まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら
とりあえず・・・・・。
 よく考えたら・・・・約一年ぶり?(汗)
 うーむ・・・(こらこらこら!)
 というわけで。
 とりあえず、各種簡単設定までvv


         登場人物:リナ=インバース
           正式名称:リロード=ナファレス=ドナ=ナイトメア
            参考:深淵なる闇 光よりも眩しき存在 闇よりもなお深き存在
               混沌を抱擁する存在 母なる海の妹にして
               この世界の海を創造せし存在
               『深淵なる真の王(ギャラクシーオブナイトメア)』
               金色の王の妹。この世界の混沌そのもの。
          登場人物名前:ガウリイ=ガブリエフ
            正式名称:ガウリイ=ガブリエル
                (ガウリイ=ナファレス=ナイト=ロード)←後々に(笑)
              参考:リナを心配した(孤独をみた)
                 エル様と、ルナが、リナを思ってたら、
                 その思いの反動で、生まれでた魂。
            おまけ?設定:
               エリアンヌ(エリー):リナとガウリイの長女(妹)
                (リナにくりそつ・・爆!)
               カウリイ:リナとガウリイの長男(兄)
                (ガウリイにくりそつ・・爆!)二卵性の双子です(笑)
               リナス:エリーとカウリイの妹
                  (両親を助けるために、未来からやってきてます・笑)
                   リナ譲りの栗色の髪に、瞳の色は、ガウリイ譲り。
                   性格は・・リナそっくりです(笑)
              登場人物名前:ルナ=インバース
                正式名称:ルナティック=スィーフィード
                  参考:深遠の真の王の補佐官&側近。
                     この世界に命が誕生した際に、
                     金色の母が、リナにお祝いとして、与えた存在
                     (とゆーか、それように、創り出した)
                
          更なる裏暴露設定(まて!)
              エデン世界
                大まかに、四つの大陸に分けられる。
                ユグラシドル大陸・オーディル大陸・ジール大陸・
                マナ大陸
              この世界(リナが抱擁する世界)において、
              初めてといっていいほど、命あふれる星。
              まだ、ここまで、他の星達は発展してない。
              魔王ユージン・神マナティスが治める世界。
            ユグラシドル大陸第一皇女:
              アメリア=トゥエル=ユグラシドル
            オーディル大陸第一王子:
              ゼルガディス=マナ=オーディル
            ユグラシドル王家巫女頭:
              シルフィール=ラナ=サイレス


   ではでは、いってみよう!!!



#####################################

エデンの園  ~第23話~

「で?どうするんだ?」
   栗色の髪に、紅の瞳の少女―エレナを目の前に。
   ゼルガディスが、ガウリイにと問いかける。
   「・・・・その辺りの近くの町にでも。
      つれていけばいいだろ。」
   そっけなくいっているガウリイ。
   「エレナさん、行くところがないんだったら。
    私の国に来ますか?まだ、出来たばかりで、発展途上ですけど。
     国民は大歓迎です!」
   目をきらきらと輝かせていっているアメリア。
   「・・・・え?あなたの・・国?」
   キョトンとするその表情も。
   誰かを連想して。
   ずきり。
   心が痛む。
   

   ―ドウシテ・・・・・アエナイ?


   姿が下手に似ているから。
   余計に、いらだつ。
   似ていても・・・この女性は・・・彼女ではないゆえに。
   「はい。まだ出来たばかりですが。
     セイルーンという国です。」
   にっこりというアメリアに。
   「・・・・なら、そうさせてもらいましょうか?」
   少し考えて、うなづくエレナ。
   「それはそうと、エレナさん?どうして、教われていたのですの?」
   シルフィールが、そんなエレナにと質問をなげかける。
   「え?あ・・ああ。私・・・少しばかり、魔法が使えるもので・・。
     ・・・その・・・。」
   「・・・・魔女狩り・・か。それを隠れ蓑に、
     傍若無人な振る舞いをする輩がいる。というのは聞いてはいたが・・・。」
   あきれるゼルガディス。
   「それじゃ、話は決まりですね。
     ガウリイさん、一度、エレナさんを連れて。
      セイルーンに戻りますけど。ガウリイさんはどうしますか?」
   アメリアが、ガウリイにと問いかける。
   「・・・・俺は、一人でいい。一緒にはいかない。
     そいつと居ると、気が狂いそうだからな。」
   冷たくいって。
   そのまま。
   すでに日が陰った森の中にと消えてゆく。
   「・・・・・私・・・嫌われているのでしょうか・・。」
   立ち去ったガウリイをみつつ。
   うなだれるエレナ。
   「エレナさんのせいじゃないですよ。
     ただ・・・・どうしても、面影を重ねてしまうから・・それがいやなんだと・・。」
   シルフィールがそんなエレナを慰める。
   パチパチパチ・・・。
   森の中。
   彼等が起こした焚き火の音だけが。
   静かに、鳴り響いてゆく。



   ・・・・・・ダン!
   しばらく一人で森の奥にと入っていき。
   そこにあった、少しばかり大きな木に。
   素手で殴りつけているガウリイ。  
   寝ると。
   どうしても、泣いている彼女の姿が。
   その姿しか、思い浮かばないから。
   しかし。
   寝ないと、彼女に会えないのも・・・また、事実。
   「・・・・な・・・で・・・・会えないんだよ!リナ!」
   物心つく前から、ずっと、夢の中で。
   手が届かない位置で、泣いている少女。
   名前も容姿も、その姿も。
   はっきりと、思いだせるのに。
   しかし。
   かつての、遺跡で見たように。
   知らされたように、そこにいく方法が。
   どうしても、分からない―思い出せない。
   どうやら、かつての自分の兄であったらしい彼の言葉によると。
   ―自分達の記憶をリナが封印しているらしい。
   ということ。
   それが、事実だと。
   思い出しそうになるたびに。
   深い霧のようなものに包まれる感覚で。
   さらに実感してゆく。
   それでも―。
   どうしても、思い出したい。
   リナのことだから。
   かすかな記憶の端に。
   彼女―リナが笑っていた顔を。
   見たことがある。
   そう、確信が持てるから。
   だが。
   今、自分が思い出すのは―全て泣き顔のみ。
   それも、苦しそうな泣き顔。
   いつも、笑っていてほしいのに・・・・。


   かさ・・・・。
   パピュ!!
   「・・・・・・・・!」
   かさり。
   という茂みの揺れる音と。
   光の槍が。
   飛んでくるのがほぼ同時。
   それを一瞬で、何なく交わすガウリイ。
   「ちっ・・・かわしちゃったの?
     悪者のくせに?」
   いって。
   闇の中から出てきたその人物は。
   闇色の服と、ローブを身にまとい。
   それでいて、漆黒のその黒い髪。
   同じ顔であるのだが。
   その女の子、二人の相違といえば。
   瞳の色が、異なる。
   ということのみ。
   一人は、紺色に、もう一人は藍色。
   それ以外は、まったく同じ風貌をしている。
   歳のころならば、十歳程度の女の子二人の姿。
   「・・・・・・お前たち・・・・人じゃ・・ないな?」
   いいつつ。
   すら。
   剣を抜くガウリイ。
   「へえ。気配を人にしても、分かるなんて。」
   「やっぱり、殺しておくべきなんだろうね。
     母様のためにも(はあと)」
   にっこりと笑う二人。
   そして。
   「私は、ヒルフィシルミルラーダ。」
   「私は、ヘルシータネスラーダ。」
   「「『深淵なる真の王(ギャラクシーオブナイトメア)』様により。
     作り出されし、神魔の王。」」
   「・・・・・・・・・・・・な゛!?リナの!?」
   「母様を呼び捨てにしないで!」
   「そうよ!私達が知らないとでも!?
     リナ母様、いつも、あんたをみて、泣いているのよ!?
      こっそりと!だから、母様を泣かすやつは、全ての敵!」
   『だから、死んで(はあと)』
   にぃぃぃこり。
   天使の微笑みでにつこりと微笑む二人の少女。
   

   ガウリイが、二人の刺客に襲われている最中。
   ―カッ!
   いきなり。
   「アメリア!」
   「!?ゼルガディスさん!」
   「これは!?」
   「・・・何ですか?!」
   辺りの景色が一辺する。
   確かに、今までいた場所には違いがないのだが。
   雰囲気的に、何かが違う。
   そう判断ができる。
   戦闘態勢に入り、身構える、アメリア、シルフィール、ゼルガディスの三人に。
   何が起こったのか、わからずに、おろおろしているエレナの姿。
   やがて。
   「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へぇ。偶然って・・・あるんだね・・・・・。」
   「・・・・いるんだ・・・・・深遠なる真の王(ギラクシーオブナイトメア)様と。
      同じ容姿をしている人間って・・・。」
   かさ。
   木の陰から。
   左右、その両脇から。
   二人の子供達の姿が、そこに出現してゆく。
   一人は、銀の髪に、銀色の瞳。
   一人は、青い髪に青い瞳。
   そして。
   木の陰から、完全にと姿を現して。
   「僕は、エルセナルヘルラーダ。」
   「私は、エターナルイスラーダ。」
   いって。
   身構えるアメリア達の方にと足を歩めて行く。
   「とりあえず、あの御方を泣かしている、その仲間たち。
     恨みはないけど、死んでもらうね(はあと)」
   「大丈夫。じっくりと、楽しみつつ、殺してあげるから(はあと)」
   にっこり。
   その天使の微笑みをたたえつつ。
   にっこりと笑いながら、アメリア達にと話しかけてゆく。

    「な゛!?何で!?」
   驚愕するアメリア達。
   「ちょっとまて。お前たち、今。
     『深淵なる真の王(ギャラクシーオブナイトメア)』といったな?
      関りがあるのか?」
   冷静に聞いているゼルガディス。
   「関りもなにも。」
   「僕達は、新たな世界を任されるために、リナ様に創られし存在。
     つまり、リナ様をいつも泣かしている、あのガウリイとかいう人間。
       その仲間は、すなわち、僕達の敵でもある!」
   いって。
   きっと、アメリア達を睨んでゆく。
   「ちょっとまってください!泣いているって・・一体?」
   シルフィールが問いかけると。
   「しらばっくれないでよ!
     何か原因があるからなんでしょうが!
       いつも、リナ様、私達に隠れて、そっと、あのガウリイとかいう人間の姿。
        見ては、泣いているんだから!」
   「リナ様を泣かしている、それスナワチ、世界にとっても、害にしかならない。
    存在にしか他ならない!」
   いいつつ。
   三人に向けて、殺気を放ってゆく二人の姿。


    「・・・・泣いているって・・・それって・・・・。」
    アメリアがつぶやき。
    ゼルガディスとシルフィールの顔をみる。
    実際には、ガウリイも、アメリア達も。
    その、深遠なる真の王に。
    今まで生きていて、出会ったとこなどない。
    分かっているのは。
    自分達が、かつて、彼女と関りがあったということ。
    そして。
    漠然とであるが、友達であった。
    ということのみ。
    「・・・・隠れて・・・ですか・・・・。」
    シルフィールが小さくつぶやく。
    どういう経緯かは分からないが。
    とにかく。
    リナが、ガウリイの姿を見て。
    泣いている。
    というのを今の彼等の会話から理解したアメリア達。
    「ちょっと!?何なんですか!?この人達って!?」
    かなり驚いているエレナ。
    無理もない。
    いきなり、見も知らない人から。
    死んでください。
    といわれたのであるからして。
    「ふ。たかが、人間に、説明する必用は、ないさ。」
    あっさりと、下して。
    エルセナルが、その手に。
    トライデントを取り出し。
    ひたりと。
    そんなアメリア達にと突きつけてゆく。



    「・・・・くっ!」
    「へえ(はあと)やるわねぇ。」
    キンキンキン!
    剣と剣が交じり合う音。
    だが。
    傷つけることが―できない。
    いや、できるのであるが。
    彼等は言っていた。
    ―深遠なる真の王・・つまりは、リナに創りだされた・・・と。
    だから、本気になれない。
    彼等を傷つけたら。
    リナが悲しむような気がして。
    「ふぅん、本気にならないんだ。
      じゃ、観念して、死んでくださいね(はあと)」
    ヘルシータがにっこりと微笑むと。

    ――ドシュ・・・・・・・・・・・。


     鈍い音が。

     静かな森にと響き渡る。


    「・・・・くっ・・・・・・・・・・・・・・・。」
    胸を貫かれ、息を荒げているガウリイ。
    それでも。
    やはり。
    傷つけることは、ためらわれる。
    やがて、視界が霞んでくるが。
    だけど。
    ―死ぬわけにはいかない・・・・・。
    その、精神力だけで。
    持ちこたえるガウリイの姿。
    辺りに、血の海が、広がってゆく。



    「ふぇぇ!?強いですぅぅ!」
    「くっ!諦めるな!」
    「あなたたち、何を考えているんですか!」
    アメリアが、どうにか、攻撃を防御しつつ。
    防壁が突破されそうになって、涙を浮かべて。
    泣き言をつぶやく。
    そんなアメリアを励ましているゼルガディス。
    どうにか、説得を試みているシルフィール。
    ―パシュ!

    もう駄目!
    アメリア達が、これ以上、攻撃を防げない。
    と、観念したとき。
    一瞬の間に。
    自分達の方にと向かってきていた攻撃の炎が。
    目を閉じたその刹那。
    何ものかによって、無とされてゆく。


    「・・・・・・・・・あなたたち!何をしているのですか!」
    鋭い怒号が鳴り響く。
    ふわ。
    目をアメリア達が開くと。
    そこには。
    紫がかった青い髪をしている女性の姿。
    その髪を、肩の辺りで切りそろえている。
    びりっ!
    声と共に。
    辺りの空気が振動するのが、感じられてゆく。

    『―ひっ!・・・・る・・・・な・・・様!?』

    その女性の姿をみて。
    退ずさる、エルセナルヘルラーダとエターナルイスラーダ。
    「あなたたち、自分達が何をしているのか、分かっているんですか!?
      これは、れっきとした、リナ様にの反逆行為ですよ!」
    きっと彼等を睨みつける女性。
    「だ・・だって!いつも、リナ様・・・あの人間をみて泣いているから!」
    泣きそうな声を出しているエターナル。
    「・・・・それは!」
    言いかけるが。
    やめておく。
    「ともかく、この人達は、リナ様にとって、唯一のご友人たちです。
     傷つけることはまかりなりません!」
    たじ・・。
    その言葉に、ただただ、たじろぐ二人の姿。
    そして。
    くるり。
    向きを向き直り。
    「ごめんなさいね。何か、下っ端が、暴走したみたいで。
      怪我は・・・ないようね?」
    アメリア達にと優しく微笑みかける女性。
    「・・・・・・・・・・・・あ・・・・あの?」
    どこかで、この人には、あったことがある。
    そう。
    どこかで。
    アメリアが問いかけようとすると。
    「―私の一存で―あなたたちの記憶を解除するわけには・・いかないんです・・・。」
    そういって、寂しくふと笑い。
    そして。
    「さあ!来なさい!みっちりと、お仕置きです!」
    『ああああ!ごめんなさいぃぃぃ!!!!』
    現れた時と同様に。
    エルセナルヘルラーダとエターナルイスラーダ。
    この二人の、首根っこを捕まえて。
    ひこずるようにと。

    唐突に。
    その女性もまた、その場から掻き消えていた。


    

    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ガウリイ・・・・・。」
    そっと、膝にその頭を乗せて。
    髪をなでる。
    あの一瞬。
    寝ていた自分のその記憶に。
    ガウリイが傷つき、血を流しているのが唐突にと浮かび上がり。
    ―どうしても、ほうっておけなかった。
    ガウリイが気絶するのと同時に。
    その場にと出現した。
    栗色の髪に紅の瞳の女性の姿。
    そして。


    「・・・・・・・あなたたち!何をしているの!!?」
    いきなり、出現した、彼等にとっての母に戸惑いつつ。
    言葉を失う、
    ヒルフィシルミルラーダとヘルシータネスラーダのこの二人。
    そして。
    その場にと出現したリナの目に飛び込んだのは。
    胸から大量に血を流して。
    倒れている金色の髪の男性の姿。
    「―ガウリイ!!!!!!!」
    その姿を見たとたん。
    何もかも、考えられずに。
    そのまま。
    すぐさま、治療を施してゆく。
    「・・・・駄目!死んだら!・・・・駄目ぇぇぇ!!!!
       何のために・・・・あんたが幸せになるために、
        あたしは転生させたのよ!!!!」
    自分で何を言っているのか、自分でも分からないままに。
    とにかく。
    傷がふさがっても、そのまま。
    とにかく、回復を施してゆくその女性。
    「・・・・・え?リナ・・・様?」
    その様子を。
    ただ、唖然とみているヒルフィシルミルラーダとヘルシータネスラーダ。
    彼等は、こんなにも取り乱しているリナの姿を。
    見たことなど、一度たりとてなかった。
    ・・・・こいつは、この人間は・・・リナ様にとって・・・敵ではないの?
    だって、いつも、リナ様・・この人間をみて泣いていたのに?
    自分でもリナは気付いていないが。
    泣き叫びつつ、必死にガウリイの傷を治してゆく。
    
    「・・・・・・・・な・・・・・・・・・で?」
    傷はふさがったが・・。
    ―息をしていない。
    「い・・・いやぁ!」
    そのまま、何も考えずに。
    ガウリイの口から、空気を送り込む。
    魂は、まだ、抜け出してはいないから。
    それでも。
    肉体が・・死にかけている。
    必死に、心臓マッサージをしつつ。
    何ども、何ども、唇を合わせて。

    やがて。
    「・・・・・・こふ・・・。」
    小さく、その口から。
    息が漏れる。
    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よかっ・・・・た・・・・。」
    ほっとしつつ。
    頭を膝に乗せて。
    ガウリイの髪をなでるリナ。

    
    ・・・・・もしかして・・・・。
    リナ様が泣いていた理由って・・・・ひょっとして?
    ここにいたり、ようやくその理由に思い当たる二人の姿。
    「・・・・・・リ・・・・・・ナ・・・・。」
    意識のない中。
    リナを呼ぶガウリイ。
    「・・・・・・・・馬鹿・・・・・今度こそ・・・本当に・・・忘れなさい・・・・。」
    いって。
    額に軽くキスをする。


    その刹那。
    ガウリイの記憶に。
    霞がかかったかのように。
    カーテンが下ろされてゆく。

    「・・・・う・・・。」
    ガウリイの目が覚める気配がする。
    「・・・・いけない!こら!あんた達!
     かってなことして!分かってるでしょうねぇ!」
    いって。
    目を据わらせまくって、ヒルフィシルミルラーダとヘルシータネスラーダを睨むリナ。
    『ああ!スイマセン!』
    その視線だけで、萎縮してゆく二人。
    「とりあえず!ガウリイが目覚める前に、戻るわよ!」
    そういって。
    その場に。
    ガウリイを残したまま。
    ガウリイが気付く前にと。
    リナは、その場から、掻き消えてゆく。
    同じくつれられて戻ってゆく二人の姿は。
    なぜか、傷だらけになっていた。
    

    おぼろげに、意識が浮上してくると。
    その、視界に。
    栗色の髪が映り込む。
    手を伸ばそうにも、届かない。
    そして。
    意識の奥で、全てのリナに関する情報が。
    まるで、カーテンが下りたようにと、掻き消えてゆくのが自分でわかる。
    ・・・・・・いく・・・・・・な・・・・・・・。
    声にならない声を上げ。
    そのまま。
    そんな、視界の隅から。
    求めていた姿は。
    完全にと掻き消えていた。


    かすかにのこるのは。
    頭に感じる人の膝枕と。
    そして。
    唇に感じたやわらかい感触。


    そのまま。
    ガウリイの意識は。
    昏倒してゆく。



    「あ!ガウリイさん!」
    はっと我に戻り。
    ガウリイを心配して。
    ガウリイを捜していた彼等が。
    そんな、倒れているガウリイを発見したのは。
    しばらく後のこと。
    誰かが、直前までいたのを指し示すように。
    どこからか、毛布の上にと寝かされているガウリイの姿。
    リナが、ガウリイの体が冷えないようにと。
    かけていったものである。


    「う・・・・。」
    目をうめきつつ、開いてゆくガウリイ。
    「あ、ガウリイ様、気がつきましたか?」
    とりあえず。
    ガウリイが気付くまで。
    側で焚き火をして。
    待っていたアメリア達。
    シルフィールが、気付いたガウリイに声をかけると。

    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰だ?お前ら・・・・。」

    冷たいまでの声が。
    ガウリイの口から発せられていた。

    『ガウリイ(さん)(様)!!!?』
    「だから、誰だと聞いている!」
    冷たいまでのその言葉。
    

    ガウリイは。
    アメリア達のことを。
    記憶をなくしていた。

    リナがガウリイにかけた術は。
    自分のことを全て忘れさせるもの。
    しかし。
    それをしたくなかったガウリイの深層心理は。
    葛藤をうみ。
    その結果。
    ―全ての記憶を。
    ガウリイの深層意識の中にと。
    封じ込めていた―。


    アメリア達から、説明を受けても。
    あまり納得できるはずもなく。
    それでいて。
    何か、自分が追い求めていた。
    という記憶は深く。
    まるで、追い求めるかのように。
    
    戦いにと没頭してゆくガウリイの姿が。
    これより先に、見受けられてゆく―。



    夢に出てくる、ただ、名前のみが。
    その脳裏に浮かぶ。
    ―リナ・・・・と。
    しかし。
    その夢に出てくる姿も。
    霧にと閉ざされて。
    その姿すらも、見えなくなっていた。



    まるで、何かをがむしゃらにと追いかけるように。
    戦いに没頭していたガウリイ。
    アメリア達が止める間もまく。


    やがて。


    戦いの中。
    ――戦死。


    それは、ガウリイが、まだ。
    三十になる少し前の出来事であった。



    

    「・・・・・・・馬鹿よ・・・・・こいつは・・・・・・。」
    ぽたり。
    完全に、その精神すらも病んで。
    自分の元にと戻ってきたガウリイをみつつ。
    リナは、そっと、その魂に触れる。
    

    「・・・・・今度こそ・・・・・幸せに・・・お願い・・・だから・・・・・・。」


    その祈りを込めて。
    再び。


    ガウリイを輪廻の輪の中にと組み入れてゆく。


    やがて。
    ガウリイが死亡したその直後。
    人同士の激しい争いがあり。
    気象が、激しく激減し。
    ―その星の命は。
    一時期、途絶えてゆく。




    今度こそ・・・・今度こそ・・・・・・。
    ガウリイが、幸せに過ごせますように・・・・。


    リナは。
    祈りを込めて。
    混沌の中にとまどろみゆく。


    自分が、気がつくと。
    ガウリイのことばかり考えているのに戸惑いつつ。

    リナは。
    今だに、自分の感情に。
    ひとかけらも気付いていない。


                                           -続くー

#####################################


    あとがきもどき:
           薫:・・・・・・・・・・くらいです(汗)はい・・・・。
             次回。
             再び転生v
             アメリア達v
             今度は。
             時代が飛びます。
             ・・・・・・・・唯一、ほのぼの・・・・に近いです(多分)
             んではでは・・・・・・。
 

    


TOP
    BACK    NEXT
  
一覧1     一覧2    小説TOP
長編リスト  中編リスト  短編リスト