最も、襲ってくるつもりの輩ならばわざわざ扉をノックなどはしないだろうが。
しかし、感じる気配はただごとではない。
ドアの開く側…ドアの左側に張り付いて様子をうかがうガウリイ。
「「誰?」」
あたしとナーガの声が重なる。
「――あんたたちと取引がしたい。あんたたちのもっているあるものをそちらの言い値でかいとりたい」
扉の外にいる【誰か】がそんなことをいってくる。
「あやしいわね」
ナーガの台詞に今回ばかりはあたしも同感。
「当たり前だ。言ってて自分でもかなり怪しいとおもうよ。
普通ならこんなやつ、部屋の中にいれたり話しを聞こうとはせんぞ」
おいおい。
自分でそういうか?
「じゃぁ、ご忠告に従って部屋の中には入れないでおくにするわ。話し合いもね」
何しろこっちには小さな女の子もいるのである。
それにあたしもゆっくりと休みたい。
「まあまってくれ。たしかに俺はあやしいが。とりあえず今はお前たちに危害を加えるつもりはない」
今は、ときたか。
つまりは今後はわからない、ということ。
「部屋に入れたとたんに気をかえるんでしょ?」
そんな至極もっともなあたしの意見に、
「いくらこの俺でもあのリナ=インバースとやりあおうとはおもわん。そっちのナーガとかいう姉ちゃんともな」
ふむ。
つまりは、声の主はあたしのことを知っていてなおかついってきているのだ。
「ちょっと!このナーガ様がどうしてリナのおまけみたいな言い方なのよっ!リナは私の子分よっ!」
「ちょっとまていっ!誰が子分だ!誰が!あんたこそ金魚のふんのくせにっ!」
「…何か話しがずれてないか?」
ぽそっと何かいってくるガウリイはひとまず無視。
ぎゃいぎゃいとあたしとナーガが言い合っていると、
「心配するな。というほうが無理かもしれないが。そっちにはたのもしいボディーガードもついているだろう?」
声の主も声からして多少戸惑っているようである。
と、とにかく気をとりなおそう。
「と…とにかく、ひとまず一時停戦よ」
「ふっ。仕方ないわね」
ここでナーガと言い争っていても先に進めない。
ゆえに一時停戦を結び、
「いっときますけど。変な真似をしようとしたらありったけの攻撃呪文をたたきこむわよ?
このナーガなんて見境ないんだからね」
つうか宿ごとナーガは破壊する。
確実に。
「お、おい。部屋にいれるつもりか?」
そんなあたしにガウリイがといかけてくるがこくりとうなづき、
「いいわよ。入って」
その言葉と同時に仕方ない、というばかりに剣のつかに手をかけもう片方の手でゆっくりと扉をあけるガウリイ。
扉の向こうにいた相手は十分すぎるほどにあやしさ大爆発。
全身を覆う、白いマントと白いローブ。
そして白いフードですっぽりと顔を包んで目の部分だけを出している。
そうしてもう一人、みたことないちょっぴり体格のようおじさんと、なぜか見覚えのある包帯姿。
ふむ。
「そのミイラ男。あんたの知り合いなの?」
三日前、あたしたちを襲ってきた相手である。
つうかよくナーガの暴走に巻き込まれて生きてたよな。こいつ。
見間違えるはずもなく、おそらくこいつは先日、とある村の宿を襲撃してきたミイラ男に違いない。
何か前回よりも包帯がさらにすごいことになっているようではあるが。
しかし、この白づくめ、他の二人とは格段に格が違う。
出来る。
「悪かったな。こいつはゾルフって名でね。責任感は強いんだがその分、先走りも多くてな。
先日の一件はまあ簡便しておいてくれ」
ミイラ男といわれて鼻白んだ男を白づくめが制ししつつもそんなことをいってくる。
いや、別に名前なんてどうでもいいし。
どうせ悪人だし。
部屋のランプがあまりに薄暗いために今まで気づかなかったが目の前のしろづくめはどうやら人間ではないことにふと気付く。
フードの隙間からのぞく目の周りの皮膚が岩か何かそれに類する何かでできているっぽい。
一瞬、石人形かとも思ったがどうやら違うらしい。
人に仕えるためだけに作りだされたそれらとは違い、この男の瞳には確かに強い意思がある。
ってことは、もしかしてもしかしなくても人間を主体にした合成獣か何かの可能性が高い。
「お前がリナ=インバースか」
どこをみて納得したのかちらりとあたしとナーガをみてあたしにと話しかけてくる白づくめ。
スパアッン!!
「たたくわよっ!」
「って、すでにたたいているだろ!?」
彼の視線はあからさまにあたしとナーガの胸を見比べていた。
ゆえにスリッパで叩いたあたしは断じて間違っていない。
「こ、こいつっ!」
「まあまて。なるほど。噂どおり手も早い」
ちっ、強化呪文でもかけとくべきだったか。
まったくこたえてなさそうである。
「その噂ってのがきになるけどね」
どうせロクな噂ではないだろうが。
何でこんな清楚で可憐な美少女に対して根も葉もない悪い噂が立つのやら。
…約一名、変の噂を広めている人物を一応知ってはいるが。
彼女には釘をさしてはおいたが…あれからこりているのかいないのかはわからない。
「あのリナ=インバースを知らないやつは裏の世界にはいないさ。
白蛇のナーガのほうは仲間にしたら面倒な人物として害虫扱いだしな」
「納得」
「ちょっと!誰が害虫よっ!」
ナーガの噂はそんなふうにある程度は伝わっているんだ。
「ま、どうでもいいけど。いっとくけど値段は高くつくわよ?
といっても何がほしいのか聞いてないけど。あるものをうってくれってことらしいわね」
横でナーガが何かまだわめいているけどさくっと無視。
「そう。お前たちがしばらく前、盗賊どものねぐらから持ち出したもののひとつだ」
「おいおい。…おまえさんたち、そんなことをしていたのか?」
ガウリイが呆れたような視線をあたしのほうにとむけてくる。
「違うわよ。悪人にやられて困っている村の人々を見るに見かねて悪人退治に出かけた先で、
盗まれたものを取り戻したとき一緒に手数料変わりにちょっと品物をもらうこともあるだけよ」
そのちょっというのが根こそぎなのだが。
まあ、嘘はいっていない。
真実でもないけど。
「……あんた、こいつのことを知らないのか?」
心外、という様子の白づくめ。
ま、まずい。
「で?何なの?そのしなものってのは?」
雲ゆきがあやしい。
ゆえに話題を元にと戻して問いかける。
「それはいえん」
「?いえない?」
おもわずそその言葉に眉をひそめるあたしは間違っていない。
「ああ。いえない」
それじゃ、商売のしようってものがないわね」
あたしの意見は至極当然。
「まあまて、最初からこいつがほしい、といえばお前たちだって好奇心が働いて手放したくなるかもしれないだろう?
だから、さ。三日前にお前たちが手にいれた品物。それぞれがいくらでなら売ってくれるか値をつけてくれ。
その時点でこっちのほしいものを言い値で買い取ろう」
ふむ。
たしかにそれならばふっかけられる心配も相手にはないわけだ。
しかし…三日前?
「三日前?あれ?」
ヤバイ。
ガウリイが何か気にしだした。
いうまでもなく三日前はこのガウリイと初めてであったあのときのこと。
まあ、あれから主たる盗賊いじめなどはやっていないので他に該当するのは一件もなし。
「なるほど。でもどうして?」
どうやらあの一味の一員、というわけでもなさそうである。
「俺はその品物を探していた。このゾルフやこっちのロディマス。他の何人かの部下たちをあちこちに放ってな。
やがてとある山賊がそれを手にいれたのを知り、
ゾルフに仲間になったフリをさせてころ合いを魔はからって持ち出させよう、としていた矢先」
なるほど。
話しがみえてきた。
「そこに、あたしたちが出てきたってわけね」
「そういうことだ」
山賊達が自らの意思で動いていたのか、はたまたこいつらの働きかけがあったのかまではわからないが。
「ふっ。しかし山賊の持ちモノを持ち逃げしようだなんて。ずいぶんせこいわね。お~ほっほっほっ!」
ナーガだけにはいわれたくないとおもうぞ、あたしは。
「あんたらはひとのことをいえんだろうが」
何かそんなことを相手がいってくるけど、あたしは別。
「悪人に人権なんてものはないんだからいいのよ」
きっぱり。
「「「・・・・・・・・・」」」
?あれ?
何か呆れたような視線を白づくめだけでなくガウリイまでもが向けてきてるけど。
あたしは間違ったことはいってないぞ。
絶対に。
「まあそれで、大体の事情はのみこめたわ。ならさっそく商談にうつりましょう。え~と」
たしかここに…
「お前さん、そんなことにそんなもん隠してたのか」
「ほら。ナーガも」
ナーガとあたしのマントの裏地には最近の戦利品がところせましと結びつけられている。
その中からあのとき奪った品を取り出してひとまず床の上にとおいてみる。
「品物は像と剣。そして古いコインが少々ね。あ、宝石類は省くわね」
だれがどうみてもだたの宝石を高値でほしがる輩は収集家くらいのものである。
「ちなみに。いらくらいまで出すつもりなの?」
あたしの言葉に男は指三本突き立ててくる。
「たったの三百?」
みみっちすぎる。
商談にもならない金額提示。
「いや、金貨で三百万枚、だ」
・・・・・・・・・って、ええええっ!?
「リナ!こんなおいしい話はないわっ!うっちゃいましょうよっ!!」
こ…こいつは~っ!
「まちなさいよ!どう考えてもあやしいでしょうがっ!なんでこんな品物にそんな大金!?」
全部ひっくるめてもそう値は張らない。
唯一、値打ちがあるであろう品はオリハルコン制とおもわれる女神像くらいであろう。
それでもせいぜい、十から二十万くらいが相場である。
後はよくわからない術のかかっている短剣と古いとある王国の金貨しかこの場にはない。
「あなたねぇ。リナ。あんまりよくばっても仕方ないでしょ!?三百万枚よ!三百万!!
山分けしても百五十万っ!!これ以上高く買ってくれる人が他にいるとおもって!?」
「だからよっ!いると思わないから怪しんでるんでしょうがっ!!」
あからさまにあやしすぎる。
「お~ほっほっほ!愚問ね!リナ!あやしかろうがそうでなかろうがそんなことどうでもいいのよ!
三百万よ!三百万!相手に渡したあとでまた取り返せばいく度でも稼げるわよっ!」
そ~いう手もたしかにふつうならば考えなくもない、が。
「売らないにきまっているでしょ?!」
あたしの勘が告げている。
渡してはだめだ、と。
「うりなさい!」
「売らないってば!!」
そういうと同時、おそらく値をつけられたとおもわしき品。
この中では唯一の値うち品でもある女神像をがしっと手にし引っ張りあうあたしとナーガ。
「お~ほっほっほっ!リナの強情もの!このチンチクリンの平原胸!」
「この歩く厄病神!!」
「ずんどう!」
「あんたはゾンビかスケルトン並みの判断力しかないのかっ!人外魔境の生物がっ!!」
「……なんか。すでに話しが関係なくなってないか?」
横で見ていたガウリイが溜息とともにそんなことをいってくる。
…今気づいたが、ガウリイはエルちゃんを守るように彼女がもぐりこんでいるベットの前で様子をみていたらしい。
エルちゃんも怖いのか一度も布団の中から顔をみせないし。
まあ気になるらしく小さな隙間をつくってそこからのぞいてはいるようではあるが。
そして再び溜息を大きくついて、あたしたちのほうにと近づいてきてあたしたちの手からひょいっと神像を取り上げる。
「売るか売らないかきまるまで、ひとまずこれは預かっておく」
いきなりそんなことをいってくる。
「ちょっと!?」
あたしが抗議の声をあげるのと、
「ふっ。リナ!はかない友情だったわね!あんたとはもうここまでよっ!お~ほっほっほっ!」
ぱさりと長い髪をかきわけ、白づくめの横にたちそんなことをいきなりいっくてるナーガ。
こ、このパターンは……
「ナーガ!あんたまた裏切るき!?」
いつものことだが。
「お~ほっほっ!愚問ね!リナ=インバース!!さ!白のゼルガディス!リナ=インバースをぎたぎたにしましょう!」
いって白づくめの肩に手をおいて、びっとあたしに指を突き付けてくるナーガの姿。
「いや、こっちもあんたはほしくないんだが」
あ、白づくめ、本音がでてる。
つ~か……
「白の…ゼルガディス?」
ナーガはたしか、今こいつのことをそういった。
名前、こいつは名乗ってなかったような気もするんだが。
「お~ほっほっほっ!リナ!あなたの常識もまだまだね!私はひと目でわかったわよ!
白のゼルガディスといえば赤法師レゾの手先でレゾに代わり裏で手を汚している人物じゃないのよ!」
「「「なっ!?」」」
ナーガの台詞に白づくめ達が一斉に目を丸くする。
出た。
ナーガのよくわからん情報網。
しかしこれが正確だったりするのだから恐ろしい。
「何なんだ?こいつ?」
警戒を含んだ、それでいて戸惑い気味の声をあたしにむけてくる白づくめ。
「みたまんまよ」
ナーガのことを説明しろ、といって説明できる人がいるとは絶対におもえない。
「…お前、やっかいなヤツと知り合いなんだな」
「友達じゃないわよ。知りあいだけど。そこんとこだけははっきりさせとくわ」
「…なるほど」
あたしとナーガを交互にみたのちに、なぜか憐みの表情でこちらをみてくる白づくめ。
「友達は選ばないとな」
ぽそっとそんなことをいっていたりする。
そりゃそ~だ。
「いっとくけど、ナーガ。このあたしに喧嘩をうるき?受けてたつわよ?」
敵に回るというのなら容赦はいらない。
というかナーガ相手に味方だとしても容赦しようだなんておもわないけど。
「いやぁねぇ。リナちゃん。私は何もしないわ。やるのはこいつらよっ!!」
『・・・・・・・・・・・』
あ、男たちがナーガの言葉にだまりこんだ。
やがて溜息ひとつつき、
「もう一度きく。本当に売る気はないのか?そっちの男も?」
ナーガの言葉は無視することにしたらしい。
たしかに懸命な判断である。
「何となくだけど、渡したらいけなそ~だし」
のほほんと答えるガウリイの姿。
「なら。これが最後のアイデアなんだが。俺に手をかさんか?
一年…いや半年後には、更にさきほどの金額の二倍、いや三倍でもいい。はらってやろう」
「それ、本当でしょうね!?」
ナーガがその言葉にすばやく反応しているが、そんなナーガをさらっとむしして男の視線はあたしにと向けられたまま。
「…ふむ。それだけほしがっている、ってことはつまり。
この提案を断れば自動的にあなたとあたしは敵同士。ってことになるんでしょうね」
「・・・・・・・・・」
白づくめは答えなかったが、片方の眉をぴくりと動かしたのをあたしは見逃してはいない。
「あたしとしては、できるだけあなたみたいなタイプの人と事を構えるのは避けたいわね。
何で、って聞かれると答えようがないけど。まあ、女の勘ね」
「ふむ」
あたしの言葉にうなづく白づくめ。
今だにナーガは何やらわめいているままだけど、ここまで無視できるとは案外この男もけっこうやる。
「で、これもあたしの勘がいっているけど。怪しすぎる提案をのむほどあたしはおろかじゃないわ」
「…交渉、決裂、か。まあ、仕方があるまい。約束だからな。今日は大人しく退く。
しかし、必ず力づくでも奪いとらせてもらおう。明日の朝、お前たちがこの宿を出た瞬間からお前たちと俺は敵になる」
そんな相手の言葉に小さくうなづく。
かなり律儀。
交渉が決裂すれば力づくでくるか、ともおもったが、どうやらかなりマメな性格の人物のようである。
「いくぞ。ゾルフ。ロディマス」
「「し…しかし……」」
一緒にきていた二人の男が何かいいかけようとする。
と。
バッン!!
「とうとうみつけましたよ!ゼルガディス!」
いきなり誰も手をふれていないのに、部屋の扉がバン、と開く。
どうやら女性の声らしいが?
それと同時、部屋の中に飛び込んでくるひとつの人影。
長い黒髪を腰のあたりまでたなびかせた、みたこともない女の子。
服装からしてどうやらどっかの巫女らしいが…
というか、いきなり断りもなく人様の部屋にはいってくるなよ。
「……シルフィール」
一瞬、その黒髪の少女をみた白づくめの瞳に悲しみの色が浮かぶ。
はて?
今のは憐みにもにた表情のような気もするが?
「今日こそあなたをとらえて罪のつぐないをさせますっ!」
いきなり何か唱え始めるその女の子。
っていきなり眠りの呪文!?
「やれやれ。これ以上騒ぎを大きくするわけにはいかないからな」
溜息と同時にすばやく何かを唱え、
「風魔咆裂弾」
ドッン!
「きゃっ!」
男の放った風の衝撃波により、今入ってきた女の子は部屋の壁にと叩きつけられる。
「ひくぞ」
「いいのですか?」
「ひく。といったんだ。行くぞ。…そうそう。そういえばきちんと名乗っていなかったな。
俺の名はゼルガディスという」
「覚えておくわ」
そういい、そのまま何もせずに本当に外にとでてゆく男たち。
バタン、と扉のしまる音。
ふと気付けばナーガの姿がみあたらない。
おそらくどうやら男たちについていったらしく部屋からいなくなっている。
ま、別にどうでもいっか。
まず今は……
「え、えっと。大丈夫?」
壁に叩きつけられた見知らぬ女性を抱き起こし、かるくぐっと肩に力をいれて気付けを行う。
それと同時、はっと気が付くその女性。
「ありがとうございます。…って、ガウリイ様!?」
あたしにお礼をいったのち、ぱっと立ちあがり瞳をきらきらさせてガウリイにと話しかけてくる。
何?この子?
ガウリイの知り合い?
「…誰だっけ?」
ずべっ!
ずるっ。
のほほんとしたガウリイの言葉にあたしはおもわずこけそうになり、女性はそのまますべりそうになっている。
が、何とかどうやらもちなおし、
「わ、わたくしです!サイラーグのシルフィールですっ!」
・・・何かこの子、気のどくになってきた。
先ほどこの女性がみせた表情は明らかに恋する乙女の表情そのもの。
だのに相手のほうがまったく覚えていないんじゃ……
「サイラーグ?ああ!ゴハンのうまかったフルールかっ!」
「…シルフィール。です。ガウリイ様……」
え~と、助け舟を出したほうがよさそうだ。
おもいっきりみていて気の毒以外の何ものでもない。
「え、えっと。ガウリイ。知りあい?」
「顔は覚えてないけど。昔、サイラーグの町でちょっとした事件があって。
その時、サイラーグの神官長とその家族に世話になったんだ。
このシなんとかはその神官長の娘さん…だったよな?あれ?お手伝いさんだったっけ?」
…あああっ!
シルフィール、と名乗った女の子は今にも泣き出しそうだっ!
こ…こいつはぁっ!
「あんたはもうしゃべるなっ!!」
好意を寄せている相手が顔も名前も覚えていない。
それってきついぞ…かなり。
乙女心を何とおもっているのだか。
「と。とにかく。シルフィールさん、だっけ?えっと。はじめまして」
ひとまず初対面なので挨拶をする。
こういう礼儀はあたしはかなりうるさくたたきこまれているので一応うるさい。
「え。えっと。はじめまして。わたくし、シルフィール=ネルス=ラーダと申します。
サイラーグの神官長エルグの娘で巫女頭をやっておりました」
きっちしとさきほどのガウリイの言葉を訂正しつつも自己紹介してくるこの女性。
サイラーグの巫女頭?
なんでそんな人物がこんなとこに?
「あ、あの?あなたはあの…ガウリイ様の恋人、でしょうか?」
この子もめげないな~。
「あたしはリナ。リナ=インバース。みての通り旅の天才美少女魔道士よ」
ひとまずそんな彼女に自己紹介。
「?お前さん。魔道士だったのか?」
ごけっ。
「あ、あのね!さんざんあたしは呪文をつかっていたでしょうがっ!!」
あまりといえばあまりのセリフに思わず前のめりにずっこけつつも、体勢を整え言い返す。
「いやぁ。魚やさんかウェイトレスの人が術をつかっているのかと……」
「うぉひ」
何かこのガウリイという兄ちゃんと話していたら…つ、疲れる。
「リ…リナ=インバース!?で、ではあのドラゴンすらもまたいでとおるといわれているあの!?
噂では実は九十歳以上は軽く過ぎている不老不死の平原胸のあのリナ=インバースさん!?あなたがっ!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「って、まていっ!!誰が平原胸!それに何よ!?その設定はっ!!」
「何だ。おまえさん、そんな歳だったのか。みえないな~」
「あ…アホかぁぁぁぁぁぁ!!あたしはこれでももうすぐピチピチの十五歳だ~!!」
どこをどうみたらこんな可憐な少女がそんな歳にみえるのやら。
「……リナ。ガウリイ。うるさい」
ひょこっと今まで布団をかぶっていたエルちゃんがむくっと起き上がりつつもいってくる。
「そ、そんな!すでに子供まで!?いやぁぁっ!!」
はうっ!
エルちゃんをみて、そしてあたしとガウリイをみてその場に崩れ落ち気絶するシルフィール。
お~いっ!
「つうか、十五で三歳児の子もちがいるかぁぁっ!!!!!!!」
あたしの絶叫は、部屋の中にと響き渡ってゆく……
「そ、そうですか。あなたがあのドラマタのリナさん」
あたしがようやくシルフィールをどつきたたき起し…もとい、気付けを行い気を取り戻させたのちに延々と説明し、
そしてようやく納得してもらえたのはすでに夜もだいぶ更けたころ。
おそらくもう真夜中くらいであろう。
「で。その子はほんっとうにリナさんとガウリイ様のお子様ではないのですね?!」
あ~しつこいっ!
たしかにエルちゃんはあたしそっくりの容姿。
違うのは髪とその瞳の色のみ。
それがたまたまこのガウリイとおなじ色だからってどうしてそうなる!?
「あたしに両親はいないけど」
きょとん、としつつもさらっとあるいみ思い台詞をいってくるエルちゃん。
その言葉にシルフィールが反応し、
「で、では、もしかしてあなたも……」
「でも何で、サイラーグの巫女頭が?」
いいかける彼女の台詞をさえぎるかのように、気になっていたことを問いかける。
それに確か、先日訪れたある町でサイラーグがなぞの壊滅をした、と噂をきいた。
伝説のザナッファーが復活か!?
というバカげた噂まである始末。
真偽を知るためにこのあたりでは最も魔導師協会が発展しているアトラス・シティに向かっていたのも事実である。
中にはサイラーグの壊滅も実はあたしの仕業…なんていうデマまで流れているらしいのだから放ってはおけない。
そりゃ、ある術を使えば可能だが。
あたしだって少しは考えて術を使用している。
それで山や湖がたまたま壊滅したり消滅したりするのは単なる偶然である。
「?ドラマタ、って何だ?」
こらそこ!余計なことはきかないっ!
「ガウリイ様。それはですね。
あの凶悪なドラゴンでさえよけてまたいでとおり見て見ぬふりをするという。そういう意味ですわ。
ドラゴンがかかわり合いをさけるほどの最悪の魔女!彼女が通ったあとには九サの一本も生えなというっ!」
「まていっ!!」
ほっといたらもっとあることないこといわれそうである。
この子、外見はかわいいお嬢様の特徴を強く出してはいるが性格はかなりいい根性をしている。
いや本気で。
「しかし。ガウリイ様の好みがリナさんのような子だったとは。わかりました。
わたくしもリナさんの得意としている黒魔法を収得しますっ!」
「んな理由で拾得すなっ!あんた巫女でしょ!?」
「花嫁修業ですっ!」
「根本からまちがってるわよっ!」
たしかにこのガウリイ、顔はいいのはみとめるが、恋人というか伴侶としてみるのはどうかとおもうぞ?
いやまあ、憧れるだけなら問題はないだろうけど。
たかが三日程度一緒にいたあたしですらそう思うのだから、ずっと一緒にいたら…身がもたなそうである。
「…所で。さっきからずっときになっていたんだが。扉の前にいるヤツ、なんなんだ?」
「「え?」」
ふと言われてみてみれば、扉のむこうにぼつん、とたたずんでいる全身紅づくめ。
紅いローブにマント。
服までご丁寧に紅、というこだわりよう。
そして一本の杖をもっている男が一人。
いつから扉が開いていたのかすら不明だが。
まあ鍵をかけてないのでたてつけがわるくて開いたのかもしれない。
扉の所にたっているのは慈愛の漂う白い顔立ち。
ちなみに年齢は不明。
若くもみえるし年老いてもみえる。
そして特徴的なのはしっかりと閉じられた両目。
…先ほどのナーガの言葉が頭に浮かび警戒を強くする。
おそらく、彼は――
「レゾ様!!」
あたしの考えを肯定するかのようにシルフィールがその男性をみて叫んでいたりする。
「ずっと気配を消していたようだけど。別に殺気もなかったからほっといたが。あんたはなんなんだ?」
そんなガウリイの声ににこやかに笑みすら浮かべたまま、
「いやぁ、話しかけるタイミングを逃してしまいましてね。ずっとこの部屋の入口でまっていたんですよ」
にこにこしながらいってくる。
というかあたしもまったく気配はわからなかった。
しかし、どうして……
「誰?」
「すいません。もうし遅れました。私はレゾといいます」
やはり。
しかし、ナーガの情報からしてみるとこのレゾという男は……
「レゾ。ってあの赤法師レゾ?」
「はい。こちらはレゾ様です。サイラーグの町がゼルガディスに襲われた時。わたくしを助けてくださった命の恩人です」
赤法師レゾ。
常に紅い法衣に身を包み、白魔術都市セイルーンの大神官と同等。
それ以上の魔力と霊力をもちえながらどこの国にも属さず諸国を渡り歩き、人々に救済の手を差し伸べている。
というのが世間一般表面上での通説。
現代の五代賢者の一人としてカザえられていたりする。
あたしとしては六番目の賢者として一部では知られているあの人物のほうが、
賢者といわれているルオ・グランよりかまりましだ、と思うのだが。
彼は生まれつき目が視えないらしく、どんな手を使ってもその目に光が戻ったことはないらしい。
「?こいつ有名人なのか?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」
あ、ガウリイの言葉にあたしだけでなくシルフィールまで目を点にしてる。
…よくこれで旅の傭兵なんてこいつやってこれてるよな……
「と、とりあえず。それはそうと。シルフィールさん。さっきサイラーグの町がゼルガディスに襲われた。っていってたわね?」
まずこのレゾの真偽はともかくとして、気になっていることを聞くのが先。
「…はい。ゼルガディスは突然。サイラーグに現れわたくしの父をとらえたのです。そして……」
いってうつむくシルフィール。
「神官長から【鍵】のありかを聞きだして、神官長の命を奪ったのですよ。
そして一晩のうちに街をも破壊して。街があった場所は今は荒野になっています。
神官長は鍵について詳しく知っている唯一ともいえる方だったのですけどね」
…違和感。
さっらっとすごいことをいう間、レゾと呼ばれた人物は笑みを崩してはいない。
つまりはずっとにこにこと笑みを浮かべたままにすごいことをいっていたりする。
シルフィールはうつむいており、そのせいでその異様性には気づいていないようである。
「なあ?ゼル何とかって…誰だ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こ、こいつはぁぁっ!
「あんたのその頭はどうなってんのよっ!!この脳みそクラゲっ!!
さっきあたしたちにお宝を売れっていってきたやつでしょうがっ!!」
ほんとにこいつの頭の中はどうなってんだ?
「脳みそクラゲ、ですか。おもしろい方ですね~」
「いやぁ。それほどでも」
「ほめられてないっ!」
むしろバカにされているのにきづけっ!
つ…疲れる……
「とにかく。おそらくあなたがその鍵をもたれているのでしょう。それで接触してきたのでしょう。
彼は人間でありながら石人形と邪妖精が合成された存在です」
裏をかえせば、つまりはだれかがあの彼を合成獣にした、ということである。
あたしの予測ではおそらくは――
そんなあたしの心を知るはずもなく、にこやかに淡々と、
「その鍵こそが、リナさん。とおっしゃいましたよね。あなたのもっている盗賊のお宝の一つ。
その鍵をつかって赤眼の魔王・シャブラニグドゥを復活させようとしているのです」
あたしは名乗ってもいなければ、盗賊からそれを奪った、ともいっていない。
このレゾ、と呼ばれた人物はそのことに気づいているのだろうか。
「何だ?そのシャブシャブって?うまいのか?」
・・・・・・・・・無視。
「本当なんですか?それは?」
この場で気づいているのはおそらくあたしだけ。
そう、【レゾ】は一度も【ゼルガディスが】とはいっていない。
裏をかえせば、ナーガの言葉を信用するとして…あれの情報だけはやけに正確なので当人よりも信じられる。
恩を打ったようにみせかけて、実はその当事者こそすべての黒幕…という事件をあたしはいくつも知っている。
「まず間違いありません。魔王を復活させ世界を混沌の渦の中に沈めようとしているのですよ」
そういう【レゾ】の表情はにこやかに笑みを崩さぬままである。
「何でそんなバカなことを」
というかそんなおおごとをアレがたくらんでいる、とはまったくもって思えない。
そんなことになったりでもしたら、その前に郷里の姉ちゃんあたりがうごくだろう。
「ともかく。そういうことです。その鍵は私が預かりましょう。そうすればあなたたちが狙われることもない」
やっぱしそうきたか。
だがしかし、その内容はともかくとして、渡す気なんざさらさらない。
「というか。その鍵ってやつを紀零さっぱり壊すか。火山の溶岩の中にでも入れて消滅させたほうがはやいのでは?」
かなり勿体ないが、一番手っとり早い方法はそれである。
まあ、もったいないのでそんなことをする気はないのだが。
「それもそうですね」
あたしの台詞にうつむいていたシルフィールが顔をあげる。
とうしてそれに今まで気づかなかったんだろう、という様子である。
が。
「いけませんっ!!」
あたしたち二人のセリフにびっくりするほどの大声をだしてくる【レゾ】。
…やっぱし。
「そんなことをすれば、あなたたちも危険です。私に預けてください」
なおもそんなことをいってくる。
はいそうですか、というとおもってるのか?こいつは?
「やめとくわ」
「リナさん?」
あたしの言葉にシルフィールが戸惑いの表情を浮かべる。
「あたしはやられっぱなしというのは性にあわないですし。それに魔王云々ときいてはだまって、
『はい。そうですか。ではあとはよろしく』というわけにはいきませんし」
万が一にも本当というかその可能性が少しでもあるのならば、
あたしは絶対に郷里の姉ちゃんに殺されるほどのお仕置きをうけるっ!
それにこの【レゾ】。
かなり怪しい、あやしすぎる。
事実、彼の声がすると同時。
エルちゃんは部屋の中のタンスの中に駆けこんでまったく姿すら見せていない。
小さな子供にはそういった【よくないもの】を直感的にかぎ分ける力がある、とあたしは信じている。
「やれやれ。…わかりました。どうやら説得はむりのようですね」
「リナさんって、噂と違って常識あるんですね。もっと無責任かとおもっていました」
「どういういみよっ!」
さらっと毒づいているシルフィールのセリフにおもわずつっこむ。
「そのままです」
本っ当、いい性格してるわ。
この子。
「さてと。もう夜も遅いし。ガウリイは部屋に戻ってね。あ~いうタイプは嘘はつかないわ。
明日の朝、といったら明日からが勝負よ」
「そういや、リナ。これひと先ずかえしとくぞ?何か今はお前がもっていたほうがよさそうだし」
いってあたしに女神像を手渡してくるガウリイ。
それを感じてか一瞬、レゾの口元に笑みが浮かんだのをあたしは見逃してはいない。
…やっぱおそらくこいつがすべての黒幕、とみた。
「それもそうですね。では私は少し外をみてきましょう。あなたのいうとおりもう夜も遅いですし」
「あ。レゾ様。わたくし、部屋をとってまいります」
つうか、部屋もとらずに勝手にあたしたちの部屋にとびこんできてたのか。
てっきり同じ宿にとまっているのかな?とおもったのだが。
そのまま、それぞれ部屋からおいだし…もとい、彼らが部屋からでるのを確認し、あたしはきっちりとカギをかけなおす。
ガウリイと、そしてレゾとシルフィールが部屋からでてゆき、
完全に気配が途絶えたのをうけてか部屋のタンスの中からひょっこりと顔をだしてくるエルちゃんの姿。
「エルちゃん。怖かったの?」
「アレにあいたくない」
…子供、というのは本能的に何かをかんじる力がある。
エルちゃんもおそらくはあのレゾに何かを感じたのであろう。
「そうだ。エルちゃん。その袋の中にこれいれといて。それと例のタリスマンなんだけど……」
何か少しでも補助がほしい。
あたしの予測ではあれはおそらく魔力増幅気のようなもののはずである。
何しろ箱の裏書にそれらしきカオスワーズがかかれてたし。
「アレに気づかれるから今はだめ」
一体、エルちゃんは何を感じているのやら。
しかし、もしもレゾが黒幕だとして…これはほぼ完全に間違いないであろうが。
下手にあたしがもっていたらレゾに奪われる可能性も高い。
…とりあえずやめとくか。
まあ、だからこそ、ともいえるのだが、だからこそエルちゃんに女神像を預けておく。
一応念のために、精神探索を行えようにプロテクトの呪文をかけておくのをわすれない。
しかし…あたしもそろそろあの日だしなぁ。
何かまた厄介なことになりそうである……
-続くー
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あとがきもどき:
薫:
?:んふふ♪わざとひっかきまわすのは楽しいわよね♪
薫:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(汗
?:何よ?
薫:い、いえ、何でもないです。
?:でも、結構ハタからみてて気付かれないところでちょっかいかけるのもたのしいわ♪
薫:・・・・・・・・・・・・・と、とりあえず。リナさんたちに気づかれないことを祈ります……
?:もう少しあたしを活躍させなさいね♪
薫:え?あ、あの、その手に出現されたその大鎌は?!
?:んふふ♪何でしょうねぇ?
薫:いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
?:さってと。どこかにいった薫はおいといて。それでは、まったね♪
2009年4月11日(土)某日
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