まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
登場人物:リナ=インバース
正式名称:リロード=ナファレス=ドナ=ナイトメア
参考:深淵なる闇 光よりも眩しき存在 闇よりもなお深き存在
混沌を抱擁する存在 母なる海の妹にして
この世界の海を創造せし存在
『深淵なる真の王(ギャラクシーオブナイトメア)』
金色の王の妹。この世界の混沌そのもの。
登場人物名前:ガウリイ=ガブリエフ
正式名称:ガウリイ=ガブリエル
(ガウリイ=ナファレス=ナイト=ロード)←後々に(笑)
参考:リナを心配した(孤独をみた)
エル様と、ルナが、リナを思ってたら、
その思いの反動で、生まれでた魂。
おまけ?設定:
エリアンヌ(エリー):リナとガウリイの長女(妹)
(リナにくりそつ・・爆!)
正式名称:エリアンヌ=ドナ=ラビスティア=ナイトメア。
カウリイ:リナとガウリイの長男(兄)
(ガウリイにくりそつ・・爆!)二卵性の双子です(笑)
正式名称: カウリイ=ウル=ユリティス=ナイトメア。
リナス:エリーとカウリイの妹
(両親を助けるために、未来からやってきてます・笑)
リナ譲りの栗色の髪に、瞳の色は、ガウリイ譲り。
性格は・・リナそっくりです(笑)
正式名称:リナスレイヤー=トゥェル=ウル=ナイトメア。
登場人物名前:ルナ=インバース
正式名称:ルナティック=スィーフィード
参考:深遠の真の王の補佐官&側近。
この世界に命が誕生した際に、
金色の母が、リナにお祝いとして、与えた存在
(とゆーか、それように、創り出した)
『深淵の補佐官(アビス・ラズ・ポート)』
別名、『紫蒼の朱玉(パール・レッド・ラズリ)』
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こんにちわ!
多分、今回で最終回!!!
わぁぁぁぁぁぃ!
といいつつも、おそらく、この短編・・とゆーか、転生話・・
チャレンジ部屋にたまぁにアップされる可能性があり(こらまて!)
ま、今のところまだ打ち込む予定はないですけど・。
い・・・いずれ・・そのうちに・・・(汗)
(大分怪しい関係から・・話、省いたからな・・まて!)
んではではv
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エデンの園 ~第55話~
「ほら、リナ、足元。」
「ああああ!」
こけそうになるその体を掴む。
「もう。」
「姉ちゃん、足はやいよー・・。」
ぶう。
ふくれる、栗色の髪に紅の瞳の少女。
この世界では、今、魔王は封印され。
そして、対を成す竜神は存在しない。
そういわれている。
その代わりに、竜神の分身である四人の竜王が。
世界を治めているのだと。
むくれる少女を軽くなだめ。
「リナが遅いのよ。ほら、着いたわ。」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
小さい、リナと呼ばれた少女が。
感嘆の声を上げる。
「ね?綺麗でしょ?」
「うん!」
視界一杯に広がる花畑。
森を抜けて少し言った場所に群生している、
野生の花畑。
「・・変わった花・・。」
中には、リナが見たことのない花も存在している。
「・・・それは、水晶花。というのよ。」
「・・・・・・水晶花?」
・・・・ずきり。
その言葉を聞いた時。
胸が少し痛んだ。
「・・あ・・・れ?」
ぽろり。
知らずに流れ出す涙。
転生し、記憶がないとは言え。
やはり、前回の転生のダメージは。
想像以上に、リナの精神を蝕んでいた証拠。
無意識のうちに涙がリナの瞳から流れてゆく。
そんなリナの姿をみて、溜息一つ。
「ちょっとまってなさい。
・・・折角だから、ここで食事にしましょ。
馬を引っ張ってくるから。」
「うん。」
悲しくなるのに目が放せない。
虹色に輝く、その花をみつつ。
姉である、紫がかった青い髪の女性に答えているリナ。
リナがそろそろ五歳の誕生日を迎えるのに辺り。
リナの姉であるルナは・・初めて、リナを。
国の外に連れ出したのである。
かさかさと。
リナ一人を残して。
森の入り口に待機させている馬にと戻ってゆくルナ。
「・・・綺麗・・・だけど・・何か・・苦しいよ・・。」
じっと、その花を見ていると。
切なくて、切なくて。
心が苦しくなってゆく。
「・・・・へえ?君も?」
「・・・・・え?」
気配に気付かなかった。
ふと見れば。
自分の横に、綺麗な金色の髪をしている男の子。
年のころは、十を少し過ぎた程度であろうか。
口うるさい親族の目を盗み。
ここで休息を取るのは、いつもの彼の日課だった。
二年前、彼の両親が、事故により、二人同時に死亡して。
一人息子である彼に、その財産が転がり込んできたものの。
その財産目当てに、まあ、心無い親族がたむろしてくるわ。
挙句の果てには、刺客などを送りつけてくるわで。
すさんだ生活を送っていた彼が見つけた、心のオアシス。
いつものように、足を伸ばすと。
そこに、帽子を目深にかぶった、小さな気配からして、
女の子が座っていた。
サワ・・・。
「・・・・・あ!」
風が突如とふき、リナがかぶっていた帽子が吹き飛ばされる。
「おっと・・・はい。」
「あ・・ありがと。おにーちゃん。」
飛ぶ帽子を掴み
少女に手渡す。
そのときになって、初めて、彼は。
少女の顔を正確に見ていた。
輝きをともす、紅の瞳に。
あまり見受けられない、栗色の髪。
「・・・・きみ・・は?」
「あたし?あたしは・・・リナ。
リナ=インバース!おにーちゃんは?」
「俺?俺は・・ガウリイ。ガウリイ=ガブリエフ。」
すんなりと名前を名乗ることができた。
どこか、なつかしくて、くすぐったくて・・・。
愛しい。
少女のことを正確に見たとたんに。
ガウリイの中に暖かな感情が芽生えてくる。
「これ、綺麗よね。・・・でも・・・何か切ない・・。」
「・・・・そうか?
俺は、この花は、大切な人を守るために、
存在するような気がするけど?」
自然と、感じたままのことが言える。
こんなに警戒心なく、人と話したのは。
両親や祖母が死んでから・・彼には久しい。
「・・・でも、だからって。
そのために本人が死んだら。
その大切な人まで苦しめることになるのよね。
そのことも忘れないでね。」
「うどわ!?」
いきなり、二人して、並んで花を見ていると。
背後から聞こえてくる声に。
思わず汗を流す。
・・・こ・・この俺にも・・気配分からなかった・・。
さすがに、毎日のように刺客などに追われている毎日のせいか。
その辺りの勘は鋭くなっているガウリイ。
そんなガウリイにも、一切気配を悟らせないとは・。
・・・・何者?
少し警戒心を抱くガウリイ。
「あ、姉ちゃん、今ね、このガウリイと一緒に。
花をみてたの。」
リナが戻ってきたルナにとしがみつく。
「そう・・・あなた、ガウリイっていうの。」
ルナの言葉に。
「あ、始めまして。ガウリイ=ガブリエフといいます。」
あわてて、挨拶する。
この子の・・姉?
でも、どうして、そんなに敵意に満ちていて悲しい瞳で・・俺を見るんだ?
ルナの視線に、敵意と、慈愛が込められているのに気付き。
首をかしげるガウリイ。
「そう、私は、ルナよ。ルナ=インバース。
この子の、リナの姉よ。
・・この花の伝説しってる?」
そういいつつ、そこにしゃがむ。
ぶんぶん。
二人同時に首を振る。
「この花はね、伝説では、精霊が、愛する人を失った悲しみから。
二度と、そんな悲しみに捕らわれないように。
恋人たちにそんな悲しみを負わせないように。
一度だけ、その身・・つまり、花を手折った
恋人たちの間に奇跡を起こすの。
でも・・それは、奇跡でも何でもない。
互いの一方が死亡したとき、互いの一方が、
自らの命を相手に渡して、生き返らせるというもの。
・・・そんなことしても。
残されたものは・・・悲しみにくれるだけなのにね・・。」
淡々と放す、その瞳に、少し涙が浮かんでいるのは、
ガウリイの気のせいではないだろう。
「・・・・でも、俺だったら・・。
大切な人を助ける手段があるんだったら・・。
たとえ、命を投げ出してでも・・それをします。」
そんなルナに言ってるガウリイ。
「・・・・それ、あたしはいやだな。
・・絶対に後を追って死ぬと思うよ?
その相手の人も・・。」
大切な人が・・もし、自分を庇って死んだりしたら?
何となくだけど・・・リナには、その気持ちがよくわかる。
痛いほどに。
「・・・そうね。相手がよかれと思っても。
それは、逆に相手を傷つけることになる。
よく覚えておいて。守るのは、それは勝手というか当然。
―でも、死んだら駄目。守るのならば、生きて、
守りぬかなれば・・意味がないの。」
そうしないと。
今度こそ。
もう・・・後がない。
「・・・・・そんなものなんでしょうか?」
「・・・・・・そんなものよ。」
「あたしも・・・絶対に後を追って・・死ぬと思う・・。
・・・何か・・・この花見てたら苦しいの・・そのせい?」
ぽたりと涙が再び零れ落ちる。
この苦しさは、きっと。
残されたものの悲しみなんだろうな。
そう漠然と思いつつ。
「ああ!ご・・ごめん。泣かないで。はい。」
あわてて、懐からハンカチを取り出し。
リナに渡す。
この子に・・泣かれると、心が苦しい。
・・・この気持ちは・・何?
「リナ、気に入った?」
「うん。ありがと、姉ちゃん、連れてきてくれて。」
そういいつつ、立ち上がる、リナに。
「・・・・・・え?もう戻るの?」
・・・このまま・・・・二度と・・会えない?
・・・・ずきっ!
ガウリイの奥底の心が痛む。
どうして今出会ったばかりの・・しかも、まだ五歳程度の女の子に。
こんなに心を惹かれるのか。
「うん!あまり、国から姉ちゃん、出ないように、
言ってたんだけど。今日、初めて外にだしてくれたの。」
そういって、立ち上がり。
「・・・・あ、ハンカチ・・。」
涙でぬれたそのハンカチをどうしようかと迷っているリナ。
「いいよ。もってて。・・・また逢える?」
「いつか、このハンカチ、返しに来るね!
ガウリイの家・・何処?」
「・・・いや、家はこないほうがいいよ。
・・・意地悪な人達がいるから。」
家にやってきて、もし、リナに。
自分のとばっちりで、刺客達などの被害にあわれては。
そのことが脳裏をよぎり、一瞬鳥肌が立つ。
・・そんなことは、絶対に・・させない。
ガウリイの言葉に。
「―そう。なら、ガウリイが来てもいいわよ。
私達が住んでいるのは、ゼフィールシティよ。」
「・・・いつかいきます。」
「約束だよ!ガウリイ!」
「ああ。じゃ、約束の印に。」
そういって。
足元に生えている水晶花を一輪手折り。
「約束のしるし。」
そういって、リナの髪の毛にそれをつける。
「・・・・うん!」
何か、こうしてもらうのが夢だったような気がする。
いつか・・・この花を頭につけてもらうのを。
心待ちにしていたような・・。
そんな不思議な感覚に捕らわれて、くすぐったく、
リナは笑う。
「・・・・いい?私がさっきいったこと・・。
よぉぉく、肝に銘じておきなさい。
ガウリイ=ガブリエフ。いいわね?」
するどく見つめられて。
「・・・分かりました。」
先ほどいったこと。
それは、自分が犠牲となって相手を助けても。
意味がない。
二人が同時に生きなければ。
その言葉がガウリイの胸にと響く。
・・・・自分は、今まで。
そんなことは思っても見なかった。
・・・そう、確かに。
何でかわからないが、そう確信がもてる。
そんな経験・・あるはずもないはずなのに。
二人の出会いは必然。
ルナが、ガウリイがその花畑に。
一人で来ていることを調べ上げ。
その日。
リナとガウリイを出会わすために出かけたのだから。
リナを守るために、滅多に外にはでない。
それでも、一応、ルナの名前は。
赤の竜神の騎士(スィーフィードナイト)として。
一部には知られている。
このままでは。
生きていることに飽きたガウリイが。
自ら命を落としかねない。
・・・・そうなったら。
リナは、無意識のうちに、ガウリイを捜し求めて。
悲惨な結末になりかねない。
だからこそ。
それを防ぐために、あえて、出会いの場を設けたのである。
「・・・・あ、水晶花。」
「だな。」
二人、仲良く歩いていると。
道筋に、小さな水晶のような花が目に止まる。
「・・・あれから、十年あまり・・か。」
「・・・何?」
「・・ん?いや、何でもない。」
どんどん綺麗になっていくリナ。
あの後。
ガウリイは家を飛び出した。
その財産は、全て従兄弟に渡すという書置きをして。
眠っている最中でも、命を狙われるよりは。
・・生きて再び逢いたかった。
そして、一度しかあったことのない、あの子に。
ただ、ひたすらに逢いたかった。
ガウリイが、ゼフィール、シティにたどり着いたのは。
それからしばらく。
その後。
ルナに特訓を受け、かなりの剣の腕にと成長しているガウリイ。
その腰には、免許皆伝の証として。
とある剣が掲げられているが。
ちょうど。
いくら、次元震があったとはいえ。
こちらの世界に迷い込んできていた、
ここの世界とは別の世界の魔族。
閃光の剣(ゴルンノヴァ)・・言い換えれば。
脅して、ガウリイの愛用の武器になれといったといっても過言でない。
・・ルナと金色の王にそう直々に言われては。
断ることなどできるはずもなく。
一応、エルフ達が細工をした剣。
という話しを作り、リナと一緒に旅に出すに当たり。
ルナがガウリイにと手渡したのである。
―リナを守るために。
『ルナのいうことを聞かなかったらスペシャルお仕置きv』
・・・そういわれて、まず、反対できる、魔族が。
いるであろうか・。
この世界を今治めている金色の王に・・。
リナが十五になるころから。
世界が少し不安定になりかけている。
このまま、二人をゼフィール、シティにおいておけば。
下手に魔族に目を付けられる心配もでてきたので。
あえて、ルナは、二人を旅立たせたのである。
「・・・でも、何よね。」
くすりと笑うリナに。
「そうか?俺はうれしいけどなv」
互いの手にはめられたおそろいの指輪。
互いの位置を把握するのに便利だから。
そういって、ルナから手渡されたそれは。
ガウリイは、リナの左手の薬指にとはめ。
ガウリイもまた、自分の左手の薬指にとはめている。
もう、ガウリイも、自分が、リナを好きなのだと。
はっきりと、すでに子供のころに自覚している。
・・・自覚してないのはリナだけなのだが。
無意識のうちには引かれているが。
その感情が何なのか・・リナには理解ができてない。
そのを気付かせるための旅でもあるのだ。
ルナの目的は。
「でも、こんなのしてたら・・・
案外本当に恋人同士に見られたりしてたりしてね。
ゴメンね、姉ちゃんの命令でおそろいの指輪だなんて・。
迷惑だよね・・。」
「俺はちっとも迷惑じゃないって。」
というか、うれしいんだが・・。
などと心で継ぎ足しつつ。
「・・・・ガウリイ、優しいもんね。」
今だに。
ガウリイの優しさは、兄が妹に接するような。
優しさだと、ずっと勘違いしたままのリナ。
リナも自分がガウリイを特別な存在としてみているのに。
何となく気付いている。
いるが・・気づいてない振りをしているだけ。
この関係が壊れるのがこわくて。
ガウリイがいなくなってしまうのが怖くて。
言い出せない。
「・・あのな。気にするなよ?
俺としては、うれしいんだからな。」
「・・・・本当にゴメン・・。」
二人が旅にでて。
国同士での争いなども頻発し始めた。
よく町に来ていた、アクアという人の話だと。
どうやら、冥王とかいう人が、何かをしているらしい。
その冥王とは、文献を読み漁っているリナは。
その正体を知っている。
「・・・これから、どうなるんだろ?世界は?」
「ま、何があっても、リナは守るさ。
・・一緒に生きような?」
「・・・うん。」
・・・・・・一人に・・しないで・・・・。
「・・リナさんは、ガウリイ様のことをどう思っているのですか?」
「・・・・・え?」
旅の途中に知り合った、大切な友人。
国々のごたごたなどを一緒に解決した、仲間の一人。
「・・シルフィール?」
恐る恐る、問いかける。
「どうっ・・・て?」
声が震えるのが自分でわかる。
「ですから、ガウリイ様に対して、どう思っていらっしゃるのか、
聞いているのです。はっきりいいますわ。
わたくし、ガウリイ様が好きです。」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
怖れていた。
きっと・・・ガウリイも・・・・。
知らず、リナの気付かないうちに、涙がこぼれる。
「そ・・・そうなの・・・。」
何か頬がつめたい。
心が凍りつく。
「リナさんが、何ともガウリイ様を想ってらっしゃらないのなら。
わたくし、告白してもかまいませんわよね?」
きっぱりと、リナの瞳を見ていってくるその台詞に。
「・・・そりゃ・・あたしは・・ガウリイの・・・妹みたいな・・
・・もんなんだし・・ガウリイが誰を好きになろうと・・。」
声がかすれる。
「なら、いいんですのね。では。失礼しますわ。」
夜、いきなり、部屋にこられて、いきなり言われた台詞。
パタン。
扉が閉まる。
「・・・・シルフィールが・・ガウリイを・・・。」
うすうす気付いていた。
・・・気付かない振りをしていただけ。
・・・・・・・・・・もう・・・一緒に・・いられない?
窓の外に。
シルフィールとガウリイが一緒に出てゆくのが見える。
・・・これからは・・・ガウリイの側に・・シルフィールが・・。
一緒にいるの・・・?
「ふえ・・・・・・ふええええええええんんんんん!」
そのまま、ベットに横になり、泣き伏す。
いつか、来ると思っていた。
ずっと守ってくれるといっても・・所詮、ガウリイも、
好きな人が出来て、自分から離れていくのだ・・と。
ただ、気付かないようにしていただけ。
ならば、とっとと告白していればよかったとも思うが。
それで・・ガウリイと離れるのがいやだっただけ。
「・・・でも・・シルフィール・・いい人だもん・・・。」
人気のない場所に進んでゆく二人の足音を聞きながら。
リナは、そのまま。
布団の中で、声を殺してないていた。
「・・・・ガウリイさま、好きです。」
「・・・・・・・・・え?シルフィール?
・・・俺は・・・。」
トントン。
「・・・・・リナ?」
扉を叩いても返事がない。
カチャリ。
・・・・無用心だな。
鍵もかかってない。
みれば、布団の中にもぐりこんでいるリナの姿。
「・・・リナ、話しがあるんだが?」
「・・・・・・・・・・・告白されたんでしょ?
・・・よかったね。シルフィール・・綺麗だもん・・。」
声が震えるが。
ガウリイの顔がまともに見れない。
つかつかと側に寄ってくるガウリイの気配。
「・・・こないで!」
口調が強くなる。
今、ガウリイの顔をみたら。
言ってしまう。
ガウリイをそんなのは傷つけるだけ。
そんなのは・・望まない。
「ああ、それでな。」
「ききたくないいいい!」
耳を塞ぐ。
布団がのけられる感触。
「・・・あのな、人の話しをきけよ・・。」
ガウリイの声が少し低い。
「今までご苦労様、あたしなんかの、
お守り、ありがと・・。シルフィールと幸せにね・・。
ほら、相手が決まった人が、別の女のところにいたら、
シルフィールが気を悪くするわよ。ほら、出てって・・。」
顔を伏せたまま、ガウリイを手で払いのけようとするリナ。
ぐいっ。
「・・・・やっ!」
そんなリナの手が掴まれる。
「・・・あのな?何か勘違いしてないか?」
手を掴まれて、体制が代えられる。
そのまま、ベットの上で、リナに覆いかぶさるような、
体制をとるガウリイ。
「はやく・・でてってよぉ・・・。」
涙でぬれた顔をみせまいと、必死で顔を背ける。
「・・・・ん・・・・。」
そんなリナの顔を両手でやさしく掴み。
そっと、自分の方にと向けて。
そのまま、リナの顔にガウリイの顔を近づけてゆく。
「・・・・やっ!・・んっ!」
どうして?
こんな・・・キスなんてしてくるの?
涙がこぼれだす。
・・・むなしくなるだけなのに。
必用に、唇を奪われ。
息も苦しくなり、ようやくガウリイがリナの唇を開放すると。
リナは、息を荒くしていた。
「・・あのな?勘違いするなよな?
俺が好きなのは、リナだけだよ。
シルフィールにも確かに告白されたよ。
そして、言われたよ。」
「ガウリイ様、わたくし、ガウリイ様が好きですわ。」
宿屋の裏庭で。
月明かりの元、言われた台詞。
「・・・シルフィール?俺は・・俺の好きなのはリナだけなんだが?」
前にも言ったはずだが?
初めて出会ったときに。
そういうふうに。
「ですから、とっととリナさんに告白してください。」
「・・・・・は?」
思わず次に出てきた台詞に目を点にする。
「ああもう!じれったいですわ!
どうして、リナさんとガウリイ様、二人、両想いなのに、
ガウリイ様がはっきりしないから・・いえ。
ガウリイ様のアプローチにまったく気づいてない、
リナさんが原因なんですけど・・。」
ぶつぶつあごに手を置き、つぶやくシルフィールに。
「・・・・おい?」
思わず顔をしかめる。
「ですから、ちょっと、意地悪しましたのv
リナさんには、私がガウリイ様を好きで。
告白するっていいましたのv」
「・・・・何だって!?」
一気に血の気が引いてゆく。
「ほら、そうでもしないと。リナさん。
ご自身の気持ちに気付かないというか、
絶対に素直になりませんしね。
私は、リナさんの側にいるガウリイ様が好きなんです。
そして・・・ガウリイ様の側にいるリナさんが。」
にっこりと。
微笑むシルフィール。
そして。
「さ、ガウリイ様、リナさんの所にいってあげてくださいなv
わたくし、わざとガウリイ様と宿を出るの、リナさんに、
気付かれるようにしましたしv
今ごろ泣いてますわvふふ。」
「あ・・・あのなぁぁぁぁぁぁ!」
怒りでわなわな震えるガウリイに。
「こうでもしませんと。ずっと平行線のままじゃないですか?」
「そうです!その通りです!」
「まったくだな・・。」
茂みの後ろから、出でくる二人の男女。
「・・・オマエラ・・さては・・・・」
ジト目で、今一緒に旅をしている中間たちを睨む。
「はい!いつまでも素直にならないリナさんを!
追い詰めて自覚させようという作戦です!」
きらきらと、大きな瞳を輝かせていっている、
肩の上で髪を切りそろえている黒い髪の少女に。
「・・・確かに、みていてじれったいからな。
貴様まらは。のろけまくるガウリイの台詞を、
いつも聞かされる俺達の身になってみろ・・。
しかも、リナは、まったくそれを告白と捕らえてないのが。
一番精神的にこたえる・・。」
はぁ。
溜息一つ。
さすがに、毎日、そんな二人をずっとみていれば・・。
すでにもう。
二人と知り合って、三年に近い年月が経過している。
・・・その間ずっとである。
剛を煮やしたシルフィールの気持ちも・・わからなくはない。
「言っても、分からないリナなんだから。
なら・・実力でいけってなv」
「・・・・・え・・あの?」
そういえば・・この体制は・・・・。
額に汗が流れる。
「その・・・ガウリイ?」
いや・・まさか。
「リナ・・・好きだ。愛してる。」
「・・・・・あ・・・・。」
再び口付けされてくるその感触を。
今度は素直に受け入れる。
・・・・?
何か、肌がすーすーする?
「・・・・・って・・ちよ・・がう!?//」
「確かに、実力って手もあったよなぁv」
「ちょ・・やめ・・やだぁ!//」
抵抗する手も心なしか殆ど力が入っていない。
「リナ・・・・俺が嫌いか?」
「・・・そんな・・わけ・・・ない//
・・・・好き。」
真っ赤になりつつ、答える。
「なら、結婚してくれるな?リナ。」
「・・・・・・・・・・・はい///」
とさり。
そのまま、二人は、ベットの上で重なってゆく。
十日後。
「・・・・あれ?」
だるい体を起こすと。
ずっと側にいたガウリイがいなかった。
「・・・・ガウリイ?」
始めはばらばらに痛かった体も。
もう麻痺したのか。
あまり痛くない。
シーツを身につけて、カーテンを開ける。
シャ。
「・・うわぁ・・。」
差し込んでくる光がまぶしくて。
思わず目を細める。
「・・・どこいっちゃったんだろ?」
いつも目覚めたら・・側にいて・・その//
思い出すと、瞬時に真っ赤に成り果てる。
「・・・・・とりあえず、下におりよ・・。」
散らばっていたはずのリナの服は。
きちんとたたまれて、部屋の隅にと置いてある。
とりあえず、服を着て、一階にと降りてゆく。
「あ、リナさん、お早うございます!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
一階に降りたリナが目にしたのは。
その一階にある、少し広い部屋にて。
何か、飾り付けが行われている。
「あ、降りてきたようだね。
とりあえず、風呂に入りなさいな。」
「は・・・はぁ・・。」
にこにこといってくる宿のおかみに促され。
とりあえず風呂にと入る。
「・・・・・・う//」
風呂に入ると、さすがに、紅い後が白い肌にと浮かび上がり、
瞬く間に茹蛸にと成り果てるリナ。
「あ、リナさん、着替え、ここにおいておきますわね。」
脱衣所から聞こえるシルフィールの声。
「あ・・・シルフィール?その・・??」
確か、シルフィールは、ガウリイが好きだっていってなかった?
その言葉を思い出し、シルフィールに対して、
罪悪感を抱く。
「そろそろ出ますか?リナさん?
あ、着付けの手伝いするのにわたくしも手伝いますからv」
・・・・・・着付け?
その言葉に眉をひそめるが。
ガラリ。
とりあえず、体を洗い、髪を洗って、風呂から出ると。
用意されているのは、一枚のバスローブ。
「・・あ・・あの?」
普通の服がない。
「ほら、リナさん、用意しますわよv」
とまどうリナの手をひいて。
そのまま、部屋にと戻るシルフィールに。
「・・し・・シルフィール?」
とまどうリナをそのままに。
やがて、一階にある、とある小部屋にとリナをつれてゆく。
「・・・・・って!?何で姉ちゃんがここにいるのよ!?」
ずざ!?
思わず退く。
そこに、いるはずのない、自分の姉。
ルナの姿を認めて。
「何って、お祝いにきたのよv
さ、リナ、着がえましょうねv」
にこにこというその台詞に。
「・・・・・着がえるって・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・おいまて・・・。
思わずリナの目が点になる。
・・・小部屋の中に。
真っ白な・・・どうみてもウェディングドレスが、
掛けられていた。
「おーい、神父が到着したぞぉ!」
どこかの男性の声がする。
「・・・・いや・・あの?」
リナには、何が何だか分からない。
「ガウリイの用意は?」
「あちらは、ゼルガディスさんが、手伝ってます。」
にこにこと話している、シルフィールとルナに。
「だぁ!?何!?一体・・何!?」
混乱する。
「・・・・リナさん?何をいってるんですか(はあと)
今から、ガウリイ様とリナさんの結婚式を執り行うんですよ(はあと)」
「・・・・・・・・・・・・・ちょっとまてぃ!」
「リナ、まさか、そーいう関係になって。
・・・今更いやとはいわなわよね?」
リナの首筋を指でさして、にっこりと微笑む。
「・・・・・うっ!///」
あわてて、首筋を押さえるリナ。
そこには、これでもかというほどに付けられている紅い花びらが、
散っている。
「そうそう、照れ屋のリナさんですから。
周りが全て用意周到しないとv」
「ちょ・・シルフィールぅ!?」
「ほら、リナ、着がえるわよv」
「あうあうあう・・。」
流されるままに、ドレスに身を包み。
そのまま、
この宿の一階にある、広間にとルナに手をひかれて、進んでゆく。
・・・・どきり。
その部屋の奥に、正装しているガウリイの姿が。
「・・・・あ//」
簡易的に、協会が再現されていて。
一番奥に、神父と新郎が。
その奥で花嫁の到着を待ちわびていた。
「・・・リナ。」
「・・・あ・・。」
ガウリイに微笑みかけられ。
すたすたと歩いてくるガウリイの手を握り。
そのまま、部屋の奥・・神父の前にと進んでゆく。
「・・汝ガウリイ=ガブリエフ。
いつ健やかなるときも、リナ=インバースを、
生涯の伴侶として、いかなるときも愛することを誓いますか?」
「誓います。」
「・・汝、リナ=インバース。
いつ健やかなるときも、ガウリイ=ガブリエフを、
生涯の伴侶として、愛することを誓いますか?」
「・・・・あ・・・」
「誓いますか?」
再度問いかけられ。
「・・・・・・・・・・誓います。」
いきなりのことで混乱する思考では。
すんなりと本音がリナは漏れていた。
「では、誓いの口付けをもって、この二人が新たな夫婦と認めます。」
神父の声に。
そっと、リナのヴェールが上げられる。
「・・・・リナ、愛してる。ずっと・・。」
「・・・・ガウ・・・・・。」
「リナさん、ガウリイさん!おめでとうございますぅ!」
「リナさん、ガウリイ様、おめでとうございます!」
「リナ、ガウリイ、よかったな。」
「ガウリイ、リナを残して死ぬんじゃないわよ・・・。」
口々に、二人の関係者や村の人達だけの参加の結婚式。
お祝いの言葉が掛けられるなかで。
ルナだけが少し違うことをいっているが。
今や、どこの国でも、戦争や、争い。
泊まり客から。
つれの結婚式をしたい。
そう相談された、宿のおかみは。
すぐさま了解した。
こんな世の中である。
少しでも、人々の心が和むイベントは・・。
少しでも多かったほうがいい。
そのために。
この小さな村の中。
あっというまに、二人が部屋に閉じこもるその日から。
計画がなされて。
いつ、二人がでてきても、すぐ結婚式が執り行われるように。
周りが準備していたのである。
・・これは、シルフィール、アメリア、ゼルガディス。
・・・そして、ルナの作戦でもあった。
あの日。
シルフィールがわざとリナにいったのも。
ルナにいわれたからという事実があるが。
リナは、そんなことを知るはずもないのであった。
「・・・・・・・♪」
いつものように、パレスに戻り。
仕事を片付けてゆく。
この数年間。
情勢は、戦いなどが起こっているとはいえ。
ルナにとって、リナとガウリイが平和であれば、それでいい。
結婚してから、はや、三年。
まだ子供は出来ないが。
それでも、二人は幸せそうで。
それだけで心が躍る。
だが。
ルナがバレスに戻り。
他の仕事をこなしているその矢先。
ドォォォォン!!!
「何!?」
「くっ!リナ!!」
「ガウリイ!!」
空気が振動した。
そして、空に群がる、無数の竜達。
少し前から、魔族の動きが活発化していた。
魔道士として、剣士として。
戦いに参加していた、この二人。
二人のコンビは、・・・魔族にとって、やっかいな代物でしかなく。
だんだんと、二人をターゲットにする気配が出始めていた。
その矢先。
「・・あれは!?・・・はっ!アクア姉ちゃん!?」
山の上に炎がたぎる。
それは、昔からよく自分達の元に来ていた、
アクア。
今では、リナは、そのアクアが水竜王なのだと知っている。
空が震え、大地が振動する。
「・・・・・アクア姉ちゃんが!」
駆け出そうとするリナを。
「・・・リナ!いけない!」
あわてて、リナを制するガウリイ。
今、リナは・・魔力が極力使えないのだ。
少し膨らみ始めたそのお腹。
二人の愛の結晶が。
今、確かにリナのお腹の中で育っているからして。
「人間って不便ですよねぇ。
でも、安心してくださいv
二人仲良く殺して差し上げますからv」
にっこりと。
そんな二人の前に現れる、艶やかな肩より少し長い、
髪をしているウェーブのかかった少女。
「・・・・冥神官ヘレ!」
リナが叫ぶ。
「冥王様のおっしゃるとおりですわね。
・・・そちらの女性が魔力が使えなくなっているというのは。
さ、観念してくださいなv」
にっこりと微笑み、槍を構えてくる。
「リナには指一本ふれささん!」
すらりと剣を抜き。
「光よ!」
ヴン!
掛け声とともに、光の刃が出現する。
「・・・・・・へえ、ゴルンノヴァ・。
・・・本当に人間が使っているんですのね・・。
・・ま、人間に使いこなせるとは、思いませんけどねv」
この二人は、人とはみなさなくてもいい。
―殺るときは一気に殺せ。
でないと・・返り討ちにあう。
それは、もう、他の同期・・神官や将軍が。
この二人に倒されているというのもあいまって。
それは十分に承知している。
「あなたのお相手はしませんことよ。
・・・まずわ。」
そういって、手をかざす。
「・・・・・リナ!」
「・・・ガウリイ!?」
とっさに、リナを抱きかかえる。
次の瞬間。
バシュ!!!!!!!!!
光の筋が。
ガウリイとリナの体を・・・・同時に貫いていた。
「・・・・リ・・・」
「・・・・ガ・・・・・・。」
互いに名前を呼び合い。
・・・・・・・・・・・・どさり。
静かに、二人の体は。
その場にて崩れ落ちていた。
オオオオオオン・・・・・・。
「どうやら、魔王様が復活なされたようですわv」
くすくすと笑い。
二人の動かない体をそのままに。
ふい。
冥神官ヘルと呼ばれたその少女は。
その場から姿を消していた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・ルナ!!!」
鋭い悲鳴に近い叫び。
・・・どくん。
何か果てしなくいやな予感。
パレスが振動する。
「エル様!?」
「あの馬鹿Sが!リナを!」
「・・・・・何ですって!?」
それだけで瞬時に判断ができる。
「・・・アクアは!?」
アクアがいるから。
あの場所は大丈夫・・のはずなのに!?
「その、アクアに戦いを挑んだのよ!
あの馬鹿!!!」
「何ですってぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!」
急いで戻れば。
アクアが治めていた地に張られた魔族の結界。
その中で。
かろうじて滅びるまでもいかないが、
ばらばらになった、アクアの精神。
パラバラになる意識の端にて。
その力の全てを使い。
・・・ちょうど、リナが死んだことにより。
星そのものが一瞬振動した。
その揺れに生じた魔王の隙を逃さずに。
・・アクアは、魔王の体を。
自らの氷の結界で閉じ込めたのである。
覚醒した魔王は、レイ=シャブラニグドゥ、その核。
欠片の魔王とは違い、本体そのもの。
魔王の力をこの物質世界にて。
発動させなうようにするのが・・。
その振動の意味を悟ったアクアには。
それがやっとであった。
混乱する思考の果てに・・・不完全ながら、
封印はとり行われ。
レイ=マグナスをその器とし。
覚醒した、赤瞳の魔王(ルビーアイ)シャブラニグドゥは。
北の、アクアが収めていた霊山の地で。
氷のオブジェとなって、
封印されたのである。
「・・・・・そ・・・な・・。」
胸を一撃。
倒れている二人の姿。
互いに寄り添い・・・抱き合うようにして。
「・・・・・・・・・・・もう少し・・・・・。」
ようやく、子供も作り。
その子供さえ・・産まれて。
二人が幸せになれば・・。
おのずから・・・リナもまた眠りから・・覚醒・・。
・・するはずだったのに・・・。
リナのお腹にいた子供ごと。
・・・すでに、そこには。
魂が、ゆらゆらと。
意識のないまま、漂っていた。
冥王が、そんなリナ達の魂を狙っていたものの。
ガウリイの魂が、リナの魂を意識のないままに。
そんな冥王の手からずっと守っていたのが見てとれる。
「・・・・・・・・ユルサナイ・・・。」
ルナの瞳がさらに紅く燃え上がる。
数日もたたないうちに。
ルナ・・・赤の竜神の騎士の力によって。
・・・腹心たちのその全て。
そして、冥王直属の部下達。
それらは、全て、滅びるか、
もしくは、物質干渉力を失い。
この地に干渉できなくなっていた。
「・・・・スィーフィードナイトよ・・。」
「・・・・・何もいわないで・・。」
水竜王に使えていた、若き長老。
アクアに支えていたその竜の殆どは。
たった一人の魔族によって、壊滅的なダメージを受けた。
「・・あなたたちは、アクアの知識を・・守ってて。
・・・時がくるまで・・。」
「・・・・・・・わかり・・ました。」
並んだ墓の前。
その二つに刻まれた名前と。
名前のない小さな墓。
感情のない瞳で虚ろにそういうルナの言葉に。
ただ、静かに、黄金竜の彼は、うなづいていた。
その腕が片方、ないのは。
戦いにより失ったため。
滅んだと思っていた水竜王。
だが、その知識と力がばらばらになったとはいえ。
存在していると、赤の竜神の騎士から聞かされた。
・・ならば、自分達のすべきこと。
それは、ばらばらになった、そんな水竜王を守ること。
無言で何もいわずに。
そこに立ちすくむ女性に軽く会釈をし。
パサリ。
竜の姿となって、そこから飛び去ってゆく。
「・・・・・早過ぎた・・・の?まだ?」
ぺたん。
座り込み、何もいってくれない、リナの墓の前で。
ただ呆然とするルナに。
『・・・そうでもないわよ。
・・すくなくとも、二人の想いが通じ合ったのは、
確実だから。・・・次こそ・・。
・・・だけど・・次が・・・。』
シュン。
そんなルナの横に、出現する、金色の光に包まれた、
絶世の美女。
次に・・・・もし、ガウリイが、リナの前で死亡でもしたら・・。
・・・・・・・・・リナの魂は・・・もう・・もたない。
「・・・・・・今度は、リナ様をしっかりと!
教育しておきますわ!!」
魔族が張った結界の中。
これから、この地には、魔の力が満ちるであろう。
人々も、それに対抗するために、魔法を中心に、
発展させてゆくはず。
自分達が住んでいる場所をさらに結界で強化して。
魔の干渉を防ぐ。
・・・再びリナが誕生する・そのときまで。
リナが誕生するのは、決まって、ガウリイの転生体を追って。
ガウリイは、普通の魂がゆえに。
輪廻の輪の中に、くみこまれているがゆえに。
ルナや金色の王が干渉しないかぎり・・。
普通に転生を繰り返してゆく。
墓の前で誓ったその同時期。
『・・・誰かくるわ。私は戻るわね。』
「・・・・はい、エル様。」
一礼を返すと同時に。
近づいてくる、三つの気配。
その手には、花束。
「・・・・・・・リナさん・・。」
まさか、妊娠し、喜んでいたその最中。
あんな戦いが巻起こるなどとは。
人間の女性は、妊娠すると、極端に魔力が使えなくなる。
それは、子供を産むために必要なあの日とて例外ではない。
「・・・・くそ!」
墓の前で地面を叩く。
二人の幸せは。
何より、うれしかった。
ずっと、それを望んでいたような感じさえする。
ここにいる三人は。
全員、同じ気持ちでリナとガウリイを見守っていたのだから。
「・・・・次に生まれ変わったときには・・きっと・・・。」
そういいつつ、涙でぬれた瞳で。
墓の前に花を供える、シルフィール、アメリア、ゼルガディス。
すでに、このたびの戦いにおいて。
彼等の国や故郷は、壊滅的なダメージを受けている。
「・・・わたし、魔に負けない聖なる国を創ってみせます!」
父が目指し、姉が目指していたのは。
聖なる力に覆われた、人々が安心して暮らせる国。
「・・・だな。こんなことは二度と・・。」
そんなアメリアの父に協力し、国づくりを手伝っていた、
ゼルガディス。
そんな矢先に、アメリアの父と姉は。
他の国の刺客に襲われ・・・花と散った。
その刺客が、人間でないと気づいたのは・・。
その刺客を追い詰め、姿をかき消したとき。
「・・私は、魔に対抗するために。
魔法を徹底させますわ。」
この地では。
多少は魔法を使える人達はいたものの。
それでも、その数はすくなく。
ならば。
そういう施設を作ってはどうだろうか?
という話しは、よくリナと共にやっていた。
子供が産まれたら、リナとガウリイと、その子供。
シルフィールで、そんな協会を作ろう。
そう話しがまとまってもいたのだからして。
「・・・私も協力します。シルフィールさん。」
「お願いしますわ。・・もう、名前は決めてたんです。
・・・リナさん達と・・・・。」
―魔道士協会。
何か、よくわかりやすい名前でいいんじゃない?
妊娠が判明して、穏やかに笑っていたリナは。
・・・・今は、もう・・いない。
「・・・・私は、国を再興させます!」
一度は滅んだセイルーン。
だけど・・・それを復興させるのは、王女たる自分の使命。
「俺も手伝おう。」
その思想が好きだった。
全てのものが全員平等というその思想が。
一度、彼は、とある心ない者達に、幼いとこに、誘拐され。
そして、人体実験を受けていた。
異質な体。
そんな彼を普通に扱ってくれた、アメリアの父に。
リナに、ガウリイ・・そして、アメリアにシルフィール。
リナと知り合い、その知り合いだという、水竜王、
ラグラディアに、その忌々しい体は、元に戻してもらい、
すでに久しい。
だから、ずっと、アメリアの父であるフィリオネルに協力していた。
全てが平等というその思想が。
人類みな、生きとしいけるもの、皆兄弟。
その思想が。
その思想を実現させるためにも・・・。
「この地を壊滅に追い込んだのは。操られていたとはいえ、
人間。でも、それを復興させるのも、また人間というのを。
覚えておいて・・・。」
さら・・・。
その紫かがった青い髪がかぜになびく。
『ルナさん・・・いや、
『赤の竜神の騎士(スィフィードナイト)』』
淡々と、慈愛のこもった瞳でいうルナの台詞に。
三人は、つぶやくように、そう声を漏らしていた。
降魔戦争。
そこに生きる、全ての者達を巻き込んで。
覚醒した、魔王の一つは。
北の地にと封じられ。
そして、この地は。
魔王の腹心が張った結界によって。
外部とは閉ざされ・・・交流が出来なくなっていた。
これより、この地は。
外部とは違う進化を辿り始めてゆく・・・・。
-エピローグへー
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あとがきもどき:
よしゃぁぁぁぁあ!
次回でよーやく、ガウリンvとリナパパv
んふふv
ちょっびし、外伝・・まあ、んな台詞はなかったけどさv
多分リナパパならそーいうだろうしv
とゆーわけで、すさんだ傭兵時代のガウリイ君v
そーして、リナちゃん、誕生v
・・・・うう・・。
長かったよぉ・・。
そーして二部の闇の行方に・・・繋がります。
・・・・はひ・・。
んではではvv